布団を敷いて先生を待つ。
暫くして入ってきた。
懐に抱くと先生はほうっと息をついた。
「ん?」
「あったかくて」
「梅雨寒、といいますからね」
「うん」
「温かいのと暑くなるのとどっちが良い?」
「…嫌じゃないなら温かいのが良いわ」
くすっと笑っておなかを撫でる。
「暑い方が良いって言わせたくなるな」
顔を赤らめていやいやをするのが可愛らしくて良い。
こういうとこ年上とは思えない。
「良いよ、寝て」
したいけど。ま、良いか。
おなかをなでたり腕をなでているうちに寝息に変わった。
俺も寝よう、おやすみなさい。
朝。
昨日しなかったから先生は早起きだ。
着替えた先生に起こされて台所へ行く。
朝ご飯を作り、食べてから家事だ。
掃除をしたり草引きをしたり、その合間にお昼を頂いたり。
夕方になって来客が有り先生はそちらに手を取られてしまい俺は一人、買物へ。
あなたの食べたいものを、と言われていたのですき煮の材料を買って帰った。
台所で八重子先生に見せると苦笑され、下拵えをしてお客さんの帰るのを待つ事にした。
部屋で繕い物を片付けているが一向に気配がない。
腹減ったなぁ。
と思っていたら孝弘さんがメシまだか、と言ってくれた。
重い腰を上げてお客さんが帰ってくれていそいそとご飯を作る。
「ごめんなさいね、遅くなっちゃって」
先生が孝弘さんに沢山ご飯をよそってて何かほほえましい。
「ただいまぁ、あーおなかすいた」
律君も帰ってきた。
「手、洗ってらっしゃい」
「はーい」
うまいうまいと飯を食って片付けをすればもはや帰る時間だ。
また明日、と別れた。
帰宅してすぐに寝て、翌朝仕事へ。
今日も暇だ。
先生に何か持って行こうか。
物色する。
俺も食えるものが良いな。
金目とかどうだろう。
よし、金目とホタテとでいいか。
仕事が終わる頃、イセエビがずっと売れなくてそろそろと言うのを連れて帰ることにした。
支払ってブクブクをつけて車に載せ、シャワーを浴びてから先生のお宅へ移動した。
到着してお勝手から入り、台所に置いて八重子先生に申告。
お夕飯が楽しみだ。
先生は喜んでくれるだろうか。
お稽古を済ませ、食卓に着いた。
「あら、おばあちゃん今日はどうしたの? こんなに」
「なんか凄いね」
「山沢さんが色々持ってきてくれたんだよ」
「そうなの、ありがと」
「私も食べたかったのでもってきちゃいました」
「でもちゃんと山沢さんの分、お肉焼いてあるんだね」
魚を少し食べてから、お肉を頂く。
サイコロステーキうまいなー。
「山沢さん? ちゃんとお野菜食べなさい」
「あ、はい」
「取らないから」
「あはは…食べます」
煮浸しを取って食べ、胡麻和えを食べる。
先生は孝弘さんの食事の世話をしているときが一番にこやかだ。
おいしいご飯に穏やかな団欒。
いいなぁ。
だけど食事を取ったら帰らなきゃいけない。
次は明後日だ。
ちゃんと来ると約束して帰宅した。
途中検問に引っかかりアルコールの検査をされてしまったが、幸い飲んでない。
何事もなく帰宅してベッドにダイブした。