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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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「明日の夜、沢山啼かせてあげます」
ああ、みるみる頬から首から赤くなってる。
可愛いなぁ。
「…今日は、しないの?」
「したくないならば。前日に乱れるの、あなた好きじゃないでしょ?」
先生はほっとした表情だ。
「そろそろ風呂入ってきたらどうです?」
「そうさせてもらうわ」
シャワーと浴槽、と言うホテルには珍しい風呂でそれなりにゆっくり入れるはずだ。
俺はその間にビールを飲む。
半分ほど空けると先生が出てきた。
「あなたも入って」
はい、と続いて風呂に入る。
ざっくりあたたまる。
出ると先生が俺の飲みさしのビールを飲んでいる。
「新しいの開けたらよかったのに」
「そんなに飲まないもの、これくらいがいいわ」
「飲み終わったら寝ましょうかね。移動、疲れてるでしょう?」
「そうね、あなたも明日早いでしょうし」
とクイッと飲み切る。
さっさと寝巻に着替えられてベッドに入られた。
俺はもう少ししないと汗が引かない。
寝巻に着替えるだけは着替え、横に腰掛けた。
ぐいっと首に腕をかけられ引き寄せられる。
「なんです?」
がぶ、と胸を噛まれて驚くやら痛いやら。
なのにくすくすと笑い声。
「噛むの好きですね、ったく。痛いですよ」
先生はうふふ、と笑いながら俺をベッドの中に引き寄せる。
横にもぐりこんで懐に抱いて、寝る用意だ。
ぬくいなぁ。
「おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
髪をなでて寝かせる。
暫く寝顔を見て、俺も寝る。
翌朝、先にホテルを出る。
京都の市場だ。
久々の京都の市場、だが時化の影響で荷物が少ない。
ゆっくりと東京の概況などを報告できた。
客も引けたので食事を取って古馴染みと別れ、自宅へ。
紋付を着て袱紗等用意して直接稽古場へ移動した。
事前に聞いていた場所へ行くと着物姿が数人。
この方たちもかな?
「あら、もう来たの?」
後ろから先生の声。
「はい、なんとか間に合いまして」
横から声がかかる。
「飯島さんのお弟子さん?」
「ええ、そうなんですの」
「男の方教えるのって難しいわよね、でもここの先生男性だからいいわよ」
「ええ、一度灰形のときにお目にかかりましたんですの」
「ああだからこちらにいらっしゃったのね」
「みなさん、そろそろどうぞー入ってくださいな」
後をついて入る。
良く判らないので他の人のやることに従って挨拶をした。
台子が3つ出ている。
奥は真か。
先生たちがあそこかな。
この稽古場の主の先生が割り振ってゆく。
「飯嶋さんは真之行しましょう。山沢さんは行之行。あちらに座って」
指示が飛びみな移動する。
幸い一昨日お稽古したところであまり忘れてはいない。
どれを使うか聞き、用意を整えてお稽古をお願いしてスタート。
微妙な角度などを直される。
いい感じで終わり、絹先生のお稽古を気配で感じつつ。
先生も微妙な点を直されている。
どうやら家元代替わりのときにほんの少し変わったらしい。
そのまま3時間ほどお稽古も済み、先生のお話があり。
散会後呼び止められて残る。
夜のお稽古も参加しないか、と言うお誘い。
私をちら、と見る。うなづく。
「よろしくお願いします」
と夜のお稽古にも参加決定だ。
「飯嶋さんは綺麗なお点前をするね」
「ありがとうございます」
「山沢さんはもう少し肘を張って大きくお点前をするといいよ」
「はい、わかりました」
「最近の男の子はお点前が小さくてね。もっとおおらかにしなきゃいかん」
「この子、女ですの…」
「えっ」
「昨年の勉強会にこの格好で行ったらあちらで受けてしまいまして。
 それから男の点前をやるようにと勉強会で教えていただいたんです」
「男前だからわからなかったわねー」
あっけらかんと補佐の先生が笑ってる。
「ええと、まぁそれでも男の点前をするならおおらかにね、うん」
「はい」
「じゃ晩御飯食べてからおいで、夜は6時からね」
さっと時計を見る。40分ほどか。
ご挨拶して一旦稽古場から出て晩飯を食いに近くの店へ。
「先生、別に女とわざわざ言わなくとも…」
「あらだって同じホテルの部屋なのよ、うっかり知られたときに困るじゃないの」
「まぁそう言われればそうですが」
軽く夕飯を取り、トイレに行き身づくろいを整えて時間を待つ。
お茶を買って先生に。
少し飲んで私にも飲めと。
新しいの買いますから、と買って飲む。

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