忍者ブログ
百鬼夜行抄 二次創作

let

伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

h38

昼食後は八重子先生がお出かけされて、先生と茶室の手入れをした。
「あ、そうだ。乾燥機、買いません?」
「なぁに、突然」
「噴煙。大体高度3000で隣県に行くんですが今回8000でしょう。来る可能性ありますよ」
「えぇ? その間に山あるのに来るかしら」
「取敢えず3000の時点で山梨に降灰予報が出てましたよ」
「うーん…」
「買うなら来る前じゃないと品薄になります」
「でも高いでしょ」
「出します」
「うちのなのにそんなわけにいかないわ」
「俺のも洗ってもらってるんだからいいんです」
先生は諦めたようだ。
「洗濯機の上に置くの?」
「そうですね、そうしようと思います」
掃除を終えて洗濯機回りの確認。
「なにか希望あります?」
「わからないから任せるわ」
よし、決めた。
東京ガスに連絡し、見積に来てもらうよう言えば明日昼から来れるという。
2時に予約。
「先生、2時から取り付けできるか見に来てくれるそうで。俺も明日昼から来ますから」
「わかったわ、私、お稽古してるけど良いの?」
「ん、先生方のどちらかお呼びすることはあるかもしれません」
「はーい」
それから二人で買物に出て夕飯の支度を始める。
夕方帰宅された八重子先生にも話を通した。
「えぇ? いるかねぇ?」
「降らないとしてもですね、梅雨時とかお二方とも風邪だとかの時良いですよ」
「うーん、でも高いんだろ?」
「ドラム式ほどじゃありません、大丈夫です」
「あんたがどうしてもって言うなら、まぁいいよ」
お許しが出てほっとする。
勝手に付けるわけにはいかないからなぁ。
夕飯を皆で食べてそれから帰宅した。
一応着信履歴を見る。連絡はない。
どこへ行ったんだかなぁ、開さんは。
しかし今回は先生も俺もアレが同じ日というのもあってしなかったが…。
暫くはしたがらないだろうし大丈夫かな、俺。
風呂に入って取敢えずビールを飲んで、そして寝た。
翌日仕事を終え先生のお宅へ向かう。
いつもよりはゆっくりでは有るが。
既に生徒さんも着てお稽古が進んでるようだ。
暫くして業者が来た。
応対し、簡単につくとのことであとは工事契約書にサインが必要。
どちらかお手すきかな?と水屋を伺う。
先生が手が空いたところで、説明してサインをいただいた。
工事は水曜10時からと決定して業者が帰る。
さて、そんじゃ俺も帰るとするか。
暇を告げて帰宅する。
晩飯はどうしようか…途中でうまそうな匂いに引き寄せられ、つい焼肉に手を出した。
先生と一緒じゃ滅多には食えないというのもある。
たまに脂っこいもの食べたいからね。
しっかり食って帰り、早めに寝た。
翌日、鯨が入荷し、皆がうまいと言うので先生のお宅へも持っていくことにした。
台所にいた八重子先生に渡すと微妙な顔。
「刺身でどうぞ」
水屋の用意も整い、生徒さんも来られたのでお稽古をする。
先生は心配事があるのに、それを毛ほども見せず、凄い。
見習いたいものだ。
俺へのお稽古も済ませ、夕飯。
鯨、と聞いてみんな恐る恐る手を出した。
「あ、意外とおいしいね」
「堅くないねぇ」
「給食のイメージしかなかったわ」
そんなこんなで全部なくなり、洗い物を終え居間に戻った。
先生は少し溜息をつきつつ俺にもたれてくる。
…色っぽい。
いや、つけこんではいかん。
孝弘さんは通常通りだがこの人は何があっても普段どおりの気がするからなぁ。
今日も先生はしたくなさそうで俺は諦めて寝かしつけた。
しょうがないよね。
朝、してないけど起きられないのはきっと寝付けなかったからだろう。
やはり朝飯を俺が作って先生を起こす。
「…要らない。もうちょっと寝かせて」
「はい。お腹空いたら言ってくださいね」
「うん」
二度寝する先生の頭を撫でて、食卓に着く。
律君もあちこち声を掛けて探しているそうだ。
早く見つかれば良いのに。
10時になり、工事の人が来た。
手早く作業されてガス漏れなども確認しての動作チェック。
OK。問題なし。
昼には先生が起きてきて、スパゲティを食べる。
カレースパゲティ。
俺が前に作ったのがおいしかったとかで。
冷凍庫に有ったカレーで作られた。
あー…ポークカレーだ。
お二方とも家事も何もする気が起きないらしいので出来る事はやってあげた。
台所をしていると背中にもたれてくる。
ドキッとしたが触りに来たわけではないようだ。
開さんが心配すぎて誰かにくっついていたい、そんなところだろう。
あ、そうだ。
台所を片付け終え、先生に乾燥機の使い方を教えた。
「台風来ますしそれまでに一度使ってみると良いですよ」
カレンダーを見て顔を曇らせた。
「あなたねえ、今日仏滅じゃないの。なんでこんな日に設置するの」
「ああ、今日は成ですから。良い日なんです」
見合いや婚礼、新規事業、開店。種まきから普請造作、引越に良い日で、更に結納大吉。
揉め事をするにはよくない日ではあるが。
「成?」
「ほら、ここにかいてあるでしょう」
日めくりカレンダーの小さく書いてある字を示す。
「次の日曜なんて友引に建ですからいい日ですよね。土いじりと蔵開き以外には」
「そうなの?」
「建は大吉です。あれ? 暦注って見ません? 神宮暦とか」
「年末に売ってるのよね? おばあちゃんがどこかに仕舞ってた様な気がするけど」
「気にする人はそれを見て予定立てたりしますよ」
「そんなの気にしてたら生活できないわよ」
「でしょうねえ」
あはは、と笑って明日か日曜に使ってみることを勧めた。
それから先生と買物に出て夕飯の買物を済ます。
「暑いわねえ」
「残暑ですね」
「衣更えしたのにまた単衣着てるのよ、襦袢」
あ、本当だ。
抱いてないから気づかなかったけど、振りから覗いてる。
色々買って帰って、先生と下拵えをする。
気づいてないようだけど、溜息多い。
ちょっと辛気だな。
先生を居間に帰して俺が作ることにした。
今日は律君遅いのかな。
そろそろ食事が出来そうなんだけど帰ってこない。
「先食べたらどうです?」
「ん、そうねぇ。どうしたのかしら」
「友達と騒いだりしてるんじゃないですか。携帯持ってないから連絡が遅れてるとか」
「あの子も携帯持ったら良いのにねぇ」
怖がりだからなー。
食事を終え、俺は帰宅して就寝。
翌朝仕事中に電話。
律君が帰ってこなかった?
まさかの外泊?
今日は様子を見るけどと心配そうだ。
仕事のあとお稽古に向かう。
お宅へ着き、先生方が食事をしているのを見れば食が進んでない。
二人ともじゃ流石に、ということだろう。
それでも先生は気丈にもお稽古のときだけは気を張ってにこやかにされる。
終った途端溜息だけど。
水屋を片付けていると俺の背に頭を寄せて、ごめんね、と言う。
「どうしたの?」
「溜息ばかりついちゃって。嫌でしょ…」
手を拭いて懐に入れた。
「身内が二人して、なんて溜息出るの当たり前でしょう。早く帰ってくると良いんだけど」
「うん…律、どこ行ってるのかしら…」
「ほら、まだ一日だけだから友達の家とか、女の子と一緒とか」
「だったらいいんだけど…」
「司ちゃん、聞いてみました? 彼女なら行動をともにしてませんかね」
「あ、そうよね、電話してみるわ」
ぐいっと胸を押して俺から離れ、電話しだす。
晶ちゃんにも。
今のところ心当たりは無いようでがっくりと肩を落として俺の膝に来た。
「調べるって言ってくれたけど」
「俺もちょっと探しはしますが接点が少ないからなあ」
八重子先生が食事と呼びに来て取敢えず食卓へ。
孝弘さんにも先生が相談。
表情からすると今回はかかわってなさそうな…気がする。
食事を終えて帰るとき、先生が寂しそうだ。
「明日、また来ます。明後日も来ても良いですよ」
「来てくれるの?」
「ええ。寂しいのなら」
「本当は帰したくないわ。でもあなたお仕事だものね…」
「こればっかりは勝手休み出来ませんからね」
引き寄せて撫でて。暫くして離れ、別れた。
帰宅して就寝。
木曜も暇で。早めに先生のお宅へ。
「こんにちは。先生…ちゃんと食べないといけませんよ」
「あ、いらっしゃい。胃にもたれちゃうのよね」
おもやつれして可哀想だ。
それでもお稽古となると背筋がぴんと伸びて気配も朗らかになる。
無理してるの知ってるだけにサポートをしっかりして差し上げ、遅滞なく終った。
「明日も来ますね、お手伝いさせてください」
「いいの? 疲れない?」
「大丈夫。俺が強いの知ってるでしょう」
軽くキスだけして帰宅した。
さてさて金曜、いつもなら仕事の後は昼寝をしているが今日は特別に。
ブリと小ヨコを持って先生のお宅へ着いた。
「ん? 山沢さん? どうしたの」
八重子先生に驚かれた。
「や、お疲れみたいですからお手伝いにと」
「ああ。ありがとうねえ」
「台所に魚置いてあるんで夕飯にでもどうぞ」
水屋を用意してお茶室をざっと雑巾がけし、生徒さんを待つ。
生徒さんが来ると食事と小用を済ませた先生が戻ってきてお稽古開始。
上の方の水屋の準備は結構大変だ。
間違えないように気をつけつつ、稽古を眺める。
難しい点前をあまり間違えずにされていて修練の差かな。
皆さん帰られた後、先生が俺にもたれてきた。
「疲れたわ…」
だろうなぁ。
「水屋、やっときますから居間でくつろいで来たらどうですか」
「邪魔かしら?」
「そうじゃなくて」
ちょっと慌てたら八重子先生が絹ー、と呼んでる。
はーい、と先生が居間へ行った。
水屋を仕舞いにかかり、片付けていく。
騒がしいがどうしたのだろう。
片付け終わって居間に顔出すと律君がぼろぼろになって帰ってきてた。
先生がしがみついてるが…。
「先生、律君風呂に入れたほうが良いかと。怪我の治療しませんと」
「あ、そうよね。そうよね、お風呂、一人で入れる?」
「うん、大丈夫」
「手伝ってあげるから、ほら」
「いいよ、一人で入るって」
「あ。いや私と入ろう。傷口かなり洗う必要あるから」
「えぇー」
嫌がりはしたものの強制的に一緒に入る。
傷を洗ってると声にならない悲鳴を上げているがこればっかりは仕方ない。
全身くまなく触れてみる。
先生が心配そうにしているが打撲と擦り傷だな。
一応破傷風が気になるから病院へ行くことに。
先生と律君を乗せて行き、付き添う。
注射は嫌そうだなぁ。
律君が消毒されるのにうめく声に先生は耳をふさぎたい様子。
俺の腕を握り締める、その手も汗ばんでる。
終って会計を済ませて帰宅。
「どうだった?」
「打撲と擦り傷だけだったわ、よかった」
「今日は熱が高くなるって言ってましたよ。布団敷いてください、律君寝かせます」
「はいはい」
既に発熱してぐったりしてる。
先生が横に着いて今日は様子をしっかり見るそうだ。
「じゃ、私はこれにて」
「今日はありがとねえ、助かったよ」
「いえ、無事に見つかってよかったですね。ではまた明日」
帰宅途中パンを買い食らいつつ移動して空腹をごまかした。
家に着いてすぐに布団に潜り込む。
疲れた。
夢を見ることもなく朝が来て仕事へ行く。
土曜日なのに思ったほどでもない。
台風来てるからだろう。
先生から焼鯛を頼まれたので焼いてもらって帰宅、先生のお宅へ向かった。
「こんにちは。具合どうです?」
「あ、いらっしゃい。律? 熱下がったわよ」
ひょいと先生の頤に手を掛けてこちらを向かせた。
「クマ、結構酷いですね」
「ほんと? わかっちゃう?」
「今日はお稽古終ったらすぐ飯食って寝たほうが良いと思いますよ」
「あ、でもそれじゃあなた…大丈夫?」
にっと笑って水屋の支度にかかった。
お稽古も機嫌よくされていて、後は開さんさえ帰ってきてくれればと思う。
お夕飯を食べると眠くなったようで早々にお布団へ。
八重子先生と俺は暫く団欒してから片付けて戸締りなどして各自部屋へと別れた。
部屋に戻ると先生はすっかり気持ち良さそうな寝息を立てている。
着替えて横に入ると寝返りを打って俺に絡まってきた。
可愛い。
俺も疲れていたこともあり、すぐに寝た。
夜半、先生が懐の中でもぞもぞと動く。
「どうしたの」
「ぁ…その…、夢、見ちゃって」
そっと俺の手を股間に誘導する。
なるほと、そういう夢ね。
前戯的なものをすっ飛ばして直接股間を弄る。
声が出ない程度に加減して逝かせたが物足りなさそうだ。
「今からあちら、行きましょう」
「…はい」
恥ずかしそうに浴衣の上からもう一枚重ねて着、物音を立てないように移動した。
夜更けとは言うものの1時すぎ。
まだ沢山楽しめる。
部屋に入って脱がせ、ベッドに潜り込む。
少し冷めた気分をキスで煽り、たっぷり泣かせる。
眠気が来たようだ。
少し迷ったが着替えさせて抱きかかえて戻り、布団に寝かせた。
八重子先生に言ってないから、いるはずのものがいない騒ぎは困る。
幸せそうな寝息が心地よく、俺もすぐまた眠りに引き込まれた。
翌朝、寝過ごした。
目が覚めたら日が昇っている。
時計を見れば7時過ぎ、慌てて台所に行くが八重子先生も起きてないようだ。
取敢えずご飯炊かねばなるまい。
米を研いで水につけてる暇がないのでそのまま炊く。
うーん、朝御飯何作ろう。
冷蔵庫を確認…。オムレツとベーコンとサラダで良いか。
ご飯がようやく炊けて配膳した頃、皆が起きてきた。
「おはよう…お母さんは?」
「お早う、律君。まだ寝てると思うから起こしてきてくれるかな。八重子先生も」
「二人とも? 珍しいね」
「私も寝過ごしちゃったよ。孝弘さんも出来たらよろしく」
「あ、はい」
台所に戻ってスープを出すと三々五々、起き出して来た。
「おはようー」
「おはようございます」
「おはよ、寝過ごしちゃったねぇ」
「おはようございます、そんな日もありますよね」
食卓に着いていただきます。
お櫃は先生。
「ん? あら? ちょっと硬いわね」
「すいません、私も寝過ごしました。吸水させてません」
「あらあら、そうなの? 仕方ないわねぇ」
テレビを見ると明日朝方台風が来るとのこと。
「あなた大丈夫?」
「出勤する頃はまだ近畿でしょう、大丈夫ですよ、きっとね」
「あんまりだったら休みなさい」
「そうですね」
「律、あんたも今日は用事あるなら早めに済ましなさいよ」
「あ、うん」
さっさとご馳走様をして食後のコーヒー。
律君が出かける用意をしている。
ブラックスーツ? 葬式か。
先生は今日はある程度疲れも取れ、律君が帰ったことで落ち着いた様子。
ということで茶道具の入れ替えに掛かった。
夏の道具を仕舞って、秋の道具立てに。
昼を過ぎて律君が戻った。
少し雨が強くなっている。
「あ、そうそう。旅行行くの?」
「ん?」
「ほら、今度の連休」
「どうしましょうか、そっちも台風来てますし」
「…うーん。来なかったら、でどう?」
「いいですよ」
「じゃ、そうしましょ」
「来ないと良いなぁ」
「そうねえ。それよりそろそろあんた帰んなさい。雨ひどくなってきたわよ」
「あ、はい」
暗雲立ち込めている。
「先生も危なそうだと思うなら避難してくださいね」
「大丈夫でしょ」
「裏山が怖いじゃないですか」
「うーん…考えとくわ」
誰もいないのを見て軽くキス。
「昨日、あなた可愛かったよ」
「やだ、ばか。早く帰んなさい」
背中を押されてしまった。
あはは、と笑って片付けて先生のお宅を出る。
帰宅すると本格的に降り始めたようだ。
カッパの用意だけして就寝した。
翌朝、雨の中出勤する。
お客さんも来ない上にキャンセルの電話ばかりで仕事にならない。
仕事が終わって帰ろうとすると道が川になっているところがあるらしい。
心配になって先生に電話するが、あちらはそれほどでも無いようでひと安心だ。
帰って心配をされたが俺は長靴だし合羽着てるし。
問題なく帰宅した。
けど昼から暇でしょうがない。
昼寝をしている間に台風は終わったようだ。
夜。テレビをつけるとあちこちで土砂崩れがあったなどニュースが凄い。
古い友人にメールをし、無事を確かめた。
幸い誰も被害にはあわなかったようだが…今年は酷いな。
外はといえば水が引いてるのでコンビニへ行き、飯を買って帰ると先生からメール。
何食べたの?と。
うーん、これは教えたら叱られるな。
仕方ない。
冷蔵庫の保存食、漬物を加算してメールを返した。
今度は塩分が多すぎる、とお叱りの電話が。
苦笑。
明日、先生がまた野菜責めにするんだろうからいいじゃないか。
そう答えると少しむっとした気配。
明日、嫌いな物尽くしにするわよ? と言われて降参した。
素直にごめんなさいと言うと野菜は多いけど好きなものにしてくれるという。
優しいよなぁ。
暫く喋って、眠くなったというと柔らかな声でもう寝なさいと。
お休みの挨拶を交わして電話を切った。
翌朝、仕事は暇で時間が過ぎない。
ふと見れば甘えびが売れずに残っている。
少し考えて買い取った。
先生と食べよう。
仕事を終えて先生のお宅に向かう。
台所に置いてからお稽古の準備を整え、茶室で待つ。
生徒さんが来て先生も支度が済み、お稽古が始まった。
サラサラと中置きの稽古。
いつもは壁際の風炉を中央に置いて水指を壁際へ。
少し戸惑いつつも皆さん何とかお稽古。
炭手前も先生の指名した生徒さんが行なった。
稽古が終って水屋を片付け、食卓へ。
「あら、えび? おいしそうね」
俺へは野菜尽くしと豚のしょうが焼き。
ん、うまい。
「甘~い♪」
「おいしいねぇ」
甘エビに手を汚しつつ、先生方はうれしそうだ。
買って来た甲斐もあった。
こちらの地域ではトウガラシなどとも言う。
唐揚もうまいエビだが、刺身で食うのが一番だ。
「おかわり」
先生は手が汚れてるので俺が受け、よそって孝弘さんに渡した。
俺は野菜責めで満腹。
食事が終って片付けてしばしの団欒。
順送りに風呂に入って寝間に引き上げた。
しっとりとした先生を懐に抱いていたら寝息が聞こえてきた。
やりそびれた。残念。
諦めて寝て起きていつもの水曜日が始まる。
家事を手伝い、お買物にも付き合った。
夕飯をいただいてからの帰宅。
最近すっかり安定してきた気がする。
良いことだ。
ベッドにもぐりこみ早めの就寝。
休み明けの仕事は暇で早く終ってしまう。
ゆっくりと支度をして先生のお宅へ向かい、稽古の助手。
俺への稽古もつけてもらった後、水屋を片付けていると先生が背中に触れた。
「ん? どうされました?」
「ね、旅行、連れてってくれる?」
「旅行?」
「ほら、連休に京都って行ってたじゃないの」
「あぁ旅行ね、旅行…台風来てるのに?」
「だって13日の夜からって言ってるわよ、京都」
「足が遅くなってるとは聞いてますけど。新幹線止まったらどうするんですか」
「止まったらあなたの家に泊めて頂戴」
「あー…はい。いつから行きますか」
「土曜、お稽古終ったらすぐでどうかしら」
「お夕飯は」
「新幹線の駅弁で良いでしょ」
「じゃ八重子先生に話を通して置いてください」
「ちょっと待っててね、今言ってくるわ」
宿と電車手配しないといけないな。
さっとタブレットで調べてみるとキャンセルがあるようで良い宿が手配できた。
電車の手配もする。
禁煙車のできればグリーン。
余裕で有った。やっぱりキャンセルが多いのかな?
手配を済ませた頃、先生が戻ってきて水屋の片付けを再開する。
「どうでしたか」
「構わないって。水屋も律に片付けてもらうわ」
「いいんですか?」
「そうしないと電車の時間遅くなるわよ」
「まぁそうですけど」
「荷物どうしたら良いかしら。あなた全部持ってくれる? それとも送っちゃう?」
「台風の影響あると困るからお持ちしましょう」
「じゃ明日のうちに荷物作っておくわね」
「はい、俺も用意してから来ますね」
片付け終えて食卓へ。
今日は何かなぁ。
へぇ、先生方はエビしんじょのお吸い物か。
また面倒なものを。
俺には豚バラの炒めたのに大根おろしと薬味、ポン酢を添えたのをメインに。
先生が律君に色々といない間の家の事について言ってる。
「おばあちゃんは家にいるんだよね?」
「いるわよ。でもほら。おばあちゃんだってお出かけするかもしれないでしょ」
「そうなったら食事は出前取ったら良いからね」
「お父さんの分はご飯炊いて頂戴ね」
「何しに行くんだっけ」
「展覧会と資料館と博物館の予定してるのよ」
「やっぱり京都だと沢山あるの?」
「常設展が随分有るからね、あっちは」
「大西は行きたいわ」
「はい、ぜひ」
食べ終わって片付けて帰る段になり、先生が見送ってくれた。
「じゃ、あさって楽しみにしてるわね」
「楽しみですね。じゃあ失礼します」
「またね」
機嫌よく帰宅して、明日の仕事に備えて寝た。
翌日は連休前なのにそこまで忙しくない。台風の影響だろうか。
仕事を終えて食事をして帰宅。
昼からは旅行の荷物を作ることにした。
着物バッグにあれこれ詰め込み、更にボストンを。
下着や小物類、縄とペニバンだけだが。
なんせ何か足りなきゃ家から取れば良いわけで。
勝手知ったる京都では特にさしたる荷物も要らない。
すっかり作り終えればそろそろ夕刻。
小鯛を造っておいたのでそれをアテに少し飲んでから寝た。
土曜は忙しく、流石に連休だ。
客先からまだ届かないなど電話が入り、手が空いた時には私も配達に出た。
それでも昼過ぎには仕事が終わり慌てて帰宅し整えて先生のお宅へ。
既に稽古が始まっていて、遅刻を詫び、混ざった。
やはり今日は数人お休みらしい。連休だもんね。
先生と協力して早めに終らせると水屋を片付ける時間が出来た。
俺が片付けてる間に先生が旅行の荷物を玄関へ出し、着替え始める。
俺も終わり次第着替え出立の用意が出来た。
八重子先生に挨拶して荷物を確認、すべて持って移動を開始した。
「せわしないけど仕方ありませんね」
「お稽古日だもの」
荷物を忘れないように、乗り継ぐ。
新幹線で駅弁を購入して広げた。
俺は牛すき重、先生は野菜たっぷり弁当。さすがだ。
食べ終わって物足りなく思っていたら車販が来た。
サンドイッチを貰ってコーヒーと温かいお茶を買い、先生にお茶を渡す。
くすくす笑いつつ先生もお弁当を食べきって満腹な様子。
