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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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491

夕方になって起きて夕飯の支度をする。
ご飯が炊けた頃先生も起きてきた。
トイレへ行って椅子に座り、ぼんやりしている。
「おなかすいた…」
まだ半分寝てるな?
「もうすぐ出来ますよ」
「うん…」
最後のおかずが出来たので先生の前に並べた。
ご飯をよそい、お味噌汁を掬う。
お箸と共に食卓に並べたらやっとぼんやりとした目がしゃっきりしてきた。
「あ、おいしそう。いただきます」
「どうぞ」
でもまだちゃんとは起きてないようだ。
こりゃ多分飯食い終わったらまた寝るなぁ。
先に食い終わって酒を持って飲む。
「少しちょうだい」
お猪口を出して注いでやるとおいしそうに飲む。
綺麗に食べ終えてあくび一つ。
「もう一度寝たら?」
「ん、食べてすぐ寝たら牛になっちゃう…」
「じゃさ、俺の膝で寝ない程度に横になるのはどう?」
「そうしてくれる?」
「もう少し飲んでて。これちょっと片付けるから」
「はーい」
食べたお皿をシンクにつけおきにしてトイレに行き、床に長座布団を敷く。
ハーフケットを用意して先生を手招きした。
くいっと残った酒を煽って俺の膝枕で転がりハーフケットを自力で被ろうとして。
うまく被れてなくて腹を立てている。可愛い。
一旦頭を下ろしてちゃんと掛けてやり、それから膝に乗せた。
小一時間ほどテレビを眺めて本気で眠くなったようだ。
先生は起きてトイレに行きベッドに潜った。
俺は台所の片付け。
それから俺も寝る用意をして横にもぐりこんだ。
「おやすみなさい」
「はい、おやすみ」
もはや寝息に近いような、微かな声。
背中をなでて寝かせ、俺も寝た。
翌朝、先生がよく寝ているのを尻目に出勤し、休み明けの暇に耐えつつ。
会社の事務員がイルミネーションがどうとか言っているのを小耳に挟んだ。
どうやら女性はそういうものを好むようだ。
神戸のルミナリエやロームは知ってたが、こっち来てからというもの。
気づいたらなんか光ってるなとしか思ってなかったからなぁ。
先生が生理終わったら連れて行ってみようかな。
喜ぶのかどうかはわからないが。
あ、いやでも畠山、明日連れてくと喜ぶか?
帰ったら聞いてみようかな。
流石に帰ったら起きてるとは思うが…。
客からじゃこの良いのを買いに行くと聞いて俺の分も頼み、ついでに唐辛子も頼んだ。
気が向いたら炊こう。
仕事が終わりの時間に近づいて客が帰ってきたのでお金を返す。
鯛を1枚と伊勢えびの弱いのを買って帰った。
「ただいま」
あれ、反応がない。
風呂場で物音がする。着替えがてら覗けば体を洗ってるところだった。
「お帰りなさい。お昼まだなの。ごめんなさいね、さっき起きたのよ」
「ああ、どこか食べに出ようか? それとも鯛があるけど食べる?」
「お野菜ないんでしょ? 遅くなって良いなら外で良いわ」
「はいはい。何食べたいかな」
「パスタがいいわねえ」
「了解。ところで」
「なに?」
「背中洗ってあげようか?」
「…Hなことしそうだからいらないわよ」
バレたか。
寒いから閉めてって言われた。
苦笑して扉を閉め、手を洗って着替えているとざぶん、ざぶっと浴室内から水音がする。
うーん。うっすら見えるからエロい。気がする。
しちゃいけないと思ってるから余計だな。
風呂場から離れてリビングに行き、寝転ぶと眠くなってしまった。
腹減ったなぁ。
ぼんやりしてると先生が風呂から上がり浴衣を着て出てきた。
ふぅっと息をついてる。
「風呂疲れしたんたらなんか買って来て作るけど」
「ううん、食べに行きたいの。おなかすいてるわよね。ごめんね」
「いや、ゆっくりしてくれたらいいよ」
気にしてるようなので俺も風呂入ってくる、と時間を作ってあげた。
体も頭もざっと洗って上がれば丁度髪を乾かし終えたところだ。
俺が頭を拭いている間に外出の支度を整えている。
「ん、なに着よう…」
「近所の店だから普段着で良いよ」
「じゃこれにしようかしら」
「うんそれで」
「あなたも着物着る?」
「どっちでもいいよ」
「んー…これ着て欲しいわね」
「はいはい」
タオルドライを済ませ、肌襦袢や長襦袢を身に纏う。
着物を着て帯締めて。
先生も着替え終えたようだ。
トイレに行ったら羽織を着て二人で外出。
お店へ入ってメニューを眺める。
先生は栗と鮭とキノコのクリーム、俺は鮭とカボチャと小松菜のチーズパスタ。
