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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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172

夕方、起きて残りのタラで一人鍋をすべく買物をして。
洗濯物を取り入れ、畳み、しまう。
わびしく食べる。
あ、明日は十日えびすじゃないか。
こっちのえべっさんへ行こうか京都まで足を伸ばそうか。
例年通り京都へ行こう。そうしよう。
昨日行って明日も行くなんておかしな話しだが仕方がない。
だったら早く寝てしまおう、明日は京都に寒波の予報だ!
翌朝、仕事を早めに切り上げ、飾ってある熊手を回収し、一路京都へ。
帰りは混むかと車掌に聞けば自由席は確実に、とのことで京都駅に着くなり指定を取る。
四条大和大路でタクシーを降り、混雑の中すすむ。
途中に鼈甲屋があるのだ。
まずはここへ寄って色々と見る。
目玉は35万ほどするかんざしだ。
流石にこれには手が出ない。
15万ほどの程よいかんざしを見つけた。
しばし相談すると普段は25ほどだが、と20のものを見せてもらえた。
なるほど明らかに細工が違う。
35のを見た後では中々思い切れないが、同じ価格帯ではこれが一番良い。
しかも似合いそうだ。
よし、と手付けを打った。
10万を払い、後は明日って銀行休みか。
いっちょ出金して戻ってこよう。
近くにATMはないか聞けばコンビニが四条出て西にすぐにあるとのこと。
なるほどファミマが有った。
15万出金し、引き返す。即金で残額を支払った。
最近は即金で現金で支払う客が少ないとのことである。
というかお宅基本掛売りちゃうん…。
現物は直接先生のお宅に送ってもらうよう手配をお願いして、ゑびす神社へ。
さて今年の京都は景気概況どんなものだろうか。
周囲の買う福笹や熊手でおおよそがわかる。
…やっぱこんなもんか。
いつものサイズを分けていただいて、本殿横を叩いてお願いする。
えべっさんは耳がよろしくないので打ち鳴らして呼ばないといけないとされる。
だからみんな並んで叩く。
人を押しのけて叩く人あり、ちゃんと並ぶ人あり。
裏から出れば人影少なく、すっきりしている。
さくさくと歩きタクシーを拾って駅へ。
指定の新幹線までまで暫くあるが、寄り道厳禁である。
寒風の中耐えて乗車して帰路につき、駅に着けばそのまま会社へ。
いつもの場所に飾った。
ああやっと喫茶店いける…。
喫茶店に入り、一服。肩凝ったなぁ。
明日復活できなきゃ先生にお願いして踏んでもらおう。
今日中に発送してくれるってことだったが…かんざし…。
明日先生の家に居るときについたら良いなぁ。
八重子先生に怒られるだろうか。
金遣いが荒いって言われたし。
でも次に京都に行ったら京紅を土産にするつもりなんだが…。
そのときはあれだ、花びら餅予約しておこう。
晩飯を牛丼屋で食って帰宅。
あー疲れた、寝よう!
おやすみなさい。

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171

朝、出勤前。
良く寝ている先生を起こさずにと思ったが起こさないと怒ることを思い出した。
なので揺り起こし、行ってきますというと、はいとだけ返った。
すぐに寝息。
お疲れだなぁ…俺のせいだけどさ。
とりあえず食卓に置手紙だ。
ええと…帰るなら俺が帰る前に帰らないと帰せなくなる可能性。
帰らないなら、もし作ってくれるなら…と言う前置きで、
お昼にホウレン草のおひたしを食べたい旨を書いた。
出勤。仕事。今日はそれなりに入荷が多くそれなりに売れた。
一服しているとメール。
白身の魚持って帰ってきて欲しいようだ。
何にするのだろう。うち用か先生のお宅用か。と返信する。
どうやらうち用でムニエルにしたいらしい。
うーん。何もって帰ろうかな。
っとタラの半身が余ってる?よしそれにしよう。
ついでだからと切り身にしてもらった。
荷合せ入出庫を終えて帰宅。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい」
「はい、魚。タラにしました」
「あら沢山ねえ。着替えて手を洗ってきてね」
「はい」
先生がいそいそと食事の支度をしているのが可愛くて嬉しくて。
しかしムニエルとおひたしは合うのだろうか。
あ。洗濯籠の服がない。
しまった。またパンツ洗われてしまった。
着替えてベランダを見れば先生の湯文字も干されている。
ああ、ちゃんと陰干しだ。主婦だなぁと実感する。
ただ不思議なのは"男の世話を焼く女"ではなく"母親の仕事"を感じるのである。
普段の作業のついでに洗いました感。
ああ、バターのいい匂いがたまらんなあ。
そういえば先生は俺の家を掃除してくれたりするのだが絶対に納戸はしない。
掃除機の出し入れで入るのもちょっと嫌なのだそうだ。
多分最初に入ったときに見たのが巨大ディルドだったからだな。
あれはネタで、普段は仕舞ってあるのに。
ってこないだは蝋燭が置いてあるのを見て焦ったとか言ってた。
使っちゃったけど。
「出来たわよ」
というのでご飯をよそって配膳。
おお、うまそう。
食べ始めてから聞いた。
「先生。帰らなくて良かったんですか?」
「これ食べたら帰ろうかしらね」
「帰したくないなぁ」
「いい加減帰らないと叱られちゃうわ」
「ですよねえ。あれ?でも湯文字乾くまで帰れないんじゃ…」
「あら、ここに置いていくわよ。どうせまた泊まるんだし」
「さいですか」
うまうまと食事をいただいて満腹に。
台所に出して、それから先生にキスした。
「なぁに?」
「帰る前にしましょうよ」
「だめよ、帰さないつもりでしょ?」
「わかりますか」
胸に手を這わせる。
「もう…だめよ。帰るわ」
「残念だな。本当に帰っちゃうんですか?」
そういってお尻を撫でる。
あ、我慢してる。可愛いな。
もう一度キスすると私の腕をぎゅっと握る。
離すと額をピシャリと叩かれた。
「もうっ、帰るって言ってるでしょ」
「本当に?」
「憐れそうな顔をしないの。土曜日にいらっしゃい」
「うー。わかりましたっ、今日のところは諦めました。土曜日、行きますから」
お昼間と言うこともありおうちまで送らなくても良いという。
電車で帰られるのを泣く泣く見送り、一人、自宅。
ふと思い出して探る。よし、あった、これは見つからなかったようだ。
もう一度隠しこみ、台所を片付けて少し寝た。

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170

ゆったりと床暖の入っている上でおしゃべりを楽しむ。
その内したくなって先生の手を取り、引き寄せる。
「もう…疲れてるの、だめよ」
「じゃあ布団の中でこうされててください」
「それならいいわよ」
ひょいと持ち上げてベッドへ。
懐に抱いて先生の匂いを嗅いで撫で回す。
段々と先生の息が荒くなってきた。
「だめっていってるのに」
と私の乳首を捻られてしまった。
ククッと笑って先生の股間を撫でるとやはり濡れていた。
「明日、昼まで寝てたらいいじゃないか」
「言われなくてもそうなりそうよ」
「抱いて起こしてあげるから」
「そんなことしてたら帰れなくなっちゃうわ」
「帰らないでいつまでもここにいたらいい」
「だめよ初釜もあるしお稽古もあるじゃないの」
「八重子先生に任しておけば良い」
「そんなわけにはいかないわ。ね、いい子だから聞き分けて」
「しかたないな。でも今日はもう止めれない」
先生も今やめられたら寝つけんだろう。
気持ち良さそうで少し辛そうで。
「キスマークつけたくなるな」
びくっとしていやいやをする姿が可愛くて、わざと言ってしまう。
「いじめないで…」
「いじめたくなる」
首にキス。
「あぁ、だめ」
つけないけどね。
「いじめられるの、結構好きでしょう?」
「いやよ、すきじゃないわ」
「口でそう言ってもこっちは、ね」
と音を立ててあげた。
「やっ、やめて恥ずかしいわ」
「可愛い。可愛いな、本当にあなたは。もっといやらしいことしたくなる」
「おねがい、しないで」
「今日は聞いてあげましょうね」
普通に抱いて泣かせて、己の飢えを収める。
先生を逝かせて、落ち着かせた。
ピロートークする暇もなく、いつもすぐ寝られてしまう。
よっぽど疲れるんだろうなあ。
トイレに行って俺も寝た。

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h13

目覚ましが鳴る。
とめて時間を見れば仕事の用意をせねばならない時間。
布団から出て身支度をする。
先生は、と見れば良く寝ていて起こすのは忍びない。
しかしそのまま出て行けば昨日のようになる?それは困るな。
A4にマジックで仕事と大書する。
脇に、良く寝ているので起こせなかった旨を書き加えて布団の上へ。
食卓の上に、台所にパンがある旨を書き昼までには戻ると書いて出勤した。
さすがに初市、まだ酔ってる気配のやつが多い。
皆で手締めもありお正月気分である。
まあセリ値もそれなりに。
お祝いだからね。
マグロは相変わらず恐ろしい価格がついたが。
皆で乾杯して祝い酒祝い酒。
車の人が飲めないから、正月の喧騒もそこまでじゃなくなったが。
さてさて、お客さんたちにご挨拶をして。
うん、そろそろ客も来なくなってきた。荷物も捌けた。
解散するか。
先生の待つ我が家に帰宅。
あれ?鍵かかってる。開けて中に入るといない…。
え。
逃げられた?
