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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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「あれ、そういえば鞄それだけですか?」
ハンドバッグしか持ってないじゃないか、泊まるつもりなら着替えは?
「慌てたから、お財布しか持ってないの…どうしよう」
うーん、この時間じゃどこも開いてないな。
とりあえずパジャマだパジャマ、俺の予備着せるか。
「あーパンツいりますか? 洗顔料とかもいりますよね」
戻る前に気がつけばよかった。
コンビニがあったはずだからそこで調達しよう。
明日ドラッグストアなりデパートなり行って買えばいいし。
一回分セットのお泊りセットとショーツ、ヘアバンドを購入。
部屋でパジャマに着替えさせて洗顔させる。
脱いだ着物は衣桁も着物ハンガーもないのでベッドの上で着物を畳み、
私のジャケットの中に入れておいた。
あとは寝るだけだ。
先生が髪を解いて戻ってきた。
ベッドに腰掛けて気恥ずかしそうだ。
パジャマ姿は見慣れないな。
「さてと、早いけど寝ますよ。入って」
ベッドの布団の中に連れ込んで懐に抱く。
少し身を硬くしているようだ。
「このまま寝るか、気絶するまでかどちらが良いですか?今日は選ばせてあげますよ」
顔を赤らめて迷いを見せる。
「あの、このままで…いいわ」
まあ疲れてるわな、茶事のあと電車でここまでだ。
しかも怯えてたし。
頭を撫でて、おやすみなさい、と声をかけて。
駄目だ、先に寝ちまう。
翌朝暗いうちに起き出して移動。
10万を渡して着替えを買うなり化粧品買うなりして待つように言う。
帰りたければ帰ってもいい。
気がかりだが仕事仕事、漁港へ足を伸ばして挨拶回り。
昼前、交渉も終わりホテルに戻る。
先生がいてほっとした。
「ただいま。買物してきました?」
「おかえりなさい、お化粧品とパジャマと下着だけ…」
「朝はどこかで食いました?」
「駅にあるカフェで食べたわ。モーニングセット。おいしかったわよ」
「そりゃ良かった、まだ腹は減りませんか?」
「んー、そろそろ空いたかも?」
「じゃなんか食いに行きましょう。何が良いですか?」
「ここの1階のレストラン行ってみたいわ」
はいはい。
先生は和食のイメージだけどイタリアンでもいいのか。
「あ。3階行ってみました?」
「ううん、行ってないわよ、どうして?」
「行ってないならメシの後いきましょうね」
店に入ってメニューを開く。
俺はステーキにしようか。腹減った。
と思ったら本日のピザとパスタが美味しそうだというのでペアセットに決定。
料理が来る間、昨日の茶事の次第について聞く。
なんとかの理由は糊か。糊が緩かったらしい。
乾いてたから緩めたら緩くなりすぎた、そういうことだな。
少し拗ねた顔つきで、そういう失敗もすべて俺の所為だという。
「帰って来いって言やぁ良かったんですよ。
 あの時間からなら夜中になりますがたどりつけてましたよ。
 あなたも怯えずに済んだんだ」
「今思うとそうよね、来てって言ったらよかったわよ」

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