さっきよりはしっとりとした手になった。
お礼はキス。
「カレーの味がするわね」
「ああ、歯を磨いてきます」
でないとあそこ舐めたらひりひりしそうだしな。
きっちり漱いで戻る。
先生がお湯を沸かしていた。
「あーお茶切らしてますよ?」
「えっそうなの?」
「お抹茶なら冷凍庫にありますが。それともコーヒーがいい?」
「お茶碗どこかしら」
「薄ですか?」
「濃、あなたも飲む?」
「じゃこれで」
黒楽を出して水につける。
その間に冷蔵庫から上等の濃茶を出した。
先生が点てて飲むんだったらやっぱり上等がいい。
茶筌も通して茶碗も温めて缶から直接投入だ。
うちの台所で先生が点てるのはなんとも言えず…似合わない。
やっぱり先生は茶室で点ててるか台所で料理してるのが合う気がする。
お茶をいただいてお茶碗を漱いで乾かす。
先に先生がお座布に腰を落ち着けた。
うん、やっぱりこの方がいい。
後ろから抱きつく。
「どうしたの?」
「ん、暫くこうしてて」
「いいわよ」
しばらくしてもぞりと手を動かした。
つい胸を揉んでしまう。
「したくなったの?」
「うん」
先生をお座布から俺の膝の上に移動させた。
「脱いで」
しゅるり、と帯を解いて行く。
「ね、離して。脱ぎにくいわ」
そう言われ開放。
脱いだと思ったら着物を持って和室へ行き、浴衣を羽織って戻ってきた。
俺の膝へくるかと思ったら寝室へ行こうとする。
「どこ行くんですか」
「ベッドに決まってるでしょ。そんなとこいやよ」
「じゃいいや。やらない」
「何拗ねてるのよ」
「拗ねてないよ。明日泊まりなんだから痕残せないの思い出しただけ」
「あら。そんな理由? 違うでしょ?」
「違うけど違わない」
先生が困った顔でこっちを見てる。
「じゃ膝枕…してあげるわ。それでどう?」
あ、それはいいな。
ベッドへ行って先生の膝枕。
転寝途中で起こされたこともあり、先生の膝にいるうちに寝てしまった。
暗くなった頃、起きたら俺の胸を枕に先生が寝てた。
時計を見ると6時。飯を食わなきゃな。腹減った。
ほんと言うと飯より抱きたいんだが。
明日は温泉らしいから本当に痕は残せない。
してはならないといわれるとしたくなる。
そうこうしてるうちに先生も起きた。
寝ぼけ眼でこちらを見るのが可愛くてついキスをしてしまう。
とまらなくなった。
噛まないよう、吸わないよう、強く抑えないように気をつけてむさぼる。
寝起きの先生を抱くと色々混乱してるのがよくわかる。
俺じゃなく孝弘さんの名前が出てくることも有る。
ちゃんと起きてる時はそういうの無いんだけどなぁ。
先生にとっての一番は孝弘さんだから仕方ないが。
俺の性欲が収まった頃、先生は息切れしていた。
あー…腹減った。
すし出前してもらおう、うん。
部屋を出て鮨屋に電話して頼んだ。
それから浴衣を纏い先生のそばへ戻る。
「先生、すし頼みましたけど食いますか」
返事は出来ないようで、軽くうなづいてる。
咳。
背中をなでて落ち着かせた。
汗だくだ。
飯食ったら風呂に入ろうかな。
それとももう一度抱いてからにしようか。
考えてると先生の手が俺の懐に。
乳首をつねる。
腫れるからやめろというのに。
「痕つけますよ」
そういうと離してくれた。
先生にも浴衣を着せた頃すしが来た。
取りに出て戻る。
おいで、と手招いたら首を振るのでどうしたのかと思ったら立てなかったらしい。
先にお手水、と言うのでトイレに抱きかかえて行ってそれからお座布の上へ。
後ろから抱えてもたれさせ、食べさせる。
おいしそうに食べてるのを見てると俺の腹がなった。
先生が笑って俺の口に胡瓜巻を入れてくれる。
「いいから」
そういって先に食べさせて先生をベッドに戻した。
それから自分の分を食べる。
ご馳走様をして桶を洗い、表に出して先生のそばへ行く。
「久しぶりだな、あなたが立てないって言うなんて」
「あなたがしたからでしょ、もう」
「はは、おいしそうだったからね、ついつい」
喋ってると先生は段々眠くなってきたようだ。
「もう寝ましょうか」
「うん」
「ね、明日どこ行くんでしたっけ」
「白子温泉よ」
「九十九里浜ですか、いいですねえ」
「美肌の湯らしいわよ~」
先生の肌がますます綺麗になるのか、そりゃいいなぁ。
もぞもぞと先生の手が俺の胸をまさぐる。
何か触ってると落ち着くらしい。
背中をなでているうちに先生の寝息。
ふと思い出したのだが先生ってそろそろ生理じゃなかっただろうか。
温泉大丈夫なのかなぁ。
入れなかったら可哀想だよな。
先生に聞こうにももう寝てしまっているから旅行から帰ってからだな。
次に会えるのは火曜日か。
そう思えば寝るのが勿体無い気がする。
けれど明日は仕事だからと仕方なく寝た。