翌朝6時半。
外は良い天気だ、台風一過、だな。
先生が風呂に入っている間に関東方面の状況を確認する。
新幹線も動いてるようだ。
帰りの切符の手続きをする。早朝から昼までは混雑している。
1時半ごろ乗車の切符が取れた。
ここのチェックアウトは11時半、2時間ほど、どう時間をつぶすべきか。
茶道具の展覧会か何かあったかな。
ちょうど国立で良いものがあるようだ。このへんでいいか。
先生が風呂から出たので聞いてみる。展示内容から行きたくなったようだ。
帰りの格好はワイシャツにスラックスのつもりだったが、
先生が羽織に着流しが良いという。確かに先生の格好と釣り合いが取れる。
身づくろいをし朝食を取る。
戻ってきて荷物をまとめ、あらかた宅配便に任せることにした。
常着を脱ぎ、着替える。その脱いだものも荷物に入れる。
これで手荷物のみだ。
地元の人くらいに身軽である。
先生はゆっくり観覧したいというので早めにチェックアウトすることにした。
タクシーを呼んでもらい、チェックアウトの手続きをし、カードで支払う。
支払いも終わった頃タクシーが来た。
国立へやってもらう。
台風の後の国立はさすがに人が少ない。
しかしさすがに良い展示物。
講習会に来ていた人にも再会した。同じく帰宅困難で連泊したそうだ。
観覧を楽しみ、向かいのハイアットでランチをとった。
そろそろ駅へ行かねばならない。
タクシーで八条口まで行く。ちょうど1時だ。
チケットの発券を受けて改札を通る。
ロビー階で土産を買い、ホームに上がった。
自由席はすごい人のようだ。私たちは指定席なので割と空いていた。
東京へ行くまでに満席になるのだろうけれど。
ちゃんと二人席が取れていて、やはり先生を窓側へ。
和服だとやっぱりそれなりに注目されるね。
どう見えているのだろうか。夫婦?コスプレ?
先生は乗車直後から寝てしまった。昨日やりすぎたかな。
寝顔を眺めたり、車窓を眺めたりしているうちに一駅手前だ。
先生を起こして降車。
行きは駅で待ち合わせたが帰りは先生のお宅までご一緒する。
八重子先生に報告だ。
最寄り駅まで乗り継いでいく。
駅からタクシーを使った。快晴で暑いが京都よりはましだな。
「ただいまぁ」
「お邪魔します」
中は涼しいなークーラー入れてないのに。
「おかえり。台風大丈夫だったかい?」
「ええ。」
あれ、今日稽古日じゃなかったか?
先生は着替えてくるわ、と部屋に行ってしまった。
「幸い講習日は宿に戻るまで持ちましたし、その後は中でしたし。
キャンセルが出て部屋もそのまま泊まれました。」
「そりゃよかったねえ、こっちは今日は台風の後始末があるからって
人が多くてね、お稽古はお休みにしたんだよ」
絹先生が戻ってきた。相変わらず着替えるの早い。
講習会の様子を話したり、今日行った国立の展示物について話したり。
泊まった部屋が茶室だって言うのに八重子先生が驚いている。
さすが京都、というが結構その辺にもあるんだな、これが。
私は東海で温泉探してるときに見つけてスゲーって思ったのが最初だ。
「山沢さん、実技で男点前教えてもらってたのよぉ。男装するならって」
「折衷案といいますか、蓋は袱紗でもほかは男のやり方でと。」
「じゃあ次からのお稽古は男の点前を教えようか。両方覚えると良いよ」
両方かぁ、覚えられるかな…。
そうこうしているうちに夕方だ。辞去することにした。