うまいなぁ、こってり系だけど野菜も入ってて。
おいしく頂いて帰り道は晩御飯の買出しを。
鯛と伊勢えびがあるというとあとは煮物を作る気になったようだ。
「あ、でも青いものも欲しいわね、何しよう…」
「春菊とほうれん草でゴマ和えにしましょうか」
「あらいいわね、じゃそれと人参と」
色々選んで買い、牛肉も少々買う。
春菊少々と炒めるつもりだ。
お買物を済ませてコンビニに立ち寄り、プリンを買った。
好きだよなぁ、甘いもの。
帰ったらちょっと疲れたようだ。
添い寝をしたくなって着替えて一緒に布団へ潜る。
俺の胸にくっついてきてほんの少しの時間で寝息が聞こえる。可愛い。
んー、良い匂い。
柔らかいし。
女の人だよねー。
とか思ってたらなんか噛まれてるし。
痛いけどまだ甘噛だな、これは。
俺も少し寝て、今度は先に先生が起きた。
揺り起こされて食事の支度をする。
というのもギシギシいってる伊勢えびは流石に先生には調理できなかったようだ。
献立どおりに食事を作って先生と二人で食べる。
煮物はちゃんと先生の味でおいしい。
「あ、そうだ。明日。畠山行きませんか」
「ん?何かあるの?」
タブレットを出してみせる。
「ほら、ここ。11時からミニトークって」
気が乗らなさそう。
「明日も一日寝てるほうが良いかな」
「うん、悪いけどそうさせて頂戴」
「じゃ明日、夕方になったら送りましょう」
「一人で帰れるわよ。夜じゃないから危なくもないし」
「俺が、あなたと一緒にいたいんですよ。俺が」
くす、と先生が笑う。
「次の日も会えるじゃないの」
会えるけどさ。
夕飯を終えて洗い物をしてそれから先生を引き寄せ抱き締めながら時を過ごした。
キスだけに止めるのは中々辛いものがあるけれど。
水曜は休みと言うことで朝寝を楽しみ、でもまだ先生のアレは終ってないので何もせず。
夕方になっておうちまで送り届けた。
上がらずに別れ、帰宅する。
土曜にはあちらの部屋に連れて行こう。うまく言いくるめて。
明日我慢できるのかな、俺。
寝るに寝られずジャコと唐辛子を炊き、布団に入って溜息一つ落として寝た。
翌朝仕事が終った後タッパーを二重にして提げて先生のお宅へ行く。
お稽古の後、夕飯に出してもらった。
やっぱりうまいよなぁ。
自分で作っといてなんだけど。
先生の食べてるのを見ているうちむらむらと来てしまった。
困ったな…どうしよう。今日は絶対させてくれない筈。
とりあえず食べ終わって洗い物を律君がしてくれることになり、団欒。
ダメだ、触れたい。
八重子先生がトイレに立った。
思わず先生を脱がしにかかってしまい、抵抗にあうものの。
止まれなくて肌襦袢までも脱がせた。
「静かに」
無理に伏せさせて背中を触る。
気持ち良い肌だなぁ、と思いつつ背中を揉む。
「何してるんだい、こんなところで」
「え、いやぁ。なんとなくマッサージしたくなっちゃいまして」
戻ってきちゃったよ、八重子先生。
「部屋でしなさい、部屋で」
「寒いじゃないですか」
マッサージとわかって先生は力を抜いてきている。
「この子ったら急に脱がすのよ。びっくりしちゃったわよ。あ、もうちょっと右」
「はいはい」
「そこくすぐったいわ」
「まったく…」
八重子先生が呆れてる。
十分肌の感触を楽しみ先生も緩々にしたので着せようとしたが風呂に入るとの事。
かといってそのまま風呂場まで行くわけじゃなく寝巻きをさっと着て行かれた。
慎み深くしとやかな人だ。
俺なら下帯一つで行って怒られるところだ。
脱がせて散らかした着物や帯を片付ける。
「さて、じゃそろそろ帰ります」
「そうだね、もう良い時間だわ。気をつけて帰んなさいよ」
「はい、お邪魔しました。それじゃまた明後日に」
それなりに満足して帰宅する。
先生の焦ってる顔とか好きなんだよね。
でも土曜日はちゃんと抱かせてもらおう。
少しの期待と殆どの諦めを感じつつ就寝した。

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490

着替えてトイレに行って戻ってきた、と思ったら生理になったという。
「嘘ついてんじゃねえだろうな」
「そんな…」
「見せてみろ」
困り顔をしつつも足を開く。
指を這わせると多少のしるし。
「これくらい問題ない。汚さないようにしてやるから来いよ」
いやいやをする。
「おい、いい加減にしろよ。縛っちまうぞ。鞭を使われたいか?」
あ、泣いた。
「泣いたら良いと思ってるのか」
声を上げて泣き始めた。胸を叩いてくる。
その手をねじ上げて床に敷伏せた。
「動くなよ。怪我したくなかったらな」
いやいやと泣く先生の耳元でたっぷり犯してやると言うと更に泣いた。
「痛いことされたくなかったらいつものようにベッドに行けよ。
