忍者ブログ
百鬼夜行抄 二次創作

let

伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

481

夜半起きて支度する。
先生が寝ぼけ眼ながら手伝ってくれた。
「じゃ、行ってきます」
「無理しないでね」
出勤して気遣われつつ、荷物は若いのに運ばせて売る。
売って売って売りまくり利益は結構に出た。
人を一人余分に使ってるからにはいつもより頑張った。
流石に冷えて少し痛む。
帰宅して先生と一緒にお宅へ向かう。
いつもなら先生を座らせて俺が立つのだが今日は俺を座らせようとする。
乗り換えも俺の手を引いてまるでいつもとは逆だ。
なんだか気恥ずかしい。
最寄り駅に着いて先生が少し悩んだ様子。
そのまま手を引かれてタクシーに乗せられた。
「バスにしようかと思ったけど…歩くの辛いでしょ?」
「あぁそれで。有難うございます」
先生のお宅の前で降りて、先生に連れられお邪魔する。
「あら絹先生。こんにちは」
「はい、こんにちは」
「お帰り、早かったねぇ」
「お邪魔します」
「もう大丈夫なのかい?」
「まだよ。だけど一人で家に置いておくの心配だから連れて帰ってきちゃったわ」
「だったら水屋じゃなくて見学だね」
「そうね」
お昼ご飯を食べてお稽古まで寝かされ、先生が支度をしてお稽古が始まる。
水屋に八重子先生が入られた。
「あら、今日はどうされたんですか。珍しい」
「この子腰を痛めちゃったのよねぇ」
「あらら~大変ですわねぇ」
今日は一日そんな話題をしつつのお稽古で。
俺のお稽古はなしで先生が夕飯を作る。
「出来たら起こしてあげるから寝てなさい」
「すみません」
やっぱりじっとしてるのも疲れるようで少し寝てしまった。
気づくと毛布が掛けられている。
「あら起きたの? ちょっと待ってなさいね」
「よく寝てたねぇ」
ゆっくり身を起こすと8時半を回ったところ。
「あー…寝すぎましたね、食事とっくに終られましたよね」
「あんたの分はよけてあるから大丈夫だよ」
「助かります。ありがとうございます」
座りなおすと温められてご飯が運ばれた。
うまそう。
「いただきます」
「どうぞ」
やっぱりうまいなー。
「あれ、今日って先生ですよね、ご飯」
「あらやっぱりわかる? そうよ、それはお母さんが作ったのよね」
「殆ど違わないのにねぇ」
「いやなんとなくですけど」
全部おいしく頂いて、ご馳走様! 箸を置いた。
「足りた? なにかいる?」
「いや満腹です。はい」
洗い物に先生が立って、八重子先生はお風呂へ。
寝転がると再度眠気に纏いつかれてうつらうつらとしてしまう。
「あら。こんなとこで寝ないでよ。あっちの家行きましょ」
「へ? え? なんで?」
「だってベッドのほうが起き易いじゃない」
なるほど。
「ちょっと待っててちょうだいね」
台所で色々と始末する音が聞こえて暫くして先生が戻ってきた。
「さ、行くわよ」
「あのー八重子先生に言わなくて良いんですか」
「あなたが寝てる間にそうしようって決めたのよ」
「なーる。じゃ参りましょう」
羽織を着せられ先生に手を引かれてあちらの家にはいる。
すぐさま先生が暖房を入れ、風呂に湯を張った。
「ほら、それ脱いでお布団入んなさい」
「あなたは? 一緒に寝てくれないのかな」
「お風呂入ったら寝るから。先に寝てなさい」
えー、と不満げにすると仕方ないわねぇと添い寝してくれた。
やっぱり先生の体の温かみとか、匂いとか。
そういうものは安眠に重要だ。
しっかりと巻き付いて寝た。
先生が風呂に入れるかどうかはわからないが。
おやすみなさい。

拍手[0回]

