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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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319

翌朝食事を取り、律君を送り出してからのことだ。
昨日は危ないところだったのよ、と八重子先生に話を先生が振った。
「やっぱり家でするのはよした方がいいんでしょうけど、その、つい」
あんまり八重子先生にこういうこと言わないでほしいなぁ…。
「あんたら夜はあっちの家行ったらいいじゃないか」
「毎回ってわけには…どうかと思いますし…」
それに歯止めが利かなくなるから壊しちゃいそうで。
「ま、その辺は適当にしなさいよ」
「はあ…」
「さてと、そろそろお稽古の準備するよ」
炭の用意や釜のかけ方なども一緒に教えていただきながらの準備。
これもいい勉強だ。
八重子先生は俺のギリギリを見ているようで、嫌にならないところまで詰めて下さる。
先生は多少俺に対する甘えも有るとかでギリギリアウトまで責めてこられる。
俺がMならば先生のやり方でも嬉しいんだろうけれど。
一旦お昼ご飯の休憩を挟み、午後もお稽古。
おおよその流れはつかめそうだ。
3時半過ぎ、大学から律君が帰ってきた。早いな。
「じゃそろそろ終ろうかね」
と八重子先生が仰って片付けへ。
「あんたも羊羹食べる? 山沢さんにいただいたんだけど」
「うん、あ、お父さんの分もある?」
「あるわよー」
律君と先生の会話がほほえましい。
俺も心を切り替えないといけないなぁ。
すっかり落ち込んでいるから。
ん?甘い匂い。
水屋を片付け終えて居間へ行くと台所から先生に呼び止められた。
「これ、あなたの分」
ホットケーキだ。なんでだ?
首を捻ってると頭を撫でられた。
「羊羹食べないんでしょ? 甘いものこれしかないのよね、今」
「食べた後のあなたの口は甘いんじゃないですかね」
ついニヤッと笑って言ってしまったらつねられた。
「さっきまで涙目になってたくせに…そういうこと言うのね。
 明日もっと厳しくしちゃおうかしら」
「勘弁してくださいよ」
ホットケーキと切り分けられた羊羹を持って居間に行く。
八重子先生がお茶を入れてくれていて、俺はぬるいお茶にありつけた。
メープルシロップは切らしていて蜂蜜とバターでいただく。
コーヒーや紅茶ではなく緑茶なのが難だがおいしい。
「ん? この渋味は?」
「あぁ蜂蜜、こしあぶらなのよ」
「それでですか。道理で」
あ、孝弘さんに狙われてる。
それに気づいた先生が笑って更にもう2枚焼きに立った。
が、焼いてる間に1枚は孝弘さんのお腹に納まってしまった。
「あらあら、お父さん、山沢さんの食べちゃったんですか?」
じゃあ、と一枚ずつ配分してくださった。
んーうまい。
孝弘さんもおいしそうに食べていて、それも見ている先生も幸せそう。
律君だけが微妙な顔をしている。
昨日のマッサージ、と言うのが納得いかないのかなあ。

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