朝、起きるとまだ先生は気持ちよさげに寝息を立てている。
とりあえずキスしたくなってキスをする。
あ、起きちゃった。
「もう起きる時間ー?」
「ええ、そんなような時間ですね」
「まだ眠~ぃ…」
「構いませんよ、メシできたら起こしに来ますから」
「ん、お願いねー」
手がひらひら振られて台所へ行く。
さてと今日は何を。
八重子先生が起きてきた。
「おはようございます。今朝は何しましょうかね」
「おはよう。絹は?」
「眠そうだったから置いてきました」
「あんた甘い。とりあえずそうだね、何か魚焼いてくれるかい」
冷凍庫を見て。ん、サワラでいいかな。
軽く味噌を洗ってからグリルへ。
八重子先生と朝御飯を用意して先生を起こしに行く。
「先生、ごはんできてますよ。そろそろ起きてください」
「んー…んん?もうそんな時間なの?」
「7時半前ですよ。味噌汁が冷めちゃいますから」
もぞもぞと布団から出て身支度を簡単に整えている。
「あなた食べたの?」
「先生と食べようと思ってるのでまだです。律君たちはもう食べ終わってるかと」
「あらそう? 待っててね、すぐ用意するから」
着替えを手伝って一緒に居間へ食卓に着く。
お味噌汁を温めご飯をよそい、先生の前へ出して一緒にいただく。
「行ってきます」
「あ、行ってらっしゃい、気をつけてね」
律君は1時限目から学校らしく慌てて出てった。
「ことしのお花見ねぇ、お茶会しようかって言ってたけどだめだねぇ、雨の予報だよ」
八重子先生がテレビの天気予報を見ながら。
「うーん、散りそうですか?」
「散っちゃうかしらねえ」
「じゃお昼に三人で花見したいです」
「しちゃう?」
「あったかいしね」
食後、そのために色々用意をする。
三人だけだから茶事じゃなく、普通にお茶を点てていただいた。
お昼に軽く食べて、濃茶。美味しい♪
「綺麗ねぇ…」
「ええ」
ひらり、と花びらが薄茶の上に。
緑のお茶に薄紅の花、風情を感じる。
サワサワと風、鳥の鳴き声。
春だなぁ…。
お客さんが来て八重子先生が相手をしている。
先生をおいで、と招いて膝枕をしてみた。
しばらくしてあふ、と先生のあくびが聞こえる。
「まだ眠いですか」
「ゆったりしてるから、ついね」
ぼんやりと桜を見上げているうちに寝息が聞こえてきて。
寝顔が可愛いなぁと見とれているとそこにも花びらが落ちてきていて。
お客様が帰ったようで八重子先生が戻ってきた。
ハーフケットを持って先生にかけて。
「もう一服いる?」
「あ、ありがとうございます」
お茶を点てていただいて美味しいなぁと思ってると先生が膝でもぞもぞ動く。
うーん、早く飲まねば溢しそうで怖いな。
吸いきってお茶碗を返すと八重子先生が笑ってる。
俺も甘いけど八重子先生だって甘い。