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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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535

さて、こっからだと…すぐそこの大通りを駅方向に向かえばホテルだ。
和洋室をとってある。
先生が着物だからだが。
そしてもちろんトイレと風呂は別だ。
「ねぇ、ダブルベッドじゃなくていいの?」
「ダブルの部屋、風呂と便所一緒ですよ」
「それは嫌ね」
「でしょう? ま、致す時ちょっと狭いし、寝る段になれば別の布団は正直嫌ですが」
「やっぱりするのね?」
「しないほうがいいならそれでも」
「そういうつもりで…いったんじゃないわよ…」
ふいっと横を向いた。
「どうしたんだ? 最近」
背中から抱きしめる。
「だって。あなたしたいって最近言わないから。したくないのかしらって…」
「明日の予定がないならば。足腰立たないほどに…したいよ。ああ、やりたい」
熱くなった手を絹の懐に差し込む。
「そんな、に?」
「したいともさ。犯しつくしたい」
耳元でささやくと少し震えている。
「怖いか?」
そっと俺の腕に手を添えて身を預けてきた。
「それでもいいわ…」
暫く胸をもてあそぶ。
「ね、離してちょうだい」
「うん」
おとなしく離してやるのはなぜか。先生が脱ぐからだ。
待っててやらないと着物がえらいことになる。
何度か襲って後で洗いに出す羽目になったのを覚えている。
腰のものひとつになって、それでもためらいがちに外す姿はいつ見ても良い。
うつむきつつも俺に裸体をさらす。
胸と股間に手を添えて。
いつまでたっても恥じらいを忘れないこの女を泣かせてねだらせる。
これほど楽しいことはない。
勿論痛みに泣かせたり、苦しませるのは好きだが。
それは他の女でも楽しめることだ。いつか、でいい。
「手を後ろで組んで。そうだ。良い子だね」
腿をきゅっと引き締めて隠そうとする。
「足も開きなさい」
おずおずと開き、閉じたそうにする。
股間に触れる。
「ぁ、ん…」
すでに濡れている。
後ろに組めといっていた手が俺にしがみついてくる。
暫くもてあそんでいると体重がどんどん掛かって来た。
「ね、もう、お願い…」
「立ってられない? 駄目だよ」
「そんなこといわないで、ねぇ、お願いよ」
「だーめ」
お願いが出来ないようにキスで口をふさぐ。
舌を絡めつつも呻いて、もてあそぶ指を締め付ける。
背がのけぞり少し舌を噛まれた。
逝ったようだ。
蕩けた様な顔で後ろのベッドに腰を下ろした。
「いけない子だ、座って良いとは言ってないだろう?」
「だって…」
「まぁいい。そのまま」
脱ごうとしたら脱がされた、
手が汚れているから、だそうだ。
暫くベッドの上で楽しんでいると携帯のアラーム。
あ、そろそろ飯の時間が近い。
「飯の時間だけどどうする? ここでやめるか?」
「やめないで…」
スピードを上げて逝かせ、先生をシャワーに連れ込んだ。
汗と股間の汚れをとりあえず落とし手早く水滴をふき取ってベッドへ。
「着れますか?」
「頑張るわ…」
手伝ってなんとか着てもらい俺も着る。
直された。
「余裕あるな? もうちょっとしてもよかったかな」
「ないわよ、だめよ」
頬が赤い。
汗で崩れた化粧を直させて少し遅れたが食事へ行くことにした。

