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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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39

「ど、どうしたんですか急に」
「なんかあんた、落ち込んでるように見えてね」
あー…まあね。
煮物は下手だしお花も苦手だし色々とね、へこんではいますがね。
朝は朝で失言してわけわからんことになったしね。
「まあ、あんたはあんたで他に色々とできることあるだろ」
「お茶には生かせないことばかりですよ…」
撫でられてると絹先生が戻ってきた。
「あらあら、どうしたの?」
くすくす笑ってる。
お茶にしましょということで居間に戻ってテレビをつける。
台風のニュース。
週末にかけてくるらしい。先日も大変だった。
山崩れとかなったら怖いなあ。
「お稽古お休みにしたほうがいいのかしら」
「そうだねえ。危ないからね。そうしたほうがいいね」
「でも仕事は休みにならないんですよねえ。客来ないのに」
「台風前日はうちに来るんじゃないよ。遠いんだから」
いやむしろ泊まってたい、仕事行きたくねー。
「休前日ならこっち来ていたいですけどねえ…。
 いっそ仕事も暇だし京都にでも避難してもいいですが」
「何か展覧会があるのかい?」
「あっちならいつでもなにかあるでしょう」
ん、絹先生がなにか言いたそうだ。
「どうしたんです?」
「……芸者さん呼ぶのかしら」
「呼びましょうか?」
売り言葉に買い言葉、八重子先生がため息吐いてる。
「絹も一緒に行ったらいいだろ」
「いやいやそんな頻繁に一緒に旅行はちょっと」
他のお弟子さんとか、律君とかに怪しまれそうだよ。
「いいから行っといで」
参ったな…。
「…お夕飯の支度してくるわ」
絹先生は言い捨てて台所に行ってしまった。
私はため息を一つ。
「なんで芸者にこだわるんでしょうねえ…」
「ほんと朴念仁だね、あんたも」
「娼妓の居る時代じゃあるまいし。
 私の場合呼ぶのは年寄り芸妓だしで色っぽい話なんて皆無なんですけどねえ」
「そりゃお座敷遊びしたことない人にはわからないよ」
そんなもんかなあ。
「うーん。じゃ今度、絹先生連れてお座敷かけましょうか」
なんて話をしているうちにそろそろ帰らねばならない時間だ。
八重子先生に挨拶し、台所に立ち寄る。
「そろそろ帰りますね」
「どうぞご勝手に」
苦笑して調理中の絹先生の腕を引き、こちらに向かせてキスをする。
「また明後日きます」
「…こなくても構わないわ」
「そう仰らずに…先生、意外に嫉妬しますね」
後ろ向いちゃった。
「嬉しいですよ。だからこっち向いてください。それとも…」
ちょうどそこにまな板と包丁があることだし。
「こうしましょうか?」
と、包丁を私の小指にあてがう。
すっと皮一枚切ったところで止められた。
詰られる。
卑怯者といわれてもこういう手立てが一番誠意が判るかなーと思ってしまう。
ただ抜本的解決になってないから一度ちゃんと話をしないといけないな。
「じゃまた明後日きてちょうだいね」
明々後日は休みだから泊り込んでしっかり説得するか。

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38

先生は気恥ずかしそうに、孝弘さんにご飯をよそう。
煮物を食べて不審そうに私を見る。
「…まずいなら食わなくて結構です」
仕方ない。自力消費だな。
「うまいじゃないか、これ」
孝弘さんは謎の舌だな。
「うん、おいしいわよ?濃いけど」
濃いのが問題だと思うんだが。
どうしても常備菜系の濃い味になるんだよなあ。
先生までもごはんのおかわりしてる。
全体的に濃いんだな。
「ただいまあ」
おや、八重子先生のお帰りだ。
「ああ、おなかすいた。何かあるかい、絹」
絹先生は私のほうを見る。
「出してきます」
かなり多く作っちまったんだよね。
ただ八重子先生に濃い味はどうなんだ、血圧とか。
八重子先生の分を食卓に並べ、絹先生がご飯をよそう。
一口食べ、しばらく手が止まった。
「これ。絹、あんた作ったのかい?」
あーやっぱり口に合わないよね。
「今日は全部山沢さんなのよ」
「あんた濃いよ、これ。煮物苦手って言ってたけどこういうことかい?」
「そういうことです。ついつい濃くなっちゃって」
八重子先生までもご飯お代わりしてる、駄目だこりゃ。
持って帰って今晩のおかずにしよう。
「普段これならあんたうちのごはん味が薄くて食べにくかったろ?」
「いや、いつも美味しくいただいてますよ」
「そういえば山沢さんごはんの後いつも塩飴舐めてるわよねえ」
見られてたか。
「ああ、まえに晶が貰って食べて吐き出してたの、そうかい?」
「いやそれはみょうが飴かと」
「なんだい、それ」
「いや、いろいろあるんですよ。ネギ飴とか玉葱飴とか。青唐とか壬生菜とか。ごぼうも」
実は京都土産だったりする。
入れればいいってもんじゃないだろってツッコミがあるのに、なぜか種類が増えている。
食事も終わり絹先生と台所に引き上げる。
残ったおかずはタッパーに回収し、洗物を片付けた。
台所から廊下に出ると、八重子先生が花を抱えている。
生けるのを見せていただく。
花を生けるのだけはセンスがないから遠慮したい。
けど茶花はやんなきゃならんから困ったものである。
残った花と花いけを渡されて、さあどう生ける?と言われた
入れてみると溜息を二人から吐かれた。うぅ。
「こう、なんで壊滅的なんだろうねえ」
「ほんとねえ」
ひょいと絹先生が入れる。うわぜんぜん違う。
それを八重子先生が入れなおす。うーん。定位置と言う感じに。
「絹のは若い人向きだね。感性がまだ若いからね」
なるほど。
「なんというかきっちり決まってるものならなんとかなるかもしれないんですが…」
「ああじゃあ生花なんかやるといいかもしれないねえ」
絹先生が残った花材などを片付けに出て行った。
わしわしっと八重子先生に頭を混ぜられた。
な、なんだ?

