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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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翌朝仕事をしてるとメール。
今朝からの雨で梅が散ってないか心配、と言う。
散ってたら散ってたでどこか食事でもしましょう、と返した。
一応休み前ってことでそれなりに荷物は動く。
仕事を終えて飯を食って帰宅。
ざっとシャワーを浴びて先生のお宅へ。
挨拶をして水屋へ。
湿度が高いなぁ、やっぱり。
玄関先の雑巾とタオルを取り替える。
「こんにちは、山沢さん。遅れたかしら」
「ああ、小野さん、こんにちは。まだ余裕ですよ。タオルどうぞ」
「ありがとう、酷い雨ねぇ」
雨ゴートを軽くはたいてハンガーに。
10分ほどの間に残りの4人が来た。
やった、俺抜きだ。
時間になり先生が来て先日の花月の復習。
水屋に篭っていたら引っ張り出された。くそう。
亭主を引いてしまった。
がっくりしつつ亭主を務める。
なんとか間違いもなく花月が終わった。
抜けて水屋にまた避難。
「次回のお稽古日は濃茶付をしますからね」
うーん、濃茶付は難しいんだよなぁ。
「じゃ今日はここまでにしましょう」
「ありがとうございました」
玄関先で皆さん雨ゴートをまとって足元をカバーし、雨の中帰って行かれる。
ん、台所からいい匂い。
「山沢さん、あなたこっちきて」
茶室に呼ばれた。
「二人だけど今から濃茶付花月するわよ。用意しなさい。あなた亭主ね」
うっ、と半歩引いたら睨まれた。
渋々座って挨拶をする。
月と花のみの札の折据を使って濃茶付の稽古。
札を引く意味はなく交互に花と月を繰り返して仕舞い花を先生がして、
そこから終るところまでを俺がした。
何度か叱られて。
「ダメよ、こんなので間違ってちゃ。あなた教える立場にこれからなるんだから」
「すいません」
「最低この二つは教えられるくらいちゃんと覚えなさい」
「はい」
人の気配。八重子先生が部屋に来ていた。
「絹も中々覚えれなかったものねえ、花月は。私だって且座なんかは悩むね」
「することが多くて。勉強会でお稽古するけど私もたまにわからなくなるわよ」
「基本だからね、八畳は。まずはこれちゃんとできるようにね」
「中々覚えられないです」
「花月百遍朧月ってね、5年10年かけてやっと身につくからね」
「聞香は茶碗と逆に回すくらいしか記憶にないです…且座は」
「あんまりやらないからねぇ、あんたが来る日は」
「今度上級の日に来なさい、混ぜてあげるわよ」
「い、いや他の方にご迷惑ですからっ」
「あら、他の生徒さんだって最初はそんなものよ」
「そうだね、来週の月曜、来なさい」
「うぅ…わかりました」
「見学だけにしてあげるから」
「あ、それなら」
ほっとして参加表明する。
「さてと、ご飯の支度、続きしてくるよ。山沢さんは水屋片付けとくれ」
「はい」
「絹は台所に来てくれるかねぇ」
「はいはい」
手早く水屋を片付けて茶室も片付けた。
「山沢さーん、そろそろご飯よー」
よし、こんなものかな。
今日は何だろう。
きっと美味しいものだろう。
食卓に着く。
生姜焼きと八宝菜、お味噌汁、ごはん。
付け合せはきのこのバター炒めか。
お味噌汁は大根だ。
きぬさやも入っている。
おいしいなぁ。
先生は俺の食べてるのをみてニコニコしている、が。あの笑い方は…。
「…先生何に何を入れました?」
「うふふ、わからないならそのまま食べちゃいなさいよ」
いいけどね、うまいし。
綺麗さっぱりすべて食べ終わる。
今日の隠してあるものは八宝菜にナスが入ってたらしい。
律君が首を捻る。
「紫色のものないよ?」
「皮剥いて入れたのよ。見えなきゃわかりにくいでしょ」
なるほどなぁ。

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