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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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と、思ったら…。
フロントから電話。
飯嶋八重子様からお電話がかかっております、だとさ。
繋いでもらって電話を受ける。
絹先生が今さっきこちらに向いて発ったそうだ。
受け入れて泊めてやってくれと。
「火曜日までにお帰し出来ないかもしれませんがその点は…」
『それはいいけどあまり酷いことはしないでやってくれないかい」
「出来る限りは」
電話を切ってフロントにダブルの部屋にチェンジしてもらうことにする。
スーペリアしか空いてなかった、しかたない。
移動し、21時前後に人が来るかもしれないので、来たら通してくれとお願いする。
それまでは少しでも寝よう。つらい。
21時を少し回った頃先生が来た。
起きてドアを開ける。
ソファに座るよう言い、手を洗うことにした。眠い。
先生は怒気を感じて少し怯えているようだ。
座っている後ろから首に手を回す。
喉に触れると息を呑んだのがわかった。
「来るなと言いませんでしたか?」
「ごめんなさい…でも…」
「なんですか?浮気なんかしていませんよ、わからない?」
「だって…」
深呼吸、落ち着こう。
携帯をとり、昨日の座敷の写真を見せる。
年寄芸妓数人と私の写真。
「これでわかりますか、浮気なんざしていません」
「でも若い女の子の声がしたわ、それは?」
「仲居さんです」
「そう、そうだったの。ごめんなさい」
「メシ食いましたか?」
「えっ? あぁ、まだよ」
「食いに行きますか、俺も腹が減った。腹が立ったからですけどね。それとも」
再度、喉に触れる。
「あなたを食べてもいいんですが、ね」
先生は怯えて身を縮めている。
「あの、ご飯、食べに行きたい、です…、山沢さん…怖い…から、よして」
「ちょっと待っててください、着替えます」
さっと着替えて先生の手を取る。
「メシ、行きましょう。和食か洋食かどちらが良いですか」
「和食でいいわ」
「居酒屋ですがいいですか」
「はい…」
食事処に連れて行き、先生が好みそうな酒を注文する。
いくつかの料理とご飯。
酒とメシのうまさに少し気分がほぐれて。
先生はほろ酔い、俺は満腹で部屋に戻った。

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