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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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車で来て正解。
電車だと1時間半早く出なきゃいけない。
家に帰って1時間半なんて寝た気もしないし。
そのまま出勤し仕事。
朝から暑い、たまらん。
やる気なく暇な火曜日で客も定休日が多い。
だらだらと仕事を終え先生のお宅へ向かった。
「いらっしゃい、あなた昨日いつのまに帰ったの?」
「こんにちは、12時くらいですよ。よく寝ておいででしたよ」
鞄を置いて水屋を整え、待つ。
生徒さんも来られて御菓子は…うん、昨日の。
楽しそうだ、先生も生徒さんも。
お稽古が終った後、俺にはチーズケーキをくれた。
濃くてうまい。
「ご飯前だけど、おいしいですね」
「あ、そうだったわね。一つだけね。あとはご飯済んでから」
頭をなでられてしまった。
夕飯に期待しつつ食卓を片付ける。
今日はぶりの照り焼きがメインにカボチャの煮物や切り干し大根、お味噌汁。
それと揚げの炊いたんに蕗が入ってる鉢。
俺へはぶりの変わりに鶏の照り焼き。
八重子先生の作る飯はおいしい。
おいしくいただいてご馳走様をして洗い物にかかる。
先生が台所に来て俺の背に手を置いて甘えてきた。
「もうちょっと待って。眠いんですか?」
「わかる?」
「手、あったかいですし」
「ごめんね…出来ないの…」
「眠いなら仕方ないかな」
片付け終えて居間に先生を置き、布団を敷いて戻った。
「寝ますか?」
「うん。じゃおばあちゃん、お先に」
「おやすみー」
「あんたも早く寝なさいよ、おやすみ」
「おやすみなさい」
部屋で着物を脱いで着替え髪も解いた先生はやはり色っぽくて。
抱いちゃ駄目とはやはり辛いね。
懐に抱いて背中をなでると入っていた力が抜けてすぐに寝息を立てる。
熟睡し始めたら居間へ行ってお茶でも飲もうかな。
流石に今寝たら朝日が昇る前に起きてしまう。
とか思いつつも先生の体の感触や寝息、匂いに意識が飛んでいつしか寝てしまった。
まぁ結局一般的には夜中と言われる時間帯に目が覚めてしまったわけだが。
気持ち良さそうに寝てるなぁ。
少し悪戯心が沸く。
そっと胸に手を滑り込ませ胸をやわやわと揉む。
良い感じにまだ寝てる。
やはり興奮してない時に揉んでもたいしたことはないようだ。
だったら俺が満足するまで触ってても良いかな?
起こさないように気をつけながら。
気持ち良いなぁ、先生の肌。
伊達締めをほどいてお腹や毛、その下もまさぐる。
あれ? ぬめってる。
…普通の寝息、だよな。
感じてるという風もない、が。
反応はしてるのかな。
これだけ濡れてたら良いか…入れても。
いや、流石に入れたら起きるよね。
折角寝てるんだから起こすのは忍びない。
ぬめった指は舐め取って着せなおそう、うん。
ごそごそと着せて伊達締めを結んで。
「うぅん…ん?」
あ、起きた。
「何してるの?」
「あー…ほどいたから結んでる?」
「…触ってたのね?」
「はい」
むぎゅっと鼻をつままれた。
「寝てるのに変なことしないで頂戴」
「うー」
「うーじゃありません。寝なさい」
「はい…」
怒られてしまった。うーむ。
仕方なく抱きかかえて寝る努力。
先生は本当にすぐに寝息を立ててる。
可愛いな。
まあそのままうつらうつらと夜明けを迎えた。
さて、メシ作ろう。
そっと枕にされてる腕を抜いて身づくろい。
台所で支度をしてると八重子先生が起きてきた。
「おはよう。相変わらず早いねえ」
「昨日早く寝てますから」
暫くして先生。
「ねむーい…」
「あんた早く寝たじゃないの」
「だって夜中この子触るんだもの。起きちゃったわよ」
「すいません。もうちょっと寝てても良かったんですよ」
「もういいわよ」
朝飯を出して皆で食べて。
律君が学校に行ったあと先生が洗濯をする。
その間に俺は草むしり。
そろそろお昼ご飯と呼ばれたり、おやつの時間と呼ばれたり。
あっという間に水曜は過ぎ去っていく。
庭広いって大変だったんだな…。
ご飯前にシャワーに入るように言われ浴びた。
あ、着替え出てない。
しかたないなーとペタペタと部屋に向かって着替えて出たとこで先生に会った。
「あら、着替え出すの忘れたと思って取りに来たのに」
「遅うござった。着替えちゃいました」
「…裸で歩いちゃ駄目」
「…はーい」
「ご飯できたからそろそろ食べる? おなかすいてるでしょ」
「皆そろってからで良いですよ。それより」
ひょいっと先生の頬に手を当ててキスしてみた。
「あなたを食べたいな、なんて」
「ばか、こんな時間に…」
「うーん、先生可愛いなぁ。好きだな」
後ろ向いちゃったので抱き締める。
「良い匂い」
「汗臭いでしょ…」
うなじにキス。
「臭くないよ」
すっと胸に手を差し入れて軽く揉んだ。
「駄目よ」
「わかったよ、明日。うちに来るかあちらで」
「そうね。それがいいわ」
離したくなかったが玄関で物音がしたので諦めた。
ささっと先生が胸元を直し終えて一緒に居間へ行く。
「おかえり、律」
「ただいまー。もー暑いよ、外」
「あんたもシャワー入ってきたら?」
「そうする」
「着替え持って行くのよー」
「んー」
律君が部屋に行ったのを見て早くも食卓におかずを出そうとする。
「待たなくて良いんですか?」
「すぐ出てくるわよ」
配膳してしばし待つとタオル片手に戻ってきた。
本当にすぐだな。
「お父さんは?」
「いらないんですって。じゃいただきましょうか」
4人で食卓を囲み団欒を享受する。
いいなぁこういうの。
ご飯を食べて一服したら帰宅、家の中が暑い。