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534

数日後、仕事を早めに切り上げて帰宅し、風呂に入る。
すっきりして風呂から上がると既に荷物を持って先生が来ていた。
「早いですね」
「だって遅れたら困るもの。あんたも早く支度しなさいよ」
「はいはい」
ざっと髪をタオルで拭いて着替えた。
「さて、じゃ行きますか」
「乾いてないじゃないの、もう」
なんだかんだいいつつ荷物を担いで駅へ。
グリーン車。なんたって指定席とちょっとしか変わらない料金。
グランクラスはさすがに取れなかった。
それでも新車はいいものだ。
「今度金沢まで乗りたいですね、グランクラスで」
「あら嬉しいわ」
「たしか金沢も茶道人口多いんでしょう?」
「そうよ、よく覚えてたわね」
さっそくながら駅弁を広げる。
「相変わらずお肉ばっかり」
「あなたはやっぱり野菜多いんですね」
「おいしいじゃない」
あ、と先生が手を止める。
「お茶買ってきてくれないかしら。温かいの」
席を立って自販機を探す。…ない。
自販機がない、というと困っている。
「一応、常温の水でよければ持って来てます。あと車内販売回ってくるかと」
渋々、という顔だ。
「すいません、サーチ不足でした」
「仕方ないわねぇ」
俺の水を一口飲んで、駅弁を食べ進める。
「ん、おいしいわぁ」
「こっちもうまいですよ」
食べ終えた頃車内販売が来た。
サンドイッチとお茶とコーヒーを頼む。
「まだ食べる気?」
「勿論」
「ほんと相変わらず良く食べるんだから」
先生のお茶を開封してあげてからサンドイッチに手をつける。うまい。
暫くして先生がトイレに行った。
一人は時間をもてあます。
すぐに戻ってきた先生は俺にトイレに行くように言う。
なんだ?
催してはいないが行って見ると…便座が自動開閉する上にウォッシュレットになっている。
なるほど驚く、これは。
戻って先生と凄いすごいと言っていると後ろの席の人も気になったようで見に行った。
「進化してるのねぇ」
「ですねぇ」
「でももうちょっと広いともっといいのに」
「あー…下手に広くするとそのー、しちゃうやつが」
「なぁに?」
「sex」
あ、黙った。
ベシッと俺の額を叩く。
「バカ、もう。そういう事いわないの」
「したいけどね」
目をそらして窓の外を眺めだした。
かわいいなぁ、こういうところ。
そのうち目をつぶって日差しを楽しんでいるようだ。
綺麗だな。
旅行、久しぶりだ。
ゆっくりと楽しみたくはあるが…。
強行軍かも知れず、また雨に降られれば面倒な事になる。
携帯で天気予報を確認しつつ。
先生のハンカチが手から滑り落ちた。キャッチ。
どうやら寝てしまったようだ。
疲れてるんだろう。
俺も眠いが時計を見るとあと40分ほど。
寝過ごさないかな。
しかし眠気に負けてうつらうつらとしていると揺り起こされた。
「次、降りる駅でしょ」
「んー…? え、もう?」
あわてて降りる支度をする。
駅に着いた。
とりあえず改札を出て時計を見た先生はまだ早くない?という。
「チェックインはあと1時間ありますよ。だから車借りて善光寺行きましょう」
「タクシーでいいじゃない」
まぁそういうなら、と荷物をホテルに預けてタクシーに乗る。
先生は帰りは歩こう、といっている。
みやげ物やらいろんな店が気になるようだ。
運ちゃんが色々と説明してくれる。
もうちょっと時期が早ければ御開帳だったとかで惜しいね、と。
「でも回向柱はあるからね、触っちゃうといいよ」
あ、終わったら護摩にするんだと思ってた。
違うのか。
どうやら歴代の回向柱もあるらしく、自然のまま朽ちさせているそうだ。
「次、御開帳の時に来たいですね」
「それじゃ元気でいなくちゃ」
「余裕でしょう? たかが7年じゃないですか」
「それもそうねー」
タクシーを降りて二人物珍しそうに巡る。
「一度来て見たかったのよねぇ」
「機会なかったんですか?」
「お教室してるでしょ、なかなか休めなくて」
「あー。一人旅は面白くない、と。お友達は?」
「お休みが合わないもの」
俺もあんまり休みはあってないんだが。
先生は何か長いこと願い事をしているようだ。
俺は極く簡単に幸せでいれますように、と願ったが。
「何をお願いしたんです?」
「色々とね。あなたのことも」
「聞きたいな」
「ナイショ」
「夜にね、聞いてあげる」
「ばか…」
照れててかわいい。
手を握ってぶらぶらと参道を歩く。
いろんなものに先生が目移りしてお土産を買っている。
早くもひと荷物になってしまった。
ホテルで発送掛けよう。
門前を外れさすがにお店は少なくなってきた。
「ねぇ、なにか甘いもの食べたいわ」
とはいえ見回しても何かありそうな気配はない。
地元っぽい人に聞いてみる。
左手へ行くとお茶屋さんがあり、そこの抹茶ソフトがお勧めとか。
5分ほど歩く。どこだろうかときょろきょろしつつ。
あ、本当にお茶屋さんだ。
たしかに張り紙もしてある。
先生は気負いもせずにごめんください、と入っていかれた。
抹茶ソフトを頼むとカップか聞かれ、二つ頼んだ。
出てきたのは茶碗?に盛られた抹茶ソフト。色が濃い。
一口食べた先生がおいしいとうれしそうだ。
俺も食べてみる。ん、甘い。
冷えた頃に温かいお茶がまたうまい。
小豆は先生に食べてもらって。
ふと売り場を見ると抹茶チョコなどが並んでいる。
それと東京ではあまり見ない茶園のお茶。
お勧めを聞いて買った。
帰ってから飲んでみよう。
先生は温かいお茶をおいしそうに飲んでいる。
「そろそろ行きましょうか」
「そうね。おいしかったですわ、ごちそうさまです」
お店の人にも先生は愛想を。
そういうところが好きだ。