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37

バスの中、携帯が鳴る。表示は飯嶋…。出るか出まいか迷って、出た。
「あのっそんなつもりじゃなかったの…戻ってきて?」
珍しい、誰にかかっているか確認もなく本題だ。
少しためらって、戻ると返事をした。
戻ってみると玄関まで出迎えに出ていた。
すぐ二階へ連れて上がられる。
襖を閉めると私に寄りかかってきた。
無言…。
ああもう、どうしたらいいんだ。
私も困っているが先生も困っているのがわかるし。
とりあえず顎に手をかけ、キスをしてみた。
「私は別れたくはないです。でもあなたが別れたいというものを無理にというのは
 あなたが困るだろうから離れるといっているんです。わかってくださいますか」
「はい…」
「怖がらせてすみませんでした」
ひんやりとした先生の手を両手で包み込む。
「その、私もあんな態度取っちゃってごめんなさい…」
あ、なんか抱きたくなってきた。
可愛い。
そっと帯締めを解くと先生はビクッとしたが、されるがままだ。
帯揚げ、枕を外し、帯を解く。
すでに頬を染めている。
長着を脱がせて隅にやり、長襦袢も脱がせる。
「しても、いいですか?」
いまさら聞いてみた。ここまできてまさか断らんだろうに。
というか今断られたらかなりつらいぞ。
先生はこくり、と頷き自ら私の手を自分の胸に持ってきた。
ひんやりとした外気に晒され乳首がつんと立っている。
今日は少し痕をつけてしまうかもしれない。所有の印を刻みたい。
私は長着を脱ぎその上に先生を横たわらせた。
唇、首筋、胸、乳首とキスを落とす。
乳輪をなで乳首をしごきひねりつぶす。
その都度いい声が聞こえ、私は興奮を新たにあちらこちらをまさぐる。
そして私の手が叢に達すると少し抵抗をされた。
「抵抗しないで…」
耳朶を咬んで囁く。
とろけそうに熱くなっているそこに指を滑らす。
音がするほどに濡れている。
乳首にしたようにしごいてひねりつぶすと大きく声が出た。
あわててキスをして口をふさぐ。
一応孝弘さん在宅だからな。
キスをしながらやや強く弄る。痙攣している。
早速逝ったようだ。
指を最初から二本挿入する。
きつい。
だが何度か抽送するうちにほぐれてくる。
ちょうど裏のあたり、ここをこすると良いらしく眉間にしわを寄せて耐えている
急に焦った顔をしてやめてほしいという。
どうしたのかと思うとお手水に行きたくなったらしい(笑)
私の長着を着てあわてて飛んでいった。
あれ?もしかして潮吹く手前だった?
勿体無いことしたなあ…。
しばらくして戻ってきた。照れている。可愛いなあ。
そして私の前で膝をつき帯を解いて着物をくつろげた。
私は先生を膝立ちになるよう言い、翳りの所に口づけた。
いやいやをするが腰に手を回して動けないようにして舐めて楽しむ。
吸っても溢れるほどだ。
膝立ちがつらくなってきたらしいので仰向けにして指を入れて弄る。
先ほどの場所を入念に。もがきだした。
無理そうだ。まあ最初からは無理だよな。
ぬめった指を後ろの穴に突き立てようとすると抵抗する。
突起を親指で刺激すると力が抜け、関節ひとつ分が入った。
そのまま刺激を続けつつゆっくり指をねじ込む。
「もう許して…」
「こっちで逝ったら許してあげますよ」
まあ無理だろうけど。絶望したような顔をしている。
ぬるぬるしてるしまだ体は大丈夫だろう。
ゆっくり奥まで差し込み、ぎりぎりまで抜く。
繰り返しているうちに反応してきた。
を、意外といけるかな?
突起を刺激しつつ反応を引き出す。
荒々しくしたい気持ちを我慢して丁寧に拾う。
きゅうっと指が締め付けられた。逝けたようだ。
愛しくなってキスをするとさらにきゅっと締った。
「ねぇ、ぬいて…」というので抜く。
「ひどいわ…こんなの…アッ」
「でも気持ちよかったんでしょう?」
そういいつつ突起をつまみ扱く。
汚れてないほうの指を差し入れて中を楽しむ。
蹂躙。楽しい。涙目。愛しい。
もう一度逝かせて、動けない先生をおいて手を洗いに立つ。
戻ってきたがまだ動けないようだ。
ぬめるそこを舐め取り、綺麗にした。
なでていると先生はちょっと怒っている。
後ろはやっぱりいやだったらしい。そうだろうなあ。
くぅきゅるる。先生のおなかがなった。
そういえば朝飯食ってないのか。
時計を見ると昼を回っている。何か簡単なものでも作るか。
先に階下に下り、3人分の昼飯を作る。
食卓に並べ孝弘さんを呼んで戻ると絹先生が下りてきた。
ちゃんときちっと着物を着ていて、うん、美しい。
さっきまでの痴態が嘘のようだ。

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翌日10時半過ぎ。
支度をして連れ立った。
あちらは涼しいだろうということで袷だ。
秋の装い。綺麗だなぁ。
私はまあ男着物なので大して代わりはない。羽織に長着。
荷物と言っても一泊だ、大して荷物はないので一つに纏め、私が持つ。
電車に乗り、一路諏訪へ。
諏訪でもし展示が微妙なら諏訪大社へ行くも良し、遊覧船に乗るも良し。
乗車している間も袂の下で手を握って照れさせたり、
駅弁を食べたり車窓風景に見とれたりであっという間だった。
駅についてタクシーで美術館に向かう。
途中、宿泊先の前を通る。あそこか。
美術館は規模が小さい気が…。
名物裂の展示ではあるがここは国宝を収蔵していることで知られる。
また印金・金襴、緞子、間道、錦・モール、木綿などの名物裂だけではなく
名品の茶道具の数々もある。
そして国宝の茶碗を拝見する。
気品のある茶碗だ。手触りはどうなのだろう。たまには使われているのだろうか。
先生もため息を吐いて観賞しておられる。
お連れしてよかった。
喫茶エリアでお茶をいただいて、諏訪大社に行こうかという話になった。
美術館のスタッフに聞くと車で20分程度のようだ。
タクシーを呼んでもらい、大社へ。
…自分が予想していたのとはちょっと違った(笑)
しかしさすがに休日、それなりに人はいるなあ。
本当は神詣りは午後はいけないのだが、これも時間の都合だ。
日没までに離れればよい。
さすがに信濃の一宮と感心したり本殿がなくて驚いたり。
どうやら本殿に見えたのは拝殿らしい。
しかし怖い言い伝えのあるお諏訪様だが、別にそういう感じがしないのは意外だ。
そろそろ日没が近い。宿へ行こう。
昨晩電話したときに特別室とは聞いていたが、さてどんな部屋だろう。
通されてみるといかにもな和洋室だ。
湖面がよく見える。
衣擦れの音がして振り返ると先生は早速持ってきた浴衣に着替えていた。
というのもやはり宿の浴衣は胸元がだらしなくなりがちだからだ。
シュッと貝ノ口に帯を締められた。
私も浴衣に着替えた。唐桟縞である。
先生は遠州綿紬。秋の浴衣だ。ざっくりとした感触が楽しい。
温かみのある色で思わず抱きしめたくなった。
お風呂行かない?というのでご一緒する。
大浴場は湖水がよく見える。日没。美しい。
夕日に照らされる先生もまた美しく、溜息が出た。
風呂から上がり、浴衣を身につけられた姿も更に好く、何か誇らしい思いがした。
そのまま食事処に行き、いただく。
中々うまい。見目もよい。
前日に言って取れた宿でこれ、というのは結構な幸運ではないか?
食事も終わり、部屋に戻る。
部屋は少し暖房が入っているようだ。
先生が窓から湖面を眺めている。
私は後ろから覆いかぶさり、早速だが胸を触り始めた。
窓に手をつかせてなぶるというのは一度やってみたかったのだ。
期待通り恥ずかしがって、いやいやをしている。
そっと裾を割り、太腿を露わにする。
「あぁっ…だめよ、見られちゃうわ…」
「龍神様に?」
湖に面しているこの部屋の窓を人が覗こうと思ったら望遠鏡が必要だろう。
そんなことをいいつつも結構濡れている。
「暴れるなら縛っちゃいますよ」
耳元でそう言うとぶるり、と震えが走ったようだ。
前に少し縄を使ったときのことを思い出したのか、されるがままになった。
ちぇっ、残念(笑)
眉間にしわを寄せて耐える姿は美しい。
立っているのが辛そうだ。そろそろベッドに行こう。
指を入れたまま歩かせようとするが、こんなの無理よぅ、と言って動けない。
くいくいと指を中で動かすと、半歩ほど動くがどうしても無理なようだ。
仕方ない、抜いてあげた。
半泣きですねたような顔をしている。
可愛いなあ。
ベッドに連れて行き、浴衣を脱がせる。
湯文字も取り、全裸にする。
何度も肌を合わせているのに恥ずかしがる様はとてもよいものだ。
キスをあちらこちらに落とす。キスマークをつけてはいけないので気を使う。
乳首も強く噛んでは痕が残るから、ソフトにソフトに。
具は噛み跡をつけてもばれないが(笑)
襞をくつろげてしとどに濡れた穴に指をうずめる。
はぁっという息が聞こえた。
先生は私の背中に手を回ししがみついた。
段々とのぼり詰めるに従い先生の足が私の足に絡みつく。
声が出そうになった先生は私の肩に噛み付いてやり過ごそうとしている。
結構な痛みとともに、差し込んだ指の締まる感触が強くなる。
ぎゅっぎゅっと締まり、ひくひくと痙攣している。
逝ったようだ。
指を抜こうとしたら、先生からもう一度、と言ってきた。
初めてのことだ。
前回、さっとしかしてなかったからか?
嬉しくなって少しやりすぎかという程に何度も逝かす。
浅く、深く。
幾度も。
そのたびに私の肩や腕に噛み痕が増える。
背中に引っかきあともついているが名誉の負傷(笑)
もう噛む力もなくなってきたようなのでそろそろ終了。
舐めて綺麗にしてあげる、というとちょっと抵抗された。
でももう力入らないからされるがままである。
恥ずかしそうにしていて大変によろしい風情だ。
終わりがけにチロリと尻の穴を舐めたらそこはダメ、と抵抗された。
いつかここも開発したい。
抱きしめて背中をなで耳朶にキスを落とし、
愛していると囁いているうちに先生は眠りに落ちた。