マジか…。
呆然としていると後方からガチャッとドアの開く音。
「あら早かったのね、お帰りなさい」
あー…買物。そうかそういうことか、良かった。
「ちょっと待っててね、お昼にしましょ」
ほっとして着替える。
ああもう、本気で焦った。
手を洗って戻ると、簡単にだけど、とハムエッグとサラダ、トーストが出てきた。
「足りないかしら?」
「いや、足りなきゃ後で何かつまみますよ」
「じゃいただきましょ」
「はい」
うちで支度を長々とすると邪魔されるのを良くわかってきたようだ。
あ、トーストがデニッシュだ。
「ニュースで初市の様子映ってたわよ。今年は山沢さんいないか探しちゃったわ」
「あー俺らのセリ場、テレビ来ないんですよね。大体マグロですよねー」
「すごく高いわよねえ」
「ま、落としたら全国区で宣伝できますから。CM打つより安上がりなんでしょう」
「あら、そうなの?」
「ところで、今日は何時ごろ起きられたんです?」
「8時過ぎかしら。山沢さんがいなくて、吃驚したのよ」
「布団の上に紙、ありましたでしょう?」
「それ見てほっとしたわよ。なんで起こしてくれなかったの?」
「キスしても起きないから仕方なく。
 というか良く寝てるの起こしたくないじゃないですか」
「起こして頂戴。それにお昼まででも寝かせてくれるんでしょう?」
「勿論です。でも起こしたくないなぁ。あなたの寝顔見るの結構好きですし」
「私のこと大事だと思うなら、私のわがままを聞いて頂戴」
「わかりました、これからそうしましょう」
コーヒーを淹れに立った。
先生はまだ食べている。
久しぶりにエスプレッソを入れよう。
「先生、シングルかダブルかどうします?お砂糖とフレッシュは要りましたっけ」
「シングルってどれくらいなの?」
一杯作って渡す。
「これはちょっと少ないわねえ。お砂糖は入れてくれるかしら」
「ラジャ。砂糖はスプーン2杯入れますが」
「1杯でいいわよ。そんなに入れたら甘すぎない?」
「むしろあの砂糖がとけ残るくらいがいいんです」
「抹茶ラテは嫌いなくせに」
そんなことを言ったり言われたりしつつ、コーヒーを飲んでお昼ご飯を終る。
さて、と。
「三越でも行きますか?」
「あら、するんじゃなかったの?もういいの?」
「いやしたいことはしたいですが。呉服とか見たいんじゃないかなと。たしか龍村も」
「いいの?嬉しいわ♪ じゃ着替えてくるわね」
「流石に800万だかの帯は無理ですよ…」
「そんなのどこにしてくのよ~。山沢さんも着替えましょ」
「はい。なに着ましょうかねえ」
「ちりめんの着物作ってなかったかしら。お母さんと縫ってた気がしたんだけど」
「ああ、あります、縞のでしょう?」
「それにこの羽織がいいわ。帯はこれね」
渡されたものを着てゆく。
先生は相変わらず着替えるのはやい。
ちょいちょいと俺の着てるのを直されて、おでかけ。
三越…凄い。人一杯。
先生に先導されて呉服売り場へ。
あれ、意外と人少ないね。
婦人服の毛皮売り場は凄い人だったのになあ。
色々と見て、先生が欲しくなった帯留と羽織の紐、草履をまず購入。
反物を見て、帯を見て。
やはり龍村の帯が気になるご様子。
お茶席向き~な帯。
チャンカイが気になるようで悩んでおられる。
「気に入ったんですか?」
「でも龍村だから高いと思うのよ…」
価格を聞く。あれ、もっと高いと思ってた。
現金で支払う。
「いいの?」
「クリスマス、プレゼントできませんでしたしね」
ふ、と視線を動かすと陰山の七宝華文間道があった。
「先生、これ、俺どうですかね、ほら秋口に着ていたあの着物と」
「あら、いいわね。これ。あわせやすそうよね」
じゃ買っとこう。これは…先生の帯に比べると安かった。
「間道のイメージとは違いますね」
「そうね」
「着物はいいんですか?」
「んー、ピンとくるものがなかったわ」
「じゃ今度どこか行きましょうね」
「そんなに沢山悪いわ」
「お正月ですし、好きな人に贈り物するのに何か不都合でも?」
先生が照れてる。
「あ、そうだ。ちょっと付き合ってください。ジャンバー欲しいんですよ」
そのまますぐ近くのスポーツウェアのエリアに移動する。
コロンビアのジャケットを一枚買うことにした。先生のお見立て。
「格好いいわよ」
と仰るのに気を良くして。
着物で試着は結構難しかった。
「そうだ、夕飯のお買物はされたんですか?」
「してないわ…どうせ作らせてくれないでしょ?」
「よくおわかりで。地下行きましょうね。ああでもその前に」
「その前に?」
「3階行きましょう。先生、ブラのサイズ変わったでしょ」
「なっ、んで知ってるの…」
「触ったカンジと持っておられるブラのサイズが合ってないですもん」
「やだ、もう。いつ見たのよ…」
下着売り場に連れて行き、店員にサイズを言ってお高めのものから出してもらう。
俺はパルファージュとかぺレールが良いんじゃないか、と言ったのだが、
先生は大人し目のブラを選択した。
まあたしかに、そういうのをつける機会が少ないから無難なのがいいんだろうけど。
飛び切り色気のあるものと、先生の決めたのをショーツとともに購入した。
「山沢さん…もうっ。男の人に下着を買わせる女って言う自体恥ずかしいのに」
「あ、そうか。このナリでしたね。忘れてました」
商品を受け取って地下へ行く。
さて、なにを食べたいのかな、先生は。
なだ万かな?
穴子?のちらしが良いらしい。
玉ゐという店の穴子チラシを買った。
俺は今半の牛玉。
ケーキも欲しいというので洋菓子売り場へ。
大変に可愛いケーキに先生が吸い寄せられて、その様子が良かったのもあって購入。
先生にはバッグとケーキ、ご飯を持って貰ってその他の荷物は俺が持ち、帰宅。
普段着に着替えて、ケーキをつつく。
可愛い、おいしいと楽しそうだ。
そういう姿を見ていると幸せな気分になれて少し飢えがおさまる。
食べ終わって、先生が私の横に来た。
手を出されやすいように、か?
襦袢の中に手を突っ込んで胸を揉む。
気持ち良さそうにしている姿が心地よい。
先生を膝に乗せて。焦らしたくなり脱がせもせず乳房や乳首のみ触る。
あ、そうだ。
リモコンをとってビデオを再生する。
一覧からあるものを選び、途中のシーンから映し出した。
ぎょっとしてる。
「山沢さん、山沢さん、ね、こんなの見せないで」
画面の女性が声を上げるたび、先生もビクッとする。
乳首に蝋を落とされるのを見て顔を背けた。
「ほら、ちゃんと見て」
「あぁいや、こんなのしたいんでしょ…いやよ、熱いもの…」
「熱くないようにもできますよ…もしかして仏壇の蝋燭こぼしたことあります?」
こくり、とうなづいた。なるほどね、怖いのはそれでか。
「ちょっと待ってて」
納戸からSM蝋燭と普通の蝋燭を出す。
戻って赤い方に火をつける。
まずは自分の腕に。高さを調節して熱く感じない高さを探る。
続いて白を。同じ高さから落とす、うん、熱い。
「腕、出して」
恐る恐る先生が腕を出す。
ポト、と白い蝋をたらした。
「あっ」
慌てて腕を引っ込めようとする。
「少し熱かったでしょう?」
涙目になっている。
そこへ赤い蝋燭を同じ高さから落とす。
ボトボトボトッと落ちた。
先生は顔を背けるも、まったく熱くなくて驚いている。
「あったかい程度でしょ? 仏壇の蝋燭とはまったく温度が違うんです」
ほっとした顔をして居る。
「ただ、この蝋燭でも…」
近づけて落とす、徐々に一滴、一滴と肌に寄せる。
「あっあぁっ熱いっひぃっやめてっ」
「こういう風にね、できるんです」
蝋燭の火を消して横に置く。
「酷い…」
「ふふ、パラフィン浴ってご存知ですか? 今落としたより少し高い温度の
 蝋に腕や足をつけて保温効果を高め、関節痛などにいいんですが」
「こんなに熱いのに…」
「体幹にやったことありますがヘソのあたりは熱かったですよ」
そういいつつついた蝋をはがして行く。
ほんのり赤くなったそこを舐めつつビデオを再開する。
「ほら、あなたと同じ声、上げてる。けどこの女性のほうがもっと蝋燭が近い」
「凄い…私、無理だわ」
「慣れですよ、あぁでもこれは無理かな。あなたでは」
画面は陰裂を開き突起や尿道口をも埋めるように蝋を落としている。
「…しないでね、お願いだから」
「あそこまで敏感な場所にあの近さから落としたら…あなたなら絶対泣くでしょうね」
想像しちゃったらしい。
震えてる。
まああれは俺でもいやだな。
場面はすすんで張型で蝋をたらされつつ玩ばれている。
視覚に煽られて胸を揉んでるだけなのに凄く喘ぐ。
腰がもぞもぞとしていて楽しい。
画面の女が逝ったのに引きづられるように先生も逝った。
「脱がせて欲しい?」
と耳元で囁くとうなづくので帯をとき紐を外して脱がせ、股間を撫でた。
画面の女は縛られて横向きに吊られ、男のものを入れられている。
「こういうのはどうです?されたい?」
「いや…」
「でも見ていると感じるんでしょう?さっきより濡れてる」
「そんなこといわないで…」
私の膝を掴んでいる先生の手を後ろにまとめて先ほどついでに出したビニテで軽く巻く。
「あぁいや、山沢さん、だめ、はずして」
画面の中の女性は更に鞭で打たれ始め、先生が震える。
あそこの具合から見て鞭はだめだな。体が完全に拒否してる。
また股間に蝋燭のシーン。
うん、ちょっと濡れて来た。
ぺニバンで突かれるシーンもそれなりに。
「あれ、されたいですか?」
首を横に振る。そうだよなぁと言うか自分からされたいとは言わんよな。
「でもいつかしますからね」
そういうと中に入れている指を締め付けられた。
「それとも今しちゃいましょうか。物は有りますよ」
「いやよ…お願い」
「どうしようかなぁ、柔らかいものと硬いものどっちがいいです?」
「いやって言ってるのに…」
耳元でくすくす笑いながら弄ぶ。
逃げる体を押さえつけつつ。
画面の女が逝くのと同時に先生も逝って、ビデオをとめた。
抱えあげて風呂に連れて行く。
ざっと汗を流すと自分で出来るからと風呂を追い出されてしまった。
苦笑して蝋燭やビニールテープを回収する。
先生が浴衣を着て出てきた。綺麗だな、色っぽい。
キスをするとご飯食べましょといわれた。
「もう一度したくなった」
「だめよ、ご飯の時間よ。座って?」
頭を撫でられてしまって苦笑する。
「そういえばお正月で何キロ増えました?持った感じ3キロってとこに思いますが」
「やぁね、当たりよ、家事しないとすぐに増えちゃうわよねえ」
「というか俺としてないからじゃないですか?」
「それもあるかもしれないわね」
「体脂肪率とか量ってます?」
「あなたとこういう関係になってから体脂肪率減っててるのよね…体重は変わらないの」
「そりゃ筋肉量が増えたんでしょう。筋肉痛になったりしてましたでしょ」
「そうなのかしら」
「明日体重計買いに行きましょう。筋肉量とか骨量とか出るやつ。骨粗鬆症予防にも」
「あら、そんなのあるの?お母さんにいいわね」
「八重子先生なら小魚結構食べてるから大丈夫かもしれませんが」
うーむ、メシがうまい。
ごちそうさま。
先生はあくびをして眠たげだ。疲れちゃったかな?