俺もサンドイッチを平らげ、ごみを捨てに立った。
ついでに温かいお茶を自販機で買い、戻る。
っと先生が車掌と話している。
切符の改めか。
近寄って懐から出して見せ、確認は済んだ。
にこっと先生が車掌に微笑む。
俺は少しむっとする。
座ってそう言うと笑われた。
「ばかね、他の人から見たらただのおばさんよ」
「美人さんですから。ただのとは思ってないかと」
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
うふっと笑う。可愛い。
ゆったりと喋りながら夜が更ける。
すっかり暗くなり先生が眠くなった頃、到着しタクシーで宿泊先に移動した。
「あなた、ちゃんと良い宿知ってるのね」
「今回はキャンセルが出たそうで幸いですよ」
荷物を片付け、明日の用意をしたら早速シャワーを浴び、着替えてベッドに潜り込む。
「ねぇ…しなくていいの?」
「今日したらあなた明日資料館とか無理でしょう?」
「そうね」
暫く撫でていたが突然先生が起きた。
「あ、忘れてたわ」
寝る前のトイレか。
戻ってきて俺の胸を枕に寝始めた。
よしよし、可愛いな。安心しきっている。
先生のぬくもりと寝息に引き込まれ、寝た。
翌朝、食事をして支度し、出る。まずは定番の資料館。
丁度名碗展を開催していた。
白鷺、広沢、三宝に小原木など名器と呼ばれる茶碗だ。
楽しんだ後西陣織会館へ。
少し買物と目の保養をして、楽美術館。
やっぱり楽は良いなぁ。
欲しくなる。
見終わった後どこかでお昼をいただこう、となり職員にお勧めを聞いてみる。
ここから二筋下がった町屋とのことで先生と歩く。
危なく普通過ぎて通り過ぎるとこだったが先生に引き止められてわかった。
入ると古書店でもあるらしい。
先生はカレー、俺はガッツリ系を予想したプレートを頼んだ。
しかしながら出てきたものを見て先生がそっちが良いというので交換。
肉だけ半分くれた。
ま、ね。プレートの中身は俺の苦手とするものが多かったから良いんだけど。
一旦宿に戻り小用を済ませて午後は岡崎エリア。
大西へ行き、泉屋と野村を回る。
もう3時半、そろそろとタクシーを上七軒に回してもらった
4時前に入場して席に着く。
ブザーが鳴り、静かになると真っ暗になった。
開幕。
晒し三番叟であけて子の日。
おさん茂兵衛。
駆け落ちもので有名だ。
先生が俺の手に触れてくるのは自分の現状と重ね合わせてるのだろうか。
休憩時間に先生がトイレに行き、俺は一服。
〆は枕獅子。
鏡獅子の元になったやつだね。
しかし当時の人も傾城物を大奥に持ってくるなんて大胆なことをしたのか。
すっかり鏡獅子が有名になって枕獅子は見なくなった。
番組が終って千秋楽、良い会だった。
先生と腕を組み歌舞練場の裏へ出て歩く。
少し寒そう。
俺の羽織を着せた。
「暖かいわ…何度目かしら」
「ふふ、今日は冷えますよね」
手を握って料理屋さんへ入る。
「どうも」
「あ、いらっしゃい、どうぞ」
仲居に従って部屋に通され、席に着く。
「お酒はどうされますか?」
とメニューを貰って冷酒を二つ頼み、待っていると酒が来た。
まずは乾杯。
暫くして芸妓が一人、来た。
「へ、おおきに、おまっとうはんどした」
「やぁお久しぶりですね」
「へぇへぇ、そうどすな、一年はお顔見せてもぅてまへんな、
 忘れはったんちゃいまっしゃろか、ゆうてたんどっせ」
「いやぁ仕事とか習い事とかでね、時間が作れなくて。こちらうちのお茶の先生」
「へ、よろしゅうおたの申します」
「あ、はい、こんばんは」
随分年寄りが来たとて驚かれてしまった。
「このお人は割りと古くからこっちで芸妓されててね」
「へぇそうどすな、さすがに戦前はよう知らしまへんけど」
「勝喜代はんやったらよう知ってはるんやない?」
「今年は会も出たはらへんのえ」
「あぁ、もう随分なお年やもんなぁ」
先生が目をぱちくりさせてる。
「うん、何で呼んだかといいますとですね、娼妓がいるところってイメージだったでしょ」
「え、あ、うん」
「ここ上七軒は芸妓本位の街で娼妓を置かない街だったんです。それをね」
「まだ赤線やらあった頃はよぅよぅ知っとりますよって」
「ここは置かなかったんですよね。基本」
「祇園町には150年前はいはったそうやけどね、太夫。歌舞練場は駆黴院の痕やそうどす」
「くばいいん?」
「性病の治療する病院どすな」
「こっちの街にはないんですがそれもその筈、戦前でたったの3人ですからね」
「今はどこの花街も体を売らはるようなことさせたらしまへん。自由恋愛ですわ」
「まぁ自前で着物やら支度やら、足りなくてパトロンを持つことはあるようですが」
「他所さんの事はそんなゆうたらあかしまへんけど、こっちは昔から芸妓本位どすよって」
「まぁ娼妓本位はわが地元、島原ですね。娼妓以外が殆どいなくてもう営業できなくて」
「えっ、島原ってあの?」
「はい、吉原か島原か、の。もうお茶屋組合すら解散しちゃいました」
「歌舞練場ものうなりましたなぁ」
「さびしいですよ、小さい頃そこでお餅つきしてたのに」
「本当にそこが地元なのねぇ」
「小さい頃はね、あたりから清元が聞こえたりね。友達が禿したり」
色々と喋って先生のこだわりをほぐして行く。
ご飯もいただいてすっかり気持ちのほぐれた先生を連れてホテルへ戻った。
俺に少し寄りかかって暫くいる。
「疲れた?」
「うん。…脱がしてくれる?」
帯締めに手を掛けて帯を解いて行く。
腰紐を外しつつ問う。
「風呂? それとももう寝る?」
「ん…寝るわ」
長襦袢まで紐を抜いて、浴衣を出して渡した。
「ほい、立って」
よっこらしょ、と俺に掴まって立った。
べろん、と全部抜いてさっと着せ掛ける。
一瞬の寒いぼ。
軽く首筋にキスし伊達締めを渡してボストンを漁る。
コールドクリーム。と湿った吸水スポンジタオル。
このコールドクリームは先生のと同じメーカーだから肌荒れの心配はない。
ベッドに寝かせ、股の間に先生の頭を落としこんで丁寧に先生の化粧を落とす。
途中で寝息が聞こえてくる。
拭き取り化粧水で二度ばかり拭き取れば先生の肌の感触が凄くよくなった。
髪をほどいてやり、枕を当てて布団の中に入れた。
俺も手を洗い先生の着物を片付けて寝る用意を整え、横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。
朝。目が覚めたが先生はまだ寝ている。
時間はまだ早い。
朝食の支度をしないで良いからもう少しこのまま先生の寝息を聞いていよう。
ゆったりと時間が流れる。
7時半を過ぎた頃、先生が目覚めた。
「おはよう…」
「おはよう」
「何時かしら。台風どうなったの?」
「7時40分かな、台風はちょっと待って」
テレビをつけて確認する。
「まだ遠いかな。どうします?」
「ここ、今日チェックアウトよね」
「いや予備日取ってましたから今日も泊まれますよ」
うーむ、と先生が悩んでる。
「俺はもう一日、あなたといたいけど」
「じゃ昨日ね、資料館行ったでしょ。もう一度行きたいのよね」
「だったら午前中ですね、やっぱり」
もそもそとベッドから出て身づくろい。
「ん? ねぇ。昨日化粧…」
「落としておきました、痒い?」
「ううん、ありがと」
キスしてくれた。
身支度を整えて食事へ。
朝食は軽めの懐石風味でまぁまぁいけるね。
それからお出かけの支度。一応雨支度を整えて。
先生の希望通り資料館へ行き、ゆっくりと見歩く。
流石に台風当日と有り人が少なく、先生は落ち着いて楽しんでおられる。
俺はその先生の様子を見るのが好きだ。
昨日よりしっかりと見て退館すると小雨。
「降って来たわねぇ」
「これから強くなるんでしょうね」
先生が少し考えてから表千家の会館を希望された。
流派は違えどあちらのお道具も見たいとのことで一応のため電話で問い合わせて伺った。
流石にすばらしいお道具ばかりで先生の溜息が聞こえる。
ひょうたん型の水差しとか使いにくそうだけど。
その後、お昼ご飯を近くで食べることにした。
先生が色々注文してくれてるが、あまり愛想を振りまかないようにお願いしたいところだ。
次は北村に行きたいと仰る。
どうやら下調べしていたらしい。
これも一応確認の電話をしてから伺った。
先生は熱心に見ておられるが人のいない日だけに結構目立つね。
流石に雨脚がきつくなってきてホテルへ戻った。
着替えて着物の始末をしてくつろぐ。
先生は満足そうだ。
俺も満足したくなって引き寄せた。
「ぁ…暖かいわ」
「寒かった?」
「ちょっと雨だったから冷えちゃってたみたいね」
「温めてあげよう」
「ん…、ぁ…」
胸をまさぐると軽く喘ぐ。
左手で裾を割って股間に手を差し入れる。
はっはっ、と先生の荒い息が心地よい。
「ぬ、脱ぐから待って、お願い」
「はいはい、お手伝いしましょう」
貝ノ口をほどいて対丈の木綿の着物を脱がせる。
すっかり着崩れてたけど。
肌襦袢も腰巻もすべて脱がせれば恥ずかしそうに胸とあそこに手をやって隠そうとする。
キスをして抱くとしっかりと懐に入ってくる。
ベッドに連れ込んで暫く楽しみ、ふと思い出した。
「あ、そうだ。ペニバン持ってきたんだよね」
「えぇ? ちょっとこんな所で?」
「うん」
先生の上から退いて装着する。
「ね、ちょっと。ねぇ、久さん…」
コンドームつけてローションを塗りつけた。
「ん? いいでしょ」
「いや、ちょっ、ダメよ。あっ」
抵抗してるけど入れちゃったもんね。
眉をひそめて抵抗むなしくも気持ちよくなっていく先生は可愛くてきれいでたまらない。
腰を使うたびに啼く。
二人で随分汗をかいて先生が疲れきって寝た。
窓の外は豪雨、まったく気づかなかったな。
後始末をしてから横にもぐりこんだ。
携帯にアラームをセット。
夕飯前には起きないと。
先生の匂いを嗅ぎつつ幸せな気持ちで寝ていたらあっという間にアラームに起こされた。
もっと寝てたいが仕方ない、先生を揺り起こす。
ぐずってはいるが何とか起こして着替えさせ、化粧を直されるのを待ち、食事へ。
眠たげだがおいしそうな食事に心が浮き立ち始めたようだ。
軽くワインもいただきつつのフレンチ。
コースが進むごとににこやかになる先生を見て自然に嬉しくなる。
しかしこの天候でよく食材そろえたなぁと感心しつつ、食事を楽しんだ。
デザートも美しく仕上がってて、手が込んでいる。
甘くて、俺はエスプレッソで口直し。
部屋に戻ると先生は帯が苦しい、と脱いで寝巻きに着替えた。
「おいしいから食べ過ぎちゃったわ」
「うん、うまかったですね」
それから俺の懐に擦り寄ってもたれてきた。
「えっちはダメよ?」
「はいはい」
テレビをつけて台風情報を見始めた。
「明日帰れるわよね?」
「ダメならうちに来て。たっぷり抱いてあげますよ」
ぱっと耳まで赤くしているのが可愛らしい。
手を差し入れて乳をなでるとベチン、と叩かれた。
「だめっていってるでしょ、後でなら良いわよ」
「しょうがないな」
膝の上に載せて抱きかかえた。
「これくらいはいいでしょう?」
「うん」
暫くすると寝息。
やっぱり寝ちゃったか。
しょうがない、化粧落として寝ることにしよう。
昨日と同じように拭き取ってベッドに寝かしつけ、俺も諦めて寝た。
翌朝になるとすっかり台風は落ち着いたようで関東方面が荒れ始めた模様。
遅い目に発てば十分と判断し、夕方の新幹線を取った。
夕方までどうするかってそりゃ俺の部屋か観光かだよね。
そう先生に言うと赤面してる。
「観光が良い?」
「…どっちでも、いいわ」
「へぇ、じゃラブホでご休憩でも?」
「い、いいわよ。行きたいなら」
耳まで赤くなってて可愛らしくてつい、うなじに手を這わせてしまった。
「ペニバンでも?」
そのままうなづいて、ああ、もう超可愛い。
「だけどお預けだ。あなたとラブホなんてね」
「私とじゃいやなの?」
「じゃーなくて。他所の先生に見られたらどうするんだって言うね」
「ここ、地元じゃないわよ?」
「京都ですよ。あなたの顔を見知ってる先生がたまたま見てたりしたらどうします」
「そんなの、台風だから泊まるところがなくてとか言えば良いじゃないの」
「というか、したいんだ?」
「あっ…。ち、違うわよ、そんな」
「ふふ、じゃあなたの意見採用だ、良いホテル知ってるんでそこ行きましょうね」
チェックアウトの後直接そのラブホへ行くと先生が驚いてる。
「すごいわ…」
「でしょう? セックス目的じゃなくても快適っぽいでしょ?」
先生が部屋のあちこちを見ているその間に用意を整えた。
「さてと。着替えたらこっちおいで」
「えっ…あ、はい…」
こくり、と息を呑んで。
上気して恥ずかしそうで、そそる。
脱がせてバスローブを渡して着替えさせる。
「まずはそのまま舐めてもらいましょうかね」
膝を突かせて。この間教えたとおりに出来るかな?
ぎこちなくて初々しいけれど丁寧に、そして恥ずかしそうに。真剣で。
足で先生の膝を割って股間に足の甲を当ててみた。
既にぬめってきている。
んん、と呻きつつも舐める努力をしていていじらしい。
もはや用意は整った、入れてあげよう。
立たせてゆっくりと割り入れた。
手をちゃんと回してきてるのを確認して膝を抱え上げる。
より深く刺さったようでいい声を出した。
ゆすってやると反ろうとする。気持ち良いようだ。
そのままベッドの上に移動する。
座位。
落とす心配もなく楽しめる。
先生はそこまで意識が回らないようでよがり続けている。楽しい。
こっそりとお尻に指を入れるといやいやをするものの、抵抗できないようだ。
唇もむさぼり、乳首も弄ってやる。
一杯一杯なのが見て取れて本当に良い。
何度逝かせたやら、2時ごろになり開放してあげた。
息が出来なくなってたから。
そのまま抱き上げて風呂に連れて入り、丹念に汗とぬめりを流して拭き取る。
着替えさせてから自分も着替え、タクシーを呼んだ。
疲れ果てている先生を抱え上げて乗り込み、クロネコのセンター前で少し止めてもらう。
荷物を発送してボストンのみ残した。
それから八条口へ。
抱き上げて乗車手続きをしたが案外大変だった。
今度から出発ギリギリはやめておこう、うん。
喫茶店で座らせ、コーヒーを頼んでから駅弁を手に入れた。
戻ればコーヒーが来ていて先生が嫌がらせで砂糖を3杯入れている。
「う、何してんですか」
「甘いの嫌いだったわよね、沢山入れてあげたから」
にこーと笑んでいる。
ご立腹らしい。
そりゃ怒るよね、と思いつつも甘ったるいコーヒーを飲み干した。
駅弁を先生に持たせて抱えあげる。
そろそろ乗車時間が近い。
人目を引くが仕方あるまい、まだ立てやしないんだから。
電車が到来して乗車、席に座らせた。
やっとほっとした表情だ。
横に座って早めの夕飯、と弁当を広げる。
「あ、おなかすいてたみたい」
「お昼食べてなかったですもんね」
何か思い出したらしく、赤面している。
可愛いなあ。
いただきます、と食べる。
途中、先生がお茶買ってきてと言うので席を立った。
二つ買って戻り、蓋をあけて渡す。
「ありがと」
食べ終わって暫くすると先生がもぞもぞする。
電光掲示板を見やったり。
「どうしました」
「お手洗い、行きたいのだけど…」
「あぁ。この車両、トイレ広いから大丈夫ですよ」
「恥ずかしいわ…」
「今更。はい、手を俺の首に回して下さい」
「うん」
そのまま抱え上げ懐に貴重品を入れてトイレへ行く。
トイレの中で下ろして裾を捲り上げて座らせた。
「あの、外で待っててちょうだい」
「はいはい」
ドアにもたれてぼんやりと待つ。
暫くして声がかかり、中に入った。
先生は恥ずかしそうで、俺はちょっといじめたくなるが我慢我慢。
裾を下ろして整えてあげて抱えて出るとトイレ待ちの人がいた。
先生が更に恥ずかしがってて可愛い。
手を洗わせまた抱えて席に戻る。
軽く太腿をつねられた。
「可愛いな…」
ぺんっと額を叩かれた。
「イテッ」
思ったことをそのまま口にしてはいけないね。
暫くくだらないことを喋っていると駅に着いた。
ボストンを持って先生を担いで下りる。
タクシーに乗せてうちへ連れ帰った。
「はい、お疲れさん」
そういって全部脱がせる。
「えっ、ちょっと、なにするの」
肌襦袢まで全部脱がせて裸にした。
「あ、あの?」
「ほい、浴衣」
ひょいひょいと寝巻きを着せてベッドに転がした。
「夜まで寝てなさい」
「そ、そういうことね…」
一旦寝かせて明日の昼連れて帰るつもりだ。
そのように八重子先生にお話してある。
「寝られないなら抱いてあげようか?」
「ばか、もうっ」
あはは、と笑ってちょっと外へ。
夜食の分を買いに出た。
台風の残滓、天気はまだ荒れている。
先生も食べれそうなものと、明日の朝の分も買って帰った。
ドアを開けると寝息が聞こえる。
俺も寝ようかな。
そうと決めたら着替えて横にもぐりこんだ。
おやすみなさい。
少し寝て、俺は9時半頃に目が覚めて腹減った。
先ほど買ってあったものを食べる。
暫くすると先生が起きたようだ。
ベッドから降りようとして…あ、落ちた。
「久さん、お手洗い」
「まだ無理みたいですね」
「はやく」
漏れそうなのかな。
抱き上げてトイレに連れて入り、たくし上げて座らせた。
途端の排尿、先生が顔を赤らめている。
追い出す暇がなかったようだ。
「後ろ、向いてて頂戴よ」
「舐めてあげようか?」
そういってキスしたら乳首を捻り上げられた。
「ばかなこと言ってないで。ね? ほら、後ろ向いて頂戴」
「はーい」
始末している気配がし、流して。
抱えて裾を下ろしてまたベッドに連れて行こうとしたけどお腹がすいたようだ。
膝に乗せてまだ手をつけてないものを食べさせた。
口に運んであげようとしたが流石に却下され、背もたれ代わりとして。
ちょっとでよかったようで軽めに食べてご馳走様をされた。
俺に手を突いて自力でベッドに行こうとされる。
ふらついてはいるけど何とか大丈夫なようだ。
しかし良い加減慣れても良さそうなものだがなぁ。
そういうとあなたが体力ありすぎるのよ、と説教されてしまった。
俺も残ったものを平らげ、洗い物をしてから添い寝。
「明日、あなた一人でトイレ行けるかな」
「多分いけるわよ…」
だったらいいけど立てなきゃトイレ困るよなぁ。
背中をなでていると寝息が聞こえてきた。
本当に寝つきが良くてうらやましい。
好きだな、本当にこの人の事が。
なんだってしてあげたくなる。
でも泣かせたくもなる。
その辺は諦めてもらおう。
先生の尻をなでながら寝て夜中に起きる。
仕事だ仕事。
支度をして先生の寝顔を覗いてから休日出勤した。
昨日休んだからね、たまには休日出勤も引き受けねば。
台風明けの水曜と言うことでたいしたことはなく早々に帰宅できた。
「お帰りなさい」
「ただいま。自力で着替えたんですね」
「ええ。お風呂入ったら? 沸いてるわよ」
「ありがとう」
軽くキスして風呂に入る。
シャワーを浴びていると着替えここに置くわよ、と声がかかった。
良い奥さんと言うかお母さんと言うか気がつくよね。
風呂から出て髪をざっと拭き、体をぬぐって着替えた。
「じゃ、帰りましょうか」
「まだ乾いてないじゃないの」
「大丈夫大丈夫」
荷物を積み込んで先生を後部に乗せ、運転する。
「お仕事お疲れ様、今日はどうだったの?」
「まぁ暇で暇で。流石に休みですね」
「あらあら、そうだったの?」
「ええ、台風の後ですしね」
先生のおうちに着いて荷物を持って入る。
お昼をいただきながら展覧会や資料館の話を沢山八重子先生にした。
先生はまだちょっとお疲れで途中からお昼寝させて。
気持ちよさげなのを眺めていたら来客の由。
八重子先生が応接しているのを聞き耳立てる。
どうやらやはり誰かに見られてたと見えて。
駅かな。
抱えられてる姿と言うわけだから。
お茶を持って行き、話題に加わった。
「ご覧だったそうで。あの台風で転びそうになられて足を捻られたんですよね」
「あらそうなの?」
「今日は大丈夫だったように思うけど?」
「湿布まみれにしました。昨日。転びそうになると変なところの筋肉使うみたいで」
「あーわかるわぁ、変なところ痛くなるわよね」
暫くお二人と歓談して退出。
さて、ごまかせたかなぁ。
先生の寝ている様子を伺いに寝間に入る。
あ、足袋はいたままだ。
脱がせたら起きちゃうか、なんて思いつつ丁寧に脱がせた。
幸い起きてない。
愛しくてたまらなくなるがまだ昼日中。
眺めているだけにしておこう。
お客様も帰られたようなので居間に戻る。
「絹は?」
「まだ寝てらっしゃいます」
「…ほんとに転んだのかい?」
「えーと…すいません、嘘です。疲れさせました」
「だと思ったよ。あんたのそれ、いつになったら落ち着くのかねえ」
「ははは…」
多分あと数年は落ち着かないと思います、はい。
夕方になって先生が起きてきたので俺は帰ることにした。
「また明日、お仕事頑張ってきてね」
「はい、じゃぁまた来ますねー」
頭をなでられた。
なんでだろう。
よくわからないまま帰宅して、飯を食って寝た。
翌朝は普通に出勤したところ暇だった。
なので合間合間、社長に旅行の話を聞かれた。
京都土産に定番の八橋がよかった? といえばあんなのいらん! と言われたが。
今回は新定番の京ばあむを3つ買ってきた。
抹茶と豆乳のバームクーヘン。
オッサンと若い兄ちゃんばかりだから和菓子は喜ばれない。
適当に切り分けて俺も一切れ食べた。
うまいね。
仕事が終わって飯を食い、風呂に入って着替えて先生のお宅へ向かった。
「あら、いらっしゃい」
「お邪魔します」
「昨日お土産届いたわよー、あんたも食べる?」
「後でいただきます、今満腹ですから」
「そう? じゃ二つだけ出すわ」
「バームクーヘン、昨日孝弘さんといただいたよ」
「どうでした?」
「意外とおいしいもんだね」
「そりゃ良かったです」
「それと利休バッグ、良いね、あれ」
「あぁ、それは先生のお見立てです。数奇屋袋と悩んだんですけど」
会話を交わしていると宅急便、先生がはーいと言って俺に取りに出るよう言った。
あ、旅行の荷物。
受け取りにサインして引き上げる。