朝、目が覚めたが先生はまだお休みだ。
なめらかな肌の感触を楽しみつつそっと割れ目に手をやる。
ゆるりと刺激すると徐々に濡れてきた。
ぬるぬると滑らかになり、中指を入れると目が覚めたようだ。
「や…朝から、駄目よ…ねえ…」
「やめて欲しいですか?後でしたくなってもしませんよ?」
先日つらかったのを思い出したようだ。諦めて快感を追い始めた。
逝かせた後、まだ食事までに十分すぎるほど時間がある。
使ってないほうのベッドに先生を寝かせると、すぐに寝息。
私は浴衣を羽織り、大浴場に向かった。
朝ぼらけの温泉は気持ちよく、疲れもすっきり取れそうである。
さて、今日はそのまま帰るのではなくもう一つ何か見て帰ってもよい。
後で仲居にでも聞くか。
しかし 随分噛まれたものだな(笑)
風呂から上がり、体を拭いてていると他の客が来た。
私が晒で胸を締め、下帯をつけ浴衣を着る姿を見て驚いてる様子。
着ちゃうと男に見えるからわからなくもない。
お先に、と声をかけ、部屋へ戻る。
先生はまだ寝ていて気持ち良さそうだ。
30分ほどしたら起こさなくては。食事の時間が有るからな。
昨日脱ぎ捨てた浴衣や帯を拾い、ざっと畳み纏める。
どうせすぐに着るが、美しくない。
湖水を見る。
琵琶湖とはまた違った趣だ。
いい日和だなぁ……。
うぅん、と声がする。起こすまでもなく起きたようだ。
まだ時間は早いというと部屋露天に入られた。
「大浴場に行かないんですか?」
と聞くと朝御飯の後で、と仰る。
湯に入る先生はやはり綺麗だ。もう一度やりたくなり、苦笑する。
見とれていると風呂から出てこられた。
体を拭うのをうっとり見ていると私の前まで来られた。と思ったら。
膝をつき私の顎に手をかけキスをされた。
ふふっと笑って立ち、肌着を着け浴衣を着なおされる。
くっそう、からかわれた。
今この時間からなら襲われないことを知っててキスするとは…!
やられたなぁ…。
「お食事、行きましょ」
と仰るので食事処へ移動。
腹減ってるし余計に朝御飯が美味しいなあ。
食後、一緒に大浴場に行こうというので連れ立つ。
先客は居ない。よし。
着物を脱いで籠に入れる。
「あら…こんなに痕ついて…ごめんなさいね…」
あー。噛み痕か。指でなぞられる。
ぞくっときた。
くすぐったいからやめなさい(笑)
胸の晒を解き、下帯をはずし、手拭を持って浴室へ入る。
掛湯をして湯へつかる。
先生、綺麗だな…。
「あらら、こんなところも噛んじゃったのねえ」
ああ、昨日私の乳噛んでたね、あれはちょっと痛かったよ。
だから指でなぞるのはやめろというのに。くすぐったい~っ。
ついでに乳首をつまむのはやめたまえ。
「駄目ですよ、そういうことをしちゃあ。ここで襲いますよ?」
あ、手が引っ込んだ。
引き寄せて軽くキスをし、ちょっと手を出そうかと思ったら他の客が来る気配。
残念(笑)
洗い場に出て先生の背を流す。ついでに少しマッサージ。
もう一度湯に浸かって風呂を出た。
下帯をつけ、胸にさらしを巻いて行く。
肌襦袢、浴衣を纏い付け、帯を締めると先生が少し直してくれた。
ほんの少し直されるだけで自分で着るより男前が上がる。
部屋に戻って先生を後ろから抱きしめる。
ペチッと手を叩かれて逃げられた。
その手を掴み更に引き寄せ抱き込んだ。
ディープキスをしつつ、裾を割る。
早濡れ始めたそこを堪能する。
抗う手が段々しがみつく手に変わる。
喘ぐ声が色っぽい。
片手で先生の体を支え、逝かせてやった。
息が落ち着くまで待って解放してあげると詰られた。
一旦すべてを脱ぎ、露天で股間を濯いでいる。
私も手を洗い、出立の用意をする。
浴衣を脱ぎ、長襦袢をつけ長着を着る。
先生と私の浴衣を畳み鞄に仕舞い込んで忘れ物はないか確認する。
よし。
「この後どうします?そのまま帰るかどこか立ち寄るか。城がお勧めらしいですが」
「お城?」
「ええ、なんか再建した城があるらしいです。それともあの白鳥の遊覧船乗ります?」
お城でいい、ということになった(笑)

