翌朝出勤ってやっぱり水曜だなぁ。
お客さんが来ないし売れないし、本当に今日なんて休みにした方がいいね。
いつもなら先生といちゃいちゃ出来るのにな。
もっと忙しけりゃ仕方ない、と思うんだけれどこればっかりは。
稼がなきゃ会うこともできないからな。
仕事が終って、さぁ今日はどうしようか。
と、帰ったら先生が部屋にいた。
「…えーと、ただいま? なんでおられるんですか」
「おかえりなさい。さっきお友達と東京駅でお茶してきたのよ。
ここまで出たついでだから、だめよ、お掃除ちゃんとしないと」
「う、一応先週掃除機はかけたんですが」
「戸棚の上とか拭いてないでしょ。あとお布団干しちゃったから後で取り込みなさいよ」
「はい。ありがとうございます」
「で。お昼は食べたの? まだなら何か作るわよ」
「あーまだです。何か食いに行きますか」
「ダメよ、お野菜食べないんだから。一緒にお買い物行きましょ」
「んー、いやメシ食いに行ってそのままホテルであなたを食べるほうが」
先生の拳骨が。
「せんせ、せめてパーでお願いします…痛いですってば」
そのままぐりぐりとこめかみを押されて諦めて買物に出ることにした。
「着替えるからちょっと待ってて下さい」
「あら、そのままでいいわよ。すぐそこでしょ」
「あーですがこの格好であなたと並ぶのは。匂い移りもしますし。すぐですから」
ささっとその辺にあったカーゴパンツとシャツを着て、パーカーを取る。
「そういう格好初めて見るわね」
「あなたに逢うときはいつもそれなりの格好してますからね」
お買物に一緒に出て、菜っ葉ものをメインに色々と先生が買う。
何を作る気だろう。
お肉は少し。
帰宅して手を洗って先生は割烹着をつける。
「お野菜洗って頂戴」
先生はフライパンを用意してごま油を落とし、どうやら野菜炒めを作るようだ。
同時進行で大根葉のお味噌汁。
人参葉の胡麻和え。
小松菜の煮浸し。
作ったものの半分は冷蔵庫へ。
「これはお夕飯に食べてね」
ご飯は買物前に先生が仕込んでいたので丁度炊けた。
いただきます。
あ、少し塩強めにしてくれてる。
たっぷりの野菜。少しの肉。
うまいなぁ。
「作るの面倒って思わないんですか?」
「思うときもあるわよー、でもおいしそうに食べてくれるから」
「あー孝弘さん、ほんとうまそうに食べますよね」
「あなたもね。ご飯粒ついてるわよ」
っと手を伸ばして唇の横についてるのを取られて、それを食べられてしまった。
そのしぐさにちょっとドキッとして。
「このまま泊まっていきませんか」
「明日も朝からお稽古よ。それに…明日うちに泊まるでしょ?」
「でもあなたのおうちではそんなに強いことは出来ないから」
「なにするつもりなのよ…」
にっこりと笑ってると怖がられた。なんでだ。
「ご飯食べたら帰るから。だめよ」
「仕方ないなぁ」
食べ終わって、ちょっとお腹が落ち着くまで抱っこして。
抱っこくらいさせろ、とごねたわけだけど。
懐に居るとやはり先生も少しはドキドキするらしくて肌がほんのり紅潮している。
それでも流石の精神力。
「もういいでしょ、帰るわ」
そういって帰っていってしまった。
残念。
やれなかった気持ちを落ち着けるためにと縫い物をする。
ちょっと疲れてきた頃、仕舞って布団を取り入れお昼寝を。
夜、目がさめて作り置きしてもらった野菜類で晩飯を済ませて寝なおした。