いつも起きるような時間に目が覚める。
ちょっと散歩してこよう。
ふらりと抜け出し宿周辺を歩く。
真っ暗だ。
空を見上げると曇っている。今日はきっと寒くなるな。
散歩しても体が温まらないので戻って大浴場に行く。
いてて、傷に湯がしみる。
温まったので出て部屋に戻る。
もう一寝入りしよう。
先生は…良く寝ている。寝顔を見るのも好きだ。
横にもぐりこむと抱きついてきた。
「どこいってたの?」
「何だ、起きてたんですか」
「お布団に入ってきたので起きたのよ。なにしてたの?」
「散歩。意外と寒くて風呂も。明日きっと寒いですよ」
「そう…」
「まだ夜中ですから、寝ましょう?」
キスしてきた。
「随分甘えたになりましたね。可愛いな。そんなあなたも」
「ねぇこんな…嫉妬ばかりしてて嫌いにならない?」
「嫉妬もして貰えんとかそれすでに終ってませんか。
凄く信用されてるならそれはそれでありですが」
「そうなの…?」
「嫉妬してるあなたも可愛いと思ってますよ。だから大丈夫、安心して」
「うん…」
懐に抱いたまま頭を撫で、背中を撫でる。
しばらくして寝息。
まぁたしかにしょうもないことで疑うな!と思うこともあるわけだが。
こうやって懐に入られたら可愛いとしか思えなくて困る。
俺だってかなうことならその笑顔、誰にも見せて欲しくない。
お稽古つけてる間は無理だよなあ。
八重子先生の年になっても無理だろう。
わかってるから言わないが。
寝顔を見ているうちに二度寝。
朝。
ふと目を覚ますと懐に先生がいない。
あ、着物は有る。風呂か。
大浴場へ行くとやっぱり入ってた。
「あら、おはよう」
「おはようございます」
先生がくすくす笑ってる。
「どうしました?」
「ここ、かさぶたになってるわね」
「ああ、昨日血が出てましたからね…」
「かさぶたってめくりたくならない?」
「駄目ですよ!」
「めくらないわよ~」
オホホ、と笑ってる。からかわれてるなー俺。
お風呂から上がって部屋に戻り、身づくろい。
先生は着物に、私はシャツとスラックスを身につける。
朝御飯だ。
二人ともちょっとずつ違って、少し先生の方が良さそうなものを使ってあるのは。
もしや格を考えてくれたかもしれない。先生と呼びかけてるし。
美味しくいただいて、もう一度部屋の風呂でまったりとして。
そろそろチェックアウトだ。
支払いをして宿を出る。駅のホームまで見送りで着いてゆく。
帰りたくなさそうだ。
「明日、先生のお宅に顔出しますから。だから待っててくださいね」
「必ず来てね、待ってるわ…」
「じゃあ」
「また、ね」
新幹線を見送って、私は新潟へ。
あちらで最終日は宴席があるんだよね。
実はキャバクラと決まっている。
八重子先生には日程説明で言ってあるんだが、絹にはいわないと言ってくれていた。
ばれたときが本気で怖い。新潟の宿へ戻り少し寝る。
携帯が鳴り目が覚めた。先生から帰着報告。うむ、よし。
そろそろ起きて昼飯食おう。
イタリアンでゆっくりランチ。
やっぱり今日は冷えるなぁ。
すこし観光。
夜。迎えが来てキャバへ。
…セクキャバかよ。
おっさんども自分たちが楽しみたいんだな!?
女の子がはべってくれて触っても良いのよ~とか言われる。
横に着いた女の子に女だから触ってもねぇとか言うと嘘ーと言われたり。
まぁネタになるし雰囲気は楽しんでしまえ。
触らんけどな!
二次会は今度はピンサロらしい。
せめて三次会にしてくれよ二次会は飲もうよ!
さすがにそれはお断りして、宿に戻った。シャワーを浴びて着替える。
もう少し飲みたいので1階でつまみと酒を頼む。
いくつか食べて3合ほど飲んで部屋に戻ってベッドに転がる。
んー。明日早めにチェックアウトして早く先生に会いに行こう。