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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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いつものように寝ている先生を置いて出勤した。
なんだか忙しい。
途中で気づく、そうか、三連休か。
お稽古、ないんだった。
道理でうちに来ちゃったわけだ。
忙しくて仕事が終わらない。
先生から電話が来た。
まだ帰れない、少し遅くなると伝えて仕事に励む。
やっと終ったころには昼前で。
急いで帰宅。
「ただいま」
「あ、お帰りなさい、遅かったわね。先に食べる?」
「もうちょっと待てますか? シャワー浴びたいです」
「はいはい、入ってらっしゃい」
ざっと浴びて出るとちゃんと着替えが用意してあった。
羽織って食卓につくと熱々のお味噌汁やおかずが用意されていた。
部屋も掃除されていて洗濯物も干されてる。
良い奥さんだよなぁ、先生。
「ありがとう」
炊き立てご飯をよそってもらってお昼ご飯をいただく。
先生が座って、いただきます。
うーん、うまいなぁ、メシ。
「今日はどうしたの? いつもより遅かったけど」
「すいません、三連休と言うことで忙しくて。久々に忙しいから焦りました」
「忘れてたの? じゃ今日お稽古だと思ってた?」
「勿論。帰ったら先生はとっくに居ないって気でいました」
「だから昨日帰らそうとしてたのねえ」
「だって朝からお稽古のつもりでしたし」
「でもご飯食べたら帰るわよ?」
「えー」
「灰、しなきゃいけないもの」
「あー…そういえば土用ですか、もうすぐ」
「そうよ」
「手伝いますから一緒にいても良いですか」
「あら。嬉しいわ」
じゃメシ食ったら土弄りできるような服持って先生の家に行こう。
「着替えてから来たら良いじゃないの。時間の無駄だわよ」
それもそうか。
ご馳走様をして洗い物をしたら服に着替えて車に乗り込んだ。
先生を後部座席に乗せひた走る。
「このままどこか遠くに行きたいわね。折角のお休みだもの」
「そうしてもいいんですけどね。俺は」
「でも駄目ね、お母さんだけじゃもう出来ないものね」
先生は溜息一つついて。
「まぁ俺はね、あなたがそう思ってくれたんで良しとしますよ」
「ごめんなさいね」
「早く終わるようならどこか行きましょう」
「そうね」
途中で検問。呼気。
こんな時間から? と言うと三連休だから昼酒飲んで走るのがいるらしい。
あと脱法ハーブ。
「そんなことして何が良いのかしらね」
発進してから先生がぽつりと言う。
「どうせエロにでも使うんでしょう。昔からsexと麻薬は切っても切れませんからね」
「そうなの?」
「シャブをコンドームの上から塗ってね、ぶち込むんですよ。
 するとそれなしでのsexじゃ逝けなくなるって話がありましてね」
「えっ…」
「あなたにゃしませんよ」
「…ちょっと待って、持ってたりするの?」
「今持ってませんが簡単に手に入ります。あえて脱法ハーブ選ぶメリットがない」
「そんなに?」
「ああ、単純所持で捕まらないメリットはありますが…。
 脱法ハーブで死んだり後遺症残るくらいなら古い麻薬のほうが安全性は格段…」
「え、そうなの? そんなに違うの?」
「あのですねぇ、昔からある奴はいわばたくさんの人体実験の上で、
 何がどう残るかわかってる薬物です。どれを選ぶかは本人次第。
 脱法ハーブはどうなるかわからないんです。
 吸った時問題なくても翌年に脳みそが溶けるかもしれない」
「溶けるの!?」
「シンナーは溶けると有名です。そういう人学校にいませんでした?」
「居たかもしれないけど知らないわ」
「でしょうね、あなたにそういう友達は似合わない」
「あんたにはいたの?」
「いますよ。第一。市場自体そういうやつらの受け皿ですよ、若い子のね」