クーラーをうんと効かせて就寝。
寒くなって目が覚めたがどうせそろそろ起きる時間だ。
支度をして出勤。
いつもの暇な木曜日。
だらけつつも仕事をしてるとメールが来た。
夜に来客のため遊べない旨、先生から。
残念だ。
土曜日の夜に回収するかな。
昼前に仕事を終え、帰宅して先生のお宅へ。
お稽古を手伝い、自分のお稽古をつけてもらっている時に訪なう声。
来客、だな。
八重子先生が応対している。
俺へのお稽古が終ったので水屋は引き受け先生を送り出した。
「勝手に帰りますから。構わなくて良いですよ」
「ごめんね。じゃ」
「ん、また明後日来ますから」
頭を一撫でして先生は居間へ行かれた。
俺はゆっくりと水屋を片付けてから帰宅。
今日はタイマー設定してあったので極楽だ、部屋涼しい。
シャワーを浴びベッドにもぐりこんだ。
おやすみなさい。
朝。起きると先生が横にいた。
またか…。
多分終電でうちに来たんだろう。
来客は夜には帰ったのかな。
頬を撫でて出勤の支度をして置いて出た。
暇だから本当なら会社を休んで一日、先生と遊びたいが…。
会社勤めの悲しさ、勝手にゃ休めない。
いや自営業でも勝手休みは中々難しいご時勢だろうが。
仕事を頑張って昼前に帰宅した。
電気がついていない…。
帰ったか、寝ているかどっちだろう。
玄関を開けた。草履がない。
帰っちゃったか…。
ちょっとがっくりした。寝に来ただけか。
腹減ったなぁ…。
シャワーを浴びて風呂から出ると台所から物音。
覗き込むと先生がいた。
「帰ったんじゃなかったのか」
「買物行ってたのよ。冷蔵庫何も入ってないじゃないの」
「週の半分以上あなたの家で食ってるからね」
「お昼簡単なものだけど作るから。服着なさいよ」
「んー」
もそもそと着替えるとすぐ、出来たわよと声がかかる。
「今日は冷製パスタね」
さっぱりとうまそうだ。
オリーブオイル多目にトマトとバジルとなんかの葉っぱ?
「有機ベビーリーフが売ってたのよ」
なるほど。
食べると少し塩は薄いものの冷たさが嬉しい。
そしてアイスコーヒー。
体の中から冷える。
クーラーの設定温度が高めなのはそういうことか。
ごちそうさまをして洗い物をしていると先生が寝巻に着替えている。
片付け終わったのを見て先生が手招きして寝室に入った。
していいんだな?
明日俺も仕事で先生もお稽古なのはネックだが…今日はペニバンを用意してみた。
ちょっと顔が引きつってる。
装着したまま挿入はせずゆったりと抱いているが気になるようだ。
「入れてあげよう」
「やだ…」
「というかたまには入れさせなさい」
真っ赤になって身を縮めている。
「無理強いしないと駄目なのかな?」
あ、うなづいた。
「恥ずかしいから出来ない?」
再度うなづく。
そういうとこ可愛いよなぁ。
「今更恥ずかしがらなくても良いじゃないか」
「でも…」
ひょいと先生の片足を肩に担ぐ。
「やっ、やだ」
あてがいゆっくりと擦り付けると腰が前に出てきた。
体は正直だ。
じっくりと入れていく。
ん、もう入らないな。
「ほら、入った。動かすよ」
蠕動を繰り返すと喘ぎ声が出る。
先生の良いところを狙いつつ逝きそうな所でやめた。
「あっ、なんでっ」
「んー?ふふ、動いて欲しい?」
「やだ、ちが…」
「動いて欲しけりゃ言いなさい、じゃないとこのままだよ?」
体が治まらないよう適度に動いたりして焦らす。
「あぅ、お願い、もう…」
「なにかな?」
「お願いだから、最後までして…あっ」
一挙に追い詰めて昇り詰めさせた。
言葉にならない声が沢山出て、俺の足に先生の足が絡みつく。
ぎゅっとしがみつかれつつ暫く腰を動かすとひときわ強くしがみつかれた。
逝った様だ。
入れていたものをゆったりと動かす。
徐々に脱力してきた。
整いかけた息をまた乱させる。
再度逝かせて抜いた。
外してから寝転がって先生を上に乗せた。
ゆっくり背を撫でて落ち着かせる。
暫くして息も整ってきたようだ。
「お疲れ様。ちょっと寝ますか?」
「うん…」
ふぅ、と息をついて寝る体制に入られた。
俺も疲れて眠くなり、そのまま寝た。
ふと目が覚めると既に外は暗く、8時を過ぎていた。
あー、メシ、なんか食わせて帰さないといかん。
冷蔵庫を漁る。
昼に先生が色々買って来てたのでそれを調理して3品ほどだが用意した。
先生を起こす。
「んー?」
「もう8時過ぎですよ。メシ食って帰らないとあなた明日お稽古あるでしょう?」
「うー…」
上体を引き起こしてもずるずると崩れてしまう。
「ほら、起きて。明日の朝帰るつもりですか?」
「そうするわー家に電話しといて」
苦笑して布団をかけて先にお宅へ電話することにした。
最近眠い眠いといってるからか、すぐにOKが出る。
とりあえずは俺だけ飯を食って残りは冷蔵庫に仕舞った。
明日の朝食うかもしれんし。
ざっとシャワーを浴び、着替えて先生の横にもぐりこんでおやすみなさい。
いつものように寝ている先生を置いて出勤した。
なんだか忙しい。
途中で気づく、そうか、三連休か。
お稽古、ないんだった。
道理でうちに来ちゃったわけだ。
忙しくて仕事が終わらない。
先生から電話が来た。
まだ帰れない、少し遅くなると伝えて仕事に励む。
やっと終ったころには昼前で。
急いで帰宅。
「ただいま」
「あ、お帰りなさい、遅かったわね。先に食べる?」
「もうちょっと待てますか? シャワー浴びたいです」
「はいはい、入ってらっしゃい」
ざっと浴びて出るとちゃんと着替えが用意してあった。
羽織って食卓につくと熱々のお味噌汁やおかずが用意されていた。
部屋も掃除されていて洗濯物も干されてる。
良い奥さんだよなぁ、先生。
「ありがとう」
炊き立てご飯をよそってもらってお昼ご飯をいただく。
先生が座って、いただきます。
うーん、うまいなぁ、メシ。
