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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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朝。
昨日しなかったから先生は早起きだ。
着替えた先生に起こされて台所へ行く。
朝ご飯を作り、食べてから家事だ。
掃除をしたり草引きをしたり、その合間にお昼を頂いたり。
夕方になって来客が有り先生はそちらに手を取られてしまい俺は一人、買物へ。
あなたの食べたいものを、と言われていたのですき煮の材料を買って帰った。
台所で八重子先生に見せると苦笑され、下拵えをしてお客さんの帰るのを待つ事にした。
部屋で繕い物を片付けているが一向に気配がない。
腹減ったなぁ。
と思っていたら孝弘さんがメシまだか、と言ってくれた。
重い腰を上げてお客さんが帰ってくれていそいそとご飯を作る。
「ごめんなさいね、遅くなっちゃって」
先生が孝弘さんに沢山ご飯をよそってて何かほほえましい。
「ただいまぁ、あーおなかすいた」
律君も帰ってきた。
「手、洗ってらっしゃい」
「はーい」
うまいうまいと飯を食って片付けをすればもはや帰る時間だ。
また明日、と別れた。
帰宅してすぐに寝て、翌朝仕事へ。
今日も暇だ。
先生に何か持って行こうか。
物色する。
俺も食えるものが良いな。
金目とかどうだろう。
よし、金目とホタテとでいいか。
仕事が終わる頃、イセエビがずっと売れなくてそろそろと言うのを連れて帰ることにした。
支払ってブクブクをつけて車に載せ、シャワーを浴びてから先生のお宅へ移動した。
到着してお勝手から入り、台所に置いて八重子先生に申告。
お夕飯が楽しみだ。
先生は喜んでくれるだろうか。
お稽古を済ませ、食卓に着いた。
「あら、おばあちゃん今日はどうしたの? こんなに」
「なんか凄いね」
「山沢さんが色々持ってきてくれたんだよ」
「そうなの、ありがと」
「私も食べたかったのでもってきちゃいました」
「でもちゃんと山沢さんの分、お肉焼いてあるんだね」
魚を少し食べてから、お肉を頂く。
サイコロステーキうまいなー。
「山沢さん? ちゃんとお野菜食べなさい」
「あ、はい」
「取らないから」
「あはは…食べます」
煮浸しを取って食べ、胡麻和えを食べる。
先生は孝弘さんの食事の世話をしているときが一番にこやかだ。
おいしいご飯に穏やかな団欒。
いいなぁ。
だけど食事を取ったら帰らなきゃいけない。
次は明後日だ。
ちゃんと来ると約束して帰宅した。
途中検問に引っかかりアルコールの検査をされてしまったが、幸い飲んでない。
何事もなく帰宅してベッドにダイブした。
翌朝、寝ぼけつつも出勤、流石に金曜日、水曜・木曜に比べればそれなりだ。
だが今日は雨だ。
しとしとと梅雨らしい、湿った空気、重い。
こんな日にビアガーデン予約していた奴がいた。
どうする?なんて話をしている。
こんな雨の日に決行するのかなー、風邪引くぞ?
結局決行するらしい。アホだ。
こんな日は…女とクーラーの効いた部屋でいちゃいちゃするのが良い。
なんて考えつつも仕事終了、さびしく一人寝の我が家だ。
クーラーを効かせベッドに潜り込む幸せ。
暫く寝て昼過ぎに起きる。
効きすぎだ。
一旦クーラーを止めて食事に出ることにした。
さてなにを食おうか。
ぶらぶらと歩いていつもの店に入り、結局イタリアンを頼んだ。
いつも行くのでいつも大盛を作ってくれる。
食事を取りつつ携帯のメールチェック。
やっぱり先生から来てた。
今日は軽めにナポリタンスパゲティとある。
写真は…まぁ俺のと同じだね。
俺も写真を撮って送り返す。
三回ほど返信して食事に集中した。
食べ終わると先生から更にメールが来る。
今晩一人で夕飯だからどこか食べに連れて行って欲しいそうだ。
食後に言われても中々思いつけない。
先生のとことうちの中間地点くらいでどこかあったかな。
ジャンルは何が良いかまずは聞かねば。
懐石をご希望だ。
さてあの辺にある懐石なぁ…あぁ、あそこがあるか。
電話して予約を取る。
先生に決まったから待ち合わせの時刻を告げた。
帰宅して少し寝て風呂に入って着替える。
こっちまで来るとは言わなかったところを見ると泊まる気はないようだ。
明日お稽古だから仕方ないな。
電車を乗り継いで待ち合わせ場所に到着。
近くの喫茶店でくつろいでいると先生が来た。
アイスコーヒーを追加して一服。
「ごめんね、急で」
「いいですよ、今日も綺麗ですね」
「あら」
コーヒーを飲み終わって一旦涼んだところで移動を開始する。
まだこのあたりは双方知り合いに会う可能性は捨てきれず、手はつなげないのが残念だ。
並んで歩きお店へ入る。
「予約の山沢です」
そう告げると席へ案内された。
あ、個室だ。
これは…ちょっと嬉しい。
仲居さんが来ない間先生の手に触れたり。
先生がドキドキしてるのが楽しくて、つい部屋にこないかと誘ってしまった。
残念ながらお稽古日だからと断られる。
少しごねては見たものの、土曜はやはりちょっとと言うことでまた今度。
やはりアレのときだけか…性欲溢れるのは。
性欲横溢のときに縛ってあれやこれやしてやりたいな。
キレられる可能性は高いかもしれないが。
「なぁに?」
「なんでもありませんよ」
「そう?」
「ええ、おいしいですね、飯」
「めし、なんて言わないの、ご飯でしょ」
「ごはん」
「良い子ね」
苦笑してお酒を注いで少し酔わせた。
「ねぇ先生。ここね、むかしは連込宿だったんですよ」
「え?」
ぴた、と手が止まる。
「代替わりと同時に建替えてね、ちゃんとした料理屋にしたらしくてね」
