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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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523.5

最近久さんはうちで私を抱くとき、あまり声がでないように気を使ってくれる。
静かに、少し気持ちが良い程度で私は疲れたりせずにすむ。
だけど月に一度程度。
久さんは私を家につれて帰る。
いつものでは物足りないんだっていうの。
腰が立たないくらい責められる。
ペニバンとかいう道具を久さんは好んでいるけど私は好きじゃないのよね。
男の人のアレみたいな形の、でも少し変な形の物。
たまにそれを舐めさせたりする。
使われると気持ち良すぎてなにも考えられなくなる。
だから嫌い。
もっとゆったりと気持ちよくなりたいのに。
時おり、縄や蝋燭を持ち出してくる。
縛られて動けない私を見て久さんは楽しげにしている。
蝋燭は仏壇のよりは熱くはないけれど十分熱い。
肌の敏感なところに落とされると大きな声が出てしまう。
それも久さんは楽しいみたい。
私が切羽詰まって泣いたりするのが好きなんだそう。
ひどい人よね。
いつも次の日は動けなくて、お手洗いも久さんが抱き上げてつれていってくれる。
してるときは見ないでって言うんだけど見たがって困っちゃうのよね。
いくらお風呂も一緒に入ってるし、見られてない場所なんてないって言ってもねえ。
排泄を見られるのは嫌だわ。
でもあれかしら、年をとって介護が必要になったらそんなこと言ってられなくなるわよねぇ…。
おむつとか、久さんにさせることになるのかしら。
律のお嫁さんにして貰うのとどっちが、と言われれば久さんにしてもらう方が楽よね。
律にさせるわけにはいかないものね。

最近、お母さんが入院してからというもの、久さんがあまり求めてこない。
私が疲れて先に寝ちゃうのもあるんだろうけど。
いつもならとっくに久さんの借りてる部屋に連れ込まれてるはずなのに。
どうしたのかしら。
飽きちゃったのかしら。
少し心配…。