チェックアウトの手続き時に城への道順を聞く。
宿を出てすぐのところのバス停から駅へ行き、乗り換えて城へ行くルート、
タクシーで行くルート、どちらかで行くほうが良いらしい。
20分ほど歩くという手もあるが。
タクシーを呼んでもらい、乗車すると10分かからなかった。
なるほど小さい城と聞いてたが。確かに小さい。
お庭が綺麗。早くも紅葉している。
雰囲気は抜群だなあ。
どうやら天守は昭和中ごろに復興されたもので明治初年に壊れたのだそうだ。
散策していると、懸釜があるという。
先生に伺うと、行ってみようという事になった。
取敢えず懐紙を懐中する。
受付で聞くとこちらは表の方だそうだ。
お正客に先生を据え、私は気楽に次客~♪
男性のお点前を見せていただく。
あ、裏と似てる。
他のお客さんもこられず、お道具のお話で楽しく過ごせた。
天守は資料館のようだ。
展望もよく、干拓していなければ浮城だったというが。
展示物に茶磨がある。
抹茶の粉にするための道具だ。
茶道具も展示されてるが、まあ城だし主眼は武具だよね。
さてそろそろお昼時。
どこかで食ってから電車に乗ろう。
おすすめを観光協会に聞くとうなぎだそうだ。
場所を聞いてタクシーで向かう。
待ち人数組。
先生が待ちましょう、と仰って下さったので待つ。
15分ほど待ち、店内に入りメニューを見る。本日天然有りますとのこと。
勿論天然を頼む。プラス養鰻蒲焼単体。
竹酒も頼み、先生の盃に注ぐ。
先生から私へも注いでいただき、昼酒うまし。
出てきた。背開き関東風なのに焼きは関西風かな?
私のものと先生のものは産地が違うようだ。
半々にして食べる。
なるほど産地によって味や身質が違う。これは良かった。
養殖も半分ずついただく。
これも中々に美味。
思わぬところでの食べ比べとなった。
先生にも満足していただき、帰路ににつくことにした。
タクシーで駅まで、そして特急あずさに乗車。
楽しい時間もあと2時間というところか。
先生もそう思ってくれたらしく、少しさびしげだ。
だが旦那さんも息子さんもいる先生をそうそう旅行には連れ出せない。
身をこちらに寄せてもたれかかる先生の手を撫でる。
「このまま攫って行きたいですね…」
「困らせないで…」
そりゃ困るよなあ。実際。
「というか駆け落ちじゃなくて誘拐とか拉致事件でしょうねえ、私とだと」
あ、笑ったな。
「うん、笑ってるほうが素敵ですよ。
 どうせお稽古で週3くらい会うんですから良いです。困らせちまいましたね」
車内販売でコーヒーを貰い、車窓を楽しむ。
ずっと先生の手を握ったまま。
特急が駅に着いた。ここからは先生と弟子モードで移動せねばなるまい。
乗り換え、先生の最寄り駅までお送りする。
改札を出てタクシーに乗せる。名残惜しげだ。
お見送りして、私も帰ろう。荷物が重く感じてきた。
先生の浴衣などの荷物は稽古日にもって行くことになっている。
早く次の稽古日来ないかな、早く会いたい…。

翌日はげんなりしたまま憂鬱に仕事をして、しっかりと寝た。
やっぱりちょっと寝不足だったからなあ。
そして稽古日だ。
本日は見取り稽古と水屋のみ。
前回のあの騒動のせいでお稽古できないんだよね。
稽古場の用意を手伝う。8寸足らずをあけて台子のセッティング完了。
私のときは4寸半。体格差だという話だ。
あれ?生徒さん来ないな。
どうやら電車事故で遅延らしい。またか。
絹先生がなにやらお困りの様子だ。どうしたのだろう。
「町内会の方が2時半ごろ来られるのよ…。
 生徒さんと時間かぶっちゃったらどうしようかと思って」
今日は八重子先生急用で居ないからなあ。
「今日の生徒さんってどのあたり教えてましたっけ?」
内容によっては私が見ればいいわけだが…。
「円草と行之行なのよ…あなたまだ円草は苦手でしょう?」
ですね。
じゃあ来客があれば私がそちらの時間稼ぎをしましょう。
ってことで生徒さん待ちである。
暇なので内緒でお稽古していただく。
お稽古という形をとってはいけないだろうからと道具はエアで(笑)
30分ほどして生徒さん到着。
これならお客さん来てもなんとか持たせられるかな。
生徒さんのお稽古を見て次の手順を思い出しつつ確認。うん。
次はああなってそれからこうやって…。
おっと次の生徒さん来た。次客のとこに座ってもらおう。
この方は行之行だから道具は…。
水屋に用意をしておいて、見取りを続ける。
円草が終わる頃来客、町内の人のようだ。
「山沢さん、お願い」
玄関から部屋に案内して、お茶を出す。
「お約束いただいていたのにすみません、電車事故でお稽古が押してまして。
 ご用件を伺うよう言い付かっております」
「ええと、あなたは?」
「あ、申し遅れました、弟子の山沢と申します」
話を聞くとどうやら私で返答できるようなネタだった。
少々お待ちいただいて先生に一応お伺いを立ててから返答する。
お客様を送り出して稽古場に戻りご報告。
見学に戻る。
まだこの稽古に入られて浅いので大まかな流れを覚えてもらうようだ。
角度とかにはあまりこだわらず教えておられる。
つい生徒さんの手元より先生を目で追いそうになる。
自分がお稽古振られないと思うと気がそれていけない。
次の方の準備でもしよう。うん。
先生の手帳をチラッと見ると次の方は和巾か。
中次を用意せねば。仕覆は荒磯緞子でいいかな。
和巾はどれ使おうかなあ。青海波があった。これなら言い間違うまい。
対角の所に電熱の風炉を出して釜を据える。
茶碗などなどの用意を整えて居ると次の方がこられた。
微妙に焦っているな、先生。
スムーズに移れるように先の生徒さんの使っているものの後始末をして行く。
先の生徒さんの点前が終わってすぐ次の方のお客に入れた。
てきぱきと進む。いい感じだ。
だったのに更に来客。
今回は私では駄目で先生をお呼びする。
結局本日のお稽古は30分遅れ程度になってしまった。
時間もないので水屋の始末は私、お夕飯は先生が支度することにした。
「山沢さんお魚でもいい?」
「うー。白身なら」
釜や炭などすべて始末を終えてお台所に行く。
あれやこれや手伝い食卓に出して孝弘さんを呼びに行く。
戻ると八重子先生が帰って居られた。
私と孝弘さんの顔を見て何か微妙な顔をされている。
八重子先生が感づいているのだとしたら…娘の不倫相手と娘の旦那。
内心複雑になるのはわからなくもない。
お櫃を出して孝弘さんの横に座る。
孝弘さん→八重子先生→私→絹先生の順にご飯が出される。
くっ白身は白身でもグレか。
絹先生が見てないうちに孝弘さんのお皿に乗せる。
孝弘さんがにやっと笑って食う。
八重子先生が変な顔している。見られてた。
微妙な空気が私と八重子先生の間に漂うのも気づかぬ絹先生。
孝弘さんへにこにこしながらおかわりをしてあげたり。
他のおかずで食って、うん、うまかった。
ごちそうさまです。
孝弘さんが部屋に帰って、絹先生は台所に立つ。
私も手伝おうとしたが八重子先生に引き止められた。

「ちょっとこっち来てくれるかい」
一つ奥の部屋につれられた。
「その…、いつからだい?」
「…何がでしょうか」
バレたかついにバレたのか…。
「………絹と、そういう関係なんだろ?」
「…そういう関係とは?」
のらりくらりできぬものか…。
八重子先生は大変いいにくそうだが、心を決めたようだ。
「絹と…ふしだらなこと、してるんだろ…?」
私は足退して手を突く。
「申し訳ありません。そうです」
溜息が聞こえる。
八重子先生は私の前に膝を突いて、私の手を取られた。
「怒ってるわけじゃないんだよ。ただ確かめておこうと思ってさ」
あれ、すげえ怒られると思ってたのになぜだ。
「…仲秋、頃に襲いました。それから、です」
「講習会より前かい?」
「はい」
「絹から、じゃないんだね?」
「一度も絹先生からということはありません。私からです」
八重子先生はしばらく悩んでいる。
「わかったよ。他にはわからないよう、それだけは心得とくれ」
え?
「あ、あのっ、いいんですか?その、この関係…」
「…絹が嫌がったら別れてやってくれれば、いいよ」
改めて手を突く。
しばらくそうしてただろうか、居間に戻るよ、と声がかかる。
私も後について戻った。