食べたものの始末をして、先生を引き寄せる。
「もう寝ますか? 疲れたでしょう?」
「食べてすぐ寝たら太っちゃう…」
「大丈夫、痩せさせてさし上げます」
「…すぐそんなこと言うんだから」
抱えあげてベッドに運ぶ。
布団をかけて俺も添い寝を。
「おやすみなさい」
すぐに寝息が聞こえ出した。寝つきが良くていいなぁ。
いつもの時間に目が覚めて身づくろいをする。
先生を揺り起こし、寝ぼけている耳に行ってきます、と言う。
正月ボケした頭で仕事を済まし帰宅するとお昼ご飯の用意をしていた。
手を止めてお帰りなさい、とキスされた。
ただいま、と手を洗って着替える。
洗濯物は干されていて先生の機嫌もそれなりに良いようだ。
食卓についてご飯をいただく。
うう、久しぶりに青物が。
おいしい。
やっぱなー正月連休は青物に飢える!
大変おいしゅうございました。
「どうしますー?体重計買いに行きます? こっから近いと言えば新橋ですが」
「そうね。どんなのか見たいわねえ」
んじゃ行きましょ行きましょ。
うちから出てバスに乗って新橋駅へ。降りてすぐの量販店。
いくつか見て、表示の大きいものをセレクト。
いちいち眼鏡は面倒だ、八重子先生が。
購入して先生のお宅へ送ってもらう。
さて今晩、先生はお返しせねばなるまい。
初釜の準備があるからね。
まずは帰宅して先生にどうして欲しいか聞いた。
「どうって…」
「激しくが良いか優しくが良いか酷くが良いか、さぁどうします?」
「優しくが良いの、わかってて聞いてるわよね?」
「まぁわかってますけどね」
一応ね。
「で、激しいのよね?」
「怖いんですか?」
「わかっててしないで頂戴」
「無理ですね」
「じゃ聞く意味ないでしょ」
「ありますよ。あなたとこういう会話するの好きなんです」
「意地悪ね」
拗ねる先生にキスをすると頬を染める。
「あまり意地悪するとさせてあげないわよ?」
「それは困ったな。じゃあ意地悪はなしで優しくして差し上げましょう」
くすくすと笑ってベッドルームに行ってくれる。
そのままベッドに押し倒してキスをすると皺になっちゃうわ、と言う。
「んーでも着たまましてみたいな」
「だめよ」
押し返されて、脱いでいただいた。
「なに見てるのよ、あなたも脱ぎなさい」
「あ、はい」
慌てて脱いで、裸になった先生の側に寄り胸元を舐めた。
「なんでそう落ち着きがないの…」
「すいません、つい。おいしそうで」
あ、先生の体が温かくなってる。
「そういうところ可愛いわよ」
うーむ、格好良くありたいのだがどうしても先生の体を前にするといかん。
「なにかねえ、食べられるような気がするわ」
「食欲、確かに近いかもしれませんね」
そういいつつ撫でまわす。
うう、先生の素肌気持ち良い。
「かさぶたを…」
「ん?どうしました?」
「無理やりめくられるような気分がするの」
うん?どういうことだ?
聞いてみると私の手の内に居るといつもは封じている女の部分を
無理やり解放させられるような、そんな何か怖い気分がするらしい。
「孝弘さんは…ああなってからは一度も?」
「ええ。お医者様にも相談したのよ」
「…したいのに勃たないと?」
「ばか、そんなこと言ってないわよ…もう一人律の下に欲しいって相談したの」
「人工授精とか言われませんでした?」
「うん、それしかないって」
「まぁ…お尻の中に指突っ込んで刺激してなんてあなたじゃ無理でしょうし」
「なんなの、それ」
「男性を無理やり勃起させたり射精させたりする方法」
「知ってても出来なかったと思うわ、それは」
「今でも無理でしょ(笑)」
「無理よ」
「ですよね」
「だから…ずっと、だったのよ。あなたがするまでは」
「だったらあなたのその女の部分、俺にもっと見せて。嫉妬も、性欲もすべて」
「性欲だなんて」
「あるでしょう?
 孝弘さんや私にして欲しいと思ったこと、一度もないわけじゃないでしょう?」
「そうね…」
「だから全部俺に下さい。あなたの思い。したくなったらしたいって言ってください」
「そんなの。いえないわ」
「言うのは淫乱だとか思ってますか?」
軽くうなづいた。
「だれかれなしに、なんてのは淫乱でしょうが俺に言う分には違います。
 恋人としたくなるのは当たり前のことです」
「そう?恋人…ねえ」
「恋人じゃないんですか、俺」
そういえば好きとか言ってくれない。
「はいはい、あなた一番は孝弘さんですもんね。愛人でいいです」
「あ、違うのよ、そうじゃなくて」
「愛人でも何でも俺と孝弘さんになら求めても淫乱なんかじゃないです。いいですね」
それ以上の会話を封じるように強く激しくして。
終ったころには涙目になっていた。
「今日はこの辺にしてあげます。帰らないといけないでしょう?」
「いやよ、帰らない」
「なぜです?帰りなさい。帰らなきゃいけないでしょう、あなたは」
「いや」
「わがままはいけません」
「わがまま、聞いてくれないの?」
「きけません」
「どうして?」
「明日初釜でしょう、朝から。欠席できないんでしょ?」
「あ…」
「まさか忘れてたんですか…送ってあげますから、ほら、シャワー浴びてきなさい」
慌ててシャワーを浴びに行く先生を見て溜息。
なんで、こう、うまく噛み合わないんだ。
とりあえず着替えよう。時計を見る。電車、ラッシュタイムか。
車で行くか。となれば洋服がいい。
服を着て待つ。
あ、出てきた。なんだ、髪も洗ったのか。
ドライヤーしなきゃいかんわけで少し出るのが遅くなるな。
手持ち無沙汰で、ベランダに出て煙草を吸った。
帰さなくて良ければ…いいのに。
少し落ち込んでいると先生が着替え終わったようだ。
吸殻を濡らして始末し、手を洗って口をすすぐ。
さてと、気を入れ替えて運転するか。
先生に車に乗るよう言うと、どうして?と聞かれた。
「この時間帯ラッシュでしょう、電車。痴漢されたらどうします」
「こんなおばさんされないわよ」
「されます。おばさんでもない。いいから早く乗りなさい」
助手席に乗り込もうとする。
「そっちじゃない、後ろ。運転席の後ろに乗って。シートベルトもして」
「後ろだったらいいんじゃないの?」
「以前事故のときあなたしてないからあんな怪我したんですよ」
乗せて走り出す。
1時間半ほどだろう。安全運転を心がけて。
「ねえ…明日の晩、来てくれる?」
「お稽古はしないんでしょう? 行かないほうがいいんじゃないかな」
「どうして?」
「一応、私が泊まるのはお稽古があるからとなってますよね。外聞に悪い」
「駄目なの?」
「やめときなさい」
「でも…」
「土曜は寄せていただきますよ。初釜の用意のお手伝いと言う名目でね」
車内の空気はよろしくないまま車はすいすいと流れて先生のお宅へ。
「上がっていって…ねえ」
「いやこのまま帰ります。明日。夜にメールください」
「…わかったわ。じゃあ…気をつけてね」
「ええ、また。会いに来ますよ」
別れて車を飛ばす。
少し前の車を煽ったり、追越をしたりして1時間で帰宅。
疲れた。
すぐさま寝巻きに着替えて寝た。
朝、起きて自己嫌悪。
せめて週末までには立て直して、電話なりメールなりで関係修復したいものだ。
そう思いつつ仕事をこなす。
とりあえず俺がやるべきことはちゃんと仕事することだ。
仕事を終え、食事を取る。
少し飲酒。
夕方、携帯にメール。
先生からか。
昨日あの別れ方をしたのに来いというのか。
少し悩んで、どうせ行かなきゃ突撃されるだけかと思い、行く旨返事する。
着替えて移動。
玄関を開けて声を掛けると律君。
ありゃ?