PR

480

夜半目が覚めて腰痛ベルトを締めてトイレへ行く。
先生が起きてしまった。
寝ぼけ眼でこちらを見て慌てて起きようとする。
「良いから寝てなさい」
「でも」
「大丈夫」
ちょっと心配そうだが着いてこなくていい。
一応俺は自分の足で歩けるからね。
トイレを済ませて出るとドアを開けたところに先生がいた。
「ん? 先生もトイレ?」
「じゃなくて心配だったのよ」
「ありがとう。でも良いから。足が冷えるだろ?」
まだそんなに寒くないから床暖入れてない。
連れてベッドにまた戻り、潜り込む。
「ほら、体冷えちゃってるじゃないか。温めてほしい?」
「…ばか」
腕を絡めるだけにとどめておいてもう一度寝かせた。
ちょっと性欲がわいて困るわけだが…。
朝になってたまらず先生が起きたところを顔の上に座るように言った。
「えぇ? なんなの?」
「いいからいいから、壁に手を突いて。俺の口のところにあなたの持ってきて」
「もぅっ朝から。ばかなこと言わないで」
「頼む、させて」
拝んでお願いしたら流石に憐れに思ったか、嫌な顔をしつつだが跨ってくれた。
「こ、こう?」
徐々に先生のあそこが迫ってくる。
「もうちょっと下ろして」
毛が鼻にかかる。
「ん…」
舌で間を割って突起を舐めると膝が俺の頭を締め付け腰を浮かそうとする。
腕で押さえ込んで舐め、楽しむ。
上のほうから先生の良い声が聞こえてきて凄く良い。
先生が逝ってへたり込みそうになり、慌てて俺の上から退いた。
横に寝転んで息が荒い。
「お疲れ様、好かったよ」
「今回、だけね。もうやだから…」
「そうだね、ごめん。でもしたくて」
落ち着いた後、朝御飯作るからと起きて部屋を出て行ってしまわれた。
ご飯は昨日炊いたのがまだあるらしく、玉子焼きと味噌汁のにおいがする。
「久さん、起きてる? そろそろ出来るけど」
「あぁ、はい」
「ゆっくりでいいわよ」
昨日よりは良い状態で椅子に座って食事を取る。
いつもながらにうまい。
食事が終った後またベッドに押し込まれた。
「んー。あなたも一緒が良いな」
「仕方ないわねぇ。すっかり甘えたさんになっちゃって」
「こういうときは甘えたいものじゃないですか」
「はいはい、ちょっと待ってなさい」
着物を脱いで浴衣に着替えて横にもぐりこんできた。
寝返りを打って先生の胸に顔を埋める。
「なぁに? 甘えてるの?」
「うん。良い匂いだ」
さっきやったから汗かいてるしね。
ゆっくりと背中をなでられてすぐに寝た。
こんなに寝れるってことは疲れてるのかな。
昼過ぎに目が覚めると先生はまだ俺を抱いて寝ている。
まだ腹は減らないからもう少し寝ておこう。
と思って寝ていたら夕方で先生は既に布団にはいなかった。
「あれ?」
「起きたの? お夕飯もう少しだから待っててー」
「あー…もうそんな時間か」
のっそりとリビングに出て椅子に座る。
「明日お仕事行くの?」
「行きます」
「だったら一緒にうちに帰りましょ」
「朝の稽古、あるんじゃ」
「いいの。あんた一人にするほうが心配だもの」
苦笑。
いつもは心配をしている俺が心配されるとはね。
肉多目の炒め物におひたし、お味噌汁。
先生は味噌漬け。
「冷凍庫にあったの、貰ったわよ?」
「どぞどぞ」
食後暫くして先生が洗ってあげる、と風呂に入れてくれた。
いつもと逆でなんだか笑える。
先生も何か楽しそうだ。
「でもそこ触るのはダメですって」
「あら、いつもと同じことしてるだけよ?」
ホホッと笑われた。
流石に冗談だったらしくすぐやめてくれて拭かれて風呂から出る。
寝巻を着たらすぐに布団に入れられた。
頭をなでられて寝かしつけられる。
先生はもう少しやることを済ませたら寝るとのことだ。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
挨拶を交わして先生が部屋の電気を消した。
風呂で疲れたのかすぐに眠気がやってきて寝てしまった。

拍手[0回]

