「んん…」
先生の寝返りで目が覚めた。
気持ち良さそうな寝息だな…じゃなくて外が明るい。寝過ごしたか!
時計を見る。6時すぎ。
「先生、起きて。寝過ごしてますよ」
揺り起こすが起きてくれない。
…仕方ない、私だけでも台所手伝いに行くか。
身づくろいをさっと済まし、慌てて台所へ行くと八重子先生に叱られた。
「昨日は何もしてませんよ!戸締りして戻ったらもう寝てらしたんですから」
ぼそぼそと言い訳をしながら朝御飯の用意を手伝う。
ある程度整ったので孝弘さんを呼びに行く。
居間に戻ると律君がお母さんは?と八重子先生に聞いてる。
ただの寝過ごし。と説明してごはんをよそって、お味噌汁を出す。
ふーん、と食事を取る律君、微妙に視線をこちらに送る八重子先生。
早く起きてきてくれないだろうか…。
食後、律君は大学のご友人と遊びに、とかで出て行ってしまった。
八重子先生の入れてくれたお茶をいただいていると絹先生がやっと起きてきた。
まだ何か眠そうだ。
「おはようございます」
「おはよう。寝過ごしちゃったわ。お母さん、ごめんなさいね」
……。
「ちょーっと私、庭のほう居ますんで」
ええい、居辛いっ。
庭に出てついでなので掃除していると八重子先生が絹先生に何か言ってる。
絹先生は青ざめてる様子だ。ということはバレた件の通告か。
ああ、うなだれてる。
掃除が終わって居間に戻ると困った顔で見上げられた。
「ええと、まあ、そういうことで」
何を言ってるんだ私。
「お茶、さめたから入れなおそうか?」
「あー、いや、そのままでいいです。それで…どこまで話されたんでしょう」
「あんたから襲って、何回くらいして、いつだったかってところだよ」
うっ、それ娘に聞くかあ…?
「じゃ夕べは何もなかったのわかられました?」
「そうみたいだね、てっきりそうかと思ったよ…」
「やー、ほんと、戸締りして戻ったら寝てはるし起きはらへんし
部屋覗いたら布団敷いたーらへんしで私の部屋で寝ていただいたんですよ」
「…山沢さん、訛ってないかい?」
おっと!焦ったら素が出た。
「ところでいつから絹のこと好きだったんだい?」
「あー大体2年位前じゃないかと」
「そんなに前から?やだ、気づかなかったわ」
「こういうの気づかれてどうするんですか。
ってか八重子先生はどこで気づかれたんですか?」
「絹の態度だよ。贔屓の芸者の話のとき、絹が何か嫌そうな顔をしたのとか、
あんたに怒られて泣いてるのとか。あんたって客がいるのに昼寝してるしねえ」
「ははは…それは気づいてしまいますね」
絹先生は顔を赤らめている。
「で、なんでそれでもいいということに?」
「だってあんた、子供は出来ないじゃないか。それに…」
…あ。なるほど男ならガキ出来ちまったら困るが女同士では出来ようはない。
「それに?なんでしょう」
「孝弘さんがああだからね、仕方ないと思ってるよ」
まあ最初が誤認だしな。
俺と八重子先生が話しているが絹先生は赤くなったままうつむいて…可愛い。
そっと机の下で手を握る。
「ま、他にはわからないように気をつけとくれよ」
そういって八重子先生は出かけるからと居間から出て行った。
私は絹先生を引き寄せ、頬にそっと手を添える。
「別れたいですか?」
「ど、どうして?」
「いや、その、ばれて居心地悪くなって別れるとかたまに聞くもので…」
むっとした顔をしてる。あれ?
「山沢さんが、そうなの?」
ありゃ、怒ってる?
「私は、あなたが別れてくれというまで離れる気はありませんよ」
「別れてっていったら離れるの?」
「八重子先生にそういわれたので…」
ストーカー化するのはどうかとも思うし。
と思ってたら、手を振り払われて居間から出て行ってしまった。
ええっと、なんでだ?
困惑していると、八重子先生が戻ってきた。
「どうしたんだい?」
かくかくしかじかと伝える。
「ばかだねえ、あんた。何があっても離れたくないとか言っとくもんだろ、そこは」
そういうものなのか。
女心がわかってないとか言われてしまった。
「帰るまでになんとかしときな」
そういって出かけられた。
ええっと絹先生はどこに居るんだろう。お部屋かな。
…いない。うーん。二階?
