もう少しうつらうつらとまどろんでいるとおいしそうな匂いがしてきた。
衣擦れの音がして、ギシッとベッドが沈む。
先生がかがみこんできて私にキスをする。
「山沢さん、起きて。ご飯できたわよ」
んー。やってほしかったことをやってもらえた♪
1.キスで起こされる 2.ご飯の声で起きる
ツボを押さえてるが多分これ、わざとやってないと思われる。
目を開けると割烹着のまま、ちょっと残念かな、脱いでたら引き寄せたが。
割烹着じゃ引き寄せたらいかんな。
「起きないと乳首咬むわよ」
うわっ、慌てて起きた。これはさすがに予想外。
「なんちゅうこと言うんですか、あなた」
先生はくすくす笑って浴衣を渡してくれた。
「だってなかなか起きないんだもの」
はいはい、起きましょ起きましょ。浴衣を着て食卓に着く。
今日のメシは昼に持って帰ってきた石鯛メイン。
お造りと青梗菜の胡麻和えときんぴらと…大根葉かなあこれは。かぶ葉?
あんかけで仕立ててある。それとお味噌汁。
おいしそうだなあ。
いただきます!と食べるとあんかけはほんのり生姜風味で。大根葉だこれ。
お揚げさんと大根葉ね。うまいな。
にこにこしてがっついてたら先生もにこにこしている。
「どうしました?」
「作ってて嬉しいわ、そんな風に食べてもらえると」
「あー作ったのに手もつけられてないとかすっごい嫌ですよねえ。
先生のメシうまいってのもありますが、先生が作ってくれてるのも嬉しくて」
「ねえ、先生って呼ぶのやめない?名前で呼んでくれていいのよ」
「いけませんよ、うっかり稽古のときに呼んだらどうするんですか」
「あら…それは困るかも」
「でしょう?普段の言葉って出ますから」
「私と一緒のとき、たまに俺って言ってるわよね、山沢さん」
あー。そういえば言ってるな。
「気をつけます」
「あら、うれしいのに」
ん?
「だって私には素でいてくれるわけでしょ?」
ああ、そういうことね。
「完全に素になったのは見せませんよ。絶対」
「見てみたいわー」
「見せません」
きっぱり!
素はいかん、素は。
先生はいたずらを仕掛けようかなあ、という顔をしている。
「顔に出てますよ。悪巧みしてるでしょう」
「あらやだ、わかっちゃう?」
「わかりますって。駄目ですよ」
さてと。
「ごちそうさまでした。うまかったです」
「足りたかしら?」
「いえ、もう十分腹いっぱいです。足りてないのはこっちですかね」
と先生の手を掴む。
「あらあら。洗い物片付けてからね?」
「はい、あ、俺がやりますよ、洗い物くらい」
「うーん、それより昨日の…道具片付けてくれないかしら。お願い」
ああ。忘れ去ってた。見るのも嫌だろうなあ。
「わかりました、じゃ洗い物頼みます」
台所まで洗い物を運び、それから洗面所に向かう。
タオルをしまい、乾いているか、洗い残しはないか点検。
うん、大丈夫そうだ。
3本とも持って道具部屋に戻りしまいこむ。
あとこの極太君もしまっちゃおう。凶悪すぎる見た目が。
あ、縄。和室に置いたままか。
和室へ行くと隅にきちんとまとめてあった。
…どんな顔で纏めたんだろう(笑)
縄を持って道具部屋に戻って片付ける。
しかし、道具使わせてくれたらなあ…あれ使えばもっと肌を合わせてる気分が出るのだが。
と見るのはストラップレスディルド。
L字になってる短いほうを私の中に収納して固定して長い方でえぐるもの。
まあ、自分も入れるのは苦手なので人のことは言えないが。
とりあえず触らせてみるか。