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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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302

先生が起きたのを切りに曇り空も広がってきたのもあるからと片付けた。
「お買物、行きましょ」
「ええ」
二人で買物に出て色々と買い込む。
「あら空が…」
「ああ、早く戻らないと降るかもしれませんね」
うちに戻って台所へ。
「どうする? 降る前に帰っちゃう?」
「んん、そうしましょうか。降られると厄介ですし」
「そうよね、じゃ気をつけてね」
「本当は帰りたくないな」
八重子先生が台所にいないのをいい事にキス。
「明日もお仕事でしょ…だめよ」
「あなたは俺を帰したくないとか思わないんですかね…」
ぷっ、と先生がふきだした。
「なぁに、拗ねてるの? やぁねぇ」
くすくすと笑ってバシバシと俺の背中を叩く。痛い。
「拗ねちゃいけませんか」
私の頬に手を添えて先生からキスしてきた。
「ばかね、明日も来てくれるんでしょ?」
「勿論です」
「だったらお仕事に影響が出ないようにするのは社会人なんだから」
「ええ、まあそうですけどね。引き止めて欲しかったな」
頭をなでられてしまった。
うーん。
「土曜日はあちらの部屋でもいいわよ」
「良いんですか?」
嬉しくなって見返すとそんな俺を見て先生がくすくすと笑ってて…後悔させたくなった。
「だから今日は早く帰ってちゃんとご飯食べて寝て、明日もお仕事ちゃんとしてね」
「ま、そういうことなら帰りましょう」
うふふ、と先生が笑って。可愛い。
「じゃ雨に降られないうちにね」
「はい。ではまた」
軽くキスして別れ、電車に乗って帰宅しても雨は降らずじまい。
メシ食ってから帰ればよかったと後悔しつつ、途中で買った弁当を食べた。
今日の夕飯、とメールが来て美味しそうでうらやましくなる。
食べたかった、残念!とメールを返して寝る準備。
寝る前にトイレに行けば、ああ、今日からか。道理で。
と始末をしてそれから布団へ。
明日は雨か…。
翌朝、今日は一日雨かーとブルーになりつつ、出勤した。
さすが雨、客の買う気のなさよ。
やる気が出ないなぁと思いつつ仕事をこなす。
ちゃんとしないと土曜日させてくれなくなりそうだからな。
帰宅して先生のお宅へ。
「こんにちは、雨ですねえ」
「はい、いらっしゃい」
玄関先で雨コートを脱いで掛け、居間へ行く。
窓も湿気で曇っている。
ぽつぽつと生徒さんが稽古に来られるのをさばき、俺の稽古をつけていただく。
今日は俺の機嫌を察してくださったようで若干優しい。
終って片付けも済んで台所に行けば俺のためにとホウレン草の胡麻和え。
他の献立も見るに鉄分多目メニューと見た。
「先にこれ食べて炬燵に入ってなさい」
と渡されたのはチーズ。カルシウムね。
手伝いもせずおこたにはいるのは心苦しいが正直助かる。
足が暖まって少し痛みが緩くなる。
先生が配膳して下さって食事。
うーん。うまい。
ちゃんとしたご飯で、多分俺のために献立考えていただいて。
美味しくいただいた食後、ぼんやりしているとなでられた。
ん?と先生を見ると少し心配そうな顔をしている。
「一人で帰れる?」
「あぁ、ぼけてるだけですから。車じゃないから大丈夫ですよ」
「明日お仕事じゃなかったらいいのにねぇ」
「ま、しょうがないです。これで稼いでるんですから」
「雨降ってるけど本当に大丈夫? 律に送らせる?」
「律君に負担ですよ、いくらなんでも。無理だと思えばタクシー拾いますから大丈夫」
「そう? 無理しないでね」
ぼんやりと引き寄せてキスしたら抵抗された。
あ、八重子先生の前だった。
先生が耳まで赤い。可愛いなー。と笑って。
そろそろ帰りましょう、と立ち上がる。
見送っていただいてそれなりの雨の中帰宅する。
少し貧血気味の自覚はある。
帰ったらすぐに寝るとしよう。
途中、そろそろ危険か、と駅からタクシーに乗り帰宅した。
すぐに着替えてトイレに行き布団へ入った。

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