あからさまにほっとしてる。
「だけどね、所望があれば…ふふ、わかるよね?」
サッと頬に朱が差す。
「だ、だめよ」
「ここが嫌ならどこかラブホ入っても良いけれど」
追い詰められたような顔しちゃってまあ…可愛い。
ニヤッと笑い、冗談ってことにしてあげてデザートを食べる。
「おいし…」
ほっとして食べるのはさぞやうまかろう。
食後、会計して店を出ると少し離れがたそうなそぶりだ。
「明日お稽古行きますね。だから…」
「うん…」
「それとも。明日お稽古の後うちに来ますか?」
「そうしたいわ、でも…」
珍しく歯切れが悪い。
「展覧会、休みの朝から行きましょう。何か探しますよ」
「あ、それなら出れるわね」
駅で別れる前に少し指を絡めた。
「じゃあおやすみなさい。気をつけて帰って下さい」
「あなたも気をつけて帰って頂戴ね。おやすみなさい」
あー、キスしたい。
我慢して別れて帰宅する。
先生も同じように思ってくれているのだろうか。
帰り着いてすぐ、先生から帰宅のメールが届いた。
明後日どこか展覧会は、と調べてリストアップしたものを返事とする。
暫く待つと行きたい展覧会を二つ書いて送ってきた。どちらかで良いようだ。
明日稽古に行ってから決めようと返事をして、就寝の挨拶を交わした。
おやすみなさい。
翌日は土曜と言うこともあり忙しく、慌ててお稽古へ向かう。
急ぎ挨拶して水屋を整えた。
順々に生徒さんが来てお稽古が進む。
俺のお稽古も終り水屋を片付け夕飯を取った。
すぐに先生を連れて俺の家へ電車で戻ることに。
明日朝からでも、と言ったが朝ばたばたするのが嫌だからと。
ま、確かに暑いし雨気だしで朝用意するのは面倒くさい、その上の1時間半電車では。
二人で電車に乗り座っていると先生が寄りかかってくる。
クーラーが効いている分温かみが気持ちよい。
手に触れてくる。
ひんやりとした指先。
包み込むように握って袂で隠す。
先生は知らぬ振りして窓の外を眺めている。
俺は車窓に映る先生の顔を見つめて降車までぼんやりしていた。
このままどこか遠くへ…いやダメだ、それはしてはいけない。
せめて律君が独り立ちをしてからの話だ。
乗り換えて家に帰宅した。
電気を付けると先生が眉をしかめる。
あ、新聞散らかしたままだ。
「片付けるの手伝うわ」
「うわ待った、ストップ!」
「なぁに?」
「あれ、全部一枚一枚畳むんですよ。だから片付けないで下さい」
「それならそれで手伝うわよ?」
「手、汚れるから。とりあえず着替えて暇なら寝転ぶなり何なりしてて」
「そう? じゃあ」
先生が和室へ行って着替える間に新聞に手をつける。
一枚ずつ離して畳み積み上げ袋に入れていく。
まだ終らないのを見て先生は俺の背中にもたれかかってきた。
「眠いなら少し寝る?」
「眠くはないわよ」
「じゃもうちょっと待ってて」
「うん」
ガサガサと作業を続け10分ほど経った。
暇と見えて人の腹を揉むのはやめてくれ、くすぐったい。
暫くしてやっと終った。
先生が離れてやれやれと手を洗いに立つ。
無駄に時間を使ってしまった。
戻ると先生がお茶を入れてくれててありがたく頂く。
「疲れてる?」
「お稽古してそれから移動だもの。あら? でもあなたいつもそうよね」
「基礎体力の違いでしょうね」
「そうかも」
湯飲みを片付けて俺も着替え、先生の後ろに座る。
「さて、今からして明日展覧会行けるのかな」
「行けなかったらどうしようかしら」
「疲れてたみたいで寝ちゃったとか言いますかねぇ」
「お母さんにはばれるわよね」
「ま、仕方ないでしょうそこは」
ごそごそと胸をまさぐる。
柔らかくて気持ち良いなぁ。
暫く弄っていると体臭が立ち上ってくる。
体温が上がるとどうしても昼にかいた汗が匂うんだろう。
だけど不思議と好きな女だからか臭いとは感じない。
むしろ好きな匂いだ。
あと匂い袋なのか防虫香なのかはわからないがそういう匂い。
先生はそんな匂いよりも俺の動かす指に翻弄されて少し膝が崩れてきている。
浴衣の衿を広く開けて首筋から肩にかけて舐める。
もう少しで胸が見えそうだ。
普段は布団の中だけだから後ろから抱くのは久しぶりで少し興奮する。
そろりと裾を割ってはだけさせると色っぽくて素敵だ。
お腰の中に手を差し入れると温かくて湿っている。
指先がかすかに毛に触れるとビクッとして俺の腕を掴んだ。
指を動かして微かに、かすかに触れて反応を見る。
楽しい。
「足、開いて」
葛藤してるのを見るのも愉しい。
「ん? 犯して欲しいのかな?」
そう言うと慌てた様子で、だがそっと膝を開いた。
指をもぐりこませる。
「あっ」
「ほら、こんなにして…荒々しくされるのも好きなんじゃないの?」
「んっいや、違、うっ」
気持ち良さそうだなぁ。
「ほら、膝を立てて開いて。あの鏡に映るようにね」
少し体の向きを融通して鏡に映るようにした。
はっ、と見て自分の状況を認識したらしい。
浴衣を肩まで露わにされ乳には俺の手が蠢き、裾は乱れてはだけた腰巻と俺の腕。
とろり、と指がぬめる。
恥ずかしがっていて可愛くて。
耳を舐めると声が出た。
そのまま暫く玩び、弄り、十分に満足するまで責めた。
ぐんにゃりと力の抜けた先生を抱えて風呂に入る。
ゆっくりとなでて洗い、頭を洗っていると寝息に変わっていた。
可愛いなぁ。
濯ぎ終えてきっちり拭き取り洗濯できている寝巻きを着せて髪を乾かしベッドに入れた。
横にもぐりこんでお休みなさい。
翌朝はやはり先生はよく寝ていた。
朝御飯の支度をして先に食べる。
と言ってもパンとベーコン、卵だが。
空腹が押さえられたので10時にセットして二度寝することにした。
先生が寝返りを打ち俺の上に乗ってしまう。
ま、いいか。
重いのもそれなりに気持ち良いし。
しかし疲れきってるようだがトーハク行けるかな?