 優しくしてやっても良いんだぜ」
少し迷ったような気配がした後、ベッドに行くと返事があった。
手を離してやって防水シーツをセッティングする。
それから裸になった先生を引き込んだ。
体が冷えてる。
布団をかぶらせて暫く抱いてゆっくりと冷えている部分を撫で擦る。
涙目で震えていて。
俺を怖がっているのがわかる。
体が温まってきた頃、俺も諦めがついた。
「絹」
「は。はい…」
「トイレ行って始末しておいで。寝ていい」
「え?」
「すまなかった。嫌なこと言ったね。ほら寝巻き着て」
「あ、はい」
そろそろと布団から這い出して寝巻きを着てトイレに行った。
その間に防水シーツを外し、毛布を入れた。
先生が戻ってきて布団に入れる。
「さ、寝な。飯は腹が減ってからにしたら良い」
「あの」
「何か食いたいものあるかな。買物行くけど」
「良い、の? しなくて」
抱き締めると震えた。
「怖かったろ。ごめん。落ち着いたからもう俺は」
「その…ごめんなさい」
「だから。もう怖がらないで寝てくれたら良い」
そっとキスし、頭をなでた。
少しずつ先生の震えがおさまって長い息一つ。
「レバニラ食える?」
「え?」
「鉄分。レバーが良いって言うから」
「あ、うん、嫌いじゃないわ」
「じゃ、晩飯はそれと小松菜の胡麻和えとかどうだろう」
「でも…久さんレバー嫌いよね」
「俺は俺でなんか作るから」
「だったら、ん、それで」
「OK、決まりだね。眠くないかもしれないけど寝てて」
なんとなくうやむやにして寝かせ、買物に出た。
自分で自分がバカらしい。
頭痛を感じつつ買物をしていると先生からメール。
プリンね、はいはい。
買って戻ると先生は寝息を立てていた。
昨日の疲れと、生理の眠気だろう。
しかしあんな脅され方して、良くその部屋でのんきに寝息を立てられるものだ。
苦笑して下拵えをし、先生の横に潜り込む。
少し寝た。

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489

寒い中の一週間が始まり、火曜は先生のお宅でいつものように抱いて。
眠くなってきた頃。
「あ、そうだわ。日曜朝から出かけるのよ。久さんは土曜日帰る?」
「んん?」
「ほら、出来ないのに一緒の布団は嫌とか言ってたでしょ」
「言ってたけど…おでかけかぁ。お友達?」
「そう、お茶の。でどうするの?」
「どうしようかな。考えておく。今すぐ決めろってことじゃないよね」
「土曜までに決めてね」
「OK、じゃ今日は寝ましょう」
軽いキスをして寝かしつける。
木曜の朝、会社から指令があった。丁度良い。
八重子先生に電話して土曜の稽古を休む理由を告げてから稽古場へ行った。
いつものようにお稽古を済ませ、夕飯を頂く。
土曜に来ない旨を告げたら先生は少し嫌な顔をした。
「すいません。ちょっと用がありまして」
「しょうがないわねぇ…」
「まぁまぁ、仕事だって言うんだから仕方ないじゃない」
八重子先生のとりなしもあり、何とか機嫌を直していただいて帰宅した。
忙しき連休前の仕事をこなし土曜の仕事を終えて帰宅する。
昼寝をして夕方、料亭へ。
業者会だ。
「あら、お久しぶり」
「姐さん。お元気そうですね」
宗直さんだ。
「今日はお稽古日だったんじゃないの?」
「やーぁたまには休んでみました」
「不真面目ねー」
稽古の進捗具合を喋って飲んで。男共は若い芸者とはしゃいでる。
今日の参加者で女は俺一人だ。
いつものばあちゃんも今日は息子が代わりに来ている。
話し相手不在になるところだったから宗直さんがいて助かった。
先生から夕飯写真のメールが来た。
姐さんに見られて少し気恥ずかしい。
暫く騒いで業者会がお開きになり三々五々帰宅する。
久しぶりにしっかり飲んだ。
帰りにつまみと明日の朝の分を買って。
ストーブをつけて少し飲み直してから布団に入った。
布団が冷たくて、何でここに先生がいないのかと思う。
少し腹を立てつつも寝た。
翌朝早く、先生から遊びに出た旨メールがある。
折角の連休なのに俺は一人か。
苛立ちのあまり部屋を掃除した。
熱が入ってしまい、昼飯も食わず気づけば外が暗い。
外に食べに出ることにし、着替えて近くの居酒屋へ行く。
ガッツリ食って飲んで憂さを晴らす。
いい加減帰ろう、と思ったのは11時半を過ぎていた。
家に帰ると鍵が開いていて、草履がある。
あぁ、また家に帰らずこっち来ちゃったのか…。
和室を覗けば着物が脱ぎ捨ててあり、ベッドを覗くと寝巻姿で布団に潜り込んでいる。
苦笑して和室の着物を衣桁に掛け、肌襦袢を洗濯籠に入れた。
それからシャワーを浴びて先生の横に潜り込む。
いつもと違いお酒の匂いや化粧の匂いがする。