「あら早かったねえ」
うわっ後ろから八重子先生に肩を叩かれた。
先着してしまったようだ。
「あ、ええと、こんばんは」
上がって着替えを手伝う。
「で、絹先生。お呼びいただいた御用はなんでしょう」
「特に用はないわよ」
「は? 用はない? じゃ帰らせていただきます」
「用がなきゃうちに来てくれないの?」
「あんたら何やってんだい。山沢さんも意地を張らない!」
う…。
「ですが。用もないのに来るなんておかしいでしょう。
 律君だって違和感を感じてますよ。他のお弟子さんにだってどう思われるか」
「それはそうだけど…」
「初釜がどういうものか教えるために呼んだってことでどうだい?」
「…律君へはそういうことで結構です」
「絹。あんたまた何か山沢さんにしたのかい?」
「されてません。特に御用もないようなのでこれで失礼します」
「だからっ」
振り切って先生のお宅を出た。
携帯がなるのを無視しているとメールが入る。
それも無視して。
ふと京都に戻りたくなった。
その足で新幹線に乗り。京都へ。
久々に我が家の鍵を開けて風を通しストーブのスイッチを入れた。
移動に疲れ、うつらうつらとする。
先生より更にメール。
どこにいるの、と。やはり家に突撃されたか。
あなたの知らないところ とだけ返した。
時計を見る。まだ終電はあるだろう。
なければないでうちの鍵を持っているのだから勝手に泊まればいいさ。
すぐに先生自宅から電話、これは八重子先生だな。
電話を取る。
「あんた今どこにいるんだい?絹が行ったけどいないって掛けてきたよ」
「京都です、京都の自宅」
「いったい何があったんだい?
 何もされてないって言うけど、またなんか失言したんだろ、絹が」
「うー…恋人っていったら恋人じゃないって言外におっしゃったんで…拗ねました」
電話の向こうに聞こえる溜息。
「土曜は来る?そのときにちゃんと話ししなさい。律はどこか他所に泊めるから」
「はい、おねがいします」
「あ、それと体重計、きたよ」
「ああ、あれ、骨量も量れますから良いですよ」
「それから絹に帯買ってやったんだって?喜んでたよ」
「あー、はい」
「その意味、あの子わかってなかったようだね。高かっただろ」
「まぁ、そういう話には疎いでしょうから気にはしてません。
 それに高くはないです、お茶用の帯でしたし。
 礼装のほうは流石に龍村、いいお値段してましたが」
いいなぁと思ったら30万とかね。普通にしてたな。
「その上ブラとショーツもだろ」
「ははは…」
「サイズ丁度だったみたいだよ」
「そりゃ良かったです」
「ま、とにかく。土曜日来なさい。初釜の話もあるから」
「はい」
電話を終って、空腹に気づいて飯を食いに出る。
居酒屋に入り飲んでいると先生からメール。
電話は出ないとわかったのだろう、こちらのほうが伝えられると踏んでか。
恋人というよりは身内のような気がして、と言うことのようだ。
余計になんだかなぁと言う気がして、困る。
「おい、山沢じゃねえ?久しぶりー、どうしとるん?」
「あ?なんだお前か。ずっと東京で仕事だよ。今日は家に風通しに来ただけだ」
「そうか、お前恋人とか出来たかぁ?」
「んー恋人と思ってるヤツから恋人じゃなく身内のような、と言われたところだ、今」
「なんだそれ、ひっでぇ」
「だろ。参るよ」
「つーかお前めっちゃ標準語になってんぞ」
「しょうがねぇだろ」
「わかった、東京に恋人が居るんやろー」
「ま、そういうこと。一昨日、龍村の帯買ってやった程度の仲のな」
「マジか。それで身内って言われたんか。なぁ笑って良いか?」
「もー笑え笑え、バカだろ俺。安い手だけどよー」
酒をついでやって。
「でもなあ、相手の親はなあ、帯買ってやった意味とかわかってくれてんだよな」
「えっお前相手の親公認なのか?」
「多分旦那も知ってると思う。息子は知らないとは思うけど。怪しんでるとは思うが」
「相手、息子おるんか…相手いくつよ」
「多分43じゃねえかな」
「お前それ年上すぎね?」
「一回りも離れてねえよ」
「どんな人よ?お前のことだから和の女だろ」
「まぁな、茶の先生だ。普段から着物でな。お花も着付けも教えてる」
「パーフェクトだな、お前の理想のドストライクか」
「だなぁ」
「どうやって落としたんだ?」
夏からの件を大雑把に話す。
「やるなぁ、お前。つーかこっち来てたんなら言えよ」
「なんで楽しい恋人との旅行にお前呼ぶんだよ」
ゲラゲラと笑って酒を飲む。
「俺これから雄琴行くけどお前も一緒に行かんかー?」
「ばばあ抱いてもしょうがねえだろ、おりゃ帰って寝る」
「恋人に操立てか~?はっちゃけちまえよ」
「うるせー」
そして別れて帰宅、そのまま熟睡。
翌朝、軽い二日酔い。
自分の息が酒臭い。
うー…。シャワー浴びよう。
風呂から出て、何かどうせだから見て帰るか、と思い調べる。
京都駅か資料館。昨日から展示をやっていると知り、資料館へ足を運んだ。
釜はみてもよくわからん。
酒器ならわかるだろう。
…一人で来ても楽しくないな。
何してんだろうなぁ俺。
ハラハラと雨が落ちてきて。
ふと見れば初釜に向かわれる方々。
知った顔がありご挨拶。
やはり家元の初釜に行かれる方々は緊張の色が見える。
たしか来週は関東で、だったな。
欠席者があるからと同席するか聞かれたが断る。
この面々に混ざってよいわけない。
その上洋服だし、スラックスとカッターは着てるが上着はコートだからなぁ。
せめてスーツでもっと後の日ならね。
欠席者の身代わりでもぐりこめたかもしれない。
さすがに格好を見て諦められた。
そのままぶらりと北野へ移動。
ぼんやりと境内に居ると沢山の着物の女性。
…月釜今日じゃなかったよな。
どこかの初釜の後かねえ。平日なのに。
この時期はどうしても着物の人が多いな。
得意先の人が散歩をしていて、久々にお話しする。
京都も年末は時化で御節の用意が大変だったそうだ。
やっと仕事も落ち着いて、この時期忙しいのは千家がらみのみとか。
そういえばそうだった、京都は一月半ばまで初釜でややこしかったな。
お茶の世界に身をおいているくせに忘れていた。
冷えてきたので別れて、一旦帰宅する。
ストーブぬくい。
さて。そろそろ東京へ行くか。
逃げてばかりもいられまい、もしか部屋に先生がいればいたでいいじゃないか。
思い定めて戸締りをし、出立。
東京へ。
お昼ごはんに駅弁。帰宅。
部屋は暗く、やはり帰ったようだ。
少しほっとして、鍵を開けて中に入る。
ああ、でも期待してたんだな、先生がいて欲しいと。
苦笑して着替える。ストーブがまだ効いてないにもかかわらずほの温かい。
と言うことはうちに泊まったようだ。
こちらに戻ってる旨メールするとすぐにメールが帰ってきた。
30分ほど前に乗車したらしい。
すれ違いか。
もう一通、家にいて、とメールが来た。
話し合いをいましろと言うのか、八重子先生の仲裁なしで…。
土曜日では駄目なのか書き送れば、早いほうがいいという。
仕方ない、待とう。
40分ほどして先生が戻ってきた。
コーヒーを差し上げる。
「ごめんなさいね、メール、見てくれたかしら」
「どのメールでしょう」
「…身内の」
「先生はご存じないようだから申しあげますが…
