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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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昼食後は八重子先生がお出かけされて、先生と茶室の手入れをした。
「あ、そうだ。乾燥機、買いません?」
「なぁに、突然」
「噴煙。大体高度3000で隣県に行くんですが今回8000でしょう。来る可能性ありますよ」
「えぇ? その間に山あるのに来るかしら」
「取敢えず3000の時点で山梨に降灰予報が出てましたよ」
「うーん…」
「買うなら来る前じゃないと品薄になります」
「でも高いでしょ」
「出します」
「うちのなのにそんなわけにいかないわ」
「俺のも洗ってもらってるんだからいいんです」
先生は諦めたようだ。
「洗濯機の上に置くの?」
「そうですね、そうしようと思います」
掃除を終えて洗濯機回りの確認。
「なにか希望あります?」
「わからないから任せるわ」
よし、決めた。
東京ガスに連絡し、見積に来てもらうよう言えば明日昼から来れるという。
2時に予約。
「先生、2時から取り付けできるか見に来てくれるそうで。俺も明日昼から来ますから」
「わかったわ、私、お稽古してるけど良いの?」
「ん、先生方のどちらかお呼びすることはあるかもしれません」
「はーい」
それから二人で買物に出て夕飯の支度を始める。
夕方帰宅された八重子先生にも話を通した。
「えぇ? いるかねぇ?」
「降らないとしてもですね、梅雨時とかお二方とも風邪だとかの時良いですよ」
「うーん、でも高いんだろ?」
「ドラム式ほどじゃありません、大丈夫です」
「あんたがどうしてもって言うなら、まぁいいよ」
お許しが出てほっとする。
勝手に付けるわけにはいかないからなぁ。
夕飯を皆で食べてそれから帰宅した。
一応着信履歴を見る。連絡はない。
どこへ行ったんだかなぁ、開さんは。
しかし今回は先生も俺もアレが同じ日というのもあってしなかったが…。
暫くはしたがらないだろうし大丈夫かな、俺。
風呂に入って取敢えずビールを飲んで、そして寝た。
翌日仕事を終え先生のお宅へ向かう。
いつもよりはゆっくりでは有るが。
既に生徒さんも着てお稽古が進んでるようだ。
暫くして業者が来た。
応対し、簡単につくとのことであとは工事契約書にサインが必要。
どちらかお手すきかな?と水屋を伺う。
先生が手が空いたところで、説明してサインをいただいた。
工事は水曜10時からと決定して業者が帰る。
さて、そんじゃ俺も帰るとするか。
暇を告げて帰宅する。
晩飯はどうしようか…途中でうまそうな匂いに引き寄せられ、つい焼肉に手を出した。
先生と一緒じゃ滅多には食えないというのもある。
たまに脂っこいもの食べたいからね。
しっかり食って帰り、早めに寝た。
翌日、鯨が入荷し、皆がうまいと言うので先生のお宅へも持っていくことにした。
台所にいた八重子先生に渡すと微妙な顔。
「刺身でどうぞ」
水屋の用意も整い、生徒さんも来られたのでお稽古をする。
先生は心配事があるのに、それを毛ほども見せず、凄い。
見習いたいものだ。
俺へのお稽古も済ませ、夕飯。
鯨、と聞いてみんな恐る恐る手を出した。
「あ、意外とおいしいね」
「堅くないねぇ」
「給食のイメージしかなかったわ」
そんなこんなで全部なくなり、洗い物を終え居間に戻った。
先生は少し溜息をつきつつ俺にもたれてくる。
…色っぽい。
いや、つけこんではいかん。
孝弘さんは通常通りだがこの人は何があっても普段どおりの気がするからなぁ。
今日も先生はしたくなさそうで俺は諦めて寝かしつけた。
しょうがないよね。
朝、してないけど起きられないのはきっと寝付けなかったからだろう。
やはり朝飯を俺が作って先生を起こす。
「…要らない。もうちょっと寝かせて」
「はい。お腹空いたら言ってくださいね」
「うん」
二度寝する先生の頭を撫でて、食卓に着く。
律君もあちこち声を掛けて探しているそうだ。
早く見つかれば良いのに。
10時になり、工事の人が来た。
手早く作業されてガス漏れなども確認しての動作チェック。
OK。問題なし。
昼には先生が起きてきて、スパゲティを食べる。
カレースパゲティ。
俺が前に作ったのがおいしかったとかで。
冷凍庫に有ったカレーで作られた。
あー…ポークカレーだ。
お二方とも家事も何もする気が起きないらしいので出来る事はやってあげた。
台所をしていると背中にもたれてくる。
ドキッとしたが触りに来たわけではないようだ。
開さんが心配すぎて誰かにくっついていたい、そんなところだろう。
あ、そうだ。
台所を片付け終え、先生に乾燥機の使い方を教えた。
「台風来ますしそれまでに一度使ってみると良いですよ」
カレンダーを見て顔を曇らせた。
「あなたねえ、今日仏滅じゃないの。なんでこんな日に設置するの」
「ああ、今日は成ですから。良い日なんです」
見合いや婚礼、新規事業、開店。種まきから普請造作、引越に良い日で、更に結納大吉。
揉め事をするにはよくない日ではあるが。
「成?」
「ほら、ここにかいてあるでしょう」
日めくりカレンダーの小さく書いてある字を示す。
「次の日曜なんて友引に建ですからいい日ですよね。土いじりと蔵開き以外には」
「そうなの?」
「建は大吉です。あれ? 暦注って見ません? 神宮暦とか」
「年末に売ってるのよね? おばあちゃんがどこかに仕舞ってた様な気がするけど」
「気にする人はそれを見て予定立てたりしますよ」
「そんなの気にしてたら生活できないわよ」
「でしょうねえ」
あはは、と笑って明日か日曜に使ってみることを勧めた。
それから先生と買物に出て夕飯の買物を済ます。
「暑いわねえ」
「残暑ですね」
「衣更えしたのにまた単衣着てるのよ、襦袢」
あ、本当だ。
抱いてないから気づかなかったけど、振りから覗いてる。
色々買って帰って、先生と下拵えをする。
気づいてないようだけど、溜息多い。
ちょっと辛気だな。
先生を居間に帰して俺が作ることにした。
今日は律君遅いのかな。
そろそろ食事が出来そうなんだけど帰ってこない。
「先食べたらどうです?」
「ん、そうねぇ。どうしたのかしら」
「友達と騒いだりしてるんじゃないですか。携帯持ってないから連絡が遅れてるとか」
「あの子も携帯持ったら良いのにねぇ」
怖がりだからなー。
食事を終え、俺は帰宅して就寝。
翌朝仕事中に電話。
律君が帰ってこなかった?