居間では絹先生がお茶を飲んでおられる。
「二人で何してたの? 今日は大変だったのよ~」
と八重子先生に。
「なにかあったのかい?」
「電車遅延で生徒さんが遅れたんですよ」
「そうなのよ。町内会の方、山沢さんにお願いしてお稽古見てたんだけど。
 その後もお客様いらして生徒さん待たせることになったりして大変だったのよ」
「円草でしたからちょっと私では…」
一人は初級だったから私でなんとかなったけど。
「ああ、そうそう、山沢さんの真之行、今申請しているからね。
 もうちょっと待っててくれるかい」
前回は3ヶ月で届いたが半年かかったりすることもあるからなあ。
あれって大量に申請が届いての事務処理が大変なんだろうか。
だって手書きは日付と名前だしなあ。
「でも真之行するようになったら円草わからないって言ってちゃいけないわよ?」
「うっ…。精進します…」
もっとイメトレしてノート作ろう。
「真之行からはお稽古日増えるからね、いつでも稽古できるよ。
 山沢さんの職場が近かったらうちから通えばいいんだろうけどねえ」
さすがに始発すら間に合わないからなあ。
しかしなんだってこんなに好意的なんだろう。わからない。
「さて、あたしゃもう寝るよ。火の始末とか頼んだよ」
八重子先生はそういって部屋に戻られた。
絹先生もちょっとお疲れだ。
私は戸締りを確かめ、火の始末をする。
居間に戻ると絹先生がうつらうつらしている。
肩をつついて部屋で寝るように奨めたが私にもたれかかって寝息を立て始めた。
抱えあげて私の寝間に運び、着物を脱がせて布団に入れる。
気持ち良さそうに寝ているなあ…。
着物を片付け、私も寝巻きに着替えて横に転がると、眠りに引き込まれた。

「んん…」
先生の寝返りで目が覚めた。
気持ち良さそうな寝息だな…じゃなくて外が明るい。寝過ごしたか!
時計を見る。6時すぎ。
「先生、起きて。寝過ごしてますよ」
揺り起こすが起きてくれない。
…仕方ない、私だけでも台所手伝いに行くか。
身づくろいをさっと済まし、慌てて台所へ行くと八重子先生に叱られた。
「昨日は何もしてませんよ!戸締りして戻ったらもう寝てらしたんですから」
ぼそぼそと言い訳をしながら朝御飯の用意を手伝う。
ある程度整ったので孝弘さんを呼びに行く。
居間に戻ると律君がお母さんは?と八重子先生に聞いてる。
ただの寝過ごし。と説明してごはんをよそって、お味噌汁を出す。
ふーん、と食事を取る律君、微妙に視線をこちらに送る八重子先生。
早く起きてきてくれないだろうか…。
食後、律君は大学のご友人と遊びに、とかで出て行ってしまった。
八重子先生の入れてくれたお茶をいただいていると絹先生がやっと起きてきた。
まだ何か眠そうだ。
「おはようございます」
「おはよう。寝過ごしちゃったわ。お母さん、ごめんなさいね」
……。
「ちょーっと私、庭のほう居ますんで」
ええい、居辛いっ。
庭に出てついでなので掃除していると八重子先生が絹先生に何か言ってる。
絹先生は青ざめてる様子だ。ということはバレた件の通告か。
ああ、うなだれてる。
掃除が終わって居間に戻ると困った顔で見上げられた。
「ええと、まあ、そういうことで」
何を言ってるんだ私。
「お茶、さめたから入れなおそうか?」
「あー、いや、そのままでいいです。それで…どこまで話されたんでしょう」
「あんたから襲って、何回くらいして、いつだったかってところだよ」
うっ、それ娘に聞くかあ…?
「じゃ夕べは何もなかったのわかられました?」
「そうみたいだね、てっきりそうかと思ったよ…」
「やー、ほんと、戸締りして戻ったら寝てはるし起きはらへんし
 部屋覗いたら布団敷いたーらへんしで私の部屋で寝ていただいたんですよ」
「…山沢さん、訛ってないかい?」
おっと!焦ったら素が出た。
「ところでいつから絹のこと好きだったんだい?」
「あー大体2年位前じゃないかと」
「そんなに前から?やだ、気づかなかったわ」
「こういうの気づかれてどうするんですか。
 ってか八重子先生はどこで気づかれたんですか?」
「絹の態度だよ。贔屓の芸者の話のとき、絹が何か嫌そうな顔をしたのとか、
 あんたに怒られて泣いてるのとか。あんたって客がいるのに昼寝してるしねえ」
「ははは…それは気づいてしまいますね」
絹先生は顔を赤らめている。
「で、なんでそれでもいいということに?」
「だってあんた、子供は出来ないじゃないか。それに…」
…あ。なるほど男ならガキ出来ちまったら困るが女同士では出来ようはない。
「それに?なんでしょう」
「孝弘さんがああだからね、仕方ないと思ってるよ」
まあ最初が誤認だしな。
俺と八重子先生が話しているが絹先生は赤くなったままうつむいて…可愛い。
そっと机の下で手を握る。
「ま、他にはわからないように気をつけとくれよ」
そういって八重子先生は出かけるからと居間から出て行った。
私は絹先生を引き寄せ、頬にそっと手を添える。
「別れたいですか?」
「ど、どうして?」
「いや、その、ばれて居心地悪くなって別れるとかたまに聞くもので…」
むっとした顔をしてる。あれ?
「山沢さんが、そうなの?」
ありゃ、怒ってる?
「私は、あなたが別れてくれというまで離れる気はありませんよ」
「別れてっていったら離れるの?」
「八重子先生にそういわれたので…」
ストーカー化するのはどうかとも思うし。
と思ってたら、手を振り払われて居間から出て行ってしまった。
ええっと、なんでだ?
困惑していると、八重子先生が戻ってきた。
「どうしたんだい?」
かくかくしかじかと伝える。
「ばかだねえ、あんた。何があっても離れたくないとか言っとくもんだろ、そこは」
そういうものなのか。
女心がわかってないとか言われてしまった。
「帰るまでになんとかしときな」
そういって出かけられた。
ええっと絹先生はどこに居るんだろう。お部屋かな。
…いない。うーん。二階?
いたいた。
「先生…」
そっと肩に触れる。その手を叩かれた。
ん……。
無理にこちらに引き寄せる。
抵抗された。
イラつく。
「痛っ」
と。力を入れすぎた。落ち着け、俺。
「ねえ、先生。別れて欲しいのにしつこく付きまとわれるの、嫌じゃないんですか?
 そういうの、嫌だろうから離れるって言ったんですよ。
 別れてっていった後に私に監禁されたいですか」
駄目だ怖がらせてどうする。
手を離すと距離をとられてしまった。
「…別れたいんですか」
あ、駄目だなんか無理だ。私は二階を後にし、帰宅することにした。
帰りのバスで頭を抱えたくなってしまった。何でこうなるんだ。
バスの中、携帯が鳴る。表示は飯嶋…。出るか出まいか迷って、出た。
「あのっそんなつもりじゃなかったの…戻ってきて?」
珍しい、誰にかかっているか確認もなく本題だ。
少しためらって、戻ると返事をした。
戻ってみると玄関まで出迎えに出ていた。
すぐ二階へ連れて上がられる。
襖を閉めると私に寄りかかってきた。
無言…。
ああもう、どうしたらいいんだ。
私も困っているが先生も困っているのがわかるし。
とりあえず顎に手をかけ、キスをしてみた。
「私は別れたくはないです。でもあなたが別れたいというものを無理にというのは
 あなたが困るだろうから離れるといっているんです。わかってくださいますか」
「はい…」
「怖がらせてすみませんでした」
ひんやりとした先生の手を両手で包み込む。
「その、私もあんな態度取っちゃってごめんなさい…」
あ、なんか抱きたくなってきた。
可愛い。
そっと帯締めを解くと先生はビクッとしたが、されるがままだ。
帯揚げ、枕を外し、帯を解く。
すでに頬を染めている。
長着を脱がせて隅にやり、長襦袢も脱がせる。
「しても、いいですか?」
いまさら聞いてみた。ここまできてまさか断らんだろうに。
というか今断られたらかなりつらいぞ。
先生はこくり、と頷き自ら私の手を自分の胸に持ってきた。
ひんやりとした外気に晒され乳首がつんと立っている。
今日は少し痕をつけてしまうかもしれない。所有の印を刻みたい。
私は長着を脱ぎその上に先生を横たわらせた。
唇、首筋、胸、乳首とキスを落とす。
乳輪をなで乳首をしごきひねりつぶす。
その都度いい声が聞こえ、私は興奮を新たにあちらこちらをまさぐる。
そして私の手が叢に達すると少し抵抗をされた。
「抵抗しないで…」
耳朶を咬んで囁く。
とろけそうに熱くなっているそこに指を滑らす。
音がするほどに濡れている。
乳首にしたようにしごいてひねりつぶすと大きく声が出た。
あわててキスをして口をふさぐ。
一応孝弘さん在宅だからな。
キスをしながらやや強く弄る。痙攣している。
早速逝ったようだ。
指を最初から二本挿入する。
きつい。
だが何度か抽送するうちにほぐれてくる。
ちょうど裏のあたり、ここをこすると良いらしく眉間にしわを寄せて耐えている
急に焦った顔をしてやめてほしいという。
どうしたのかと思うとお手水に行きたくなったらしい(笑)
私の長着を着てあわてて飛んでいった。
あれ?もしかして潮吹く手前だった?
勿体無いことしたなあ…。
しばらくして戻ってきた。照れている。可愛いなあ。
そして私の前で膝をつき帯を解いて着物をくつろげた。
私は先生を膝立ちになるよう言い、翳りの所に口づけた。
いやいやをするが腰に手を回して動けないようにして舐めて楽しむ。
吸っても溢れるほどだ。
膝立ちがつらくなってきたらしいので仰向けにして指を入れて弄る。
先ほどの場所を入念に。もがきだした。
無理そうだ。まあ最初からは無理だよな。
ぬめった指を後ろの穴に突き立てようとすると抵抗する。
突起を親指で刺激すると力が抜け、関節ひとつ分が入った。
そのまま刺激を続けつつゆっくり指をねじ込む。
「もう許して…」
「こっちで逝ったら許してあげますよ」
まあ無理だろうけど。絶望したような顔をしている。
ぬるぬるしてるしまだ体は大丈夫だろう。
ゆっくり奥まで差し込み、ぎりぎりまで抜く。
繰り返しているうちに反応してきた。
を、意外といけるかな?
突起を刺激しつつ反応を引き出す。
荒々しくしたい気持ちを我慢して丁寧に拾う。
きゅうっと指が締め付けられた。逝けたようだ。
愛しくなってキスをするとさらにきゅっと締った。
「ねぇ、ぬいて…」というので抜く。
「ひどいわ…こんなの…アッ」
「でも気持ちよかったんでしょう?」
そういいつつ突起をつまみ扱く。
汚れてないほうの指を差し入れて中を楽しむ。
蹂躙。楽しい。涙目。愛しい。
もう一度逝かせて、動けない先生をおいて手を洗いに立つ。
戻ってきたがまだ動けないようだ。
ぬめるそこを舐め取り、綺麗にした。
なでていると先生はちょっと怒っている。
後ろはやっぱりいやだったらしい。そうだろうなあ。
くぅきゅるる。先生のおなかがなった。
そういえば朝飯食ってないのか。
時計を見ると昼を回っている。何か簡単なものでも作るか。
先に階下に下り、3人分の昼飯を作る。
食卓に並べ孝弘さんを呼んで戻ると絹先生が下りてきた。
ちゃんときちっと着物を着ていて、うん、美しい。
さっきまでの痴態が嘘のようだ。

