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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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504

翌日も先生を置いて出勤。年始は暇だ。
初釜の分を茶懐石の店が発注するばかり。
疲れもせずに帰宅すると先生が風呂から上がってきた。
「あ、おかえりなさい。お風呂今入ったらあったかいわよ」
「ただいま」
脱いで風呂に入ろうとすると洗濯機回すから、と下着を奪われた。
かわりに唇を奪うと早く入んなさいっとピシャリと尻を叩かれ風呂に追いやられた。
「あ、まだ縄の痕、残ってますね」
「若くないもの」
「腕のサポーター要りますね、出かけるなら」
「そうねぇ」
苦笑してる。
縄の痕が嬉しいって女なら居たが苦笑されるというのは何か新鮮だ。
「お湯、冷めるわよ」
「あ、はい」
とりあえず風呂に入るか。
湯を浴びて軽く洗って風呂に浸かると気持ち良い。
さて、上がったら現金を用意しないとな。
のびーっと伸びて風呂から上がりタオル片手に出て行けば先生にバスタオルを渡された。
「裸で出てきちゃダメでしょ。ほら。頭拭いてあげるから」
「いいよ」
「座りなさいよ」
世話を焼きたいらしい。諦めて座ってされるがままになる。
たまにはいいか。
ある程度タオルドライが終って先生は自分の髪を乾かしに洗面所へ行った。
俺は冷めても来たので着替える。
ドライヤーが終ったのを見計らい交代。
「おなかすいてきちゃった」
「百貨店行ったら先ずは昼飯ですね」
「そうね」
先生が着替えてる間に金を用意して財布に入れる。
それから腕のサポーター。
薄手で滑りの良いもの…ってあったかな。
暫く探すと出てきた。
とりあえずつけさせてみる。
フィット感はそれなりで滑りは良い様だ。
先生が化粧をしている間に外出準備を整えた。
「さてと。行きましょ」
「はい」
車で行って百貨店の人ごみに混ざる。
呉服の催し物の会場を確認しつつ先ずはランチ。
昨日は鮨食ったから今日はイタリアン。
先生は意外と健啖家でしっかり食べても大丈夫、と言うことでコース料理。
たっぷり食べて幸せそう。
ご馳走様をしてから催事会場を見て歩く。
「う~ん。これいいわねぇ…高い…」
「ああ、似合いますねえ。買ってあげる」
「もうちょっと他のも見てから」
結局うろついているうちに良い帯と出会いそっちを買うことになった。
後は普段着にするのに反物を見繕って仕立てに出した。
ちらほらと成人式の買物かな、親子連れがいる。
紐が足りないとか足袋のサイズが合わないとかあるんだろう。
先生も当日は朝から二人ほど着付けるそうだ。
つまり、前日手出し禁止と言うわけで。
夕飯用に地下で弁当を買って帰宅。
先生は明日の朝帰るといってるので朝の分も買った。
帰って暫くいちゃついて先生の見たいテレビを見させてゆっくりさせた。
夜は少し恋人のように抱いて、という希望に応えて。
ちょっと面倒だが仕方あるまい。
髪も乱さず衣類も大して乱さずに抱く。
ちゃんと寝る前に整えておやすみなさい。
軽めだった所為か朝はそれなりに早く先生も目が覚めた。
今日は朝食の準備もしなくて良いからゆっくりと布団の中で朝寝を楽しむ。
そのままついもう一戦してしまった。
起きて昨日買ってあったもので朝飯を食べ、風呂に入って着替えて先生のお宅へ送る。
「ただいまぁ」
「あ、おかえり。山沢さんは?」
「今買ったもの運んでくれてるのよ」
ひょいと顔を出して挨拶した。
「こんにちは、八重子先生」
「いらっしゃい。なに買って来たの」
「ホウレン草と白菜とジャガイモ人参玉葱カレー粉…」
列挙しているとカレーを作るつもり、と先生が補足した。
「絹、ちょっと。ここ」
あ、首筋にキスマーク残ってる。
ぱっと手で覆い隠して顔を赤くして慌てて逃げて行った。
か、可愛い。
「にやけてるんじゃないよ。見えるところに…バカだね」
「へへ、すいません」
台所で下拵えをしていると先生が湿布貼って帰ってきた。肩こり肩こり。うん。
「それ…聞かれても顔赤らめてたらバレますね」
あ、ますます赤くなった。
「ばか、恥ずかしい…」
ふふっと笑って先生にジャガイモを渡す。
「忘れるべく剥きましょうか。それとも」
「だ、駄目っ」
「そんなに慌てなくても。ここじゃ何もしませんよ」
キスくらいはするかもしれないが。
にやっと笑ってやるとそそくさと割烹着を着て包丁を取ってきた。
「手元、集中しないと危ないですよ」
「し、集中させて頂戴よ。あっち向いてて」
「はいはい」
暫く剥かせているうちに落ち着いたようだ。
指示が飛んでくる。
従ってカレーを仕込む。
お昼ご飯は冷しゃぶにしておいた。
ソテーしたホウレン草と金時・紫・金美人参をつけあわせに。
カレーに入れると面白くないのでサラダだ。
うまい。
食後八重子先生が洗い物を、俺たちは家の掃除を。
三時ごろ、お茶を入れてくれた。
おやつはカステラ。
ただし文明堂。今度福砂屋かってきてあげよう。そうしよう。
八重子先生に呼ばれて茶室へ行くと特別に稽古をつけてもらった。
メインは先生への初釜準備だけど。
3時間みっちりの稽古の間に俺はご飯を炊きに立ったり、スープやサラダの準備をした。
先生は流石に手前を忘れてたりはせず少し迷いはするもののクリア。
俺は……沢山怒られた。
やっぱり半月以上稽古してないのと先生にかまけてたのと。
良い時間になったので片付けてカレーを温める。
「お父さん呼んできて頂戴」
「はい」
ぱたぱたと離れへ行って孝弘さんを呼ぶ。
「ご飯できましたよ。今日はカレーです」
「ん」
むくりと起きてのそのそと後をついてくる。
「あ、あとでおやつに羊羹貰ってくださいね。渡してありますから」
「この間のあれか」
「そうですあれです」
正月だから奮発した。
戻ってスープを運びカレーを運ぶ。
サラダも出してみんなそろって食事。
「あ。そうだ。先生」
「なぁに?」
「土曜日これません」
「…どうして?」
「十日恵比寿ですので」
「ごめんなさい、意味がわからないわ」
「………えぇと」
何かっていわれるとどう説明したら良いんだ?
