入荷少な目、客普通。
仕事は早く終った。
さっさと帰宅して玄関を開ける。
あれ、静かだ。
トイレに行って手を洗い、寝巻きに着替えて寝室に入れば、やはりまだ寝てた。
そろり、と横に進入して抱っこして寝る。
幸せ。
先生の温かい滑らかな肌に触れて、深く眠りにつく。
つんつん、と頬をつつかれて目が覚めると美味しそうな匂い。
「お昼ご飯、食べる?」
ぽー…と先生に見とれてたら頭を撫でられた。
その手を取って引き寄せようとしたら鼻の頭にデコピンされて目が完全に覚めた。
「うー、ご飯ね、ご飯。食べます」
イテテテ。
ベッドから降りてトイレに行って食卓につく。
ご飯にお味噌汁、目玉焼きとベーコン。ほうれん草のおひたし。お漬物。
おいしそう。
「軽いものしか作れなかったけど」
「十分ですよ」
炊き立てご飯に作りたての味噌汁は幸せだ。
恋人が作ってくれたのは更に美味しい。
「何時ごろ起きたんです?」
「1時くらいかしら。あなたいつ帰ってきたの?」
「俺は10時かな。今日は早く終ったから」
「じゃ、まだ眠いんでしょ? ご飯食べたら寝る?」
「もうちょっといちゃいちゃさせてくださいよ。寝るのは夜寝ますから」
「あら」
少し頬染めて、こういうところ可愛いな。
「…あれ?白味噌落としました?」
「うん、あなた前そうしてたから。ちょっと入れてみたの」
「おいしいです。嬉しいな、覚えててくれたんだ」
「甘くて辛くて濃いの、好きよね。でも成人病になっちゃうわよ」
「ん、そうですね、事務職になったら考えないといけませんね」
「あなたも若くはないのよ? そろそろ控えないとダメよ」
「はい」
ご馳走様をして片付ける。
お茶を先生が煎れて、俺の分も煎れておいてくれる。
洗い物を終えて座ると、先生が膝の上に乗ってもたれてきた。
可愛いじゃないか。
「いい匂いする…」
「あぁ、お風呂いただいたから」
「気づかなかったなぁ」
「良く寝てたもの。昨日は寝てないんでしょ?ごめんね」
「徹夜くらい。あなたが気持ちよくなってるの沢山楽しめたしね」
「…私から誘うなんて。恥ずかしかったわ」
「嬉しいですけどね、求められるのも」
暫く会話しつつ、べったりとくっついたまま。
4時半ごろ、先生がそろそろ帰らないと、と言い出した。
「晩飯、食ってからにしたらどうです?」
「帰りたくなくなっちゃうから」
「うれしいこと言ってくれるじゃないですか」
そういいつつもまだ俺にもたれたままだ。
「帰したくないなぁ。けど明日お稽古朝からですもんねえ」
「そうなのよね…」
ふー、と耳元で溜息一つ。身を起こす。
なんとなく、急にしたくなってキスをした。
先生はふふっと笑って俺の頭を撫でる。
「また明日、うちに泊まって頂戴」
「はい、お邪魔しますね」
「着替えてくるわ」
「はい」
すっと立って和室へ。
俺はトイレへ。
先生の帰り支度を整え、俺も着替えた。
家まで送る、と言うと寝不足の人に運転させられない、駅までで良いという。
ほんと優しいなぁ。
羽織とショールで防備して二人でゆっくりと駅まで歩く。
「じゃあまた明日」
「待ってるわね」
「気をつけて帰ってくださいね」
「ええ、じゃ、また」
先生が改札をくぐって電車に吸い込まれる。
発車するのを見届けて帰途、寒いなぁ。うどんでも食うか。
近くの店に入り親子丼を頼んで食って帰宅。
トイレへ行って着替えておやすみなさい。