拍手[0回]

PR

h37

「お邪魔するわよ…。え、あの、帰るわね」
先生がきたと思ったら慌てて逃げ出そうとする。
「待ちなさい」
「無理、無理だからあんなの」
がっちり抱きとめれば震えている。
怯えて…一気に虐めたくなった。
抱え上げ、画面が良く見えるところで座らせる。
耳をふさぎ、目を閉じようとするので腕を拘束させてもらった。
鞭の風切り音、肌を打つ音、そして泣き叫ぶ声。
怖いらしく俺の胸に顔を押し付けている。
可愛くて思わずキスをするとちょっと目を開けた。
積極的に舌を絡めてくるのはそっちに集中して聞こえなくするつもりかな。
逃げようとしなくなったので頭をなでてあげた。
動画が途切れディスクが出てきたので腕の拘束も外し、唇を離す。
先生の目が潤んで色っぽい。
「どうしたんです? 今日」
「あ…講習会、朝だったの…それで」
ついでに来ちゃったわけか。
「なるほど」
「ねぇ…どうしてこんなの、見てたの?」
「ん? ああパソコンに随分たまったから整理がてら」
「無理よ?」
「怖い?」
「当然じゃないの…」
そういいつつ脱ぎ始めた。なぜ脱ぐ。
「着替える?」
はっとした様子。
「あ…するんじゃないの、ね? あらやだ、ほほほ」
「いや、いいです、脱いで脱いで」
どうせだからしちゃいましょう。
気恥ずかしそうに脱いで、俺に擦り寄ってきた。
股間をまさぐれば濡れている。
「…怖いのに濡れてたのかな?」
「違うわよ…」
だろうね。
ひとしきり抱いたあと指を入れたままピシャッと尻を叩く。
「きゃっ、何?」
赤く手形をついたところをなぞればくすぐったそうだ。
「ふふ、色白だからしっかり赤くなってますよ」
一動作、一言ごとに食い締めて、指を動かしていないのに感じてるようだ。
尻の穴をなでたり、わき腹を舐めたり。
「お願い、なぶらないで…」
遊ばれてるの、わかったらしい。
何度かお願いを繰り返すまで焦らせてから逝かせた。
ぐったりしている先生の後始末をしてそれから家に送る用意をした。
夕方着替えさせ、車に乗せて先生のお宅へ。
後部座席でうとうとしているようだ。
少しゆっくり目に走らせ、お宅へ到着。
先生を起こした。
大あくび二つ。
「あら、お帰り。山沢さんとこ寄ってきたの?」
「ついでにと思って」
「こんにちは。今日も泊まって良いですか?」
「いいけどご飯の支度してないからなんか買ってらっしゃい」
「俺の分だけですか、それとも」
「あんたの分だけで良いよ」
「んじゃ先生、俺ちょっと買物してきます」
「んー、あ、プリン買ってきて頂戴」
「ラジャ」
と敬礼して見せたら笑ってる。
 ショルダーループのついたシャツ着ていたからそんなことをしてみたくなった。
ちょっと肉屋によってヒレとイチボとランプを100gずつ。
付け合せにブロッコリーとアスパラを、コンビニでプリンを買って戻った。
台所へ行って焼いてると八重子先生が呆れ顔。
「良くそんなに食べようと思うねぇ」
「いります?}
「いや、いいよ」
ブロッコリーも湯がいてアスパラと炒め、皿に乗せて出した。
「じゃそろそろいただこうかねぇ」
先生が食卓に肘をついて居眠りしてた。
「起きて、ほら、ご飯食べましょうよ」
「あ、うん」
「律君と孝弘さん呼んできますね」
ぱたぱたと部屋へ行って呼ぶ。
「夕飯できたよ、律君」
「あれ? 今日お稽古…」
「なかったよ」
そのまま離れへ行って孝弘さんを回収して食卓についた。
炊き立てのご飯とお味噌汁がうまそうだ。
俺の味噌汁のみ麩。
と言うことは何か俺の嫌いな具らしい。
食べてると先生がおひたしを沢山小鉢に入れて俺にくれた。
「またお肉ばっかり食べようとして。駄目よ」
へへ、と笑っておひたしや他のおかずもいただいた。
満腹満腹。
後片付けを引き受けて台所へ。
先生が朝の講習会の話を八重子先生にしている。
花月をやったらしい。且座。
うーん、難しいよなー、アレ。
コーヒーを入れて戻るとプリン持ってきて、と言われた。
はいはい、と5つ持って戻る。
「お好きなのどうぞ」
甘いものは別腹らしい。
「んー、おいしー」
極とか書いてあるやつにしたようだ。
「あ、そうだ。明日展示会あったわよね。おばあちゃんどうする?」
「そうだね、たまには行ってみようか、三人で」
しばしの団欒。
順繰りに風呂に入る。
んー、気持ち良いなー。
先生の二の腕とかお腹を洗いつつ揉む。
どうも先生は恥ずかしいようだけど。
ピンッと人差し指で先生の乳首をはじいた。
「ひっ、何、もうっ」
ぺしっと額を叩かれた。
顔に泡がついたの見て先生が笑ってる。
「ほら。足洗うからどいて」
「洗ってあげる」
前に座り込んで足の指いっぺん一本丁寧に洗ってると先生も気持ち良さそうだ。
「流しますよ」
「あ、はい」
ざばり、ざばりと泡を丁寧に落としてあげた。
最後に股間を濯ぐ。
少しぬめってたからね。
「ん…だめ」
「したくなった?」
「ばか、こんなところで」
体を丁寧に拭き上げてやって浴衣を着せた。
少し恥ずかしげにしているのが可愛い。
俺もざっくり拭いて羽織った。
「胸、見えてるじゃない」
「暑いし良いじゃないですか、八重子先生しかいないし」
「しょうがないわねぇ」
居間に入ってくつろぐ。
随分と夜は涼しくなってきて暫くして緩めた衿を整えた。
先生にも引っ張りを着せて秋の夜の長話。
「じゃそろそろ」
八重子先生が声を掛けて戸締りや火の元を確かめ部屋に入った。
寝るための身じまいを先生がしている。
後ろから覆いかぶさると凭れてきた。
「どうしたの?」
「お尻。お昼の叩いた痕まだついてたよ」
「やだ…もう。痛かったのよ?」
「痛くしたんだよ。もっとしたかったけどね。あんまり痕が残ったら困るだろ」
「痛いの、やだわ」
「でも濡れてた」
耳まで赤くしている。
「痛くてそうなったんじゃないわよ…」
「そう?」
きゅっと乳首を捻る。
「あぅ…痛い…」
暫く乳首を弄り回し、荒い息を楽しむ。
「そろそろぶち込まれたくなったんじゃないか?」
「あ、いや、だめ…恥ずかしい…」
「足ィ開けよ」
おそるおそると膝が緩み、俺は手をもぐりこませた。
たっぷり濡れてる。
相変わらず胸だけでこんなになるんだよな。
突起に指を掛けると声を出しそうになったらしい。
「お願い、声、出ちゃう…ねぇ、ぁっ…」
俺の腕に爪を立ててあえかに喘ぐ、その色っぽさに俺は益々昂ぶる。
快感を嫌いつつもねだるようになったその体を静かに、けれど激しく求めた。
先生が疲れきって寝た頃、俺は煙草を吸いたくなり庭へ出た。
ガラム。流石にこの煙草は屋内で吸う気にならない。
パチパチ、と音をさせながら甘い香りと味を楽しみ口を漱いでから戻った。
「ん…誰?」
「起こしましたか、すいません」
「あぁ…匂いが違うから誰かと思ったわ…丁子?」
「はい。甘いでしょう?」
「うん」
そのまま寝息に変わったようだ。
かわいいなぁと思いつつ俺も寝た。
朝、やっぱり先生は起きれず朝飯の支度を整えてると八重子先生が起きてきた。
「おはよ。今日はお昼食べたらいこうかねぇ」
「あ、おはようございます。展示会?」
「そうそう。夕飯は孝弘さんも律もでかけるそうだからどこかで食べて帰ろうかね」
「いいですねー、どこ行きます?」
「ほら、ええとなんだっけ、前にあんたが営業で行った所」
「ああ、あのホテル。じゃ予約しましょう」
朝食を作って先生以外で食べてから、ホテルに電話した。
「天麩羅ならあいてるそうです」
「うん、それで良いよ」
「じゃ三人、ハイ。6時で」
八重子先生と律君が後ろで喋ってる。
でかけるからちゃんと鍵を持って出るように、とか。
「遅くなるの?」
「お夕飯食べてから帰るからね、それなりにね」
「ふーん、お母さんも?」
「そうだよ」
電話を切ってそろそろ先生を起こそう、と思い席を立つ。
寝間に入ると気持ちよさげな寝息を立ててるので何か悪いな、と思ったものの。
「先生、そろそろ起きましょう? もう10時過ぎましたよ」
「んん…」
「起きないと抱いちゃいますよー」
耳元で囁くと目が覚めたようだ。
「はい、おはよう。起きれますか?」
「朝から変なこといわないで頂戴よ…おはよう」
「ふふ、俺はいつでもあなたを抱きたいんですけどね」
そう言うと赤面している。
「お昼食べたら展示会行きますからね、そろそろ支度した方が良いんじゃないですか?」
「あ、そ、そうね。支度、しないと」
「夕飯はホテルで天麩羅ですよ。そのつもりでどうぞ」
「はい」
にっと笑って居間へ戻る。
「絹は起きた?」
「はい、まだ眠そうでしたけど」
「そういや昨日お母さん、お稽古なかったんだよね? 山沢さんなんで来たの?」
「ん? ああ講習会の帰りに寄られてね。疲れたって仰るから車で連れて」
疲れさせたのはあんただろ、と言う目で八重子先生が見ている気がする。
小一時間して洗顔や着替えを済ませた先生が居間に出てきた。
「おはよう」
「あ、おはよう」
「もうすぐお昼だよ」
「遅かったですね」
「うん、出かける支度もしてたものだから」
「お昼何にしましょうね、何か軽いものの方が良いのかな」
「そうだねぇ」
お昼の支度をして食べて一服、律君達が先に出て行った。
「さてあたしたちもそろそろ出ようかね」
「そうですね」
用意をして鍵などかけて。
俺の車の後部座席に載せて会場へ行った。
ここか、とまずは先生方を下ろし駐車場へ入れ、入り口へ向かう。
「お待たせしました」
「こっちみたいよ」
付き従って入る。
入り口付近に良さそうな帯。うーん、いいね。
68万か。
先生がほしいというなら、と言うところだな。
いくつか見ているうちに先生が俺を呼ぶ。
「これどうかしら」
「良いですね。顔移りが」
「そうだね、それいいねぇ」
「もういくつかございますよ」
肩に当てていくがやはり最初のが一番良い。
それに合う帯も見繕っていくつか合わせてすぐに決まった。
八重子先生もあの大島にしようかこの結城にしようかと悩んでおられる。
俺のを見立ててくれる、と先生が仰ったが男物は女物より少ないからなぁ。
と、思ったら女物からチョイス。
女幅で確かに良いが。
御召にすることにした。
「お正月におろしたらいいわ」
「はい」
八重子先生も決まったようだ。
じゃ会計表をお持ちします、とのことで隅の椅子へ。
「先生の分、俺に払わせてください」
「いいのかい? じゃそうしてもらいなさいよ」
「えぇっ? 駄目よそんなの」
「まぁまぁ」
会計が出来て即金で八重子先生とあわせて支払った。
「なんだか悪いわ」
その後三人でホテルへ行き、天麩羅のコース。
うーん、うまい。幸せ。
先生は締めにお鮨を、俺は茶漬けを。
かき揚げおいしいなぁ。
ご馳走様をして支払ってホテルを出て帰宅。
車の中であくびを連発してた八重子先生はさっさと着替えて寝てしまわれた。
先生も少し眠たげだ。
「もう寝ちゃいますか?」
「だめ、お父さんのお夜食しないと…」
「俺、するから。寝たら良いよ」
「そう? じゃ悪いけど」
着物を脱いで吊るし、汚れチェックしている。
んー、綺麗だなぁ。
見とれそうになったが夜食の支度。
炊飯器…中身ないな。
ご飯炊いておこう。
あとおかずになるものを作り起きして。
前掛けを外し台所から戻ると先生は髪留めを外してくつろいでいる。
「はい、お茶」
「寝ないんですか」
「これ飲んだら寝るわ」
ふっと笑って軽くキス。
はにかむ先生は可愛いくて。
お茶を飲み終えた先生が部屋にひけて暫くするとご飯が炊けた。
混ぜて蒸らす。
「はらへった」
「あ、お帰りなさい。丁度炊けましたよ」
お茶碗で3杯とおかずを食い荒らして孝弘さんも離れへ戻ったようだ。
俺も台所を片付けて先生の寝る横にもぐりこんだ。
ぬくい。
おやすみなさい。
明け方、少ししたくなってしまって軽く抱いて叱られた。
二度寝して少し寝坊したものの、許容範囲のうち。
昨日作ったものもあり、朝食は間に合った。
先生を起こして食卓を囲む。
「律、昨日何時に帰ってきたの?」
「12時半くらいかな。鍵かかってた」
「ごめん、つい」
「あ、いえ。おばあちゃんが持って出ろって言ってたから」
「孝弘さんの夜食片付けてついうっかり鍵かけちゃったんだよね、ごめんね」
「おかわり」
相変わらずよく食うな。
食事を終えて今日は八重子先生と律君はまたお出かけ。
先生と孝弘さんは特に用もなく。
その辺でごろごろする孝弘さんに先生がタオルケットを渡している。
でも先生もまだ眠たげだ。
「あんたもうちょっと寝てきたら?」
「んー、そうね、そうするわ。久さん、お昼お願いね」
「はい」
八重子先生がちょっと驚いた顔している。
どうしたんだろう。
「あー、えーと。ちょっと着替えるの手伝ってくれるかい?」
「はいはい、部屋ですか?」
ついていって八重子先生の手伝いをする。
「さっき、あの子あんたのこと…下の名前で呼んだだろ。驚いたよ」
「ああ、たまに呼ばれますよ」
「そうなの?」
「ええ、眠い時とか、甘えたい時は割と」
うーん、という顔をされてしまった。
俺は別にどっちで呼ばれてもも良いんだけどね。
帯を締める手伝いをして、それから八重子先生がお出かけされた。
洗濯物を干し、茶室の掃除をして一服。
さて、お昼はなに作ろうかな。
あ。鮭、あったな。冷蔵庫を漁るときのこもある。
チャンチャン焼きにしよう。
それとつけあわせに里芋でジャーマンポテトでも作るか。
ご飯を炊いておかずを整えてから先生を起こした。
「お昼、食べませんか」
「ん、もうそんな時間?」
「はい。早く起きないと孝弘さんが全部食べちゃいますよ?」
「あら、それは困るわね」
先生はお布団から這い出して着替え、その間に俺は布団を片付けた。
食卓に戻ると早くも半分くらいおかずが消えてる。
「おかわり」
「はいはい」
よそって渡す。先生の分と俺の分も。
「いただきます」
「あら。里芋。イカと炊こうと思ってたのに…」
「う、あとで買ってきます」
「いいわ、他にも買うもの有るから一緒に行くわよ」
「まんじゅう」
「あらお父さん、お饅頭切らしてました?」
「じゃお昼食べたらすぐ行きます?」
「そうね、そうしましょ」
おかずはちゃんと全部消えた。
一服した後先生とお買物。
お夕飯の分やらトイレットペーパーやら。
俺が肉を買わないのでどうしたのか聞かれた。
「や、今日は夕飯いただかずに帰りますよ」
「えぇ? どうして? 何か嫌な事あった?」
「あ、いえいえ、ではなくて明日休み明けで早出するので」
「そう…残念だわぁ」
「また明日寄せていただきますから。よろしく」
「はい」
戻ってから暫くして、洗濯物のことを思い出された。
「あら? 干してくれたの?」
「ええ、まだ乾いてないですかね」
「まだよねぇ、涼しいもの」
まったりと休みを満喫して、そして別れた。
帰宅、部屋が涼しい。
すぐに布団に潜ると疲れてたようだ、すぐに寝た。
そうしていつもの日々を送り、日曜日。帰る前に提案した。
「明日の夜からうちに来ませんか」
先生はそろそろ生理前、性欲が上がっているようだしここらで一度沢山責めたい。
「え、あ、考えておくわ」
指で先生の唇に触れる。
「っ…」
顔を赤らめて、可愛い。
「じゃ、また明日」
こく、と先生が頷き、別れた。
さて明日うちに来るのかなぁ。来ない可能性もあるよね。
来なきゃ火曜に俺がまた行くだけだ。
帰宅して寝て、翌朝出勤したが明日も休みと言うことでそれなりに荷が動く。
と言うことで少々疲れて家へ戻る。
さすがに今日は稽古日だから朝からは来ないはず、と思ってはいたが。
ひんやりした無人の部屋はむなしく、着替えて飯を食いに出た。
天玉丼を食べて温まり、帰宅する。
床暖を入れた。
温まり、腹も膨れて眠くなった。
来るか来ないかわからん、寝よう。
熟睡して良い匂いで目が覚めた。
ご飯と、味噌汁の匂い。
ぼんやりしてたら先生が起こしに来た。
「あら、起きてたの? ごはんよ」
引き寄せてキスする。
「こら、もうっ。だめよ」
コツン、と額を叩かれて食卓に着く。
先生の作る夕飯を久しぶりに頂く。うまい。
身にしみる気がする。
幸せ。
「今日はお稽古どうでした?」
「連休の間でしょ、お休みの方が結構多くて。お母さんと二人でお夕飯作っちゃったわよ」
「そんなに少なかったんですか」
「そうなのよ。連休って考え物ね」
「俺はあなたと一緒にいられるから連休、好きですけどね」
「あら」
頬染めて可愛い。たまらん。
ご馳走様をして洗い物をする。
「ねぇ終ったらお濃茶点ててくれない?」
「俺じゃおいしくないんじゃ…」
「良いの」
「はいはい、じゃ良い抹茶使いましょう。昨日送ってきたので」
苦笑して新しい缶を開ける。
お家元好み、という物だ。
湯を沸かし茶筅通しをしてから立てる。二人分。
練り練りと練ってだまがないようにした。
茶筅は別の茶碗につけ置き。
飲んだあとそのまま一戦に及んだ時を考えて。
「どうぞ」
先生飲んで、どこのか聞いてきた。
雲門の昔、と答えるとなるほどと言う顔をされた。
「点てるの、下手でもそれなりにおいしいと思いまして」
「一個だけ送ってもらったの?」
「ええ。京都にいた頃注文したらここの人が配達してくれましてね。それからかな」
もう二口飲まれて俺に渡された。
少しぬるくなって飲み易い。
幸いだまもなかった。
「着替えてくるから漱いでおいてね」
「はい」
和室に先生が行った間に洗う。
さて、今日はどうしてやろうかな。
座布団に座ってくつろいでると寝巻きに着替えて俺の横へ座った。
そっともたれてくるのも可愛いわけだが。
先生の家だと寝間じゃないのにこんなこと出来ないからな。
「ね、先生。今日はアレ使って良いかな」
「…どれ?」
「どれだと思いました?」
「縄とか痛いのとか熱いのとかなら嫌よ?」
「そっちでも良いですが今回はペニバンですね」
「仕方ないわね…。痛くしないで頂戴よ」
渋々、と言う表情だ。
多分痛くない、と思うけど。今回は。
新作なんだよね。
特注品。俺と先生のための。
お腹がこなれるまで先生を撫でてまったりと過ごす。
先生からキスしてきた。
「ねぇ、するならしましょ…」
どうやら焦らされてるような感覚だったようだ。
「着替えるからベッドで待っててくれるかな」
眉間に皺、どうした。
「いいじゃない、このままで…」
「ん? ここでいいの?」
「それは、いやだけど…ん、ぁ、ここで、するの?」
「待てないならね」
ちょっと玩んでると、荒い息の中から待つから、と聞こえてきた。
「ふふ、じゃ待ってて」
ベッドに下ろして部屋を出る。
スウェット上下だったのを寝巻に着替え、ペニバンを装着した。
「ただいま。お待ちかね?」
顔を赤くしている。
キスすると抱きつかれてベッドに引き込まれた。
やっぱり時期だね、土曜は彼岸の入り、ということでしなかったのも有るかもしれないが。
俺も楽しみ、先生も楽しませつつ軽く逝かせてそろそろいいかな。
コンドームをつけてゆっくりと押し当てる。
少し入れては出し、なじませるように動くと先生の声が少し漏れる。
「どう? 痛くない?」
「ん、大丈夫…」
ほぐれてきたのでぐうっと奥まで。
当たる感触と共に太腿が先生の尻肉にぶつかる。
「んっ」
「大丈夫?」
頷くのでゆっくりと腰を使う。
気持ち良さそうだ。
暫くするとなじんできて少し激しくする。
声が高くなってきた。逝くようだ。
足が絡まり、ぶるりと身を震わせる。
弛緩。
息が整うまでそのまま待った。
「な、に…どうして?」
「そんなに気持ちよかった?」
「すごかったわ…」
「そりゃあよかった、金を掛けた甲斐あるなぁ」
「どういう事?」
「あなたの形にあわせて作ったんですよね、こいつ」
「えっ…やだ、そんな…」
「あ、いやあなたの名前渡したわけじゃないよ? 形とかサイズとかオーダーしただけ」
動くと気持ち良いらしく、喋ってるだけでも感じるようだ。
そりゃ一年かけてどこが良いとかきっちり当たるようにしてあるからな。
地味に気持ちよくなるから却って動かないほうが辛そうだ。
もう一度腰を動かすと軽く奥に当たる感触があり、腰を押し付けると先生が啼く。
先をこすりつけるような動きをすると簡単に逝った。
「なんで…これっ」
軽く出し入れして再度逝かせる。
辛そうだから一旦休憩を入れよう。
抜いた時の喘ぎ声も可愛い。
ぽっかり開いた所から白濁した粘液、本気でよかったようだ。
勿論ペニバンにもたっぷりと汁がついている。
先生に見せ付けると恥ずかしそうだ。
一旦ゴムを取った。
「触ってごらん」
透明のぷるんぷるんとした素材。
芯はある。だけどどの体位でも痛くないように作ってある。
ディルドとの違いはリアルじゃないことだ。
装着するベルトもきっちり俺に合わせて作ってあり、擦れて痛い事もない。
先生は恐る恐るだが触って、その感触が面白いようだ。
ぷらんぷらんと振って遊んでる。
「舐めてみる?」
「えっ、そんなの恥ずかしいわよ」
「いいから舐めてみなよ。ほら、ソフトクリーム舐めるみたいにさ」
おずおずと舌を這わし始める。
いいねぇ、初々しい。
ある程度唾液で潤ってきたので頬張るように言った。
「歯を立てずに。そう」
うぅ…ぞくぞくする。征服感。たまらん。
ちら、と上目遣いに見る。可愛い。
押し込もうかと思ったが最初に嫌な思いをさせては次が困る。
疲れてきたようだから解放してあげた。
「入れたくなった?」
パッと先生の耳が赤くなる。
「後ろから入れるから膝を突いて」
補助しつつ後背位を取る。
今度は前戯は要らない。
膝が崩れ落ちるまで十分に啼かせて楽しんだ。
二人とも汗だくだ。でも俺も風呂につれて入る体力がない。
そういうわけでペニバンを外して横に転がり先生の背をなでる。
荒い息が徐々に落ち着いたものと変わり、ついに寝息に変わった。