先生は気恥ずかしそうに、孝弘さんにご飯をよそう。
煮物を食べて不審そうに私を見る。
「…まずいなら食わなくて結構です」
仕方ない。自力消費だな。
「うまいじゃないか、これ」
孝弘さんは謎の舌だな。
「うん、おいしいわよ?濃いけど」
濃いのが問題だと思うんだが。
どうしても常備菜系の濃い味になるんだよなあ。
先生までもごはんのおかわりしてる。
全体的に濃いんだな。
「ただいまあ」
おや、八重子先生のお帰りだ。
「ああ、おなかすいた。何かあるかい、絹」
絹先生は私のほうを見る。
「出してきます」
かなり多く作っちまったんだよね。
ただ八重子先生に濃い味はどうなんだ、血圧とか。
八重子先生の分を食卓に並べ、絹先生がご飯をよそう。
一口食べ、しばらく手が止まった。
「これ。絹、あんた作ったのかい?」
あーやっぱり口に合わないよね。
「今日は全部山沢さんなのよ」
「あんた濃いよ、これ。煮物苦手って言ってたけどこういうことかい?」
「そういうことです。ついつい濃くなっちゃって」
八重子先生までもご飯お代わりしてる、駄目だこりゃ。
持って帰って今晩のおかずにしよう。
「普段これならあんたうちのごはん味が薄くて食べにくかったろ?」
「いや、いつも美味しくいただいてますよ」
「そういえば山沢さんごはんの後いつも塩飴舐めてるわよねえ」
見られてたか。
「ああ、まえに晶が貰って食べて吐き出してたの、そうかい?」
「いやそれはみょうが飴かと」
「なんだい、それ」
「いや、いろいろあるんですよ。ネギ飴とか玉葱飴とか。青唐とか壬生菜とか。ごぼうも」
実は京都土産だったりする。
入れればいいってもんじゃないだろってツッコミがあるのに、なぜか種類が増えている。
食事も終わり絹先生と台所に引き上げる。
残ったおかずはタッパーに回収し、洗物を片付けた。
台所から廊下に出ると、八重子先生が花を抱えている。
生けるのを見せていただく。
花を生けるのだけはセンスがないから遠慮したい。
けど茶花はやんなきゃならんから困ったものである。
残った花と花いけを渡されて、さあどう生ける?と言われた
入れてみると溜息を二人から吐かれた。うぅ。
「こう、なんで壊滅的なんだろうねえ」
「ほんとねえ」
ひょいと絹先生が入れる。うわぜんぜん違う。
それを八重子先生が入れなおす。うーん。定位置と言う感じに。
「絹のは若い人向きだね。感性がまだ若いからね」
なるほど。
「なんというかきっちり決まってるものならなんとかなるかもしれないんですが…」
「ああじゃあ生花なんかやるといいかもしれないねえ」
絹先生が残った花材などを片付けに出て行った。
わしわしっと八重子先生に頭を混ぜられた。
な、なんだ?