白菜が見たいらしいけど。
うつらうつらと朝寝を楽しんでいると9時半頃目が覚めたようだ。
「ん、おなかすいたぁ」
「ふぁ…うー、お早うございます」
「あ、おはよう。何時?」
「9時半みたいですね」
「随分寝過ごしちゃったわね」
「疲れてたんでしょう、今日いけそうかな?」
「行くわよ。7日までだったでしょ?」
「ええ」
「じゃ朝ご飯食べたら着替えて行きましょ」
起きるのは良いがちょっと立つのに苦労をしていた。
トイレに連れて行ってから食事を作る。
軽めで良いというので軽めに。
先生にはサラダをつけた。
食べて洗顔と歯を磨いて10時半過ぎ。
「さ。着替えたいわ。手伝って頂戴」
「はいよ」
ちょっとは回復したらしく、手を貸さずとも和室に入った。
髪を結ったりお化粧をして先生が調えている間に自分の身支度を整えた。
先生は昨日出してあった着物を着る。
「紐」
「はい」
やっぱり着るの手早くて、そして綺麗だなぁ。
つい見とれてしまう。
それから再度鏡を見直して色々とチェックし、俺の着物を少し直した。
先生がトイレに行く間に鞄や草履を出して後は家を出るばかり。
混む、と聞いていたので念のため飲み物を鞄に入れて、出発。
とはいえ5分ほど歩きすぐに電車に乗ったが。
メトロで上野に出てタクシーを拾う。
「混んでますか?」
「そうだねぇ3時間待ちとか」
「先生、どうされます」
「今日じゃないと…あなたが良いなら私は待てるわ」
「大丈夫ですか」
「ええ」
車を走らせて貰って正門へ。
「お、今日はそこまでじゃなさそうだ」
「あれでですか」
「よかったねえ、お客さん。3時間じゃないよ」
降車して手続きをして列に並ぶ。
やや時雨れている。
「先生、俺に体重預けて」
「ん」
一時間ほどかけてじりじりと列が進む。
途中先生が喉が渇いてそうなので飲み物を飲ませた。
「あ、おいしい」
汗、随分かいてるようだ。
体重を預けるとどうしても密着するからなぁ。
暫くしてやっと入場だ。
列の進むにしたがって見えてきた。
なるほど白菜…。
先生は真剣な顔でじっくり鑑賞している。
俺なんかはこんなもんなんで作ろうと思ったんだ…?なんて。
思っちゃってたわけだけども。
先生の鑑賞している横顔を見てるほうが楽しいわけなんだけども。
立ち止まることは出来ず他の展示物へ流れる。
先生は凄く楽しそうだ。
好きなんだなぁ。
その後常設展も巡って帰宅。
まずは先生を風呂に入れてベッドで休ませた。
流石に昨日の今日で1時間以上の待ち時間は堪えたようだ。
寝ている間においしいお弁当を買いに出た。
急いで行って急いで戻る。
そっと玄関を開けて静かに入り、冷蔵庫に仕舞った。
着物を脱いでそろりと先生の横に潜り込む。
良いにおいだ。
俺の匂いをつけて帰したくなるが。
もう一度抱いてしまったら帰れなくなるだろうな。
それはきっと叱られる。
なんて思っているうちに寝てしまい、7時前に目が覚めた。
先生を起こしてしまおう。
「ん、もうちょっと」
8時と9時に起こしたけど全然ダメだ。
諦めて先生のお宅に電話した。
起こしたけど起きない、そういうと苦笑する気配が伝わってくる。
トーハク1時間以上待ち時間があったので疲れた模様、と言えば納得されたようだ。
電話を切って一人寂しく弁当を食べる。
寝息を聞きつつ。
食べて歯を磨いてコーヒーを飲んでると起きたようだ。
「いま何時ー?」
「10時過ぎてますよ」
「あ、あらぁ?」
「弁当温めますね。それからお家には電話しておきました」
「ええっ?」
「明日朝のお稽古ないんでしょう?」
「ないわよ、ないけど…」
チン、と鳴る。
「はい、どうぞ」
冷たいほうが良いものだけを先によけておいたのでそれを盛り付けなおして渡した。
「お茶入れますね」
「ありがと…あ、あなたもう食べたの?」
「先ほど。もう少し待てばよかったな」
「起こしてくれたらよかったのに」
「ははは、3回起こしましたよ。もうこんな時間ですしね、これから帰すのは怖い」
「12時くらいまでなら平気よ?」
「俺が嫌」
ぷっと吹き出してくすくす笑ってる。
ま、納得してくれたようだ。
ゆっくりとお弁当を平らげてお茶を飲む先生はまだ少し眠そうだ。
「寝ますか」
「食べてすぐはダメよ」
眠そうなのに。
暫くテレビを見てそれから歯を磨いて先に布団へ潜った。
一人うつらうつらしているとそっと入ってくる気配。
温かくて丸みのある先生の体が俺に添う。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
懐に抱きこんで寝た。
翌朝、よく寝ている先生を置いて出勤する。
朝のうちに帰るよう書置きをして置いた。
でないと今日は先生はお稽古がある。
暇な仕事をして食事を買って帰宅した。
当然鍵は閉まっていて人の気配はない。
ちゃんと帰ったようだ。
ほっとしつつも少しさびしい。
八重子先生はうちの嫁になれば立場が安定するというけれど。
会えない日にさびしいのは一緒なんだよなあ。
後お付き合いは最低1年くらいすべきではないかと思う、うん。