 こういう関係にあるものに身内とはあまりにもつれない。
 まだ情人、手掛けのほうがましにすら思えます。私には」
「情人だなんて…思ってないわ。身内くらいに大切、そう思ったの」
「あなたは…身内とセックスするんですか?しないでしょう」
「あ…」
腕を取って引き寄せてキスというか喰らいつく。
そのまま押し倒して胸をまさぐる。
「きゃっ」
「こんなことするヤツのどこが身内ですか」
「あぁっ、やめて、ねぇ」
「それとも、身内のように性的なことは一切ない関係をお望みですか」
「やめてったら!」
っつ、またビンタかよ。
ギリッと奥歯が鳴る。腕を押さえてねめつけると怯えている。
「どうなんですか」
返事がない。
「帰りなさい」
手を離して後ろを向き、そう言った。
ぎゅっと背にしがみつかれて、か細い声で違うの、と言う。
「何が違うと?いやなんでしょうが」
「ごめんなさい、そうじゃないの。驚いたから…叩いちゃってごめんなさい」
すっと息を吸って大きく吐く。
たしかに驚かせたというか、心を乱したのは事実。
「私…山沢さんのことちゃんと恋人としてみてるわ。
 愛人とか、情人とか…そんなこと思っていないわよ」
「だったら…なぜ先日言いよどみました?」
「何か恋人以外に丁度いい言葉がないかしら、と思ったのよ」
ちょっとそれ俺一人が間抜けじゃないか…。
一人で拗ねてただけかいっ。
なんというか、参ったな。
息をつくと先生が前に回って来られ、
そっとキスされて懐に入られた。
「だから…拗ねないで。怖い顔しないで頂戴」
もう一度キス。
欲情してついあちこちを撫でてしまう。
「ねぇ、して」
先生も欲情したのか。って。求められた。
「先生、顔赤い…」
「だって…あなたが見せてって言うから」
可愛い、たまらん。
耳を舐めて胸を揉む。
「でも、ここじゃいやよ」
抱え上げてすぐさまベッドへ。
「脱がせて頂戴」
いそいそと脱がせ、裸にする。
手をあちこちに手や舌を這わす。
つんと起ち上がった乳首や、へそ、乳輪や脇。
もちろん翳りの中をも蹂躙して。
先生の声に煽り煽られ沢山愛した。
抱いて落ち着いて。
「初釜、どうでした」
「良かったわよ…来年はあなたも一緒に行けるといいわね」
「いいんですか?」
「弟子を連れて行くのも先生の勤めよ」
「ぜひお願いします」
「来週、うちの初釜のアシストちゃんとしてね。いつものようにでいいから」
「はい」
「お弁当がねぇ三友居さんのでおいしかったのよ」
「ああ、あそこですか。花びらもちはどこのものでしたか?」
「とらやさんだったわ」
「それは残念、あそこはごぼう1本でしょう?」
「普通一本よ?」
「川端道喜は2本です。まぁ絶対食べにくいですが」
「あら?そうなの?食べたことあるの?」
「一度だけですけど頂きました。まったく持って自分では手に入りませんね。
 面白いのは松屋常盤かな。一度お持ちしましょう。面白いから」
「お正月過ぎたけど大丈夫なのかしら」
「数言えば大丈夫だと思います。多ければ他のお弟子さんにどうぞ」
松風も一緒に頼もう。松風好きなんだ。
ゆっくりと先生の肌を撫でつつ、色々お話をする。
そのうち、先生がもじもじしてきた。
こりっと乳首をつまむといい声。
くにくにと弄って楽しむ。
先生が俺の手をそっと下に導いた。
ああ、よく濡れてる。
また指を入れて中を楽しむと、先生も気持ち良さそうだ。
「久さん」
「はい」
「久さん久さん久さん、好き。好きよ」
ああ、ゾクゾクする。
う、久々に脳内で逝った。
賢者タイム。
自分自身、かなり濡れているのを自覚しつつ、先生を逝かせようとする。
背中を引っかかれてるな。
ちょっと痛い。
先生の言葉にならない喘ぎを聞いて楽しくて仕方がない。
ひときわ大きい声、痙攣。力が入って、そして脱力。
荒い息、いいね。
そのままキスする。
まだ指を抜いてはいない。
少し中でうごめかせる。
キスしているのに呻くのが愛しい。
押しのけたいやらしがみつきたいやら。
口を離して乳首を噛むとまた逝ってしまったようだ。
可愛くて、ニヤニヤしてたら押しのけられた。
え、と思う間もなく慌ててトイレへ。
ああ、コーヒー飲ませたんだっけ。
なんだか笑えてきてしまって、戻ってきた先生に叱られた。
「舐めてあげましょうか」
その一言で顔を赤らめて胸を叩かれる。
「可愛いな、本当に可愛い。ずっと抱いていたくなる」
「今日はもうだめ…疲れちゃったわ」
「はいはい、しょうがありませんね。どうします?泊まるか帰るか」
「うーんお稽古もないし。泊まっちゃおうかしら。いい?」
「じゃ八重子先生に電話しないと。晩御飯とか用意されてるかも」
「あ、そうね。ねえ、手を離してくれない?」
「ここに電話子機ありますよ。どうぞ」
懐に抱いたままかけさせようとする。
「…電話中に触ったりとかしないで頂戴ね、お願いよ」
ばれてた。
おとなしく先生が電話するのを聴いていることにする。
八重子先生の話し声もほんの少し聞こえる。
先生の首筋を舐める。
びくっとして我慢している。
耳たぶを舐めると声が乱れた。
腕をつねられる。
乳首を舐めるとゴンッと頭をグーで叩かれた。
ああ目が笑ってない。
これは怒られるな。
電話が終ってがっちり頭をホールドされた。
「しないでっていったでしょう。なんでするの!」
「うーあなたが可愛いから」
「電話中はやめてっていってるでしょ」
怒っているその口にキスをする。
かり、と舌を噛まれて。
頭を掴む手が緩んだ。
そのまま暫く舌を絡める。
口中を犯すかのように激しく、また、ソフトクリームを舐めるかのように優しく。
唇を離せば怒る気力は途切れたようだ。
「すぐにこうしてごまかすんだから…」
「キス、好きですよね、先生」
「ばか」
「もう一回したいな」
そういってあそこをまさぐる。
たっぷりと濡れていて嬉しくなった。
すぐに気持ち良さそうな顔。
強く抱きしめながら逝かせる。
暴れそうな体を私に押し付けて切羽詰った声を出した。
私に玩具にされている気がする…以前そういってた。
力の差もあるだろう。
いくらこの人が暴れても私には押さえ込める。
沢山玩んでいたぶって暴れても泣いて懇願されてもやめないことも出来る。
それを知ってるからそう思うのかもしれない。
きっちり中で逝かせて己を落ち着かせた。
背中を撫でて、なだめて。
先生が落ち着くまで。
クゥ、と先生のお腹がなった。
なんだそろそろ晩飯の時間じゃないか。
何が食べたい?と聞くとパエリアという。
ああ、あれかあそこのか。
ちょっと待ってて、とチラシを探す。
あったあった。
「どれにします?」
「んー、これがいいわ、これにしましょうよ」
電話で注文して届くまでの間に服を着る。
先生はまだ立てないそうなのでメシが来てから。
財布等用意して、先生の横に座る。
キス。
胸をまさぐり少し煽る。
「またするの?」
「ええ、20分はかかりますからね」
乳首を噛み、股間の感触を楽しむ。
喘ぎ声が気持ちいい。
「この格好で取りに出てもらおうかな、出前」
「やだ、だめ、よして」
中に入れてる指が締め付けられる。
ぎゅうぎゅう締め付けて喘ぐ。やっぱりそういうこと言われるのすきなんじゃないか?