おやすみなさい。
朝方目覚めて、先生がトイレと風呂をねだる。
立てない、か?
「風呂でしたらどうです」
「嫌よ、ばか…朝から」
「あ、いや面倒くさくないかと思っただけで。他意はありま…す」
「あるんじゃないの、ばかっ」
乳首抓まれた。
痛いっちゅうに。
苦笑して、トイレに行きたそうな先生を抱きあげた。
裸のまま下ろして座らせる。
顔を赤くして恥ずかしがりつつ、小水。
「拭いてあげましょうか」
「いらない…見ないで」
流してから抱き上げ、風呂へ。
膝の上に乗せてシャワーをかけつつ、体のあちこちをなぶると気持ち良さそうだ。
風呂場の中は声が響いて恥ずかしそう。
そんな姿が可愛らしくてついつい逝かせるまでしてしまった。
ぐったりした先生が体勢を入れ替えようとした時、俺の股間に手が当たった。
「ん? あら、こんなになってる…」
「はいはい、俺のは触らなくて良いから」
「いいじゃない」
俺の肩に手を掛けてキスしてきた。
「Hだな、あなた」
「昨日のってあなたに入れたら…」
「却下」
「だめかしら?」
「駄目ですよ。サイズにも問題大有りですし」
「じゃ久さん用に作ったら」
「却下、あなたのボディサイズ採寸とか誰がさせるか」
「採寸? 久さんあなた他の人に触らせたの?」
「イテテッ、爪を立てるな、そこは駄目だって、痛いって」
「どうなの?」
「しょうがないだろ、セミオーダーだと擦れたり当たったりするんだから」
「他の人に触らせたなんて…お仕置きよね」
ギリッと爪で抓まれて唸った。
乳首にも歯を立てられて血が出たがそれを見て嬉しそう。
やっぱS入ってるよなっ。
血がついたままキスしてきて、鉄臭い。
反撃、開始。
股間に伸びてる方の脇をくすぐったり乳首を弄ったりして手を外させた。
そのまま2回逝かせて完全に脱力した先生を洗ってベッドに転がす。
多分また寝るだろう。
俺は居間で噛まれたところの手当てをして軽く物を食って添い寝した。
10時前、先生にトイレに起こされて連れて行く。
最中に先生のお腹がなって先生は苦笑い。
居間に連れ出て寝巻を纏わせた。
「昼にはまだ早いですね、何か軽いものでも」
「クロワッサン食べたいわ。パン屋さん近くにあったわよね。スープも欲しいわ」
「了解、買ってきます」
着替えて急いで買って帰った。
クロワッサン二つとアップルパイ。
カボチャの冷製スープと枝豆の冷製スープ。
ぺろりと食べ終わってゆったりとする。
先生も俺に体を預け、のんびりとテレビを見て休みを満喫している感。
「お昼、何食べようかしら」
「どこか行きますか? 立てるようなら」
「そうねえ」
先生の体の温かみを楽しんでいたら思い出した。
「あ、ちょっと寝転んでて。やることあった」
「はいはい」
クッションを枕にテレビを見てる先生に一応とばかりにケットを掛け、部屋にはいる。
昨日の道具を洗わなきゃいけない。
洗面所に持っていき、暫く湯につける。
ほとびさせねば取れないからなぁ。
つけ置いてる間に納戸からあるものを持って先生の横へ。
「先生」
「ん? なにこれなんなのよ…」
引いてる引いてる。
太さ9.5センチ、長さ43センチだもんなぁ。
「最新のくだらない道具シリーズです。どうです?」
「ここまでなるとジョークグッズなのねってわかるわ」
「ふふふ、だと思うでしょうが実用品です」
「無理でしょ」
「頭が入る人がいるんだから。こんなのも入る奴っているんでしょうよ」
「…でなんでこんなの買ったの」
「昨日のアレ、買った時に一目ぼれしました」
「しまってきなさいよ」
「いやぁあなたとそれ、似合わなさ過ぎて面白い」
「ばかっ、もうっ」
「昨日みたいに舐めて見てよ」
「いやよ…」
思い出したか赤面してる。
と、チャイムが鳴った。
出てみると晶ちゃん。
「ちょっと待って、鍵開けるから」
ぱたぱたと玄関にいき、鍵を開けた。
「やぁこんにちは」
「ごめんなさい、おばさんに用があって。おばあちゃんに電話したらここ教えてくれたの」
「はいはい、ちょっと後ろ向いて待っててくれるかな」
「え、あ、はい」
後ろを向いたその間に先生からアレを受け取り慌てて納戸に投げ込んだ。
「いいよ、どうぞ」
危ない危ない、流石にアレを持つ先生は人様には見せてはいけない。
「おばさんこんにちは」
先生が慌てて身を起こそうとしている。
手伝って背を支え、後ろにクッションなどで固定した。
「どうしたの? こっちに来るなんて」
「それが…」
「どぞ、コーヒーだけど」
席を離れたほうが良さそうなので洗面所でアレを洗うことにする。
暫くして居間から呼ぶ声。
軽く漱ぎ、風呂後に置いて戻る。
「どうしました」
あ、トイレね、はいはい。
抱え上げるのを見て晶ちゃんが変な顔してる。
先生も恥ずかしそうだ。
「昨日から先生は腰痛でね」
納得してくれた。
トイレの中で先生がしてる最中にキスする。
目の縁を紅くして可愛らしい。
拭き終えたので立たせて裾を調え、抱え上げた。
「はい、お待たせ」
座らせてあげてお話再開。
俺も洗面所に戻って手入れ再開。
念入りに手入れをする。やっぱりデリケートな部分に入れるものだからね。
埃の出ない布で水分を取って後は乾燥させたらケースに仕舞おう。
次の出番はいつかわからない。仕方ないけど。
風呂場乾燥をかけ、扉を閉めておいた。
先生たちのコーヒーのおかわりを作り、自分の分も持って戻った。
暫くおしゃべりを聞ききつつコーヒーのうまみを楽しむ。
「そういえば山沢さん、そんな格好するんですね」
…そうか、たしかに先生の家ではこんな格好はしてない。
「あら、普段こんな格好よね、いつも」
「そうですね、うちだとこうなっちゃいますね」
「ずっと着物だと思ってた」
「先生じゃあるまいし」
「たまにミリタリーファッション? って言うの? そういう格好もしてるわよね」
「見せましたっけ」
「うん、3回くらい見たように思うわ」
「へー格好良さそう」
「格好良かったわよー」
「あ、そろそろ大学行かなきゃ。午後から教授に頼まれもんしてるんですよね」
「あら、そうなの? 頑張ってね」
「じゃおばあちゃんにもよろしく」
「はい、気をつけてね。山沢さん送ってってあげてくれる?」
「いや、いいっすよ。一人で行けますから」
「そう?」
「気をつけて。この辺危ないからね」
ばいばい、と送り出した。
「あ、そうだ。お昼どうします?」
「ちょっと手を貸してくれる?」
はい。
そっと立って歩かれた。
「これなら大丈夫と思うわ。どこか予約取れそう?」
「何が良い?」
「懐石とか和食が良いわ」
「了解」
心当たりに電話してみてOKが取れた。
先生の補助をして洗顔や着替えをさせる。
化粧している間に俺も着替えた。
ただし今日は中性的な洋服に。
トイレ随伴の可能性があるからいかにも男性では困る。
車へ先生を抱えて乗せ、お店まで。
そこからは先生は手を引いてもらったら歩ける、と言うのでエスコートした。
裾を整えつつ座らせ、俺も席についた。
「お酒飲まれます?」
「やめておくわ。歩けないの困るもの」
「じゃ何しましょう」
「ウーロン茶で」
二つ頼んで料理が来る。
八寸と食前酒。
「このくらいならいただくわ」
「俺のも飲んで。車だから」
「あ、そうだったわね」
くいっと飲まれてからいただく。
流子や鮭手毬、これは柿の見立てかな。
子持ち鮎、時期のものだね。
筋子。
ちょっとずつでおいしい。
鱧松の土瓶蒸。
「おいしいわぁ」
「ですねー」
お出汁がおいしくて最後の一滴までいただいた。
次はなんだ?
お造りだ。
マグロは先生に差し上げ、からすみの薄いのを鯛で巻いて食う。
意外とうまい。
甘酢につけて生姜で食う、これもうまい。
俺はごま油に浸して塩で食うのが好きだけどこういうのもうまいね。
次にはずいきの白和え。
「あらこれおいしいわね、今度作ろうかしら」
「楽しみ増えたな」
うふふ、と先生がにこやかだ。
カマスの焼いたの。
うまいなぁ、やっぱり。
それから俺の一番好きなもの。
これはお願いして中身は甘鯛だ。
おこわと甘鯛にあんかけ。
「うまい、無作法だけど…」
器のあんをすべて飲み干してしまった。先生が笑ってるけどうまいんだから仕方ない。
秋刀魚の揚げたのをみぞれ、味は土佐酢かな?
いつもは秋刀魚を嫌う俺だけど食ったらうまかった。
「お腹一杯ねぇ」
「ご飯はいるかな」
しめじごはんもおいしい。
「あら、お味噌汁…あなたの作るのみたいね。白味噌よね」
「そうですね」
おい、〆に抹茶出てきたぞ。デザートで。
アイスクリームとあんこが抹茶に浮かんでる。
先生のところにあんこは移動させた。
結局先生のほうが俺より沢山食べるという結果になってしまった。
昼飯だから良いとしよう。
尚、メニューは夜のメニューだったが。
大変機嫌のよい先生を車に乗せ、連れ帰る。
家に帰ってすぐトイレに連れて行った。
歩けても裾を捲り上げる動作はまだ辛いらしい。
今回はトイレから追い出された。
きっと大きいほうに違いない。
いつか見てる前でさせてやろう。
暫くして壁を伝って戻ってきた先生にお茶を入れ、膝の上に座らせた
もたれて居心地良さそうにしてる
俺もまったりと先生の足をなでる。
気持ち良いんだよなぁ肌の感触。
すね毛が薄くて滑らかで。
シルクの保湿・美肌効果もあるだろうが。
「さっき…焦ったわね、あんなの持ってるときに晶ちゃん来たから」
「ああ。ほんと鍵開ける前に隠せばよかったですね、すいません」
少しずつ、手を上にずらし太腿をなでる。
「着替えさせてくれる?」
「はい、じゃ立てますか?」
よいしょっと俺の肩に手を掛けて立ち上がろうとして見事にこけた。
俺の上に。
面倒くさくなって座らせ、帯を解く。
紐を解いて長襦袢とまとめて脱がせた。
はい、と寝巻を背中からかけて着物を掛けに行く。
戻ると浴衣を着もせずに困り顔。
一人じゃ着れなかったか。
ん、色っぽいね。そのまま首筋を舐めた。
左手で肌襦袢の紐をほどく。
汗で肌に張り付いた肌襦袢を剥がし、胸を露わにする。
柔らかい乳房を弄り、乳首を転がすと立ってきた。
もう片方の乳首は舌で。
髪をくしゃくしゃにされる。
一時間ほど先生を啼かせて寝巻を着せた。
「ちょっと寝ましょうねー」
ベッドに入れて添い寝する。
とはいえ俺に乳を弄られているから先生は中々寝られなかったようだが。
お腹がすかなかったようで先生が起きたのは夜の9時を過ぎた頃。
「何か食べられるもの、ないかしら?」
「あぁ起きた? 欲しいのはご飯? 甘いもの?」
「ご飯。お茶漬けでも良いわ」
「んーリゾットとか食べます?」
「作ってくれるの?」
「簡単バージョンでよければ。和風かトマトどっちが良い?」
「そうね、トマトが良いわ」
「んじゃもうちょっとごろごろしてて」
冷蔵庫からしめじと玉葱を出して刻み、ツナと炒める。
水、出汁、トマト缶に塩を足して炊いた。
昔は米を炒めることに違和感があったんだけど。
しっかり白くなるまで炒めたら意外とうまかった。
15分ほどして先生が台所に出てきて水を汲んで飲み、俺の手元を覗き込む。
「味見して良い?」
「どうぞ」
少し塩胡椒を足された。
「チーズ入れるけど良いの?」
「あ…ま、いいわ」
火が通ったので盛り付けして出した。
俺はそれに更にポークソテー。
「いる?」
「一切れ頂戴」
「もっと食ったら良いのに」
「太るわよ」
「この時間に食べる自体やばいでしょうに」
「だからよ、一切れで良いの」
笑いつつ一切れを先生に。
食べてる内に先生は段々とリゾットの味の濃さがつらくなってきたようだ。
「お腹、ある程度膨れたならやめたらどうです?」
「ん、でも…」
「食わんなら下さい」
「じゃ食べて」
残ったのを平らげ、洗い物に立つ。
「ねぇ明日どこか行かない?」
「何か行きたいところあるんですか」
「根津、どうかしら」
「金継ですか。いいですね」
「違うわよ、秋の取り合わせ。見たいの」
「あぁ。なるほどね。そうそう、次の連休は何か予定入ってます?」
「今の所まだ入ってないわよ」
「それなら京都、どうです? 来ませんか。茶道資料館とか大西とか」
「あらー、いいわね。お母さんに言ってみるわ」
お茶を入れて先生に出す。
「一度あなたの家、行ってみたいわ」
「あっちのマンション? 散らかってるだけですよ」
「片付けてあげるわよ」
「いやぁ、先生見たら帰っちゃうかも」
「そんなに酷いの?」
「えぇまぁ。汚くても死にゃしない、なんて」
べしっと額を叩かれた。
「掃除しなさいよ」
お腹も膨れて落ち着いた先生は歯を磨きに立った。
湯飲みを洗って手を拭いて、洗面所に行く。
歯を磨く先生を後ろから抱いて、胸に手を這わすと腕を叩かれた。
怒ってる、かな。これは。
結局は口をすすぐから離せ、と言うことのようだ。
離してあげてしばし待ち、俺も歯を磨く。
「触るの好きねぇ、でも駄目よ。あなただって嫌でしょ?」
そういいつつ俺の乳を揉んできた。
先生だって触るの好きだよな。
口をすすいでからベッドに連れ込み、丹念に抱く。
先生は幸せそうな顔をして寝始め、俺も眠気を感じて寝た。
朝、ふと目を覚ますと先生がいない。
台所かと思ったら風呂を使っているようだ。
俺も一緒にと思って脱ぎ、入る。
「あ、おはよう。起きたの?」
「おはよう。洗ってあげますね」
「もう洗っちゃったわよ。出るとこ」
「何だ、残念」
浴びてたシャワーを止めてタオルで水気を拭い、先生が出た。
しょうがない、俺もさっさと洗って出るか。
ざっと軽く洗って出ると先生はドライヤーを使っていて、既に浴衣を纏っている。
「暑くない?」
「ちょっと暑いかも…」
スイッチを入れ、通気を図る。
風呂場乾燥もかねて。
俺は冷めるまで裸でごろごろしていたら先生が戻ってきた。
「襲うわよ?」
そんな冗談を言われて着替えた。
「何か買って来ようと思いますが」
「ちょっと待ってね」
先生が冷蔵庫の中を覗き込んでる。
何か作ってくれる気かな?
「そうね、朝御飯は昨日と同じようにでいいかしらね。お昼の材料買ってきてくれる?」
「パンは何が良いです?」
「おいしそうなの。お願いね」
「はーい」
デニッシュを3種、安納芋と和栗、アーモンド。
チェリーのボストックがあったのでそれも。
どれか一つくらい先生が食べるのあるだろう。
スープは今日は人参とグリーンピース。
持って帰ると先生が妙な顔をした。
「人参、ポタージュになるのねぇ…」
「ごぼうがなるくらいですからね」
絶句してる。
「おいしいのかしら」
「さあ…一度買ってみましょうか?」
「そうね、今度お願い」
結局先生は和栗をチョイス。
女の人は芋栗南京って言うよね。
本当は芝居浄瑠璃芋蛸南京だけど。
グリーンピースのスープは先生が、人参は俺がいただいた。
その後、先生が俺の買ってきたものを点検して献立を理解したようで下拵えしはじめた。
昼前、先生が早めのお昼にしよう、ということでご飯を炊いて食べ、支度する。
根津へ。
先生は秋草の付け下げ、胴抜きの着物。
残念ながら単衣の秋らしい模様のは先生には似合わなかった。
でもこれは映える。
俺は紬で羽織をつけて。
先生にとっては丁度良い気温だったようだ。
じっくりと取り合わせを観覧され、それから金継や絵などを見てまわられた。
俺は先生から説明を受けお勉強。
「あら、飯嶋さん。こんにちは」
「あらあら、お久しぶり」
「こちら旦那さん? こんにちは」
「ちがうのよ、これうちの弟子で今日はお勉強」
「宜しく、山沢といいます」
「三輪です、飯嶋さんとはいつも勉強会でご一緒してるの」
「渋谷の方でお教室されてるのよ」
先生方の行くような勉強会はそういう方沢山いらっしゃるんだろうな。
「今度この子も勉強会に連れて行こうと思うんだけど中々ねえ」
「連れてらっしゃいよ」
「お仕事してるから日が合わないのよね」
「それは残念ねえ」
場所を移してカフェでコーヒーをいただきつつおしゃべり。
「お茶会ももっと連れて行かないと、と思ってるんだけど」
「難しいわよ、お仕事してる方は。日曜は休養日だし」
「それじゃいけないのよね」
「あなた山沢さんでしたっけ、一度お茶会いらっしゃいよ。大寄せで良いから」
「そうですねぇ」
女の長話が終って先生と庭園を楽しむ。
折角のデートなのに他人がいるのはつまらない。
美術館を出てタクシーを拾う。
車中の人となった途端、頭を撫でられた。
「ん?」
「我慢してたでしょ?」
「顔に出てました?」
「三輪さんにはわかってなかったと思うから良いわ」
「ならよかった」
そのあと家に着くまでずっと俺の手を握っていて、少し照れくさい。
ふと気づく。
「あ、今日のうちに帰るんですよね?」
「明日一緒に帰るわよ」
「朝稽古、良いんですか?」
「生徒さん、朝来ないのよね…最近」
「あなたがサボるからじゃないですか。みんなきっとあなた目当てなんですよ」
「そんなことないわよ」
「少なくとも俺はそうです。だから今日は夕飯食べたら」
「帰れって言うの?」
「送ります。お稽古は休まないで下さい。じゃないと旅行、言い出しにくい」
いじけてるみたいだ。
「わかった、今日だけですよ。ちゃんと次からは休まないで」
「休んじゃ駄目?」
「八重子先生の負担、やっぱり大きいでしょう?」
「あ…そうよね」
どうやら失念していたようだ。
「一応、一年目は大目に見るとは言っていただけましたけど。もう一年、過ぎましたから」
「叱られちゃうかしら」
「かもしれませんよ」
ちょっと脅したころ、家についた。
先生は少ししたらご飯食べに出ましょ、と言う。
どこが良いか聞くとステーキハウス。
予約を入れてる間に先生は着替えられた。
油はねしても気兼ねのない物に。
ステーキはおいしく、先生はワインも飲まれた。
満腹、満足。
帰宅して寝巻に着替えてくつろぐ。
「あなた明日早いんでしょ?」
「ええ、休み明けですから」
「眠くならない? ホットミルクいるかしら」
「ふふ、そんなのいいからおいで」
引き寄せてゆぅるりと先生の体をなでる。
「う、私のほうが眠くなっちゃうわ」
「それで良いんだよ。あなたの寝息が一番の子守唄だ」
静かに先生の呼吸が遅くなるのを聞きつつ、耳元で囁く。
「好きだよ、絹。ずっと手元に置きたいくらい」
先生はびくっとして呼吸が少し速くなった。
「寝なさい、お休み」
また呼吸が落ち着くまで撫でて。
寝息に変わった後ベッドにもぐりこんだ。
おやすみなさい。
よく寝ている先生を置いて朝の支度。
出勤して仕事をこなす。
休み明けはあまり売れない。暇だ。
やや、眠くはある。
のんびりと仕事を終え帰宅してすぐ先生を送りがてらお稽古へ。
先生のお宅で風呂と飯をいただき、お稽古開始。
下界とは違い涼しく、お稽古するにもちょうどよい気候とあって満員御礼だ。
先生も機嫌よくお稽古をつけられている。
順々に生徒さんが入れ替わり立ち代り。
全員送り出して先生が一旦柱にもたれた。
「あぁ疲れた。ちょっと休憩ね」
その間に台子を出した。
「ん、それするの?」
「していただきたいです、忘れそう」
「忘れるのは駄目ねぇ」
準備が終ったころ、先生がしゃんとされた。
「お稽古、お願いします」
「はい」
厳し目のお稽古が進み、何度か怒られる。
「そんなことじゃ駄目よ、次の許状申請できないわ」
「はい、もう一度お願いしてもいいですか」
時計を見て、許可が出る。
再チャレンジは流石に間違いはなく。
「これがいつしてもちゃんと出来たら次、教えてあげるわ」
「はい」
やっぱり最近エロにばかり気が行ってたからな。
「あんたら、そろそろご飯だから片付けなさい」
「あ、はい」
「それと…開から何か連絡あった?」
「兄さんから? なかったわよ」
「ないですね」
「連絡がつかないらしいんだよ」
「またですか…どこか遠方にいて帰れないだけでは?」
「だと良いんだけどねぇ」
「前があるから心配でしょうが二・三日待ってみてはどうでしょう」
「そうねぇ…」
大変に心配そうだ。
取敢えずはと水屋を片付け、沈んだ表情で先生方が夕飯を取る。
洗い物を片付け帰ろうとすると、連絡あったら教えて、と言われた。
そっと抱き締めてなでる。
「連絡あり次第すぐに」
「お願い、ね」
「じゃ、また土曜日」
「はい」
別れて帰宅する。
一応家の着信履歴も見たが連絡はないようだ。
良い年した男が家族に心配かけるんじゃないよ。
金曜が過ぎ土曜にお稽古に伺ったがまだ連絡がつかないようだ。
「一応警察に届けを出したんだけど…」
「女ならまだしも男じゃねぇ、調べてはくれないみたいだよ」
「まぁ駆け落ちとか自分から失踪とか多いですからね」
それでも先生はお稽古のときになるとちゃんと気を入れ替えてしっかりと先生をする。
そういう所、えらい。
お稽古が終った後、テレビを見ていると御嶽山噴火とあり驚く。
先生方はふーん、と言う感じだが多分この辺噴煙来るよ?
いつもの団欒の時間だが表情は冴えず。
夜は同衾するも俺の懐にいるだけでお願い、と言われた。
そんな心痛抱えてる時にしたいとか言わないぞ。さすがに。
寝付けないようで溜息が何度も聞こえる。
それでもいつの間にか寝息に変わった。
それを聞いてから眠りにつく。
朝、先生はまだ寝ている。
夜中寝苦しかったようであまりよく寝られなかったようだ。
食事の時に起こせば良いだろう。
身支度して台所へ行き、朝食を作る。
暫くして八重子先生が起きてきた。
「おはよう、相変わらず早いね。絹は?」
「寝られなかったみたいです、昨晩」
そういえば昨日も目の縁にクマがいた。
溜息。
「八重子先生も眠いならもうちょっと寝てらしたら? できたらお呼びします」
「もう着替えちゃったしね、良いよ」
二人で朝飯を仕上げ、配膳し起こしに回る。
食後、先生方が転寝しているのを尻目に家事をしておく。
今日も暑いなぁ。