「ど、どうしたんですか急に」
「なんかあんた、落ち込んでるように見えてね」
あー…まあね。
煮物は下手だしお花も苦手だし色々とね、へこんではいますがね。
朝は朝で失言してわけわからんことになったしね。
「まあ、あんたはあんたで他に色々とできることあるだろ」
「お茶には生かせないことばかりですよ…」
撫でられてると絹先生が戻ってきた。
「あらあら、どうしたの?」
くすくす笑ってる。
お茶にしましょということで居間に戻ってテレビをつける。
台風のニュース。
週末にかけてくるらしい。先日も大変だった。
山崩れとかなったら怖いなあ。
「お稽古お休みにしたほうがいいのかしら」
「そうだねえ。危ないからね。そうしたほうがいいね」
「でも仕事は休みにならないんですよねえ。客来ないのに」
「台風前日はうちに来るんじゃないよ。遠いんだから」
いやむしろ泊まってたい、仕事行きたくねー。
「休前日ならこっち来ていたいですけどねえ…。
 いっそ仕事も暇だし京都にでも避難してもいいですが」
「何か展覧会があるのかい?」
「あっちならいつでもなにかあるでしょう」
ん、絹先生がなにか言いたそうだ。
「どうしたんです?」
「……芸者さん呼ぶのかしら」
「呼びましょうか?」
売り言葉に買い言葉、八重子先生がため息吐いてる。
「絹も一緒に行ったらいいだろ」
「いやいやそんな頻繁に一緒に旅行はちょっと」
他のお弟子さんとか、律君とかに怪しまれそうだよ。
「いいから行っといで」
参ったな…。
「…お夕飯の支度してくるわ」
絹先生は言い捨てて台所に行ってしまった。
私はため息を一つ。
「なんで芸者にこだわるんでしょうねえ…」
「ほんと朴念仁だね、あんたも」
「娼妓の居る時代じゃあるまいし。
 私の場合呼ぶのは年寄り芸妓だしで色っぽい話なんて皆無なんですけどねえ」
「そりゃお座敷遊びしたことない人にはわからないよ」
そんなもんかなあ。
「うーん。じゃ今度、絹先生連れてお座敷かけましょうか」
なんて話をしているうちにそろそろ帰らねばならない時間だ。
八重子先生に挨拶し、台所に立ち寄る。
「そろそろ帰りますね」
「どうぞご勝手に」
苦笑して調理中の絹先生の腕を引き、こちらに向かせてキスをする。
「また明後日きます」
「…こなくても構わないわ」
「そう仰らずに…先生、意外に嫉妬しますね」
後ろ向いちゃった。
「嬉しいですよ。だからこっち向いてください。それとも…」
ちょうどそこにまな板と包丁があることだし。
「こうしましょうか?」
と、包丁を私の小指にあてがう。
すっと皮一枚切ったところで止められた。
詰られる。
卑怯者といわれてもこういう手立てが一番誠意が判るかなーと思ってしまう。
ただ抜本的解決になってないから一度ちゃんと話をしないといけないな。
「じゃまた明後日きてちょうだいね」
明々後日は休みだから泊り込んでしっかり説得するか。

帰宅。
持って帰ってきたタッパーのおかずでメシを済ませ、ざっと翌日の用意。
風呂に入ってさっさと寝ることにした。
翌日、仕事は暇だった。
やる気も出ない。
ぼんやりしていると携帯が鳴った。
以前やっていた習い事の師匠からだ。
手が足りないので今日来れないかという。枯れ木も山の賑わいか。
暇だから行くことにした。
久しぶりに化粧をして女の着物に袖を通す。
宝尽小紋に名古屋の洒落帯をあわせる。
かなり襟を抜く。
よし、こんなものか。
指定された現場に行くとすでに何人か来ていた。
うん、いい感じに埋没できそうな着物だな。
師匠も来た。
やってる振りだけでいいし、後ろのほうに居ればOKとのことだ。
指示通りに動いていい感じに終われた。
終わった後お茶に誘われて喫茶店に行く。
師匠から何か動きが男っぽくなってるとの指摘。
最近ほぼ男装だからなあ。
小一時間歓談して散会。帰宅する。
すぐに脱いでシャワーを浴びた。化粧が気持ち悪い。
着物を片付け、晩飯に悩む。
冷凍庫に肉有ったな。
付け合せ…めんどくせえ、メシと肉だけでいいや。
食った後、明日はどう説得しようか悩む。
ごろごろして悩んでいるうちに寝てしまった。
翌日の仕事も暇。
あまりに暇なあまり昨日の続き、説得のやり方に悩んでしまう。
結局思いつかないまま、そろそろ帰宅して稽古場に行かなくてはならない時間だ。

稽古場に着くと朝の方がまだ居られる。
庭から回って直接居間に行くと男性が居る、誰だろう。
困ったな、先に部屋に鞄を置きに行くか。
逡巡していると、絹先生が来て男性に抱きついた。
男性は絹先生の背を撫でている。ギリッと歯が鳴った。
絹先生がこちらを見た。
私は思わず踵を返し、外へ出た。
追いかけては、来ない…。
落ち着け。息を整えろ。歩き回る。
半刻ほどして少し落ち着いて茶室へ戻る。
すでにお昼の生徒さんが来ておられる。
お稽古の用意を整え水屋に待機する。
時間だ。
それはそれ、これはこれだ。
きちっと水屋をこなし、遅滞なく進める。
本日の昼の稽古が終わった。
ご挨拶をして私は帰途についた。

-----絹

覚兄さんがお母さんに用がある、と訪ねてきた。
色々と落ち込んでたら兄さんが背を撫でてくれた。
お稽古の時間になってやっと山沢さんが来たけど…。
終わったらすぐ帰っちゃったわ。
もしかして何か誤解されたのかしら…。
お母さんに相談するとすぐに追いかけなさい、と言われた。