チャイムが鳴ると同時に逝った。
慌てて指を引き抜き、取りに出る。
意外と早かったな。
受け取って食卓にひろげてから手を洗い、先生を連れに寝室へ入った。
あ、少し怒ってる。
私の懐に手を入れて爪を立てて乳をつかまれた。
いててて。
「怒ってる顔も好きだな…」
というとさっと顔に朱が走り横を向かれてしまった。
「さ、食べましょう、立てますか?」
首を横に振る。
浴衣を纏わせ抱えあげて食卓に着かせた。
Mサイズとサラダ、付け合せにいくつかを頼んだ。
パエリア取る時はお玉レンゲを使うとそれなりに取りよい。
食べているときの先生も好きで、ついついにっこりしてしまう。
あと纏わせているだけだから乳や太腿が動作のたびにちらちらして扇情的だ。
気づいたようで胸元の合わせを直し、裾を直されてしまった。
「ね、あんまり見ないで。食べられなくなっちゃうわよ」
可愛い。
「テレビ、つけましょうか?」
気を紛らわせねば更に襲ってしまいそうだ。
テレビを見つつ。
「そういえば家元初釜式、ニュースでやってましたか?」
「ええ、してたわよ。初日は政財界でしょ」
「二日目はお茶の先生方でしたよ」
「あら、どうして知ってるの?」
「資料館に立ち寄ったものですから。向かわれる方々を見れば教授ばかりで」
「何か面白い展示あったの?」
「酒器ですね、でも一人で見ても面白くなかった。あなたと行きたいな」
「じゃあ…今度行きましょ…」
「京都展示巡りの旅、行きたいですね」
2泊か3泊か。
暇な時期に有給でもいいな。
「お稽古は八重子先生に少しお願いして」
「怒られるかしら」
「展覧会メインなら怒られないでしょう、きっと」
「楽しみだわ…楽は行きたいわねえ」
「ああ、楽はいいですね。大西はどうです?」
「見たら欲しくなっちゃうじゃない」
「さすがにいい釜はポンとは買えませんしねえ」
食事が済み、後始末をして手を洗い歯を磨く。
結構脂っこいな。
手を貸して、と言うので先生の腰を支えて洗わせた。

拍手[1回]

h12

翌朝起きて、初夢を問う。
私の夢には茄子と扇が、先生は茄子だったらしい。
いやに頬を染めて言うので詳細を伺えば茄子の使い方は俺と同じだったようだ。
あれだ、以前に変なビデオ見せたからだろう(笑)
さすがに賀茂なすではなかったようだが。
「じゃ…濡れてる?」
と股間の辺りに軽く手を持っていったら泣きそうな顔をされてしまった。
「酷いわ…人を淫乱みたいに…」
いんら…っておい。そこまでは言ってないぞ。
「淫乱って言うのは、そういう夢を見たからしたくなった、して欲しいと。
 皆が居るのなんか構わない、隣の部屋にいてもいいとかなら淫乱ですよね。
 あなたは違うでしょう? 濡れる濡れないは生理的反応ですよ」
となだめて、それは言わずに先に見た夢の方を人には言うといいでしょう、と。
先の夢は家族皆で温泉旅行とか。
「温泉は熱くはなかったですか?」
「ううん、いいお湯だったわよ?どうして?」
「熱い湯だと健康状態に注意のサインだったかな、と」
「あらそうなの?山沢さんと二人で露天風呂にも入った夢だったわよ」
何度か入ったからなあ。
「さて、そろそろ起きますか」
「そうねえ…もうちょっとだけ」
寒いから布団から出たくないだけなのか、俺の懐にいたいのかどっちだろう。
触って煽ると後で怒られるしなあ。
「ねぇ先生。夢の通りにしていいですか? うち来た時」
「怒るわよ」
やっぱりそうだよな。
「はいはい、わかってますよ」
「わかってるなら言わないの。恥ずかしいんだから」
「というか恥ずかしがってるのが可愛いんですよねー」
「馬鹿…」
「早くあなたを抱きたいな。こうやって懐に、というのもいいけれど」
あ、顔埋めちゃった。
相変わらず恥ずかしがり屋で可愛いなあ。
ピピッと5時半のアラームがなる。
あきらめて起きて身づくろいをすることに。
さっさと用意して台所へ。
雑煮の支度やお重への詰め直しなどをして食卓に出す。
律君たちも起きてきて雑煮と御節をつつく。
食事もひと段落して洗い物を済ませるとそろそろお年始に。
黒紋付に着替えて先生のお供をする。
うん、先生、綺麗だなぁ。
先生の先生に当たる方のお宅やご親戚、ご近所のお茶仲間さんのおうちなど。
すっかり昼になって帰途に。
先生のお宅に戻ると司ちゃんが来ていた。
おお、振袖姿だ、可愛い。というか綺麗かな。晶ちゃんは可愛い感じになるが。
司ちゃんにもお年賀を。
「あーおなかすいたわ~」
「ですねー、さっさと着替えましょう」
先生を脱がせ、小物を片付ける。
それから俺。
袴の紐を解いて、袴を取る。
それを先生が畳んでくれている間に帯を外す。
司ちゃんが変な顔で見ている。
先生が甲斐甲斐しいのに違和感を覚えているのか?
礼装用の長襦袢を脱いで普段の長襦袢に袖を通す。
脱いだものを先に片付けよう。
「早く着なさい、風邪引くわよ」
と先生に止められてウールの着物をざっくり着る。
先生にちょいと手直しをされて。
お昼ごはんお昼ご飯♪
「いらっしゃい、遅かったね」
「忘れ物しちゃったのよ~司だけ先に来させたんだけど。あけましておめでとう」
「あら斐姉さん、あけましておめでとう」
「明けましておめでとうございます、斐さん」
「山沢さんだったかしら?明けましておめでとうございます」
「兄さんたちは?」
「そろそろ来るんじゃないかしら」
「先食べちゃいましょうか?」
台所へ行ってお重とお雑煮の支度をお手伝い。
ああ腹減った。
玄関で声がする。皆そろったのかな。
食卓にお重とオードブルを出して、お雑煮も出して行く。
ぎょっとしてるのは洸さんだな。
「母さん、お客さんなんじゃないの?律にでもやらせたら?」
「あの子はいいんだよ」
「八重子先生、孝弘さんは?」
「部屋で食べるって、律に渡してくれるかい?」
「はーい、律君、これよろしく」
最後に自分の雑煮を用意して食卓につく。
環さんの横か、まぁいいけど。
私の雑煮に変な顔を。まぁこれは仕方ない。
味噌漬けはそれなりに人気である。
「やっぱり母さんの雑煮がうまいなぁ」
あぁ、そうだよなぁ。嫁さんのとやっぱりどこか違うんだろうな。
嫁実家と折衷したりするし。
私は先生の作る雑煮と自分の作る雑煮と両方いただいてるが。
先生はうちのはもう食べたくなさそうだったしな。
箱根駅伝を見つつ、先生の末っ子振りを楽しむ。
やっぱり末っ子で甘やかされてるんだなぁ。
本人たちにそのつもりはなくとも。
御節をいただいて暫く団欒の後、皆さん帰られた。
司ちゃんと晶ちゃん、律君が残って部屋で騒いでるようだ。
絹先生が書初めしようと言うので用意を手伝う。
山沢さんも、と言われて。さあ困った。下手なんだよなあ。
初春、と書いた。
先生に書道を習いなさい、と言われてしまった。
人に教えるようになれば字を書かねばならないことが増えるからと。
「通信教育とかじゃだめですかねえ…」
「いいんじゃない?うちにきたときにすればいいわよ」
どこか探すか。
「先生は段位とかお持ちじゃないんですか?」
「初段くらいなら持ってるわよ。学校でとったもの」
「先生に教えていただくことはだめですか?」
「無理よ」
ばっさり断られてしまった。
「だって律君も字が上手じゃないですか。先生が教えられたんでしょ?」
「教えてないわよ」
ええ~。
「だって身内になんて甘くなって勉強にならないもの」
「そうだねえ、絹にお茶を教えるのも結構大変だったねえ」
あ、八重子先生。
「私の教えてもらった頃は先生は物差片手に持ってねえ、怖かったものだよ」
「今それやると生徒さんいなくなりそうですよね…」
「山沢さんなら耐えれるんじゃない?ふふ」
「え、いや、ちょっと遠慮します」
「今年からはビシバシといこうかしら」
「これからは先生の資格取るんだからねえ、そうしたほうがいいかもね」
うひー、怖いなぁ。
八重子先生もさらっと書かれる。草書か。読めん。
和顔愛語、と書いたらしい。
もう一枚、半紙に寿と書いてみた。
「あら、これはそれなりにいいわね」
「永、と書いてごらんよ」
書いて見る。
「うーん、別段悪くはないねえ…なのになんでああも下手なのかねえ」
なんででしょうね。
あれやこれや書かされる。
払いがだめだとか、横棒がまっすぐじゃないとか。
一文字一文字はまだ見れるが二文字になるとバランスが悪いとか。
先生が上から握りこんで、払いを。あ、こういう感じなのか。
「力、入りすぎなのよ。いつもそうだけど力任せじゃだめよ?」
「ああ、力があるとそれに頼りがちになります。柔らかいものも強く握ってしまったり」
先生の手に更に左手で触れた。先生がビクッとする。
ゴンッと拳骨が頭に落ちた。
八重子先生だ。
痛くはないけどね。
交代して八重子先生が私の手を握りこんで草書でなにやら書かれる。
何か面白い感覚。
まったく読めないが。磨穿鉄硯と書いたそうだ。
意味は?と聞くと鉄の硯に穴が開くほどの努力とか。
つまり俺に努力しろと言うことですね、どれとは言わないが。
ひとしきり色々書いて片付ける。
先生の手に墨がついている。私も付いてた。
一緒に洗いに立った。
「先生、手、また荒れましたね」
「どうしても水仕事するから…山沢さんはざらついてるけど切れなくていいわね」
「仕事柄脂っ気があるんですよね。だから切れにくいんです」
そっと手を取りひび割れたところを舐める。
「だめよ。ほら、手を洗って」
「はい」
手を洗ってついてないか確かめる。先生もついてないか確かめて。
拭いて、先生の頬に手をやりキスした。
頭を撫でられてもう少しだから我慢するように言われ、居間に戻る。
お酒を飲みつつ、つまみを食べつつ更け行く。
夜ご飯に御節。そろそろ先生も飽きてきたようだ。
作るほうはそうなるよね。
俺は美味しくて手が止まらないけれど。
なますと叩きごぼうはすでになく、田作りもなくなってしまった。
今晩は空いたスペースにりゅうひを詰めた。
鯛りゅうひと平目りゅうひ。
律君や司ちゃん、晶ちゃんは初めて食べるようで恐る恐る食べている。
先生方は一度懐石で食べたことがあるそうだ。
なるほど出てきそうな気がする。
飲んで食べて。
先生と律君が同時にあくび。
気が緩んでるね、みんな。
司ちゃんも晶ちゃんもお泊り。同じ部屋でと言うことだ。
皆が部屋に引けたので戸締りや火の用心をして先生とゆったりと飲む。
足を崩して私にもたれかかってお正月番組を見ながら飲んでる。
可愛い。
もう膝の上に乗せたい。
見ている番組が終ったので部屋に連れ帰る。
布団に入れて抱きしめているとあっという間に先生は寝てしまって、参った。
沢山人が来ていてそれが兄姉であってもきっと気疲れするのだろう。
仕方なく先生の体臭を楽しむ。ちょっと酒臭い。
そのまま寝てしまった。
今日は朝までぐっすりと。俺もどうやら気疲れしていたようだ。
朝御飯の支度に台所へ。
「あら、お母さんどうしよう」
「どうしたの?」
「お餅が足りないわ…」
「…もしかして山沢さんの分足して頼むの忘れた?」
「あら?…そうかも」
「丸餅まだ余裕ありますが何個足らんのですか?」
「三つかしら。ある?」
「あります。誰を丸餅にします?」
「んー私とお母さんと山沢さんでいいでしょ、ねえお母さん」
「はいはい、それでいいよ」
今日で仕舞い、とばかりにお重に詰めて出す。
今晩は何か肉を食べるとか。
じゃ明日の昼はなに食べに行こうかな。
先生が食いたいものを食いにいこう。
律君達は食事後遊びに行ってしまった。
さて俺もそろそろお暇を。
「もう帰っちゃうの?」
「ええ、大掃除ちょっと残ってますし、洗濯とかしとかないといけませんし」
「あらぁしてあげるのに」
「いや、いいです。自分でやりますよ。それより明日。お待ちしてます」
「…ええ」
顔を赤らめていて可愛らしい。
では、と別れて帰宅。
自宅は寒々しく、そして散らかっている。
落ちてる洗濯物を拾って洗濯籠へ。
シーツも洗って掃除機をかけて台所を片付けて。
洗濯機からシーツを出して干して。
籠の洗濯物を洗濯機へ。乾燥までやってしまえ!
