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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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35

「んん…」
先生の寝返りで目が覚めた。
気持ち良さそうな寝息だな…じゃなくて外が明るい。寝過ごしたか!
時計を見る。6時すぎ。
「先生、起きて。寝過ごしてますよ」
揺り起こすが起きてくれない。
…仕方ない、私だけでも台所手伝いに行くか。
身づくろいをさっと済まし、慌てて台所へ行くと八重子先生に叱られた。
「昨日は何もしてませんよ!戸締りして戻ったらもう寝てらしたんですから」
ぼそぼそと言い訳をしながら朝御飯の用意を手伝う。
ある程度整ったので孝弘さんを呼びに行く。
居間に戻ると律君がお母さんは?と八重子先生に聞いてる。
ただの寝過ごし。と説明してごはんをよそって、お味噌汁を出す。
ふーん、と食事を取る律君、微妙に視線をこちらに送る八重子先生。
早く起きてきてくれないだろうか…。
食後、律君は大学のご友人と遊びに、とかで出て行ってしまった。
八重子先生の入れてくれたお茶をいただいていると絹先生がやっと起きてきた。
まだ何か眠そうだ。
「おはようございます」
「おはよう。寝過ごしちゃったわ。お母さん、ごめんなさいね」
……。
「ちょーっと私、庭のほう居ますんで」
ええい、居辛いっ。
庭に出てついでなので掃除していると八重子先生が絹先生に何か言ってる。
絹先生は青ざめてる様子だ。ということはバレた件の通告か。
ああ、うなだれてる。
掃除が終わって居間に戻ると困った顔で見上げられた。
「ええと、まあ、そういうことで」
何を言ってるんだ私。
「お茶、さめたから入れなおそうか?」
「あー、いや、そのままでいいです。それで…どこまで話されたんでしょう」
「あんたから襲って、何回くらいして、いつだったかってところだよ」
うっ、それ娘に聞くかあ…?
「じゃ夕べは何もなかったのわかられました?」
「そうみたいだね、てっきりそうかと思ったよ…」
「やー、ほんと、戸締りして戻ったら寝てはるし起きはらへんし
 部屋覗いたら布団敷いたーらへんしで私の部屋で寝ていただいたんですよ」
「…山沢さん、訛ってないかい?」
おっと!焦ったら素が出た。
「ところでいつから絹のこと好きだったんだい?」
「あー大体2年位前じゃないかと」
「そんなに前から?やだ、気づかなかったわ」
「こういうの気づかれてどうするんですか。
 ってか八重子先生はどこで気づかれたんですか?」
「絹の態度だよ。贔屓の芸者の話のとき、絹が何か嫌そうな顔をしたのとか、
 あんたに怒られて泣いてるのとか。あんたって客がいるのに昼寝してるしねえ」
「ははは…それは気づいてしまいますね」
絹先生は顔を赤らめている。
「で、なんでそれでもいいということに?」
「だってあんた、子供は出来ないじゃないか。それに…」
…あ。なるほど男ならガキ出来ちまったら困るが女同士では出来ようはない。
「それに?なんでしょう」
「孝弘さんがああだからね、仕方ないと思ってるよ」
まあ最初が誤認だしな。
俺と八重子先生が話しているが絹先生は赤くなったままうつむいて…可愛い。
そっと机の下で手を握る。
「ま、他にはわからないように気をつけとくれよ」
そういって八重子先生は出かけるからと居間から出て行った。

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34

「ちょっとこっち来てくれるかい」
一つ奥の部屋につれられた。
「その…、いつからだい?」
「…何がでしょうか」
バレたかついにバレたのか…。
「………絹と、そういう関係なんだろ?」
「…そういう関係とは?」
のらりくらりできぬものか…。
八重子先生は大変いいにくそうだが、心を決めたようだ。
「絹と…ふしだらなこと、してるんだろ…?」
私は足退して手を突く。
「申し訳ありません。そうです」
溜息が聞こえる。
八重子先生は私の前に膝を突いて、私の手を取られた。
「怒ってるわけじゃないんだよ。ただ確かめておこうと思ってさ」
あれ、すげえ怒られると思ってたのになぜだ。
「…仲秋、頃に襲いました。それから、です」
「講習会より前かい?」
「はい」
「絹から、じゃないんだね?」
「一度も絹先生からということはありません。私からです」
八重子先生はしばらく悩んでいる。
「わかったよ。他にはわからないよう、それだけは心得とくれ」
え?
「あ、あのっ、いいんですか?その、この関係…」
「…絹が嫌がったら別れてやってくれれば、いいよ」
改めて手を突く。
しばらくそうしてただろうか、居間に戻るよ、と声がかかる。
私も後について戻った。