男の匂いがしないだけマシか。
寝てるの起こすと機嫌が悪くなるのはわかっているがやりたくなって。
熟睡してるから反応は薄い。
途中で目が覚めたようで怒ってる。
それでも構わずに反抗できなくし抱いた。
先生は終った後不満そうに背を向けて寝てしまった。
むかついたので明日いじめてやろう…。
翌朝、9時を過ぎた頃目が覚めた。
先生もまだ寝ている。
腹減った…。
冷蔵庫の中、なんもないんだよな。
ガサガサと冷凍庫を掘り返していると先生が起きた。
「おはよう」
「おはよ、もう早くはないけどね」
「おなかすいたの?」
「なんかないかと思ったけどなんもなかった。買物行くけどどうする」
「そうねぇ、ちょっと待てる? 待てるなら喫茶店行きましょ」
「待ってる。着替えてきて」
先に洗面所を使わせて先生と交代で洗面所を使う。
俺の着替えはすぐ終わるしね。
着替えている先生を見るとむらむら来るが朝からは叱られるしそれより腹が減った。
先生が普段着に着替えて俺も着替え終えて、煙草と財布と携帯だけを身につけた。
トイレだけ行って、外に出る。
先生が俺にくっついてくる。
「寒いわねぇ」
「うん」
近所の喫茶店に入ると暖房が効いてて自然と先生が離れる。
席に着いて先生はホットケーキを頼んだ。
「好きですねえ」
「あんたこそ」
ま、俺もまたカレーを頼んでしまったわけだが。
「昨日、何時帰ってきたの?」
「11時半過ぎてたかな。帰ったら鍵開いてるし草履はあるし。
 着物も脱ぎ散らかしてあったよ。どんだけ飲んだんだって思った」
「あら。そうだった? ごめんなさい、記憶がないのよね」
「これで男の匂いでもしたら問い詰めようかと」
「ばか、女の人よ。昨日会ってたの」
「でも飲みにいったんでしょ? そこで何かあったら。記憶ないんでしょう?」
「…記憶はないけどそんなことするような女だと思ってるのかしら」
「あなたからしなくても男からする奴がいてもおかしくない」
「あなたみたいに?」
食事がきたので話は一時中断。
「本当にあなた嫉妬深いわよね」
食べつつ深い溜息をつかれてしまった。
良い女だから取られそうで怖いとも言えず、苦笑をこぼすしかなかった。
食べ終わって夕飯の買出しをしたいというが、させず。
鮨を取る宣言をした。
そのあたりでやっとこれから何をされるのかわかったようだ。
ちょっと引いてる。
「あの、明日お稽古よ? わかってくれてるわよね?」
「ええそうですね。八重子先生にお願いしてあげましょう」
「ちょっと、ねぇだめよ」
「なぁ、俺はあんたのなんなのさ。たまには良いだろ」
先生はうっと詰る。
「でも…」
「なんだよ」
暫く困った顔をしてついに折れた。
俺は八重子先生にお願いの電話をした。
簡単に了承を取り付け、先生に着替えてくるように言った。

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488

翌日出勤し仕事をして土産を配る。
カニは送った翌朝すぐ買われていったそうだ。
ただ次回出張は一人で行きたいなぁ。
ちょっと疲れたし。
仕事が終わってお稽古に行き、夜は今度こそと思ったが疲れてるからとお願いされた。
まぁ確かに俺も疲れてる。
諦めて抱きかかえて寝ることに。
申し訳なさそうな顔を見てると可哀想になって頭をなでてしまった。
暫く背中をなでているうちに先生が寝て、俺も寝て。
翌朝は一緒に朝ご飯を作って食べてから旅行の荷物を広げて洗濯。
先生の下着や俺の下着も。
それからお土産の箱を開く。
ちりめんの白生地を10反と小物類。
染めも縫いも先生のお知り合いのところに頼まれるそうだ。
重目から軽目まで色々。
八重子先生は軽いのが最近はお好みだそうで。
一番重いのを律君のにしようか、など仰っている。
俺は知ってる染屋というと京都になるので自分の分はそのまま預けてきた。
そんなには着ないから3反だけ。
先生も八重子先生も嬉しそう。
今日の昼から早速染屋に持っていくと仰るが休みではないのかな。
そう言うと既に電話してあるんだそうだ。
ま、俺は荷物持ち兼アッシーだろう。
なんだかんだしていたら時間が過ぎた。お昼ごはんにしよう。
軽いものを作って食べて落ち着いたら先生方と荷物を積んで先生のナビで染屋へ。
色々と先生方が色見本を見せてもらって相談している。
京都とは色の選び方がやはり違うよね。
依頼をして帰宅する途中、夕飯の買出しもした。
なんだか疲れたが先生方はそうでもないらしく夕飯の支度をしている。
俺はちょっとごろ寝。
暫くしてそろそろ出来るから、と起こされたがハーフケットを掛けられていた。
ごろ寝のつもりが熟睡していたようだ。
夕飯を頂いて帰宅し、また寝た。
意外と疲れてた?