いたいた。
「先生…」
そっと肩に触れる。その手を叩かれた。
ん……。
無理にこちらに引き寄せる。
抵抗された。
イラつく。
「痛っ」
と。力を入れすぎた。落ち着け、俺。
「ねえ、先生。別れて欲しいのにしつこく付きまとわれるの、嫌じゃないんですか?
そういうの、嫌だろうから離れるって言ったんですよ。
別れてっていった後に私に監禁されたいですか」
駄目だ怖がらせてどうする。
手を離すと距離をとられてしまった。
「…別れたいんですか」
あ、駄目だなんか無理だ。私は二階を後にし、帰宅することにした。
帰りのバスで頭を抱えたくなってしまった。何でこうなるんだ。
バスの中、携帯が鳴る。表示は飯嶋…。出るか出まいか迷って、出た。
「あのっそんなつもりじゃなかったの…戻ってきて?」
珍しい、誰にかかっているか確認もなく本題だ。
少しためらって、戻ると返事をした。
戻ってみると玄関まで出迎えに出ていた。
すぐ二階へ連れて上がられる。
襖を閉めると私に寄りかかってきた。
無言…。
ああもう、どうしたらいいんだ。
私も困っているが先生も困っているのがわかるし。
とりあえず顎に手をかけ、キスをしてみた。
「私は別れたくはないです。でもあなたが別れたいというものを無理にというのは
あなたが困るだろうから離れるといっているんです。わかってくださいますか」
「はい…」
「怖がらせてすみませんでした」
ひんやりとした先生の手を両手で包み込む。
「その、私もあんな態度取っちゃってごめんなさい…」
あ、なんか抱きたくなってきた。
可愛い。
そっと帯締めを解くと先生はビクッとしたが、されるがままだ。
帯揚げ、枕を外し、帯を解く。
すでに頬を染めている。
長着を脱がせて隅にやり、長襦袢も脱がせる。
「しても、いいですか?」
いまさら聞いてみた。ここまできてまさか断らんだろうに。
というか今断られたらかなりつらいぞ。
先生はこくり、と頷き自ら私の手を自分の胸に持ってきた。
ひんやりとした外気に晒され乳首がつんと立っている。
今日は少し痕をつけてしまうかもしれない。所有の印を刻みたい。
私は長着を脱ぎその上に先生を横たわらせた。
唇、首筋、胸、乳首とキスを落とす。
乳輪をなで乳首をしごきひねりつぶす。
その都度いい声が聞こえ、私は興奮を新たにあちらこちらをまさぐる。
そして私の手が叢に達すると少し抵抗をされた。
「抵抗しないで…」
耳朶を咬んで囁く。
とろけそうに熱くなっているそこに指を滑らす。
音がするほどに濡れている。
乳首にしたようにしごいてひねりつぶすと大きく声が出た。
あわててキスをして口をふさぐ。
一応孝弘さん在宅だからな。
キスをしながらやや強く弄る。痙攣している。
早速逝ったようだ。
指を最初から二本挿入する。
きつい。
だが何度か抽送するうちにほぐれてくる。
ちょうど裏のあたり、ここをこすると良いらしく眉間にしわを寄せて耐えている
急に焦った顔をしてやめてほしいという。
どうしたのかと思うとお手水に行きたくなったらしい(笑)
私の長着を着てあわてて飛んでいった。
あれ?もしかして潮吹く手前だった?
勿体無いことしたなあ…。
しばらくして戻ってきた。照れている。可愛いなあ。
そして私の前で膝をつき帯を解いて着物をくつろげた。
私は先生を膝立ちになるよう言い、翳りの所に口づけた。
いやいやをするが腰に手を回して動けないようにして舐めて楽しむ。
吸っても溢れるほどだ。
膝立ちがつらくなってきたらしいので仰向けにして指を入れて弄る。
先ほどの場所を入念に。もがきだした。
無理そうだ。まあ最初からは無理だよな。
ぬめった指を後ろの穴に突き立てようとすると抵抗する。
突起を親指で刺激すると力が抜け、関節ひとつ分が入った。
そのまま刺激を続けつつゆっくり指をねじ込む。
「もう許して…」
「こっちで逝ったら許してあげますよ」
まあ無理だろうけど。絶望したような顔をしている。
ぬるぬるしてるしまだ体は大丈夫だろう。
ゆっくり奥まで差し込み、ぎりぎりまで抜く。
繰り返しているうちに反応してきた。
を、意外といけるかな?