まさかの外泊?
今日は様子を見るけどと心配そうだ。
仕事のあとお稽古に向かう。
お宅へ着き、先生方が食事をしているのを見れば食が進んでない。
二人ともじゃ流石に、ということだろう。
それでも先生は気丈にもお稽古のときだけは気を張ってにこやかにされる。
終った途端溜息だけど。
水屋を片付けていると俺の背に頭を寄せて、ごめんね、と言う。
「どうしたの?」
「溜息ばかりついちゃって。嫌でしょ…」
手を拭いて懐に入れた。
「身内が二人して、なんて溜息出るの当たり前でしょう。早く帰ってくると良いんだけど」
「うん…律、どこ行ってるのかしら…」
「ほら、まだ一日だけだから友達の家とか、女の子と一緒とか」
「だったらいいんだけど…」
「司ちゃん、聞いてみました? 彼女なら行動をともにしてませんかね」
「あ、そうよね、電話してみるわ」
ぐいっと胸を押して俺から離れ、電話しだす。
晶ちゃんにも。
今のところ心当たりは無いようでがっくりと肩を落として俺の膝に来た。
「調べるって言ってくれたけど」
「俺もちょっと探しはしますが接点が少ないからなあ」
八重子先生が食事と呼びに来て取敢えず食卓へ。
孝弘さんにも先生が相談。
表情からすると今回はかかわってなさそうな…気がする。
食事を終えて帰るとき、先生が寂しそうだ。
「明日、また来ます。明後日も来ても良いですよ」
「来てくれるの?」
「ええ。寂しいのなら」
「本当は帰したくないわ。でもあなたお仕事だものね…」
「こればっかりは勝手休み出来ませんからね」
引き寄せて撫でて。暫くして離れ、別れた。
帰宅して就寝。
木曜も暇で。早めに先生のお宅へ。
「こんにちは。先生…ちゃんと食べないといけませんよ」
「あ、いらっしゃい。胃にもたれちゃうのよね」
おもやつれして可哀想だ。
それでもお稽古となると背筋がぴんと伸びて気配も朗らかになる。
無理してるの知ってるだけにサポートをしっかりして差し上げ、遅滞なく終った。
「明日も来ますね、お手伝いさせてください」
「いいの? 疲れない?」
「大丈夫。俺が強いの知ってるでしょう」
軽くキスだけして帰宅した。
さてさて金曜、いつもなら仕事の後は昼寝をしているが今日は特別に。
ブリと小ヨコを持って先生のお宅へ着いた。
「ん? 山沢さん? どうしたの」
八重子先生に驚かれた。
「や、お疲れみたいですからお手伝いにと」
「ああ。ありがとうねえ」
「台所に魚置いてあるんで夕飯にでもどうぞ」
水屋を用意してお茶室をざっと雑巾がけし、生徒さんを待つ。
生徒さんが来ると食事と小用を済ませた先生が戻ってきてお稽古開始。
上の方の水屋の準備は結構大変だ。
間違えないように気をつけつつ、稽古を眺める。
難しい点前をあまり間違えずにされていて修練の差かな。
皆さん帰られた後、先生が俺にもたれてきた。
「疲れたわ…」
だろうなぁ。
「水屋、やっときますから居間でくつろいで来たらどうですか」
「邪魔かしら?」
「そうじゃなくて」
ちょっと慌てたら八重子先生が絹ー、と呼んでる。
はーい、と先生が居間へ行った。
水屋を仕舞いにかかり、片付けていく。
騒がしいがどうしたのだろう。
片付け終わって居間に顔出すと律君がぼろぼろになって帰ってきてた。
先生がしがみついてるが…。
「先生、律君風呂に入れたほうが良いかと。怪我の治療しませんと」
「あ、そうよね。そうよね、お風呂、一人で入れる?」
「うん、大丈夫」
「手伝ってあげるから、ほら」
「いいよ、一人で入るって」
「あ。いや私と入ろう。傷口かなり洗う必要あるから」
「えぇー」
嫌がりはしたものの強制的に一緒に入る。
傷を洗ってると声にならない悲鳴を上げているがこればっかりは仕方ない。
全身くまなく触れてみる。
先生が心配そうにしているが打撲と擦り傷だな。
一応破傷風が気になるから病院へ行くことに。
先生と律君を乗せて行き、付き添う。
注射は嫌そうだなぁ。
律君が消毒されるのにうめく声に先生は耳をふさぎたい様子。
俺の腕を握り締める、その手も汗ばんでる。
終って会計を済ませて帰宅。
「どうだった?」
「打撲と擦り傷だけだったわ、よかった」
「今日は熱が高くなるって言ってましたよ。布団敷いてください、律君寝かせます」
「はいはい」
既に発熱してぐったりしてる。
先生が横に着いて今日は様子をしっかり見るそうだ。
「じゃ、私はこれにて」
「今日はありがとねえ、助かったよ」
「いえ、無事に見つかってよかったですね。ではまた明日」
帰宅途中パンを買い食らいつつ移動して空腹をごまかした。
家に着いてすぐに布団に潜り込む。
疲れた。
夢を見ることもなく朝が来て仕事へ行く。
土曜日なのに思ったほどでもない。
台風来てるからだろう。
先生から焼鯛を頼まれたので焼いてもらって帰宅、先生のお宅へ向かった。
「こんにちは。具合どうです?」
「あ、いらっしゃい。律? 熱下がったわよ」
ひょいと先生の頤に手を掛けてこちらを向かせた。
「クマ、結構酷いですね」
「ほんと? わかっちゃう?」
「今日はお稽古終ったらすぐ飯食って寝たほうが良いと思いますよ」
「あ、でもそれじゃあなた…大丈夫?」
にっと笑って水屋の支度にかかった。
お稽古も機嫌よくされていて、後は開さんさえ帰ってきてくれればと思う。
お夕飯を食べると眠くなったようで早々にお布団へ。
八重子先生と俺は暫く団欒してから片付けて戸締りなどして各自部屋へと別れた。
