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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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天麩羅久しぶりかも。
ほんの少しお酒を頼んでキスやあなご、メゴチ、エビ。
他色々、野菜も色々。結構しっかり食べて満腹に。
「あぁおいしかった!」
「うまかったですねー」
「でも胃もたれしないのよね」
「良い油使ってるんでしょうね。さてと、送りますよ」
「いいわよ、お昼間だしあなた明日もお仕事でしょ」
「あ、そうだ、思い出した。水曜日仕事あるんですよ、だから明日は帰りますから」
「あらそうなの? わかったわ」
なでなで、と俺の頭をなでてくる。
「なでるの、癖ですか?」
「つい撫でちゃうのよね、なんでかしらね」
「俺を下に扱いたい心の顕れ?」
「そうかも?」
「はいはい、いいですよ。夜以外は」
ぽっと頬を染めている。可愛い。
駅についてお見送り。
ばいばい、と車窓から手を振る先生。
さて。帰って寝るか。
帰宅してちょっとあれこれ家事をして、睡眠。
夕方腹が減って目覚める。
散歩がてらコンビニへ行き、帰って食べてまた寝る。
早朝出勤して仕事。
今日は暇そうだなぁ。
仕事中にメールを打つ。
春だから鯛を持っていこう。
あったかいなぁ。
途中で上着を一枚脱いで仕事する。
少し波が高いから入荷は少ないけれどどうせ火曜日だ。
そんなに買われないから良い。
ゆったりと仕事が終って帰宅する。
風呂に入り着替えて。さぁ稽古に行こうか。
電車に乗ってると先生からお電話。
見学者がくるの忘れて生菓子が足りない?
はいはい、と数を聞き途中下車して和菓子屋へ。
立ち寄った所は上生菓子が6種類。
足りないのは5個。
全種1個ずつお願いし、更にその他の菓子をいくつか買った。
ゆったり時間がある中到着して先生に菓子を渡す。
「あら、こんなに沢山?」
「孝弘さん、こういうのもお好きでしょ?」
「そうなのよねぇ」
水屋に入って支度をしよう。
あ。そうだ。
「先生、今日の見学の方はどうされます?」
「ああ別に用意は要らないわよ、椅子だけ出しといてくれるー?」
「ラジャー」
人数分椅子を出して置いた。
しばらくして生徒さんたち到着。
…たち?
「今日は花月よ。折据出して」
しまった、忘れてた。
俺を特訓するの先生も忘れてたよねっ。
まずは八畳平花月、とのことで。
正客と亭主を折据で決める。
折り紙の箱みたいなものの中に表側同じ模様で裏に数字札と月・花の札がある。
一番最初に月を引けば正客で花を引けば亭主だ。
ランダムに決まるため、引いた瞬間ゲッと思ったりもする。
やはり花を引いた人がげんなりした顔をした。
お菓子をいただいてからスタート。
先生にお願いします、と言ってからお正客がお先に、と席入りする。
そのまま続いて皆さん席入り。
八畳の席入りはまだいい。スムーズだ。
さて亭主はまずは迎えつけの挨拶で総礼。
客は全員袱紗をつける。
と言うのもこの後飲む人点てる人はまたもくじ引きだから。
4畳半の中へ移動したら亭主が折据を正客の前に。
一膝斜めに向いてから水屋へ戻り茶碗を持ち点前座へ。
茶碗を勝手側に1手で割付け棗を棚から下ろして茶碗を3手で置き合せる。
水屋に戻って建水を持ち出し踏み込み畳に置いて仮座へ。
正客から折据の中の札を取り伏せて置き、折据を回していく。
亭主も取ったら折据をおいて皆で開く。
花が名乗り、全員が札を折据に入れて返してゆくが、花は数字札と変えて戻し、
数字札を持って点前をしにゆく。
「今回は繰り上げなしで」
と声がかかり、空いた所に亭主が移動する。
茶杓を取れば折据を回し、お茶が点ち次第札を取る。
月・花・松!と札通りに言うが松は今点前した人が言うことになっている。
札を戻して月がお茶を飲み、茶碗を返したら移動。
花が点てに行き、さっき点ててた人が戻って空いた所に座る。
それを3服。
最後は斜めにして折据を回し、末客は茶碗が置かれる場所より下座に置く。
茶碗が出たら札を取り今度は月だけ名乗り取りに出る。
お点前して居る人は客の方を向き折据に札をしまって同じ場所に返す。
末客は折据を取りに行き、札を返してゆく。
お茶碗が帰ってきたら総礼してお点前して居る人は道具の片付け。
お客は元々いた場所に戻る。
その間に棚に柄杓と蓋置と棗を飾り、建水を持ってバックで戻り、
最初に建水を置いた位置に座って置く。
そして四畳半の元いた席へ戻り、亭主が建水を片付け、茶碗を下げる。
正客は折据を持って亭主の取るべき場所に置く。
亭主は水次を持ち出して置いたら客の方を向いて総礼をして折据を回収。
水指に水を足して水次を持って帰ると同時に全員席を立って八畳へ下がる。
亭主が戻ってきて斜めに座ったら総礼。
亭主が帰ったら皆で福佐を外して懐へ入れ、扇子を前に置いて次の人にお先に、と。
挨拶して順々に帰っていく。
皆で水屋で挨拶するところまでが花月である。
9割がた先生の指導が絶え間なく入る。
100回やっても何か良くわからないのがこれである。
なんでやるかって?
今どういう状況でなにをすべきか、というのがすぐにわかるようになるための稽古だ。
なれてきたらゲームではある。
飲む人が3回連続で当たったりする。
急に当たってお点前なんてのも良い鍛錬だとか。
俺は平花月は何とかなるけれどもっと上のほうになるとよくわからないものもある。
3回繰り返してなんとなく、という顔を皆さんしておられる。
最後の一回は見学の方が居られて、凄い凄いーなんて声が上がっていた。
一回目見せてたらダメだったかもしれない。
お稽古を終えて生徒さん方が帰られ、八重子先生と見学の方がお話されている。
今回は先生がお夕飯か。
水屋を片付けて台所の様子を伺う。
「あら終った?」
「はい、八重子先生はまだ話しておられますよ」
「あ、今日泊まらないのよね、ご飯どうするの。もう出来てるから食べて帰ったら?」
「いいんですか? じゃお相伴させていただきます」
「嬉しそうねえ」
「やー帰って作る気にはなれませんものですから」
お台所で一人分を分けてもらいそのまま食べる。
うまいなー。
「食卓で食べたらいいのに…」
「お客様いらっしゃるのではちょっと落ち着きませんし」
「おかわりあるわよ」
ほんの少しだけ貰って食べる。
「うーん帰りたくないなぁ」
「お仕事なんでしょ? だめよ」
先生は俺の頭をわしゃわしゃと混ぜて髪型を崩す。
「なにするんですか、もー」
ぺろりと食べ終えて洗い物を。
「いいわよ、置いといて。皆が食べたときに洗うから」
「すいません」
「じゃ気をつけて帰るのよ」
「はい、ではあさって…も花月ですか」
「そうよ、復習しておきなさいね」
「わかりました」
じゃ、と別れて帰宅して、そして寝ることにした。
花月は疲れる。
おやすみなさい。

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