突起を刺激しつつ反応を引き出す。
荒々しくしたい気持ちを我慢して丁寧に拾う。
きゅうっと指が締め付けられた。逝けたようだ。
愛しくなってキスをするとさらにきゅっと締った。
「ねぇ、ぬいて…」というので抜く。
「ひどいわ…こんなの…アッ」
「でも気持ちよかったんでしょう?」
そういいつつ突起をつまみ扱く。
汚れてないほうの指を差し入れて中を楽しむ。
蹂躙。楽しい。涙目。愛しい。
もう一度逝かせて、動けない先生をおいて手を洗いに立つ。
戻ってきたがまだ動けないようだ。
ぬめるそこを舐め取り、綺麗にした。
なでていると先生はちょっと怒っている。
後ろはやっぱりいやだったらしい。そうだろうなあ。
くぅきゅるる。先生のおなかがなった。
そういえば朝飯食ってないのか。
時計を見ると昼を回っている。何か簡単なものでも作るか。
先に階下に下り、3人分の昼飯を作る。
食卓に並べ孝弘さんを呼んで戻ると絹先生が下りてきた。
ちゃんときちっと着物を着ていて、うん、美しい。
さっきまでの痴態が嘘のようだ。
先生は気恥ずかしそうに、孝弘さんにご飯をよそう。
煮物を食べて不審そうに私を見る。
「…まずいなら食わなくて結構です」
仕方ない。自力消費だな。
「うまいじゃないか、これ」
孝弘さんは謎の舌だな。
「うん、おいしいわよ?濃いけど」
濃いのが問題だと思うんだが。
どうしても常備菜系の濃い味になるんだよなあ。
先生までもごはんのおかわりしてる。
全体的に濃いんだな。
「ただいまあ」
おや、八重子先生のお帰りだ。
「ああ、おなかすいた。何かあるかい、絹」
絹先生は私のほうを見る。
「出してきます」
かなり多く作っちまったんだよね。
ただ八重子先生に濃い味はどうなんだ、血圧とか。
八重子先生の分を食卓に並べ、絹先生がご飯をよそう。
一口食べ、しばらく手が止まった。
「これ。絹、あんた作ったのかい?」
あーやっぱり口に合わないよね。
「今日は全部山沢さんなのよ」
「あんた濃いよ、これ。煮物苦手って言ってたけどこういうことかい?」
「そういうことです。ついつい濃くなっちゃって」
八重子先生までもご飯お代わりしてる、駄目だこりゃ。
持って帰って今晩のおかずにしよう。
「普段これならあんたうちのごはん味が薄くて食べにくかったろ?」
「いや、いつも美味しくいただいてますよ」
「そういえば山沢さんごはんの後いつも塩飴舐めてるわよねえ」
見られてたか。
「ああ、まえに晶が貰って食べて吐き出してたの、そうかい?」
「いやそれはみょうが飴かと」
「なんだい、それ」
「いや、いろいろあるんですよ。ネギ飴とか玉葱飴とか。青唐とか壬生菜とか。ごぼうも」
実は京都土産だったりする。
入れればいいってもんじゃないだろってツッコミがあるのに、なぜか種類が増えている。
食事も終わり絹先生と台所に引き上げる。
残ったおかずはタッパーに回収し、洗物を片付けた。
台所から廊下に出ると、八重子先生が花を抱えている。
生けるのを見せていただく。
花を生けるのだけはセンスがないから遠慮したい。
けど茶花はやんなきゃならんから困ったものである。
残った花と花いけを渡されて、さあどう生ける?と言われた
入れてみると溜息を二人から吐かれた。うぅ。
「こう、なんで壊滅的なんだろうねえ」
「ほんとねえ」
ひょいと絹先生が入れる。うわぜんぜん違う。
それを八重子先生が入れなおす。うーん。定位置と言う感じに。
「絹のは若い人向きだね。感性がまだ若いからね」
なるほど。
「なんというかきっちり決まってるものならなんとかなるかもしれないんですが…」
「ああじゃあ生花なんかやるといいかもしれないねえ」
絹先生が残った花材などを片付けに出て行った。
わしわしっと八重子先生に頭を混ぜられた。
な、なんだ?