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523

次の日、仕事が終わってから先生のお宅へ。
挨拶をすると少し照れくさい、と言った表情だ。
いつものように家事をして合間合間にお稽古の様子を伺う。
やはり稽古中は落ち着いて指導されているようだ。
買物へ行って夕飯の支度をする。
もうそろそろご飯が炊けるという頃生徒さん方が帰られた。
茶室へ入って片付けを手伝う。
「今日はなに作ってくれたの?」
「サワラの柚庵と菜の花のおひたしと、あとレンコンの金平。モズク好きですか?」
「もずく? 嫌いじゃないわ」
「それじゃそれもつけましょう。風呂は掃除しておきました」
「ありがと。お茶、飲みたい?」
「飲みたいです」
「薄?濃?」
「どちらでも」
黒楽を先生が取って点ててくれた。たっぷりと濃茶を練って。
「おいしいなぁ…」
俺がもうちょっと欲しい、と思ったのを先生が察してもう一服点ててくれた。
「眠れなくなっても知らないわよ?」
「あぁ、帰るときに安全運転できますね」
「……そうね」
「どうしました?」
「帰っちゃうんだったわね…」
「今日、平日なの忘れてましたか」
あ、顔が赤くなった。
うっかり屋さんめ。
「泊まるのは明日ですよ、明日。寂しい?」
「寂しいわよ。お父さんもいないもの」
「律君はいるでしょ」
「いるわ、でもねぇ…」
「ずっと4人だったから?」
「わかってるなら…ううん、だめね。お仕事だものね」
「俺も一緒に居たいんだけど」
「わがまま過ぎるわよね、ごめんなさい」
「いや、可愛いからいい。それよりGW、俺も3連休なんだけど」
「あ、お稽古は3日から10日までお休みよ」
「了解、じゃ週前半になるね、遊べるの」
「そうね」
暫くGWの予定など話して片づけを終わり、台所へ。
丁度炊けたところだ。
「ただいまー」
ナイスタイミングで律君も帰ってきた。
「手を洗ってらっしゃい、ご飯できてるわよ」
「はーい」
律君がいると一気にお母さんの顔になるな。
食卓に並べてご飯をよそいお味噌汁をつける。
「おいしそうだね、いただきます」
「いただきます」
「はい、どうぞ」
食べてる途中先生が俺のお茶を急いで飲んだ。
「どうしました?」
「鷹の爪噛んじゃったのよ」
「それは災難、熱いお茶じゃ辛いですよね」
空になった湯飲みに注いでまた冷めるのを待つ。
律君はそれを見て鷹の爪をよけて食べている。
「ねぇ、お父さんからいつ帰ってくるとか聞いてないの?」
「うーん。聞いてないけど大丈夫だと思うよ」
「そう…」
しょげているので可哀想になる。
どうしても空気が重くなってしまうなあ。
「きっと孝弘さんの事だからひょっこり何事もなかったかのように戻ってきますよ」
「うん、多分」
「喧嘩したわけじゃないんでしょう?」
「…んー、そうなんだけど。ちょっと怒っちゃったのよね、その前に」
「なにに?」
「ご飯前にお櫃の中身食べられちゃったのよ。時間がないのにって」
「あー…なるほど。でもそれが理由なら二日くらいで戻ってきてるんじゃないですかね」
「大丈夫だって、お母さんは心配しすぎだよ」
「そう?」
「疲れてるんですよ、ほら、さっさと飯食ってゆっくり寝ちゃいましょう」
「そうしたら?」
「なんだったらマッサージもしますよ?」
「今日はいいわよ」
あまり食欲のない先生もなんとか食べ終えて、風呂へ。
「洗ってあげますよ」
「山沢さんって本当にお母さんに甘いよね」
「そりゃあね」
にっと笑って先生を風呂に入れる。
肩が凝っているようだ。
洗うついでにゆっくりとほぐしすと先生はうっとりとしている。
「疲れが取れるわねえ」
「また温泉行きたいですね」
「そうね、お母さんが帰ってきてからね」
「沢山なかせてあげる」
「ば、ばか…」
「可愛いな、好きだよ」
「もぅ」
恥ずかしがっているが本当に可愛いんだから仕方ない。
のぼせないうちに風呂から出て律君が入った。
「アイス食べたいわ~」
「はいはい、バニラがいい?」
「買ってきてくれるの?」
「俺も食いたいから」
「じゃ律の分もお願いね」
近所のコンビニへちょいと行って、いくつか買って帰った。
「はい、どっちがいいですか?」
ソフトとカップアイスを出す。
先生はソフトを取った。律君はチョコ。
俺は抹茶。うまい。
「辻利?」
「いぇーす」
「明日買ってきて」
「なんだ、食います?」
「食べかけはいらないわよ」
「俺ちょっと先生のそれ食べたいなあ」
ひょいと一匙、俺の口へ入れてくれた。
「うん、あっさりしててうまい。あー、俺は明日はシャーベットにしよう」
くすくす笑っている。
「明日寒かったらどうするの」
「そりゃあ温かいココアでも作りますよ」
食べ終わって先生があくびをしている。
「もう寝ますか?」
「あなた帰るんだったわね。見送るわ」
「律君、先生の布団敷いといて」
「あ、はい。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
羽織を着て鞄を持って玄関へ。
「じゃあまた明日」
「待ってるわね」
「おやすみなさい」
「おやすみ。気をつけて」
別れて帰宅した。

