忍者ブログ
百鬼夜行抄 二次創作

let

伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

372

翌朝、先生はよく寝てて起こすのに忍びない。
一人で台所へ行き、朝飯の段取り。
八重子先生が起きてきて味噌汁を作る。
あ、みょうがだ。
自分の分は麩を入れよう。
などと用意をして三人を起こす。
律君と孝弘さんは寝ぼけた顔でそのまま出てきた。
先生はそれなりに身づくろいしてくるから少し遅れて。
先生にお櫃を任せて朝飯を食べる。
んー。
炊き立てのご飯とお味噌汁、うまい。
一日の始まりに美味しいものを食べる幸せ。
食後、片付けを終えて居間に戻ると先生が綺麗な着物に着替えていた。
「あれ?」
「あ、さっきね、古いお友達から電話があって急にお芝居行くことになったの」
ごめんなさい、と拝んで外出の身支度をしている。
「いいですよ楽しんできてください」
こういうのは拗ねたりせず笑顔で送り出してあげねば。
外出の用意を整え終えて化粧もきっちりした先生を見る。
「綺麗だなぁ」
「あら。ありがと。じゃ行ってくるわね」
「行ってらっしゃい、気をつけて」
行ってしまわれてから思い出す。
「あ、八重子先生。何時くらいに帰ってこられるんでしたっけ」
「さぁ、夕飯は食べてくると思うよ。あんたどうする?」
「うーん、帰っても一人部屋でごろごろするだけですしご迷惑でなければ夕飯一緒に」
「まぁとりあえずお昼だね、何しようねえ」
「律君と孝弘さんお出かけでしょう。丼物とかにしますか?」
「あぁいいねぇ、あんた作ってくれる?」
「親子か他人かカツか何にしましょうか。衣笠丼も好きですが」
「衣笠丼?」
「えぇと、油揚げと葱の丼です」
「あぶ玉丼かねぇ、こっちだと。それでいいよ」
あぶらげと玉子であぶ玉丼、なるほど。
と言うことでお昼は冷蔵庫の油揚げとネギで手早く作ってお昼ご飯とした。
後の時間は八重子先生の茶室掃除と整理のお手伝い。
ゆったりとした日曜日。
お夕飯のお買物を頼まれて家を出る。
昼からまた降り出した雨はまだ止まない。
先生が帰ってきたらきっと染み抜きに着物を出すんだろう。
跳ねを上げたりはしないだろうが風が吹くと雨染みがつくからなあ。
あ、でも雨ごーと持って出てたな、急に降られないなら大丈夫か。
そんな私はジーパン履いている。
普段着一式、何セットかは置いてるからね。
ただこの間先生がうっかり糊を効かせてしまったのでパリパリだ。
ジーパンが折り目正しいのは何か面白い。
メモに書いてあるものを買って戻る。
八重子先生の指示通りに下拵えをして、付きっ切りで味付けを教えてくださる。
何とか八重子先生に合格をもらえた。
律君が帰ってきて、知らぬ間に孝弘さんも帰ってたようで食卓で待っていた。
配膳して八重子先生がお櫃からご飯をよそう。
この家はいつも炊き立てご飯。
うちだと一度炊くと二日くらい食べてるからなあ。
米の良いものを買っても…ね。
食べ終わる頃、先生が帰ってきた。
「ただいまぁ、あぁ疲れた」
暑い~といいながら隣の部屋に入って脱ぎ始めた。
さっさと浴衣に着替えて着物を衣桁にかけて食卓へつく。
「あらおいしそう。ちょっと頂戴」
俺のお箸を取って食べている。
「あんたご飯食べてきたんじゃないの」
「軽くしか食べてないのよ。時間が半端だったから」
ご飯は孝弘さんが食べつくしてしまった後なのでおかずだけ。
しっかり食べて満腹、と嬉しそうだ。
引き上げて洗い物。
居間では八重子先生と先生、律君で話している。
中々に楽しかったらしい。
俺もまた芝居に誘いたいものだ。
きっちり片付け終わって先生に辞去の挨拶。
そろそろ帰らないといけない。
また明後日ね~と見送られて帰宅した。
すぐに布団に潜っておやすみなさい。

拍手[0回]

PR