翌朝良く寝てる先生を置いて出勤。
初市。
マグロは去年より安価だったらしい。
少し酒を入れて帰ってくるとまだ先生は寝ていた。
俺もまだ眠い。
一緒に寝てしまおう。
乳を揉みつつ密着してうとうとしていると寝返りを打たれてしまった。
むぅ。
仕方ない。諦めて寝るか。
昼過ぎまで寝て先生の身じろぎで目が覚めた。
「おなかすいたのよねぇ……」
「動けそうなら寿司食いにいきますか」
「ん、どうかしら」
もぞもぞとベッドから降りようとして…床に座った。
「だめねぇ。とりあえずお手洗い連れてってくれる?」
「はいよ」
軽々と抱き上げてトイレに座らせた。
「出ててくれないかしら」
「見てちゃダメかな」
「恥ずかしいじゃないの」
「だからいいんだよ」
「ばか言って、もうっ」
蹴飛ばされて追い出された。
暫くして流す音。先生を居間へ連れ出す。
寿司を出前してもらうことにした。
「ねぇ? この間から気になってたんだけど」
「はい?」
「あれってなぁに?」
筒状の古びたケースを指差す。
「あぁ。ちょっと待ってて」
納戸から同じ物の新品を持って出る。
「あら同じもの?」
古い方から中身を出すと先生が引きつった。
元は白かった血の染みのある古い使い込んだ鞭。
「あなたにこれ、使いたくないから捨てようと思ってね。新しくしたんだ」
古いのを仕舞って新しいのを出す。
「あの、あの…そんなの…」
「触ってごらん」
恐る恐る触れる。
「ソフトレザーにしたんだ。ハードは無理だろう? 色もやわらかい色にした」
「あの、これで……私…」
「打つかもしれないし、しないかもしれない。あなた次第だ」
先生はそっと鞭をなでている。
チャイムが鳴った。
ビクッと跳ねるように先生が身じろぐ。
「寿司が来たんでしょう」
インタホンに出て玄関へ受け取りに出た。
先生の前に鮨桶を出して鞭を受け取って納戸へ仕舞う。
古いのはごみの日に出そう。
おてしょうを出し醤油。
「いただきましょう」
「いただきます」
さすがに初市の後だからネタは新鮮だ。
「おいしい♪」
先生も嬉しそうだ。
「食べ終わったらもうちょっと良いかな」
「ええ? まだ足りないの?」
「ほんのちょっとだけね」
頬を少し赤く染めて可愛いなぁ。
おいしくいただいて桶を洗っておてしょうを片付ける。
先生は昨日の新聞を片付けていた。
「あら。これいいわね」
「なんですか? あぁ百貨店の広告? 行きますか?」
「…歩けるかしら」
「いつまでやってます? 明日?」
「水曜日までみたいよ」
「明日行きましょう。今晩は寝かせてあげますから」
「本当?」
「本当。だから今、ね」
キス。
抱え上げてベッドに連れて行く。
脱がせて抱いて楽しんで気がつけば夕方になっていた。
「あ、買物行かなきゃ。何食べたい?」
「なんでもー」
「んー。すき焼きは?」
「いやー」
「…白菜のクリーム煮?」
「それおいしそう。それでいいわー」
「はいはい。寝てて下さい」
顔を枕に落として寝始めた。
着替えて重装備で外へ出る。寒い。
先生が食べたいであろう具材を買い、プリンも買って帰宅した。
脱いで部屋着に戻って台所に立つ。
白菜と鮭のクリーム煮のほかにホイコーローを作り、味噌汁を作ってご飯を炊く。
味見してこれでよし。
食卓に出してお皿も配置完了。
先生を起こして寝巻きと羽織を着せ、席に着かせた。
「おいしそう…」
「たまにはこういうのもいいでしょう?」
ごはんをよそってあげた。
「ありがと」
お味噌汁を飲んでご飯を食べる。
「あら? お米、変えたの?」
「変えました。今日から」
さすがにわかるようだ。
食べているうちに先生が幸せそうな顔をしだした。
「おいしいわ。上げ膳据え膳なのもあるけど」
「肉も食わなきゃいけませんよー」
「味が濃いんだもの」
「あ、確かに。あなたには濃いかぁ」
俺がメインにホイコーローを平らげ、綺麗さっぱり食べ切った。
先生をトイレに連れて行き、ベッドに戻して洗い物を。
「久さん、まだ? 眠~い」
「はいはーい、もうすぐ」
急いで済ませて俺もトイレに行ってから先生の横に潜り込む。
「ぬくいなあ」
うふふ、と先生が笑って俺の胸に手を這わせてくる。
「おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
寝かしつけて寝息を聞くと眠くなる。
俺も疲れた。おやすみなさい。