拍手[0回]

h36

翌朝、特にメールはなく普段のとおりの仕事。
いい魚が入ってはいるものの、今日は稽古日でもなく。
苛立ちをぶつけるためジムに行くものの、混んでいて順番待ちに遭った。
いつものように追い込もうにも休憩が長くならざるを得ず不快。
帰ることにした。
きっと風呂も混んでるだろう。家で入ろう。
帰宅すると草履が玄関に…え?
「あぁお帰り、遅かったね」
「なん…だ、八重子先生。驚きました」
「お昼食べるだろ?」
「あ、はい。ですがお稽古は?」
「言ってなかったっけ? 今日はお休みだよ」
「そうでしたか」
「絹はお稽古だけどね。今日は研究会」
なるほどなるほど、来ないわけだ。でもなんで八重子先生が来るのかな。
味噌汁が冷めないうちに、と汚れたまま食べさせられてそれから風呂。
ふと気づけば洗濯されていて、掃除もされてた。
さすが親子、やることが一緒だ。
でもさ、先生はいいんだけど八重子先生にされるのはちょっと微妙。
風呂から上がると八重子先生が帰り支度している。
「じゃ私は帰るから。明日ちゃんとお稽古いらっしゃい」
「気をつけてくださいね」
「大丈夫だよ、じゃあ」
ちょっと心配なので一応先生にメールを入れた。
稽古中では見もできないだろうが。
どっかりとベッドに転がる。
シーツまでも洗濯されていた。
うーん…。
まぁいいか。
そのまま寝て、夕方起きる。
冷蔵庫を覗くが何もない。何か買いに行かねばなぁ。
と思ってたら玄関から物音。
「ただいまぁ。あぁ疲れたわぁ」
「先生?」
和室へ入ってポイポイと脱ぎ始めた。
「お腹すいちゃった。何か作って頂戴よ」
突然来て何かと思えば。
「何食いたいんです?」
「さっぱりしたの」
「はいはい」
買物に出て物思う。
もしかして八重子先生の掃除と引き換えなのかこの便利使い。
まぁ聞くわけにも行くまい。
取敢えず何を作ろうか。
野菜の南蛮かな。なますと。
あとはマグロの山かけ。
会社へ寄って100gばかり切った。
ついでに冷凍庫から俺用の味噌漬けを出して買物して帰宅。
「まだなのー?」
「はいはい、ちょっと待ってて」
先生は寝巻きに着替えて俺のベッドに転がってた。
おーい。
せかされつつも作って配膳して呼ぶと…完全に寝てる。
少しいらっとした。
飯作らせといて寝るなよな。
冷蔵庫にしまいこみ、飲み屋へ行った。
唐揚、豚キムチ、餃子、揚げ出し豆腐をアテに飲む。
暫くして先生からメールが入る。
冷蔵庫に入れてあるの食えと返した。
飯を食って飲んで帰宅すると先生が不機嫌だ。
「作ったのに寝てるからだろ。そんな顔するならまだ遅くないから帰れ」
「ひどいわ…」
「俺は寝る」
寝間に入ってドアを閉めた。
あーあ、明日稽古行きたくねーな。
サボるか。
酔いもあってそのまま寝てしまった。
翌朝、出勤の支度をする。
帰ったようだ。
と思っていたら草履がまだある。
和室に布団敷いて寝たのか。
まぁ稽古日だし仕事から帰ったらもういないだろう。
サボろうかなぁ…、稽古。
テンション低いまま暇な火曜日、仕事は暇。
昨日のマグロを事務に計上してもらい支払った。
暑さにげんなりして帰宅。
あ、まだ草履、ある。
「ただいま」
「おかえりなさい、お昼もうすぐできるから」
風呂に入る。
涼しくなるまで浴びて上がるとテーブルに先生が色々並べてる。
「昨日はごめんなさい、折角作ってくれたのに」
「もう帰らないといけないんじゃない?」
「ごめんなさい、迷惑だったわよね…」
「いや、稽古。良いのか?」
「えっ、今日お休みよ?」
「八重子先生、昨日稽古に来いって言ってたけど…」
「ちょっと待って」
慌てて携帯で家にかけてる。
「え、あ、そうなの? あ、はい。はい、わかったわ」
電話を切って俺に向き直った。
「お稽古は今日はないわ。ついあなたにそう言っちゃったって」
「なんだ…」
サボろうとか思ってたのにな。
「ご飯食べてくれる?」
「あぁ。いただきましょう」
少しぬるくはなってしまったが久々の先生の作る飯だ。
やっぱりうまいな。
少し機嫌が良くなったのを見計らって先生がもう一度謝った。
「いや、俺も悪かった」
双方謝り、この話は終わったことに。
昼寝したいか聞くと朝良く寝たから別に、と言う。
「あの…し、したいなら、いいわよ…」
顔を赤らめてそんなことを言う。
「食事時にする話じゃないっていつもは怒るでしょう」
「あ、そ、そうね」
まったく。
食事を終えて洗い物をしようとすると私がする、と言い出した。
「いいから。座ってて」
ちょっと気まずそう。
洗い終えてコーヒーを入れて持って出た。
「ん」
「ありがとう」
ほい、と一口羊羹を渡す。
「貰いもん。俺食わないから」
客から箱で貰ったとらやの一口羊羹。
先生がいるなら消費するのは今しかあるまい。
「おいし…」
笑顔になって随分空気がほぐれた。
コーヒーを飲み終える。
「おいで」
「あ…はい」
そそくさと割烹着を外し、帯を解いた。
紐を外そうとする手を取り抱え上げベッドに連れて行く。
「あ、あの、脱いでからじゃいけないかしら」
そのまま組み敷いて何事か言おうとする唇をむさぼる。
着物の上から胸を揉んだ。
少し抵抗されてまた少しいらだつ。
ベッドに座り背を向け、脱ぐように言うと先生は慌てて脱いでる。
脱げたようなので押し倒し、抱いた。
それでも気を抑えて抱いているのにいつまでも身を硬くして怯えてるのがわかる。
何かもう面倒くさくなって寝かしつけて一緒に寝た。
夕方、起きて夕飯の買出し。
二人分だから、と考えつつ買物して帰ると先生が不安そうな顔で俺を待ってた。
「飯、作りましょう」
「うん…」
こりゃ、駄目かな。一度家に帰したほうが良いかもしれない。
そう判断して食事の後、車に乗せて自宅へ送り届けた。
「じゃ、またあさって」
別れて自宅へ戻ると見せかけ、いつもの部屋へ。
流石に疲れた。
ピンクのシーツ、相変わらず微妙だな。
そう思いつつ酒を出しつまみを食う。
ぐいぐい飲んでいると八重子先生から電話だ。
何があったというけれど別に特になく。
どこにいるかと聞かれてここにいると答え電話が終った。
そのまま暫く飲み、寝る。
寝ている間に何か気配がして目を覚ますと先生がもぐりこんできていた。
起きたことに気づけばまた気を使って怯えるか?
ならば知らぬ振りとしよう。
寝返りを打った振りして抱きつくと一瞬びくっとして…緩んだ。
よしよし、寝ろ。
暫くすると落ち着いた寝息になってほっとした。
やっぱりさ、ゆったりとしててほしいわけよ。
イラつくけどさ、怯えられると余計に腹が立つんだよな。
すこしむらっときて抱きたくなった。
起こさない程度に乳をまさぐる。
寝てるときは抵抗もない。
昼もこうだったら…。
もぞもぞと先生の尻が動く。
そろそろ股間に手を伸ばしてもいいだろう。
濡れている。
身体的反応ってやつだろう。
「ん、ぁっ、ちょっ、と…寝てたんじゃ、なかったの?」
「寝てた寝てた。そのままそのまま」
適当にいなして抱く。
「あっうぅ、き、つい、そんなに入れないでっ」
「力、抜いて。締めようとしないで」
いつもより一本増やしただけだから大丈夫だろう。
中をゆっくりほぐす。
入り口が狭い。
いけるかと思ったがこれは無理かな。
指の付け根まで入れるのは諦めた。
息をついたら謝られてしまったのでむっとして指を舐めさせた。
すがるような目つきで指を舐めている。
愛しくなって、それとともに気がついた。
「…そろそろ生理?」
「えっ…あ。今日何日だったかしら…」
「まだ26日」
「あ、じゃ明日からかも」
「なるほどね。俺も多分そろそろだ。あなたの情緒不安定と、俺の苛立ち、多分これ」
「あら…」
「どうして欲しい? このまま寝たい? 抱かれたい?」
「あの…酷くしないなら…抱いて…」
「うん。わかった」
ゆったりと丁寧に抱いてるうちに先生の体もほぐれてきた。
あ、指、入るね。付け根まで。
ここから先は無理だろう、まだ。
「きつくない?」
「ん、大丈夫、気持ち良いわ」
急に揚げるのではなくゆっくりと逝かせた。
眠そうな気配に変わって行く。
体を入れ替えて先生を上に乗せ、肌掛けをかぶせて背を撫でると寝息に変わった。
俺もそのまま寝て翌朝目が冷めると涼しさに先生は俺にしがみついている。
意外と今朝はひんやりしていて肌掛けでは少し寒かったようだ。
何時だろう。
10時半…えらく寝てしまった。
先生を起こすか。
直接股間に手をやり、弄るとすぐ起きた。
「もうっ」
「ふふ、そろそろ起きませんか」
「何時なの?」
「10時半、いや11時前だな」
「あら。寝過ごしちゃったわねぇ」
もう暫く先生の体を楽しんで、昼飯を食いに出た。
けだるげで色っぽい。
店員さんがいるときはしゃきっとしてるけど。
しっかり甘いものを食べた先生は気力を取り戻したようだ。
俺とごろごろして居たいらしい。
涼しくてなんとなくまったりと懐に抱いて夕方。
「ねぇ、今日うちで夕飯食べてくれるの?」
「そうだね、いただこうかな」
「じゃお母さんに言って買物一緒に行きましょ?」
「はいはい、なら着替えておいで。俺が連絡するから」
寝巻きから着替えさせてる間に八重子先生に電話し、化粧を直す間に俺も着替えた。
「さてと。行きましょうか」
「ええ」
玄関を出て歩きつつ会話する。
「何にしましょう」
「青唐辛子の炒め煮が食べたいわ。あなたが良く作ってるの」
「ああ、あれですね。メインにはなりませんよ?」
「んーしいたけの肉詰め?」
「いいですね」
「アスパラが食べたいわ」
「ベーコン巻にしましょうか」
などと献立を決めて買物。
帰宅して二人で台所に立った。
律君も帰ってきて食卓におかずを並べ、食事を取る。
ご飯を終え洗い物をしてから別れ、帰宅した。
明日もお稽古はある。
また逢えるからと。
そして、寝た。
あまりの暇さに溜息が出るような、今日の仕事。
早々に終らせてお稽古へ行ったが生徒さん方も夏ばて欠席。
急に涼しくなったから風邪を引いたり。
先生も昨日の晩からアレでお稽古も早めに終えて別れた。
翌日は金曜と言うのに暇で思いやられる。
まぁ先生も稽古に来られる生徒さんにお休みが多く休養に当ててるそうだ。
遊びに誘ったら却下されてしまった。
やっぱりなぁ。
明日はどうなんだろう。
まだ終ってないからだめ、か?
仕方ないけど。
暇すぎて疲れてなくて眠れない。
涼しいから散歩に出る気になった。
ぶらりと。
寄席、いくか。
行ってみると丁度、太神楽が始まるところだった。
久々に楽しんでゆったりとした気分で帰宅の途中、夕飯を取った
あとは寝るばかり。
先生も夕飯を食べたら寝るとメールしてきている。
こんな調子では明日は望むべくもない。
諦めて寝ることにした。
翌朝も涼しく、もう秋なのかなぁという気候。
涼しいものだからハモが売れない。
何本かを持ち帰ることにした。
マツタケも売れ残ったので回収。
途中、ごぼうを手に入れて稽古場へ。
八重子先生に手を触れないようお願いする。
「今日は何するの?」
「柳川と土瓶蒸です、そのつもりで他のおかずお願いします」
ちゃんと柳川鍋、人数分持ってきたんだよね。
「どじょうはちょっと」
「ハモでやりますからおいしいですよ」
「そう?」
「ええ。じゃ、水屋の支度してきますね」
土曜と言うのにやはり生徒さんが少ない。
今日は俺のお稽古を少し長めにしていただいた。
「山沢さーん、そろそろ作って頂戴」
片付けてると八重子先生が呼びにきて交代。
今日は下処理を済ませてきてあるので前掛けとたすき。
いつも作るように柳川に仕立てて順次熱々を食べていただく。
今日ばかりはそろって食べる、をすると冷める。
最後に先生と俺で食べた。
土瓶蒸もおいしくて、八重子先生の作るおかずもおいしい。満腹で幸せ。
先生も満足そうな顔をしている。
さてそのかわり洗うものは沢山だ。
頑張って洗い物をしていると先生がコーヒーをいれに来た。
「あら。いつもの、もうないわ」
「ありゃ、そろそろ買わないとですね。
 取敢えずその緑の、そうそれ。それなら割といけますよ。フルでも」
「じゃいれてみましょ」
お盆に三つ、カップを載せて帰っていく。
暫くして洗い終えた頃先生がカップを持って戻ってきた。
「これもお願い」
そういって洗いあがったお皿を拭いて仕舞い始めた。
ちゃんと手伝ってくれる。いらだったりはすまい。
一緒に拭いて仕舞って、居間へ戻る。
ゆったりと過ごす土曜の夜。
秋だなぁ、虫の音が。
蚊遣りを焚いて思い思いに…。
先生は半襟をつけている。
そういうのを眺めるのも好きだ。
ふとこっちに気づいたようだ。
「あんたのも持ってきなさいよ、つけてあげるわよ」
「いや、いいですよ」
「いいから持ってきなさい」
「すみません」
つけてもらう代わりといっちゃなんだけど、と肩を揉んであげた。
気持ち良さそうにしている。
律君が風呂に入って、八重子先生が入って。
先生と一緒に俺も入った。
アレは終りかけているようだ。
触っていたら怒られた。
舐めようとしたらピシャッと頬をぶたれた。
打ってからしまった、と言う顔をする。
無言で手を濯いで先生の体を洗った。
湯に浸かって膝に先生を乗せ、ゆっくり揉み解すと縮まりこんでいた体がほどける。
怖いなら気をつければ良いのに。
そろそろ、と出して俺も出た。
体を拭いてやって手早く寝巻を羽織らせ、始末をさせた。
それからゆっくりと俺も体を拭いて寝巻を着る。
その足で戸締りをし火の元の確認をして居間へ行き、八重子先生に先に寝ることを告げた。
先生が追随して俺と布団に入る。
俺は背を向けて寝た。
背中に先生の胸が当たり、手が俺のお腹に回される。
「ねぇ、怒らないで…」
「怒ってない」
「でも…」
身を起こした。
「悪いけど…濃茶、飲みたい」
「あ、わかったわ」
「いや、寝てて。自分で点てるから」
「点てさせて頂戴よ。ねぇ」
「ん。ありがとう」
先生と台所へ行ってお湯を沸かし、点てて頂いた。
「うまいな…」
落ち着く。
「飲む?」
半分を残して聞く。
「うん」
先生もおいしそうに飲まれ、置かれた。
「ごめんね、叩いて」
「いや…あなたが嫌がることしたのは俺だから」
ちょっとキスしたくなって軽くすると抵抗もなく俺の懐に入ってくれた。
茶碗を洗って片付け、寝間に戻る。
布団の上に座ると先生が俺の体のあちこちに触れた。
「なに?」
「冷えちゃったわね」
「あぁ。大丈夫、こうしてたら」
先生を懐に抱いてくっつく。
「ほら、暖かくなってきた」
先生が上気して、俺も少し興奮するから体温が上がる。
「さ、寝ましょう」
先生を寝かせて肌掛けをきっちり掛けて、俺ももぐりこんだ。
柔らかな体を撫でて寝かしつける。
心地良さそうな寝息に心が癒されて俺も良く寝れた。
朝になって先生と二人台所に立つ。
玉子焼きにたこさん・かにさんウインナー。
なんとなく作りたくなったらしい。
今日のおかずはお弁当に入ってそうなもので揃えられた。
律君も何で?と言う顔をしている。
いつも和食ばかり作ってるからたまには作りたいのか?
ま、おいしかったけどね。
食後トイレに行くとどうやら始まったようだ。
始末をしてから戻り、先生に甘える。
「どうしたの?」
「なんとなく」
適当にいなされつつまったりと休みを満喫。
律君は食後すぐ遊びに行ったらしい。
若いなぁ。
途中八重子先生によるあんかけうどんをお昼に頂いてのんびりと。
ついつい先生のどこかを触ってしまう。
夕飯の買物に出てる間もつい手を触ってしまって困った顔をされた。
流石にご飯を作っている間は触れなかったが。
食後辞去しようとしたら八重子先生に先生を連れて帰るよう言われた。
「いやお稽古は」
「明日もお休みの方多いから大丈夫だよ」
「しかし…」
「いいからいいから。じゃまた明後日連れてきてやっとくれ」
先生は慌てて外着に着替えた。
今日ずっと浴衣だったしね。
「車ですし着替えなくとも…」
「駄目よ、途中でどこか入りたくなるかもしれないじゃない」
コンビニとかスーパーとか?
明日の朝飯調達かなぁ。
取敢えず後部座席に乗せて発進した。
やはり途中のスーパーに入りたいと言われて駐車場へ入れた。
先生と大型スーパーは初めてのような。
商品を見て微妙な顔してる。
商店街で買ってる奥さんにゃ大型スーパーのものは悪く見えるんだろう。
値段も値段だけどね。
それでも吟味してあれこれ買って帰宅した。
「さてと、風呂入って」
「じゃお先にいただくわね」
冷蔵庫に片付けて、先生の寝巻きを出した。
タオルとバスタオル、生理用品を脱衣所にセットしてアイスコーヒーを作る。
すぐに先生が上がってきた。
「はい、これ」
「ありがと」
交代に風呂に入る。
俺が入ってる間に先生も俺のを用意してくれたようだ。
「すっきりしたわ~」
「さてと」
「ん? え、す、するの?」
「いや寝ましょう」
「良いの?」
「だってあなたまだ終ってないでしょう。それに俺明日仕事ですしね」
ほっとした顔してる。
そういうわけでベッドに連れ込んで寝た。
おやすみなさい。
朝、目が覚めてもっと寝ていたくて。
それでも仕事に渋々起きた。
先生のぬくもりが恋しいまま支度して出勤する。
やる気なく暇な仕事を終え、帰宅。
「お帰りなさい、早かったわねぇ」
「うん、ただいま。暇だった」
「ご飯まだ作ってないのよ」
「どこか行きますか?」
「買物してあるから。今から作るわ、待っててくれる?」
「はい」
風呂に入って温まる。
少し長めに入った。
上がると脱衣所にちゃんと用意してくれてあって嬉しくなる。
着替えてご飯を食べてゆったりしてると痛くなってきた。
ベッドに追い立てられて寝ているが寒い。
先生をベッドに引き込むことにした。
帯だけ解いて俺を抱きかかえて寝てくれる。
多分、子供みたい。そう思っているはず。
小一時間くらいして先生が音を上げた。
「暑~い…」
「あ、風呂入ってきていいですよ」
「大丈夫?」
「うん、そろそろ大丈夫」
「おとなしくしてなさいよ?」
俺の頭をなでて先生が部屋を出て行く。
浴衣が皺になって背中に汗染み。
よっぽど我慢してくれてたようだ。
暫くして上がってきた気配がして冷房の風が感じられる。
流石に暑いらしい。
俺も落ち着いたからもう一度入ろう。
起き上がって先生にそう言うと、その間に少し布団を干すといわれた。
布団乾燥機で良いと言って出せば変な顔をする。
「マットついてないじゃないの」
「あー…これは無しでできるやつですよ。こうやって…」
セットしてスイッチ入れといた。
シャワーに入って出てくると先生がその様子を観察している。
「何やってんですか」
「本当に乾燥できるのか気になって」
冬場、頭のほうから差し込むと足元が暖かくないことならある。
「一時間くらいかかるから。そんなとこにいないでこっち来ませんか」
「あら、やっぱり時間かかるのは一緒なのね」
「だけど手軽で無精者にはぴったりでしょう?」
「やぁね」
あはは、と笑って先生はおやつを用意してくれた。
先生は羊羹、俺には求肥。
甘くてうまい。
お茶を頂いてゆったりとする。
あくび、つられた様に先生もあくびをした。
手招いて床にごろ寝をする。
笑って横に添ってくれた。
うつらうつらして途中で目が冷め、乾燥機を送風にしてトイレへ行く。
また先生を抱っこして寝ていると先生のお腹の音が聞こえる。
…何時だ今。
時計を見れば5時過ぎ、そろそろ飯の支度をすべき時間だ。
そっと寝かせたまま台所に行き冷蔵庫を確認する。
朝の買物で夜の分は買ってあるのかな。
うーん、微妙?
何を作るつもりだったのかがわからない。
一応炊飯器を見るとご飯はある。
取敢えず肉が食いたい。肉。
起こすのもなんだからさっと着替えて肉屋に走った。
ヒレ肉3枚を買い、サラダになりそうな野菜をついでに八百屋で買う。
急ぎ戻ってそっと玄関を開けるとまだ寝ている。
よしよし。
できるだけ静かに支度をして肉を焼いていると匂いで起きたようだ。
「んー…いつのまに起きたのー?」
「さっきの間ですよ。と言うことでステーキとサラダです」
3枚焼いてサラダもたっぷり。
あとはスープ。
定番定番。
机を拭いて配膳し、先生を座らせた。
「おいしそうね、いただきます」
「いただきます」
サラダから食べるから先生は太りにくいんだろう。
んー、うまい。
俺は勿論、肉から。
途中先生がお箸を置いた。
どうしたんだろうと思うと冷蔵庫から何かを出して温めている。
「はい、これ。食べなさい。サラダじゃ体冷えるわよ」
南瓜と大根の炊いたん。
いつのまに作ってたのだろう。
「お昼に間に合わなかったから出さなかったの」
「でも肉と合わな」
「黙って食べなさい」
「…はい」
好き嫌いは許しません、のお母さんモードだ。
サラダも煮物も食べて肉も食べる。すっかり満腹。
煮物がないつもりだったからちょっと多かった。
洗い物を先生がしてくれてしばしくつろぐ。
水仕事を終えて懐に来た。
「ねぇ…していいわよ」
「終った?」
「多分…」
キスして、といわれて軽く。
それからしっかりと。
ゆっくりと脱がせて抱く。
今日はそんなに疲れさせてはいけない。
明日、お稽古だからね。
「一週間くらいうちに居て欲しいなぁ。たっぷりかわいがってあげるのに」
「そんなの、無理よ…死んじゃいそう」
「大丈夫。あなたの限界、もうわかってるから」
ほんの少し超えさせるけどね。
「さてと。そろそろ寝ましょうか」
トイレに行ったり寝床の支度をしたり。
布団乾燥機を仕舞って寝巻きを着た。
ベッドに二人、潜り込む。
「乾燥、ちゃんとしてるのねぇ」
「いいでしょう? 簡単で」
肌掛けにケットを足して寝る。
そろそろ朝方は肌掛けだけでは冷えるだろう。
ワッフルケットが好きだけど、先生は顔に跡がつく、と言う。
年々跡が残り易くなっているとは言うが…。
どうせつけるなら縄の痕を付けてあげる、と言うと困った顔をしている。
「お母さんに見えないようにするの、大変なのよ?」
「見えても良いじゃないか」
「いやよ恥ずかしい」
「可愛いな」
沢山キスをして愛してると言うと嬉しそうだ。
「好きだよ。このまま閉じ込めておきたいほどにね」
頬を赤らめているのがまた可愛らしくて、良い。
でも実際閉じ込めて置いたら先生、壊れる。壊しちゃうからやめておこう。
壊すより清楚なままがいい。
そのまま寝かしつけて一緒に寝た。
先生の寝息が熟睡の気配に変わる頃、そっと股を広げさせ鋏で白髪の陰毛を切る。
根元から一本一本より分けて。
いま瓶を出して仕舞うとばれた時が怖いので紙に包んで引き出しに隠した。
それから暫く先生の股間を舐めていじって楽しんでから寝直す。
朝方起床し、穏やかに寝ているのを見つつ支度を整え出勤。
暇な暇な仕事でやる気が出ないが帰れば先生が待っていてくれる。
そう思えばやる気も少しくらいは沸く。
何とか定時。
帰宅してすぐ先生を乗せてひた走る。
「お腹すきましたね」
「そうね、お母さん何作ってくれてるかしら」
バックミラーに映る先生と会話しつつ、先生のお宅へついた。
「先食べる? お風呂?」
「臭いでしょう?」
「…そうね、先にお風呂入ってらっしゃい」
ふっと笑って風呂を借りた。
手早く濯いで浴衣を引っ掛けて居間に戻れば先生方が食べている。
「おいしそうですね」
「はい、ごはんどうぞ」
先生がよそってくれて、いただきます、と食べた。
うまいなー。
飯を食い終えるがまだ先生は食べている。
さっさと水屋の支度をしてから用を足して着替え、生徒さんを待つ。
いつものように生徒さんが来て先生が入って、スタート。
今日は夏も終わり、と言うことで風炉の平点前を。
基礎大事だからねー。
拝見時の会話などの指導をされた。
皆さんを見送ってから夕飯を頂いて先生方がお風呂に入り、そして就寝。
先生を抱こうとすると鼻をつままれた。
「ん?」
「またここ、切ったでしょ」
自分の股間を指差してそう言う。
「あはは、わかりましたか」
「白髪、有ると嫌なの?」
「嫌じゃないですよ」
さわさわ、と先生の脇をくすぐる。
「きゃっ」
「ここにもあって問題ないですし」
「もうっじゃなんで切るのよ」
「んー、自分にあるとげんなりしません?」
「するけど」
「なので」
なんとなく程度に納得された。
と、言うことで…抱く。
声が出ない程度に気をつけつつ少し責めて。
先生の荒い息が寝息に変わる頃、一度トイレへ行ってから俺も寝た。
一人台所をするいつもの朝。
先生はいまだお休みだ。
いつものように朝食を食べ、今日は草むしりをしっかり目に。
ちょっとサボったものだから酷い有様だ。
汗だくになってお昼、おにぎりを縁側でいただいた。
お漬物と汐吹き昆布がうまい。
麦茶で潤って再開、気づけば先生は買物に出てしまったようだ。
晩飯何かなー楽しみだなー。
先生の作る飯はうまいから期待しつつ、草をむしった。
頑張っていると八重子先生から声がかかった。
そろそろ片付けてシャワーを浴びたら、と。
甘えて片して縁側から上がる。
「洗濯するから頂戴」
八重子先生に脱がされて風呂へ。
気持ち良いー。
汗が冷えるまでに風呂に入るのがやっぱり良い。
さっぱりして着替えて食卓へ。
あっさりと肉のタタキや酢の物などでお夕飯をいただいた。
冬瓜もせめて一切れと言われて食べた。
おいしいんだけどね…。
後片付けをして昨日の服を持って帰宅した。
家に着いて昨日出た時は気づかなかったけど…。
合掛布団に換えられていたようだ。
疲れさせないように、と思ったが全然余裕だったか。
苦笑して布団にもぐりこんだ。
糊のきいたシーツ。俺が帰ってくるまでに干して取り込んだらしい。
うーん。
昨日もうイッパツしとくべきだったな、うん。
取敢えずは寝ることにして布団にもぐりこんだ。
あけて木曜日、暇だなぁ。
仕事をなんとなくこなしてお客さんと喋る。
どこも暇そうだ。
一週間くらい休んでみたいなぁ。
そういうわけにもいかないから仕事をこなして帰宅した。
シャワーを浴びて先生のお宅へ。
いつものようにお稽古をして、飯を食って。
日常。
「あ、そうそう。あんた今度の土日熱海行かない?」
「はい? 熱海ですか?」
「これこれ、いただいたんだよ」
展覧会の券だ。
「先生方で行かれませんので?」
「どっちか残ってないとお稽古あるからね」
「と、仰るという事は先生とでいいんですか?」
「いっといで」
「日帰り?」
「お泊り」
やった!
「ホテル、取ります」
タブレットを出して検索する。
さすがに近日で良い宿と言うのは少ないが部屋露天付を見つけ、部屋を取った。
先生が台所から戻ってきたのでその話をする。
「あら、温泉? いいわねー」
「いやメインは展覧会ですから」
「そういえばあんた前に広島に出張って言ってなかった?」
「あれは別の営業が行きたいって言うから代わりました」
「そうだったの?」
「ええ。先生と一緒なら断りはしませんでしたが」
その後しばしお喋りをして旅行の段取りを決めてから帰った。
翌朝出勤し社長に旅行へ行くと話しを振ると二泊したら? と言われた。
この暇な折、一日くらい何とかなると。
仕事が終わったあと宿に連絡して部屋を一度キープしてもらい、八重子先生に電話した。
部屋も空いてて仕事が休める、と話すとすぐにOKが。
久しぶりに堪能できそうだ。
気分良く昼寝をして夕飯を食べて。
荷物の用意をした。
俺の分は今日のうちに宿へ配達を依頼、先生の分は俺が持てば問題なかろう。
楽しみだなぁ。
楽しみすぎて少し寝つけない。
先生もそう思ってくれてるだろうか。
うつらうつらと寝て、翌朝仕事に向かう。
土曜なのにそんなに荷物は動かない。
連休が控えているから仕方ないが。
カマスが高いなぁ。
9月になったら皆使うから。
高いわ売れないわでどんよりとしつつ仕事を終えた。
帰宅して風呂に入り着替えると先生が来た。
「お邪魔するわよー」
「いらっしゃい。飯食ってきた?」
「まだなの。どうする?」
「時間まだあるし喫茶店でも行きますか?」
「そうね」
近所の喫茶店で軽食を取り、一旦帰ってトイレを済ませて電車へ。
乗車すると先生は俺にもたれて寝てしまった。
昨日寝れなかったのかな。
寝顔、可愛いな。
なんていつまでも見ていたいけど熱海は近い、あっという間についてしまった。
先生を起こして駅から出た。
熱海は以前と変わらない…そんな気がする。
先生がそっと手を組んできた。
ゆったり歩いて宿へつく。
先生は気に入ってくれるだろうか。
部屋に通されて、あちこち見て。それなりに満足してくれたようだ。
早速、と部屋の湯に入られた。
幸せそうで嬉しくなる。
ちゃぷちゃぷと湯面を揺らすさまはなまめかしく、美しい。
夕飯まで結構に時間が有るから海岸へ行こうという話になった。
砂浜に下りるのを躊躇している先生にハイ、と渡す。
「なぁに?」
「履いて歩いてごらん」
見慣れぬ形の下駄を履いて歩くと砂浜に肉球が。
「あらあら、面白いもの見つけてきたわねえ」
「でしょ? どうせ海行くならって思って」
さくさくと踏みしめつつ歩いて適当な所で腰を下ろす。
懐からアルミシートを出して敷いて貰った。
最近手に入れたこれはがさがさしないから重宝だ。
「海なんて久しぶり…」
「俺も」
そっと先生が俺にもたれかかる。
軽くキスをするとこんなところでだめ、と言われた。
だけど逃げようとはしてないのが可愛い。
暫く抱き締めゆっくりとして、それからまた散策した。
足を波にくすぐらせ、楽しげだ。
娘さんみたい。
可愛くてニコニコしてると水掛けられた。
慌てて避けると先生が笑ってる。
そのままじゃれてそろそろ帰ろうか、ということで足を濯いで拭き、元の草履を履かせる。
俺は別に気にならないから濡れた下駄で戻った。
まだちょっと時間がある。
大浴場に先生と行くことにした。
幸い女湯には人影もない。
脱いで風呂に入り先生をくまなく洗ってあげた。
先生も俺の背を流してくれる…ついでに乳を触るんじゃない。
「こら、遊ばない」
「うふふ」
さっさと洗って湯に浸かる。
「うー…」
「そんなに熱くないでしょ?」
「熱い」
「そう?」
ぐいぐいと湯の出口に引き寄せるのはやめてくれ。熱いって。
湯をかき回すなっ。
唸ってるのに楽しげにしてる。
後でいじめちゃうぞ。
湯上り、先生が着替えて汗を拭いてるのが色気があって良いなと眺めてると叱られた。
「ほら、早く着なさい、いつまでも裸でいるんじゃないわよ」
「はーい」
「それとも着せて欲しいの?」
「いや、自分で着ますよ」
ぱぱっと着て、着たらすぐに出る。じゃないと他の人が来るとね。
夕食はやはり土地柄、魚尽くし。
俺は先に言ってあるから白身の魚と肉少々。
豪華さは先生のほうが見るからに。
おいしそうに食べてるのを見るだけでも幸せだ。
お酒を頂いてほんのり酔って部屋に戻れば布団は一つ。ダブルだね。
先生は少し頬染めている。
食後すぐはいやだと言ってたから少しのんびりとテレビを見たり。
良い感じで緊張感がなくなり俺にもたれてきた。
「そろそろ、いいね?」
「はい…」
着たまま、その場でゆるりと乳を揉んだり、太腿をまさぐったりして。
息が熱くなってきた。
「脱ぎなさい」
そっと立って帯を解き、紐をほどき脱ぐ。
「綺麗だ…」
色っぽくて、もうすぐにでも押し倒したくなる。
胸と股間を隠している手を後ろに組ませ、足を開くよう言った。
躊躇しつつも開く。
「いい子だね」
軽くキスしてやり、布団へ寝かせる。
ゆっくり焦らせつつ囁く度に指に先生のものがまとわりつく。
「早く…、ねぇ、お願い…」
「ペニバンでもいいのかな?」
「ぅ、それはいや…」
きゅっと太腿を閉めちゃってる。
「ふふ、持ってきてないよ」
ほっとしたのか太腿が緩んだ。
「あっ」
と言うことで指を入れて玩ぶ。
声が出すぎない程度にいじめて満足して寝た。
翌朝、のんびりと布団の中でまどろみ、朝風呂。
それから朝ご飯を頂いて、身づくろいをした。
きちっと装った先生は綺麗で手を出せない感じがする。
俺も先生に格を合わせて整えた。
「用意、良いかしら。行くわよ?」
「はい」
車に乗って移動し、入館する。
「ねぇ、先生。ここ覚えてます?」
「…覚えてるわ」
「もうすぐ、こうなってから一年経ちますね」
「そうね…こんな関係になるなんて思ってなかったけど」
「色々ありましたね」
「喧嘩も随分したわねぇ。あなた拗ねて出て行っちゃったり」
「最近も…俺が苛々しちゃったりして。ほんと酷い奴だな、俺」
「…でも好きよ」
手を握られた。
嬉しくて照れくさい。
「Hが?」
誤魔化したらバッグの角で叩かれた。
「わっ、暴れない暴れない」
「もうっ、ばかっ」
「拗ねないでくださいよ。俺も好きですよ」
そんな会話をしつつ展示室へ歩き、閲覧した。
先生は絵にはそこまで興味はないらしい。
残念ながら俺もあんまり。春画なら見るが。
まぁそれなりに楽しんでお昼を頂いて。
後はそのまま帰るのも、と仰るので熱海城へ行こうかと思い立った。
ロープウェイの券を買う時気づいた。
秘宝館…これは入らねばなるまい。
往復券とともに購入してロープウェイに乗る。
ぐんぐん上がるロープウェイの中から見る熱海も良いね。
すぐついたけど屋根に秘宝館と大きく書いてあるのがまたなんとも。
そのまま手を繋いで連れて入ろうとしたら抵抗された。
「まぁまぁ、そう仰らず」
引き寄せて連れて入った。
恥ずかしがったりドン引きしたり。
俺にはシュールにしか見えないものに反応してる先生のほうが面白い。
特におみくじは笑えた。
「こんなの持って帰れないわよ、どこかで捨てて頂戴よ」
お願いされてしまった。
「やぁさすが昭和って感じでしたねえ」
「もー、こういうのやめてちょうだいよ」
「うんうん、あなたが可愛かった。楽しかったですねー」
「ばかっ」
「ここ、まだエロくないからいいんですよねー。笑い飛ばせるもの多くて」
ほら、城。行きましょう、と手を引いて連れて行く。
「あら、綺麗ねぇ」
引き寄せてキスした。
「こら、こんなところで…」
「人、いないし」
抱きたくなっちゃって困ってしまった。
さすがにここではちょっとそこまでは出来ない。
気づいた先生が宿に戻ろうと促した。
優しいな。
今度は俺が手を引かれてロープウェーに乗り、バスに乗って戻った。
「お帰りなさいませー」
旅館に着いて部屋に入る。
布団は敷かれてないけれど、脱がせ、抱いた。
一度抱いてしまいさえすれば落ち着いて、先生を部屋の露天風呂に入れる。
「よく我慢できたわね」
ほっこりした先生から頭をなでられた。
「余裕ですね、夜はもうちょっと激しくても良さそうだ」
「だーめよ、うふふ」
もう一度キスして風呂から上がってもらう。
拭いてたら自分からキスしてきた。
「ほんとキス好きですね、あなた」
「ほほほ」
笑って着替えに立っちゃった。
「もうそろそろお夕飯かしらね」
「あ、そうですね」
「じゃあんたも着替えなさいよ、早く」
「はいはい」
さっと着替えて先生と夕飯を食べに行く。
今日もうまそうな食事で、連泊だからちゃんと料理が違う。
安い宿だと同じ物が出るんだよな。
先生の嬉しそうな顔、良いね。
お酒は女泣かせ、またこいつか。
先生がちら、と俺を見る。
この銘柄をと俺が頼んだわけじゃない。
おいしい奴、と頼んだだけだぞ。
食事と酒に満足して部屋に戻った。
「ねぇ、散歩しない?」
「いいですよ」
そのままではひんやりするので、と羽織を着て外を歩く。
また、海岸へ。
さく、さく、と歩く先生の顔が月に照らされて美しい。
「綺麗だ…」
「いい月夜ねぇ」
「あなたがですよ」
先生の頬に朱が差して、恥ずかしそうだ。
「あ、そうだ。重陽の節句、やるんですか?」
「ん?」
「菊酒、被せ綿、菊湯に菊枕。あとは栗ご飯でしたっけ」
「あ、お風呂に菊の花を入れたり、おかずに散らしたりはするわよ」
「やっぱりするんですねぇ」
「それより覚えてる? お花。床の間のお花も菊をいけるのよ」
「そういえばそうだったような…」
「ちゃんと五行に添っていけるの」
「五行…お花にもあるんですね」
「お稽古の日も今度は当たるから御菓子も菊の形のものになるわね」
「いいですね」
「あなたの分のお干菓子もお願いしてあるわよ」
「嬉しいなぁ」
抱きついたら恥ずかしがってる。可愛い。
「体、冷えてきてますね」
「そう?」
「お風呂、一緒に入りましょうか」
うん、とうなづき先生は俺を従えて宿へ戻った。
大浴場は数人先客が。
脱衣所を先生が覗き込み今なら大丈夫と呼ばれ、急いで脱いだ。
それから入って先生の背中を流し、自分も洗って湯に入る。
「あぁ良い気持ちねえ」
そう言いつつ、俺が他の人を見ると水面下でつねる。
おばあちゃんの裸を見たからとつねられるのは勘弁して欲しい。
露天風呂にも入る。
月の下で見る先生の裸身は美しい。
これが外ならばきっと羞恥もあって色っぽくなるに違いない。
暫くして先生がもたれかかってきた。
「ねぇ…」
「ん?」
「他の人、見ないで」
「はいはい」
可愛い嫉妬だ。
そっと湯の中で膝小僧をなでる。
「だめよ…こんなとこで。他の人が見たらどうするの」
「足を開いて」
「そんなの…無理よ…」
くくっと笑いつつ膝裏をくすぐる。
「ね、もう上がりましょ。お願い、やめて」
「騒ぐと注目されますよ」
「でも、やだ…お願い、ねっ、上がりましょ」
「可愛いなぁ、本当に」
笑って引き上げて風呂から上がった。
すっかりされるがままに先生はバスタオルで拭かれてる。
少し股間がぬめっているのも確認した。
浴衣を着せて、それから俺の身仕舞いをする。
先生の手を引いて部屋に連れて入った。
布団が敷かれている。
「ちょっと飲みましょうか」
「そうね」
すぐに脱いでするのはやはり抵抗があるようだ。
軽く飲んでそれから脱がせた。
膝の上に乗せて、先生の手を持って自身の手で胸をなでさせる。
股間も同じように。
「ほら、自分でいいところ探って」
三つの突起を弄るのは何とか出来るようだが指を中に入れるのは抵抗があるようだ。
入れさせて、自分で良い所を探らせた。
自分の指で気持ちよくなる、と言う恥ずかしさに耐えかねて。
抱いて欲しいとお願いされた。
もう少し焦らしても良いけれど俺も焦れているから体位を入れ替えて抱いた。
二度逝かすと満足したのか眠そうだ。
キスを交わし背をなでると寝てしまった。
少し熱が冷めるのを待ち、掛け布団を着せて俺も寝た。
朝になって先生と風呂に入り、朝食を頂いて帰る用意をする。
ニュースを見ていると今日は白露、十五夜らしい。
「今日もうち、来る? 明日にする? お月見する予定だけど」
「行って良いですか」
「勿論よ」
うちで見るよりきっと先生のお宅のほうが綺麗に見えるだろう。
荷物を送ってもらい、宿泊費の精算をしてチェックアウト。
早く帰らねば昼からの稽古がある。
お昼は駅弁だっ。
電車に揺られて先生のお宅へ。
「ただいまぁ」
「お邪魔します」
「あら、お帰り。早かったね」
「着替えてくるわー」
「これ、お土産です」
「はいはい、ありがと。昼のお稽古、一人お休み。1時半からだよ」
「あ、じゃ俺も着替えてきます」
「お昼は食べたの?」
「はい、駅弁で」
部屋に行って稽古着に着替え、小用を済ませて水屋の支度をした。
上級の方ばかりなので俺は見学。
混ぜるな危険。
やはりいつもの日と違い、問答が細かい。
新鮮で聞き入ってしまったり、みとれたり。
いつかこの中に混ざれるのかな、精進しよう。
お稽古も終り、夕飯を頂いてお月見を。
団子を供えて一つはいただいた。
早めに今日は帰宅し、また明日と。
翌朝出勤し、土産を配る。
魚屋だけに魚を土産に出来ないのが難だ。
火曜らしく暇で、半分くらいはお客と喋って今日の仕事終了。
帰宅してお稽古に向かう。
玄関先から既に菊の香りが漂う。
今日は花の稽古はないからと茶室や部屋、玄関にしか飾ってないそうだ。
いつものようにお稽古を済ませ、今日はお風呂もいただく。
菊が入っている。
湯の中で「菊のませ垣、七重八重菊、御所御紋の菊は九重♪」
などと歌っていたら先生が変な顔をしている。
「菊づくしって曲ですよ」
「色んな事知ってるわねえ」
「三味線弾くの知ってるでしょう?」
「あら、そうだったわね。忘れてたわ。最近は弾かないの?」
「あなたのことでいっぱい一杯ですよ」
「やぁねぇ、ほほ」
「さ、背中流しましょう」
「ありがと、おいたは駄目よ?」
「はいはい」
背中を洗ってあげて一緒に風呂から出た。
浴衣を素肌の上に羽織り、腰巻をつけるのを見ていると早く着替えるよう叱られた。
綺麗なものに見とれて何が悪い。
その後、寝る段になって布団へ入り、胸を触ってると先生が寝てしまった。
またか…。
しょうがないなぁと暫く感触を楽しんで諦めて寝た。
翌日はいつものように食事の支度や家事をして夕方帰宅した。
旅行中の洗濯をしなければ。
普段のように何事もなく木曜、金曜が過ぎた。
今朝は連休前と言うことで忙しく、流石に稽古には間に合わない気がする。
電話を入れた。
衝撃の事実、今日はお休みらしい。
言ってなかったっけ、って聞いてないよ。
まぁ気を楽に仕事できるけどさ。
終ったらもう一度電話しよう、逢いに行って良いか。
仕事を終えて帰宅して、でもなんだか気が乗らず動画をDVDに焼く作業を始めた。
ぼんやりと眺めつつ。
画面の中では鞭打たれ、赤くなるどころか青痣を量産していたり、
陰部を縫われ出血している女性たちの姿。
悲鳴が心地よい。
久々に風俗へ行きたくなったものの、行って行為をすれば一ヶ月は先生と出来なくなる。
キスも出来ないとか後悔するのわかってるしな。
少し不満に思いつつ。