だからもう少し様子見て欲しいなぁ。
ん? メールが来た。
先生が笹を飾ったようだ、暇なら来て書くようにと
あー今日は七夕か。
夕方行くと返事をして少し寝て。
おやつの時間に起きて風呂に入って着替えて、電車に乗った。
夕飯の用意はしてくれるとのことだから楽しみだ。
最近先生が作る、と言うの食べてないからなあ。
浮き浮きして先生のお宅に着く。
「あら山沢さん、さようなら~」
月曜の生徒さんと玄関前でかち合った。
挨拶を交わして中へ入る。
「あぁ、来たの。居間に短冊あるから書いてね。ご飯は今から作るから」
「はい」
鞄を置いて居間に入ると机の上にいくつか短冊、そして硯と墨と筆。
んん、何を書こうかな。
一人3枚までとか書置きしてあるからとりあえず1枚は上達に関することを。
もう1枚はやはり仕事かな。
後1枚には先生とのことを書きたいが人目に触れてはいかん物はかけない。
けど書かないと拗ねられる気がする。
暫く悩んで書き始めた。
笹に括りつけて手を洗って台所へ。
「書けたの?」
「括りつけときましたよ」
「ご飯もうちょっとだから待ってて」
「あんた律に見られて困るようなこと書いてないだろうね?」
「いやーさすがにそれは書けませんよね」
笑い飛ばした。
暫くして雨に濡れた律君帰宅。
「もー参ったよー夕立」
「あら、おかえり。山沢さーーん、律にバスタオルやってくれる?」
「もう貰ったよ」
「お風呂入ったほうが良いと思うけど。凄いずぶぬれだし」
「そうね、入ってらっしゃい。ご飯まだだから」
そうするよ、と律君が風呂場へ行った。
料理の音って良いなぁ。
今日はご飯、なんだろう。
きっとおいしいものだろうけど。
「あ、ねえ、机の上片付けてお父さん呼んで来て頂戴」
「はーい」
言われたとおりして、呼びに行って戻ると配膳されていた。
うまそう。
「律が戻ったら食べましょ」
皆が席に着いて律君がタオル片手に戻ってきた。
いただきます。
うーん、やっぱりうまい。
胡瓜の酢の物に俺にはなますもつけてくれた。
暑いからさっぱりしたものが良いでしょ、と律君に言ってる。
珍しく揚げ物が並んでいる。
暑いのによくやるなぁ。
と思ったらフライパンで揚げ焼きにしたらしい。
その手の絆創膏はそういうわけか?
ご飯の後聞いてみたら違った。
朝、庭で転んだらしい。
「庭のつっかけが壊れちゃったのよね」
「でどうしたの?」
「お昼に買ってきたわよ」
「手はよく洗いました? 流水で」
「兄さんがいたからホースでしっかり洗ってもらったけど…痛かったわよー」
「でも土は良くない菌が一杯いますからね」
「うん、兄さんもそういってたわ」
「お昼って開さん何しに来てたの? お母さん」
「蔵の鍵貸してっていってたけど…何してたかは知らないわ」
少しお酒を取ってきて縁側に移動した。
「あまり見えないわねえ」
八重子先生が蚊取豚に線香を仕込んでくれた。
先生はうちわ片手に足を崩して俺にもたれてる。
律君も少しだけ飲んで、レポートがあるからと部屋に戻った。
もたれてたのがいつしか枕にされて、可愛いけど困るな。
このまま泊まるなら問題ないけど明日も仕事だし。
小一時間ほど寝かせて八重子先生が起こした。
「あんたそろそろ山沢さん帰さないと。これ、起きなさい」
「ん、もうちょっと」
「これ、絹、起きなさい」
「まぁ10時くらいまでなら何とかなりますから、電車」
「すまないねえ」
ゆったりした時間が流れ、先生が目を覚ました。
あふ、とあくびをして。
「さて、起きられたようですので私はそろそろ」
「あら帰っちゃうの?」
「絹、あんたもう11時半だよ。終電なくなっちゃったらどうするんだい」
「最近お疲れですね」
頭をなでて手を離させた。
「気をつけて帰ってね。明日またお稽古来るのよね」
「来ますよ勿論」
八重子先生が台所に消えた隙に軽くキスした。
頬が赤くなって可愛い。
「じゃ、また明日」
「ん、またね」
「八重子先生、失礼しますねー」
台所に声を掛けて玄関を出た。
振り向くと軒先で見送ってくれている。
手を上げたら先生も手を上げて。
戻りたい気分を抑え、帰宅し、すぐに職場へ向かった。
さすがに暇とはいえ、いやむしろ暇だからこそ徹夜で仕事は辛い。
好きでもない相手のことでこうなったなら随分腹を立ててただろう。
6時半頃、先生から仕事頑張ってるか問うメールが来た。
今日は暇すぎる、と返事をした。
台風の所為で南の方からは荷物が来ないときている。
冷凍庫の在庫整理などを暇つぶしにしていると売る当てのなくなった食材が出てきた。
売っぱらうかそれとも買って先生のところへ持ち込むか。
悩んだが買って帰ることにした。
冷凍だから保冷剤を沢山入れた密閉箱に入れなくては。
あの家なら炭が有るからいざとなりゃこれを焼けば暫く食えるし。
帰宅して風呂入って着替えて先生のお宅へいき、冷凍庫にしまった。
昨日の笹はもはや片付けられて先生の談笑する声が聞こえる。
柔らかい声に心が浮き立つ。
「先生、先生のお兄さん山沢さんと結婚なさるんですって?」
「あら、ほほほほほ、まだそこまでは」
