八重子先生が冷えてきたから寝る、と言い出し、じゃ私たちもと思ったが…。
「あんたらはあっちの家行っといで。律まだ起きてるから。お酒持っていきなさい」
「はい、そうさせていただきます」
「お母さん、もう…」
先生が恥ずかしがってて可愛い。
八重子先生が部屋に行ったので戸締りや火の元を確かめてお酒を持って外へ。
玄関の鍵を締めて先生と二人歩く。
先生の羽織っているショールはすべすべと月光をはじく。
「シルク?」
「ん? これ? そうよ」
「綺麗だな」
「これお気に入りなの」
「じゃなくて、あなたが」
頬を染めて黙ってしまった。
手を引いて部屋に入る。
「何黙ってるんですか? 怒った?」
「そうじゃないわ」
「じゃあどうしたんです?」
「なんでもないわよ、飲みましょ」
グラスを出してきて俺のに注いでくれた。
俺も先生のグラスに注ぐ。
くいっとグラスを開けてもう一杯注ぎ、半分ほど呷って先生にキス。
口移しに飲ませた。
そのままキスして胸をまさぐる。
息が荒くなって少し首筋もほの赤い。
「もうちょっと、飲んでから…ね、そうしましょ」
お願いする先生が可愛くてつい聞いてしまう。
最近甘いなー。
恋人だからしょうがない。
いける口だからとおいしそうに飲んでいる。
美味しいから沢山いただくのは好きだけど沢山飲んで酔うと正体をなくすから。
だから飲みたくないらしい。
「たしかにいつだったか間違って飲んで律君の前で俺にキスしちゃってましたね」
「それ、困るでしょ。だからあまり飲まないのよ」
おいしー♪とご機嫌さんだ。
つまみはさっきの夕飯の残った飯蛸や鯛の子。
「律君公認になれたらいいんですけどね、男の子は母親に幻想持つから無理かな」
「律には言わないで…」
「言いませんよ。ばれたときの話」
頭をなでる。
「あなたを律君の前で抱いたりとか…」
びくっとしてる。
「しませんから大丈夫」
「ばか、驚いちゃったわよ」
「そういうとこ可愛いなあって思ってるわけですが」
「もうっ」
ちょっと怒りつつお酒を飲んでる。
何杯か飲んでるうちに先生がうとうとしてきた。
ヤらせず寝る気か。
いいけどさ、たまには。
すっかり寝息に変わった。
脱がせてベッドに放り込み、食べたものを片付けた。
今度からあまり飲ませないようにしないとなぁ。
自分も着替えて先生の横にもぐりこむ。
先生のいい匂い。
抱き込んでおやすみなさい。