「今日はどうしたの? いつもより遅かったけど」
「すいません、三連休と言うことで忙しくて。久々に忙しいから焦りました」
「忘れてたの? じゃ今日お稽古だと思ってた?」
「勿論。帰ったら先生はとっくに居ないって気でいました」
「だから昨日帰らそうとしてたのねえ」
「だって朝からお稽古のつもりでしたし」
「でもご飯食べたら帰るわよ?」
「えー」
「灰、しなきゃいけないもの」
「あー…そういえば土用ですか、もうすぐ」
「そうよ」
「手伝いますから一緒にいても良いですか」
「あら。嬉しいわ」
じゃメシ食ったら土弄りできるような服持って先生の家に行こう。
「着替えてから来たら良いじゃないの。時間の無駄だわよ」
それもそうか。
ご馳走様をして洗い物をしたら服に着替えて車に乗り込んだ。
先生を後部座席に乗せひた走る。
「このままどこか遠くに行きたいわね。折角のお休みだもの」
「そうしてもいいんですけどね。俺は」
「でも駄目ね、お母さんだけじゃもう出来ないものね」
先生は溜息一つついて。
「まぁ俺はね、あなたがそう思ってくれたんで良しとしますよ」
「ごめんなさいね」
「早く終わるようならどこか行きましょう」
「そうね」
途中で検問。呼気。
こんな時間から? と言うと三連休だから昼酒飲んで走るのがいるらしい。
あと脱法ハーブ。
「そんなことして何が良いのかしらね」
発進してから先生がぽつりと言う。
「どうせエロにでも使うんでしょう。昔からsexと麻薬は切っても切れませんからね」
「そうなの?」
「シャブをコンドームの上から塗ってね、ぶち込むんですよ。
 するとそれなしでのsexじゃ逝けなくなるって話がありましてね」
「えっ…」
「あなたにゃしませんよ」
「…ちょっと待って、持ってたりするの?」
「今持ってませんが簡単に手に入ります。あえて脱法ハーブ選ぶメリットがない」
「そんなに?」
「ああ、単純所持で捕まらないメリットはありますが…。
 脱法ハーブで死んだり後遺症残るくらいなら古い麻薬のほうが安全性は格段…」
「え、そうなの? そんなに違うの?」
「あのですねぇ、昔からある奴はいわばたくさんの人体実験の上で、
 何がどう残るかわかってる薬物です。どれを選ぶかは本人次第。
 脱法ハーブはどうなるかわからないんです。
 吸った時問題なくても翌年に脳みそが溶けるかもしれない」
「溶けるの!?」
「シンナーは溶けると有名です。そういう人学校にいませんでした?」
「居たかもしれないけど知らないわ」
「でしょうね、あなたにそういう友達は似合わない」
「あんたにはいたの?」
「いますよ。第一。市場自体そういうやつらの受け皿ですよ、若い子のね」
ふと笑ってしまった。
「なぁに?」
「いや、俺の場合周囲がこうだからかさっさと風俗遊びもしてましたけど…。
 あなたがね、Mだなんて思ったとしてもそういうお店いけなくて苦しいだろうなって」
「うーん、そうねぇわたしがMって若い頃に思ったら、と言うことよね?」
「ええ」
「多分…ううん、絶対いけないわよ」
「もしか若い頃にあなたと出会ってたらどうなってたでしょうね。もっと酷くしてたかも」
「怖いこといわないで頂戴よ」
「今はもう手加減できるようになりましたからねえ」
「してくれてても怖いのに」
そうこうしてるうちに到着。
「ただいまぁ」
「ん、早かったねえ、おかえり。なんだあんた連れてきたの。いらっしゃい」
「お邪魔します」
「うん、灰、この子にも手伝ってもらおうと思って」
「そりゃいいね。着替えといで」
先生が着替えられる間にお茶を頂いた。
八重子先生もしっかり日に焼けない工夫をされて庭へ。
まずは灰を篩う。
「今日はもうこの時間だからね、篩うだけ篩うよ」
三人で庭で篩う。日陰に椅子を置いて。
家ん中でしない理由わかった、灰だらけになる。
すべて終ったころには日が暮れかけていた。
「あんた顔洗っといで」
手拭で顔を覆ってたのは日に焼けない工夫じゃなく灰をかぶらない工夫だったそうだ。
そのまま庭の水栓で洗う。ぬるぬるする。アルカリか。
「山沢さん、服洗うから上がって脱いで頂戴」
「ここで脱いではたいてからのほうが良くないですか」
「だめよ、人が来たらどうするの」
しょうがないのであちこちはたいてから上がって、脱いだ。
洗面所に行って洗顔料を使って顔を洗いなおすとやっとぬるつきが取れた。
「ごはんどうする?」
「今から作るのも面倒だね、なんかとろうか」
「そうねぇ」
「この間ほら、広告入ってたろ、パエリア」
「それがいいの?」
「肉の入ってる奴も有ったから良いんじゃないかねぇ山沢さんも」
「山沢さーん、パエリアで良い?」
居間からの声に答える。
「良いですよー、何でも」
先生があれやこれや決めて電話した。
「30分くらいですって」
「ああ、じゃ私先にシャワー浴びてくるよ」
「はーい」
八重子先生が風呂から上がって一服してると届いた。
サラダといくつかのサイドメニュー。
おいしく頂いて満腹で先生は少し眠そうだ。
「あぁ、ほら、お風呂入ってきて。じゃないと汗で痒くなるでしょう?」
「ん、そうね。入らないと」
あふ、とあくびをして風呂に行かれた。
「風呂場でそのまま寝そうだねぇ。あんた一緒に入っといで」
八重子先生に言われて風呂場へ行くと先生の着替えも出てない。
部屋に一度行き布団を敷き、先生の分も着替えを持って風呂に行く。
先生は風呂の中でぼんやりしてて俺が後ろに座るともたれてきた。
「もう洗ったんですか?」
「まだよー」
「じゃ洗ってあげますね」
体を泡で洗って髪も丁寧に洗う。
気持ち良さそうで、もう寝そうだ。
「もうちょっとだけ起きててくださいよ」
「んー」
全部洗って拭いて。
髪をタオルで包んで布団に転がす。
バスタオルを枕にして。
戻って俺も頭と体を洗った。