なんて話題だ、顔が出しにくい。
帰られるまで部屋で待機しておこう。
暫くして玄関の締まる音がしたので居間へ顔を出す。
「あら来てたの?」
「話題が話題だったので隠れてました」
「その方が良いわ…もう、困ったわよ」
取敢えずはと先生がお昼を食べてる間にお稽古の準備をして生徒さんと先生を待つ。
暫くして先生が戻って生徒さんも来た。
台風の間はお稽古休みかどうかを聞く生徒さん多数。
これなさそうならお休みの連絡いただけるよう、で落ち着いた。
今は台風はどんなものだろうな。
お稽古は進み俺のお稽古もつけていただいてお夕飯をいただいた。
結構この家にいると先生の作るご飯より八重子先生のご飯を頂く機会が多い。
今度先生にねだろう。
昨日うまかったし。
先生はお風呂に入った後ドラマを見ていて部屋に帰る気配はない。
八重子先生から風呂入れ、と言われた。
シャワー浴びてきているが確かに湿気て汗をかいている。
入らせてもらおう。
暑いけども湯船にはいるとやはりくつろげる。
自宅では湯船には入らずいつもシャワーだからかな。
風呂から上がってもまだドラマを見ていた。
暑くて襟元をくつろげてうちわを使う。
CMに入ってこちらを見た、と思ったら叱られた。
お父さんがが部屋にいるのにって。
いや孝弘さん全然興味ないから問題ないでしょ。
「律が戻ってきたら困るでしょ。律が」
なるほど。
っとCM終った。
仕舞いなさいよ、と言ってTVに向いた。
11時までのようなので戸締りと火の始末にかかる。
戻ればそろそろ終盤だ。
孝弘さんは部屋に帰ってしまった模様。
仕方ない、先に布団敷いてこよう。
暫くして先生が部屋に来て布団に潜り込む。
大あくび。
「先に寝るわよー」
「え、あ、はい…っておーい…」
寝息立ててるよ。
頬をつついても起きないし。
何か疲れてるのかねえ? やらせろよー…。
とは思うものの寝てる女抱いてもあまり面白くはないし。
俺も昨日は寝てないし。
寝るか。
おやすみ。
翌朝、先生は早くに目が覚めたようだ。
ご飯を作るにも小一時間ある。
なので…抱いた。
「朝からダメ…」
っていうけど気持ち良さそうだ。
終った後ホットタオルを作り体を拭いて。
足の指の間まで拭き終えてタオルを洗いに立った。
ざっと下洗いして洗濯籠へ。
部屋に戻ろうとすると先生が洗顔しに来た。
俺の胸に手が伸びて乳首をつねられてしまった。痛い。
後はいつものようにご飯を作って食べ、家事を手伝ってお昼も夕飯も頂いて帰宅した。
平和な日常だ。
木曜日の朝、既に南の方は台風被害が出始めているようだ。
出勤してもパソコンや携帯で台風情報を見たり。
そんなことが出来る程度には暇なんだよな。
こちらに来るのは明日かぁ。
今日のお稽古は行けるし帰れるが明日は先生たちどうするんだろう。
俺が行っても今度は帰れないとなると仕事が困る。
暇ながら仕事が終わり、先生のお宅へ。
お稽古。
台風の話題で持ちきりだ。
まぁこんな日じゃね。
俺はちょっとアレでだるい。
と言うのもあり、先生も諦めて今日は半分サロンモードだ。
お稽古の時間も過ぎて居間のテレビをつける。
今晩は近畿か。
夕飯を取った後ニュースを見ると早くも和歌山を通過したらしい。
「あんた強風圏に入ったって行ってるから早く帰りなさい」
「雨戸打ち付けたりしないで大丈夫ですか」
「大丈夫だよ、昼に孝弘さんにしてもらったからね」
おお、孝弘さんをコントロールしてる。
どうやら食い物で釣ったらしい。
だろうなぁ。
明日の朝6時ごろ、関東に来るようだ。
「気をつけてくださいね。何かあればすぐ連絡下さい」
「あなたもね、気をつけて頂戴」
「ありがとうございます。じゃ…」
帰りたくないなぁ。
土砂崩れとか心配すぎる。
渋々帰る俺を先生が見送ってくれた。
電車に乗って帰宅するしたものの…心配で困ったな、寝付けないぞ。
テレビをつけたままうとうとと寝る。
幸い出勤時刻頃には雨も終わり、仕事が終わるころには温帯低気圧になったようだ。
職場を出てみれば良い天気である。
なんだったんだ。
先生からメールがあって何事もなかった由。
だろうなぁ。
今日は暇だからジムに行く旨メールした。
"がんばって"と珍しく絵文字がついてきている。
何か可愛らしくてほんわかしつつ、がっつりとトレーニング。
アレのときに出る無駄なやる気の消化だ。
いや暫く行ってないと駄目だね。
シャワーを浴びて帰宅してベッドへダイブ。
寝転んだままメールチェックをすると先生はお友達と遊びに行っているようだ。
あーこれじゃ明日もさせてもらえんなあ。
きっと疲れて駄目だって言うはず。
たまにはしょうがないか。
理由、今回はわかってるんだし。
眠気がきたので寝た。
次に目が覚めたのは先生のメールの着信音でだ。
お友達とのお夕飯、らしい。
俺には報告するほうが後々こじれないのがわかったようだ。
遊びに行くと最近はこのようにメールが届く。
俺も食うとするか。
外は雨が降り出した。
職場で作ったハモの落としと酒でいいや。
一杯やっていると玄関から物音?