拍手[0回]

h35

さてさて出勤。
魚、ほとんどないなぁ。
流石に台風。
こちらのほうに対して影響はなかったものの、波が高く出漁してないようだ。
客いわく野菜も駄目みたいで高いそうだ。
昨日の当てが外れた分、今日買わなきゃいけないほどの事もないようで売れない。
暇じゃないか。
仕事を終えて帰宅したが疲れてないから眠くもなく。
かといって外を散歩するのは暑い。
先生の家のあたりはもっと涼しいからなぁ。買物も行けてたけど。
少し縫い物繕い物を片付けるか。
それと掃除もしようか。
とりあえず繕い物をしなきゃ。ズボンの裾がほつれてるんだよな。
ミシンが使えればこんなものは一瞬なんだろうけど。
そう思いつつ絎けて。
縫い物する気力も掃除する気力も丁度失せた。
針をきちんと片付けてベッドに潜り込む。
お昼寝しよう。
あまりよく寝られずうつらうつらと。
何かだるい。
先生からメールがきた。
お夕飯の写真。
今日はだるくて素麺です、とある。
先生もどうやら具合がよくなく、早めに寝るそうだ。
明日早めに行けるようなら行った方が良いな。
俺も何か食って寝よう。
冷蔵庫を漁って常備のおかずで食った。
ベッドに潜り込めば先生がお風呂から膝の写真……なんで膝?
なんとなく、だそうだ。
良いけど。十分萌えられるし。
おやすみなさいの挨拶を交わし、先生よりは早く寝た。
翌朝は少し荷物が回復してきてはいるものの…少なくはある。
ハモが売れ残りそうなので数本持っていくことにした。
早めの帰宅、それから移動。
車で先生のお宅に着いて台所へ置いた。
居間でくつろぐ先生方に挨拶。
「それで土間に発泡の箱があるんですが絶対触らないでくださいね。噛まれますから」
「何持ってきたのよ。噛まれるって」
「ハモですよハモ」
納得された。
「で、体調どうです?」
「まだだるいのよね。お母さんも」
「生徒さんもそうみたいでキャンセル3人だよ」
「やっぱり台風の影響でしょうかね、気圧が一気に上下しましたし」
「そうなのかしら」
「やりくりしたから今日は3時くらいにあんたのお稽古して、仕舞うからね」
「あ、はい。そんじゃそのあと飯の支度、俺やりますよ」
「ご・は・ん。よろしくね」
「あー。…はい」
八重子先生が微笑んでる。
とりあえず支度をして先生を待つ。
若い方は流石に元気だが若くない方は夏の疲れもあるのかな。
茶杓を取り落とされたりふらつかれたり。
お稽古は軽め軽めに流して行くことに。
俺へのお稽古も復習程度だ。
さっさと水屋も片付けて着替え、食事の支度に台所へ入る。
先生方は遅い昼寝。
指定のメニューの下拵えをしてそれから土間の箱を外で始末する。
噛まれないよう〆て神経抜きで一本ずつおとなしくさせた。
シンクでかねたわしを使いぬめりを取り、板の上で一本ずつ開いて腹をあけ背骨を外す。
うん、まだ綺麗な色をして身も蠢いている。
すべて処理してナイロン袋に生ごみを密封した。
板を一度よく洗い、それから骨切りをする。
串を打ち、七輪へ乗せた。
細いハモは湯引き用に切ってある。
焼ダレを持ってきた箱に入れ、刷毛をセットした。
待つ間に今日の料理をして行く。
なぜか豚汁。
暑いときは熱いものを、なのかな。
他にいくつか作ったころ下焼きが出来た。
たれを塗っては焼くこと3度。
ん、良い感じだ。
9割方仕上がってご飯も炊けた。
食卓を片付け先生を起こして配膳する。
あとは湯引き。
律君と孝弘さんも出てきたようだ。
お櫃と湯引きの皿を持って出る。
先生は…ぼんやりしてる。
八重子先生はまだ寝てるか、しょうがない。
かわりにお櫃からご飯をよそって渡す。
「あ、ありがと…」
半分寝ぼけつつご飯を食べてる先生と言うのも結構可愛くて好きだが多分消化に悪い。
暫く食べているうちに先生が煮豆を取り落とした。
お箸を持った手を机に置いて止まっている。
「…寝てきます?」
「あ、ごめんなさい、食べるわ」
「お母さん寝たら?」
「変な時間にお腹すいちゃうじゃない」
「食べさせてあげましょうか」
ビクッとして慌ててる。
「良いわよ、自分で食べるから」
ちょっと目が覚めたようだ。
それでも食べている口が止まったり、お箸が止まったり。
「もうご馳走様にしたらどうです?
 どうせ八重子先生もお腹すくと思いますから一緒に食べたら良いじゃないですか」
「んー…そうするわ」
お箸を置いた。
「律君、ちょっと布団敷いて来るから」
「あ、はい」
急いで布団を敷いて先生を呼びに戻ると床に崩れてる。
「ありゃ」
「お母さん、布団で寝てよ」
「ぅーん…」
ひょいと抱え上げて寝間へ連れて行って布団に押し込める。
「ん、キスして」
「はいはい」
軽くキスをして寝かしつけて食卓に戻った。
あぁ…いない間に俺のお茶碗のご飯まで食われてるし。
「ごめん山沢さんっ。止めたんだけど」
「いいよ、いいよ。どうせもう一度炊くから」
「ハモって結構おいしいんだね」
「これついさっきまで生きてたからね」
「え、そうなの?」
「うん、八重子先生には触らないようお願いしてあったんだ」
「おばあちゃんじゃ料理できない?」
「じゃなくて噛むんだよ。コレ。もれなく化膿する」
「ええっ」
マジマジと見てる。
「結構魚って毒があったり噛んだり刺したり。だから手がね、傷だらけになるんだよね」
「道理で…」
ご馳走様をして台所を片付ける。
先生方の分は取り置いてあるから問題なし。
ご飯を3合炊く。明朝の孝弘さんのオヤツに消える予定。
さて、居間に戻ったところで俺一人か。
とりあえずコーヒーを入れた。
ぼんやりとしていると眠い。
身を起こして戸締りを確かめ火の始末をする。
いつ寝てもいいように。
律君達が風呂に入り、呼びに来た。
入っておくか。
軽く汗を流して出てくると八重子先生がおきていた。
「お腹、すいちゃってねぇ」
「ちゃんと取置いてありますよ」
ご飯をよそっておかずとお盆に載せ持ち出した。
並べる。
「うなぎ?」
「ハモです」
割としっかり目に食べられて、それからお風呂へ入られた。
一応出てこられるのを待って寝間へ引き上げた。
先生の寝息。
気持ち良さそうだ。
横にもぐりこむと先生が寝返りを打ち、俺の胸を枕にした。
髪が触れて少しくすぐったいが眠気に負けた。
おやすみなさい。
夜半先生が起きた。
「どうしました?」
「どうしよう…お腹すいちゃった」
「まだご飯あるよ。食べる?」
「こんな時間に? 太るわ」
「でもおなかすいたままでは寝らんないでしょう」
うーん、と悩んだ挙句やはり食べることに決めたようだ。
先生が先ほど手をつけそびれたおかずを並べる。
「あら、ハモ? おいしそうね」
うふ、とか笑って食べてる。
「そういえば。お母さんは食べたのかしら」
「あ、俺が寝る前に」
ギシギシと廊下が鳴る。
「電気ついてると思ったらこんな時間に食べてんの?」
「だってお腹すいちゃったんだもの。あんたもなんか食べる?」
「いらない…水飲みに来ただけだし」
そういって台所に行って部屋に帰っていった。
「ごちそうさま」
「お粗末さまでした」
暫くゆっくりしてから寝間へ引き上げることにした。
先生が歯を磨いてきて俺の懐に潜り込みキス。
かすかに歯磨き粉の味。
何かしようか、と思った途端のあくび。
「ごめんね、まだ眠いの」
諦めて再度寝かしつけた。
朝になって先生はゆったりと俺の懐で眠っている。
見ていると幸せな気分だ。
安心しきって俺にすべてを預けているようで中々に気分が良い。
もう少しこのままでいよう。
暫くしてもぞもぞと先生が動く。
あ、目を開けた。
「何時?」
かすかに唇が動く。
「6時ですよ」
「あら、もう起きなくちゃ」
先生が身づくろいしている間に先に台所へ。
さてと朝ご飯を作ろう。
うざく、じゃなくてハモと胡瓜の酢の物。コレは俺のだけ茗荷なしで。
…あじの南蛮出すつもりだったの忘れてた。
魚の酢の物2種? うーん。
先生が出てきたのでどうするか聞く。
あじは昼にまわすことにした。
先生が冷蔵庫を見てあれこれ指示を出すのに従って朝食を作った。
「律ーごはんよー」
八重子先生が律君を呼んで、律君がお父さんを起こしに。
おいしくいただいたら今日は平日、家事をせねば。
風呂も洗い、茶室の掃除に庭掃除。
途中にお昼ご飯をはさんで掃除をする。
明日からは人出入りが多いだろうから居間と客間も丁寧に。
まだまだ手を掛けたかったが先生がそろそろご飯にすると仰る。
配膳を手伝い男共を呼ぶ。
「そういえばさ、律君は海行かないの? 夏だけど」
「いやぁ海ってなんか怖いじゃないですか。色々とね」
「あぁ…色々ね、うん」
孝弘さんも席に着いた。先生がお櫃を持って出てお夕飯。
「お待遠様~」
お、肉だ肉。
俺にだけ。
嬉しいなぁ♪
がっついてると先生がにこやかだ。
しっかりと平らげて明日への体力の保持。
早めに帰宅した。
翌日の出勤はいつもより1時間早く、他の社員たちも同じ時間に出てきて眠そうだ。
盆前と言うことで忙しく気づけば10時を過ぎているがまったく仕事は減っていない。
次から次へと来る仕事をこなして終わったのは3時過ぎ。
やれやれと帰宅した。
お昼を食べて暫くしても山沢さんが来ない。
「来ないわねぇ」
「ん?」
「山沢さん。いつもならそろそろ来るのに…」
「あんたお盆の間は来ないって言ってたじゃないの」
「そういえばそう言ってたかしら? でも今日は木曜よ」
「お稽古がなきゃ来ないだろ」
来ると思ってたから昨日見送りにも立たなかったのに…。
しょげてたら姉さんが来た。
「ただいま。久しぶり。おもて暑いわねえ」
「おかえりなさい。ほんと暑くてお買物とかつらいわよね」
「これお仏壇のお供え。律ちゃんは?」
「学校行ってるのよ」
「お休みじゃないの?」
「なんかあるんですって、しなきゃいけないこと」
「いつも片付いてるわねぇこの家」
「山沢さんが昨日気合入れて掃除してたからかしらね」
姉さんに冷えた麦茶を出しておしゃべり。
「あらあんた掃除もさせてるの?」
「そのかわり私が山沢さんの家掃除したりご飯作ってあげたりしてるわよ」
「今日は来てないの?」
「そうなのよ…」
「お盆だから遠慮するんだってさ」
「おうちに帰られるのかしらね」
「ううん、ずっと出勤ってぼやいてたわ」
「あらー、大変ねえ」
久々に姉さんと沢山おしゃべりして楽しく過ごし、お夕飯を作る。
玄関から物音。
覚兄さんかしら。
玄関に出てみたら山沢さん。
「あら」
「先生…」
がばっと抱きつかれれちゃった。
「ちょ、ちょっと、こら。重いわよ」
危なく押し倒されるところで姉さんが出てきた。
「あんたら何してるのよ」
「うぅ? あーこんにちは、斐さん」
「もうっ暑いから離しなさいよ」
「やだ」
「やだじゃないのっ、ほらっ」
唸りながら離れてくれた。
「この家やっぱ涼しい…」
「今日来ないんじゃなかったの?」
連れて居間に入る。
「昨日帰る前に晩飯のリクエストしたじゃないですか」
「…あらそうね」
お母さんが笑ってる。
「いつもより遅いから…」
「ああ、久々に15時間仕事したもんで。つっかれた…」
「家で寝てたらよかったのに」
「先生のご飯食べたいんですもん」
可愛いこと言うわよね。
「あ、でも来ないつもりだったからリクエストに沿えてないわよ」
「まじっすか」
「まぁ良いわ、なんか作ってあげる」
山沢さんを置いて台所へ。
「姉さん、冷蔵庫に牛肉あるの出してくれる?」
「はいはい、これでいい?」
なにしようかしら。
他のおかずの余ってるもの…大根があるわね。
ピリ辛でいためましょ。
銀杏に薄切りして一緒に炒めれば良いわ。
あとはピーマン1個あるからそれも。
「ねぇ絹?」
「ん?」
「山沢さん、いつもあんなことするの?」
「んー、普段はしないわねぇ。疲れてるとくっつきに来るわよ」
「子供みたいねえ」
「そういうと怒るのよ~」
「ますます子供みたいねぇ」
「私いないとお母さんにくっついてるわよ」
「そうなの? あらー」
「寝ててもしがみつかれるからお母さんは一緒に寝るの嫌なんですって」
「あんた大丈夫なの?」
「私? たまに暑い重いって蹴っ飛ばしてるらしいのよね」
山沢さんが畳の上で寝てたこともあるわね。
多分あれは私が追い出しちゃったんだと思う。
一応布団は譲ってくれてるらしくて。
「山沢さんは別に律でも良いって言うけど」
「さすがにそれは駄目でしょ」
「って律も言ってるわよ」
ご飯が出来たので姉さんに配膳を頼んでお父さんを呼びに行こうとしたら律が帰ってきた。
ついでにお父さんを呼んでもらう。
暫くして律が台所に顔を出した。
「お父さん部屋で食べるって。あ、今晩は」
「はいはい」
「久しぶりねぇ。どう?勉強頑張ってる?」
「えーと、はい」
「はい、これ持って行って」
「うん」
食卓も整ったみたいだしお櫃を持って私たちも。
律が戻ってきて食事。
山沢さんにだけお肉のお皿を。
「あれ、今日精進じゃないの?」
「山沢さんは別なの」
「ほら、まだうちに嫁に入ったわけじゃないからね」
「精進も悪くはないんですが…」
「来年はそうしましょ」
山沢さんがお肉のお皿を平らげたので積極的に野菜を食べさせる。
ご飯のとき幸せそうな顔をするから何か嬉しくなっちゃう。
「こういうの食べたらお盆って感じするわ~」
「そうだねぇ」
「今日はあんた家のほうは良いの?」
「うん、旦那は出張だし晶は合コンらしいから」
「良い人見つかると良いのにねぇ」
「そうねぇ」
「またお見合いの口が来たら言うよ」
「そうしてやって」
「おかわり? はいはい」
「よく食べるわねぇ、うちは晶だけだからこういうの見るの久しぶりだわ」
「みんな小さい頃は食卓は大変だったものねえ」
「あー男の子3人ですか、それは大変そうですね」
「大変だったわよ」
「でもちゃんと絹の分は取らないのよね、皆」
「甘やかされてますね」
「末っ子はそうなるわよね。女の子だし」
「よく環がおこってたよ」
あはは、と笑いあってる間におかずもご飯もなくなった。
ごちそうさまをして洗い物に立つ。
姉さんと二人で片付けて居間に戻る。
山沢さんがいないわね。
「眠そうだから寝るように言ったよ」
「あら」
「ご飯だけ食べにきたのかしら」
「そうなんじゃない?」
姉さんは結局うちに泊まることになった。
山沢さん、どうしよう。
しないでいてくれるかしら。
心配になりつつもお風呂に入って戸締りし、寝間に入って。
気持ち良さそうに寝てるわね。
そっと横にもぐりこむとふわっと腕がかぶってくる。
起きた? 違うみたい。寝息が聞こえてる。
心地よさげな寝息に引き込まれて良く寝て朝になると山沢さんはいなかった。
夜中の間にお仕事に行ったみたいだわ。
何もしなかったのねぇ。
お化粧をするのに鏡の前に行って気づいた。
キスマーク…。
着物を着たら見えないところに。
恥ずかしいわね。
見られないようにしないと。
身づくろいをして台所へ。
朝ご飯を作ってみんなと食べる。
「あれ、山沢さんは?」
「お仕事行ったみたいよ」
「あ、仕事なんだ?」
「そう」
姉さんたちとおしゃべりしてたら晶ちゃんが司ちゃんと来た。
「途中で晶ちゃん拾ってきたよー」
「あら覚は?」
「代理ー」
「まったくあの子は」
「兄さんはいつもそうよね」
お墓参りもしてお昼を作っていると山沢さんが来た。
「あら? 来たの?」
「うん、あっちいるから」
「わかったけど…お昼は?」
「いらない。寝てるから暇になったら来て」
「はいはい」
山沢さんを送り出して、お昼を食べる。
山沢
アラームの音に目が覚めると先生が懐の中でよく寝ている。
起こすのは可哀想だから胸元にキスを落とし、静かに身づくろいして家を出た。
車を走らせ会社へ。
注文FAXを見て各種取り揃え、水洗いしたり配達の指示を出したり。
9時半頃には電話も鳴り止み、片付けて帰宅した。
風呂に入って一服。
さて、行くかね。
また車を走らせて先生のお宅へ。
玄関から既に客が多そうなのが見て取れる。
丁度先生がいたのであちらにいることを告げた。
まだ、眠い。
蒸した部屋に入りクーラーを入れて快適になったところでベッドに潜り込む。
気持ち良く眠れる。
しかしながら夕刻になっても先生は来ない。忙しいようだ。
腹減った…メシ、どうしよう。
とりあえずメールを打つ。
近所の飯屋に行こうと思っている、と。
暫くして返事が返ってきた。
俺のこと忘れてたみたい。
用意する、と言うのを断って食べに出た。
店で適当に注文して食う。酒も少し飲んだ。
そういえばこういう所へ入るのも久しぶりか。
意外とうまい。
葉唐辛子の炒め物もうまい。
ししとうの辛子天ぷらも意外といける。
長いもの漬物はゆずの風味がする。
野菜の肉巻きはマヨ味噌風味だ。
揚げ物が少ないところを見ると冷凍品をあまり使わない店のようだ。
豆乳鍋を食べた。うーん、満足。
ご飯を投入して締めにする。
ご馳走様でした。
良い店を見つけたようで嬉しくなって帰宅する。
盆中は会えないのも仕方ない、と割り切ってテレビをつけて転寝。
夜更け。
先生が来た。
「遅くなってごめんね」
「別にいいんですよ、忙しいでしょう」
「みんな来てるから抜けられなくて…待ちくたびれた?」
「大丈夫、寝てたから」
軽くキスして抱き締める。
懐に寄せてテレビを見つつ先生のおしゃべりを聞くのが楽しい。
先生が恥ずかしげに聞いてきた。
「あの…しなくていいの?」
「精進でしょ、いいよ。我慢できないわけじゃないから」
「ほんとに?」
「ん、こうしてるだけで良いよ。12時くらいになったら帰りなさい」
「でもそれじゃ」
「どうせ俺また出勤だから。寝てるの見ながら出勤するほうが辛い」
「わかったわ。じゃこのままね」
「うん」
先生の体はしっとりして滑らかで。劣情を誘う。
日曜には出来るからそれまで我慢しよう。
いちゃいちゃしてるうちに12時のニュースになった。
「じゃそろそろ」
「そうね。また明日来るの?」
「うん、多分。今日と同じ感じで」
「わかったわ、ごめんね。構えないけど」
お盆なんだからしょうがない。
キスしてから送り出した。
さて、少し寝ようか。
朝、まだ日の昇らぬうちに起きて職場へ行き、仕事をする。
さすがにお盆の最終日と言うことで。
仕事を終え、売れ残った赤むつを持って先生のところへ。
お精進とは言うが。
直接お勝手から上がりこみ、焼いておいた。
それからあちらの家に行ってクーラーをつけて寝る。
起きたらメールして昨日の店で飯を食う。
今日はブロッコリーとベーコンを炒めたのがうまかった。
ごろ寝をしているとそろそろ時間。
タブレットを開き送り火の中継を見た。
今年は5分早かったそうだ。
夏が終る…。
すべての火が消えてぼんやりとしていると先生が来た。
「寝てたの?」
「いや、起きてました」
「姉さんたち、帰ったから。遅くなっちゃったわね」
「おいで」
帯を解いてすっと俺の懐に来た。
うん、いい匂いがする。
暫く抱いていると寝息が聞こえてきた。
疲れてたようだ。
脱がせて一緒にベッドに入る。
気持ち良さそうに寝ている。可愛いなぁ。
頬をなでて出勤までしばしまどろむ。
アラームの音に目が覚めると先生も起きたようだ。
「あら? やだ、寝ちゃってた?」
「うん、そのまま寝てたら良いよ。日が昇ってから戻りなさい」
「ん、そうするわ」
ぽふっと枕に頭が落ちた。
可愛くてついキスをしてしまう。
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
「はい」
先生を置いて出勤だ。
手早く着替え、部屋を出る。
やっぱりちょっとさびしくて振り返ったり。
先生は眠気に負けてはや寝息を立てているようだが。
鍵を閉めて車に乗り込んだ。
Uターンの時期ともあり、早朝でもそれなりに車が出ている。
会社に着き、流石にあまり注文もなく。
だけどある程度の時間までは待機の必要がある。
暇になれば先生は今頃何をしているだろう、とそればかり考える。
よし、時間になった。帰って風呂浴びたら先生に会いに行こう。
今日は電車のほうがよい。
Uターンラッシュに巻き込まれたら車では帰れなくなりそうだ。
帰宅すると電気がついて鍵が開いていた。
「おかえりなさい、暑かったでしょ」
「先生。来て下さったんですか」
「うん、うちじゃゆっくりできないでしょ、あなた」
「嬉しいな。ちょっと待ってて、シャワー浴びてきますから。メシ一緒に行きましょう」
「ステーキ食べたいわ」
「わかりました。待ってて」
いそいそとシャワーを浴びて、出てきてすぐランチの予約を入れた。
髪をタオルで拭いて着替え、先生の手を取ってホテルへ。
神戸牛らしい。
先生と外食もなんだか久しぶりで楽しい。
幸せだなぁ。
「お精進ばっかりだったから余計おいしいわねぇ。あ、昨日お魚ありがと」
「台所、誰もいらっしゃらなかったものですから」
「お墓参りいってたのよ」
「なるほど」
先生が食べ終わられて、デザートをいただく。
うまいね。
あとのコーヒーもさっぱりしてよろしい。
ホテルを出ると暑くて先生がぼやいた。
「本当に都心って暑いのねえ」
「廃熱の多さでしょうね、ただまだこのあたりは風がありますから」
少し道を入ると途端にだめだけどね。
クーラーの効いた部屋に戻って先生が息をついた。
「着替える? 風呂はいる?」
「とりあえず脱いでから考えるわ…」
俺の前でしゅるしゅると帯締め、帯枕をほどいていく。
「…ストリップじゃないんだから和室で脱いできてくださいよ」
「ばかなこと言わないの。暑いじゃない」
ああ、そういうことね。あっちクーラーつけてなかった。
見てると抱きたくなるからベッドに寝転んだ。
「…んー。シャワー借りるわね」
「はいはい」
汗がべたついたらしい。
別にそのままで良いのに。どうせまた汗かくだろうし。
暫くして浴衣を着て風呂から上がってきた。
肌がピンクに染まっていて綺麗だ。
「あー涼しい」
クーラーの直撃するところに陣取って涼んでる。
綺麗だなーとぼんやり。
暫く涼んでた先生が立ち上がってベッドに来た。
引き寄せてキス。
伊達締めをほどいて先生の素肌を楽しむ。
白くて滑らかで。しっとりしている。
お尻をなでる頃には先生の息も荒くなってきていて興奮しているようだ。
ちろりと乳首を舐めると声が出た。
恥ずかしそうにしている。
可愛い。
ひっくり返して沢山に弄ってあげた。
あんまりにもやりすぎたものだから先生はちょっと苦しそうだ。
涙目になっているのも可愛い。
先生はどうしてこうも俺のいじめたいというツボを刺激するのだろう。
ほんの少し落ち着くのを待って更に責める。
可愛らしい声だったのが悲鳴に変わって行くのもゾクゾクする。
悲鳴が途絶えた頃やっと落ち着いた。
先生の足が痙攣している。
ゆったりとマッサージをして先生の体を緩めていく。
先生はされるがままで少し涙を浮かべている。
苦しかったんだろう。
ほぐしているうちに寝息が聞こえてきた。
念入りに整えて、肌掛け布団を着せて俺も一緒に寝た。
夕方痛みに目が覚めると先生が俺の乳首に爪を立てている。
「どうしたの」
「お手洗い。連れてって頂戴」
どうやら立てなかったらしい。
少し声がかすれてる。
可愛くてキスしたら噛まれた。
「連れてかないよ?」
「殴るわよ」
それはちょっと遠慮したい。
脅されたので抱き上げてトイレへ連れて行って座らせた。
「外で待ってなさい」
「その声、ドア越しじゃ聞こえませんよ」
「壁、叩くから。出てて」
「はいはい」
暫く待つと流す音、それから壁を打つ音。
入って抱え上げ、ベッドに連れる。
「たった4日開いただけなのに…どうしてこうなのよ」
「たまにはいいじゃないですか。腹減ってますよね、何が食いたい?」
べちっと鼻を叩かれた。
「お腹すいてるけど、そうじゃなくて。やりすぎないで」
その手を取って舐めると乳首を掴まれてしまった。
「聞いてくれないなら後でひどいわよ」
うーん。それはこわい。
手を離してあげた。
「了解、気をつけましょう」
ふう、と溜息つかれて。
「お鮨取ってくれる?」
「はいはい、いつものところのお任せで良いかな」
「うん」
電話して頼む。
それから先生に洗ってある浴衣を着せて、俺も着替えた。
暫くして持ってきてくれたので支払いをして机に広げ、先生を座らせる。
俺にもたれて食べるしかなく、先生は不満そうだ。
「食べさせてあげようか」
「いらないわよ、自分で食べれます」
「怒って食べたら消化に悪いよ?」
「じゃ怒らさないようにして頂戴よ」
「そりゃ難しいな」
「努力しなさい」
「はい」
くすくすわらってると先生も微笑んだ。
先生が食べ終えて一服し、暫くしてベッドに連れ戻す。
「あんたも食べてきなさい」
「ええ」
軽くキスして食卓につき、俺の分を食べた。
桶を洗って表に出す。
ふー、満腹。と共に眠気が。
先生の寝転ぶ横に潜り込んだ
「ん、眠いの?」
「ちょっとね、眠くなっちゃいました」
「悪いけど寝る前にもう一度お手洗い連れてってくれる?」
「あ、はいはい」
連れて行って、連れ帰る。
「私ももう寝るわ。電気消してくれて良いわよ」
「ん、一緒に寝ましょうね」
「手は出しちゃ駄目よ」
「キスはいいでしょう?」
「いいわよ」
ふふっと笑ってリビングの電気を消し、寝室の電気も消した。
横にもぐりこみ、懐に抱く。
キスしておやすみなさい。
翌日は仕事だから先生を起こす。
眠がっているけれどトイレをさせてもう一度寝かせた。
昼近くまで帰れないからね。
漏らすのは可哀想だ。
どうせ漏らすなら俺の目の前が良い。
出勤して仕事をする。
いつもに比べれば暇だけど、休みでなまった体にはダルい。
その上暑い。
げんなりしつついつもより遅くに帰った。
「ただいま」
電気が消えてる。
寝室を覗くとよく寝ている。
苦笑してシャワーを浴び着替えて先生の横に侵入した。
「…ん? あら、おかえり」
「あぁ起きちゃったか。ただいま。トイレ行く?」
「そうね…連れてってくれる?」
軽々と持ち上げてトイレへ。
待っても壁がならないので声を掛けた。
「寝てます?」
「もうちょっと待ってて」
あ、大きいほうかな。
暫くして水の音と壁が鳴る。
中に入って抱き上げた。
消臭剤が撒かれているようだ。
床に座りたいというので下ろして、昼は何を食べたいか聞いた。
「あ、何か鯛焼きが食べたいわ」
「いや、先生、それはおやつでしょう」
「でも食べたいんだもの。買ってきて頂戴よ」
「他に何かいらんのですか」
「うーん、そうねえ…焼きそば」
「ジャンクなものが食べたい日ですか」
「よろしく」
「はい」
携帯を渡しておいて買物に出る。
お好み焼き屋のミックス焼きそばをご希望だ。
ついでだからと俺は鉄板焼きと牛筋、ゲソも頼んだ。
それからたい焼きを買いに行き、その帰りに焼きそば類を引き取った。
帰宅。
いざって壁にもたれてたようだ。
食卓に食べ物を広げるとにじり寄ってきて、まずはたい焼きにかぶりついた。
「デザートじゃなかったんですか」
「あったかいうちがおいしいのよ」
わからんでもないけども。
お昼ご飯を食べてゆったりと先生の胸を揉む。
先生が興奮しない程度にやわやわと。
やわらかくて気持ち良いなぁ。
先生ものんびりと俺に体を預けてる。
あくびひとつ。ふたつ。
「もう一度寝ましょうか」
「うん」
ベッドに連れて行って二人で潜り込む。
背中をなでて寝かしつけた。
俺も寝た。
夕方起きてメシを作る。
万願寺をとりあえず炒めてしいたけを焼いて。
ピーマンと人参と玉葱とアスパラと肉の炒め物を作った。
少しカボス風味。
ご飯はもうすぐ炊けそうだ。
先生を起こした。
暫く俺の胸に倒れこんでまだまだ眠そう。
「ご飯食べませんか?」
「んー食べるー…けどちょっと待ってー」
暫くして俺の肩を杖にして起きだした。
よろよろとだが歩いてトイレへ。
トイレの扉を挟んで会話する。
「今晩も泊まってったらどうです。その足じゃ帰っても大変でしょう」
「明日の朝になったら大丈夫かしら…」
「俺と一緒に車で行けばいい」
「んー…そうねえ、そうしようかしら。お母さんに電話しておかなくちゃいけないわね」
「そうしてください」
流れる音、ごそごそと身づくろいする音が聞こえる。
ドアが開き先生が俺の肩を掴む。
テーブルにつかせた。
ご飯も炊けたのでよそって渡し、席に着いた。
「いただきます」
「今日は野菜、多いのね」
「あなたとだから」
少し掴みにくそうだ。
先生が三分の一、俺が残りを食べてご馳走様をした。
洗い物を片付けていちゃいちゃすれば後は寝るだけだ。
先生が思い出したようで八重子先生に電話してる。
少し叱られたようで機嫌が悪くなった。
ベッドに入ってから俺の乳首を弄りつつ愚痴を言う。
「いてて、千切れるって」
「これくらいで千切れたりしないわよ」
腫れちゃうじゃあないか。
俺の乳首をひとしきり痛めつけた挙句、眠くなったって背を向けてしまった。
後ろから腕を回して先生の胸を揉む。
「こら、寝るって言ってるでしょ」
「触らせて」
「もう、しょうがないわね。でもえっちはだめよ」
「うん」
揉んでるうちにどちらともなく寝てしまった。
翌朝、起きて置き去りに仕事へ行く。
やっぱり暇!
とっととやることを終えて帰宅。
いつもはメシ食ってから帰るけど今日はあとで。
「先生、ただいま」
「あらお帰りなさい。ご飯まだなのよ」
「先生のおうちで食べませんか」
「そうする?」
「とりあえず帰りましょう、用意して。俺ざっとシャワー浴びるから」
「はーい」
先生が身づくろいしている間にシャワーを浴びて着替えた。
バッグを取って、忘れ物はないか見回す。
後部座席に乗せて先生のお宅へ。
「ただいまー」
「お邪魔します」
あ、まだお稽古されてるようだ。
「今の内に何か作りましょうか」
「そうね、お願いするわ」
台所へ行き冷蔵庫を見る。うーん。
あるもので三人分作ってると八重子先生が戻ってきた。
「あ、おじゃましてます」
「はいはいこんにちは。あんたねえ、あんまり無茶するんじゃないよ」
「すいません」
三人で食卓を囲み、俺は早飯食い。
先生は驚いた顔、八重子先生は渋い顔。
さっさと食べ終えて水屋を整え、用足しをして待機。
暫くして生徒さんが来られた。
今日は台子で薄茶をしたり、貴人をしたり。
台子はみなさんお忘れのようだ。
俺はそのまま行之行を稽古してもらってお終い。
水屋を片付けてるとおいしそうな匂い。
今日は何だろう。
楽しみにして片付け終えて台所に顔を出す。
肉じゃがだ!
豚じゃなくて牛肉の肉じゃが。
嬉しいなぁ。
にこにこして配膳する。
他のおかずもおいしそうで、これだから家で自炊がしたくない。
八重子先生に感謝していただきます!
いいなぁ律君はコレが当たり前で。
孝弘さんに俺のお茶碗を狙われたのを先生が察知した。
「あらお父さん、駄目よ。おかわりしますから」
て先生が言ってるのに俺のを食うなっ。
律君が頭を抱えてる。
先生は先に食べ終えてたので自分のお茶碗によそって俺にくれた。
「足りないでしょ?」
「ありがとうございます」
もう取られないよう左手に持ったまま食べた。
満腹になって先生と洗い物に立つ。
「ごめんね、ご飯」
「ははは、いいですいいです」
片付け終えてコーヒーを入れて居間へ。
のんびり。
順繰りに皆がお風呂に入った。
俺も仕舞い風呂で入り、掃除をして出る。
「ちゃんと服着なさいよ、律が困っちゃうでしょ」
「暑い…」
先生がうちわで扇いでくれてやっと冷めた。
八重子先生もそろそろ眠そうだ。
戸締りをして火の元を確かめ、寝間へ。
寝る前に肌の手入れをしている先生を見ると少しむらむらするが…。
今日は先生を寝かせておこう。
布団に入ってきたので胸や腹を揉みつつ寝かしつけた。
夏バテとまだ回復していないようだからね。
「おやすみ…なさい」
「ん、おやすみ」
すぐに寝息へと変わった。
気持ち良さそうだなぁ、俺も寝よう。
朝起きると先生の伊達締めが解けていて、先生の白い肌が目に毒だ。
夜中に無意識で脱がせてしまったと思われる。
触り心地が良いんだよなぁ。
しばし楽しんだがさすがにそろそろ起きなければ。
軽く寝巻きを直してあげて台所へ。
朝ご飯を作って八重子先生と配膳する。
先生も起きてきた。
二人を呼んできてもらい朝ご飯をいただく。
ニュースで山崩れの報告が相次ぎ、先生も眉間に皺を寄せている。
「うちの裏、大丈夫かしら」
「うーん。危ないな、と思ったらみんなでうちにきてくだされば」
「…みんなじゃ狭いでしょ」
「体育館や教室よりはましかと。取敢えずですよ取敢えず。真夜中でも構いませんし」
「そうねえ。大丈夫とは思うけど」
律君が学校へ行って孝弘さんは離れへ戻った。
八重子先生はお出かけ。
広い母屋に二人だ。
「あつーい…」
「ですねえ」
そういいつつも先生と二人、洗濯や掃除をして過ごし、昼を食べた。
「ねえ。昨日あなた…脱がせた?」
「うーん、多分?」
「多分って」
「起きたら解けてたんでよすね」
「昨日のうちにしたら良かったのに」
「いやバテてるのわかってますしね…」
「まとめてするからじゃないの」
「はは、じゃ後でしますか?」
「いよや、暑いもの」
断られてしまった。
残念。
一服してからも掃除を続ける。
茶室は上から下まで念入りにしないといけない。
汗を掻いて掃除を済ませ先生と買物に行き、風呂に入る。
思わず胸を弄ってしまい叱られて。
やっぱり自宅に昼間と言うのは駄目らしい。
明日のお稽古のあとか、土曜までお預けにされてしまった。
しょうがないね。
お夕飯を作ってる最中に八重子先生が帰ってこられて、律君は今日は遅い。
と言うことでさっさと食べた。
それから別れて帰宅。
明日も会えるだけにあまり切なくはない。
帰宅し、寝た。
翌日出勤したものの、西からの荷物が少なくまたお客さんもまだ盆休みのところが多く。
暇な一日だった。
暑さにくたびれつつもお稽古に行けば生徒さんも消耗気味。
先生には滋養剤を飲んでいただいた。
精のつくもの食べさせたいけど、強いものは却って毒かもしれない。
そう思っていると八重子先生に呼ばれ、代わりに買物を頼まれた。
俺が作るから好きなもの作って良いと言うことだ。
少し考え、豚肉と枝豆炒めとインゲンの胡麻和えにしようと決めた。
トマトのスライスも良いな。いや冬瓜の冷やし煮の方が良いか。
それからデザートはグレープフルーツ。八重子先生だけオレンジ。
よし、そうしよう。
先に決めて買物に出て急いで帰る。
やっぱり外、暑い。
稽古場の声を聞きつつ調理にいそしみ、生徒さん方が帰られた頃できた。
水屋に顔を出して片付けを交代し、先生方は一服。
片付けて料理を配膳し、孝弘さんを呼ぶと律君が帰ってきた。
「お帰り、シャワー浴びたら?」
「そうする」
先に食事を始めて、すぐに律君がさっぱりして戻ってきた。
先生がいそいそとご飯をよそっててほほえましい。
「あれ、なんでおばあちゃんはオレンジ?」
「高血圧の薬とグレフルは相性悪いんだよね」
「へぇ」
「ザボンとか、文旦とかね。HIVの薬とか、偏頭痛の薬もね」
「あなた変なことに詳しいわよねえ」
「高血圧とグレフルは有名ですよ? まだ」
「そういえば橙は食べるなって言われたんだけど」
「グループですね、みかんはOKですって言われました?」
「そういえば言われたような?」
ぺろりとすべて食べ終えてお片付け。
その後、帰る段になった少し先生が引き止めたそうにした。
でも今日は駄目、この時間からは無理。
ちゃんと寝て体力戻すことを心がけてくれ、と別れた。
ま、俺もね、寝ないとね。
ベッドにもぐりこんで先生とメールを交わして寝た。
翌日、仕事を終え今日は予定もなし、昼寝することにした。
先生は今頃…稽古中だな、うん。
夕方までたっぷり寝て買物に出た。
胡瓜と塩昆布、それから梨。
小鯛を造っておいたからもうコレで良いや。
少しの酒とで夕飯にする前に、面性に写メを送る。
先生からも今日の夕飯の写真。
さばの味噌煮かな? 何かのおひたしと筑前煮、胡瓜とこれはちくわかな? 胡麻和え。
うまそう。
ご飯に手抜きがない。
今日は早めに寝るとある。
明日抱くのも軽めにしよう。
疲れたりしない程度に。
暫く飲んでると早々にお休みのメールが届く。
…まだ7時半なんだが。
よっぽどお疲れか。
俺も寝るとしようかな。
ベッドにもぐりこみ、就寝。おやすみなさい。
さて土曜日は流石に少しは忙しく、やや疲れて先生のお宅へ。
でも先生の笑ってるのを見ればやる気も出て来る。
「具合、どうですか?」
「昨日早く寝たから今日はいいわよ~」
「それは良かった」
居間から下がって水屋の用意をして先生を待つ。
今日の生徒さんもバテ気味だ。
軽めのお稽古。
途中で八重子先生と交代して買物、食事の支度。
胡瓜と山芋の梅おかか和え、豚の冷しゃぶなどをメインに用意した。
今日は作り終えて水屋を覗くと稽古をつけてもらえた。
いくつか指摘されて直された。
「疲れちゃったわ…」
「お疲れ様です、あとでマッサージしましょうか」
「お願いできる?」
「ええ。ちょっと横になってたらどうです」
「うん」
そう言いつつも座ったまま片付ける私を見ている。
片付け終えて先生と居間に行けば既に配膳されていた。
「あ、孝弘さん呼んできて頂戴」
「律は?」
「さっき帰ってきたよ」
会話を尻目に離れへ呼びに行くと寝てるようだ。
「ご飯ですよー」
「む? 腹減った」
起きたおきた。
俺も腹減った。
先生にご飯をよそってもらって沢山食べて後片付けをする。
「山沢さんって元気だよねぇ」
「暑いのはなれてるから。こっちのほうが涼しいしね」
夜クーラーなしで寝られるだけ随分楽。
暫く団欒し、順繰りにお風呂に入る。
その後、マッサージするからと早めに二人で寝室に入った。
寝巻きを着せたまま布団に伏せさせゆっくりと揉み解す。
いつしか寝息に変わった。
う、今日は抱きたかったんだけどなぁ。
参ったな。
寝てるところをひっくり返してリンパの流れに沿って流す。
足首からふくらはぎ、太腿。
股関節を開いて。
不純なことをしたくなるけどぐっと我慢した。
気持ち良さそうな表情もそそりはするがおさえて寝巻きを直し、布団に入れた。
俺はちょっと今すぐは眠れず庭をうろついた。
ふと気づけば早くも虫の音。
そうか、もう夜は秋なのか…。
コト、と音がして振り向けば八重子先生。
「眠れませんか?」
「ちょっとねぇ、あんたこそどうしたんだい」
「いや、はは、先に寝られちゃいまして」
「あぁ」
頭をなでられてしまった。
「明日昼から連れて出て良いよ」
「いや、バテるでしょうしいいです」
「まぁ気が乗ったら連れて行ったら良い」
「すいません」
「もう秋が見えてきたねえ」
「そうですね」
リ、リ、リと虫の音。
「あの人ともよくこうして虫の音を聞いたものだけど」
暫くぼんやりと二人でたたずんで、それから各々引き上げ寝た。
朝方、早くに目が覚めた。そろそろ夜明けか。
身じろぎしたことで先生が起きてしまった。
「まだ起きるには早いから寝てて」
「ん、でも…寝れないわ」
「どうして?」
「その…」
そっと俺の手を掴んで股間へ引き寄せた。
「…してもいいの?」
こくりと頷く。
緩く、疲れさせはしないよう気をつけながら丹念に性感帯を弄る。
逝かせたがもうちょっとと言うので更に二回逝かせると寝てしまった。
今から寝て朝ご飯食べるのかなぁ。
そう思いつつ始末し俺は起きて台所へ。
朝食を作っていると八重子先生も起きてきた。
「ん? あんた嫌にすっきりした顔してるね」
「えーと、ははは…」
「朝御飯食べるのかねぇ」
「どうでしょうね」
作って配膳する。
パタパタと先生が出てきた。
「ごめんなさい、寝坊しちゃったわね」
「あ、あぁおはよう」
「昼まで寝てるかと思いましたよ」
「あらどうして?」
「…覚えてないなら良いです」
先生は首を捻ったままごはんをよそってる。
律君が起きてきてお父さんの食事を持っていった。
今日は部屋で食うようだ。
休日の朝御飯は気が急かなくていいね。
先生は食べつつあくびをして八重子先生に叱られた。
俺はそんな先生が可愛いから気にはならない。
食器を洗って片付け、お茶を入れて先生方とまったり。
「こんにちはー、おばさんいるー?」
「あら、司ちゃん。いらっしゃい」
「丁度良いところに来たね、山沢さんに梨をむいてもらおうと思ってたところだよ」
梨ってあったっけ?
「土間のところに箱であるからおいしそうなの選んで頂戴」
なるほど、お勝手の土間の箱、あれか。
席を立って剥きに行った。
3個くらいでいいか、足りなきゃまた剥けば良い。
先生と司ちゃんの話し声が聞こえる。楽しそうで良いなー。
と羨んでたらすこし指を切った。
むっとしつつ、切り分けて皿に盛り、居間に持って出た。
柱にもたれて先生たちがおしゃべりするのを見つつ食べる。
あ、うまい。
梨食うの久しぶりかも。
ふと、帰ろうかという気になって先生に告げて帰った。
珍しく昼前に帰宅して軽く食って寝た。
夕方の先生のメールで目が覚める。
司ちゃんたちと夕飯を囲む写真。
楽しそうだ。
俺も夕飯…面倒くさい。このまま寝てしまおう。
先生だって俺にかまわず寝るんだし、いいじゃないか。
寝返りを一つ打って寝た。

