夜中二度三度と目が覚める。
先生としている夢。
そんなにやりたいか、俺。
苦笑して仕事に行く用意をして出勤。
やっと入荷もそろってきたそうだがまだやはり時化の影響は有る。
高値で取引されて荷物がなくなって終了。
京都への出張の報告。
あくび、暇だ。
そろそろ終了して帰宅。
飯を食って風呂に入って着替え、お稽古へ。
かったるい、と思いつつだからか乗り換えを少し失敗。
到着して水屋の支度をする。
よどみなく生徒さん方のお稽古がすすむ
つい先生の手や動きに目が動き、これはいけないと思っているうちにお稽古が終わる。
「じゃ山沢さん、お稽古しましょうか」
「いや、今日はやめておきます」
「あらどうして?」
「集中力がなくてどうもできそうにありません」
「そういう時こそしないと」
「いや、ほんと今日は勘弁してください」
「仕方ないわねえ」
じゃあ片付けて、と言うので水屋を仕舞う。
「お夕飯何が良い?」
「いや、も、このまま帰ります」
「…なにか拗ねてたりするのかしら」
「いや、その。違います」
「じゃどうして?」
「んー…その、あなたに触れたくてたまらなくて。だから今日は帰ります」
「あら」
ぽっと頬を染めて可愛い、くそう抱きたい。
「あの、もしよければ今からうちにこれませんか」
「無理よ。土曜ね?」
「そんなあっさりと…」
「明日、出稽古なのよ。だから無理なの」
「あー…それじゃ仕方ないですね」
がっくりきてると頭を撫でられた。
「土曜日、いらっしゃい。夜あちらの部屋でもいいわよ」
「いいんですか?」
「いいわ、だってあそこならあなた道具使わないでしょ?」
「持ち込んでもいいんですけどね」
「あなたに使っちゃうわよ」
それは遠慮する。
「じゃ俺、帰ります。また明後日来ますから」
「気をつけてね」
と頭をもうひとなでされて帰宅の途についた。
参ったなぁ…。
早めに寝るがまた先生の夢で目が覚めた。
仕事中もあまり忙しくないこともあり、どうしてもちらつく。
困ったものだ。
昼からどうしようか。
家にいても先生のことしか考えられないが外に出たら事故に遭いそうな。
溜息。
道具の手入れでもしよう。
納戸に入り、ドライシート片手に掃除をかねて。
いくつか劣化している道具を捨てたり。
ん?携帯が鳴ってる。
取ると先生、どうした?
「ね、暇かしら? お稽古早く終ったの、ご飯食べましょ。近くに居るのよ」
今銀座に居るらしい。
場所を聞いてそこまで行き、一緒に飯を食う。
そのまま先生を俺の家に回収した。
「どうしても抱きたいの?」
「ええ、抱きたいです」
「軽くにできる?」
「わかりません」
「それじゃ困るわ、明日お稽古だもの」
「八重子先生に」
「だめよいつもいつも」
むっとしたのがわかったらしい。
「…明日朝一番で帰れるようにして頂戴。それならいいわ」
先生が妥協してくれた。
「すいません」
恐縮しつつも脱がせて行く。