「ど、どうしたんですか急に」
「なんかあんた、落ち込んでるように見えてね」
あー…まあね。
煮物は下手だしお花も苦手だし色々とね、へこんではいますがね。
朝は朝で失言してわけわからんことになったしね。
「まあ、あんたはあんたで他に色々とできることあるだろ」
「お茶には生かせないことばかりですよ…」
撫でられてると絹先生が戻ってきた。
「あらあら、どうしたの?」
くすくす笑ってる。
お茶にしましょということで居間に戻ってテレビをつける。
台風のニュース。
週末にかけてくるらしい。先日も大変だった。
山崩れとかなったら怖いなあ。
「お稽古お休みにしたほうがいいのかしら」
「そうだねえ。危ないからね。そうしたほうがいいね」
「でも仕事は休みにならないんですよねえ。客来ないのに」
「台風前日はうちに来るんじゃないよ。遠いんだから」
いやむしろ泊まってたい、仕事行きたくねー。
「休前日ならこっち来ていたいですけどねえ…。
いっそ仕事も暇だし京都にでも避難してもいいですが」
「何か展覧会があるのかい?」
「あっちならいつでもなにかあるでしょう」
ん、絹先生がなにか言いたそうだ。
「どうしたんです?」
「……芸者さん呼ぶのかしら」
「呼びましょうか?」
売り言葉に買い言葉、八重子先生がため息吐いてる。
「絹も一緒に行ったらいいだろ」
「いやいやそんな頻繁に一緒に旅行はちょっと」
他のお弟子さんとか、律君とかに怪しまれそうだよ。
「いいから行っといで」
参ったな…。
「…お夕飯の支度してくるわ」
絹先生は言い捨てて台所に行ってしまった。
私はため息を一つ。
「なんで芸者にこだわるんでしょうねえ…」
「ほんと朴念仁だね、あんたも」
「娼妓の居る時代じゃあるまいし。
私の場合呼ぶのは年寄り芸妓だしで色っぽい話なんて皆無なんですけどねえ」
「そりゃお座敷遊びしたことない人にはわからないよ」
そんなもんかなあ。
「うーん。じゃ今度、絹先生連れてお座敷かけましょうか」
なんて話をしているうちにそろそろ帰らねばならない時間だ。
八重子先生に挨拶し、台所に立ち寄る。
「そろそろ帰りますね」
「どうぞご勝手に」
苦笑して調理中の絹先生の腕を引き、こちらに向かせてキスをする。
「また明後日きます」
「…こなくても構わないわ」
「そう仰らずに…先生、意外に嫉妬しますね」
後ろ向いちゃった。
「嬉しいですよ。だからこっち向いてください。それとも…」
ちょうどそこにまな板と包丁があることだし。
「こうしましょうか?」
と、包丁を私の小指にあてがう。
すっと皮一枚切ったところで止められた。
詰られる。
卑怯者といわれてもこういう手立てが一番誠意が判るかなーと思ってしまう。
ただ抜本的解決になってないから一度ちゃんと話をしないといけないな。
「じゃまた明後日きてちょうだいね」
明々後日は休みだから泊り込んでしっかり説得するか。
帰宅。
持って帰ってきたタッパーのおかずでメシを済ませ、ざっと翌日の用意。
風呂に入ってさっさと寝ることにした。
翌日、仕事は暇だった。
やる気も出ない。
ぼんやりしていると携帯が鳴った。
以前やっていた習い事の師匠からだ。
手が足りないので今日来れないかという。枯れ木も山の賑わいか。
暇だから行くことにした。
久しぶりに化粧をして女の着物に袖を通す。
宝尽小紋に名古屋の洒落帯をあわせる。
かなり襟を抜く。
よし、こんなものか。
指定された現場に行くとすでに何人か来ていた。
うん、いい感じに埋没できそうな着物だな。
師匠も来た。
やってる振りだけでいいし、後ろのほうに居ればOKとのことだ。
指示通りに動いていい感じに終われた。
終わった後お茶に誘われて喫茶店に行く。
師匠から何か動きが男っぽくなってるとの指摘。
最近ほぼ男装だからなあ。
小一時間歓談して散会。帰宅する。
すぐに脱いでシャワーを浴びた。化粧が気持ち悪い。
着物を片付け、晩飯に悩む。
冷凍庫に肉有ったな。
付け合せ…めんどくせえ、メシと肉だけでいいや。