翌週は普通の一週間でいつものようにお稽古を手伝い、つけてもらい。
火曜の夜は軽くではあるが抱いて。
そんなこんなで週末。
稽古中に違和感に気づきトイレへ行くとやはり今日からだ。
部屋へ寄って下着を替え、用意をして戻った。
今日はお稽古は無し、と言うことにしていただく。
夕飯を頂くと早く寝るように言われた。
「顔色悪いわ…うちのことはいいから」
あんまり勧められるので先に布団に入らせていただいた。
布団が冷たい。
これなら起きて先生を抱っこしてるほうがなんぼかいいじゃないか。
とは思うもののそういうわけにも行かず。
それなりに布団が温まった頃少し転寝をした。
物音で目を覚ますと先生が寝間に入った音で丁度良いからトイレに立つ。
戻ると先生も寝る準備を済ませて布団に入るところだった。
「うー、さむ」
「寒いわよねぇ」
「抱かせて」
「…早く寝なさい」
呆れられた。
「やだ。却下。抱きたい」
「まったくもう。わがまま言うわねぇ」
仕方なさそうに俺の手を掴み胸に差し入れてくれた。
「冷た…」
「あっ、ごめん。手洗ったから」
ふぅ、と先生が息をついて俺を引き寄せる。キス。
しっかり絡ませて唇を離す頃には少しは温まってきた。
俺を煽るのも最近はお手の物のようだ。
布団の中で静かに、優しく抱いて。
耳元で囁かれるうわ言のような俺を好きと言う声に、より大切にしたくなる。
あそこも舐めて十分に楽しみすっかり満足して横に転がった。
すっかり寒くは無くなってむしろ暑い。
「トイレ行ってくる。何なら先寝てて」
「ん…」
ぺたぺたとトイレに行く途中律君に会った。
「うわっ」
慌てて後ろ向いてる…。
自分のなりを見た。これはいけない先生に叱られる。
ざっと直す。
見なかったことにしてくれと頼み、トイレへ。
とは言え見ちゃったんだろうから見なかったことには出来ないか。
明日叱られそうだ。
トイレから戻ると眠そうにして待っていてくれた。
嬉しくて抱きかかえて寝る。
朝は少し先生が遅れて起きてきた。
俺に炬燵に入るように言ってくれてタッチ交代。
うまそうな匂いが漂ってくる。
机の上を片付けて出来るのを待っていると律君が起きてきた。
「おはよう。あれ?」
「あらおはよう。どうしたの」
「いや今日はお母さんが作ってるんだ?」
「私の具合が良くないと気を使ってくださってね」
「お母さん、出来たわよ。あら、律。おはよう」
「はいはい」
八重子先生が配膳して律君が孝弘さんの分を持って行った。
先生の作る御飯が好きだ。
なんだろう、俺が作るのと何がどう違うんだろう。うまいんだよね。
味わって食べて。
お腹が膨れたので洗い物をと思ったのだが律君がやるからと持って行ってくれた。
「優しいなぁ、律君。良い子に育てましたね」
「でしょ。でも学校の成績はねぇ…」
「まぁまぁ、あの大学には入れてちゃんと続いてるんですから」
「でも今度は就職口があるかねぇ」
「文系は今難しいですからね。開さんと二人であっち系をやるか…」
「それは困るわよ」
八重子先生も嫌がっている。
「ところであんた昨日浴衣羽織っただけで夜中お手洗い行ったんだって?」
「あ、ははー…あんな時間誰も遭わないと思ってました」
「久さん…? もしかして律に見られたの? ちゃんとしなきゃ駄目じゃないの」
二人から責められてごめんなさいをした。
「道理で目をあわさないようにしてると思ったわ…」
まぁ幸い昨日は先生にキスマークもつけられてないし、噛まれてもいなかったし。
「いやでも律君、女の裸に耐性無さ過ぎですよね」
ごつん、と頭に拳が落ちてきた。
「あなたみたいに裸でうろうろしないわよ」
まったくもうっと怒られて。
その手を引き寄せる。
「普通お母さんの裸とか見てて気にならなくなるもんですけどねぇ」
「そんなもんかねぇ」
「だって一番身近な女、でしょ? 母親や女兄弟」
「あんたも?」
「いや私は流石に物は同じもんついてますし。むしろ兄貴のはどうなってるかなとか」
「あ、それはわかる気がするわ」
先生もやっぱり気になった時期はあったようだ。
初夜に大きくなったあれ見て吃驚したって。
お兄さんたちはうまく見られないように処理していんだな。
可愛い大事な末っ子の女の子だもんな。
環さんあたりはうっかり見てそうだ。
「で、なんか初心なまま今に至る、ですか」
「そうねぇ。今はあんたの所為ね」
ぴんっと鼻先をはじかれた。
地味に痛い。