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522

朝になって色々と支度をして。
結構大変だ。流石に一人で全部することは滅多になかったから。
炭も今一だが仕方ない。
朝食時、律君が驚いていたので夜中に戻ってきたことを話す。
ちょっと不審そうだ。
しょうがないじゃないか、俺は連絡ついて休めたけど先生はかわりがいないんだから。
朝イチの生徒さんが来る前に様子を見に行って、それからお稽古に入る。
先生は疲労がたまってお休み、と言うことにした。
お昼前、生徒さん達が帰られてもう一度様子を見に行く。
障子を空けたら先生が這っていた。
「…どうしました」
「あ。いたの…お手洗い、お願い」
「なるほど」
ひょいっと担ぎ上げてトイレへ連れて行く。
さっき目が覚めて尿意を覚えたものの、立てなくて這っていこうとしていたらしい。
おまるでも用意しようかな。今度から。
流石にそれは怒られてしまった。
お腹はすいてない、と言うので空いた時に食べられるようパンを枕元に用意して。
俺は朝の味噌汁で汁掛け飯でかっ込み、昼からのお稽古へ。
途中一度見に行ってトイレに連れて行き、お稽古が終った夕方。
やっと先生が居間へ出てきた。
「大丈夫ですか?」
「ちょっとまだ力はいらないけど…あなたねえ…」
「すいません」
「まぁ、いいわ。それでお夕飯どうするの?」
「いまから買物行くつもりです」
「じゃあ…」
春キャベツにアスパラ、新玉葱等々時期の野菜を頼まれた。豚肉と。
炒め物かな。
買物して帰ってくると先生がなにを買ってきたか確認、やはり炒め物だ。
副菜を指示して先生は居間へ、俺は台所。
献立を考える能力はやはり先生に劣る。
先生は主婦している年月が違うというが…。
作り終えて食卓へ持って出た。
「律、まだかしら」
先生のお腹がなっている。
「先食べて良いですよ」
「もうちょっと待つわ…」
「食べなさい。昨日の晩も今朝も食ってないだろ」
「お昼食べたわよ」
「パンだけだろ? 食え。冷めたらまずくなる」
ご飯とお味噌汁を渡して食べさせる。
「なんだか変な気分だわ」
「ん?」
「先に食べることって普段ないじゃない?」
あぁそうか、確かにいつもなら八重子先生か孝弘さんか律君か、揃って食うよな。
ちょっと頭をなでてみた。
「食べにくいわよ…」
照れてる照れてる、可愛いな。
そっと頬に手をやってこっちに向けた。
先生が目を瞑る。
キスしようと顔を近づけた。
「ただいまー」
うぉっと!
慌てて先生が離れて、湯飲みをひっくり返した。
「あっ」
「うわっ」
慌てて手ぬぐいで拭いてそれから先生が台布巾で拭いて。
「どうしたの?」
「お、おかえり、ちょっとね」
「袖で湯のみひっくり返しちゃってね」
「珍しいねー」
「そうだね、手を洗ってらっしゃい。ご飯食べよう」
「はい」
「ほら、先生。布巾下さい。洗ってくるから」
はい、と渡されて台所へ。
ぬるくて助かったな。
俺と律君の味噌汁を温めて出す。
先生は食卓の上を整理してごはんをよそってくれている。
「さてと、いただこうか」
「いただきます」
少なめに作ったはずだけどやっぱり残ってしまった。
「お弁当にするわね」
「はい。あ、風呂洗ってない。洗ってきます」