479

翌朝、仕事をしていて何の気なしに荷物を持ったら魔女の一撃だ。
社長に言うとすぐに帰れ、と湿布を渡された。
帰宅して引き出しを漁り腰痛ベルトをしてから食事を取った。
うーん。
やばいね、これは。
先生のお宅に電話してお稽古に伺えない旨と家に来ないようにと言うことを連絡した。
食後に飲んだ鎮痛剤が効き出し布団に潜る。
参ったなぁ。
10年ぶりだろうか。
鎮痛剤の影響からかうつらうつらとはするものの、身じろぎで痛み困る。
夕方、目が覚めたので鍼屋に行くことにした。
携帯を手にとれば着信数件。
すべて先生からだ。
メールも入っていてこちらに来るとの事。
困ったな…。
返信しようとしたら玄関で物音、遅かったか。
先生を迎え入れて鍼屋に電話した。
「大丈夫? 一緒に行くわ」
「有難う、でも来るなと言った気がしますが?」
「聞いたわよ。ほっとけるわけないじゃない」
脱ぎ易いようなものを着てそろりそろりと歩いて鍼屋に向かう。
先生が鞄を持ってくれた。
心配そうだが病気じゃないからなぁ。
鍼屋に着いてなんとか診療台に上がり、脱いだ。
鍼医者が背中に腰にと触れ、先生が心配そう、というかちょっと嫉妬してそう。
気のせいだろうか。
何本も刺されてほっとかれる。
先生が手を撫でてきた。
ええい、なんぞしたくなるからやめてくれ。
暫くして鍼が抜かれた。
座って、と言われて座る。うん、随分楽だ。
「明日また来て下さいね」
「はい」
お支払いをして先生と二人帰る。
「随分違うわねぇ」
「ん、そうですね。まだ痛みはしますが」
家に帰って先生に軽くキス。
「そんなわけで今日は抱けませんよ」
「あのねぇ…」
片手で頭抱えてる。
「冗談ですよ、それより腹減りませんか?」
「作ってあげるわよ。寝てなさい」
「…おかゆは遠慮します」
「あら? 嫌いなの?」
「というか病気じゃないですから。普段のものでいいんですよ」
「そう? ま、いいわ。ほらベッド行きなさい」
「はい」
ベッドに転がると立つよりは楽で、しかし寝返りは難しく。
台所の音が何か心地よくて少し寝てしまったようだ。
ふと目が覚めると先生がベッドの横に座って食事の支度をしている。
「ん、リビング、行きますよ」
「あぁ起きたの? 出てこなくて良いわ。背中、クッション入れてあげるから」
病人のように扱われて自分で食べるといってるのに、あーん、などと。
「先生、世話焼くの好きですよね…」
何とか食べ終わりお茶を頂いてる間に先生が片付けてくれている。
散らかった部屋も。
てきぱきと掃除や洗濯物を片付けて行く。
流石に長年主婦をしている人は手早くて凄いと思う。
「あ、そうそう。今日泊まるから」
「じゃ和室に布団敷いてくださいよ」
「どうして?」
「我慢できなくなるから」
「ばか、こんな状況で何言ってるのよ」
「可愛いな」
「寝なさい!」
頭をペシッと叩かれた。
笑いながら布団に潜り込む。
「もうっ」
怒りつつも俺を頭をなでている。
優しくて、可愛くて、綺麗で。
そんな女が俺のものになってくれている幸せをいつまで享受できるのだろうか。
先生から軽くキスしてきて寝かしつけられる。
満腹感と先生の甘い匂いに包まれてしばしの眠りについた。
次に目が覚めたのはすっかり夜で先生は今でテレビを見ながらお裁縫をしている。
俺の襦袢に半衿をつけてくれていたようだ。
「あら、目覚めた? ご飯食べる?」
言われて見れば腹が減った。
「いただきたいです」
よっこらどっこいしょと起きてトイレに行き、リビングの椅子に座る。
「先生はもう食べたんですか」
「そうよ、起こしたけど起きなかったもの」
ん? と時計を見れば10時で流石にそりゃ食ってるよな。
「あなた明日仕事どうするの」
「休めって言われてます」
「そう、よかった」
いくつか出された小鉢を平らげてもう少し欲しいなと思っているとプリンが出た。
デザートか。
「お夕飯の買物した時にね、買ってきたの」
「あなたの分?」
「ううん、別に買ってあるわ。だから食べて良いわよ」
「そんじゃいただきます」
先生はそのまま半衿を付けている。
つい見とれていると終られて片付けだした。
「なぁに?」
「ん、いや。そういうのしてる姿も好きだなと」
「変な子ねぇ」
先生はお針を数えて蓋を閉め、仕舞いこむ。
俺は満腹。
「さ、そろそろ寝るわよ。あんたも寝なさい」
「いま起きたところ…」
「ダメよ、ちゃんと安静にしなくちゃ治らないわよ。寝れないなら添い寝してあげるから」
「うーん」
ベッドに連れて行かれて布団に押し込まれた。
横に先生が潜ってくる。
「したくなっちゃうな」
「安静にって言ってるじゃない。良い子だから寝て頂戴」
寝かしつけようと撫でてくる。
お母さんモード?
「あなたが先に寝たほうが俺は眠くなるんだけどね」
「そうなの?」
「寝息、聞いてるの好きなんだよ。あなたも今日は疲れたでしょう?」
「そうねぇ」
あふ、とあくびをしている。
「だから先に寝てくれて構いませんよ」
「だったらそうするわ。あなたもちゃんと寝て頂戴よ?」
「うん」
久しぶりに枕を二つ離れさせての就寝。
手を絡めて。
先生の体温と寝息が心地よい。
眠れないだろうと思っていたのにすぐに眠気が下りてきた。
おやすみなさい。

