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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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朝になって結局先生は俺の腕から逃げれなかったらしく肌襦袢のままだ。
「おはよう。そろそろ起きなさい」
「んー…もうちょっと」
べたべたくっついていたのだがトイレに行きたいらしく。
いい加減に離せ、と言うことだった。
諦めて離すと落ちてた寝巻きを拾って着て行った。
夜中、俺が脱ぎ捨てたようだ。
待ってても戻ってこないのでおかしいと思っていると風呂桶の音がする。
なるほど昨日入り損ねたから入っちゃったか。
幸いこの家は自動だからつまりなんだ、昨日から沸きっ放しと言うわけで。
ガス代が勿体無いと後で先生に叱られるんだろうな、これは。
暫くすると先生が風呂から上がってきた。
うーん、色っぽい。
婀娜な年増ってわけじゃないが。
手招いて膝の間に座らせて抱き締めた。
耳を齧る。
「したくなっちゃったな」
「だめよ。もう朝御飯の時間だもの」
「後で二人で食べに行きましょう」
「まだ腰良くないのにダメ」
ぺちん、と額を叩かれて諦めた。
「早く治さないと抱けもしない。それともまた乗ってもらおうかな」
「バカなこと言うんじゃありません。早く治しなさい」
ぽんぽん、と腕を叩かれて開放すると髪を乾かしに洗面所へ先生は行ってしまった。
うーむ、ぬくもりが冷めて寂しい。
仕方ないから着替えるか。
床に落ちている肌襦袢など拾い集めて着て、長襦袢と長着を着ればそれなりに暖かく。
あ、ドライヤーの音が止んだ。
「あら、もう着替えたの? ちょっと待っててね」
手早く着替えてそれから洗濯物を引き上げて家に戻る。
「ただいまぁ」
「戻りました」
先生は先に洗濯機を回そうと思っているようだ。
俺は一旦台所に顔を出して八重子先生に朝の挨拶。
もうすぐ出来るとのことでお膳の支度をする。
「よく眠れた?」
「あ、はい。もうちょっとと思ったんですが起こされました」
「だってねぇ、寝かしつけるつもりだったのに離さないのよ、この子」
先生が戻ってきてた。
「おかげでさっきお風呂入ったのよね」
「がっちり抱え込んでたみたいです」
「あらら。眠かったんだねぇ」
「もう運んで良いですか」
「そうだね、それより律たち呼んできてくれるかい?」
「はーい」
先生と何か話すことがあるのかもしれない。
呼びに行って戻ると既に食卓には朝食が並んでいて、和やかに朝ご飯をいただいた。
食後、寝てなさい、と促されたが多少は体を動かさないと鈍る。
そう言えば、じゃお散歩しましょとコートと小銭入れを持って連れ出された。
秋の良い天気の中、先生との散歩は気持ちよくて。
「ひんやりしてきたわねぇ」
「秋ですねー。紅葉狩り、もう少ししたらどこか行きましょうか」
「そうねぇ、皆と一緒でも良いかしら」
「そのほうが楽しいですよね」
「ね、あなたお三味線できるんでしょ、なんか弾いて頂戴よ」
「ええっ俺下手ですよ」
「どうせわからないから良いわよ」
「あ、それ酷い」
ほほほ、と笑い飛ばされてお散歩を続ける。
小一時間ほどぶらついて戻った。
そんな調子で日曜はゆったりと過ぎて帰宅して寝た。
月曜、火曜と暇な市場の後、先生のお宅へ。
「あらー。もう大丈夫なの?」
「ええ、ま、なんとか。無理するとダメかもですが」
「じゃ無理のない範囲で」
「はい。用意してきますね」
「用意は良いわよ、してあるから」
「ご飯食べたの?」
「あ、はい」
「じゃお茶飲んでなさいよ」
「すみません」
先生がおいしそうにご飯を食べるのを眺めつつ、お茶をいただく。
ここ数日あったことなんかを聞いたり。
食べ終えたのを見計らい、茶室に先行した。
「こんにちは。あら山沢さん、腰大丈夫なの?」
「はい、こんにちは。もう殆ど良いですね」
「若いわねぇ。私なんかだと一ヶ月は寝込みそうよ」
「そうですかねぇ」
「いらっしゃい、今日は中置きで濃茶しましょうか」
「あ、先生。こんにちは。お願いします」
お稽古が始まり、先生が生徒さんに指導される。
優しく丁寧に。
和やかでゆったりとした空気の中、お稽古が進む。
心地良いからか生徒さんが辞められても新たに紹介で増える。
まぁ居付いてしまった私のようなのも沢山。
夕方が近くなって先生が迷うそぶりを見せた。
「ねぇ、今日、する?」
「えっな、何を?」
「何って…、ちょっと待ちなさい、何を想像したの」
「あ、いやえーと。えーと、長板でどうでしょうっ?」
「まったく。長板はあんたまだ腰がよくないんだから普通のにしなさい」
「はぁ、そうします」
いらぬ汗をかいた。
慌てて支度して、お願いして濃茶で稽古をつけていただく。
真剣に、厳しく指導を受ける。
優しくは、ない。
萎縮はしない程度に稽古をつけてもらい、後片付けを一緒にする。
腰がダメだと釜が辛い。
お茶の先生方はなよやかで弱い気がするが意外とあるのは普段釜の始末をしてるからだな。
そう思いつつ片付けを終えた。
先生から今で寝転ぶよう言われ、ありがたく横になる。
そのまま先生は台所を手伝いに入られた。
ここ、見えないんだよな。
見ていたいのに。
夜、就寝の支度を終え部屋に引っ込んだ後、そう言うと笑われた。
「他の人には見せない姿、久さんには見せてるじゃない」
「でも俺、あなたが主婦してる姿も好きなんだよ」
くすくす笑ってる。
抱き寄せてキスした。
「ダメよ、まだ治ってないんでしょ」
「でも今しないとあなたそろそろ生理だろう?」
「あら? そうね、そろそろだわ」
「だからその前にさせてよ」
「しょうがないわねぇ。腰が楽なようにしなさいよ」
何度もキスをして黙らせる。
先生のスイッチがすっかり入ったようなので布団に連れ込んだ。
白い肌にキスを落としつつゆったりと抱いた。
流石に俺も疲れ、先生の寝息とともに寝てしまった。

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