入ってすぐに抱き寄せて暫くキス。
唇を離す。
気持ち良さそうな顔つきで色っぽくなった。
寝る用意をさせて布団を敷き、俺も脱いで布団の中へ入るよう促す。
恥ずかしげに入ってくるのはやっぱり可愛くて年上とも感じさせない。
もう一度キス。
それから首筋や鎖骨に手を這わせ、掠めるように乳首に触れる。
「ん…」
きゅっと俺を掴む。
優しく乳首を弄ったり、舐めても見たり。
吐息が熱い。
お腹や腰、太腿をなでる。
「ねぇ…久さん、キスして…」
求めてくるのは珍しい。
というかキス好きだよなー。
納得するまでキスしつつ、胸も愛撫する。
太腿をすりあわすようにしている感触。
そろそろ触るか。
そっと突起へ指を伸ばす。
触れると舌に歯を当てられた。
危険だ。
唇を離して腕を噛ませる。
その後はいつものように声を上げない程度に。
もっと手荒くしたいけど仕方ない。
伏せさせる。
「ひっ…だめ、そこっ」
小声でいやいやを言うが、尾骨をなでつつ尻穴を舐めた。
先生は俺の手拭を噛んで声をこらえている。
じたばたして足が当たる。
いてて。
あきらめてひっくり返して抱きこんだ。
キスしようかと思ったら手で顔を押された。
「ん?」
「口、すすいできてちょうだいよ」
あー、ケツ舐めた口でキスするなと。
はいはい。
笑って起きて、先生にちゃんと布団をかぶせ洗面所へ。
可愛いねー。うん。
濯いで戻ると先生はうとうとしてた。
もぐりこんで背中を撫でる。
気持ち良い肌だなぁ。
すぐに寝息に代わって俺も寝る。
そして朝、やっぱり先生が少し遅れて起きる。
寝起きのキスをして台所へ。
朝ご飯をして食べて、律君を送り出す。
「展覧会、あんたら行かないかい?」
「いいですねぇ」
「良いわね、行きましょ」
着替えて出ようとしたものの、そういえば長靴で来たんだった。
「先生、何か草履か雪駄かないですか」
「お母さーん、お父さんの草履、どこかに仕舞ってなかったかしら」
「はいはい、ちょっと待ってて頂戴。ええと」
暫く探してくれたけど、礼装用しかないようだ。
「あ、下駄あるわよ、ほら」
おっとこりゃ丁度良い。
途中でどこかによってあれば草履、なければ雪駄を買おう、と言う話になった。
懐に足袋を忍ばせて雨ゴートに身を包み、展覧会へ。
雪駄はその辺の靴屋にもあるのでまだ助かる。
竹皮表の雪駄を購入し移動する。
会場に着いて履き替えた。タイヤ底なので滑らない。
ここの会は売らない会で沢山良いものを見て目を養ってもらったり、
考える暇を与えてずっと着てもらうと言うコンセプトだ。
そのときの勢いで買って死蔵されるのは嫌ということらしい。
色々見て先生は欲しいものが決まったようだ。
とりおきはしてもらえるのでお願いする。
俺は浴衣を一枚とお茶席用の帯を先生に見繕って貰った。
さてそろそろ帰りましょう。
入り口で下駄に履き替えて先生と歩く。
「雨強いわねぇ」
「そうですね、シルックにして正解だったな」
人通りも少なく雨の音が凄い。
「ねぇ、久さん。昨日みたいなことやめて頂戴」
「昨日?」
「あの、…舐めるの」
「どこをかな」
「わかってるくせに言わせるの? 酷いわね」
「恥ずかしがってるの、可愛くて好きですよ」
「ばか、もうっ」
少しむくれて、それがまた可愛くて笑ってしまう。
手の甲をつねられた。
「あ、ちょっとこっち向いて」
頬にまつげか眉毛か知らんがついている。
そっと取って捨てた。
「お夕飯何にしようかしら」
「二人でどこか行きませんか」
「あら駄目よ」
「駄目ですか?」
「うちにいるのに食べになんて」
「でも俺、この辺の美味しいところ知らないからあなたと食べに行きたいな」
「ん、また今度ね」
「わかりました。じゃ、今日は何にしますか」
「しょうが焼きとかどう? あなた好き?」
「んん、すり下ろしならば」
「じゃそうしましょ」
携帯で家に電話して八重子先生と献立の話をして、そのままお買物へ。
あれやこれやと買い帰宅した。
雨ゴートを片付けて台所へ下拵えに立つ。
先生は八重子先生に報告してるようだ。
ご飯も炊いて、あとは焼くだけ、煮るだけにして戻った。
「あ、山沢さん、あんた昨日の服。隣の部屋にかかってるから。
畳むなり着て帰るなりしなさい」
「あれ? 洗ってくださったんですか、すいません。有難うございます」
「けど畳みにくい服だねぇあれ」
「そうなのよね。いつも畳んでないわよ」
「そうなの?」
「3D縫製は着心地は良いんですが畳めないですよね」
なんだかんだと暫くおしゃべりを楽しんでから先生がそろそろ作りましょと言った。
台所へ行ってお手伝い。
作って配膳して皆を呼んで食べる。
団欒だなぁ。幸せ。
でも帰らなくちゃいけない不幸せ。
車に雪駄を履いて服と長靴を積んで帰る。
ちょっとさびしく思いつつ帰宅。
着替えて布団にもぐりこんで、お休みのメールをする。
すぐに返信があった。
気持ちが温かくなりすぐ眠りに落ちた。