夕方、目が覚めると先生が風呂から出たところだった。
「あら起きたの? お風呂借りたわよ。あなたも入ってきたら?」
「ん。メシどうします?」
「そうねえ」
「去年行ったあのホテルのフレンチとかどうですか」
「いいわね。お着物借りていいかしら」
「どうぞ、適当に漁ってください」
のそのそと風呂に入り、ざぶざぶと洗う。
拭いてタオルを頭にかぶって出てくると、はい、と下帯を渡された。
下帯をつけて浴衣を引っ掛けてぼんやり座り込む。
そのタオルで頭をわしゃわしゃと拭かれた。
「早く乾かさないと風邪引くわよ。ドライヤー終ったから早く乾かしてきなさい」
その前に、とフレンチの店に予約を入れる。
髪を乾かして暑い、と部屋に戻れば先生がお茶飲んでた。
飲みかけのぬるいのを貰って、それから着替える。
先生も着替えて化粧をしている。
パチン、と音が聞こえた。
「山沢さん、用意できた?」
「はい、いいですよ」
「お手水行った?」
「いやまだですけど」
「行かなきゃダメよ」
「子供じゃないんですから。先生、先どうぞ」
先を譲ってる間に先生が着てきた着物を畳んでバッグに。
車のトランクに入れた。
先生がトイレを出たので交代で入ってそれからホテルへ車で。
フレンチは流石にそれなりに美味しくて。
先生も満足そうだ。
食後、車に乗せてそのまま先生のお宅へ走らせる。
「あら? どうして?」
「うちに連れて帰ったらまたしたくなっちゃいますもん。もうしんどいでしょ?」
先生はくすくす笑ってる。
「やあねぇ、もう。本当に底なしなんだから」
「だってあなたを好きすぎて」
信号待ちでキスをした。
「このままどこかホテルに入りたいくらいにね」
「だめよ」
先生がくすくすと笑ってるのが耳に心地よい。
安全運転で先生のお宅まで。
トランクからバッグを出して渡す。
「上がってお茶飲んでいきなさいよ」
「帰りたくなくなっちゃいますよ」
「明日お仕事なのに?」
「ええ」
「おや、山沢さんじゃないの、こんばんは。絹、送ってきてもらったの?」
「お茶飲んでいきなさいって言ってるのに帰るって言うのよ」
「あんた、首、どうしたんだい?赤くなってるよ」
「あー、ははは…まぁちょっと。明日仕事ありますんでもう帰りますね」
「はいはい、気をつけてね」
「じゃ明後日ね」
「失礼します」
別れて帰宅。自分から帰らせてもさびしいものはさびしいなぁ。
戻って着替えてすぐに寝た。