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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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朝、目が覚めて横を見ると先生は幸せそうな顔して寝ている。
やっぱり疲れたんだろう。
起さないようにそっと身を抜いてトイレに行く。
酒臭いな、俺。
シャワーを浴びることにして脱ぎ捨てて風呂。
頭を洗って露天風呂にはいる。
んー、涼しい中、熱い風呂。いいね。
湯を楽しんでいたら先生も起きてきて風呂に入ってきた。
掛湯をして俺の横に。
「綺麗だなぁ、ね、抱いて良いですか」
「こら、朝から何言ってるの。朝御飯の時間もうすぐよ」
「そりゃ残念」
軽くキスだけして温まったらすぐに出て着替える。
朝ご飯を取ってゆっくりとくつろいで先生は昨日の疲れを回復するかのように寝始めた。
昼前に起して、食事に誘うと食事はいらないから仕事してるのを見たいと仰る。
仕方なく俺の着てきたものを着せ俺は仕事着。
あまり動き回らないよう指示して取引先の社長を訪ねた。
その後案内をつけてもらいセリを見学。
購入し当日便で送ってもらう。
先生のお宅に2匹、会社に8匹。
生きたままだ。
運送賃込み30万で話がついて現金で支払った。
宿の買出し人もそれなりのものを仕入れているようでほっとする。
その後取引先の人に教えてもらった店で遅い昼飯を食い、宿へ。
「…かにってあんなに高いのねぇ」
「いやご祝儀相場ですからね」
「え?」
「ほら、築地でも正月にマグロに凄い値段つけるでしょう」
「あ、じゃこれから値下がりするの?」
「しますします」
なぁんだ、と笑って。
「どうします、この後。観光? それとも抱かれる?」
「バカ、もうすぐそんな事言うんだから。観光ってどこかあるの?」
「ここから1時間ほどで野田川っていいまして。ちりめんの資料館かな。あります」
「あら、いいわねぇ。ちりめん…」
「白生地買って染めに出すのも良いですね」
うっとりしてる。
そんなわせで先生を後ろに乗せて歴史館へ。
見学をして、後は先生に色々買って差し上げた。
お土産を宅急便に頼み、宿へ戻り冷えた体を大浴場で温める。
風呂から出て一服したころ、夕食が運ばれてきた。
「あ、かに」
「はい、今日解禁しましたものですから」
「良いかにだね」
「久さんは見てわかるのねぇ」
「この甲の黒いつぶつぶ。これが多いのはうまい奴なんですよ」
「良くご存知ですねぇ」
そりゃこれで商売してるからな。
「で、何で大きいのは一匹? 久さんもしかしてあなた」
「当たり、好きじゃない」
先生が笑って背中をバシバシ叩いてくる。
なんかツボに入ったらしい。
「痛いですよー。ほら、食べましょ」
席に着いておいしい夕飯。
先生は途中から無言になっている。
カニって食うと静かになるよね。
ふと気づき、立っておしぼりを濡らし緩めに絞る。
「先生、ちょっと」
一旦手を拭いてあげた。
「身、出してあげましょうか?」
「お願いするわ…お料理冷めちゃいそう」
せっせと身を出してあげて、味噌も食べ易いように。
セコも外子と内子を取り出して手が汚れず食べれるようにしてあげた。
足も出してあげると驚いている。
「足は食べれないんだと思ってたわ」
「あー手間なんでやらないだけですよ」
蟹味噌に燗酒を入れて渡す。
「おいしいわねぇ。うふふ」
こっぺといえばおやつだから、というと高いんじゃないの? と聞かれた。
「ヤケって言って見た目が汚いのがあるんですよ。売れないんですよね、これがまた」
中身一緒なんだけどねー。