居間では絹先生がお茶を飲んでおられる。
「二人で何してたの? 今日は大変だったのよ~」
と八重子先生に。
「なにかあったのかい?」
「電車遅延で生徒さんが遅れたんですよ」
「そうなのよ。町内会の方、山沢さんにお願いしてお稽古見てたんだけど。
 その後もお客様いらして生徒さん待たせることになったりして大変だったのよ」
「円草でしたからちょっと私では…」
一人は初級だったから私でなんとかなったけど。
「ああ、そうそう、山沢さんの真之行、今申請しているからね。
 もうちょっと待っててくれるかい」
前回は3ヶ月で届いたが半年かかったりすることもあるからなあ。
あれって大量に申請が届いての事務処理が大変なんだろうか。
だって手書きは日付と名前だしなあ。
「でも真之行するようになったら円草わからないって言ってちゃいけないわよ?」
「うっ…。精進します…」
もっとイメトレしてノート作ろう。
「真之行からはお稽古日増えるからね、いつでも稽古できるよ。
 山沢さんの職場が近かったらうちから通えばいいんだろうけどねえ」
さすがに始発すら間に合わないからなあ。
しかしなんだってこんなに好意的なんだろう。わからない。
「さて、あたしゃもう寝るよ。火の始末とか頼んだよ」
八重子先生はそういって部屋に戻られた。
絹先生もちょっとお疲れだ。
私は戸締りを確かめ、火の始末をする。
居間に戻ると絹先生がうつらうつらしている。
肩をつついて部屋で寝るように奨めたが私にもたれかかって寝息を立て始めた。
抱えあげて私の寝間に運び、着物を脱がせて布団に入れる。
気持ち良さそうに寝ているなあ…。
着物を片付け、私も寝巻きに着替えて横に転がると、眠りに引き込まれた。

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居間では絹先生がお茶を飲んでおられる。
「二人で何してたの? 今日は大変だったのよ~」
と八重子先生に。
「なにかあったのかい?」
「電車遅延で生徒さんが遅れたんですよ」
「そうなのよ。町内会の方、山沢さんにお願いしてお稽古見てたんだけど。
 その後もお客様いらして生徒さん待たせることになったりして大変だったのよ」
「円草でしたからちょっと私では…」
一人は初級だったから私でなんとかなったけど。
「あんた今日は早く寝な。山沢さんと後はやっとくからいいよ」
あれまだなにか話があったのかな。
「そうさせてもらうわぁ。じゃあ悪いけどお願いね」
本気で疲れてるようだ。さっさと寝間に帰ってしまった。
八重子先生の指示に従って火を落としたり、そのあたりを片す。
おいで、と仰るのでついて行く。2階。
着物を脱いでみなさいといわれた。
よくわからないが長着を脱ぎ、長襦袢も脱ぐ。
「腕、青あざだけどどうしたんだい?これ」
と、例の噛み痕をなでられた。
「はは…」
ごまかすしかない。
胸の晒もはずされた。
「ここも酷いあざじゃないか」
乳の噛み痕を触られる。ちょっとビクッとしてしまった。
八重子先生のその指が乳輪をなぞり、乳首に触れた。
「あ、あの…?」
軽く乳房を揉まれ、乳首をしごかれる。
乳首が立ってしまった。
なに?なんなわけ?なんのつもりなんだよう…。
混乱していると下帯の上から襞のあたりを撫でられた。
「うわっ、ちょっなにを」
「じっとしてな」
豆のあたりをしごかれて焦る。
下帯の隙間から指が侵入して、ぬめっているのがばれてしまった。
そのまま直接豆をこねくり回されて強制的に逝かされた。
息を荒くしていると指を入れられ、中をまさぐられる。
ぞくぞくするほど気持ちいい。
気づいたら座り込んでいた。
そのまま床に寝かされて中を攻められ、豆を弄られ何度となく逝って解放された。
「八重子せんせ…なんでこんなこと…」
「絹はこういうこと、しないだろ。あんたも多分絹にはされたくないんだろ?」
「自分で、…してます、から」
「ちゃんと最後までいけなかったりするだろ、だからね」
確かに連続とかは無理だけど…。
息が落ち着いて、足の痙攣も治まった。
「落ち着いたかい?もう着物きていいよ」
汚れた下帯をつける気にもなれず、穿かずに襦袢などをつける。