居間へ寄って戸締りをしてくると声を掛け、玄関を確かめてお勝手にまわる。
八重子先生が火の元の確認をしている。
「絹は?」
「寝ちゃってると思いますよ。ドライヤーしてないんでしてあげないと」
「甘やかしてるねえ」
「ですねえ」
頭をなでられた。
「あんたもちゃんとあの子に甘えてる?」
「ええ、十分に」
「ならいいけどね」
鍵を確かめて居間に戻る。
「じゃもう寝るよ。明日は早いからね」
「はい、おやすみなさい」
「おやすみ」
ドライヤー片手に部屋に戻ると先生はすっかり寝ている。
優しく髪を乾かしてから俺も横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。
翌朝、食事を取ってすぐに昨日の服を着て庭に下りた。
俺たちが風呂に入ってる間に八重子先生が干してくれてたらしい。
「今日は洗うわよ。はい、これ」
「ゴム手?」
「灰汁でぬるぬるするから使わないと痒くなるわよ」
なるほど。
あとは先生の指示に従って洗って洗って水を替えて。
茣蓙の上に水を切った灰を広げた。
「乾いたら番茶ね」
「とりあえずお昼だね、なんか食べようか」
軽い目のお昼ご飯を食べて
番茶を沸かして回しかけて更に揉む。
何とか日の照っているうちにおおよそ乾いた。
「やっぱり山沢さんいると楽だわねえ」
「そうねえ、助かるわ。律にいつも手伝ってもらってたけど」
服を着替えて先生とお買物へ。
流石に二日続けて店屋物は食べたくないらしい。
でも三人だから簡単にと炒め物にした。
ササッと炒めて食べる。
「たまにはこんなのもいいね」
「ねぇお母さん。明日始末が終ったら山沢さんと遊びに行っても良いかしら」
「いいけどどこ行くの」
「ん、どこか展覧会か何か行きたいわ」
「調べます」
「頼むわね」
にこやかな先生を見てると嬉しくなる。
「遅くなりそうなら泊まって良い?」
「はいはい、好きにしなさい」
ご馳走様をしてお風呂に入りそれから少しおしゃべりをして寝た。
一緒に寝ていると時折乳を噛まれる。
とはいえ寝ているときは血が出るほど、とまでは行かない。
起きてるときのほうが危険だ。
怒らせたりすると千切れるかと思うほど噛まれるからな。
どこで覚えたんだか。
髪を撫でているうちにまた寝た。
朝になって起きてみれば腹にも噛み痕。
先生も苦笑してる。
「夜中降ったみたいですね」
「そうみたいね、乾かしてる間に降らなくてよかったわ」
空はどんより曇り空。
朝ご飯を食べて昨日の後始末をしたら10時過ぎ。
「どうします?」
「うーん…晴れてるなら良いんだけど」
「お疲れなら別に構いませんよ」
「折角なんだからどこか行っといで」
「じゃ着替えるわ」
では俺も。
結局新宿京王百貨店へ行った。
先生のお目当ては粟田焼。
清水焼に吸収されてしまったかのような、京都の焼物だ。
「あら、いいわねぇ」
「俺はなにやら見慣れた感じが…」
「これ欲しいわ」
「売ってるのかな」
店員と交渉する。展示が終り次第ということで話がついた。
その後先生は孝弘さんの甚平を買ったり八重子先生にとパジャマを買ったり。
呉服売り場へ寄っては見たものの気に合うものはなかったようだ。
先生の帯締めと帯揚げは俺が買って。
ふらりと催事を見る。
訪問着で良いのがあったが50万。
リサイクルでそれはちょっとなぁとは思うけど、もし先生が欲しいなら買っても良いか。
結局夏の帯を買ってあげたあとアクセサリーを見に行く。
着物でも出来そうな華奢なネックレスをつけて貰ってみた。
うん、いいね。
お稽古の時は外せば良い。
主張しない程度のアクセサリーもいいね。
「奥様良いですねー、旦那様に買ってもらえるなんて」
とかショップの人が言ってるが上手に先生は笑ってごまかした。
デパートを出て車に乗り込む。
「奥様、ねぇ。ふふふ…先生、俺の奥さん?」
あ、照れてる。
遅い目のお昼を食べに行って一旦うちへ連れ込んだ。
玄関入ってすぐキスをした。
「だめよ。着替えさせて」
胸を押して離れられてしまったので俺も着替えることにした。
お茶を入れて一服。
先生も浴衣に着替えて俺の横に…座るかと思ったら俺を枕に寝転んだ。
「疲れちゃった」
あ、寝る気か。
浴衣と思ってたけど帯じゃなく伊達締め、寝巻き着てきたな。
「寝るんならベッド行きましょうよ」
「本格的に寝ちゃうじゃない。夜寝られなくなっちゃうわよ」
「大丈夫、寝かさない」
「明日仕事でしょ、駄目よ」
「しょうがないなぁ、じゃ今抱いちゃおうかな」
唇を指でなぞってやるとちろりと舐められたのでそのまま舌をなぶる。
濡れた手を伸ばし胸を弄ると息が漏れる。
「疲れてるのに…」
「ふふ、それでも抵抗しないんだ?」
「ばか」
思い立って膝から下ろし、縄を取ってきた。
「怖がらないで俺に任せてごらん」
「ん…」
苦しくない程度にきちり、きちりと縛ってゆく。
菱に縛り終えて鏡を見せた。
息が荒い。
ゆっくりと縄を外すと拍子抜けしたような顔をする。
「期待した?」
「し、してないわよ」
可愛いなぁ照れちゃって。
すべては外さずそこから胡坐縛り。
「やだ、こんなの…」
「綺麗だよ。ほら、ここもはっきり見える」
涎をたらすそこの下、尻の穴をつついた。
「あっ駄目」
ふふっと笑って縄をほどく。
しないの?という顔でこっちを見てる。
すべてほどいて縄を一旦整えた。
それから引き起こしてベッドに連れて行って普通に抱く。
随分濡れてて期待されていたようだ。
そのまま行った後は二人で寝てしまい、夜は鮨を取って食べ更に寝た。
俺は仕事の用意に起きたが先生はまだよく寝ている。
可愛いなぁ。
布団から出ている腕に昨日の縄痕は…ほとんどない。
これなら昼には大丈夫だろう。
キスを落として出勤した。
仕事中に起きた、帰るメールが入る。
痕は残ってないか、気をつけて帰るようメールを返した。