「ただいまぁ」
「あれ、いらっしゃい。どうしたんです?」
「降られちゃったの、雨宿りさせて頂戴」
そういって着物を脱いでハネが上がってないか確認し始めた。
それが終って居間へ出てきて俺の食事を見た。
「あなたねぇ…またこんな…」
「ま、先生も一つ飲みませんか」
ぐい呑みを渡して注ぐ。
ちょっとだけ、と飲ませれば先生の頬はほんのり桜色だ。
先生の前に座る。
「足、出して」
「なぁに?」
足袋を脱がせてマッサージ。
気持ち良さそう。
暫く揉んでると眠そうだ。
「泊まっていきますか? 朝帰れば間に合いますでしょう?」
「何もしない?」
「して欲しければしますよ」
「しなくていいわよ…」
笑って揉み終えて電話を渡す。
「おうち、電話して」
その間に手を洗って台所を片付けた。
電話をしているその背中もマッサージ。
微妙にだが声が震えている。
気持ち良さそうなので腰へも手を伸ばし揉み解す。
電話が終った。
「もうっ気持ち良いけど変な声出そうだったじゃない」
ははは、と笑って先生が着替えるのを見る。
「ベッドで尻と太腿もほぐしてあげますよ」
あ、顔赤い。
先生をベッドにうつ伏せにさせ、さっき触らなかった部分をゆっくり解す。
尻や太腿の付け根は少し感じてしまうようで困った顔をする。
ただし今日は抱いてといわれないならしない気だ。
解すだけ解して後は撫でて緩めた。
少し迷うような顔をしているが、とりあえずトイレに立って戻ると眠そうだ。
横にもぐりこんで頭をなでていると寝息になった。
可愛いな、お休み。
俺もお休み。
夜半、起床する。
出勤の支度を整えていると先生がトイレに起きた。
「ねぇ、もう行っちゃうの?」
「そろそろ時間だからね。昼にはまた逢えるよ」
それでも昼間は出来ないディープキスをして胸をまさぐり先生を少し煽った。
もしかしたら今晩、とちょっと期待したのもある。
「じゃ仕事行くから。ちゃんと寝ておいで」
布団に入れて頭を撫でて。
もうちょっと構ってたいけれど出勤だ。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
出勤して仕事に精を出しているうちに6時過ぎ、先生が帰る旨メールしてきた。
気をつけて帰るよう返信して仕事を続ける。
うん、今から帰れば余裕で朝ご飯を食べてお稽古できるね。
とりあえず俺は仕事、仕事。
それなりにばたばたとして気づけばもう良い時間だ。
客も途切れた。
仕舞うとするか。
さっさと片付けて持ち帰る食材を探す。
うーん、海ぶどうなんて一般では使いにくいし。
今日は台風の所為で北のものも南のものもまだ入荷が少ない。
ハモすらあまりないときて。
サワラでいいや。
半分を切って幽庵地を作り漬け込んだ。
後の半分は普通に焼いて貰おう。
作業を終えて車に積み込む。
そうこうしている間に仕入れと売り上げのリストが出た。
つき合わして訂正を頼む。
事務からOKが出て帰宅し、風呂に入り服を着て車に乗り込んだ。
一路、先生のお宅へ。
到着して荷物を台所へ持ち込む。
八重子先生がお昼の支度をしてらしたので丸投げだ。
「あ、山沢さんちょっと」
先生が先にこちらを見つけた。
「お水屋はしておくから頼みがあるのよ」
「なんですか?」
「これ使ってあの桐の横にある松の虫、どうにかしてくれない? うまく掴めなくて」
ピンセット? 虫? えー…。
「ね、お願い」
拝まれてしまった。
「仕方ないなぁ…」
「これ、持って行って」
紙袋。虫を入れて捨てるわけか。
庭に下りて言われた木を探す。これか。
う、凄く多い。
やだなー…と思いつつピンセットで一匹ずつ取って袋に落とす。
気持ち悪いよう…。
げんなりしつつ大方取り去り角度を変えて眺め回す。
いるいる、まだいる。
頑張って取り去った。で、この紙袋どうしよう。
…鳥、食わんかな。いや目の前で食われるのは気持ち悪い。
しばしたたずむ。
遠くで車の音、そうだ。
道路に出て行き車の轍跡に置いた。しばし待つ。
3台ほど通り過ぎ綺麗に轢き潰されたようだ。
中身の見えない袋に入れ口を括って捨てた。
戻ってよく手を洗い一応髪をとかしてから着替えた。
既に生徒さんが来ている。
「遅くなりまして」
さっと水屋を確認して次の用意をする。
生徒さんが途切れたときにどう始末したか聞かれたので教えた。
ちょっと引いてるようだ。
その後もお稽古は続き俺のお稽古へ。
今日は盆点。
色々忘れてることがあって叱られたがしょうがない。
先生と水屋を片付けてる途中キスされた。
「ここで抱かれたい?」
「ち、違うわよ、つい…」
「俺は一度くらいしてみたいけどね」
「駄目よ」
頬を染めて可愛いなあ。
「ほら早く片付けましょう。八重子先生が律君を呼んでる」
「あっ、そ、そうね」
「今晩はあちら行きましょうか」
「えっ」
手が止まって耳まで赤い。
「声、聞きたいしね」
ごくり、と先生は唾を飲み込んだ。
「ばか…恥ずかしいわ」
のの字を書くようにしてる先生をほっといて片付け終えた。
手を取って立ち上がらせ、夕飯を取るべく移動する。
部屋にはいると俺の手を離し、女から母親へ意識を切り替えたようだ。
表情が違う。
切り替え上手でうらやましい。
ご飯を食べる。
サワラは照り焼きに化けたようだ。
俺には豚の生姜焼きがついてきている。
うまい。
「もっとお野菜も食べなさいよ」
注意を受けて菜っ葉を食べる。
お揚げと炊いてある。だしがしみてうまい。
幸せだなあ。
すっかり満腹になってお片付けを引き受けて台所へ。
洗い物をしていたら律君が来た。
コーヒーのボード片手に悩んでいる。
「山沢さん、これ、一番苦くのないのってどれですか」
「そうだなぁこのへんはどうかな。こっちは普通のサイズ、これはエスプレッソがお勧め」
うーん、と悩んで両方作って持って行った。
俺は今日は酒が良いなぁ。
洗い物を終えて居間に戻り先生を誘った。
「八重子先生、酒飲みたいんですけど先生連れてって良いですか」