拍手[0回]

478

さてさて朝起きて出勤して。暇だ。
火曜日だねぇ。
さすがに。
早めに切り上げて先生のお宅に向かった。
今日もツバスとアジ、笹カレイを持って台所へ。
八重子先生に渡して水屋へ。
支度して待つと先生が来られてお稽古が始まる。
いつものように手伝い、俺も稽古をつけてもらった。
少し厳しくて何度か叱られる。
それでも終った後のフォローがあって落ち込みは回避できた。
片付け終えて台所に顔を出すと俺の分は牛肉の炒め物。
「不断草があったからね。ほら、綺麗だろ」
「へぇこんなのあるんですね」
人参葉の胡麻和えや大根の炊いたのが出来てておいしそうでついつまみぐいしたくなる。
流石に叱られるからやらないが。
先生方は俺の持ってきた魚をメインにして食卓に出した。
「律ー、ごはんよー」
先生が呼んで律君も食卓についた。
いただきます。
牛肉の炒め物はオイスターソースかな。
不断草はなんだかほうれん草っぽい。
「ほら、もっと野菜食べなさい」
「あ、はい」
人参葉もうまい。大根も。
幸せな気分で食事を終え、後片付けに立つ。
洗い物を終えて戻って思い出した。
「そういえば花月どうでした?」
「難しかったわよー」
色々とお話を聞いて笑ったり叱られたり。
夜が更けてお風呂に各自入り布団へ潜った。
それから軽めに抱いてキスをして。
先生の心地よさげな寝息を聞く。
おやすみなさい。
翌朝やはり先生をおいて朝食を作りいつもの水曜日。
家事を手伝い夕飯を食べてから帰宅した。
さてと、どうせ明日も暇だろうなぁ。
そんなことを思いつつ布団にもぐりこみ、寝た。

拍手[0回]

477

休み明け、出勤は天気もよく入荷もそれなりでお客もそれなり。
まぁまぁ売り上げて帰宅した。
うーん、秋。
散歩しようかな。
途中思いついてカフェ&バーの店に顔を出した。
「お、久しぶりだねぇ? いつもの?」
「うん」
生姜酒。
生姜蜂蜜をジンジャーワインとスピリッツ、ジンジャーエールで割ったもの。
なので結構度数は高い。
普通はジンジャーワイン&ジンジャーエールらしいが。
友人はこれに更に生姜の摩り下ろしを入れてた。
一口舐めるように飲む、
辛くて、甘く、強い。
飲んでる間に日替わりの肉定食が出てきて食いつつ飲む。
うまいな。
今日の焼肉は醤油系だが、これは柑橘を感じる。
「わかる? みかん」
みかんをタレに使うとは考え付かなかった。
レモンやスダチはわかるけど。
「あれ、山ちゃん久しぶりだねー」
「お、中川じゃん。お前こないだ彼女と別れたって聞いたぞ? マジか?」
「マジよマジ。他の奴と結婚するから別れて!だぜー」
「きっついなぁそれ。二股かぁ」
「いや見合いだってよ。アイツの親に反対されててさぁ」
「あー。お前すぐ仕事やめるからな」
「うるせー」
「こないだは現場で監督殴ったって言ってたろ」
「示談示談、んなの」
「金のある奴はこれだから」
ケケッと中川が笑って奴も定食を食い始めた。
「うめー。おーい、ビールくれや」
生中飲みつつ煙草を一服。
「相変わらずだなぁ」
「だってうまいじゃん?」
「うまいけどさ」
「お前タバコは?」
「やめた。女が吸わないから」
「あ、女出来たんだ?」
「でも他所の嫁さんだから。同棲できなくてさ」
「不倫?」
「そうなる」
「他所の嫁さん血まみれにしてんのか」
「いや、まぁなんつーか今回は違うんだよな。良い女過ぎて出来ない」
「へーお前がねぇ。大事にしろよ」
「してるよ、多分」
食い終えておかわりを頼んで暫く飲んで惚気を聞かせた。
「クッソ俺も早く次探さねえとな」
「頑張れよー」
そろそろハロワへ行く、と言うのでお開きにして別れる。
あれ、あいつビール飲んでたよな。
大丈夫かな。
ゆったりと良い天気の中歩いて帰宅した。
うーん、良い気持ちに眠い。
寝巻きに着替えてベッドにもぐりこみ、昼寝を決め込む。
夕方、先生からのメールで目が覚めた。
あーうまそうな飯だ。
俺は、と言うと何も買ってなくて外に出る気にもなれず。
おかかとご飯で食って再度布団に潜り込む。
先生には内緒、内緒。
おやすみなさい。

拍手[0回]