幸い、お腹に少しだけとのことで良かった。
連休明けはやはり暇な火曜で仕事が終わってゆっくりシャワーを浴びれた。
お稽古に行く。
「いらっしゃい」
「おじゃまします。これ忘れ物」
孝弘さんの甚平。
「ああそうなのよ。電車乗った後気づいたの。助かるわ」
先生は八重子先生にそれを見せている。
「あら良い柄ねえ」
「丁度セールしてたのよ。いいでしょ、これ」
俺は一旦部屋、そのあと水屋の支度を整えた。
いつものようにお稽古。
先生も機嫌がよく、暑いわねぇと言いつつお稽古を見ておられる。
適宜水分を取りつつダレ過ぎない程度に冷房を入れて。
皆さんのお稽古が済んで私の稽古。
円草。
忘れていて叱られた。
きっちり厳しくお稽古していただき、片付けてお夕飯をいただく。
暑いから、と冷しゃぶがメイン。
んー、サラダもおいしい。
たまにはこういうのもいいもんだ。
団欒の後風呂。
二人で入って先生の痕を確認するが、さすがにもう残ってないようだ。
そのかわりお腹には肌襦袢で出来た痕がついている。
なぞってるとくすぐったいようで叱られた。
お風呂から出て戸締りをして布団に入る。
今日はゆっくりと撫でて寝かしつけにかかる。
良いの? と問うて来る。
たまには、と答える。
少し嬉しそうで少し残念そうだ。
「して欲しい?」
「どっちでもいいわ、好きにして」
「したいならあなたからしてごらん」
「…今日は良いわ。…恥ずかしいもの」
そっと指を這わすと少し濡れている。
「どうする?」
少し悩んでいるようだ。
「あの…」
「シッ」
人の気配。
廊下をキシキシと歩いて…去った。
「律かしら…」
「多分。今日は止めときましょうか」
「そうね」
先生の股間から手を離して汚れた指をふき取る。
いつになっても恥ずかしそうでそこが可愛い。
抱き締めて背中を撫で、寝かせた。
おやすみなさい。
朝になって先生の寝顔を眺める。
優しげな顔で気持ち良さそう。
クーラーをつけよう、と言っていたけれど要らないかも知れないな。
とりあえず今のところはそんなに暑くはない。
8月の暑さで考えようか。
と言うか暑いのが8月だけならあちらですれば良いわけで。
眺めているうちに目が覚めたようだ。
あくび。
「いま何時?」
そろそろ起きる時間。
身支度をして台所へ向かう。
やや遅れて先生。
朝ご飯を作り、ご飯を頂いて後はいつものとおり家事。
指示されて動くのは結構楽なんだよね。
お昼ご飯できたわよ、と呼んばれて4人で食べた。
食後、先生が新聞を読んでいると何か催し物を見つけたらしい。
「ねぇ、今度これ行かない?」
「はいはい、なんでしょう。あ、いいですね。覚えてたら行きましょう」
午後からは暑いから草むしりはせず風呂を洗ったり床の拭き掃除をしたり。
俺がいると掃除が捗って助かるらしい。
一通り済んでおやつを頂く。
蝉時雨は今の時間聞こえないようだ。
朝うるさいけど。
「夕立ないかしらねえ。暑いわ」
「ここ、まだ涼しいじゃないですか」
「そう? 暑いわよ」
「職場、朝7時には既に今のここより暑いですよ」
「そんなに?」
「湿度も75%は有りますね、大体」
「熱中症とか大丈夫なの?」
「ハイポトニック系飲料持って行ってますから」
「なぁに、それ」
「アイソトニックが体液と同じ浸透圧、
 ハイポトニックはそれよりも体に水分が入りやすい飲料です。
 アイソだとポカリ、アクエリアス。ハイポはアクエリレモンとかH2Oなんかです」
「んー、CMでしてるOS-1みたいなもの?」
「あれは既に脱水を自覚した時に飲むものですよ。まずいし塩が多目です」
「あら、じゃ高血圧だと飲んじゃいけないわね」
「普段に先生方が飲むならポカリをミネラルウォーターで割ると良いかと思います」
「どうして?」
「ポカリはそのままだと糖分が多い。ただの水で割るとミネラルが少なくなる。
 ハイポは汗かいたな、と思う時にどうぞ。脱水時はOS-1もおいしいですよ」
「詳しいのねぇ」
「OS-1買いにいけなくなるほどならLGS作ってましたね。
 水1リットルに一掴みの砂糖、一つまみの塩を溶かしたもの。
 脱水っぽい時は簡単に作れてその場で飲んで回復できますから良く作ってました」
ただ高齢者は塩分制限とかほかにも色々有るから医者行くほうがいい。
少し日が傾いてきた。
一番暑い時間帯が過ぎたのでお夕飯の買物に出る。
肉のレタス巻をねだった。
仕方ないわねえ、と材料を買って下さり帰宅。
夕食を作って律君の帰りを待つ。
俺の分は肉と胡瓜と人参をレタスで巻くもの。
多分孝弘さんに横取りされるだろう。
少しして帰ってきた。
「おかえり。はい」
冷凍したタオルを渡す。
「うわっつめたっ、気持ち良いなぁ、これ」
あちこち拭ったら洗濯籠へ。
すっきりできるから俺もたまにやる。
お夕飯を皆で食べて、やっぱり孝弘さんにちょっと取られて。
団欒を楽しんで帰宅した。
翌日、気温は更に上昇し帰宅する頃にはシャツは水ではなく汗でぐっしょり。
さっさと洗濯機を回して風呂に入り、先生のお宅へ。
暑いですね、が定型の挨拶になりつつもお稽古を済ませお夕飯。
八重子先生はこの暑い中、ちゃんと煮物を作ってる。
凄く偉い人だと思う。
主婦なら当たり前、と一蹴されたけど。
それから帰宅したが同時に雷雨。
酷い雷と雨。
テレビをつけると一部地域で停電のようだ。
先生にメールをする。
あちらは大丈夫とのこと。
安心して寝た。
出勤すると会社の人は何人か、家の前がすごいことになってた!などと言っている。
そんな話でにぎわいつつ仕事を終える。
家へ帰った汗だくの体をシャワーで流し、クーラーが効いた寝室のベッドに転がり込んだ。
このまま夕方まで寝よう。
夕方どころか暗くなって先生のメールで目が覚めた。
メシ、食わなきゃ。
あれ? またメール?