部屋に戻ると先生はすっかり気持ち良さそうな寝息を立てている。
着替えて横に入ると寝返りを打って俺に絡まってきた。
可愛い。
俺も疲れていたこともあり、すぐに寝た。
夜半、先生が懐の中でもぞもぞと動く。
「どうしたの」
「ぁ…その…、夢、見ちゃって」
そっと俺の手を股間に誘導する。
なるほと、そういう夢ね。
前戯的なものをすっ飛ばして直接股間を弄る。
声が出ない程度に加減して逝かせたが物足りなさそうだ。
「今からあちら、行きましょう」
「…はい」
恥ずかしそうに浴衣の上からもう一枚重ねて着、物音を立てないように移動した。
夜更けとは言うものの1時すぎ。
まだ沢山楽しめる。
部屋に入って脱がせ、ベッドに潜り込む。
少し冷めた気分をキスで煽り、たっぷり泣かせる。
眠気が来たようだ。
少し迷ったが着替えさせて抱きかかえて戻り、布団に寝かせた。
八重子先生に言ってないから、いるはずのものがいない騒ぎは困る。
幸せそうな寝息が心地よく、俺もすぐまた眠りに引き込まれた。
翌朝、寝過ごした。
目が覚めたら日が昇っている。
時計を見れば7時過ぎ、慌てて台所に行くが八重子先生も起きてないようだ。
取敢えずご飯炊かねばなるまい。
米を研いで水につけてる暇がないのでそのまま炊く。
うーん、朝御飯何作ろう。
冷蔵庫を確認…。オムレツとベーコンとサラダで良いか。
ご飯がようやく炊けて配膳した頃、皆が起きてきた。
「おはよう…お母さんは?」
「お早う、律君。まだ寝てると思うから起こしてきてくれるかな。八重子先生も」
「二人とも? 珍しいね」
「私も寝過ごしちゃったよ。孝弘さんも出来たらよろしく」
「あ、はい」
台所に戻ってスープを出すと三々五々、起き出して来た。
「おはようー」
「おはようございます」
「おはよ、寝過ごしちゃったねぇ」
「おはようございます、そんな日もありますよね」
食卓に着いていただきます。
お櫃は先生。
「ん? あら? ちょっと硬いわね」
「すいません、私も寝過ごしました。吸水させてません」
「あらあら、そうなの? 仕方ないわねぇ」
テレビを見ると明日朝方台風が来るとのこと。
「あなた大丈夫?」
「出勤する頃はまだ近畿でしょう、大丈夫ですよ、きっとね」
「あんまりだったら休みなさい」
「そうですね」
「律、あんたも今日は用事あるなら早めに済ましなさいよ」
「あ、うん」
さっさとご馳走様をして食後のコーヒー。
律君が出かける用意をしている。
ブラックスーツ? 葬式か。
先生は今日はある程度疲れも取れ、律君が帰ったことで落ち着いた様子。
ということで茶道具の入れ替えに掛かった。
夏の道具を仕舞って、秋の道具立てに。
昼を過ぎて律君が戻った。
少し雨が強くなっている。
「あ、そうそう。旅行行くの?」
「ん?」
「ほら、今度の連休」
「どうしましょうか、そっちも台風来てますし」
「…うーん。来なかったら、でどう?」
「いいですよ」
「じゃ、そうしましょ」
「来ないと良いなぁ」
「そうねえ。それよりそろそろあんた帰んなさい。雨ひどくなってきたわよ」
「あ、はい」
暗雲立ち込めている。
「先生も危なそうだと思うなら避難してくださいね」
「大丈夫でしょ」
「裏山が怖いじゃないですか」
「うーん…考えとくわ」
誰もいないのを見て軽くキス。
「昨日、あなた可愛かったよ」
「やだ、ばか。早く帰んなさい」
背中を押されてしまった。
あはは、と笑って片付けて先生のお宅を出る。
帰宅すると本格的に降り始めたようだ。
カッパの用意だけして就寝した。
翌朝、雨の中出勤する。
お客さんも来ない上にキャンセルの電話ばかりで仕事にならない。
仕事が終わって帰ろうとすると道が川になっているところがあるらしい。
心配になって先生に電話するが、あちらはそれほどでも無いようでひと安心だ。
帰って心配をされたが俺は長靴だし合羽着てるし。
問題なく帰宅した。
けど昼から暇でしょうがない。
昼寝をしている間に台風は終わったようだ。
夜。テレビをつけるとあちこちで土砂崩れがあったなどニュースが凄い。
古い友人にメールをし、無事を確かめた。
幸い誰も被害にはあわなかったようだが…今年は酷いな。
外はといえば水が引いてるのでコンビニへ行き、飯を買って帰ると先生からメール。
何食べたの?と。
うーん、これは教えたら叱られるな。
仕方ない。
冷蔵庫の保存食、漬物を加算してメールを返した。
今度は塩分が多すぎる、とお叱りの電話が。
苦笑。
明日、先生がまた野菜責めにするんだろうからいいじゃないか。
そう答えると少しむっとした気配。
明日、嫌いな物尽くしにするわよ? と言われて降参した。
素直にごめんなさいと言うと野菜は多いけど好きなものにしてくれるという。
優しいよなぁ。
暫く喋って、眠くなったというと柔らかな声でもう寝なさいと。
お休みの挨拶を交わして電話を切った。
翌朝、仕事は暇で時間が過ぎない。
ふと見れば甘えびが売れずに残っている。
少し考えて買い取った。
先生と食べよう。
仕事を終えて先生のお宅に向かう。
台所に置いてからお稽古の準備を整え、茶室で待つ。
生徒さんが来て先生も支度が済み、お稽古が始まった。
サラサラと中置きの稽古。
いつもは壁際の風炉を中央に置いて水指を壁際へ。
少し戸惑いつつも皆さん何とかお稽古。
炭手前も先生の指名した生徒さんが行なった。
稽古が終って水屋を片付け、食卓へ。
「あら、えび? おいしそうね」