ふと笑ってしまった。
「なぁに?」
「いや、俺の場合周囲がこうだからかさっさと風俗遊びもしてましたけど…。
 あなたがね、Mだなんて思ったとしてもそういうお店いけなくて苦しいだろうなって」
「うーん、そうねぇわたしがMって若い頃に思ったら、と言うことよね?」
「ええ」
「多分…ううん、絶対いけないわよ」
「もしか若い頃にあなたと出会ってたらどうなってたでしょうね。もっと酷くしてたかも」
「怖いこといわないで頂戴よ」
「今はもう手加減できるようになりましたからねえ」
「してくれてても怖いのに」
そうこうしてるうちに到着。
「ただいまぁ」
「ん、早かったねえ、おかえり。なんだあんた連れてきたの。いらっしゃい」
「お邪魔します」
「うん、灰、この子にも手伝ってもらおうと思って」
「そりゃいいね。着替えといで」
先生が着替えられる間にお茶を頂いた。
八重子先生もしっかり日に焼けない工夫をされて庭へ。
まずは灰を篩う。
「今日はもうこの時間だからね、篩うだけ篩うよ」
三人で庭で篩う。日陰に椅子を置いて。
家ん中でしない理由わかった、灰だらけになる。
すべて終ったころには日が暮れかけていた。
「あんた顔洗っといで」
手拭で顔を覆ってたのは日に焼けない工夫じゃなく灰をかぶらない工夫だったそうだ。
そのまま庭の水栓で洗う。ぬるぬるする。アルカリか。
「山沢さん、服洗うから上がって脱いで頂戴」
「ここで脱いではたいてからのほうが良くないですか」
「だめよ、人が来たらどうするの」
しょうがないのであちこちはたいてから上がって、脱いだ。
洗面所に行って洗顔料を使って顔を洗いなおすとやっとぬるつきが取れた。
「ごはんどうする?」
「今から作るのも面倒だね、なんかとろうか」
「そうねぇ」
「この間ほら、広告入ってたろ、パエリア」
「それがいいの?」
「肉の入ってる奴も有ったから良いんじゃないかねぇ山沢さんも」
「山沢さーん、パエリアで良い?」
居間からの声に答える。
「良いですよー、何でも」
先生があれやこれや決めて電話した。
「30分くらいですって」
「ああ、じゃ私先にシャワー浴びてくるよ」
「はーい」
八重子先生が風呂から上がって一服してると届いた。
サラダといくつかのサイドメニュー。
おいしく頂いて満腹で先生は少し眠そうだ。
「あぁ、ほら、お風呂入ってきて。じゃないと汗で痒くなるでしょう?」
「ん、そうね。入らないと」
あふ、とあくびをして風呂に行かれた。
「風呂場でそのまま寝そうだねぇ。あんた一緒に入っといで」
八重子先生に言われて風呂場へ行くと先生の着替えも出てない。
部屋に一度行き布団を敷き、先生の分も着替えを持って風呂に行く。
先生は風呂の中でぼんやりしてて俺が後ろに座るともたれてきた。
「もう洗ったんですか?」
「まだよー」
「じゃ洗ってあげますね」
体を泡で洗って髪も丁寧に洗う。
気持ち良さそうで、もう寝そうだ。
「もうちょっとだけ起きててくださいよ」
「んー」
全部洗って拭いて。
髪をタオルで包んで布団に転がす。
バスタオルを枕にして。
戻って俺も頭と体を洗った。
居間へ寄って戸締りをしてくると声を掛け、玄関を確かめてお勝手にまわる。
八重子先生が火の元の確認をしている。
「絹は?」
「寝ちゃってると思いますよ。ドライヤーしてないんでしてあげないと」
「甘やかしてるねえ」
「ですねえ」
頭をなでられた。
「あんたもちゃんとあの子に甘えてる?」
「ええ、十分に」
「ならいいけどね」
鍵を確かめて居間に戻る。
「じゃもう寝るよ。明日は早いからね」
「はい、おやすみなさい」
「おやすみ」
ドライヤー片手に部屋に戻ると先生はすっかり寝ている。
優しく髪を乾かしてから俺も横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。

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