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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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翌朝は二人ともすっきり早朝に目が覚め、先生は上機嫌で風呂に入っている。
鼻歌まで聞こえ出した。
その間に朝飯を作って昨日の洗濯物をたたむ。
風呂から出てきた先生に皺酷いわね、と指摘された。
「ま、こんなもんですよ。どうせ仕事で着るもんですし」
気にしない。
「もうちょっと気にしなさいよ」
そういいつつ、ベッドからシーツをはいで洗濯をし始めた。
「良い天気ねぇ、これならお昼までに乾くかしら」
「かもしれませんね。さ、メシにしますか」
「そうね、いただくわ」
ゆっくり朝食をとった後、先生がシーツを干し掃除機をかけて俺は風呂とトイレの掃除。
久々に納戸に入り込んだ先生が溜息をついている。
「相変わらず変なもの集めてるのねぇ…」
この間買ったガラスのディルドと見た。
「使ってほしいですか?」
「いらないわよ」
ぺしっと俺の額を叩いた。
「あらいけない、手が汚れてたわ。頭洗ってらっしゃい」
「はいはい」
洗面所で洗うと叱られた。
面倒くさいじゃないか。
タオルドライして生乾きのまま昼飯に誘ったら今度は呆れられてしまった。
「風邪引くわ、だめよ」
連れ戻されてブローされてしまった。何かくすぐったい。
ふと気づくといつもと違う髪形になっている。
「遊んだな?」
うふふ、と楽しそうにしている。
「そろそろ髪切りに行きなさいよ、伸びてるじゃないの」
「ああ、そういえば最近行ってなかった」
「忙しくさせちゃったものねえ」
「まぁそれも八重子先生帰ってきたら気分的に楽でしょう?」
「そうね」
身支度を整え、持ち帰る荷物を積んで途中で昼を食って先生のお宅へ行くことにした。
先生のご希望により昼飯はサブウェイ。
一度買ってみたかったそうだ。
車で食いに来るような物ではないとは思うのだが…。
絶対こぼすだろうと思っていたが意外と先生はこぼさなかった。
上手に食うもんだなぁ。
感心してたらたまねぎが落ちた。
ついニヤッと笑ってしまう。
まぁ俺は俺でかなりこぼしているわけで。
先生のこぼしたのも一緒に始末した。
「おいしかったわ、そろそろ帰りましょ」
「はい」
帰宅して落ち着いたら休み明けの稽古の準備。
風炉になるからね。
でもこの間八重子先生と二人で出すものは出したんだ。
だから先生のしなきゃならない事はほんの少し。
茶室の支度をした先生が稽古をすると言う。
「あなたもお客様のお稽古と、それからそうね、何かお点前しましょ」
「あ、はい、お願いします」
まずは一度平点前を、それから先生は茶筅荘の点前をされた。
「あなた茶碗荘ね」
茶碗荘はあまり好きじゃないんだよなぁ。
それ知ってるからだろうけど。
やってみるとやはりスムーズには行かなくて、先生は無言。
「一応覚えてはいるのねぇ。でももっとお稽古しないと」
「はい」
玄関から律君のただいまが聞こえる。
「あれ、お母さん達帰ってたの?」
「おかえりなさい」
「そうよ~、手を洗ってらっしゃい。お菓子あるわよ」
「うん、わかった」
そういえばさっき何かいろいろ買ってたな。
玄関からごめんくださいの声も聞こえた。
先生がさっと立って行く。
「あ、後始末お願いね」
「はい」
手早く片付けて様子を伺うとおしゃべりに花が咲いてるようだ。
お茶が出てない。
先生が目配せするので支度して出し、買い物へ。
晩飯の用意しないとね。
お昼があれだったから和食が良いかな。
いくつか献立を考えつつ八百屋を見ていたらキャベツがおいしそう。
蒸しキャベツ、しようかな。
だったら人参とシメジと肉で良いだろう。メインは。
あ、しし唐。いためるか。
しかしジャコ高いんだよなぁ、その辺で買うと。まぁでもカルシウムは大事だ。
後はなに作ろうか。
うーむ、思いつかない。
先生にメールしたところ、小松菜の煮浸しが食べたいそうだ。
ちょっと野菜率が高いけどいいだろう。
買って帰って台所へ入る。
下ごしらえを済ましたころ、来客がやっと帰った。
先生が参戦してくれて効率が良くなる。
「あ、お父さん食べるのかしら」
「一応炊いてますよ」
「あらそう、ちょっと聞いてくるわ」
あ、木ベラ持って行っちゃったよ…。
仕方なく菜箸で豚肉を炒める。
菜箸は結構苦手なんだよな、刺さっちゃって。
「お父さん食べるって言ってるけど足りるかしら」
戻ってきておかずを見て考えている。
「常備菜ないんですか? ないなら俺、どっかで食って帰るから良いですよ」
「それはだめよ」
そういって冷蔵庫を覗き込んでいるが明日の朝の分しかない。
「ほら、できましたよ。俺は帰るから後はよろしく」
割烹着を脱いで先生に軽くキスした。
「こら、もう」
「じゃあまた明日」
「ありがと、ごめんね」
ばいばい、と手を振って帰宅する。
途中、居酒屋に入って酒を飲めないのを残念に思いつつがっつり食った。

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