うん、やはりうまい。
先生も何か言いたそうだが何をどう言えばいいのか、という感じなのだろうか。
メシはうまいが、雰囲気は微妙なまま。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまです、うまかったです」
「あの…。居てもいいかしら。書置き…」
「帰れって意味じゃありませんよ。怖いんでしょう?まだ」
「…怖いけど」
「でしょう。だったら帰ったほうが良くないですか?」
「そんなこといわないで…。その…怖くないようにしてほしいの」
うん?
「あの、ごめんなさい。謝るから。優しくして…くれないかしら。だめ?」
「駄目じゃありませんよ。あなたがああいうことをしたから怒っただけで…。
本当はできる限りあなたには優しくしたいとは思っているんです」
先生はほっとした表情になった。良かった。
「私こそ、申し訳ない。嫌がってたのに酷いことをしました」
そっと先生が手に触れてきた。
「次からは道具使わないでくれる?」
「あなたが変な事しなければ、ですね」
「もう懲りたわよ」
照れた表情で食器を台所に持っていくのが可愛い。
私は食卓を拭き、使わなかった皿を片付けた。
暫くして洗い物を終えた先生が来て、私の横に座り寄りかかってきた。
そっと撫でているとキスされた。
「キスはしていい?」
「ええ、キスは良いですよ。
そうですね、懐をまさぐるくらいはかまいません、我慢できますから」
「えぇっ、我慢なの?」
あまり嬉しくはない。密着したいと言うのはあるが。
「そろそろ抱いて良いですか?」
「あ…うん、お願い…」