翌朝、先生の寝顔を見つつぼんやりしてたら八重子先生が部屋に来た。
「ご飯できてるよ。いつまで寝てんだい」
「ありゃ? 寝過ごしました?」
「もう7時半すんでるよ、早く起きなさい」
凄く寝過ごしてた。
先生を揺り起こして着替えさせる。
食卓につくと律君が食べ終わってて笑ってた。
「二人ともって珍しいね」
「旅行いって調子狂っちゃったみたいでね」
「山沢さんなんて夕べ早いうちから寝てたのに…おかしいわねぇ」
「ま、たまのことだからね。早く食べなさい」
「はーい」
「そうね、いただきます」
遅めの朝御飯をいただいたら後は衣替えのお手伝い。
昼前には汗だくになって何とか終了した。
「ね、山沢さんはしたの?衣替え」
「しませんよ、いつも適当に着てますし」
「…火曜日お稽古終ったらあなたの家行くわね」
「ダメですって、おうちのこと大事にしてくださいよ」
「でも…」
「毎年適当に暑ければTシャツ着るとかしてますから気にしないでください」
お昼はなんだろう。
「今日は早いけど素麺にしたよ。暑いしね」
あ、うれしい。
見るからに涼しくて、食べるとすっきりした。
だけど時間が進むに従い気温急上昇である。
「八重子先生、水気とってます?」
「とってるけど追いつかないねぇ、暑いね」
「ほんと暑いわね、雨でも降らないかしらね」
室温も29度になってしまった。
「行水したい…」
「あ、いいわね、たらいあるわよ」
庭にたらいを出して水を張る。
すぐにぬるま湯になった。
縁側で脱いでたらいにはいる。
「うー丁度良いや」
ぱしゃぱしゃと先生が顔に水を掛けてくる。
「先生も入る?」
「いやよ」
ほぼ、と笑って湯にならない程度に水を足してくれた。
さっぱりしたので手拭を貰って拭いて出る。
「うわっ!」
「あら、律。あんた出かけたんじゃなかったの?」
「何してんの!?」
「行水よ、あんたも小さい頃したでしょ」
「覚えてないよ、そんなの…」
あはは、と笑いながら浴衣に着替えてたらいの水を日陰の植木に撒く。
さっとたらいを濯いで立てかけて終わり。
「やぁさっぱりしました。でも帰りの電車が思いやられますが」
くすくす、と先生も笑ってる。
やっぱり可愛いな。
部屋に戻ると八重子先生も流石に麦茶を飲んでいた。
それでも都心よりは涼しいので夕暮れまで先生のお宅でごろごろして帰宅した。
むっとする室温にクーラーをつけてしばし。
26度まで下げて止め、寝た。