忍者ブログ
百鬼夜行抄 二次創作

let

伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

505

休みの朝。
少しばかり朝寝を楽しむが一人でごろごろしてても楽しくない。
支度をして先生に会いに行こう。
軽い朝飯を取って歯を磨き顔を洗い着替えた。
さて。
昨日買ったものを持っていくか。
車に乗って先生のお宅へ行く途中酒屋に入り3本ほど日本酒を買った。
甘口の酒は俺しか飲まないけれど。
先生のお宅へ着いて先ずは台所に酒を持って行って居間へ。
「こんにちはー」
「あ、いらっしゃい。絹、いまあっちの家だよ」
「掃除ですか」
「年末から行ってないから空気を入れ替えてくるって言ってたよ」
年始に俺が一晩寝てたっきりか。
「お酒、買って来ました。それとこれ」
「お干菓子? と。あらー、これ可愛いねえ」
「でしょう。そう思って別に買ってきたんです」
暫くコタツで暖まってると玄関からただいまの声。
「おかえり」
「おかえりなさい」
「あら来てたの」
「ええ、ついさっき」
「買物行くけど一緒に来てくれないかしら。トイレットペーパーとか買いたいのよ」
「はい、待ってください」
さっき脱いだコートを着なおし、買物へ。
先生とお買い物は楽しい。
お昼と夜の分、何しようと迷いつつももち菜やべか菜、ネギに春菊、肉なども買う。
俺はそんな菜っ葉を知らなくて先生に聞くと最近出回っているという。
もち菜は小松菜っぽいものらしい。
べか菜は東京に来てから知った菜っ葉だったな。
こっちでは良く見かける白菜の仲間だ。
夜は鍋か。
んー、たら鍋食いたいなぁ。今度持ってこようかな。
最近魚持って来れてないから。
と先生に言うと今週は却下された。鍋続きは嬉しくないらしい。
色々消耗品を買って家に戻ってお昼ご飯。
もち菜でスパゲティとなった。
サラダに使えるくらいだからこういう使い方もありとか。
やわらかくておいしい。小松菜の仲間とは思えない。
食後は明日の支度を手伝い、それを終えたら茶室の手入れ。
何もせずとも埃は落ちてくるものだなぁ。
やることはやったので後は団欒。
律君達が帰ってきたから夕飯を取った。
先生の隣に座ったものだから肉ばかりと言うわけに行かず結構野菜も食わされた。
ま、良いけどね。健康的で。
食後くつろいでると明日の着付けを依頼する人が着物一式を持ってきた。
先生と別室で確認されている。
紐の本数とか伊達衿とか。
帰られたと思えばもう一組。
その間に律君や孝弘さんが風呂に入られて八重子先生が入って。
「あんた先に入ったら? 待ってたらぬるくなるよ」
「あ、はい。でも」
「いいから」
待つのを諦め風呂に入る。
すぐに先生が来た。
「一緒に入って良いわよね」
「どうぞどうぞ。お背中流しましょう」
ふふっと先生も笑ってる。
髪も体も洗ってゆっくりと温まってそれから先生の背中も拭いて出た。
風呂上りって幸せそうな顔してるなぁ。
居間へ戻るともう律君が戸締りの点検と火の用心をしてくれていた。
「じゃ、髪乾かしたら寝ますか」
「そうね……あなた良いわよね、すぐ乾いて」
「あー。短かいから。ほっといたら乾きますね、湿度低いし」
「ダメよ、冬はちゃんと乾かさないと風邪引くわよ」
「過保護だよねーお母さんって」
律君に笑われてしまった。
あ、ちょっと拗ねた。可愛い。
髪乾かしてくる、と洗面所に行っちゃったが羽織るものも羽織らずだ。
追いかけて着せるとありがとうと言うものの不本意そう。
宥めて髪にドライヤーを掛けてあげた。
「あなたのほうが過保護よね…」
どっちもどっちじゃないかなぁ。
「寝ましょうか、そろそろ」
「そうね」
布団を敷き先生を入れると俺が入るより早く寝息が聞こえてきた。
暫く寝顔を眺めてから俺も寝た。
翌朝は早めに起きて食事の支度をし食べ終えて一服していると着替えるよう言われた。
「手伝ってくれるんでしょ? だったら女らしい格好してくれないと困るわ」
なるほど。
確か会津木綿の長着があった気がする、と言うとそれで良いというので着替えた。
「……あんまり似合わないわね」
「ですね」
暫くして一人目が来た。
先生が着付けて俺は小物を渡したり、帯を締める時に手伝ったり。
良い感じだ。
「これでいいわ。どう?」
「きれーい。良いわねぇ、私も若い頃着たかったわぁ」
お母さんが付き添われていたのだがこの方は若い頃は着られなかったそうだ。
不況とは言え娘には着せたくて頑張ったそうな。
娘さんも嬉しそうだ。
先生が点検をしていると次の人が来た。
「はーい、ちょっと待っててくださいね」
「あら、じゃ先生、ありがとうございました」
先生と挨拶をして次の方と交代。
「あら? 山沢さん?」
おや、中川さんの娘さんか。
「……女性だったのね」
「あ、そっちですか」
先生が大変おかしそうにしている。
指示を受けて肌襦袢やらなんやらかんやら渡しては先生が着せて行く。
今度も綺麗に着せ付け完了したようだ。
「自分で着るのは簡単なのに人に着せるのって難しいのよねぇ」
と中川さんがぼやく。
それには同意する。
先生着せようとしてみたけど大変だった。
お礼を言って帰られて、先生はちょとほっとした顔。
片付けてそれから先生に挨拶。
「え、帰っちゃうの?」
「帰りますよー。俺も部屋の掃除したいし」
「明日してあげるわよ」
「だから…」
「明日まだお稽古ないわよ?」
「…あ。でも家庭のこと優先! ね? 俺だって一人でしたいことが」
「何するって言うのかしら」
失言…。
睨まれてしまった。
小さくなってたら溜息一つ。
「帰って良いわ、今日は。うちの事するわよ…」
「すいません」
「ただし! 浮気はダメよ。許さないわよ?」
「心配性だな。可愛いけどね」
「茶化さないの」
後ろを向いた先生を軽く抱き締めた。
「初釜、いつだっけ?」
「18日…うちのは19日にするわよ」
「了解、土曜日になったら来ますね」
「あら? 持つの?」
「持たせますよ」
耳を舐める。
「こ、ら…。こんなところで」
「あんまり浮気を疑うと次回縛って浣腸するからね」
「わかったわよ、疑わないからそれだけはやめて頂戴…」
脱力してるのも可愛いなぁ。
先生のお尻をぽん、と叩いて着替えてくる、と部屋に戻った。
長着を脱いで衣桁にかけていつものに着替え羽織とコートを手に居間へ。
「あれ? 帰るのかい?」
「はい、洗濯物とかしないといけないので」
「一人暮らしは大変だねえ」
「じゃ、また土曜に」
「はいはい、気をつけて」
「お邪魔しました」
台所から先生がまたね、と言ってる。手を振って挨拶して帰路へ。
危なく車で来てることを忘れそうになったけど。
急ぐ用があるわけではなし、ゆっくりと走らせる。
帰ったら道具の手入れ、しなきゃなぁ。
古いあれやこれ、もう使わない道具は捨てて。先生用に明日あたり買出しに行こう。
今週はそういう時間にしよう。
途中飯を食い、帰宅後納戸に篭り選別をしていると暗くなってきた。
日が落ちる。
飯を食って酒を飲み、風呂に入って寝た。

拍手[0回]

PR