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33

翌日はげんなりしたまま憂鬱に仕事をして、しっかりと寝た。
やっぱりちょっと寝不足だったからなあ。
そして稽古日だ。
本日は見取り稽古と水屋のみ。
前回のあの騒動のせいでお稽古できないんだよね。
稽古場の用意を手伝う。8寸足らずをあけて台子のセッティング完了。
私のときは4寸半。体格差だという話だ。
あれ?生徒さん来ないな。
どうやら電車事故で遅延らしい。またか。
絹先生がなにやらお困りの様子だ。どうしたのだろう。
「町内会の方が2時半ごろ来られるのよ…。
 生徒さんと時間かぶっちゃったらどうしようかと思って」
今日は八重子先生急用で居ないからなあ。
「今日の生徒さんってどのあたり教えてましたっけ?」
内容によっては私が見ればいいわけだが…。
「円草と行之行なのよ…あなたまだ円草は苦手でしょう?」
ですね。
じゃあ来客があれば私がそちらの時間稼ぎをしましょう。
ってことで生徒さん待ちである。
暇なので内緒でお稽古していただく。
お稽古という形をとってはいけないだろうからと道具はエアで(笑)
30分ほどして生徒さん到着。
これならお客さん来てもなんとか持たせられるかな。
生徒さんのお稽古を見て次の手順を思い出しつつ確認。うん。
次はああなってそれからこうやって…。
おっと次の生徒さん来た。次客のとこに座ってもらおう。
この方は行之行だから道具は…。
水屋に用意をしておいて、見取りを続ける。
円草が終わる頃来客、町内の人のようだ。
「山沢さん、お願い」
玄関から部屋に案内して、お茶を出す。
「お約束いただいていたのにすみません、電車事故でお稽古が押してまして。
 ご用件を伺うよう言い付かっております」
「ええと、あなたは?」
「あ、申し遅れました、弟子の山沢と申します」
話を聞くとどうやら私で返答できるようなネタだった。
少々お待ちいただいて先生に一応お伺いを立ててから返答する。
お客様を送り出して稽古場に戻りご報告。
見学に戻る。
まだこの稽古に入られて浅いので大まかな流れを覚えてもらうようだ。
角度とかにはあまりこだわらず教えておられる。
つい生徒さんの手元より先生を目で追いそうになる。
自分がお稽古振られないと思うと気がそれていけない。
次の方の準備でもしよう。うん。
先生の手帳をチラッと見ると次の方は和巾か。
中次を用意せねば。仕覆は荒磯緞子でいいかな。
和巾はどれ使おうかなあ。青海波があった。これなら言い間違うまい。
対角の所に電熱の風炉を出して釜を据える。
茶碗などなどの用意を整えて居ると次の方がこられた。
微妙に焦っているな、先生。
スムーズに移れるように先の生徒さんの使っているものの後始末をして行く。
先の生徒さんの点前が終わってすぐ次の方のお客に入れた。
てきぱきと進む。いい感じだ。
だったのに更に来客。
今回は私では駄目で先生をお呼びする。
結局本日のお稽古は30分遅れ程度になってしまった。
時間もないので水屋の始末は私、お夕飯は先生が支度することにした。
「山沢さんお魚でもいい?」
「うー。白身なら」
釜や炭などすべて始末を終えてお台所に行く。
あれやこれや手伝い食卓に出して孝弘さんを呼びに行く。
戻ると八重子先生が帰って居られた。
私と孝弘さんの顔を見て何か微妙な顔をされている。
八重子先生が感づいているのだとしたら…娘の不倫相手と娘の旦那。
内心複雑になるのはわからなくもない。
お櫃を出して孝弘さんの横に座る。
孝弘さん→八重子先生→私→絹先生の順にご飯が出される。
くっ白身は白身でもグレか。
絹先生が見てないうちに孝弘さんのお皿に乗せる。
孝弘さんがにやっと笑って食う。
八重子先生が変な顔している。見られてた。
微妙な空気が私と八重子先生の間に漂うのも気づかぬ絹先生。
孝弘さんへにこにこしながらおかわりをしてあげたり。
他のおかずで食って、うん、うまかった。
ごちそうさまです。
孝弘さんが部屋に帰って、絹先生は台所に立つ。
私も手伝おうとしたが八重子先生に引き止められた。