俺へは野菜尽くしと豚のしょうが焼き。
ん、うまい。
「甘~い♪」
「おいしいねぇ」
甘エビに手を汚しつつ、先生方はうれしそうだ。
買って来た甲斐もあった。
こちらの地域ではトウガラシなどとも言う。
唐揚もうまいエビだが、刺身で食うのが一番だ。
「おかわり」
先生は手が汚れてるので俺が受け、よそって孝弘さんに渡した。
俺は野菜責めで満腹。
食事が終って片付けてしばしの団欒。
順送りに風呂に入って寝間に引き上げた。
しっとりとした先生を懐に抱いていたら寝息が聞こえてきた。
やりそびれた。残念。
諦めて寝て起きていつもの水曜日が始まる。
家事を手伝い、お買物にも付き合った。
夕飯をいただいてからの帰宅。
最近すっかり安定してきた気がする。
良いことだ。
ベッドにもぐりこみ早めの就寝。
休み明けの仕事は暇で早く終ってしまう。
ゆっくりと支度をして先生のお宅へ向かい、稽古の助手。
俺への稽古もつけてもらった後、水屋を片付けていると先生が背中に触れた。
「ん? どうされました?」
「ね、旅行、連れてってくれる?」
「旅行?」
「ほら、連休に京都って行ってたじゃないの」
「あぁ旅行ね、旅行…台風来てるのに?」
「だって13日の夜からって言ってるわよ、京都」
「足が遅くなってるとは聞いてますけど。新幹線止まったらどうするんですか」
「止まったらあなたの家に泊めて頂戴」
「あー…はい。いつから行きますか」
「土曜、お稽古終ったらすぐでどうかしら」
「お夕飯は」
「新幹線の駅弁で良いでしょ」
「じゃ八重子先生に話を通して置いてください」
「ちょっと待っててね、今言ってくるわ」
宿と電車手配しないといけないな。
さっとタブレットで調べてみるとキャンセルがあるようで良い宿が手配できた。
電車の手配もする。
禁煙車のできればグリーン。
余裕で有った。やっぱりキャンセルが多いのかな?
手配を済ませた頃、先生が戻ってきて水屋の片付けを再開する。
「どうでしたか」
「構わないって。水屋も律に片付けてもらうわ」
「いいんですか?」
「そうしないと電車の時間遅くなるわよ」
「まぁそうですけど」
「荷物どうしたら良いかしら。あなた全部持ってくれる? それとも送っちゃう?」
「台風の影響あると困るからお持ちしましょう」
「じゃ明日のうちに荷物作っておくわね」
「はい、俺も用意してから来ますね」
片付け終えて食卓へ。
今日は何かなぁ。
へぇ、先生方はエビしんじょのお吸い物か。
また面倒なものを。
俺には豚バラの炒めたのに大根おろしと薬味、ポン酢を添えたのをメインに。
先生が律君に色々といない間の家の事について言ってる。
「おばあちゃんは家にいるんだよね?」
「いるわよ。でもほら。おばあちゃんだってお出かけするかもしれないでしょ」
「そうなったら食事は出前取ったら良いからね」
「お父さんの分はご飯炊いて頂戴ね」
「何しに行くんだっけ」
「展覧会と資料館と博物館の予定してるのよ」
「やっぱり京都だと沢山あるの?」
「常設展が随分有るからね、あっちは」
「大西は行きたいわ」
「はい、ぜひ」
食べ終わって片付けて帰る段になり、先生が見送ってくれた。
「じゃ、あさって楽しみにしてるわね」
「楽しみですね。じゃあ失礼します」
「またね」
機嫌よく帰宅して、明日の仕事に備えて寝た。
翌日は連休前なのにそこまで忙しくない。台風の影響だろうか。
仕事を終えて食事をして帰宅。
昼からは旅行の荷物を作ることにした。
着物バッグにあれこれ詰め込み、更にボストンを。
下着や小物類、縄とペニバンだけだが。
なんせ何か足りなきゃ家から取れば良いわけで。
勝手知ったる京都では特にさしたる荷物も要らない。
すっかり作り終えればそろそろ夕刻。
小鯛を造っておいたのでそれをアテに少し飲んでから寝た。
土曜は忙しく、流石に連休だ。
客先からまだ届かないなど電話が入り、手が空いた時には私も配達に出た。
それでも昼過ぎには仕事が終わり慌てて帰宅し整えて先生のお宅へ。
既に稽古が始まっていて、遅刻を詫び、混ざった。
やはり今日は数人お休みらしい。連休だもんね。
先生と協力して早めに終らせると水屋を片付ける時間が出来た。
俺が片付けてる間に先生が旅行の荷物を玄関へ出し、着替え始める。
俺も終わり次第着替え出立の用意が出来た。
八重子先生に挨拶して荷物を確認、すべて持って移動を開始した。
「せわしないけど仕方ありませんね」
「お稽古日だもの」
荷物を忘れないように、乗り継ぐ。
新幹線で駅弁を購入して広げた。
俺は牛すき重、先生は野菜たっぷり弁当。さすがだ。
食べ終わって物足りなく思っていたら車販が来た。
サンドイッチを貰ってコーヒーと温かいお茶を買い、先生にお茶を渡す。
くすくす笑いつつ先生もお弁当を食べきって満腹な様子。
俺もサンドイッチを平らげ、ごみを捨てに立った。
ついでに温かいお茶を自販機で買い、戻る。
っと先生が車掌と話している。
切符の改めか。
近寄って懐から出して見せ、確認は済んだ。
にこっと先生が車掌に微笑む。
俺は少しむっとする。
座ってそう言うと笑われた。
「ばかね、他の人から見たらただのおばさんよ」
「美人さんですから。ただのとは思ってないかと」
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
うふっと笑う。可愛い。
ゆったりと喋りながら夜が更ける。