全部綺麗に出してあげて俺は手を洗って自分の飯を食う。
足を1本2本食ったりはするんだけどね。
すっかり満腹になってお酒を楽しみ、お土産を買って戻ると電話。
八重子先生からだ。
生きた蟹が怖くて触れないらしい。
笑いつつ茹で方を教えて律君にやってもらうように言う。
ハサミはぐるぐる巻きにしてあるから挟まれる心配はないはず。
って電話中なのに先生が俺の乳を触ってくる。
良いけどね。まぁ。
電話を切ってからキス。
「いつもやめなさいって言うくせに…先生がそういうことしちゃ駄目だろう?」
「"いつも"のお返しよ」
なるほど。
うまく言うものだ。
少しひんやりしてきた足を撫で、抱きかかえる。
「もう一度風呂に入りましょうか。それから布団にね」
「そうね」
そういいつつ再度キスをして暫く抱いていた。
とん、と先生が胸を押して立ち上がる。
あ、トイレね。
はいはい、と行かせて風呂に入る。
先生はトイレから出てから掛湯をして入ってきた。
「あぁ温か~い」
「やっぱりもう冬にかかってるんですよねぇ」
「湯冷めしちゃう季節よねえ」
「しないように風呂から上がったら早めに布団に入りましょうね、これから」
「あら、そのまま寝かせてくれるの?」
「んー…。三回に一回くらいなら良いですよ」
「なぁに? どうかしたの?」
心配そうな顔をして覗き込まれた。
「何で?」
「だっていつもはすぐにしたいって言うのに…」
「俺にも一応性欲の波ってものがあるんですよ。流石に常にと言うことはなくてですね」
「じゃあ今は?」
「ここで抱いてしまいたい程度には」
自分で聞いておいて照れんなと言うのに。
まぁ可愛いけど。
体が十分温まったので風呂から上がり、寝る準備を整え先生が布団に入った。
俺は荷造り。ある程度は送ってしまうから。
片付けるものはすべて片付けて布団に入ろうとすると寝息が聞こえている。
待たせた俺が悪いのかもしれないがそれは無いだろ…。
かといって寝入りばなを起こせば不機嫌だし。
腹が立つのとそのまま一緒の布団に入れば襲ってしまいそうなのとで。
苛々ともう一つの布団にもぐりこんだ。
布団が冷たい。
明日は帰る日だから今晩は疲れさせるわけに行かない、などと自分を落ち着かせる。
何とか折り合いがついた頃やっと布団も温まり、なんとか寝た。
朝、起きると布団に先生がいて俺の胸に顔を寄せている。
「…おはよう」
「お早う。昨日はごめんなさい」
わかってるなら…諦めるしかないかな。
起きるにはまだ早いから無言で抱いていると、あれ? なんか震えてる?
「どうした? 寒い?」
「あの、怒ってる…わよね。ごめんなさい、許して…」
「怒ってないよ。気にしないで」
背中をなでて落ち着かせる。これは俺が悪かった。
少しして先生は脱力した。
「もう少し寝る? それとも大浴場行く?」
「ん、折角だから…」
「風呂ね。了解」
起きてざっくり整えて羽織を着て風呂へ。
「目が覚める…うぅー」
おっさんみたいな声が出てしまった。
先生が思わず笑って、慌てて顔を背けた。
相変わらずだなぁ、良いって言ってる時はさっさと元に戻ったほうが良いのに。
変に気を使って俺がイラつくパターンに陥りかけた。
幸い他所の人が入ってきた事で険悪化を免れたが。
体を洗ってやってもう一度浸からせる。
その間に俺も体を洗った。
実のところ先生の洗い方は緩くて洗ってる気がしないんだ。
ざっと濯ぎ俺も浸かる事にした。
先生の横に座る。
水ははじかないが綺麗な肌だよなぁ、この人は。
じっくり見てたら恥ずかしそうだ。
可愛いな。
「先、出るわね」
「いや俺ももう出ますよ」
「そう? もうちょっと入ってたら?」
「暑いから」
風呂から上がって体を拭き、脱衣所で着替える。
部屋に戻ったら朝飯か。