開いてみる。
なんだろうこれ。
うーん。
今の写真は何か聞いてみた。
暫くメールが返って来ないので着替えてコンビニへ。
途中で鳴った。
どうやら携帯を踏んだそうだ。
写っていたのは足の裏だったようで。
怪我はないか確認をしてコンビニに入る。
冷麺で良いか、暑いし。
帰宅して冷たいものをすすっていると寒くなってきた。
食ってすぐに布団にもぐりこんでおやすみなさい。
翌朝出勤して仕事をこなし先生のお宅へ。
今日は抱いていい日。
少し浮き浮きとしてお宅に着いてお稽古の補佐をする。
終わりに近づいた頃、来客があった。
八重子先生がお相手をしている。
俺のお稽古を済ませ先生がお夕飯の続きを。
水屋を一人で片付けた。
終って台所を伺うと来客が泊まられるそうで一緒にお夕飯をとることに。
相変わらずおいしいおかず。
今日は俺が持ってきた鯛とハモ、マグロ、オコゼ、アジをお造りにしてある。
「あら、八重ちゃん良いもの食べてるわねえ」
「この子、魚屋さんだから持ってきてくれるのよ」
「お弟子さん? いいわねえ」
にこっと笑って食事を済ませ先生と洗い物に立つ。
「今日…しないでね」
「いやです」
「お願い」
「うち来て下さい。それならいいでしょ。あちらの家でもいいから」
「どうしても?」
「したいんです。嫌ですか」
「拗ねないで。わかったわよ…お母さんが良いって言ったらよ?」
「了解、ここ終ったら聞いてきます」
食後のコーヒーを入れて先生がお客さんに出しに行った。
台所を片付ける。
よし、綺麗になった。ここまでしたら咎められない…ハズ。
お客さんがトイレに立たれた隙に八重子先生に許可を取った。
酒を一本担いで先生を連れ出す。
部屋に入ってまずは少し飲むことにした。
ぐい飲みで少し酒を楽しむ。
つまみは万願寺の炒め煮。
先生に口移しをねだってしかられたり。
お酒はしてもらえたり。
暫くしたら先生がしなだれかかってきた。
酔ったようだ。
俺を押し倒してキスをしてくる。
「したくなかったんじゃないのかな?」
「うちでは嫌なだけだもの」
「ふぅん。着物、脱がなくて良いのか?」
「どうせ明日洗濯するから…」
珍しい。
そのままであれやこれやとして啼かせてから脱がせた。
やっぱり着たままってのはエロくて良い。
ベッドに連れて行って何度か抱いて。
しょっぱい体のあちこちをなめて楽しんだ後、ぐったりした先生を風呂に入れる。
途中から寝てしまったがさっぱりしてから浴衣を着せて先生の家に連れ帰った。
布団がね、汗でじっとりしてて嫌なんだよね。
静かに勝手口から入って部屋で寝かせた。
明日朝になったら片付けに行かないといけないな。
気持ち良さそうな寝息に引き込まれる。
おやすみなさい。
朝になって先生の寝顔を暫く楽しんで、先に台所へ行った。
ご飯を炊いて鮭を焼き、だし巻を焼いてお味噌汁を作り、お漬物を刻む。
「あら、あんたいつ帰ったの」
「昨晩の間に戻ってましたよ、あと何か作りましょうか?」
「いやいいよ、これで。絹は?」
「まだ寝てらっしゃいましたよ。多分今日からアレでしょ、眠いと思いますよ」
「あぁ」
合点が行ったようだ。
食卓を片付けてお茶碗などの支度をしてもらった頃、お客様も起きてきたようだ。
八重子先生と手分けして配膳し、律君を起こし孝弘さんを呼びに行く。
「あら絹ちゃんは?」
「うん、ちょっとね、今朝は」
八重子先生が濁して食事を始める。
「おばあちゃんこの玉子焼き…」
「あら、だし巻じゃない。珍しいもの作るわねぇ」
「本当だねぇ、玉子焼きじゃないね」
「あぁまた山沢さんが作ったんだ?」
「この子朝早いからね、起きたらほとんど出来てたよ」
「さすが魚屋さんねえ」
律君が卵を全部食べられず残し、それを孝弘さんが食べた。
食後の洗い物。
終ってから先生を伺いに寝間に入る。
良く寝ていて気持ち良さそうだ。
昼までに起きるかな?