すっかり暗くなり先生が眠くなった頃、到着しタクシーで宿泊先に移動した。
「あなた、ちゃんと良い宿知ってるのね」
「今回はキャンセルが出たそうで幸いですよ」
荷物を片付け、明日の用意をしたら早速シャワーを浴び、着替えてベッドに潜り込む。
「ねぇ…しなくていいの?」
「今日したらあなた明日資料館とか無理でしょう?」
「そうね」
暫く撫でていたが突然先生が起きた。
「あ、忘れてたわ」
寝る前のトイレか。
戻ってきて俺の胸を枕に寝始めた。
よしよし、可愛いな。安心しきっている。
先生のぬくもりと寝息に引き込まれ、寝た。
翌朝、食事をして支度し、出る。まずは定番の資料館。
丁度名碗展を開催していた。
白鷺、広沢、三宝に小原木など名器と呼ばれる茶碗だ。
楽しんだ後西陣織会館へ。
少し買物と目の保養をして、楽美術館。
やっぱり楽は良いなぁ。
欲しくなる。
見終わった後どこかでお昼をいただこう、となり職員にお勧めを聞いてみる。
ここから二筋下がった町屋とのことで先生と歩く。
危なく普通過ぎて通り過ぎるとこだったが先生に引き止められてわかった。
入ると古書店でもあるらしい。
先生はカレー、俺はガッツリ系を予想したプレートを頼んだ。
しかしながら出てきたものを見て先生がそっちが良いというので交換。
肉だけ半分くれた。
ま、ね。プレートの中身は俺の苦手とするものが多かったから良いんだけど。
一旦宿に戻り小用を済ませて午後は岡崎エリア。
大西へ行き、泉屋と野村を回る。
もう3時半、そろそろとタクシーを上七軒に回してもらった
4時前に入場して席に着く。
ブザーが鳴り、静かになると真っ暗になった。
開幕。
晒し三番叟であけて子の日。
おさん茂兵衛。
駆け落ちもので有名だ。
先生が俺の手に触れてくるのは自分の現状と重ね合わせてるのだろうか。
休憩時間に先生がトイレに行き、俺は一服。
〆は枕獅子。
鏡獅子の元になったやつだね。
しかし当時の人も傾城物を大奥に持ってくるなんて大胆なことをしたのか。
すっかり鏡獅子が有名になって枕獅子は見なくなった。
番組が終って千秋楽、良い会だった。
先生と腕を組み歌舞練場の裏へ出て歩く。
少し寒そう。
俺の羽織を着せた。
「暖かいわ…何度目かしら」
「ふふ、今日は冷えますよね」
手を握って料理屋さんへ入る。
「どうも」
「あ、いらっしゃい、どうぞ」
仲居に従って部屋に通され、席に着く。
「お酒はどうされますか?」
とメニューを貰って冷酒を二つ頼み、待っていると酒が来た。
まずは乾杯。
暫くして芸妓が一人、来た。
「へ、おおきに、おまっとうはんどした」
「やぁお久しぶりですね」
「へぇへぇ、そうどすな、一年はお顔見せてもぅてまへんな、
 忘れはったんちゃいまっしゃろか、ゆうてたんどっせ」
「いやぁ仕事とか習い事とかでね、時間が作れなくて。こちらうちのお茶の先生」
「へ、よろしゅうおたの申します」
「あ、はい、こんばんは」
随分年寄りが来たとて驚かれてしまった。
「このお人は割りと古くからこっちで芸妓されててね」
「へぇそうどすな、さすがに戦前はよう知らしまへんけど」
「勝喜代はんやったらよう知ってはるんやない?」
「今年は会も出たはらへんのえ」
「あぁ、もう随分なお年やもんなぁ」
先生が目をぱちくりさせてる。
「うん、何で呼んだかといいますとですね、娼妓がいるところってイメージだったでしょ」
「え、あ、うん」
「ここ上七軒は芸妓本位の街で娼妓を置かない街だったんです。それをね」
「まだ赤線やらあった頃はよぅよぅ知っとりますよって」
「ここは置かなかったんですよね。基本」
「祇園町には150年前はいはったそうやけどね、太夫。歌舞練場は駆黴院の痕やそうどす」
「くばいいん?」
「性病の治療する病院どすな」
「こっちの街にはないんですがそれもその筈、戦前でたったの3人ですからね」
「今はどこの花街も体を売らはるようなことさせたらしまへん。自由恋愛ですわ」
「まぁ自前で着物やら支度やら、足りなくてパトロンを持つことはあるようですが」
「他所さんの事はそんなゆうたらあかしまへんけど、こっちは昔から芸妓本位どすよって」
「まぁ娼妓本位はわが地元、島原ですね。娼妓以外が殆どいなくてもう営業できなくて」
「えっ、島原ってあの?」
「はい、吉原か島原か、の。もうお茶屋組合すら解散しちゃいました」
「歌舞練場ものうなりましたなぁ」
「さびしいですよ、小さい頃そこでお餅つきしてたのに」
「本当にそこが地元なのねぇ」
「小さい頃はね、あたりから清元が聞こえたりね。友達が禿したり」
色々と喋って先生のこだわりをほぐして行く。
ご飯もいただいてすっかり気持ちのほぐれた先生を連れてホテルへ戻った。
俺に少し寄りかかって暫くいる。
「疲れた?」
「うん。…脱がしてくれる?」
帯締めに手を掛けて帯を解いて行く。
腰紐を外しつつ問う。
「風呂? それとももう寝る?」
「ん…寝るわ」
長襦袢まで紐を抜いて、浴衣を出して渡した。
「ほい、立って」
よっこらしょ、と俺に掴まって立った。
べろん、と全部抜いてさっと着せ掛ける。
一瞬の寒いぼ。
軽く首筋にキスし伊達締めを渡してボストンを漁る。
コールドクリーム。と湿った吸水スポンジタオル。
このコールドクリームは先生のと同じメーカーだから肌荒れの心配はない。
ベッドに寝かせ、股の間に先生の頭を落としこんで丁寧に先生の化粧を落とす。
途中で寝息が聞こえてくる。