先生が触れなかった納戸を片付ける。
使う予定のものを前のほうへ。
使わないものは奥のほうへ。
アブノーマル系グッズは使わないから。
んー痕の残らない手縄だけは出しておこうか。可愛いファーのついてるやつ。
手錠とか革のカフスよりはされる側にとって負担は少ない…のかどうかは知らんが。
ニップルリングはいくつか18金とサージカルステンレスのものを入手した。
どれを気に入ってもらえるだろう。
夜、冷蔵庫をあさる。
うーん。何もないなあ。
買出しに行くか、とりあえず明日の朝の分も必要だ。
コンビニでいいか。
お弁当と朝のパンを買って戻る。
暫く先生の料理に慣れた口ではコンビニ弁当のまずさがわかる。
苦笑して久々の自宅、一人寝。
ちょっと寂しいが明日への期待。
おやすみなさい。
朝、起きて隣に先生がいないことを不思議に思う。
たった数日、一緒に寝ていたからってそう思うとは。
とりあえず腹減った!とばかりにパンを食べてコーヒー入れてゆったりと。
昼前かなぁ、先生来るの。
テレビを見ながらゆっくりと年賀状の仕分け。
うーむ、出してないところはなさそうだな。
友人から数枚。
9時半すぎ。
チャイムが鳴る。
出てみると先生だ、早っ。
「いらっしゃい。早かったですね」
「律も早くに遊びに行ったから…出てきちゃったわ」
鍵を閉めて、すぐキス。
「待ってた…こうできるのを」
先生が私の懐に入り込む。
抱き寄せてそのまま持ち上げて部屋まで連れて行く。
「あ、待って、まだ草履…」
「えぇ?脱いでなかった? も、いいです、ベッドの上で脱いで」
ベッドの上に降ろして草履を脱がせる。
玄関まで持って行って、手を洗って戻るとすでに長襦袢姿。
「先生、綺麗…というか色っぽい」
今すぐ襲いたい。
先生は頬を染めて長襦袢を脱いだ。
よし、もういいだろう。
肌襦袢のままベッドに押し倒す。
先生の息が荒い。
荒々しく胸をまさぐり股間に手をやった。
「…溢れてる。期待してたんですか?」
バチッ!と俺の頬がなった。
え、あ、ビンタ食らったのか。
「すいません、恥ずかしかったですね。ごめんなさい」
拗ねたような顔つき。
「ねえ、こっちむいて下さいよ」
「いや」
「キスしたい。ダメですか?」
そっとこっちを向いてもらえた。
ディープキスをしていると、トンと胸を押される。
離れると肌襦袢と湯文字を脱がれた。
私も着ていたものを脱ぎ捨てる。
勢いを出来るだけ抑えて首筋に、鎖骨に、デコルテ、乳房、乳首、お腹、へそ。
手を這わせ舌を這わせる。
先生の荒い息に釣り込まれる。
微かな喘ぎ声に興奮して荒々しくなりそうな手を頬の痛みを思い出して我慢をする。
先生の求めているのは荒々しくされることではない。
優しく愛されること、だ。頑張れ俺!
太腿をなでて、ふくらはぎを舐める。すべすべして白くて。
翳りの内が光っている。本当に溢れていて、淫靡で。
舐めたくなって、舐めてしまった。
むんず、と私の髪を握る。
舐めないで、と声が聞こえるが無理。
喘ぎ声が大きくなってきた。
太腿が締め付ける。
しばらくして脱力、逝ったようだ。
キスするといやいやをする。
舐めた口でキスされるのはいや、という。
少し落ち着いたようなので中に指を入れて探ってゆく。
うん、いい声だ。
「俺のこと、好き?」
耳元で聞く。
「あぁっすき、すきよ。あぅ、や、そこ、だめ」
可愛いなあ、可愛い。
年上だけど可愛い。
4回ほど指で逝かせた頃、空腹を感じた。
時計を見れば12時前。なるほどもうこんな時間か。早いな。
二人とも汗だくだ。
「シャワー、浴びません?」
「え、あ、そうね…」
「お昼なに食べたいでしょう?そろそろ腹減ってますよね?」
「今考えられないわ…」
まぁ余韻のさなかだもんなあ。
抱えて風呂場に連れて行く。
シャワーで汗をざっと流しソープを泡立て満遍なく泡だらけにする。
乳房や股間では喘ぎ声を楽しむ。
「あなたも洗ってあげる」
と言うので任せて見たところ同じように私の乳房や股間に指を這わせてきた。
「そこまでにしないとだめですよ」
ちょっと不満そう。
「先生、お仕置きされるの好きですか?」
「……ずるいわ、そうやって封じるなんて」
ずるくて結構。
「してほしいんじゃないですか、実は。だから私を煽るんでしょう?」
「ち、違うわよ、私はただ…」
「はいはい、私を触りたいだけって言うんでしょう。わかってますって」
ほっとしたようだ。
泡を流して風呂から出る。
「さて、なにが食べたいでしょう」
「そうねえ、お肉は昨日の夜いただいたから…
 ねえ、いつものお鮨屋さん、今日は開いてるの?」
「5日か6日からだと思いますが一応聞きましょうか」
電話してみる。おやっさんが出た。
やってるか聞くと今日は予約のみだとか。
二人無理か?と問えば俺が魚あまりいらないから何とかなるとの事。
30分後と頼んで支度をする。
着物を着て羽織を整えた。
先生も着物を着なおして美しい。
手を握ってぶらぶらと歩いて向かう。
お正月だなあ。
静かで。
ついてゆったりとお鮨をいただく。
美味しそうに食べるなあ。
おやっさんもついニコニコとしている。
良い食べっぷりにおまけ、とエビ出してきた。
さっきまで生簀に泳いでたやつだな。
天然活車海老…よく生きてたなぁ。
温度管理とか結構大変だからな。すぐ死ぬんだ。
満腹になってお茶をいただいて支払って出る。
天気もまあまあ良くて、暖かい。
手を軽く握って歩む。
外だとこれ以上は難しい。
不倫ってやだなあ。
とは思うが先生と別れるなんて思いたくもなく。
自宅なら好きに出来るから我慢するさ。
うちにもどってお茶を入れた。
先生が年賀状をちらっとみて、お仕事の?と聞かれた。
「友人からも数枚来ましたね」
「見ていい?」
どうぞ、と見せる。
女性からの年賀状を読んで私の腕をつねる。
どうした、なにか嫉妬するようなこと書いてあったかな。
ああ、また泊まりにおいでって書いてある。
くすくす笑って、これは小学校の頃の友人、と教えてあげた。
小さい頃は泊まったり泊まらせたりとか、そういうのはよくある話だったから。
「可愛いな。そんなことで嫉妬してくれるんだ?」
「だって…」
「私があなたを好きで仕方ないの、わかってるでしょう?」
「でも…離れていきそうで怖いわ」
「うーん、なんでそう思っちゃうんでしょうね…」
「わからないけど…」
「けど?なんですか?私があなたを求めてるの、もっと体に覚えこまそうかな」
「ちょっと、だめよ、押し倒さないで!」
ずいっと近寄ったら慌てて面白い(笑)
「はいはい、たまにはあなたから求めて欲しいですね」
あ、真っ赤になった。
「で、できるわけないじゃない、恥ずかしいわよ」
ふふっと笑っていざなう。
「ベッド行きましょう。おいで」
「…はい」
ベッドルームに連れ込んで脱がせる。
恥ずかしそうで、凄く嬉しくなる。
すべてを脱がせた。
私がまだ脱いでないのをなじられる。
ずるい、らしい。
自分だけ恥ずかしいのはずるい?