「さてと、そろそろ洗濯物しようかね」
「じゃ久さんは…んー。お茶室の拭き掃除お願いね。ゆっくりでいいから」
「はーい」
「私はおふろ洗ってくるわね」
家事を分担してバラバラに動く。
いつもなら俺が風呂掃除だがアレだから外したようだ。
障子の桟や棚の上など気にしつつ拭く。
最後は畳の目にそってしっかりと。
きょろきょろと見回して掃除のやりのこしがないか確認した。
こんなものかな。
腹減ったな。そろそろお昼か。
台所に顔を出すと八重子先生が何か作ってる。
「なに作ってらっしゃるんですか?」
背中から覗き込んだ。
「ん、今日はね。チャーハンにしようと思ってるよ」
「あら、なにべたべたしてるの?」
先生も作業が終ったらしい。
「人聞きの悪い。スキンシップです」
「ほら、手が空いてるならそのハム刻んで頂戴」
先生が包丁を取ってハムを切り始めた。
「何入れるんです?」
「普通のだよ。卵とか。あんた高菜大丈夫なら高菜も入れるけど」
「あ、大丈夫です」
「はいはい、それじゃ食卓片付けてきて頂戴」
「はーい」
ぱたぱたと台所から出て食卓をきれいにしていると先生たちの会話が微かに聞こえる。
何かぼやいて、たしなめられてるみたいだ。
微妙にだけど先生嫉妬してたよね。その辺かな。
炒めてる音がしている。良い匂いだ。
孝弘さんも出てきた。
「もう少しみたいですよ、待っててくださいね」
「律は?」
「10時頃に出かけてくるって出て行かれましたよ」
「できたわよ」
「あ、はい」
台所に取りに行って配膳する。
孝弘さんのは大盛だ。
おかずより米が良いとかいいつつ、おかずがうまいと上機嫌なんだよな。
そんなわけで付け合せの大根のさっと煮がうまい。
飯がうまいのは幸せである。
食べ終わったら洗い物を引き受けて台所へ。
片付いたらコーヒーを淹れて。
4人でコタツの住人だ。
のんびりした日曜が過ぎる。
うつらうつらと気づけば孝弘さんも俺も寝ていた。
いかんいかん。
目が覚めたのを見計らって先生からお夕飯の買物に誘われる。
コートを羽織ってお供した。
「さむーい」
「ですねー…これからもっと寒くなるんでしょう」
「いやねぇ」
「ほんっと嫌ですがしょうがない」
先生が袖口に手を引っ込めちゃったので懐手をして。
「…それはよしなさい」
「じゃ手ぇ繋ぎましょうよ」
「しょうがないわねぇ。ほら」
手を出してくれたので手を握って歩く。
先生はもう気にならないようだ。
色々買って流石に繋いでもいられなくて離したけど。
帰宅してご飯を作って。いただいたら帰る時間だ。
「帰りたくないなぁ。仕事行きたくないや」
「ダメよ。ちゃんと稼いできてね」
「はーい」
軽くキスして別れた。
電車で居眠りしつつ帰宅。
寝巻きに着替えてすぐに布団に入った。
おやすみなさい。

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487

朝、目が覚めて横を見ると先生は幸せそうな顔して寝ている。
やっぱり疲れたんだろう。
起さないようにそっと身を抜いてトイレに行く。
酒臭いな、俺。
シャワーを浴びることにして脱ぎ捨てて風呂。
頭を洗って露天風呂にはいる。
んー、涼しい中、熱い風呂。いいね。
湯を楽しんでいたら先生も起きてきて風呂に入ってきた。
掛湯をして俺の横に。
「綺麗だなぁ、ね、抱いて良いですか」
「こら、朝から何言ってるの。朝御飯の時間もうすぐよ」
「そりゃ残念」
軽くキスだけして温まったらすぐに出て着替える。
朝ご飯を取ってゆっくりとくつろいで先生は昨日の疲れを回復するかのように寝始めた。
昼前に起して、食事に誘うと食事はいらないから仕事してるのを見たいと仰る。
仕方なく俺の着てきたものを着せ俺は仕事着。
あまり動き回らないよう指示して取引先の社長を訪ねた。
その後案内をつけてもらいセリを見学。
購入し当日便で送ってもらう。
先生のお宅に2匹、会社に8匹。
生きたままだ。
運送賃込み30万で話がついて現金で支払った。
宿の買出し人もそれなりのものを仕入れているようでほっとする。
その後取引先の人に教えてもらった店で遅い昼飯を食い、宿へ。
「…かにってあんなに高いのねぇ」
「いやご祝儀相場ですからね」
「え?」
「ほら、築地でも正月にマグロに凄い値段つけるでしょう」
「あ、じゃこれから値下がりするの?」
「しますします」
なぁんだ、と笑って。
「どうします、この後。観光? それとも抱かれる?」
