時間はまだ沢山ある。
少し息が落ち着いてきたその唇にキスをする。
「もう…ひどいわ…こんなの」
「おや、まだ序の口のつもりだったんですが」
「ええ?何をする気なの?」
「もっとすごいこと。色々したいですねえ」
頬を染めて可愛い。
「2、3日立てなくなるくらいしたいですね」
「そんなの困るわ…」
まあ自分の体力も持たないが。
暫くからかったりして、会話を楽しんでいると空腹、そろそろ6時か。
「先生、どこか食いに行きませんか」
まだ立てないほどはしてないはずだぞ。
シャワーを浴びさせて、着替えさせるとやはり美しくて。
少し私の着付けを手直しされて。
近くの割烹で飯を食うことにした。
それなりに流行っていてそれなりにうまい店だ。
お酒も頼んで、うん、うまい。
先生も上機嫌だ。
酔客に絡まれるような店ではないので安心して飯が食える。
ああ、うまかったー。と店を出るとやや寒い。
ショールだけの先生は寒そうだ。私の羽織を着せる。
「前も借りたわね」
ああ、あったなあ、そういうこと。
ほろ酔い加減がさめないうちに部屋に戻ってきた。
もう少し飲みたいので先生もどうかと誘う。
冷蔵庫から日本酒の瓶を出し盃を渡す。
まずは先生に一献。お注ぎする。
先生から私に。
何度か盃を交わして、いい感じに酔った。
先生が私にキスしてきた。
色っぽいな…。
くらくらする。
先生は立って着物を脱ぎ始めた。
ぎょっとしたがすべてを脱いで浴衣に着替えている。
ああ、なんだ吃驚した。
鼻歌交じりに着物を片付けて、それから私の膝の上に横向きに座った。
…え?
「ねえ、山沢さん?私とするの、好き?」
「え?あ、はい、好きですよ?」
「じゃ、しちゃ駄目っていったらどうするかしら?」
「困りますね、きっと」
「じゃあ駄目」
と言って先生はふふっと笑っている。
「困りますけど、したいんだからしちゃいますけどね」
胸の合わせに手を差し入れるとその手を叩かれた。
「だめよぅ」
くすくす笑ってる。
なんだこれは、焦らされてるのだろうか。
「なんで駄目なんです?」
「だってたまにはしないでこうしてたいもの」
ああ、なるほど。そういうことか。
先生からキスされる。
くっそ可愛くてやりたくて仕方ない。
先生の腕を撫でて我慢しよう。
「山沢さん、あったかいわ~」
はいはい。
体温高いですよ、発情してますからね。
先生が私の懐に手を入れた。
「寒いんですか?」
指が冷たいな。
手を伸ばして先生の足袋の上から足指をなぞる。
ああ、ちょっと冷えてる。
「暖房の温度、上げましょうか?」
「ううん、こうしてて…」
「抱かれればすぐに温まりますよ?」
ぺちっと額を叩かれた(笑)
笑ってしばらく密着する。
先生の静かな呼吸の音を聞いて、冷えている腕や足をさすって。
落ち着きすぎることもない程度に先生にイタズラしかけられて。
何度目かのキスをされたとき、ベッドに連れて行きますよ、と声をかけた。