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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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507

朝起きて普段のように支度をして先生を起こす。
今日はお寝坊はしてもらっちゃ困るんだよ。
ぼんやりしている先生を着替えさせて食事を取らせ、髪結いさんに送り込んだ。
八重子先生と着物の用意を点検してバッグの中身の点検。
暫くして先生が帰ってきた。
「さてと。着替えてくださいねー。あ、綺麗」
「ありがと。お母さん、着物どうかしら」
「出してあるわよ」
「じゃ久さん手伝って頂戴」
「はい」
一旦脱いで長襦袢から着直す手伝いをする。
次は八重子先生をお手伝い。
流石に二人掛り、綺麗に納まった。
トイレに行ってから三人で連れ立つ。
先生方を道場で下ろして俺は帰宅の予定だ。
「シートベルトちゃんとしてくださいね」
「はいはい」
二人ともちゃんとつけたのを確認してから安全運転で送り届ける。
夕飯はどこかで食べてから帰ると言うのでそのつもりで。
帰宅後、暇なので縄を3本煮る事にした。
たっぷりの湯を二つ沸かし、煮て行く。
薄い飴色になっては捨て、沸いたほうに縄を移し、新たに湯を沸かす。
繰り返して色が出なくなったら今度は干す作業。
ベランダに日よけを出し端から端へ渡しかけて干す。
これでよし。
鍋の始末をして、寝た。
夕方、携帯の音に目が覚めた。
先生からだ。
夕飯のお誘い。
了解して先生方に格を合わせたものに着替え、指定された場所へお迎えに上がる。
喫茶店の中を見回す。いた。
「お待たせしました」
「早かったねえ」
「お疲れ様です。どうでした?」
「緊張したわ~」
車に回収して先生の食べたいものを伺った。
天麩羅、ということでホテルへ予約を入れる。
信号待ち、バックミラーを見る。先生、綺麗だなぁ。
「ねぇ明日あなた来るの?」
「伺います。お昼からになりますけど」
「そう、ならいいわ」
席に着いて少しお酒も頼んで。
俺は飲めないけれど楽しく食事を頂いた。
先生のお宅まで送り、すぐに引き返す。
泊まって行きたいのは山々だが明日も仕事だからね。
来週一杯ずっと初釜みたいなもんだから、先生は暫く俺の相手も出来かねるし。
あれ? ん、もしかして。
再来週って先生は生理か?
…適当な日に軽くでもさせてもらわなきゃ持たないかも。
俺は別に最中でも良いけどさ。
嫌がるからなぁ。
帰宅して縄の具合を見る。順調。
疲れた、眠い。今日は寝よう。明日も忙しい。
おやすみなさい。
そして朝になり仕事へ。
それなりの忙しさで帰宅してすぐに着替えて電車に乗った。
先生のお宅に着くと古株のお弟子さんが水屋をしておられる。
昨年のように指示通り水屋を回して。
なんとか間違いもなく終りそうだ。
生徒さん方が帰って行かれると先生が水屋の皆を呼んだ。
先生のお手前でお菓子と濃茶を頂き、散会。
美味しかった。
水屋の皆さんも帰られて後は先生とお片付け、の前に。
先生に頼まれてお薄を点てた。
八重子先生にも一服。
「美味し…。そろそろ片付けましょ」
とっとと片付けてしまわねば、晩飯の支度もある。
手早く始末をして居間で一服していると先生のあくび。
「飯、作りましょうか?」
「んー、お願いー」
そのまま座布団を枕にして寝転んでいる。
まぁ、良いか。
「私は部屋で寝てくるよ。あと頼んだよ」
「はーい」
その前にと先生の帯を解き毛布をかけてあげた。
帯枕が当たって結構寝にくいんだよね。
台所に言って冷蔵庫の中を確認する。うーん。買物ちょっと行ってくるか。
一応先生の耳にその旨囁き戸締りをして移動。
肉や野菜などを買って帰った。
あれ? 開いてる。
あ、この靴。律君が帰ったのか。
居間を覗くと先生はまだ良く寝ている。
よし、作るか。
手早く食事を作ってご飯が炊けたら孝弘さんと律君を呼ぶ。
先生は後回しでいい。
腹が減れば起きる。
「お母さん起こさなくて良いの?」
「ちゃんとおかずもご飯も除けてあるから大丈夫だよ」
だったらいいか、と食べ始めた。
二人がご馳走様をしたので洗い物をしていると上っ張りを引っ掛けて先生が起きてきた。
「おなかすいたわ…」
「はいはい、待ってて」
味噌汁とおかずを温めなおし、ご飯をよそって俺の分と出した。
ちょっとぼんやりしたまま先生は食事を取っている。
疲れたんだろう。
転寝の間に頬に皺がついている。
時間をかけて食べ終わり、まだ眠そうなので着替えさせて布団に入れた。
八重子先生の分は冷蔵庫にある旨書き置いて俺は帰宅。
明日は久々のお稽古だ。

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