拭き取り化粧水で二度ばかり拭き取れば先生の肌の感触が凄くよくなった。
髪をほどいてやり、枕を当てて布団の中に入れた。
俺も手を洗い先生の着物を片付けて寝る用意を整え、横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。
朝。目が覚めたが先生はまだ寝ている。
時間はまだ早い。
朝食の支度をしないで良いからもう少しこのまま先生の寝息を聞いていよう。
ゆったりと時間が流れる。
7時半を過ぎた頃、先生が目覚めた。
「おはよう…」
「おはよう」
「何時かしら。台風どうなったの?」
「7時40分かな、台風はちょっと待って」
テレビをつけて確認する。
「まだ遠いかな。どうします?」
「ここ、今日チェックアウトよね」
「いや予備日取ってましたから今日も泊まれますよ」
うーむ、と先生が悩んでる。
「俺はもう一日、あなたといたいけど」
「じゃ昨日ね、資料館行ったでしょ。もう一度行きたいのよね」
「だったら午前中ですね、やっぱり」
もそもそとベッドから出て身づくろい。
「ん? ねぇ。昨日化粧…」
「落としておきました、痒い?」
「ううん、ありがと」
キスしてくれた。
身支度を整えて食事へ。
朝食は軽めの懐石風味でまぁまぁいけるね。
それからお出かけの支度。一応雨支度を整えて。
先生の希望通り資料館へ行き、ゆっくりと見歩く。
流石に台風当日と有り人が少なく、先生は落ち着いて楽しんでおられる。
俺はその先生の様子を見るのが好きだ。
昨日よりしっかりと見て退館すると小雨。
「降って来たわねぇ」
「これから強くなるんでしょうね」
先生が少し考えてから表千家の会館を希望された。
流派は違えどあちらのお道具も見たいとのことで一応のため電話で問い合わせて伺った。
流石にすばらしいお道具ばかりで先生の溜息が聞こえる。
ひょうたん型の水差しとか使いにくそうだけど。
その後、お昼ご飯を近くで食べることにした。
先生が色々注文してくれてるが、あまり愛想を振りまかないようにお願いしたいところだ。
次は北村に行きたいと仰る。
どうやら下調べしていたらしい。
これも一応確認の電話をしてから伺った。
先生は熱心に見ておられるが人のいない日だけに結構目立つね。
流石に雨脚がきつくなってきてホテルへ戻った。
着替えて着物の始末をしてくつろぐ。
先生は満足そうだ。
俺も満足したくなって引き寄せた。
「ぁ…暖かいわ」
「寒かった?」
「ちょっと雨だったから冷えちゃってたみたいね」
「温めてあげよう」
「ん…、ぁ…」
胸をまさぐると軽く喘ぐ。
左手で裾を割って股間に手を差し入れる。
はっはっ、と先生の荒い息が心地よい。
「ぬ、脱ぐから待って、お願い」
「はいはい、お手伝いしましょう」
貝ノ口をほどいて対丈の木綿の着物を脱がせる。
すっかり着崩れてたけど。
肌襦袢も腰巻もすべて脱がせれば恥ずかしそうに胸とあそこに手をやって隠そうとする。
キスをして抱くとしっかりと懐に入ってくる。
ベッドに連れ込んで暫く楽しみ、ふと思い出した。
「あ、そうだ。ペニバン持ってきたんだよね」
「えぇ? ちょっとこんな所で?」
「うん」
先生の上から退いて装着する。
「ね、ちょっと。ねぇ、久さん…」
コンドームつけてローションを塗りつけた。
「ん? いいでしょ」
「いや、ちょっ、ダメよ。あっ」
抵抗してるけど入れちゃったもんね。
眉をひそめて抵抗むなしくも気持ちよくなっていく先生は可愛くてきれいでたまらない。
腰を使うたびに啼く。
二人で随分汗をかいて先生が疲れきって寝た。
窓の外は豪雨、まったく気づかなかったな。
後始末をしてから横にもぐりこんだ。
携帯にアラームをセット。
夕飯前には起きないと。
先生の匂いを嗅ぎつつ幸せな気持ちで寝ていたらあっという間にアラームに起こされた。
もっと寝てたいが仕方ない、先生を揺り起こす。
ぐずってはいるが何とか起こして着替えさせ、化粧を直されるのを待ち、食事へ。
眠たげだがおいしそうな食事に心が浮き立ち始めたようだ。
軽くワインもいただきつつのフレンチ。
コースが進むごとににこやかになる先生を見て自然に嬉しくなる。
しかしこの天候でよく食材そろえたなぁと感心しつつ、食事を楽しんだ。
デザートも美しく仕上がってて、手が込んでいる。
甘くて、俺はエスプレッソで口直し。
部屋に戻ると先生は帯が苦しい、と脱いで寝巻きに着替えた。
「おいしいから食べ過ぎちゃったわ」
「うん、うまかったですね」
それから俺の懐に擦り寄ってもたれてきた。
「えっちはダメよ?」
「はいはい」
テレビをつけて台風情報を見始めた。
「明日帰れるわよね?」
「ダメならうちに来て。たっぷり抱いてあげますよ」
ぱっと耳まで赤くしているのが可愛らしい。
手を差し入れて乳をなでるとベチン、と叩かれた。
「だめっていってるでしょ、後でなら良いわよ」
「しょうがないな」
膝の上に載せて抱きかかえた。
「これくらいはいいでしょう?」
「うん」
暫くすると寝息。
やっぱり寝ちゃったか。
しょうがない、化粧落として寝ることにしよう。
昨日と同じように拭き取ってベッドに寝かしつけ、俺も諦めて寝た。
翌朝になるとすっかり台風は落ち着いたようで関東方面が荒れ始めた模様。
遅い目に発てば十分と判断し、夕方の新幹線を取った。
夕方までどうするかってそりゃ俺の部屋か観光かだよね。
そう先生に言うと赤面してる。