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7

事後。
息を切らせていたのがどうにか治まり、ふと横を見るとすでに寝息を立てている
そういえば夫もした後はすぐに寝ていたわね。
股間の汚れを拭くが腕や太ももの汗のべたつきが気になる。
そっとシャワーを浴びに立った。
足ががくがくするので静かに、というのは難しいけれど。
暫く浴びてあそこを流しているとしみる。
鏡で覗き込んだら少し切れていた。
彼のものが大きかったからか、激しかったからか、その両方か。
夫よりは大きく、そして気持ちよかった。
意外と丁寧で私が慣れるまで待ってくれる優しさを見せ、思っているより激しく。
よくわからない人だわ。
シャワーを済ませ、部屋に戻るか自室で寝るかと迷う。
あの人が起きるまでに起きればいいわ。
自室へ戻り、布団を整え潜り込んだ。目覚ましをセットする。
すぐに眠りはやってきた。
夢の中でさらに責められていると目覚ましに起こされた。
少しほっとして手早く洗顔をする。
あちこちが痛む。筋肉痛もある。
それでも朝食を作っているとあの人が起きてきた。
「おはよう」
「おはようございます。ご飯もう少しですから」
「ん」
柱にもたれて私の作っているのをじっと見ている。
何か気恥ずかしい。
お味噌汁の支度をする頃には居間へ戻ったよう。
ご飯が炊けて配膳。
いつものように出しているつもりだけどぎこちなくなる。
「どうぞ」
勧めると食べ始められた。
少し首をひねられる。
どうしたのかしら。
私が普通に食べていると微笑まれた。
どきっとする。
「あんた昨日の。疲れただろう。やることねぇなら昼寝していいぜ」
「あっ、はい。ありがとうございます、でも…」
「家事か。適当に手を抜いちまえよ」
そんなわけには、と思うものの筋肉痛は辛くて。ありがたいとも思える。
食後、明日に回せるものは明日に回して洗濯を片付ける。
上に手を伸ばすのが辛い。
見かねたのか手伝ってくださった。
お昼前にひと段落着いてご飯を、と思ったのだけど。
「おい、俺はいいよ。お前もいらねえなら一緒に寝るか?」
あくびをしつつの提案。
私も大しておなかがすいているわけじゃない。
同意して布団を整えに立った。
シーツも昨日の布団も湿っているので客用布団を出す。
そういえばいつの頃かあの人は布団を持ち込んでいてダブルになっている。
この客用布団はセミダブルだけど。
…昼間っからされるのかしら。
からりと後ろのふすまが開いた。
「おい、着替えねえのか?」
「っ、今、着替えます」
あたふたと脱ぎ始めると小便、と言って閉められた。
ほっとして着替える。戻ってくる前に、と急いで。
寝巻き姿になり髪のピンなどをはずし文机にまとめておいた。
「ひゃっ」
後ろから抱きつかれて慌てる。
「良い匂いしてんな。風呂はいったんか」
「あ、はい、夜中に」
「そうか、まぁいいや、寝るぞ」
布団の中に引き寄せられてどきどきしているとすぐに寝息が聞こえてくる。
…何だ、本当に眠かっただけなの。
ほっとするのと何か残念なような気がした。
昨日が気持ちよすぎたのよね。
腕に抱かれているとこらえていた眠気が降りてくる。
おやすみなさい。