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32

チェックアウトの手続き時に城への道順を聞く。
宿を出てすぐのところのバス停から駅へ行き、乗り換えて城へ行くルート、
タクシーで行くルート、どちらかで行くほうが良いらしい。
20分ほど歩くという手もあるが。
タクシーを呼んでもらい、乗車すると10分かからなかった。
なるほど小さい城と聞いてたが。確かに小さい。
お庭が綺麗。早くも紅葉している。
雰囲気は抜群だなあ。
どうやら天守は昭和中ごろに復興されたもので明治初年に壊れたのだそうだ。
散策していると、懸釜があるという。
先生に伺うと、行ってみようという事になった。
取敢えず懐紙を懐中する。
受付で聞くとこちらは表の方だそうだ。
お正客に先生を据え、私は気楽に次客~♪
男性のお点前を見せていただく。
あ、裏と似てる。
他のお客さんもこられず、お道具のお話で楽しく過ごせた。
天守は資料館のようだ。
展望もよく、干拓していなければ浮城だったというが。
展示物に茶磨がある。
抹茶の粉にするための道具だ。
茶道具も展示されてるが、まあ城だし主眼は武具だよね。
さてそろそろお昼時。
どこかで食ってから電車に乗ろう。
おすすめを観光協会に聞くとうなぎだそうだ。
場所を聞いてタクシーで向かう。
待ち人数組。
先生が待ちましょう、と仰って下さったので待つ。
15分ほど待ち、店内に入りメニューを見る。本日天然有りますとのこと。
勿論天然を頼む。プラス養鰻蒲焼単体。
竹酒も頼み、先生の盃に注ぐ。
先生から私へも注いでいただき、昼酒うまし。
出てきた。背開き関東風なのに焼きは関西風かな?
私のものと先生のものは産地が違うようだ。
半々にして食べる。
なるほど産地によって味や身質が違う。これは良かった。
養殖も半分ずついただく。
これも中々に美味。
思わぬところでの食べ比べとなった。
先生にも満足していただき、帰路ににつくことにした。
タクシーで駅まで、そして特急あずさに乗車。
楽しい時間もあと2時間というところか。
先生もそう思ってくれたらしく、少しさびしげだ。
だが旦那さんも息子さんもいる先生をそうそう旅行には連れ出せない。
身をこちらに寄せてもたれかかる先生の手を撫でる。
「このまま攫って行きたいですね…」
「困らせないで…」
そりゃ困るよなあ。実際。
「というか駆け落ちじゃなくて誘拐とか拉致事件でしょうねえ、私とだと」
あ、笑ったな。
「うん、笑ってるほうが素敵ですよ。
 どうせお稽古で週3くらい会うんですから良いです。困らせちまいましたね」
車内販売でコーヒーを貰い、車窓を楽しむ。
ずっと先生の手を握ったまま。
特急が駅に着いた。ここからは先生と弟子モードで移動せねばなるまい。
乗り換え、先生の最寄り駅までお送りする。
改札を出てタクシーに乗せる。名残惜しげだ。
お見送りして、私も帰ろう。荷物が重く感じてきた。
先生の浴衣などの荷物は稽古日にもって行くことになっている。
早く次の稽古日来ないかな、早く会いたい…。

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