「観光が良い?」
「…どっちでも、いいわ」
「へぇ、じゃラブホでご休憩でも?」
「い、いいわよ。行きたいなら」
耳まで赤くなってて可愛らしくてつい、うなじに手を這わせてしまった。
「ペニバンでも?」
そのままうなづいて、ああ、もう超可愛い。
「だけどお預けだ。あなたとラブホなんてね」
「私とじゃいやなの?」
「じゃーなくて。他所の先生に見られたらどうするんだって言うね」
「ここ、地元じゃないわよ?」
「京都ですよ。あなたの顔を見知ってる先生がたまたま見てたりしたらどうします」
「そんなの、台風だから泊まるところがなくてとか言えば良いじゃないの」
「というか、したいんだ?」
「あっ…。ち、違うわよ、そんな」
「ふふ、じゃあなたの意見採用だ、良いホテル知ってるんでそこ行きましょうね」
チェックアウトの後直接そのラブホへ行くと先生が驚いてる。
「すごいわ…」
「でしょう? セックス目的じゃなくても快適っぽいでしょ?」
先生が部屋のあちこちを見ているその間に用意を整えた。
「さてと。着替えたらこっちおいで」
「えっ…あ、はい…」
こくり、と息を呑んで。
上気して恥ずかしそうで、そそる。
脱がせてバスローブを渡して着替えさせる。
「まずはそのまま舐めてもらいましょうかね」
膝を突かせて。この間教えたとおりに出来るかな?
ぎこちなくて初々しいけれど丁寧に、そして恥ずかしそうに。真剣で。
足で先生の膝を割って股間に足の甲を当ててみた。
既にぬめってきている。
んん、と呻きつつも舐める努力をしていていじらしい。
もはや用意は整った、入れてあげよう。
立たせてゆっくりと割り入れた。
手をちゃんと回してきてるのを確認して膝を抱え上げる。
より深く刺さったようでいい声を出した。
ゆすってやると反ろうとする。気持ち良いようだ。
そのままベッドの上に移動する。
座位。
落とす心配もなく楽しめる。
先生はそこまで意識が回らないようでよがり続けている。楽しい。
こっそりとお尻に指を入れるといやいやをするものの、抵抗できないようだ。
唇もむさぼり、乳首も弄ってやる。
一杯一杯なのが見て取れて本当に良い。
何度逝かせたやら、2時ごろになり開放してあげた。
息が出来なくなってたから。
そのまま抱き上げて風呂に連れて入り、丹念に汗とぬめりを流して拭き取る。
着替えさせてから自分も着替え、タクシーを呼んだ。
疲れ果てている先生を抱え上げて乗り込み、クロネコのセンター前で少し止めてもらう。
荷物を発送してボストンのみ残した。
それから八条口へ。
抱き上げて乗車手続きをしたが案外大変だった。
今度から出発ギリギリはやめておこう、うん。
喫茶店で座らせ、コーヒーを頼んでから駅弁を手に入れた。
戻ればコーヒーが来ていて先生が嫌がらせで砂糖を3杯入れている。
「う、何してんですか」
「甘いの嫌いだったわよね、沢山入れてあげたから」
にこーと笑んでいる。
ご立腹らしい。
そりゃ怒るよね、と思いつつも甘ったるいコーヒーを飲み干した。
駅弁を先生に持たせて抱えあげる。
そろそろ乗車時間が近い。
人目を引くが仕方あるまい、まだ立てやしないんだから。
電車が到来して乗車、席に座らせた。
やっとほっとした表情だ。
横に座って早めの夕飯、と弁当を広げる。
「あ、おなかすいてたみたい」
「お昼食べてなかったですもんね」
何か思い出したらしく、赤面している。
可愛いなあ。
いただきます、と食べる。
途中、先生がお茶買ってきてと言うので席を立った。
二つ買って戻り、蓋をあけて渡す。
「ありがと」
食べ終わって暫くすると先生がもぞもぞする。
電光掲示板を見やったり。
「どうしました」
「お手洗い、行きたいのだけど…」
「あぁ。この車両、トイレ広いから大丈夫ですよ」
「恥ずかしいわ…」
「今更。はい、手を俺の首に回して下さい」
「うん」
そのまま抱え上げ懐に貴重品を入れてトイレへ行く。
トイレの中で下ろして裾を捲り上げて座らせた。
「あの、外で待っててちょうだい」
「はいはい」
ドアにもたれてぼんやりと待つ。
暫くして声がかかり、中に入った。
先生は恥ずかしそうで、俺はちょっといじめたくなるが我慢我慢。
裾を下ろして整えてあげて抱えて出るとトイレ待ちの人がいた。
先生が更に恥ずかしがってて可愛い。
手を洗わせまた抱えて席に戻る。
軽く太腿をつねられた。
「可愛いな…」
ぺんっと額を叩かれた。
「イテッ」
思ったことをそのまま口にしてはいけないね。
暫くくだらないことを喋っていると駅に着いた。
ボストンを持って先生を担いで下りる。
タクシーに乗せてうちへ連れ帰った。
「はい、お疲れさん」
そういって全部脱がせる。
「えっ、ちょっと、なにするの」
肌襦袢まで全部脱がせて裸にした。
「あ、あの?」
「ほい、浴衣」
ひょいひょいと寝巻きを着せてベッドに転がした。
「夜まで寝てなさい」
「そ、そういうことね…」
一旦寝かせて明日の昼連れて帰るつもりだ。
そのように八重子先生にお話してある。
「寝られないなら抱いてあげようか?」
「ばか、もうっ」
あはは、と笑ってちょっと外へ。
夜食の分を買いに出た。
台風の残滓、天気はまだ荒れている。
先生も食べれそうなものと、明日の朝の分も買って帰った。
ドアを開けると寝息が聞こえる。
俺も寝ようかな。
そうと決めたら着替えて横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。