今日は何かなぁ。
先生にじゃれたくなって部屋に帰ってから押し倒した。
「あっ、ちょっと…もうすぐ朝御飯なのよ?」
「Hはしませんよー、時間がない。何もしないから上に乗ってよ」
そういうことならと体を入れ替えてくれた。
んー、温かいなー。
頭をなでてキスをするとほんの少し頬を染めている。
おっと何もしないっていったんだった。
「あれ。先生太りましたね?」
「やっぱりわかっちゃう? 重くてごめんなさい」
「もうちょっとくらいは問題ないですよ。でもあれだ、運動しましょう」
あれ、赤くなった。
話題そらしたつもりがHで運動すると思ったらしい。
いいけどね、そっちでも。
暫く感触を楽しんでそろそろご飯の時間。
離してあげて衣服を整え、朝食を頂く。
うん、うまい。
後は着替えて帰るだけだがその前に荷物を送る手続きと支払いを。
先生を部屋に残しフロントへ。
カニ代が結構つくが想定済みだから現金で支払った。
財布が軽くなったなぁ…。
とは言え想定外の出費は今回は無く、余裕はある。
部屋へ戻ると先生が化粧を直しているようだ。
「久さん、あなたもそろそろ着替えないといけないんじゃない?」
「そうですねぇ」
昨日帰ってから外干ししたから服の匂いは随分薄くなっていた。
先生は気にならないと言うのでそれに着替えて帰ることになっている。
少し不本意だが。
とりあえず着替え、忘れ物が無いか点検した。
先生がトイレを済ませ、俺もトイレに行ってからチェックアウト。
車に乗って宮津へと向かう。
助手席と強く要望されたが却下してやはり後部へ座らせた。
早い時間の出立だがすべては電車の本数が少ない為だ。。
特急が少ないものだから…。
ただこの電車に乗れると昼に京都につける。
ゆっくり京都でランチが楽しめるってわけだ。
少し飛ばして駅に着き、車を返却する。
ホームへ行き乗車した。
またこの車両、と先生が微妙な顔をしているが国鉄車両よりは良いだろうと思う。
京都駅まで揺られて着いて、お昼をどうするかと相談すると駅弁で良いと。
駅弁を買って中央口近くの窓口で指定席を問い合わせる。
のぞみのグリーンが普通に取れてホームへ上がった。
「あら? 高くなかった?」 
「狭いの嫌だったから」
特にうっかり3人席なんか取られちゃったら最悪だし。
お弁当を早速に広げていただく。
「んーおいしいわねー」
すっかり機嫌を直したようだ。
俺も肉々しい弁当に手をつけ始めた。
うまい。
「ほんとお肉すきねえ」
「うまいじゃないですか。で、何で先生はまたそれなんですか」
「だっておいしかったんだもの。失敗したくないじゃない?」
「失敗を恐れず開拓しましょうよ」
「いやよ、勿体無いわよ」
苦笑し車内販売のコーヒーを買った。サンドイッチも。
「やっぱりまだ食べるのねぇ」
「だって少ないじゃないですか」
「何で太らないのかしら、本当に…」
「そういう体なんじゃないでしょうかね」
綺麗に食い尽くしてごみを捨てに立つ。
「あ、久さん。お茶買ってきて。温かいので良いわ」
「はいはい」
ごみを捨てて温かいお茶を2本買う。
戻って手渡せば既に眠そう。
「ちょっと寝て良いかしら」
「どうぞ」
乗り物って意外と疲れるからなぁ。
先生が眠りについた後は暇で。
早く着かないかなぁ…。
途中先生が一度トイレに立ち、入れ替わりで俺も行っておいた。
それからは多少すっきりしたようでお喋りをして東京に到着。
先生はそのまま家へ一旦帰るから、と別れた。
これからまた1時間半だから一旦うちに来いと言ったのだが帰りたくなくなるからと。
残念だ。
俺も帰宅した後は疲れていたようですぐに寝てしまった。

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