「ここで飲んだら良いじゃない」
「律君に絡んで良いのなら」
「えっ僕?」
「それは困るわねぇ」
「行ってきたらいいよ」
うんうん、と律君もうなづいてる。
「しょうがないわねえ」
「じゃお酒取ってきますね。行きましょう」
冷蔵庫でよく冷やしたお酒を持って先生とあちらへ行く。
途中近所の人に会い先生が立ち話を始めてしまったものの、時間も遅いのですぐに別れた。
部屋にはいるとまたシーツの色がピンクに戻っている。
あ、クッションもピンクだ。
とりあえず着替えるか。
先生を脱がせると少し恥ずかしげだ。
うん、いいね。
着替えるのやめて抱こうか。
先生の帯と着物を衣桁にかけて俺も着物を脱いだ。
「おいで」
肌襦袢姿の先生を引き寄せてベッドへ。
ハ、とつく息が既に熱い。
「したかったんでしょう?」
こくり、とうなづいて顔を背けた。
恥ずかしいらしい。
紐を解いて更に脱がせた。
胸が大きく上下に動いて息が荒い。
昨日や今朝煽ったのがうまくいったようだ。
ちろりと乳首を舐めるとびくっとしてしがみついてきた。
可愛いねぇ。
そのままいつものように抱くといつもよりは先生の反応が強く。
ぎゅっと俺に抱きついてくる。
軽く一度逝かせ、脱力した先生に寝巻を着せると怪訝な顔をしている。
「お酒、飲みましょう」
少しエアコンをかけて先生をクッションに座らせコップを出して注いだ。
「ありがと」
俺は手酌で。
先生は喉が渇いていたのかクイッとコップの酒を飲み干した。
新たに注ぐとそれも半分ほど。
結構に強い。
俺がコップを空けると注いでくれた。
美人にお酌してもらえる幸せ。
呑みつつキスしてくる。
まだ足りないようだ。
そのまましようとすると床は嫌だというのでもう一度ベッドへ。
「寝巻、着せなくてもよかったかな」
「裸でお酒飲むのはいやだもの」
「俺はそれも色っぽいかもしれないと思うけどね」
ただし恥ずかしそうにはしてて欲しいかな。
大股開きでガバガバ飲まれちゃ興醒めだとは思う。
キスしてゆったりと抱く。
物足りなさに焦れるのが可愛くて。
もっと焦らせたくなる。
まぁあまり焦らせるのも可哀想だから適度に逝かせた。
息が整ったようだからとキスをして上に乗せて背中をなでる。
気持ち良さそう。
暫くしてお風呂入って戻りましょ、と言われた。
完全に落ち着いたようだ。
二人で入るとまたしたくなるから、と俺を置いて一人で風呂に行った。
一緒に入らなくとも一緒に寝るから同じだろうに。
脱いだ着物は明日取りに来ることにして新しい浴衣を出した。
暫くしてすっきりした顔でその浴衣を着て出てきた先生に早く入るよう言われた。
湯上り姿も色っぽくて良いな。
風呂に入って汗を流し裸で出た。
「浴衣出してあったでしょ?」
「まだ暑いから」
どっかりと座ってある程度冷えるのを待つ。
うちわで先生が扇いでくれた。
「早く着ないと襲っちゃうわよ? ふふ」
そういって俺の胸を弄る。
「そんなこと言ってるともう一度しちゃうよ?」
「あら」
手が引っ込んだ。
残念。
何とか汗が引いたので浴衣に着替え、もう少し酒を飲んでから戻った。
「お帰り。泊まらなかったの?」
「まだ起きてたの? もう遅いから寝なさい」
「うん」
「おやすみ、律君」
「おやすみなさい」
戸締りと火の元を確かめて、部屋に入り布団を敷く。
先生は大あくびをして俺が布団に入ると潜ってきた。
俺の胸を枕にすぐに寝息。
やっぱりしてから風呂入って部屋移動は疲れる?
でも汗で濡れた布団では寝たくなさそうだったしなぁ。
もう一組布団を置いて寝る前に取り替える、なんて現実的じゃないよね。
先生の寝息に引き込まれて俺も眠くなった。
おやすみなさい。
翌朝やっぱり先生は起きれなくて俺が朝飯を作る。
今日はご飯の前に八重子先生が先生を起こしに行った。
珍しい。
「今日は9時から町内の会合があるんだよ。だから絹を起こさないと」
あくびをしつつ先生が起きてきて食卓についたがまだ眠そうだなぁ。
「早く食べて支度しないと、ほら」
八重子先生にせっつかれてる。
町内会かぁ、大変そうだな。
草むしりとか側溝は律君が出たりしてたらしい。
食後、着替えて先生が出て行った。
俺はあちらの家から洗濯物を回収して先生の着物は畳んで仕舞った。
八重子先生と家事をして先生の帰りを待つ。
昼前、まだ帰ってこないので買物に出た。
買物袋を提げて戻る途中、先生と出くわした。
「あら、なに買って来たの?」
中を見せる。
「冷麺食べたいって律君が言ってたから」
「あらー」
「何か食べたいものありました?」
「甘いもの欲しかったんだけど…良いわ」
「プリン買って有りますよ。それともホットケーキ食べます?」
「いいわよ」
「なに、俺が食べたいから先生がお相伴と言う形で」
「そう? そうしてくれるならホットケーキにしてくれる?」
「勿論。じゃちょっと寄り道してください。牛乳がない」
「コンビニ?」
「そう」
あ、わらび餅に引っかかってる。
生クリームも一緒に買うことにした。
戻って八重子先生に冷麺を頼んで俺はホットケーキを焼く。
同時にカラメルソース。生クリームも泡立てて甘めに。
「甘そうだねぇ」
「どうせなら甘いほうが良いじゃないですか」
浴衣に着替えた先生が台所に来た。
冷麺を二つお盆に載せて持って行って、またこちらへ。
孝弘さんは出かけちゃったので後はホットケーキが出来たらOK。
カラメルと生クリームとバターを先に持って行ってもらった。
よし、焼けた。
お皿に乗せて食卓へ。
「おいしそう、うふふ」
律君はうんざりした顔で生クリームたっぷり乗せる先生を見ている。
甘党ではない男の子には嫌なのかもしれない。
俺は抹茶のアイスと食べた。
俺は流石に終盤しょっぱいものが食べたくなったが先生は完食。
午後は昼寝したいというのでお付き合い。
雨気にしっとりとした肌、甘く匂う体臭に何か気が緩んで。
ゆったりと部屋で寝ていると人の気配に目が覚めた。
あ、斐さん。
視線は俺の…胸?