拍手[0回]

h34

夜半。
俺にとっては朝。
先生を置いて出勤するのは本当にいやなのだが仕方ない。
きっと帰ったらもう居ないんだろうなぁ、稽古日だし。
クーラーを入れたまま速やかに出勤する。
会社は既に暑い。
仕事中出来るだけ水分を取っているが。
うなぎの後と言うこともあり、全体的に暇で仕事を終えた。
暑い。
一旦帰ってから何か食おう。
帰宅。
すぐさま風呂に直行し、ぬるま湯で体を冷やした。
お帰りなさいの声が追いかけてきていたが。
やっと冷えて人心地つき、風呂から上がるとバスタオルで拭かれた。
「どうしたの?」
「ありがとう。 ただいま。暑くて」
頭をタオルで拭かれてそのままクーラーの効いた居間に。
「浴衣、もうちょっとしてからで良いから着て頂戴ね」
少し心配げだ。
腕を取って引き寄せる。
ん、いい匂い。
「だめよ、ご飯食べるでしょ」
「もうちょっと」
暫くして解放した。
浴衣に着替える間においしそうな匂いがしてきて、すぐにお昼ご飯が出てきた。
「暑くなかった? 買物いったんでしょう?」
「行ったわよ、朝のうちに。でもこっちは朝から暑いのね」
「夜に温度が下がらないから。メシおいしいです」
「メシなんてダメよ。ご飯ってちゃんと言いなさい」
「ご飯。うまいです」
「だからねえ…。もういいわ」
呆れられてしまった。
食べ終わって先生がお皿を洗っている。
一服していると洗い物を終えたらしく横に座ってきた。
手が伸びて俺の頭をなでる。
「ん? あれ、そういえば今日稽古…」
「今気づいたの? お母さんにお願いしちゃったわ」
「あー…。計画的行動だったんですね?」
「そうよ。たまにはいいじゃないの」
「お稽古サボりはダメだって言ってるでしょう」
あ、いじけた。
「しょうがない人だ」
ひょいと膝に乗せて背中を撫で、キスをする。
かわいいなぁ。すねてるのも。
「でもまだ終ってないのよ…あれ」
「えー。あ、そうか。まだか」
生理中はなぁ俺は良いけど先生の体に障るよなぁ。
「ごめんね」
「ま、そういう日もありますよねぇ。出来ないけど一緒に居たいとか」
「そうよ、うちだとこんなことできないもの」
バランスを崩して押し倒された。
「いてて」
「大丈夫? 頭打ってない?」
「ん、大丈夫。そのままそのまま」
床でごろごろするのも悪くない。
浴衣や寝巻きだとこういう格好はするが、先生がお太鼓のままと言うのも珍しく。
絽の紬だから襦袢がすけてうつるのも色っぽい。
やっぱり夏は透け感がいいよね。
麻も良いんだけど、涼しくて。
「うっ?」
先生が俺の乳首を摘んで遊んでる。
夏の浴衣だから透けてるし薄いしでわかりやすかったらしい。
「これもうちではできないから、ですか?」
「してもいいわよ?」
「できないくせに」
むっとしたらしく強くつねってきた。
「痛いよ」
「痛くしたんだもの、当然でしょ」
手が侵入してきた。
さわさわと撫でられてるうちに寝息が。
あー、寝ちゃったよ。
しょうがないなー、と帯を解いて脱がせた。
寝巻きを着せて一緒にベッドへ潜り込む。
お昼寝お昼寝。
夕方、おいしそうな匂いで目が覚めた。
「久さん? そろそろご飯よ」
「うー」
「早くいらっしゃい」
「はーい…」
もそもそと起きて食卓に着く。
先生は寝巻きのままだ。
珍しく着替えなかったらしい。
「そーいえばあなたの襦袢って重くないですか」
「ん? なぁに?」
「ほら、冬の襦袢。俺のより重いでしょ」
「袷の? だってあれは裏ついてるもの。久さんのはついてないでしょ」
「裏?」
「着物と同じよ、全部裏がついてるの。暖かいわよ」
「なるほど。先生のお宅寒いですもんね、冬は」
「そうなのよ。はい、これ出して」
おかずを渡されて並べる。
「ん」
お茶碗とお味噌汁。こぼさないように。
「足りる?」
「余裕」
先生の作るご飯はうまい。幸せ。
「あまりご飯しないのに良いお米使ってるのねぇ」
「米がまずくて一人で食べるの辛いでしょうが」
納得されたようだ。
食後ゆっくりしてから風呂に入り、再度ベッドへ。
「明日は帰ったら居ないのかな」
「いるわよ。あさってもいても良いわよ」
「お稽古サボっちゃダメだよ。あなた。俺も仕事サボりたくなるじゃないか」
「久さんはダメよ」
はいはい。
サボってでも一緒にいたい気分らしい。
たまに甘えるよね。可愛いけど。
でも良妻賢母をくずさないという約束をしてるのになあ。
耳を舐めるも反応がない。
あ、寝た。
諦めた。俺も寝よう。
明日もうちにいるみたいだし。
おやすみなさい。
よく寝たなぁ、と目が覚めて横で眠る先生を見れば涎。
俺の胸が濡れてる。
枕もとのティッシュで拭いて布団を整えて。
出勤の用意をしようか。
部屋を出て出来るだけ静かに用意をして、出る前にそっと先生の様子を伺う。
気持ちよさげに寝ている。
行くか。
出勤、今日も暑い。
ぬるい空気と湿気の中、仕事をする。
やはり30度を超えると辛くなってきた。
お客さんも皆すぐ送風口の前で座ってしまうくらいだ。
近くで何かイベントがあるお店しか忙しくないのが最近で、どこも困っているようだ。
仕事を終え、いそいそと帰ろうとしていると先生から電話があった。
松屋にいるからくる気があるなら来いとな。
時計見て30分の猶予を貰って慌てて帰宅、シャワーを浴びて着替えて駆けつけた。
「どこにいます?」
「3階にいるわよ」
携帯にかけるとそう仰る。
エレベータで上がり再度電話した。
「上がりました」
「ヴィトンのところにいるわよ。すぐ近くにサービスカウンターのあるところよ」
ああ、あそこか。
でも3階は紳士ものじゃなかったっけ?
思ったとおり先生はヴィトンではなくその向かいの靴を見ていたらしい。
「ねぇこれどうかしら?」
「こっちは?」
「ん、それと悩んでるのよ」
「履いてみました?」
「まだよ」
「じゃ履いてみましょうよ」
先生を座らせ、足袋を脱がせサンダルを履かせた。
「はい、立って」
手を取り少し歩かせる。
もう一度座らせ、履き替えさせた上で歩かせた。
「どうしよう…」
「どちらがよかった?」
「どっちもいいのよ、悩んじゃうわ」
「両方買ってあげましょう」
「良いの? でも悪いから一つは自分で買うわ」
「はいはい、気になるんですね。そうしましょう」
それから中でお昼を食べて呉服売り場を経巡ってキッチン用品を見る。
女の人だよなぁ、凄く楽しげだ。
ほしいというものはすべて買ってあげたくなる。
流石にそれをすると八重子先生からお叱りが来るんだが。
真鍮の風鈴を買った。
先生のうちの俺の部屋につけたいと先生が言うので。
後は結局帯を買った。今締めれる帯。
帰宅後も買ったものを眺めて嬉しそうにしている。
可愛くてつい頭をなでてしまった。
持って帰れるように包んで車に入れて、疲れたというので暫く床に寝転んだ。
自堕落な生活も楽しい。
「今晩…帰るわ」
「わかりました、送りますよ」
「いいわよ。荷物土曜に持って来てくれる?」
「いいの?」
「だって明日もあなたお仕事じゃない。帰したくなくなるもの」
ついキスしてしまって深くしっかりとキスをしなおして。
着物を脱がせ一度抱いた。
ちょっと先生の色香に耐えかねた。
幸いアレは終ってたから良かったけれど。
先生が落ち着いてシャワーを浴び、洗濯してある肌襦袢を身につけた。
買って来た弁当を食べ、駅までお送りする。
「じゃまた明日ね」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみなさい」
見送って帰宅。
明日も早い、寝よう。
おやすみなさい。
先生を置いて出勤するとき寝ている先生を穏やかに見れるのは…。
きっと昼にはまた逢えるとわかっているからだ。
いつも本当に気持ち良さそうに寝ていて幸せな気持ちになれる。
性癖はクリアできなくとも、十分だ。
いやいつかある程度は許容してくれたらいいとは思うけれど。
出勤。
今日は更に暑いとの予報だ。
土曜日の割にそこまで忙しくなく、ただ暑さに負ける。
仕事が終わり帰宅、シャワーを浴び先生のお宅へ。
暑い…。車なのに。
少しいらいらしつつ先生のお宅に着いて、でも先生の笑顔を見て少し治まった。
茶室のクーラーをつけ暫く扇風機を独り占めさせてもらい、それから支度。
先生が来られて俺に一つ点ててくださった。
「落ち着いた?」
「はい」
「生徒さんも暑くていらだってるかもしれないから」
「気をつけます」
わかってたらしい。
気を良くして生徒さんを待つことが出来た。
やっぱり気遣いの人だなぁ。
俺とは違う。
しかし先生の点てるお茶はおいしいなぁ。
いつものように水屋をして、俺のお稽古をつけていただく。
少々厳しいのには慣れた。
水屋を片付けて夕飯をいただく。
んー、うまい。
「山沢さんってさ、いつもおいしそうに食べるよね」
「実際おいしいからね」
それでも苦手なものはこっそり孝弘さんに食べてもらっているが。
先生に見つかると叱られる。
「明日お昼味噌炒めにしようかしら」
「あ、いいですねえ」
「あなた好きだったわよね、じゃ多い目に作るわね」
「茄子入れて欲しいな」
「う…」
「はいはい、分けて作ってあげるわよ」
「すいません」
律君が笑ってる。
食後はテレビを見つつ団欒。
「律、お風呂沸いたからお父さん呼んで来てー」
「うん」
順繰りにお風呂に入って俺が最後に掃除をして出た。
「ふー…」
と、息をついて先生の横に座る。
冷たい麦茶を貰って一服。
ぷに。
先生が俺の乳をつかんで玩ぶ。
「何してんですか」
「出来ないくせにって言ってたからよ」
八重子先生が呆れてるじゃないか。
「律君きたら困るんじゃないですか。いつもなら怒るでしょうに、胸はだけてたら」
「律、もう寝ちゃったのよねえ」
早っ。
先生の太腿に手を置いたらベシッとはたかれた。
ったく。
一旦立ち上がり帯を解いて着なおす。
先生の後ろに膝を突いて肩に手を掛けた。
「え…ちょっと」
肩を揉む事にした。慌ててるの可愛い。
八重子先生は声を上げて笑ってる。
先生は一人恥ずかしがっている。
胸の辺りもマッサージするともう良いから、なんて。
慌てて戸締りしに行ってしまった。
そろそろ寝る時間のようだ。
八重子先生も引き上げたので火の元を確かめ、先生と寝間へ。
うーん、クーラー要らずというのは体が楽だね。
扇風機すらつけずとも先生の体がひんやりしている。
乳房、とか。
太腿とか。
でもすぐに先生の体温は上がってしまう。
熱い息。
ゆったり抱いてると先生は幸せそうだ。
一度逝かせるともはや眠たげだ。
キスして寝かせた。
俺はホットタオルを作って先生の体を清めてから寝た。
朝、すっきりとした目覚め。
先生が先に起きていたけれどまだ布団から出たくはないようだ。
まぁたしかにいつも起きたら俺が居ないわけで。
朝のひと時は大事だね。
身支度をして今日は二人で台所に立つ。
朝飯を食った後、先生が風鈴を俺の部屋につけた。
ちりん、と涼しげな音だ。
ふと引き寄せてキスをした。
「だめよ…」
先生はするりと腕から抜けて買物へと誘う。
お昼と夕飯の買出し。
暑いから夕方に買物したくないらしい。
昨日言っていたとおり味噌炒めの材料と、それから夜は筑前煮を作るらしい。
後はなぜかカプレーゼが食べたいとのこと。
チーズは多めに買った。
なす入りの味噌炒めを作って律君を呼ぶ。
配膳したり、孝弘さんを呼んできてもらう間に先生が俺の分を作ってくれた。
野菜、妙に多い。
先生は俺を健康にしたいらしい。
律君が俺への野菜責めを見て笑ってる。
先生がご飯をよそってくれておいしくお昼をいただいた。
お皿を洗って戻ると先生が何か読んでいる。
ああ、教本か。
「珍しいですね」
「んー、それがねぇ。私のと生徒さんのでは違うみたいなのよ」
「お家元が代替わりしたからでは」
「あら…そうね、そうかも」
「八重子先生は?」
「お母さんならさっきお友達のとこ」
「うーん、また講習会でお聞きになっちゃどうでしょう」
「そうねえ」
パタン、と閉じて片付けて、帳面を開いてなにやら書き物されている。
暇で、眠い。
あくびをしたら手招きされて昼寝。
先生の尻に俺の背をつけて。
ふと次に目が覚めたら先生が居なくて晶ちゃんが居た。
「あれ? こんにちは。先生は?」
「こんにちは。今おばさんお手洗い」
「あぁ」
ぼんやりしてると先生が戻ってきた。
「あら起きたの? まだ眠いんじゃない?」
「うん…じゃない。もうメシの支度する時間では」
「ご・は・ん」
「…ご飯。しないと」
晶ちゃんが横で笑ってる。
台所へ立って下拵えをして先生と交代。
まだあくびが出る。
と、自分の足に蹴躓いてこけた。
「あっ…」
「痛っう」
「どうしたの!? あらぁ…山沢さん、立ちなさい」
晶ちゃんを巻き込んでたようだ。
「すいません、こけました。晶ちゃん、どこかぶつけてない?大丈夫かな」
先生が晶ちゃんに見えないよう俺の背をつねってる。
「うん、大丈夫。でも山沢さん、もうちょっと寝たほうが良いんじゃない?」
ふぅ、と後ろで先生が息をついて。
「そうしなさい、出来たら起こしてあげるから」
「はい。すいません」
部屋の邪魔にならないところで座布団を枕にもう少しだけ寝た。
ご飯のおいしそうな匂い。
揺り起こされた。
「ご飯よ」
むく、と起きて食卓を片付ける。
八重子先生はもうお戻りだったようだ。
晶ちゃんが孝弘さんと律君を呼びに行って夕飯をいただく。
おいしいなぁ。
「これなに?」
「チーズの味噌漬け。お昼に山沢さんが作ってたのよね」
「へぇそんなのも味噌漬けになるんだ?」
「あ、おいしー」
黙々と俺は食べる。
うまい。けど眠い。
これはきっとアレだな、先生のが感染った。
ご飯の後洗い物をし終わり、居間に戻ると先生が特別に濃い濃茶を点ててくれた。
車で来ているから眠気を飛ばさないといけない。
頂いて暫くすると目が覚めてきた。
「やっと起きた、という感じねえ…大丈夫?」
「ん、今なら帰れそうです。効いてるうちに帰ります」
頭をなでられた。
「気をつけて帰るのよ? また明後日ね」
「はい、気をつけます」
なんとか眠気を追い払って車で帰宅できた。
着替えてすぐにベッドに潜り込む。おやすみなさい。
翌朝出勤するも台風の影響で入荷減。
ま、月曜で需要もそうないんだが。
あまり商売にもならず帰宅した。
眠気に負けてずっと寝てしまい昼を食いそびれ、目が覚めたらもはや夕方だ。
カレー、でいいか。
レトルトのカレーを温めて食べた。
侘しい。
あ、メール。
先生のおいしそうなお夕飯。
明日になったら食える。
あ、今から食いたいもの頼んどこう。
返事、返ってきた。
お肉ばっかりじゃダメよ。なんて。
野菜は先生のセンスに任せりゃ大丈夫だろうし。
と少し甘えれば何か考えておいてくれるとのこと。
嬉しいなぁ。
あぁ。
抱きたい。
逢いたい。
メールは後に残るから。
電話しよう。
せめても声を聞きたい。
先生の食事が終るころを見計らって電話をした。
声を聞きたくなった、といえば少し間が空いて…。
私も…、と返って来た。
どうやら自室に戻ったらしい。
明日、抱いて良いね? そう問えば恥ずかしげに。はい、と言う。
「たとえ台風が来ようと。行くから」
それはだめ、とか言われてしまった。なぜだ。
「逢いたくないのか?」
違う、と言う。
何かあって二度と逢えなくなる方が嫌、と。
なんだ、そういうことか。
その後暫く喋って、先生も電話を切りたくなさそうだ。
あぁでも八重子先生が呼ぶ声がする。
渋々、という風情で先生がまた明日来てね、と言う。
勿論と返して電話を切った。
心の充電完了。
よし、寝て明日は頑張ろう。
おやすみなさい。
本日は昨日に増して暇だ。
台風の余波は相当酷いが関東は別段まだ何もなく、先生のところに悠々と到着。
先にあちらの部屋に色々仕込みをして鼻歌を歌いつつ気楽に玄関くぐれば微笑む先生。
「いらっしゃい。暑かったでしょう」
「ええ、少し」
麦茶を頂いて一服入れてから支度をする。
整った頃生徒さんがいらっしゃった。
先生が冷たい麦茶を振舞われてからのお稽古。
生徒さん方も先生の気遣いがうれしいようでなごやかにお稽古が進む。
今日は俺への厳しいお稽古も気にならない。
お稽古を終え水屋を片付ける。
先生と目が合った。
ふっと笑むと目をそらせ、早く片付けるよう言う。
可愛いね。
昨日山沢さんから電話を受けた。
声を聞きたいって。嬉しくて。
抱きたいって言われて暫くドキドキしたわ。
もっと喋っていたかったけどお母さんが呼ぶから電話を切って。
でも珍しいわねぇ、電話してくるなんて。
居間へ戻って喋っているとお盆について山沢さんはどうするのか、と言う話に。
「帰省するのかしらねぇ」
「正月も帰らなかったしどうだろうね」
「ふふ、またうちに泊まるのかしら」
「どうだろうね、お盆は流石に来ないかもしれないしね」
「明日聞いてみるわ」
そういうことで今日山沢さんが来たのだけど機嫌が良さそうで、鼻歌まで歌ってる。
何か良いことでもあったのかしら。
暑いから麦茶を飲ませて支度してくれている間にお昼を食べた。
お手洗いも済ませて着物や化粧を直してお稽古に望む。
生徒さん方も外の熱気に辛そう。
冷えた麦茶を差し上げて山沢さんに指示を出しつつお稽古。
いつものように何人かのお稽古が済み、山沢さんを厳しくしごく。
機嫌がいいときは少々厳しくてもいいみたい。
二回、上のお点前の稽古をつけてあげるといい時間になって片付けることにした。
指示を与えなくてもうちの水屋はちゃんと山沢さんがわかっていて教える事はない。
ふと目が合う。
山沢さんの笑みにドキッとしてつい目をそらせてしまった。
片付け終えて居間へ戻り食卓を片付け、律とお父さんを呼びに行く。
山沢さんはお母さんを手伝って配膳をしてくれる。
今日は山沢さんのリクエスト通りのお夕飯。
「あれ、珍しいね。おばあちゃんこんなの作るんだ?」
「そうだろ、今日は山沢さんが作って欲しいって言ってね」
キッシュとブロッコリーのベーコン炒め。人参の金平かしら?
食べてみたら金平じゃなくてサラダ。
「おいしいわねぇ」
「うまいです。嬉しいなぁ」
ぱくぱくと食べていて可愛いかも。
いつもは格好良いのに食べてる時は子供みたいなんだもの。
「おかわり」
お父さんのご飯をよそって渡す。
「はい、どうぞ」
お父さんも嫌いじゃないようで結構食べているわね。
「今日本当、暑かったねー」
「そうね、今年最高なんじゃない?」
「そうみたいだよ、こっちで37.2度だってさ」
「うわ、道理で暑いと思った」
「あっち、クーラー予約かけてありますから」
「えっ」
「あれ、後で飲むからって昨日約束しましたよね」
「あ、うん」
吃驚するじゃないの、もう。律の前なのに。
「あと風呂もお湯張り予約してありますんで」
「わかったわ」
「山沢さんってお酒好きなんだねー」
「うん、そうだね。取り寄せる程度には好きだよ」
こちらを向いて笑顔で今日は特別なの用意してるから、と言う。
…お酒よね、そうよね。
食後、山沢さんが洗い物をしてくれる。
お母さんは今朝のうちに山沢さんに聞いていたみたい。
明日のお昼以降に、って。
はい、って栄養剤渡されちゃった。
「お酒飲むだけかもしれないじゃない…」
「ないだろ」
袂を弄って恥ずかしがってたら山沢さんが戻ってきた。
「さて、いいですか?」
「ほらほら。いっといで」
「あ、はい…」
慌てて立って山沢さんに手を引かれた。
外は昼に比べると涼しいけど…。
いつもの部屋に着いて中へ。
「あら涼しいわね」
うちより涼しくて。あら何か敷物が敷いてあるわね。
「座ってて」
山沢さんが冷えたグラスとお酒を持ってきた。
京都の淡麗辛口大吟醸を4本も。
高そう。
「まぁ俺には辛くてなんなんですが、あなたなら甘く感じるでしょう」
そういって4つのグラスに注いでくれる。
「どうぞ」
少しずついただくとどれもおいしい。
山沢さんは違う瓶を飲んでいる。
「ね、あなたのもちょっと頂戴」
「いいですが甘いですよ」
新しいグラスを取ろうとするのでそのまま止めて山沢さんのをいただいた。
「あら。凄く甘いわねぇ…」
「すいすい飲めて一升瓶が空になるような、でしょう」
「危ないわね」
私のグラスが空いたのを見て新たに注いでくれる。
「どれだけ飲ますつもり?」
「ふふ、もう少し飲まないと出来ないんじゃないですか。普段と違うこと」
ドキッとして、横を向くと引き寄せられた。
「特別、っていったでしょう?」
一気に酔いがまわってきて。
耳まで熱くなっちゃった。
その耳に山沢さんの唇が触れて。
「あ…」
そのまま着物を脱がされて敷物の上に運ばれた。
「なに、するの?」
少し冷たい液体を体中に塗られ、山沢さんの手が這うごとにゾクゾクする。
なぜか下帯をつけられ、腕と、足を縛られた。
何をされるのかしら…。
「これ、わかるね?」
あ…蝋燭…。
怖い。
背中から私を抱いてまず山沢さんが自身の手に落として確認してる。
「ん、よし。大丈夫だから力、抜いて」
そういわれても怖くて。
身をすくめてると笑ってる。