可愛くてキスしてしまう。
「ごまかさないでよ…」
「ごまかしてなんかいませんよ、あなたが可愛くて」
恥ずかしいのか、先生の体が温かい。
先生に帯を解かれた。
その手をとどめて、紐類を中から抜いて纏めて脱ぐ。
さらしも解いて。
「これでいいですか?」
「だめ、これも」
と下帯をはずされる。しょうがないな。
二人とも一糸纏わぬ姿でベッドに入った。
うつぶせにさせて、背中を舐める。
くすぐったい、と笑っていたけれど腰の辺りまで来るとびくっとしたりする。
お尻を撫でつつ双丘のあわいを舐めると息が荒くなってきた。
つうっと下ろしてお尻の穴を舐めるとそこはだめ、と言う。
「耐えれない?」
「そんなに…どうしてもしたい、の?」
「どうしても、といったらどうします?」
「出来ないなら別れる、なんていうなら…困るけどしてもいいわ」
「ほんっとあなた可愛いな。言いませんよ、そんなこと。
 わかりました、こっちだけにしましょう」
そういって濡れそぼつ中に指を入れる。
もうたっぷりと濡れていて、嬉しくなってしまう。
「後ろからはいや、ねえ、お願い」
「わがままだなぁ」
「あの…だめ?」
うおぅ、もうすっごく甘やかしたくなる。
指を抜いてひっくり返す。
キスをされて、先生からディープキス。
その状態で突起をなぶり、中をなぶると舌の動きが止まる。
口が離れて喘ぎ声。
ぎゅっと腕を握り締められて、こりゃ痕がつくかもしれないな。
沢山泣かせてもう無理、の声を聞くまで楽しんだ。
「足、攣りそう…」
「運動不足かな、毎日してたらもう少し長くできるかもしれませんね」
「馬鹿…まだ足りないの?」
「足りてるように見えます?」
「見えないわね、まだしたいって書いてるわ」
「まぁ今日中に回復するようならその時、明日になってからでもいいですけどね」
「壊れちゃうわ」
「壊さないように今やめたんですが」
「うん…そうなんだけど…」
「それとも狂うほどにされたい?」
あ、怖くなっちっゃたようだ。身を縮めて顔を俺の胸につけてしまった。
「ねえ本当は山沢さんって…酷いことするの、好きなのよね?」
「うん?どうしました?」
「私、出来ないから。嫌いになったりしないかしら、と思ったのよ」
「ああ、そういうことか。勿論したいですけどね、でも嫌いになるとかないです。
 させてくれれば確かにこの飢えはおさまるかも知れませんが。
 …そっちの意味で泣かせたいとは思ってませんよ。大概酷い自覚はありますし」
胸をもまれた。おい。
「こういうこと、したら酷い目に合わされるのよね?」
「そうですね。あわせちゃいますね。だからやめてくださいね」
「ずるいわ…本当にずるいんだから」
「酷い目に遇う度胸はありますか? ないでしょう?」
「ある、って言ったらどうするの?」
「抱かれてあげますよ。そのかわり凄く酷いことをしますけれど」
「それじゃできないじゃないの…」
「おとなしく抱かれててくださいよ」
「おとなしく抱かれてあげるわ」
よしよし、となでているとすぐ寝息。ありゃ。晩飯はどうするんだ。
髪をなでる。
可愛いよなあ。
うつらうつらしながら様子を伺う。良く寝ている。
もうこりゃ晩飯は食いそうにないな。
布団から出てコンビニへ。とりあえずはデニッシュパンを買うか。
玉子とベーコンかハムも買っておこう。
日持ちするからなあ。
戻ると先生が部屋から出ていて、すぐに抱きつかれた。
ちょ、裸、ドア開けるなりは見えるから、外に。
慌てて鍵をかける。
「どうしたんですか、いったい」
「だって起きたらいなくて…どこ行ってたの」
「コンビニ。あなたが良く寝てたから…腹減っちゃいまして」
「いなくならないで」
「といわれましても冷蔵庫何も入ってないんで」
「そうじゃなくて…行くなら起こして一声かけて。お願いだから」
「え、あ、はぁ…わかりました。腹減ってます?」
「……もうっ!」
あれ、なんで怒ってるの?
わけがわからん。
ま、いいや。抱き上げて食卓の前に座らせる。
机に袋を置いた。
「食べます?」
きゅっとつねられた。
「もう、なんなんですか。そんな顔して。なに拗ねてるんです?」
「わかってるくせにっ」
「わからないな、言ってくださいよ」
「言わないっ」
「言わなきゃわかりませんよ」
「なんでわかってくれないの?」
「夫婦は他人の始まり、といいますよね。俺達、夫婦ですらありませんよね。
 ちゃんと言って下さらなきゃわからない事だってあるんです。どうしたんですか?」
「他人だなんて…」
「ああもう、そんなところにひっかからんでください。ほら、泣かないで」
なんで泣くんだよ…。
そう泣かれたら俺も悲しくなるじゃないか。
参ったな。
暫く懐で泣かせて、背中を撫でる。
ああ、ぐしょぐしょだな、胸。
洗濯に出さなきゃいかんなぁこれは。
暫くして落ち着いたようだ。
「ごめんなさい…」
くぅきゅるる~。
腹が返事してしまった。
少し先生が笑って、和む。
「あのね、起きてあなたがいなくて。置いて出て行ったんじゃないかしら、
 わがままをたくさん言ったから嫌いになっちゃったんじゃない?
 他の女の人のところに行ったんじゃないかしら、なんて思ったの」
「ちょっと俺、信用なさ過ぎですね。それは」
「なのに帰ってきたあなた、ご飯のことしか言わないんだもの。腹が立っちゃったのよ」
「腹減って一時間ほどたってましたからねえ」
「本当にお腹すいてたのね。もうこの時間じゃどこもあいてないかしら?」
「まだ9時前ですよ。着替えて9時過ぎでしょう。余裕ですよ」
「じゃ、行きましょう。着替えてくるわ」
俺も着替えないとな、この格好では。幸いネルシャツだったからいいけど。
脱いで洗濯籠に投げ込んで着物を着る。
先生が着替えている間に電話をした。
よし、空いてる。時間もラストオーダーに1時間半もある。
先生がささっと化粧をして戻ってきた。
「綺麗だ…」
「あら…嬉しいわ、行きましょ」
タクシーを止めて先生とともにホテルへ行く。
席に着いてメニューを見る。コースはまだ頼めるかと聞くといけそうだ。
どうしますか、と聞くとそれでいいという。
一番いいコースを頼んで、シャンパンを頼む。
「こんな時間からしっかり食べるのもどうかとは思いますが…」
「だってお腹すいてるんでしょ?」
「ええ、まあ。先生はどうなんです?」
「すいてるわよ」
「ならいいか。結構に夜景見えますね」
「そうねえ。ロマンチックね」
前菜が来て、スープと続きコースがすすんで行く。
先生は魚、私に肉をメインにしてもらった。
うまいなぁ。
デザートまで美味しく頂き、エスプレッソを飲む。
「この後どうします?バーにでも行きますか?」
「ううん、久さんの家がいいわ」
「あ…はい、そうしましょう」
支払いを済ませタクシーで戻る。ずっと手を握られていた。
うちへ入って鍵をかけて。
先生が寝巻きに着替えた。
パンを台所に持って行ったり、ブランデーを出して氷を出して飲む用意をする。
それから俺も着替えて。横に座ると先生がしなだれかかる。
情人、か。
まったく。捨てられるんじゃないかって思ってるのは俺のほうなのにな。
脱がずに寝巻きだから今晩はもうする気はないようだ。
「今日はもう…できないわ、疲れちゃった」
「へぇ…俺の飢えを埋めてくれる気はない?」
「え、あの、…だめ、むりよ」
くいっと引き寄せて、先生のドキドキして怖がるのを楽しむ。
身を縮めているのが大変に愛らしくて本当に辛そうで。
くすくす笑っていると意地悪となじられる。
「酷いこと、したくなっちゃうな。あなたが可愛すぎて」
「やだ、怖いこといわないで…」
少し飲んで。
「絹、愛してる」
そっと耳元で囁く。
先生が酷く赤面していてかわいくて。
「好きだよ。あなた以外欲しくない」
「か、からかわないで…」
「からかっているように見える?」
あごに手を掛けこちらを向かせ、目を合わせて、問う。
目を伏せた。
「ちゃんと俺を見て」
そぅっとこちらをみた。
「あなたのすべてが欲しい。くれますか」
「……お尻はいや」
っておいっ!
がくーっと来ちゃったぜ。思わず笑ってしまった。
「せんせ、そこはとりあえずハイって言って下さいよ、も~(笑)」
「だってお尻、怖いもの」
はいはい、ブランデー飲んで寝ましょ寝ましょ。
口移しに飲ませて、酔わせて部屋に連れ込む。
ベッドに入れて抱きしめて。
「寝てあげましょう。それがいいんでしょう?おやすみなさい」
ぴったりと俺にくっついて、恐々としている。
「早く寝ないと知りませんよ」
「そんなこと言われたって」
「いっそ一度されてしまいますか?そのほうが脱力できるでしょう。
 ほら。随分と体に力が入ってる」
触れれば息を詰める。
泣きそうな顔をしていて。
ああ、また泣かしてしまうのか。
ふぅっと息をついて。
「ちょっと頭冷やしましょう。シャワー入ってきます。寝るなら先に寝てもいいです」
ベッドから出ようとすると袖を掴まれて。
行かないで、と言うので先生を布団に入れて寝かしつける。
なんで今日はこんなに情緒不安定なのだろう。
激しいこともこれではできない。
参ったなぁ。本当に。
怖がらせ、過ぎたか。
ああやっと寝息になった。俺も寝よう。

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