-----山沢

途中、携帯が鳴る。3回…4回…電源を切る。
帰宅すると固定電話が鳴った。
公衆電話から。
取ると先生からだ。家に居ることを確認された。
10分もかからずチャイムが鳴る。
先生が押しかけてきた。
中に招じ入れると私の手を掴み、誤解だという。
その腕を後ろ手に捻り上げ、強引に縛った。
なにをするの!と言うその口に手拭を押し込む。
胸に縄をかけて行く。
嫌がって暴れようとするが腕を固定している以上逃れようはない。
キリキリと縛る。
裾をたくし上げ足にも縄をかけて行く。
くるしそうにしている。手拭をはずしてやった。
「許して…」
「俺の目の前で。他の男と抱き合うなんて許せると思ってるのか?」
強くギリッと縄を締める。
苦悶。
「ちが…あぁっ!」
襞の中に指を埋めると好い声が出た。
「濡れてるじゃないか。こんなことされて」
「いやっ…」
ぐいぐいと責める。
よろける絹を片手に担ぎ上げ、和室の畳の上に座らせた。
美しい。昂揚する。
唇を舐り、濡れそぼつ中を堪能する。
苦しそうな表情が心地よい。
指を増やすと更にきつそうな顔をする。楽しい。
もっと、もっとだ。
口の中を犯すようにむさぼり、襞に隠れている突起を強く刺激する。
声にならない声が出て倒れこみそうになるのをしっかりと支えて座位を保持する。
涙。こぼれてきた。色っぽい。
「もうやめて…」
鼻で笑って続ける。
ぬめる指を口に突っ込み舐めさせ、その指で後ろの穴を刺激する。
「ヒッ そこはだめ、おねがいだからやめて…」
「気持ちよかったくせに」
ああ、そうだ。いいものがあるんだった。
手術などに使う薄手のゴム手。
片手にそれを穿き、ぬめった前の穴に突っ込む。
しばらくかき回して潤滑油代わりにし、後ろに指を潜らせた。
「あぁっ」
じりじりと突き進む指に逃れることも出来ず身をよじる。
ゆっくり指を抜き差しすると粘液が絡みつく。
声が少しずつ出てくる。
愛撫に答える声を聞いているうちに落ち着いてきた。
「何が誤解なんです?」
やさしく聞いてあげたが何も喋れないようだ。
可愛い。
押し倒して前の穴にも指を差し入れ挟みこむようにして刺激する。
突起を揉みこみ、一気に揚げてやった。
両方に埋もれた指が締め付けられて先生は痙攣している。
きつく締められたそこから指を抜き手袋をはずす。
頬を撫で、苦しそうな口をむさぼる。
窒息しない程度に。
そっと引き起こし縄を解いて行く。
縄の痕が太腿やふくらはぎについて色っぽい。
胸縄を解き、腕の戒めを解き、マッサージする。
息が落ち着いてきたようだ。
改めて問う。
「…兄さんなの。一番上の」
マジか…身内に嫉妬して無茶しちまったのか俺…。
はっ!そうだ腕!
「痺れたりとか動かないとかないですか!腕!」
慌てて確認する。商売道具じゃないか!
どうやら大丈夫のようだ。嘆息。
抱きしめる。
「ごめんなさい。男と抱き合ってると思ったんです」
「怖かったわ…」
ゆっくり背を撫でる。
躊躇いつつ聞く。
「……今日。泊まっていけますか」
頬を染めて先生はうなづいてくれた。

裾を直して立たせると、大幅に着崩れていた。
こりゃ一旦脱いで着直す方が良い。
手を洗って敷きたとうの上で脱がせる。
肌襦袢になったときにむらっときて胸に手を這わせてしまった。
しっとりと、汗で湿っている。
クーキュルル…あ。
先生も苦笑い、俺も苦笑い。腹減った(笑)
シャワーを浴びるようにいい、風呂に入れる。
買ったままにしていた肌襦袢と湯文字、裾よけを用意した。サイズはなんとかなるだろ。
長襦袢も着物もぐっしょりと濡れて、そのまま着るのはちょっとなあ。
うーん、ちょうど良さそうな着物は有っただろうか。
和箪笥をあさると秋模様の着物があった。袖の合う長襦袢も。
帯はどれがいいだろう。こいつか。
風呂から上がった先生が湯文字と肌襦袢、裾除けをつけている間に半襟をつける。
そういえばこの長襦袢、しつけついたままだな。
長襦袢のしつけを取り先生に渡す。
着物を後ろから羽織らせるとすっと纏い付けられ、おはしょりを作り、
胸の打ち合わせを整えられる。
帯をお渡しする。手早く折り、背で締め、枕を当てお太鼓を作られる。
帯揚げ、帯締めを調えられて美しく着付けを終わられた。
うん、よく似合っておられる。綺麗だ。
髪を少し整えて食事に出かけることにした。
天ぷらにしよう。
カウンターのみしかないのだが、揚げたてで新鮮な魚介・野菜を使っている。
隅の席を陣取り酒も少々頼む。
穴子や鱚、海胆を海苔で包んだもの、車えび、玉葱や青唐、小芋などなど…。
美味しく頂き酒もすすみ、ご飯をいただき、デザート。
おなか一杯で残してしまうほどだ。
この後飲みにいくか聞いたが部屋でいいというので連れ帰る。
帰宅後すぐに寝巻きの浴衣に着替えさせた。
お家に電話をしていただく。
律君が出たら、と躊躇するので私が掛けた。
八重子先生が出た。すぐに電話を代わり泊まる旨話して頂く。
私に後ろから胸を揉まれつつだ。
甘い吐息が電話に伝わらないようにしている。
先生を膝の上に引き上げ、送話口を押さえて乳首を齧る。
くっ、と声が漏れる。
可愛い。
先生は話を早く切り上げ、電話を切った。
文句を言おうとした口をキスでふさぐ。
ちょっと抵抗してるが、舌を絡めると少しずつ応じてきてくれた。
そのまま首筋にキスを落とす。
「駄目よ…お母さんと電話してたのに…」
「ふふ、だって可愛いですもん。ねえ、先生、道具使っていいですか?」
「えっ?道具?」
「もっとあなたが乱れているのを見たい」
「いやよ…恥ずかしいわ」
「可愛いな。いじめたくなる」
「やだ、もう」
「痕、ついちゃいましたね」
手首に残る縄の痕に指を這わす。
「山沢さん、すごく怖かったわ」
「ごめんなさい、酷かったですね」
そういいながら太腿についた痕をなぞる。
「でも縛られたあなたにすごく色気を感じました。
 さっきの姿、見せたいくらいに色っぽかったですよ。
 今度、怖くしないようにしますから縛られてみませんか」
「…したいの?」
「はい」
「仕方のない人ねえ」
「変態なものですいません」
泣く顔とか悲鳴も好物です。
しかし縛られたらやりたい放題されるのわかってるのかな。
それとも、されたいのかな。
「今からでも、いいですか?」
いやいやをする。
太腿に這わせた手を翳りにやるとしとどに濡れていた。
期待はしてるらしい。
「じゃあ今度、させてくださいね」
こくりとうなづく。
「ベッド、行きましょう」
連れて行って脱がせ、仰向けに寝かせる。
「今回は普通にしてあげます。次はわからないけど」

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36

私は絹先生を引き寄せ、頬にそっと手を添える。
「別れたいですか?」
「ど、どうして?」
「いや、その、ばれて居心地悪くなって別れるとかたまに聞くもので…」
むっとした顔をしてる。あれ?
「山沢さんが、そうなの?」
ありゃ、怒ってる?
「私は、あなたが別れてくれというまで離れる気はありませんよ」
「別れてっていったら離れるの?」
「八重子先生にそういわれたので…」
ストーカー化するのはどうかとも思うし。
と思ってたら、手を振り払われて居間から出て行ってしまった。
ええっと、なんでだ?
困惑していると、八重子先生が戻ってきた。
「どうしたんだい?」
かくかくしかじかと伝える。
「ばかだねえ、あんた。何があっても離れたくないとか言っとくもんだろ、そこは」
そういうものなのか。
女心がわかってないとか言われてしまった。
「帰るまでになんとかしときな」
そういって出かけられた。
ええっと絹先生はどこに居るんだろう。お部屋かな。
…いない。うーん。二階?
いたいた。
「先生…」
そっと肩に触れる。その手を叩かれた。
ん……。
無理にこちらに引き寄せる。
抵抗された。
イラつく。
「痛っ」
と。力を入れすぎた。落ち着け、俺。
「ねえ、先生。別れて欲しいのにしつこく付きまとわれるの、嫌じゃないんですか?
 そういうの、嫌だろうから離れるって言ったんですよ。
 別れてっていった後に私に監禁されたいですか」
駄目だ怖がらせてどうする。
手を離すと距離をとられてしまった。
「…別れたいんですか」
あ、駄目だなんか無理だ。私は二階を後にし、帰宅することにした。
帰りのバスで頭を抱えたくなってしまった。何でこうなるんだ。

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