「シャワーで良いわよ、暖かいし」
「律君はそれで良い?」
「あっはい」
先に勧めて俺は洗い物。先生は茶室へ行った。
一応のため確認しに行ったのだろう。
洗い物がすんでも戻ってこないので様子を見に行くとぼんやりと座って外を見ている。
「どうしたの?」
「ん、ちょっと…」
「春宵一刻値千金。いい夜だね」
「そうね…」
「飲む?」
「いただこうかしら」
台所から徳利と猪口を持ってきた。
一口、二口。
「ねぇ、あなた朝からすべて用意したの初めてだったわよね。どうだったかしら」
「大変でした」
「でしょ? わかったら次からあんなのダメよ」
「はい、すいません」
だけどなぁしたいときがあるんだよな。
「それと…お母さん退院したらお部屋掃除してあげるわね」
「あー。見ちゃったんですね」
「見ちゃったのよ」
くすくす笑っている。
「じゃあお願いします」
「お願いされました」
先生が俺にもたれて外を見ている。
暫くゆったりとしていると律君がお風呂出たよ、と声を掛けてきた。
危ねえ。胸を触ってなくて正解。
「あなた先入りなさい。明日お仕事でしょ」
「はい、じゃすみませんがお先に」
徳利は私が片付けるから、と追い払われた。
シャワーを浴びてすっきりして出ると先生はまだお猪口片手に茶室にいた。
「出ましたよ?」
「あら、もう出たの? ちゃんと洗った?」
俺の頭を掴んで匂いをかいでいる。
「匂がなくても」
「におがないってなぁに?」
「へ? におぐがわからない? 嗅ぐことですけど」
「初めて聞くわね」
「えっ、言わないんですか? マジで?」
「言わないし聞かないわよ」
「え~」
「方…なんでもないわ、お風呂入ってくるわね」
「はい、いってらっしゃい」
多分方言って言おうとしたんだな。そんで俺が気を悪くすると考えたんだろう。
そそくさと風呂へ逃げていった。
やれやれ、と徳利に残った酒を飲み干して台所へ。
洗って片付けて。
居間でテレビを見て先生が出るのを待つ。
暫くすると先生が戻ってきて俺の頭を一発叩いた。
「ちょ、なんですか」
赤面して顔を背けている。
「あと……」
微かな声でそう言った。
なるほどね、昨日強くしてたから噛んだ痕か吸った痕か掴んだ痕があったと。
思い出して恥ずかしくなっちゃってるのかね、これは。
「昨日は楽しかったなぁ。またしたいな」
更に一発どつかれてしまった。
「叩かんでくださいよ」
「だって…」
気配を探って律君が近くにいないことを確認する。
先生の頤に手を掛けてキスをし、にっと笑うと先生は下向いてしまった。
「かわいいね」
「もう…。帰りなさいよ。ばか…」
そっと胸に指を這わす。
「だめよ…、こら、こんなところで」
「静かに。聞こえますよ?」
「だったら止めてちょうだい、ね、お願い、よして」
湿った肌を堪能し、乳首を軽くしごいて立たせた。
「じゃ、そろそろ俺は帰りますね」
「えっ」
「また明日」
「そんな」
「続き、して欲しいのかな?」
「あっ、その、ううん、しないで、下さい」
胸元をぎゅっと押さえ堪えてる風情が凄く色っぽくて。
「あさって、またしましょうね」
先生は頬を染めたまま、こくりと頷いた。
玄関まで見送ってくれて別れて今日は電車で帰宅した。
明日は電車でこっちへ来なくては。