「去年も来てなかったの覚えてませんか」
「あぁ。そうそう、そうだったね。来なかった」
「うーんと。あ、そうだ。酉の市のようなものがあるんです」
「お酉さまね、わかったわ」
「こちらでも11月にえびす講ってないですか」
「そういえばそんなものしてたかね。五穀豊穣って」
「お百姓さんのお祭りなの?」
「関東では農業系ですよね」
「あんたのところは違うのかい?」
「商売繁盛笹持って来い! ですね」
「あ、聞いたことある」
「お商売の神様なのねぇ。そう。じゃ気をつけてね」
「日曜は…どうしましょう。月曜は成人式の着付けですよね」
「んー。来てくれると助かるわ。お手伝いして欲しいから」
「はい、じゃあ適当な時間に」
「おかわり」
「はい。律君は?」
「あ、下さい」
今日はお櫃も台所にある。
台所へ立ってお皿にご飯とカレーを掛けて戻り、渡す。
「ありがとう」
「ん」
「久さん、ついでに私、スープ欲しいわ」
「はいはい」
「これ、絹、あんたねえ」
「立ってるものは親でも使えと昔から言いますよねー」
あはは、と笑いつつスープを少し温めて。
「こんばんはー」
玄関から…あれは司ちゃんか。
先生が出迎えてご飯食べたか聞いてる。
「久さん、ご飯まだなんですって。おねがいね」
「はい」
サラダ、足りるか?
足りなきゃ切ればいいか。
カレーも温めて先にスープを出し、ご飯を皿によそいカレーを掛けて出した。
「いただきます」
「どうぞ」
「あ、お肉、豚じゃないんだ?」
「山沢さんが作ったから」
にこにこと先生は司ちゃんが食べるのを見ている。
優しげで、お母さんの顔してて。ほんわかとした気分になった。
さてと、そんじゃそろそろ帰るかな。
先生方のお皿を引き上げて洗ってから帰る旨を告げ帰宅。
お稽古のない暇な木曜、金曜を過ごした。
土曜になり仕事を終えたらすぐに移動して京都へ。
毎年のようにタクシーで近くまで行く。
交通規制と言うか車が入れないようにしてあるから。
人の流れに従って神社へ。
去年の熊手を納め、列に並び祈願して今年の熊手を授与していただく。
裏戸を叩いて出ていつもの鼈甲屋、と思うとシャッターが閉まっていた。なぜだ…。
タクシーを拾い、新幹線に乗り換え会社へ。
熊手を飾って帰宅した。おなかすいたー。
時計を見る。流石にこの時間からでは先生のお宅のご飯に間に合わないな。
だが鶴屋はまだ開いているはず。
車を走らせて求めに行った。
福ハ内と福梅、都しるべを購入してから飯を食いに行く。
肉食いたい、と思ったので近くの店に聞く。
一人くらいなら何とかなるとかで入れて貰った
赤みの多くて柔らかいのを希望したがさてどうか。
…うーん少し脂は多めだったようだ。先生は連れては来られない。
少し軽めに食べることにした。
ご飯を頼んで正解だ。
ロースをメインに7人前を食べ終えて支払う。
そんなに高くはなかった。
車だからジンジャーエール。帰ってから酒を飲もう。
ゆったり運転して帰宅。先ずは部屋が暖まるまでにと風呂に入る。
寒い!
震えつつも頭と体を洗い終える頃には流石に風呂も暖まる。
風呂から上がって酒瓶とコップを取りストーブの前に座って独酌。
体があったまる。
落ち着いたので寝ることにした。お休み。

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