「バカ、もうすぐそんな事言うんだから。観光ってどこかあるの?」
「ここから1時間ほどで野田川っていいまして。ちりめんの資料館かな。あります」
「あら、いいわねぇ。ちりめん…」
「白生地買って染めに出すのも良いですね」
うっとりしてる。
そんなわせで先生を後ろに乗せて歴史館へ。
見学をして、後は先生に色々買って差し上げた。
お土産を宅急便に頼み、宿へ戻り冷えた体を大浴場で温める。
風呂から出て一服したころ、夕食が運ばれてきた。
「あ、かに」
「はい、今日解禁しましたものですから」
「良いかにだね」
「久さんは見てわかるのねぇ」
「この甲の黒いつぶつぶ。これが多いのはうまい奴なんですよ」
「良くご存知ですねぇ」
そりゃこれで商売してるからな。
「で、何で大きいのは一匹? 久さんもしかしてあなた」
「当たり、好きじゃない」
先生が笑って背中をバシバシ叩いてくる。
なんかツボに入ったらしい。
「痛いですよー。ほら、食べましょ」
席に着いておいしい夕飯。
先生は途中から無言になっている。
カニって食うと静かになるよね。
ふと気づき、立っておしぼりを濡らし緩めに絞る。
「先生、ちょっと」
一旦手を拭いてあげた。
「身、出してあげましょうか?」
「お願いするわ…お料理冷めちゃいそう」
せっせと身を出してあげて、味噌も食べ易いように。
セコも外子と内子を取り出して手が汚れず食べれるようにしてあげた。
足も出してあげると驚いている。
「足は食べれないんだと思ってたわ」
「あー手間なんでやらないだけですよ」
蟹味噌に燗酒を入れて渡す。
「おいしいわねぇ。うふふ」
こっぺといえばおやつだから、というと高いんじゃないの? と聞かれた。
「ヤケって言って見た目が汚いのがあるんですよ。売れないんですよね、これがまた」
中身一緒なんだけどねー。
全部綺麗に出してあげて俺は手を洗って自分の飯を食う。
足を1本2本食ったりはするんだけどね。
すっかり満腹になってお酒を楽しみ、お土産を買って戻ると電話。
八重子先生からだ。
生きた蟹が怖くて触れないらしい。
笑いつつ茹で方を教えて律君にやってもらうように言う。
ハサミはぐるぐる巻きにしてあるから挟まれる心配はないはず。
って電話中なのに先生が俺の乳を触ってくる。
良いけどね。まぁ。
電話を切ってからキス。
「いつもやめなさいって言うくせに…先生がそういうことしちゃ駄目だろう?」
「"いつも"のお返しよ」
なるほど。
うまく言うものだ。
少しひんやりしてきた足を撫で、抱きかかえる。
「もう一度風呂に入りましょうか。それから布団にね」
「そうね」
そういいつつ再度キスをして暫く抱いていた。
とん、と先生が胸を押して立ち上がる。
あ、トイレね。
はいはい、と行かせて風呂に入る。
先生はトイレから出てから掛湯をして入ってきた。
「あぁ温か~い」
「やっぱりもう冬にかかってるんですよねぇ」
「湯冷めしちゃう季節よねえ」
「しないように風呂から上がったら早めに布団に入りましょうね、これから」
「あら、そのまま寝かせてくれるの?」
「んー…。三回に一回くらいなら良いですよ」
「なぁに? どうかしたの?」
心配そうな顔をして覗き込まれた。
「何で?」
「だっていつもはすぐにしたいって言うのに…」
「俺にも一応性欲の波ってものがあるんですよ。流石に常にと言うことはなくてですね」
「じゃあ今は?」
「ここで抱いてしまいたい程度には」
自分で聞いておいて照れんなと言うのに。
まぁ可愛いけど。
体が十分温まったので風呂から上がり、寝る準備を整え先生が布団に入った。
俺は荷造り。ある程度は送ってしまうから。
片付けるものはすべて片付けて布団に入ろうとすると寝息が聞こえている。
待たせた俺が悪いのかもしれないがそれは無いだろ…。
かといって寝入りばなを起こせば不機嫌だし。
腹が立つのとそのまま一緒の布団に入れば襲ってしまいそうなのとで。
苛々ともう一つの布団にもぐりこんだ。
布団が冷たい。
明日は帰る日だから今晩は疲れさせるわけに行かない、などと自分を落ち着かせる。
何とか折り合いがついた頃やっと布団も温まり、なんとか寝た。
朝、起きると布団に先生がいて俺の胸に顔を寄せている。
「…おはよう」
「お早う。昨日はごめんなさい」
わかってるなら…諦めるしかないかな。
起きるにはまだ早いから無言で抱いていると、あれ? なんか震えてる?
