翌朝、何とか布団から抜け出し出勤。
仕事を頑張ってこなし、帰宅して直ぐ就寝するなど。
外の大荒れの天候にも気づかず。
夕方にはなんとなく体調も落ち着いて夕飯を食べに出た。
先生から電話。
明日のお稽古はお休み?
どうやらこの天気の加減で休みたい方と、花見をするため欠席の人が重なったそうだ。
「じゃ明日うちにきますか?」
考えさせて、と言うので明日の午前中までによろしく、と電話を切った。
思い切りが悪いなぁ。
少し不機嫌になり飯を食って帰って風呂に入る。
ざっとタオルで拭いて着替え、ベッドに転がって寝た。
ふと何かの気配がして目を覚ますと抱きしめられて驚く。
「来ちゃった」
あ、先生か。
「時間遅いから寝てて…」
「いま何時ですか?」
「多分11時半くらい」
むくり、と起きると先生が慌てて謝ってきた。
「いやトイレ行くだけですよ」
どうも急に来たことに怒ったのか、と思ったらしい。
トイレから戻って先生のいる布団へもぐる。
「…先生、冷えてる」
「ごめんね、外寒かったの」
「温めてあげようか。中から」
「え、あ…あなた明日朝早いんだからダメよ」
慌ててて可愛い。
くすくす笑ってるとからかってるの、とケンのある声で聞かれた。
「からかってなんかいないよ。どうする? どうしてほしい?」
「…一緒に寝てくれるだけでいいんだけど…だめかしら」
「いいですよ、今日はね」
懐に抱いて冷えてる先生の身体をなでながらいつしか二人眠りに引き込まれた。
朝、起きて先生を置いて出勤する。
出勤して直ぐだが早く帰りたい。
寒いし。
客足も早く引けて帳面とあわせ早々に帰宅。
「ただいま」
「早かったわねぇ、お帰りなさい。お風呂はいる?」
「あー、はい」
「良かった、いま沸かしたところだったの」
「先入っていいですよ」
「お洗濯もうちょっとあるのよ」
「ああ、それなら先に入らせていただきましょう」
風呂に入って湯に浸かる。
温まるなぁ。
のんびりと伸びて、風呂から上がる。
タオル片手に上がってくると叱られた。
「裸で上がってきちゃだめっていったじゃない。見られちゃうわよ」
「この家で? あなたしかいないのに」
「カーテンあいてるもの」
「いまさらですよ、窓開いてても気にしてないですよ夏は」
「気にして頂戴よ…見せたくないわ」
「そういうあなたが可愛いな。ほら、風呂入って。メシ食いに行きましょ」
「もうっ」
ぶつくさ言いながら先生がお風呂に入って俺は暫く涼む。
落ち着いて着替えたころ先生が出てきた。
ん、湯上り美人。
綺麗だよなぁ。
「メシよりあなたを食いたくなったな…」
「とか言ってお腹なってるじゃないの」
まぁ、ねえ。
「お昼ごはん、何食べたいです?」
「和食がいいわー」
「んじゃ懐石でどうですかね」
「ん、それでいいわ」
「1時間後?」
「30分。お腹すいてるんでしょ」
「じゃ席とります」
連絡して出かける用意をする。
先生の着物を着るのはいつもながらに手早い。そして綺麗だ。
化粧も髪も整えて丁度20分。
「さ、行きましょ」
「はい」
連れ立って食べに行く。
んー、先生と歩くと視線が。
やっぱり美人さんだからなぁ。
見せびらかすじゃないがいい女を連れて歩くのは気分がいいものだ。
店に入って一番いいのを頼んでゆっくりとお昼をいただいた。
先生もおいしそうに食べていて、見ているこっちまで嬉しくなる。