食った後、明日はどう説得しようか悩む。
ごろごろして悩んでいるうちに寝てしまった。
翌日の仕事も暇。
あまりに暇なあまり昨日の続き、説得のやり方に悩んでしまう。
結局思いつかないまま、そろそろ帰宅して稽古場に行かなくてはならない時間だ。
稽古場に着くと朝の方がまだ居られる。
庭から回って直接居間に行くと男性が居る、誰だろう。
困ったな、先に部屋に鞄を置きに行くか。
逡巡していると、絹先生が来て男性に抱きついた。
男性は絹先生の背を撫でている。ギリッと歯が鳴った。
絹先生がこちらを見た。
私は思わず踵を返し、外へ出た。
追いかけては、来ない…。
落ち着け。息を整えろ。歩き回る。
半刻ほどして少し落ち着いて茶室へ戻る。
すでにお昼の生徒さんが来ておられる。
お稽古の用意を整え水屋に待機する。
時間だ。
それはそれ、これはこれだ。
きちっと水屋をこなし、遅滞なく進める。
本日の昼の稽古が終わった。
ご挨拶をして私は帰途についた。
-----絹
覚兄さんがお母さんに用がある、と訪ねてきた。
色々と落ち込んでたら兄さんが背を撫でてくれた。
お稽古の時間になってやっと山沢さんが来たけど…。
終わったらすぐ帰っちゃったわ。
もしかして何か誤解されたのかしら…。
お母さんに相談するとすぐに追いかけなさい、と言われた。
-----山沢
途中、携帯が鳴る。3回…4回…電源を切る。
帰宅すると固定電話が鳴った。
公衆電話から。
取ると先生からだ。家に居ることを確認された。
10分もかからずチャイムが鳴る。
先生が押しかけてきた。
中に招じ入れると私の手を掴み、誤解だという。
その腕を後ろ手に捻り上げ、強引に縛った。
なにをするの!と言うその口に手拭を押し込む。
胸に縄をかけて行く。
嫌がって暴れようとするが腕を固定している以上逃れようはない。
キリキリと縛る。
裾をたくし上げ足にも縄をかけて行く。
くるしそうにしている。手拭をはずしてやった。
「許して…」
「俺の目の前で。他の男と抱き合うなんて許せると思ってるのか?」
強くギリッと縄を締める。
苦悶。
「ちが…あぁっ!」
襞の中に指を埋めると好い声が出た。
「濡れてるじゃないか。こんなことされて」
「いやっ…」
ぐいぐいと責める。
よろける絹を片手に担ぎ上げ、和室の畳の上に座らせた。
美しい。昂揚する。
唇を舐り、濡れそぼつ中を堪能する。
苦しそうな表情が心地よい。
指を増やすと更にきつそうな顔をする。楽しい。
もっと、もっとだ。
口の中を犯すようにむさぼり、襞に隠れている突起を強く刺激する。
声にならない声が出て倒れこみそうになるのをしっかりと支えて座位を保持する。
涙。こぼれてきた。色っぽい。
「もうやめて…」
鼻で笑って続ける。
ぬめる指を口に突っ込み舐めさせ、その指で後ろの穴を刺激する。
「ヒッ そこはだめ、おねがいだからやめて…」
「気持ちよかったくせに」
ああ、そうだ。いいものがあるんだった。
手術などに使う薄手のゴム手。
片手にそれを穿き、ぬめった前の穴に突っ込む。
しばらくかき回して潤滑油代わりにし、後ろに指を潜らせた。
「あぁっ」
じりじりと突き進む指に逃れることも出来ず身をよじる。
ゆっくり指を抜き差しすると粘液が絡みつく。
声が少しずつ出てくる。
愛撫に答える声を聞いているうちに落ち着いてきた。
「何が誤解なんです?」
やさしく聞いてあげたが何も喋れないようだ。
可愛い。
押し倒して前の穴にも指を差し入れ挟みこむようにして刺激する。
突起を揉みこみ、一気に揚げてやった。
両方に埋もれた指が締め付けられて先生は痙攣している。
きつく締められたそこから指を抜き手袋をはずす。
頬を撫で、苦しそうな口をむさぼる。
窒息しない程度に。
そっと引き起こし縄を解いて行く。
縄の痕が太腿やふくらはぎについて色っぽい。
胸縄を解き、腕の戒めを解き、マッサージする。
息が落ち着いてきたようだ。
改めて問う。
「…兄さんなの。一番上の」
マジか…身内に嫉妬して無茶しちまったのか俺…。
はっ!そうだ腕!