あぁ先生ががっちり噛んでた。
何か痛いと思ったら。
先生に用があるようなので揺り起こした。
「んー…、なぁに~」
「絹ちゃん、あんたねえ」
ちょっと呆れてる声を出しているのは寝ぼけて俺の腹を揉んでる点か?
先生の口元を手拭で拭いてあげて、俺の胸を拭く。
歯形と涎でべたべただ。まだ先生はぼんやりしてて、寝が足りない様子。
ぺたん、と斐さんが布団の横に座った。
先生はやっと意識が現実に戻ったらしい。
「あら、姉さん」
腹を揉む手も膝へ行った。
「居間行きませんか?」
「そうね」
身づくろいをさせて髪を直して。
俺は布団を片付けて行く、と部屋から送り出した。
ああ危なかった。
噛まれてる程度の時で良かった。
部屋を整えて居間に戻る。
「あ、山沢さん、コーヒー入れて頂戴」
「はいはい、エスプレッソ?」
「ううん、普通のが良いわ。姉さんの分もね」
「はーい」
俺の分も入れて戻る。
「どうぞ」
「悪いわねぇ」
「いえ。あ、そろそろ買物行かないとですね、何しましょう」
ちょっと考えていくつかメニューを言われたので買物に立った。
買物から戻ると八重子先生が帰っていたので台所に二人で立つことに。
「斐、あんたご飯どうするの?」
「食べて帰って良いかしら、どうせ今日うち誰もいないのよ」
ということで作る。
結婚後に姉妹で仲良く話す機会ってあまりないだろうし。
さっと作ってご飯が炊けた頃、孝弘さんが戻ってきた。
はらへった、と言ってる。
「ちょっと待っててくださいね、律が帰ったら食べましょ」
律君待ちか、俺も腹減った。
バラバラッと音がした。
夕立。
八重子先生がタオルと雑巾を用意してる。
律君が濡れて帰った時のためか。
優しいなぁ。
がらっと戸が開いた。ナイスタイミング。
「ただいま、もー後5分降るの遅かったらなぁ」
タオルだけで済みそうだ。
じゃ食卓にご飯出しましょう。
お盆に載せておかずを運ぶ。
「あ、手伝うわ」
「いいわよ、この子に任せてたら」
「作ってもらったんだからそれくらいはしないとね」
そういっていただいたので軽いものばかり乗せて渡した。
あとはお櫃。
先生の横に置いた。
律君が食卓に着いたのでいただきます。
「あら、結構おいしいじゃない。お母さんじゃないわよね、これ」
「ほとんど山沢さんが作ってるからね、うちの味とはちょっと違うだろ」
「山沢さんの作るの、最初の頃は食べるの辛かったのよねぇ」
和気藹々とご飯を食べて、お片付けをしたらもう帰る時間だ。
今日はさらっと挨拶してさらっと帰る。
怪しまれないように。
帰宅して寝るころ、先生からメール。
斐さんが帰られてちょっと疲れたらしい。
俺ももう寝るから早く寝るように、と返事をした。
一緒に寝れたら一番なのだけどそうはいかない。
そうするわ、おやすみなさい。そうメールが返って来た。素直でよろしい。
おやすみなさい。良い夢を。
翌日は稽古もないし仕事が終わり次第京都へ立った。
何って祇園祭関係の茶菓子を一通り買う気でだ。
先生は昼寝をしたかったようだがお稽古があるから眠くても頑張ってるらしい。
デパートの地下でがっさりと沢山購入した。
明日の夕方までとの事なので余裕だ。
東京へ引き返して車に乗り換え先生のお宅へ行く途中メールが来た。
夕食の写真とともに食べたら寝ると。
俺の胸で寝たい、なんてメールに書いてきたので消すよう指示して。
嬉しいけどさ、一応不倫だし見られて困るメールは駄目だよね。
メールがやんだ。
拗ねちゃったかな?
5分ほどして到着し玄関を開ける。
ガラガラッ。
「お今晩はーお邪魔します」
「はーい…えっ山沢さん…どうして? えっ?」
「これどうぞ、祇園祭の菓子です」
「いいの?こんなに」
「アソートしてみました、今おやつにされるもよし、明日お稽古に使うもよし」
「あら山沢さんじゃないの。どうしたの」
「京都の祇園祭にちなんだ菓子、買って来ました」
「おばあちゃん、ほらこんなに沢山よ」
「凄いわねぇ。あらあんたお夕飯は食べたの?」
「帰ってから食おうかと」
「食べて行きなさいよ。あと出来たらで良いんだけど…」
「ありがとうございます。なんでしょうか」
「一緒に寝てやってくれる?」
「ああ、はい」
先生が俺の分としてパスタを用意してくれた。
鮭とネギのしょうゆバター。それと八重子先生の煮物。
おいしい。
ご馳走様をするころには先生の上体が揺れている。
「後片付けはしておくから。寝かせてやって」
「はーい」
満腹のまま先生を部屋につれて入り懐に抱いて少し寝た。
5時間たっぷり寝て先生の横から脱出し着替えてそっと玄関から出た。
外から鍵を閉めて帰宅する。

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