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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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朝、起きた直後に先生から詫びのメールが来た。
今寝れないそうだ。
あんな時間から寝るからだね。
子守唄でも歌おうか?と返事を書く。
そんなのより抱いて欲しい、とメールが返って来た。
慌ててそのメールを削除するよう返した。
だけどえっちな意味じゃなくて抱っこしてて欲しい程度だったようだ。
驚いたじゃないか。
雨の夜の一人寝は少し、さびしかったらしい。
今日昼から行く旨を伝える。
嬉しい、とメールが返って来た。
慌しく出勤。
仕事中ふと考える。
この関係はちょっと先生にとってよろしくないんじゃないか。
八重子先生と二人になった時に少しお話したほうが良いかもしれない。
いや、頼られるのも甘えられるのも嬉しいが。
母として、妻として、教室の先生として。
俺に入れ込みすぎておざなりになるようなら離れなくてはならない。
先生に言うとこじれるんだろうけれど。
飽きたの?とか言われるのは勘弁して欲しい。
なんてよそ事を考えてたら商品出し忘れた。
うん、俺もいかん。
仕事に集中し直し、こなして行く。
雨か…。
気は晴れぬまま仕事が終わり、食事を取り風呂に入る。
着替えて先生のお宅へ車で移動した。
「こんにちは」
と入ればお花のお稽古日らしく女性陣の声がさざめく。
部屋には近寄らないようにして自室へ向かった。
鞄を置いて寝転がる。
雨音、遠くの女性の声。
ミシと廊下が軋む。
「あら、きてたの」
「ええ」
「もうちょっと待っててくれるかしら。生徒さんたちまだいらっしゃるから」
「寝そうです」
「寝てていいわよ」
身を翻して部屋から去っていった。
少し寝よう。
うつらうつらする。
重みを感じて目が覚めた。
「ん、いま何時ですか?」
「さっきから30分ほどしか経ってないわ」
「皆さん帰られた?」
「そう。お昼食べてきたの?」
「食べました。先生はまだですか?」
「もういただいたわ」
「なるほど、重い」
「それくらいで重くならないわよ」
ちょっとふくれっつらをして拗ねてる。可愛いな。
「明日、泊まってくれるのよね?」
「もちろん」
「今日は…」
「無理ですよ。でも夜までは居られますから」
暫くべったりとくっついていたが、そろそろお昼の生徒さんが来るからと起きた。
「寝るならお布団着て寝なさいよ」
「はい、頑張ってらっしゃい」
ちゅっと軽いキスをして部屋から送り出す。
教室は確か3時間ほどか。
布団を敷いてタオルケットをかけて少し寝ることにした。
今からちゃんと寝て、夜、先生が寝る頃にここを出れば丁度良い時間になる。
涼しいこともありよく眠れた。
先生がご飯と呼びに来て目がさめた。
そのまま引き寄せる。
「ダメよ、お夕飯食べましょ」
暫くぐずぐずしていたらデコピンを鼻の頭に受けてしまった。
うーむ、痛い。
食卓に着くと八重子先生からおはようと言われた。
「お邪魔してました」
「今日も泊まっていくのかい?」
八重子先生、それは無理です。
「いや、明日まだ仕事ですから。夜には帰ります」
「ご飯食べたら帰っちゃう?」
「1時までなら居れますよ」
「寝なくて良いの?」
「さっき寝ましたし大丈夫です」
先生の矢継ぎ早の質問に八重子先生が笑う。
「そういえばお稽古じゃないのに何で来たの?」
「やだなぁ、今朝来て欲しいってメールくれたじゃないですか」
「あら? そうだった?」
「寝ぼけましたか。先生にとっては夜中ですから仕方ないですが」
気になるものの食事をしながら携帯を触るのはお行儀か悪いと思ったらしい。
食後すぐ携帯を見だした。
「あら~」
「どれどれ?」
八重子先生が覗き込んでる。
「山沢さん、あんた甘いねえ」
「八重子先生も甘いでしょう? お稽古日なのにうちにやったり。良くないですよ」
「あら、迷惑?」
「じゃなくて家のこととお教室と。
 どっちもおろそかにしちゃいけないんじゃないですか」
先生がしょんぼりした。
「いいんだよ、私がいるうちは娘気分でも。
 ずっとあんたお教室や孝弘さんのことで遊びにも行かせてないしね」
「八重子先生がそう仰るなら」
「それにあんた来てくれると家の事が捗るからねえ、丁度良いよ」
「ああ、先生がしない分は私でまかなえてます?」
うん、と八重子先生がうなづく。
「ということで洗い物頼むよ」
「はい」
食器を引いて台所へ。
先生の前で言うつもりじゃなかったんだが。
苦笑しつつも片付ける。
洗い終わって居間へ戻り先生の横に座る。
と、もたれられた。
俺は嬉しいんだけど良いのかなぁ。
まぁ八重子先生気にしてないし良いか。
ただなんだ、触りたくなるのだが。
そこはちょっと我慢して一緒にテレビを見た。
番組が終って先生がトイレに立つ。
八重子先生が半襟持って来た。
「あんたもつけたら?」
そうか、絽の半襟にしなきゃいけない時期か。
八重子先生と付けていると先生も混ざりだした。
俺が一つつけてる間に二つ。
二つ目を終える頃には足袋の繕いと律君のシャツの綻びをつくろっている。
「手、早いですね」
「あなたが遅いのよ」
八重子先生はとっとと付け終わって部屋に戻ってしまった。
やれやれ、と針と糸を仕舞って先生の肩を揉む。
気持ち良さそうだ。
そのまま胸も揉んだら小突かれた。
「だめよ」
ふっと笑って足を揉む。
足袋を脱がせて指を。
揉み終えて履かせ、ふくらはぎ、膝裏、太腿。
ガタッと音がした。
「律君、どうした?」
「…えぇと、マッサージ、ですか?」
「そうだよ」
違うものに見えてしまったかな。
「あ、あんたのシャツつくろってあるから部屋持って行きなさい」
「うん。あ、お風呂あいたけど」
「おばあちゃんは?」
「今日は良いって」
「じゃ山沢さん、一緒にはいる?」
「ん、そうですね、浸からせて頂きましょう」
「ちゃんと寝巻き持ってきなさいよ」
「はーい」
寝巻きを持ち込んで、風呂に先生とはいる。
うー、ぬくい。
気持ち良いなあ。
横で先生が頭を洗ってる。
濯ぎ終えたので背中を流してあげた。
「うーん、やっぱり先生の肌綺麗だなあ」
「そりゃあ気をつけてるもの」
ここに…傷をつけるのは背徳感と色気を感じるんだろう。
あまりに綺麗で勿体無くてできないが。
他の人にされるくらいなら俺がしたいな。
触っていたら先生はどきどきしてきたようだ。
「あの、だめよ…こんなところで」
「あっ、あぁはいはいはい、そうですね」
湯船に再度浸かって、それから出る。
うん、気持ち良い。
このまま先生と布団にもぐりたい気分だ。
先生の寝間に布団を敷く。
今日は泊まらないから。
先生と布団の横でおしゃべりしてると先生が眠そうにしている。
抱っこして背中をなでて寝かしつけた。
さて、帰るか。
物音を立てないようにして部屋を出て、玄関の鍵を閉めて車に乗って帰宅した。

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