「痺れたりとか動かないとかないですか!腕!」
慌てて確認する。商売道具じゃないか!
どうやら大丈夫のようだ。嘆息。
抱きしめる。
「ごめんなさい。男と抱き合ってると思ったんです」
「怖かったわ…」
ゆっくり背を撫でる。
躊躇いつつ聞く。
「……今日。泊まっていけますか」
頬を染めて先生はうなづいてくれた。
裾を直して立たせると、大幅に着崩れていた。
こりゃ一旦脱いで着直す方が良い。
手を洗って敷きたとうの上で脱がせる。
肌襦袢になったときにむらっときて胸に手を這わせてしまった。
しっとりと、汗で湿っている。
クーキュルル…あ。
先生も苦笑い、俺も苦笑い。腹減った(笑)
シャワーを浴びるようにいい、風呂に入れる。
買ったままにしていた肌襦袢と湯文字、裾よけを用意した。サイズはなんとかなるだろ。
長襦袢も着物もぐっしょりと濡れて、そのまま着るのはちょっとなあ。
うーん、ちょうど良さそうな着物は有っただろうか。
和箪笥をあさると秋模様の着物があった。袖の合う長襦袢も。
帯はどれがいいだろう。こいつか。
風呂から上がった先生が湯文字と肌襦袢、裾除けをつけている間に半襟をつける。
そういえばこの長襦袢、しつけついたままだな。
長襦袢のしつけを取り先生に渡す。
着物を後ろから羽織らせるとすっと纏い付けられ、おはしょりを作り、
胸の打ち合わせを整えられる。
帯をお渡しする。手早く折り、背で締め、枕を当てお太鼓を作られる。
帯揚げ、帯締めを調えられて美しく着付けを終わられた。
うん、よく似合っておられる。綺麗だ。
髪を少し整えて食事に出かけることにした。
天ぷらにしよう。
カウンターのみしかないのだが、揚げたてで新鮮な魚介・野菜を使っている。
隅の席を陣取り酒も少々頼む。
穴子や鱚、海胆を海苔で包んだもの、車えび、玉葱や青唐、小芋などなど…。
美味しく頂き酒もすすみ、ご飯をいただき、デザート。
おなか一杯で残してしまうほどだ。
この後飲みにいくか聞いたが部屋でいいというので連れ帰る。
帰宅後すぐに寝巻きの浴衣に着替えさせた。
お家に電話をしていただく。
律君が出たら、と躊躇するので私が掛けた。
八重子先生が出た。すぐに電話を代わり泊まる旨話して頂く。
私に後ろから胸を揉まれつつだ。
甘い吐息が電話に伝わらないようにしている。
先生を膝の上に引き上げ、送話口を押さえて乳首を齧る。
くっ、と声が漏れる。
可愛い。
先生は話を早く切り上げ、電話を切った。
文句を言おうとした口をキスでふさぐ。
ちょっと抵抗してるが、舌を絡めると少しずつ応じてきてくれた。
そのまま首筋にキスを落とす。
「駄目よ…お母さんと電話してたのに…」
「ふふ、だって可愛いですもん。ねえ、先生、道具使っていいですか?」
「えっ?道具?」
「もっとあなたが乱れているのを見たい」
「いやよ…恥ずかしいわ」
「可愛いな。いじめたくなる」
「やだ、もう」
「痕、ついちゃいましたね」
手首に残る縄の痕に指を這わす。
「山沢さん、すごく怖かったわ」
「ごめんなさい、酷かったですね」
そういいながら太腿についた痕をなぞる。
「でも縛られたあなたにすごく色気を感じました。
さっきの姿、見せたいくらいに色っぽかったですよ。
今度、怖くしないようにしますから縛られてみませんか」
「…したいの?」
「はい」
「仕方のない人ねえ」
「変態なものですいません」
泣く顔とか悲鳴も好物です。
しかし縛られたらやりたい放題されるのわかってるのかな。
それとも、されたいのかな。
「今からでも、いいですか?」
いやいやをする。
太腿に這わせた手を翳りにやるとしとどに濡れていた。
期待はしてるらしい。
「じゃあ今度、させてくださいね」
こくりとうなづく。
「ベッド、行きましょう」
連れて行って脱がせ、仰向けに寝かせる。
「今回は普通にしてあげます。次はわからないけど」
続きは
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