さて夜も明けてお仕事。
やっぱり火曜日はダメだね、暇で。
あくびも一つ。
おかずに良いものはないかな。
社長と雑談してると在庫整理で味噌漬けが余ってきてるのが判明した。
今晩は味噌漬けだな。
先生にメールを打ったら来るときに洗濯の洗剤を買ってくるように頼まれた。
あー。重いもんな。
律君が帰ってくるまでに第二段を干して畳む必要があるらしい。
仕事を終え、帰り道に買い込んだ。
風呂に入って着替えて車に乗り込む。
流石にこの格好で洗剤を手荷物に電車はちょっとね。
電車を乗り継ぐのと変わらない時間、車を走らせて先生のお宅へ着いた。
裏から上がって先生に声を掛ける。
すぐに先生が来て洗濯機を回し始めた。
「あとはお母さんが干してくれるわ」
「先生はお稽古優先なんですね」
「二人でいるときはそうね」
ぱたぱたと先生が食事をとりに行ってる間に冷凍庫に味噌漬けを収納する。
そのまま水屋の支度。
生徒さんと先生がそろえばすぐにでも出来るように。
順々に生徒さんが来て穏やかに、やわらかい雰囲気で進む。
いつものように生徒さん達が帰られた後は厳しく俺へのお稽古…のはずだが。
今日はいつもの種目以外をとのことであまり怒られず緩やかに終った。
水屋を片付ける前に洗濯物を取り入れる。
先生と二人で日が落ちる前に。
下着は先生が畳む。
俺のは勝手に洗ったり干したりするのに自分のはいやなのだそうだ。
畳んだ洗濯物を先生が各々の部屋に分配する。
孝弘さんの分は先生が箪笥にしまっているそうだ。
ま、できなさそうではある。
律君の分は昔は仕舞ってあげてたが今は自分でさせている模様。
俺の冬物の服も有った。
「あ、それ持って帰ってね」
「はい。こっちの箪笥もしたんですか」
「そうよ、だから今度夏物持ってらっしゃい」
「りょーかいです」
それから水屋を片付けて、八重子先生の作るご飯をいただく。
今回持ってきた味噌漬けはすべて俺が食えるもの。
だから八重子先生もつくるのは菜物のおかずだけだ。
ホタテの味噌漬けがうまい。
「八重子先生、これよく崩さず焼けますね」
キスの味噌漬けだ。
ストーブで焼いてばらばらにしたことがある。
良い感じで味噌漬けがはけて行く。
そればかり食ってたら菜っ葉のおかずをお皿にとって先生が渡してきた。
「ちゃんと野菜も食べなさい」
「お母さん、山沢さんを子供扱いしてない?」
律君が笑ってる。
「言わないと食べないのよね」
はい、おかわり、と先生が孝弘さんのご飯を渡している。
俺は取ってもらったおかずを食べつくしてまた味噌漬けへ手を伸ばす。
別のおかずを先生に渡された。
「これも食べなきゃダメよ」
「はい」
もくもくと食べて最後に味噌漬けを取る。
ごちそうさまでした。
食器を洗って片付けて居間に戻る。
律君はレポート書きに部屋へ、孝弘さんはもう寝に戻ったとか。
まったりと先生方と団欒。
「ああ、あんたら最近暑いしこれくらいの時間からあっち行ってさ、
夜お風呂入って寝たらどうだい?」
「朝から汗臭くなっちゃいますかね?」
「多分ね」
先生が赤面してる。
「今から行ってきたら?」
「そんなの…」
「先生可愛いー、照れちゃって」
ごちん、と拳が落ちてきた。
「からかわないでよ、もうっ」
あはは、と笑って立つ。
「じゃそうさせていただきます」
ひょいっと先生を起こして抱えあげた。
「ちょ、ちょっと」
「はいはい、行ってらっしゃい」
そのまま玄関を出てあちらの家に入る。
下ろすなり叩かれたけどクーラーをつけてベッドの布団を剥がした。
「さぁさぁ脱いで脱いで♪ ああ、いや、待った、そのままで抱き締めたいな」
先生は俺に翻弄される。
先生が恥ずかしいって言うようなことを沢山させて、気持ち良いって言うことも沢山。
だけど時間が時間だから、早めに切り上げて戻る。
先生の体力を奪ったのもそうだけど先生は草履履かせずにこっちへ来てしまったから、
やっぱり抱き上げて夜道を歩くことになった。
恥ずかしがってるのが良いなあ。
「もうちょっと散歩しましょうか」
「だ、だめよこんなとこ見られたら」
「出先で草履の鼻緒がって言えば良い」
「ダメ、やめなさい」
「はいはい、しょうがないな」
連れ帰ってお風呂へ。
二人で入って、先生を隅から隅まで洗ってあげた。
お湯に浸かってそろそろ出ようかと思えば先生は転寝してる。
気持ち良いもんな。
起こしてお湯から出して拭いてあげて。
俺もざっと水気を落として先生に寝巻きを着せる。
立ってるのがやっと、と言う風情だ。
抱き上げて寝間へ連れて行く。
座らせて布団を敷いたらすぐにもぐってしまった。
俺は寝巻きを着て一度居間へ戻る。
八重子先生と火の元の始末や戸締りの確認をして先生の元へ。
おやすみなさい。