少し寝て、俺は9時半頃に目が覚めて腹減った。
先ほど買ってあったものを食べる。
暫くすると先生が起きたようだ。
ベッドから降りようとして…あ、落ちた。
「久さん、お手洗い」
「まだ無理みたいですね」
「はやく」
漏れそうなのかな。
抱き上げてトイレに連れて入り、たくし上げて座らせた。
途端の排尿、先生が顔を赤らめている。
追い出す暇がなかったようだ。
「後ろ、向いてて頂戴よ」
「舐めてあげようか?」
そういってキスしたら乳首を捻り上げられた。
「ばかなこと言ってないで。ね? ほら、後ろ向いて頂戴」
「はーい」
始末している気配がし、流して。
抱えて裾を下ろしてまたベッドに連れて行こうとしたけどお腹がすいたようだ。
膝に乗せてまだ手をつけてないものを食べさせた。
口に運んであげようとしたが流石に却下され、背もたれ代わりとして。
ちょっとでよかったようで軽めに食べてご馳走様をされた。
俺に手を突いて自力でベッドに行こうとされる。
ふらついてはいるけど何とか大丈夫なようだ。
しかし良い加減慣れても良さそうなものだがなぁ。
そういうとあなたが体力ありすぎるのよ、と説教されてしまった。
俺も残ったものを平らげ、洗い物をしてから添い寝。
「明日、あなた一人でトイレ行けるかな」
「多分いけるわよ…」
だったらいいけど立てなきゃトイレ困るよなぁ。
背中をなでていると寝息が聞こえてきた。
本当に寝つきが良くてうらやましい。
好きだな、本当にこの人の事が。
なんだってしてあげたくなる。
でも泣かせたくもなる。
その辺は諦めてもらおう。
先生の尻をなでながら寝て夜中に起きる。
仕事だ仕事。
支度をして先生の寝顔を覗いてから休日出勤した。
昨日休んだからね、たまには休日出勤も引き受けねば。
台風明けの水曜と言うことでたいしたことはなく早々に帰宅できた。
「お帰りなさい」
「ただいま。自力で着替えたんですね」
「ええ。お風呂入ったら? 沸いてるわよ」
「ありがとう」
軽くキスして風呂に入る。
シャワーを浴びていると着替えここに置くわよ、と声がかかった。
良い奥さんと言うかお母さんと言うか気がつくよね。
風呂から出て髪をざっと拭き、体をぬぐって着替えた。
「じゃ、帰りましょうか」
「まだ乾いてないじゃないの」
「大丈夫大丈夫」
荷物を積み込んで先生を後部に乗せ、運転する。
「お仕事お疲れ様、今日はどうだったの?」
「まぁ暇で暇で。流石に休みですね」
「あらあら、そうだったの?」
「ええ、台風の後ですしね」
先生のおうちに着いて荷物を持って入る。
お昼をいただきながら展覧会や資料館の話を沢山八重子先生にした。
先生はまだちょっとお疲れで途中からお昼寝させて。
気持ちよさげなのを眺めていたら来客の由。
八重子先生が応接しているのを聞き耳立てる。
どうやらやはり誰かに見られてたと見えて。
駅かな。
抱えられてる姿と言うわけだから。
お茶を持って行き、話題に加わった。
「ご覧だったそうで。あの台風で転びそうになられて足を捻られたんですよね」
「あらそうなの?」
「今日は大丈夫だったように思うけど?」
「湿布まみれにしました。昨日。転びそうになると変なところの筋肉使うみたいで」
「あーわかるわぁ、変なところ痛くなるわよね」
暫くお二人と歓談して退出。
さて、ごまかせたかなぁ。
先生の寝ている様子を伺いに寝間に入る。
あ、足袋はいたままだ。
脱がせたら起きちゃうか、なんて思いつつ丁寧に脱がせた。
幸い起きてない。
愛しくてたまらなくなるがまだ昼日中。
眺めているだけにしておこう。
お客様も帰られたようなので居間に戻る。
「絹は?」
「まだ寝てらっしゃいます」
「…ほんとに転んだのかい?」
「えーと…すいません、嘘です。疲れさせました」
「だと思ったよ。あんたのそれ、いつになったら落ち着くのかねえ」
「ははは…」
多分あと数年は落ち着かないと思います、はい。
夕方になって先生が起きてきたので俺は帰ることにした。
「また明日、お仕事頑張ってきてね」
「はい、じゃぁまた来ますねー」
頭をなでられた。
なんでだろう。
よくわからないまま帰宅して、飯を食って寝た。
翌朝は普通に出勤したところ暇だった。
なので合間合間、社長に旅行の話を聞かれた。
京都土産に定番の八橋がよかった? といえばあんなのいらん! と言われたが。
今回は新定番の京ばあむを3つ買ってきた。
抹茶と豆乳のバームクーヘン。
オッサンと若い兄ちゃんばかりだから和菓子は喜ばれない。
適当に切り分けて俺も一切れ食べた。
うまいね。
仕事が終わって飯を食い、風呂に入って着替えて先生のお宅へ向かった。
「あら、いらっしゃい」
「お邪魔します」
「昨日お土産届いたわよー、あんたも食べる?」
「後でいただきます、今満腹ですから」
「そう? じゃ二つだけ出すわ」
「バームクーヘン、昨日孝弘さんといただいたよ」
「どうでした?」
「意外とおいしいもんだね」
「そりゃ良かったです」
「それと利休バッグ、良いね、あれ」
「あぁ、それは先生のお見立てです。数奇屋袋と悩んだんですけど」
会話を交わしていると宅急便、先生がはーいと言って俺に取りに出るよう言った。
あ、旅行の荷物。
受け取りにサインして引き上げる。

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