ふふ、可愛いなぁ。
穏やかな寝息。
居間に戻ると八重子先生から買物を頼まれた。
快く受けて出た。まだ午前中だから暑さはマシ。
夕飯の分も買物をして帰宅した。
先生はまだ寝てるとか。
よっぽど疲れたか。
あちらの家から昨日の着物やシーツを回収し、洗った。
昼からで十分乾くだろう。
というのも昨日はシルックだったからだ。
楽だよね、洗える着物。
畳んで皺を伸ばし干して行く。
お昼ご飯を作ってもうそろそろと先生を八重子先生が起こしに行ったが…。
ダメだった様だ。
お昼ご飯を食べてお客様は帰られた。
再度先生の寝顔をのぞきに行くと、やっと起きた。
「ん、暑~い、何時なのぉ」
「もー1時半ですよ。腹減ってませんか?」
「あら? もうそんな時間? お客様は」
「帰られました」
「あらららー」
くぅ、と腹の虫が聞こえて先生が恥ずかしげ。
「何作りましょ?」
「えぇーっと…サンドイッチ」
「はいはい、何の具が良いですか」
「野菜。と卵」
「わかりました。着替えてて」
台所に戻ってパンを切り卵を甘く焼いた。
からしマヨではさもう。
居間に出てきた気配がしたのでコーヒーを入れて、サンドイッチを持って出た。
「今日から生理でしょう? 先生」
「あ、うん。どうして?」
「なんとなく。それにそろそろ月末だし」
「あぁ、そうね」
おいしい、とサンドイッチを食べる先生が可愛らしい。
にこにこして見てしまう。
玄関を開ける音、八重子先生が帰ってきた。
「おかえりなさい」
「はいはい、おそよう」
「早くないからですか、ははは」
ちょっと恥ずかしげで申し訳なさげに食べてる姿も良いね。
「あんた自分で片付けなさいよ」
なんて八重子先生が先生に言っている。
板の間だから足が冷えるし、と俺が回収して洗った。
「暑いから良いのに…」
と引き止められたけどこれくらい別に面倒とは思わない。
甘やかしすぎと後で八重子先生に叱られたが…良いじゃないか。
恋人は甘やかすものさ。
夕方まで団欒して洗濯物を取り込む。
すっかり乾いていて先生が畳んで箪笥に仕舞った。
「さてと。ご飯つくろうかねえ」
「そうですね、先生はそのままそのまま」
八重子先生指示の元夕飯を作る。
肉じゃが。今日は俺が買物してるから牛肉。
ずいき。わかめと胡瓜の酢の物。
根野菜と肉のオイスターソース炒め。
後は常備菜を少し。
先生に食卓を片付けて配膳をして貰い、俺は二人を呼びにたった。
丁度離れに二人とも居てくれて助かった。
ご飯を食べて先生たちがくつろいでる雰囲気を楽しみつつも夜が更けてきた。
帰らねばなるまい。
ちょっと先生は帰したくなさそうで。
「明日…来て欲しいなら昼にメールしてくれたら来ますから」
「いいの?」
「ええ、あなたがそうして欲しいなら」
「わかったわ。じゃ今日は…諦めるわね」
頭をちょっと撫でて別れた。
帰宅してすぐに寝る。
眠い。
おやすみなさい。
翌日、仕事の後気が向いて飯田橋へ。
青森の産直ショップへ入った。
りんごチップスやジュース、地酒。
2万ほど散在してから先生のお宅へ足を運んだ。
お勝手から入りジュースを冷やし酒はケースの空いているところに入れた。
居間に顔を出す。
「今日は」
「あぁ山沢さん」
「あら、いつのまにきたの?」
「今です。どうぞ、これ」
「なぁに? りんごのお菓子?」
「たまにこういうの食べたくなるんですよね。沢山買ったのでおすそ分け」
「有難う。お稽古していく?」
「この格好で?」
「あんた着替えておいで。してあげるよ」
遠慮したい。月曜は上級だし。
と思ったが先生の食後、部屋に連れて行かれて着替えさせられてしまった。
今日は八重子先生がメインでお稽古。
円真や真の行のお稽古のお客役をして、私の番。
当然ながらいつものごとく叱られる。
他の生徒さんがちょっと心配そう。
今日は上級と限定されているだけに人数は少なく、いつもより早めに稽古が終る。
水屋の片付けを手伝って居間に戻った。
「あぁ疲れた」
「疲れちゃったわ」
お二人ともやはり上級は疲れるのか。
暫く一服されて先生がご飯作ろうと立たれたが八重子先生に止められた。
顔色良くないからなぁ。
俺と八重子先生で作ることにして先生を少し休ませる。
着替えてから今日は簡単なものを、と仰った。
鉄分多目メニュー。
空芯菜の炒め物に小松菜の豆乳スープ、ひじきのチャーハン。
…洋風?