ほつ、ほつっとお腹に落とされ、そのたびに体がはねる。
段々と慣れてきたころ乳首に落とされた。
「あぁっ」
お腹より熱くて吃驚しちゃった。
山沢さんは私がはねて声を上げるのを楽しんでいる。
乳首も乳輪も見えなくなるほどにされてもう熱くはない。
すると今度は太腿、あそこに近いところに落としてくるの。
酷いわ、本当に楽しんでて…。
体中を赤く染められたころ、やっと蝋燭が尽きた。
山沢さんにキスされて縄をほどかれ、痺れはないか確認された。
それから蝋をはがしてあげる、と乳首を弄られて気持ちよくなり…。
喘いでたらそのまま下帯を剥ぎ取られて一度逝かされちゃった。
すべてはがしてもらってお風呂に入って出てくると敷物もすべて片付いていた。
「続き、飲みましょうか。それとも」
「飲むわ、注いで頂戴」
ふふっと笑って注いでくれた。
暫く飲んでから山沢さんがお風呂に入って。
その間にグラスを片付けてると寝巻きの袖から縛った痕が見える。
これ、明日消えるのかしら。
お風呂から出てきた山沢さんと一緒にベッドに入る。
「ねぇ、久さんこれ」
「あー随分暴れてたから。お稽古ないから大丈夫でしょ?」
「お母さんにわかっちゃうじゃない」
「いいじゃないですか」
「恥ずかしいのよ?」
「わかってますよ、可愛いなあ」
髪をくしゃくしゃと撫でられてキスされた。
私のほうが先生で年上なのに、すぐこうやって子供みたいに扱うんだから。
「好きだよ」
「私もよ」
本当は好きになっちゃいけないんだけれど止められない。
そのまま背中をなでられているうちに眠くなって。
おやすみなさい。
夜半、先生がモゾモゾと擦り寄ってくる。
クーラーを止め、窓を開けた。
効きすぎて寒かったようだ。
トイレへ行ってからベッドに戻る。
肌がひんやりとしていて風邪を引いてないか心配だ。
密着させてお腹だけでも温まれば良いかな。
朝になって、暑くて目が覚めた。
先生も布団を蹴っ飛ばしてるのでクーラーを入れた。
トイレから戻ると流石は部屋が狭い、良く効いている。
設定を緩めて再度添い寝をした。
涼しくなるとちゃんと俺にくっついてくる。
年上なのに可愛い、と思ってしまうんだよね。
あ、むらむらとしてきた。
久々に朝からしちゃおうかな。
緩めたクーラーを再度強くして先生の胸をなでる。
乳首、立ってきた。
寝てると乳首だけでは逝かないから適当なところで下に指を這わす。
うん、ちゃんと濡れ始めてる。
暫く弄ってたら起きてしまったようで鼻をつままれた。
キスをしてから股間に潜り込む。
敏感なところをうまく舐めると声が溢れる。
中に指を入れくじる。
ちゃんと感じてくれてるようだ。
ひっくり返して腰を持ち上げて弄る。
よがってる隙に尻の穴を舐めた。
「っあ…、だめ」
そっと小指を入れる。
「あ…ぅ…」
突起を責めつつなので力が入らないようだ。
ゆっくりと出し入れすると感じてきたようで背中を反って喘ぐ。
3点攻めで逝った。
指をぬいて手を洗いに立ち、戻ると枕で叩かれた。
枕ごと抱き締めて押し倒してキスを。
「もうっ…ばかっ」
いてててて、乳首に爪を立てるなって。
それでもそのまま抱き締めてキスをすると次第に抵抗がうせる。
ペニバン持ってきてたらもう一度抱きたい程度にまだしたい気分なんだが。
そういうと恥ずかしそうだ。
先生の乳首を弄っていると股間に誘導された。
よしよし、いい子だ。
沢山啼かせて楽しんだ。
風呂の湯を落としてないので風呂に入らせてから喫茶店に朝ご飯を食べに行く。
たまには良いだろう。
手を洗って着替え、風呂上りの先生にキスをして着替えさせた。
喫茶店でモーニングをいただく。
「あら、珍しいですね、先生」
昔生徒さんだったらしい。
「ほほほ、たまにはね」
先生のウインナーを貰って食べる。
「そうそう。戻ったら天気も良いから布団を干すわよ」
「あ、はい」
ゆったり紅茶を飲んで支払い、店を出た。
まずは部屋に戻り、干す。
それから家へ戻って孝弘さんや律君の布団も干した。
「良く乾きそうねえ」
「そうですね」
チラッと手首の痕が見えた。
あ、いかんな、さっき喫茶店で気づかれてないと良いんだが。
「先生、もしこれなんか言われたら…昨日庭仕事してたらそうなったと言って下さい」
一応手拭の上からかけたんだけどなぁ。
クリームを取ってマッサージする。
薄くなってきた…ような気もするが。
ふと顔を上げキスをした。
頭に拳骨一発、八重子先生が戻ってきてた。
あいたたた。
ま、でもクリームが消えるまで暫くマッサージ。
八重子先生が入れてくれたお茶を頂いて買物に出た。
今頃先生は昨日何されたか聞かれてるのか。
聞かないであげて欲しいけどね。
買物から帰ると冷たい濡れタオルと麦茶をいただいた。
「暑かったでしょう?」
「いやぁもうギラギラ油照りですね」
背中を拭いてくださってすっきりして台所へ向かう。
今日は豆乳のスープスパゲティ。
お豆腐と油揚げとネギを炊いてつけた。
同時にお夕飯の下拵えを済ませて冷蔵庫に入れて置く。
孝弘さんが居ないときはスパゲティやパン食でも良いと言われている。
「あら、おいしそう」
「どれどれ」
「結構いけるわね」
「スープもおいしいねぇ」
嬉しくなる。
その後、家事を手伝って、お三時。
おやつをいただく。
「あんたお盆はどうするの?」
「あー。そうだ、忘れるところでした。明日お稽古お休みしていいですか」
「いいけどどうしたの?」
「六道参り、明日からなんですよ。だから」
「なぁに、それ」
「ええと。六道珍皇寺または六波羅蜜寺で鐘を突いて。
 先祖を呼び出してもらい連れ帰る行事がありましてそれをするために戻ります」
ただ、実の所、市中心部の慣わしと見えて市周辺部の出身者の俺は良くわかってない。
それでもしないのは変な気がする。
そういうわけで毎年帰省して迎えに行くのだが。
「そんなのあるのねぇ」
「結局お盆はどうするんだい」
「えーとですね。何もしないで居られる自信がないんで来ません」
スパーンと先生に新聞で叩かれた。
「むしろですね、盆明けに俺、岡山に出張あるんで一緒にどうかと思ってるんですが」
「岡山?」
「ええ、もし来られるのなら有給とれますから近くの温泉に三日ほどと」
「この暑いのに温泉?」
「プールがよければそちらでも」
「行ってきたら。どうせ生徒さんもちらほらお休みだからねぇ」
「でもお母さん大変でしょ。いいわよ」
「わかりました、じゃ涼しくなったら考えましょう」
「そうして頂戴」
うーん、残念だ。キングベッドの部屋をとっているのだが。
と言うかその部屋しかなかった。
温泉の仮押さえしてあったのを断っておやつをつまむ。
「お夕飯、何作る予定なの?」
「一応ささみアスパラ炒め、小松菜と厚揚げの煮びたし、金目を煮ようか焼こうか」
お夕飯の支度をするにはまだ早いのでしばし団欒を楽しむ。
「はらへった」
孝弘さんにお饅頭を渡してそろそろ夕飯に取り掛かろう。
「あ、待って。その前にあっちの布団取り入れて頂戴」
そうだった、忘れてた。
取り入れに行って戻ってくると先生方が調理を開始している。
「お帰り、うちの布団も取り入れてー」
「はいはい」
各々の部屋に取り込んで、洗濯物も取り入れた。
しかし律君のか孝弘さんのか、下着は良くわからん。
流石に何履かしてるまでは把握してないからなぁ。
とりあえず畳んで積み上げた。
八重子先生が戻ってきて仕分けしてくれてそれも各々の部屋へ。
孝弘さんのは箪笥の中へ。
食卓を用意していると律君が帰ってきた。
「おかえり、洗濯物は部屋に置いておいたよ」
「あ、すいません」
部屋へ行って、すぐに引き返して台所へ行った。
何か先生と喋ってるようだ。
暫くして律君が孝弘さんを呼びに行く。
配膳を手伝って夕飯をいただいた。
金目は焼いたようだ。
おいしい。
先生が楽しげに俺や孝弘さんを見る。
どうも沢山食べるのが見ていて楽しいらしい。
ご馳走様をしてしばし団欒を楽しめばもはや帰る時間。
明日、明後日と会えないから少しさびしい。
玄関先で頭をなでられた。
「土曜日待ってるから。明日気をつけて」
「はい。じゃ、また」
「またね」
送り出されて帰宅した。
翌日。
仕事を済ませ、着替えて京都へ。
京都はやはり暑い。
東京とは違ったじっとりとした暑さだ。
げんなりしつつ、観光客にもまれつつ清水道より1つ北の停留所へついた。
六道参り、と道の上に幕が張ってある。
坂を下って六道珍皇寺へ。
塔婆を書いてもらって鐘の列へ並ぶ。
相変わらず暑いのに沢山の人だ。
行列は角を3つ分。
この日差しの中待つのは辛いが仕方ない。
首の汗を拭い扇子で扇ぎ、麦茶を飲む。
やや曇っていてこれだから晴れてなくて良かった。
汗が滴る。
列はじりじりと進みやっと寺の裏口が見えてきた。
もう少し。
寺内に入る。
鐘を突いてからお参りし、水回向。
それから西福寺。
ここは地獄絵図で有名だ。
九想図絵もある。
そして六道珍皇寺で鐘を突き、お参りをした。
実家に帰ってその足で先に墓参り。
親たちは盆の連休に行くそうだ。
ついでに結婚はしないのか、などと言う話が出た。
一応考えている人はいると返しておいたが…。
あまりに汗だくなのでシャワーを浴びて着替えてから東京へ戻ることにした。
風呂から出るとメシが出来ていて久々に食う自宅の飯。
肉が沢山、魚はちょっと。
ガッツリ食って満腹。
そのまま寝てたいけど明日も仕事だから。
「んじゃ帰るわ。暑いし体調崩さないように」
「あんたも気ぃつけや」
「あ、服」
「洗て送ったげるから」
「頼むわ」
「はいはい、ほなね」
「またね」
タクシー呼んでもらって京都駅へ。
京都駅も暑い、蒸してる。
時間はあるので少し先生に土産を買った。
新幹線に乗って転寝、終点だから問題ない。
次は新横浜のアナウンスで目が覚めた。
車販のコーヒーを買って飲み終えると東京だ。
あくびひとつ。
バスに乗り換えて帰宅した。
暗くて暑い部屋の電気をつけクーラーをパワフル運転にする。
眠い。
やらなきゃいけないこともなし、寝ようか。
携帯がなる。
先生からだな。
手首と足首の写真。
手首はほぼ残ってないようだが足首はしっかり残ってる。
あの時八重子先生来たからマッサージできてなかったもんなぁ。
風呂でよくマッサージする事と、写真は削除するように言う。
証拠は残すべきじゃない。
今からお風呂と言う返事があった。
どれほど残っているか確認したいところだが。
土曜のお稽古では流石に残っちゃ居ないだろう。
俺は先に寝る、と返してベッドに潜り込んだ。
おやすみなさい。
出勤し、仕事。やはり暇だ。
というか荷物が来ないから売るに売れず。
普段三千円の魚も八千円ではねぇ。
外は暑い。
ああでも昨日の京都に比べれば涼しいね。
今日行けばよかったか?
とはいえ昨日の疲れで眠い。
だから今日行ってたら明日お稽古が辛くなってるはず。
仕事を終え、帰宅してすぐに寝た。
夕方起きて食事を取る。
先生からメール。
明日台風の様子を見て来れないようなら来るなと。
きっと台風は来ない大丈夫。
だから行く。
逢いたいし。
心配させてもいけないから、その時の判断で行くか行かないか連絡すると返す。
来れるなら来て、と書いて返って来た。
勿論だ。
何度かメールを交わし、お休みの挨拶を交わした。
シャワーを浴び、寝た。
翌朝テレビを見ると九州四国方面は大変そうだ。
しかしながら関東にはこなさそう。
先生のところへは余裕でいけるだろう。
時化と台風で出足が悪いのとで大して売れず。
さっさと先生のお宅へと移動した。
「あら、いらっしゃい」
「こんにちは」
「早かったねぇ」
「あ、そうでしたか?」
「いま朝の生徒さん帰られたところよ」
「ああ。じゃこれからお昼ですね」
「あんた食べてきたの?」
「ええ」
部屋に鞄を置きに行って水屋の支度。
さっと茶室の畳を拭き掃除した。
一旦居間に戻ると見合い写真の山を先生が見ている。
「あ、あんたも見る?」
「…開さんの?」
「そう。いい加減身をかためさせないとねぇ」
「え。俺とって話は消えたんですか」
「だってあんた、最近会ってないだろ」
「そういえば見ませんね」
「これ」
「ん? あ、先生じゃないですか。孝弘さんとの見合いの?」
「あら違うわよ、成人式の時に撮ってもらったのよ」
「うーん、やっぱり綺麗で可愛いですね。清純ってかんじ」
そういうと頬染めて可愛らしい。
「あとは晶の見合いが来ててね」
いくつか見せてもらった。
「を、これイケメン」
「あらほんと」
「先生もこういうの好みですか?」
「んー私はちょっと」
「孝弘さんが好みなんですもんねぇ、先生は」
ほほほ、と笑っている。
「さてと、そろそろ生徒さん来るよ」
「あらもうそんな時間? お手洗い済ませておかなくちゃ」
ぱたぱたと行かれた。
先生が戻られる前に生徒さんがいらっしゃったのでお相手を。
おいでおいでをされて近寄る。
「先生まだいらっしゃらないから聞くけど…あなたAVお持ち?」
「え、ああ、はい」
「息子がね。変なAV持ってたのよ。誰か相談できないかと思って…」
「変な、と言うと」
「先生には変態って言われそうなものなのよ、だから相談できないの」
あ、足音。先生が来た。
「お稽古が終ったらお聞きします」
「お願い」
先生が入ってこられた。
「こんにちは、中村さん」
「先生、こんにちは。よろしくお願いします」
「はい、じゃ今日は…」
お稽古が始まる。
長板をお稽古される間に次の方の用意を整えた。
そして中村さんのお稽古を終えるころ、次の生徒さん。
ご挨拶。
入れ替わられたあと隣の部屋で話を聞く。
聞いてみたが軽いSMが入ってただけでたいしたものではなかったようだ。
部屋に道具類があるかも確かめる。
まだそういうものはないそうだ。
「一過性で憧れを持ったりすることはよくあると思います。ただ…」
これからそういう道具やビデオを集めるようになったら諦めるように、と。
のめりこむ人は一定数いるし。
「非難しても性癖はどうしようもありませんから」
「そういうものなの?」
「軽いものなら普通に暮らせますよ。奥さん貰って子供も作って」
「重いと?」
「奥さん以外にプレイ相手が必要になります」
「浮気なんじゃないの?」
「そういう感覚ではない人が多いでしょうね。奥さんにはできないことをしているだけ」
気持ちはわかる。俺はしてないけど。
少し納得されたような。
内緒にして欲しい、と言われて帰られた。
お稽古に戻る。
夜になって先生と寝間に入った折に聞かれた。
「なんだったの?」
「ん、ああ。息子さんの部屋からAV見つけたって」
「あら。なんだそんなこと」
「律君の部屋にあっても平然としてるのかな、あなたは」
「男の子だもの…」
「ふぅん? そうかなぁ」
「第一あの子の部屋、テレビないわよ」
「あ、そうでした。じゃエロ本。俺が見てるようなのとかどうです」
「あなたが見てるようなのならお説教ね」
「見せてみようかな」
「やめなさい」
「選択肢」
「許しません」
「あなたは見るだろう?」
「見ないわよ」
「俺の部屋の、読んだくせに」
「あれは…」
後ろから抱いて耳を舐める。
「あれはなに?」
胸に手を差し入れて揉みしだくと喘ぎそうになっている。
股間をまさぐると体がはねて。
耐えてるのが可愛い。
ぎゅっと俺の腕を掴む力が強くなり、すぐ脱力した。
逝った様だ。
ハァ、と息をついてもたれてくる。
「もう、だめよ…布団入りましょ」
ふふっと笑って引き入れた。
「明日、また縛ってあげようか」
「だ、だめよ。それは。痕残っちゃって大変だったんだから」
「見るたびに思い出した?」
「…その…やだ、何言わせるのよ」
「ほんと、かわいいなぁ。いつかここにも蝋燭落としてあげるよ」
股間を弄り回しながらいうと随分と濡れている。
「や、こわい…」
「こわくないこわくない」
中を弄りつつキスをして気持ちよくなってる隙にまたお尻に指を入れた。
「んぅぅ…んっ、んんっ」
俺の胸に手をやり押し返そうとしているが力は入ってないね。
いや入らないんだろう。
尻の穴だけでは無理だけど他のところも同時刺激で逝けたようだ。
うー、色っぽい。
「抜いて、ねぇお願い…」
あんまりにも可愛らしくてお願いを聞いてしまった。
「手、洗ってきて頂戴よ」
「はいはい」
布団から出て洗面所で洗う。
その前に嗅ぐ、なんてことはしない。
スカ趣味はないからな。
浣腸も必要があれば、だ。
出すところを眺める趣味はあるが。
それはそれ、恥ずかしがるから見たいんであって。
部屋に戻り、布団に潜り込む。
背を向けてる先生を抱き締めた。
「お尻、駄目よ…。ね、聞いてるの?」
「んー、ふふ、可愛かった」
「ばかっ、もうっ」
そろりとお腹に指を這わす。
「もう一度、する?」
「お尻、しないで」
「しょうがないな。わかった」
今度はゆったりと普通に抱く。
「愛してる…」
「嬉し…ん、キスして」
深く浅くキスも交わし、逝かせて眠くなった先生を寝かせた。
俺も寝るか。
おやすみ。
翌朝、やはり先生は良く寝ている。
しょうがないよね。
寝顔も可愛い。
朝飯の支度をしてると八重子先生が起きてきて一緒に用意。
もう最近は遅い理由は聞かれない。
配膳する頃先生が起きてきて孝弘さんと律君を呼びに行った。
「いただきます」
食事中先生が律君に今日の予定を聞いてる。
台風来るからね。
今日はレポート片付ける、と言う。
朝食後は家事。
先生はまだ眠たげだがお昼寝はお昼食べてからね。
お風呂を洗って茶室の掃除をしてお買物。
お昼と晩、明日の朝の分も。
台風がどうなるかわからないから。
眠そうな先生は置いていくことになった。
リスト片手にお買物。
帰宅すると先生は繕い物をしている。
「痛っ」
「今日は止めたらどうだい、さっきから何度刺してるの」
ぷっくりと指先に血を出して、困った顔している。
「お昼にしましょう。そんでお昼寝したら良いじゃないですか」
「ん、そうね」
てきぱきとお昼を作って出す。
嵐の前の静けさか、のんびりとした雰囲気だ。
テレビでは関西が大変なようでL字枠が出ている。
「あんた実家のほう大丈夫なの?」
「ああ、あっちは災害来ないですから」
「電話くらいしたほうが」
「良いですよ、問題ないですって」
いっつも警報すら出なくて子供の頃は腹が立ったもんだ。
食べ終わって洗い物を済ませて戻れば座布団枕に先生が寝ている。
浴衣だからお太鼓じゃない分寝易そうだが…文庫に結んだ帯を貝の口にしてあげた。
寝息が気持ちよさげだ。
ゆったりのんびりしているとテレビで関西の状況をやり始めた。
なんだ、また桂川氾濫注意か。
「…あんた本当に電話したら?」
「うち、川も山も近くないんで大丈夫ですよ」
「そう?」
「ええ」
まったりとお茶を飲んでゆっくり。
少し雨だが気温が下がって気持ち良いようで先生はよく寝ている。
こんな休みも良いね。
玄関から物音。
「おばさーん、律いる?」
んん、と先生が呻く。
ばたばたと司ちゃんが入ってきた。
先生起きちゃったじゃないか。
「んー…、あ、司ちゃん。律なら部屋よぉ」
「あ、ごめんなさい、寝てたんだ」
司ちゃんが律君の部屋に行って先生が寝返りを打つ。
俺の膝を枕に。
すっかり甘えるようになった。
ほつれ髪を直してあげる。
夕方、八重子先生が夕飯を作る、と立った。
先生をそろそろ起こすべきかと思ったがそのままと仰る。
二人でいるとちょっかいを出したくなって困るんだが。
ふっくらとした胸とか。
気配がわかったのか先生が起きた。
「ん、何時?」
「もう夕方。5時半ですよ」
「あら。お夕飯…どうしよう」
「いま八重子先生が」
パパッと身づくろいして慌てて台所へ。
俺は痺れが切れて悶絶。
流石に足の組み換えなしはきつい。
「山沢さん? どうしたの」
「痺れ切れただけです、って触ろうとしてますよねっ」
「うふふ」
「くすぐるのもナシっ」
くっくっくっと笑い声がして振り向けば律君。
「絹ー」
「あ、はーい」
ぱたぱたと先生が台所へ戻ってった。
「うー…律君、メシはまだだよ、まだ」
「いや、ね。司ちゃんがお酒切れたっていうから」
「あぁこの間補充したの持ってって。良いよ」
「ありがとうございます」
暫くしてやっと治ってきた。やれやれ。
食卓を片付けて台拭きで拭く。
台所に顔を出した。
「あ、そろそろお父さんたち呼んでくれる?」
「はーい」
離れへ行って孝弘さんを呼び、律君の部屋へ行き二人を呼ぶ。
先生が配膳するのを手伝ってお夕飯。
今日もおいしい。
お味噌汁の具が麩。みんなは茗荷。
この家はなすと茗荷の味噌汁好きなんだよなぁ。
ご馳走様をしたら帰らねばならない。
「また明後日来ますね」
「気をつけてね」
「またね、山沢さん」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
先生がちょっと寂しそうだが仕方ない。
流石に司ちゃんもいるからキスどころか手も触れなかった。
残念。
帰宅してベッドに潜り込む。
あ、そろそろ股間の白髪抜いて上げなきゃなぁ。
なんて思いつつ眠りに落ちた。

拍手[0回]