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ある日

あるお稽古の日、飯島先生が山沢さんに強く叱った。
山沢さんは怒ったようで先生をにらんでいて室温が下がったような気がした。
こわい…。


なのに先生は顔を洗ってきなさい、と更に強く畳みかけた。
「失礼しました」
ふっと空気が変わり山沢さんが出て行く。
みんなで息をついた。


「先生、怖くないんですか?」
「言うべきことは言わなきゃだめなのよ。怒るのは修行が足りないの」
にこっとしておっしゃる。


先生は強いなぁ。
見習いたいな。




生徒さんたちが帰った。
そっと台所を覗くとふてくされた顔をして久さんがご飯を作っている。
「ねぇ…さっきはごめんなさい。怒ってるわよね」
「いや、いい」
ぴりぴりとした気配に怯えつつ背中に触れてみた。
「お稽古のときは俺はあんたに従います。でも腹が立つのは仕方ないだろ」
ぶっきらぼうにそう言いつつ、振り払わないでいてくれる。
「ごめんね」
「そろそろ孝弘さん呼んでください。もうできますよ」
少し気配が柔らかくなってほっとした。

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521

そして月曜も引き止められては諦めさせて火曜日になった。
今日は泊まっていくのよね、と何度も念を押されてしまって少し困惑する。
こんなに依存心高かったかな。
いつものようにお稽古に家事や掃除などをこなして寝床へ。
「ねぇ久さん」
「なんです?」
何か言いにくそうにしている。
「あの…。ええと…」
手拭を押し付けられた。
なんだ?
どうやら猿轡をご希望のようだ。なんだそりゃ。
今日は強めにして欲しくて、でも声を立てるのはいやだし。
かといって余り噛みすぎると俺にあざを作るしと。
「ん? あぁ、そうか、生理前か。違います?」
そういうことなら仕方ない。
襖と障子の家では筒抜けだもんね、律君には聞かせたくないよな。
と言うことでここは一つ。
起こしてコートを着せ、律君にちょっと飲みに行く、と声掛けをして外へ出た。
先生はほっとした顔で俺に着いてきた。
あちらの部屋に入ると流石に少し篭った空気だ。
最近来る暇がなかったから仕方ない。
風通しをする間、少し酒を飲んだ。
先生はとっても恥ずかしそうにしている。
そりゃそうだろう、あんなお願いを自分からするのは先生には恥ずかしくて当然だ。
そんな先生が可愛くてキスをした。
そのまま押し倒してと思ったら流石に押しのけられた。
ああ、うん。窓閉めないとね。
窓を締めて先生が寝巻きを脱いでベッドに入る。準備完了。
さてと久々の本気の一戦…ん?
「ちょっと待った。あなた明日お稽古に行くって言ってなかった?」
「いいの、そんなの」
いいのかそうか。
そんじゃまぁ、いただきまーすっ。
とはいえ、俺の方には明日お稽古に行くといってた事実は残っており、
体力を奪いすぎないよう気をつける必要はあった。
多分こんな理由でお稽古休ませちゃったら八重子先生から鉄拳飛んでくるよ。
翌朝、寝ている先生を置いて戻り、朝食の支度など家事をする。
そして適当な時間に先生を起こして軽く食事、着替えさせた。
後は車に乗せて、れっつらごー。
先生は後ろで寝息を立てているようだがまあ大丈夫だろう。
目的地に程近いところで一旦車を止めて先生を起こした。
「ん、あら? もうこんなところ?」
「うん、後15分ほどで時間ですよ。しゃんとしてください」
あふ、とあくび一つ。
人目のないのを確認してキスを落とした。
「こら」
「ふふ、目が覚めましたか?」
「覚めたわよ。もうっ」
恥ずかしがってて可愛いなー。
そんなわけでお稽古に先生が行ってしまい俺は少々手持ち無沙汰。
と言うか眠い。
なんせ昨日は遅くまで色々してたわけで。
先生の携帯にとりあえず一旦帰宅する旨をメールし、少し寝た。
終ったらメールくれるから迎えに行けばいい。
と思ってたのだが熟睡してしまったようだ。
目が覚めたら先生が横で寝てた。
うーん、いい匂い。甘くて苦味…あれ? いつもと違う匂いだぞ。
ハッと目が覚めて先生を揺り起こす。
「ちょっと、絹、おい」
「ん…? どうしたの…」
「誰の匂いだ? これは」
「どうだっていいじゃないの…」
また寝息を立て始めた。
どういうことだってばよ。どうだってよくねえよ。
まさかと思って脱がせて見たがキスマークはないようだ。
だが俺と同じように念を入れている奴ならつけるまい。
膝を開かせようとしたら目が覚めたようだ。
「んー…、するの? いいけど眠いわ…」
「じゃなくて。この匂いは何なんだって言ってるんだが?」
俺の雰囲気が剣呑なのに気づいて先生がやっと目を覚ましたようだ。
「匂い? あ…、これね? 送ってもらったのよ。ここまで」
「誰にだ?」
「お稽古で一緒になる方よ。月島へ行くんですって」
「それだけでこんなに匂いつくのか?」
「車の中、凄い強く香ってたから匂い移りしたのねぇ。あらやだ、嫉妬したの?」
「男?」
「女の人よ、大丈夫。それにそんなことになってたらここに来ると思うの?」
「だったらいいけど」
そう言って足を開かせ、舐める。
「ダメよ、長襦袢が…」
「じゃ脱いで」
つーかすでに皺がひどいんだが。
汚れるのはいやなんだそうだ。
ベッドの横に脱ぎ落として先生は俺を受け入れる。
昨日よりも激しく。
先生が声を立てることも出来なくなったころ、やりすぎたことに気づいた。
外も暗い。いったい何時だ。
23時半…しまった。どうしよう、無断外泊じゃないか。
律君、起きているんだろうか。
慌てて電話するとまだ起きていたようで俺の言い訳を信じてくれた。
しかし…まいったな。
多分明日の昼過ぎて回復するかしないか、だぞ。
八重子先生がいれば夕飯に間に合えばいい程度だがいないしお稽古はあるし。
困惑しつつ考える。解決策は…。
よし! 社長に電話して今から先生のお宅へ行こう。
明日の朝の支度は俺がすればいい。
確か生徒さんもまだ初級、俺でいけるはず。
そう決断して社長に電話した。
社長は俺の状況を知っていてくれたので簡単に許可が出た。
考えなしすぎたよ…。
ちょっと反省しつつ、寝ている先生に寝巻きを着せて担いで車に乗せる。
死体運びをしているようで人に見られては困る状況だ。
ちゃんと先生は暖かいんだけどね。
先生を物のように運ぶのは何度目だろう。
お宅に着いて運び込んで、布団に寝かせる。
寝息を立てていることに安心して俺は添い寝をした。

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