ソファからおいでおいでと手招きして膝の上に横座りに乗せた。
浴衣の合わせから太腿がのぞいて、慌てて直している。
可愛いし色っぽいしで。
「向かい合わせのほうがいいのかな…足、開いて?」
頬染めてそのまま固まっている先生が本当に可愛くて手荒くしたくなって困る。
「別にひどいことはしないよ? キスしにくいでしょう? この格好」
「あ、うん、そうね」
両腿をきっちりくっつけたまま俺の膝に座りなおした。
「がばっと開けて密着したらいいのに」
「恥ずかしいわよ」
「今さらでしょ? ほら」
手で割り開いて引き寄せた。
力をこめて抵抗していたが流石に俺の力にはかなわないようだ。
「もうっ、ばか、こんな格好させないで」
「もっとえっちな格好がいい? そうだな、ペニバン使って立ったままするとか」
赤くなったり青くなったり。
「ってのは冗談ですよ」
ぺちっと額を叩かれた。
キスして暫くゆっくりと腕を擦る。
徐々に肩の力が抜けていって俺にもたれかかってきた。
「ね、するならベッドでお願い…」
「ここじゃいや?」
「うん…」
言うことを聞く振りしてソファの上で組み敷く。
実際抱くとなると落ちるから戯れだ。
抵抗。
「可愛いなぁ」
笑って引き起こしてあげてベッドへ連れて行き、抱いた。
終った後少し愚痴を言われたが。
「で、晩飯どこか行きますか?」
「そうねぇ…お鮨食べたいわ」
「ああ、いいですね、久しぶりに。待っててください、席あいてるか聞きます」
「着替えてくるわ」
問い合わせればあいてるとのこと、カウンターをお願いして俺も着替え。
先生は少しけだるげで綺麗で。
ん、もう一度したくなる。
キスだけにしてお鮨屋さんへ行くことにした。
戸締り戸締り。
先生は家から出たらしゃっきりして、崩れた雰囲気など毛ほども出さない。
それに釣られて俺も背筋が伸びる。
でも、俺の手にそっと手を重ねてくるところは可愛い。
お鮨屋さんはおまかせで頼み、先生のおいしそうに食べてるのを楽しむ。
俺のはちゃんと白身の魚や胡瓜やおこうこや梅や卵など食えるものだけが出てくる。
先生のはイクラや中トロも出てきて美味いところを少しずつ沢山の種類出してくれた。
「幸せ~♪」
やっぱり年々量が食べられなくなってる、と言う。
まだそんな年じゃないでしょ、と答えた。
「あなたもこの年になったらわかる…その食欲じゃわからないかもしれないわねぇ」
「ははは、これでも懐石なら満腹になってますよ?」
一気食いはどうしても量食べるけど。
お茶をいただいてお会計。
先生は先に店から出て待っている。
「ご馳走様、美味しかったわぁ」
つれて歩く途中も先生はニコニコしている。
さて、車に乗せておうちまで行こうかな。
「電車で一人で帰るわよ」
「もうちょっと一緒に居たいんですけど」
「明日も来るでしょ?」
「行きますけど…べたべたできないし」
「ばかねぇ…あちらの部屋に行けばできるじゃないの」
「いいんですかね?」
「いいわよ、お母さんもそうしなさいって言ってたわよ~。
律に気づかれるよりいいじゃないって」
「八重子先生、何でそうまでしてくださるのか…」
「聞いてみたら?」
「そうします」
駅について、お別れだ。
ちょっと切ない。
「じゃまた明日いらっしゃい」
「はい、参ります」
手を振ってくださって振り返す。
見えなくなるまで見送って、帰宅した。
着替えてベッドにもぐりこんですぐに寝る。