「どうした? 寒い?」
「あの、怒ってる…わよね。ごめんなさい、許して…」
「怒ってないよ。気にしないで」
背中をなでて落ち着かせる。これは俺が悪かった。
少しして先生は脱力した。
「もう少し寝る? それとも大浴場行く?」
「ん、折角だから…」
「風呂ね。了解」
起きてざっくり整えて羽織を着て風呂へ。
「目が覚める…うぅー」
おっさんみたいな声が出てしまった。
先生が思わず笑って、慌てて顔を背けた。
相変わらずだなぁ、良いって言ってる時はさっさと元に戻ったほうが良いのに。
変に気を使って俺がイラつくパターンに陥りかけた。
幸い他所の人が入ってきた事で険悪化を免れたが。
体を洗ってやってもう一度浸からせる。
その間に俺も体を洗った。
実のところ先生の洗い方は緩くて洗ってる気がしないんだ。
ざっと濯ぎ俺も浸かる事にした。
先生の横に座る。
水ははじかないが綺麗な肌だよなぁ、この人は。
じっくり見てたら恥ずかしそうだ。
可愛いな。
「先、出るわね」
「いや俺ももう出ますよ」
「そう? もうちょっと入ってたら?」
「暑いから」
風呂から上がって体を拭き、脱衣所で着替える。
部屋に戻ったら朝飯か。
今日は何かなぁ。
先生にじゃれたくなって部屋に帰ってから押し倒した。
「あっ、ちょっと…もうすぐ朝御飯なのよ?」
「Hはしませんよー、時間がない。何もしないから上に乗ってよ」
そういうことならと体を入れ替えてくれた。
んー、温かいなー。
頭をなでてキスをするとほんの少し頬を染めている。
おっと何もしないっていったんだった。
「あれ。先生太りましたね?」
「やっぱりわかっちゃう? 重くてごめんなさい」
「もうちょっとくらいは問題ないですよ。でもあれだ、運動しましょう」
あれ、赤くなった。
話題そらしたつもりがHで運動すると思ったらしい。
いいけどね、そっちでも。
暫く感触を楽しんでそろそろご飯の時間。
離してあげて衣服を整え、朝食を頂く。
うん、うまい。
後は着替えて帰るだけだがその前に荷物を送る手続きと支払いを。
先生を部屋に残しフロントへ。
カニ代が結構つくが想定済みだから現金で支払った。
財布が軽くなったなぁ…。
とは言え想定外の出費は今回は無く、余裕はある。
部屋へ戻ると先生が化粧を直しているようだ。
「久さん、あなたもそろそろ着替えないといけないんじゃない?」
「そうですねぇ」
昨日帰ってから外干ししたから服の匂いは随分薄くなっていた。
先生は気にならないと言うのでそれに着替えて帰ることになっている。
少し不本意だが。
とりあえず着替え、忘れ物が無いか点検した。
先生がトイレを済ませ、俺もトイレに行ってからチェックアウト。
車に乗って宮津へと向かう。
助手席と強く要望されたが却下してやはり後部へ座らせた。
早い時間の出立だがすべては電車の本数が少ない為だ。。
特急が少ないものだから…。
ただこの電車に乗れると昼に京都につける。
ゆっくり京都でランチが楽しめるってわけだ。
少し飛ばして駅に着き、車を返却する。
ホームへ行き乗車した。
またこの車両、と先生が微妙な顔をしているが国鉄車両よりは良いだろうと思う。
京都駅まで揺られて着いて、お昼をどうするかと相談すると駅弁で良いと。
駅弁を買って中央口近くの窓口で指定席を問い合わせる。
のぞみのグリーンが普通に取れてホームへ上がった。
「あら? 高くなかった?」 
「狭いの嫌だったから」
特にうっかり3人席なんか取られちゃったら最悪だし。
お弁当を早速に広げていただく。
「んーおいしいわねー」
すっかり機嫌を直したようだ。
俺も肉々しい弁当に手をつけ始めた。
うまい。
「ほんとお肉すきねえ」
「うまいじゃないですか。で、何で先生はまたそれなんですか」
「だっておいしかったんだもの。失敗したくないじゃない?」
「失敗を恐れず開拓しましょうよ」
「いやよ、勿体無いわよ」
苦笑し車内販売のコーヒーを買った。サンドイッチも。
「やっぱりまだ食べるのねぇ」
「だって少ないじゃないですか」
「何で太らないのかしら、本当に…」
「そういう体なんじゃないでしょうかね」
綺麗に食い尽くしてごみを捨てに立つ。
「あ、久さん。お茶買ってきて。温かいので良いわ」
「はいはい」
ごみを捨てて温かいお茶を2本買う。
戻って手渡せば既に眠そう。
「ちょっと寝て良いかしら」
「どうぞ」
乗り物って意外と疲れるからなぁ。
先生が眠りについた後は暇で。
早く着かないかなぁ…。
途中先生が一度トイレに立ち、入れ替わりで俺も行っておいた。
それからは多少すっきりしたようでお喋りをして東京に到着。
先生はそのまま家へ一旦帰るから、と別れた。
これからまた1時間半だから一旦うちに来いと言ったのだが帰りたくなくなるからと。
残念だ。
俺も帰宅した後は疲れていたようですぐに寝てしまった。

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