おいしいからいいか。
食卓を片付けて孝弘さんを呼ぶ。
そろそろ律君も帰ってくるはずだ。
配膳を済ませた頃ただいまの声。
「おかえり、ご飯できてるから手を洗ってきなさいよ」
「はーい」
律君が座って、いただきます。
先生はボツボツ食べている。
「あれ、そういえば今日なんで山沢さんいるの?」
「いやぁおいしいもののお裾分けに寄ったんだよね」
「あ、だからそんな格好なんですね」
「後で食べて。りんごのドライフルーツ」
「パリパリしたやつですか」
「いやもっちりしてる半生タイプ」
「へぇおいしそうだな」
なんて会話をして食事を終った。
台所を片付けて辞去する。
やっぱり先生は帰らせたくなさそうで俺のシャツの裾を掴む。
髪を撫でて、明日来るからと宥めすかして帰宅した。
疲れた。
もう寝よう。
おやすみなさい。
出勤した。
うなぎの日ともあり、うちは扱わないため暇だ。
誰かがコンビニからうなぎパンを持ってきて笑えた。
よしお稽古前に買って先生に見せてやる。
孝弘さんが食ってくれるだろ。
うな丼は先生のところに出入りしている魚屋さんから買うことに決まっているらしい。
食べるなら俺の分だけもってこいとのこと。
持っていく予定ではあったが予約ミスで余分に買って欲しいといわれた。
いいけどね、多い分には。
うなぎパンと3匹のうなぎを持ってお稽古へ。
渡さず先に台所へ。
そのままお稽古をこなす。
先生の顔色も今日は良いので俺に厳しく生徒さんには優しい絶好調のようだ。
疲れて水屋を片付けた。
台所に顔を出すとうなぎをどうしようか迷ってる八重子先生が居た。
「あんた多いよ、これ」
「あー…ですよね」
たすきをかけて手伝う。
ご飯、うなぎの短冊、ご飯、うなぎ。
そう乗せて渡す。
「ん、これ背開きじゃないんだね」
頭ついてます、はい。
先生方のにも仕込んだ。
2匹分多いからね。
律君が帰ってきたようだ、配膳しましょう。
お吸い物をつけて配膳。
いただきます。
暫く食べていると律君がまず気づいた。
「2段になってる…」
「あらほんと」
「山沢さんが多く持ってきたからね、あんたらのは多目だよ」
そう、八重子先生は脂で胃もたれしそうだからと少なめにされた。
うな丼を食べて精気を養う。
ふと一瞬先生が不安げな顔をされた。
なんだろう。
食後洗い物をして寝室の布団を敷いたり風呂に入ったり戸締りを確かめたり。
それから先生の横に落ち着いた。
眠いな。
そろそろ、と八重子先生に促されて寝間へ。
着替えて先に入って待つ。
女の身支度は時間のかかるものだ。
それからおそるおそると入ってきた。
「どうした? 何を怖がってる」
そっと胸に顔をつけてくる。
背中をなでているうちにこちらがダウン、寝てしまったようだ。
夜半目が覚める。
寝たときと同じ体勢。
何が怖かったんだろうかなぁ。
起こさない程度に触れる。
素肌に。
冷やっこくて柔らかいなぁ。
気持ち良い。
お腹に手を当てて温める。ここは冷やしちゃいかん。
寝息を聞いていると俺も眠くなった。もう少し寝よう。
朝、目が覚めると既に先生は部屋に居らず。
身づくろいして台所へ行くと良い匂いだ。
「おはよう。おいしそうだな」
「あら起きたの。おはよう」
「あなたのご飯食べるの久しぶりかも」
「そういえばそうね。ねぇ、昨日はどうしたの?」
「あぁ何か凄く眠くて。いつもと逆ですね」
「おはよう」
「あ、おはようございます」
「おかあさん、おはよう」
「今日は何作ってるの」
「団子汁よ」
「あぁいいねえ」
律君も起きてきた。
「あ、お父さん呼んで頂戴」
「んー」
まだ寝ぼけてるな。
配膳して、いただく。
うまいなー。
食後暫くすると先生がどこからか菅笠を持ってきた。
「はい、草取りよろしく」
「うっ…はいはい…」
かぶって庭に下りてむしる。
ちゃんと麦茶を用意してくれてある。
あまりに暑くて少し水をかぶったりしつつ。
いやかぶっても暑くてすぐ乾いちゃうね。
お昼ご飯まで先生が掃除をしているのを横目で見つつ。
綺麗だな。
たすきがけ前掛けをして畳の拭き掃除とかえらいよなあ。
家事に汗をかく先生を見て気力を奮い起こし草をむしっていると八重子先生の声。
「お昼できたよ」
庭で汚れたズボンやシャツを脱いで上がる。
「あ、もう。だめよ」
浴衣を手早く着せてくれた。
「手を洗ってらっしゃい」
「はい」
食卓に着いてお昼をいただく。
孝弘さんがご飯を食ってしまったらしく俺と先生の分はスパゲティになった。
梅と鰹節のしょうゆ味。
うまい。
丁度汗をかいていたこともあり大変においしい。
ご馳走様をしたらまた着替えて庭へ。
先生は二度目の洗濯物干し。
ああ、腰巻がなびいているな。
昨日したかったのに寝てしまったのは不覚だ。
あれ、でもまだ先生は終ってない気がする。
結局したいのに出来ない、と思わず済んでよかったのかも。
3時半ごろ先生に呼ばれて作業終了。
汚れた服は洗濯機に入れ、シャワーを浴びるようにと。
シャワーから出ると洗い立ての下帯と浴衣が用意してある。
嬉しいね。
さっぱりとして居間へ行くとお買い物行くから汗が引いたら着替えるようにと仰る。
夕飯のかと思えば違って服だそうだ。
律君の服。
それと俺の普段着。
先生の家に置く分らしい。
微妙にセンスが気に入らないのかもしれない。
やっぱり買物は楽しげだなぁ。
楽しそうにしている先生を見るのが好きだ。
そのままお夕飯の材料も買って帰った。
お手伝いをしてご飯を整える。
夕飯をいただいたらもう帰らねばなるまい。
「さて、と」
「じゃそろそろ」
一緒に先生が立ち上がる。
お見送りを受けるもの、と思いきや先生は鞄を持って一緒に着いてきた。
「え?」
「お泊り。良いでしょ」
「ええっ?」
「だめなの?」
「えっいや部屋汚くしてますし」
「掃除くらいしてあげるわよ。それとも誰か呼ぶ予定でもあるのかしらね」
「ありませんっ」
「だったらいいじゃない」
「もー…仕方ないなぁ」
「あら。嬉しくないの?」
「嬉しいですって。拗ねないでくださいよ」
引き寄せて、と思ったが人目があるから。
夜道を歩いて駅に行き電車に乗った。
揺られるうち先生は俺にもたれている。
「眠い?」
「ううん、大丈夫よ」
「帰ったら一緒に寝ましょうね」
「うん」
乗り換えて暫くすると先生が俺の手を握る。
可愛いなあ。
帰宅後、先生が寝巻きに着替えて寝る準備を整える間に朝飯になるものを買いに出た。
こんな時間だからパンとスープ、サラダカップとハムだけど。
冷蔵庫に仕舞いこんで俺も寝巻きに着替えベッドに入る。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
先生の背中を撫でつつ寝た。

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