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6

土曜日、お稽古が終わって咲田さんが来た。
いつものように夕飯を食べ終え、くつろがれる。
お風呂を、と思ったけれどまたこの間のようにされるのかしら、と少し逡巡する。
「おい」
あわてて咲田さんを見る。
「風呂は? 沸かさないのか?」
「あっ、いえ、今沸かそうかと…」
「ん、頼む」
良かった、今日は縛ったりしないみたい。
ほっとしてお風呂に栓をしてお湯を張った。
夫が使っていたシャンプーや剃刀などは捨てられていて、
あの人が持ち込んだものが置かれている。
咲田さんと夫は好みが違う。
夫は私のシャンプーでも使う人だったけれど咲田さんはすっきり系が好き。
見たこともないシャンプーやボディソープを使っている。
私が男の人のものを買わないかもしれないけれど。
お風呂上りにふわりと香るのはシトラスの香り。
洗面所にも見慣れないものが増えた。
これからもっと増えるだろう。夫のものが減って。
夫の匂いが薄れていく。
俺の女、という割にはあの人はお仏壇の前にいるときは声をかけてこない。
なぜかしら。

戸締りを確かめて便所から戻ると風呂が沸いた、と女が呼びに来た。
「一緒に入るか?」
ふと言ってみると女が後ずさる。
まだ早かったようだ。
まぁ、焦らなくてもいい。時間はたっぷりある。
一人で風呂に入り汗を流す。
家だと湯につかったりはせずシャワーで済ませているだけに気持ち良い。
「あの…」
ドアに人影が映る。
「なんだ?」
「お背中、流したほうがよろしいでしょうか…」
「いや、いい」
風呂に誘ったからか。
ソープ技を覚えさせても楽しいが、まだ早いだろう。
すっきりさっぱりと洗って出る。
交代で女が入る。
ちゃんと晩酌の支度がしてあるのが良い。
今日は昆布と椎茸の佃煮。
もしかすると俺がこの間使ったから佃煮にしたのか?
まぁいいけどな、うまいから。
酒がすすむ。
気持ちよくなった頃、女が出てきた。
最近は暑そうな上っ張りではなくレースを羽織って出てくる。
まだ浴衣だけには抵抗があるようだ。
酒の相手をさせるうちに女も程よく酔う。
布団を敷かせるとやはり困った顔をしてこちらを伺った。
「寝るぞ」
「…、はい」
女はためらいつつも布団の中に体を横たえる。
後ろから抱き寄せる。
「あっ…」
馴染ませる様に手を這わす。
「んっ、うぅ」
かすかなあえぎ声を楽しむ。
肝心の所はまだ触らない。
段々と女の息が荒くなってきた。
浴衣の上からもわかる乳首をピンッと指で弾いてやる。
「あぁっ」
「乳首立ててんじゃねぇよ」
「ご、ごめんなさい…あっ、んんっ」
つまんで揉みこむ。
腕を掴んで止めようとする手を振り払い、股間に差し入れた。
「すっげぇ濡れてるなぁ。あんたヤりたいんだろう」
首を振るがクリを軽くタップするだけで良い声で啼く。
逝かさない様に気をつけつつ嬲る。
腰がうねって俺の物に尻をこすり付けてくる。
旦那とは暫くしてないと言っていたから欲しいんだろう。
「したいって言ってみな、入れてやるよ」
女の手で俺の物を触らせる。
我慢強く首を振るが汁はますます流れ出ている。
そのまま暫くじらしていると諦めた様で小さな声で入れて、と聞こえた。
正常位にしてコンドームをつける。
女の視線は俺のものに釘付けだ。
全体的に擦り付けて入り口にあてがうと女の体がこわばる。
押し込む。きつい。
緊張しているのもあるんだろう。
「う~…」
辛そうに声をあげている。
それでもゆっくりではあるが動かしているうちに全体が埋まり、奥に当たった。
「全部入ったぜ」
女は目をそらせる。
暫く馴染むまで愛撫をしてやると中も動く。気持ちいい。
ゆっくりと動かしてやると女も気持ち良いようだ。
探りつつ女が良いポイントを擦ってやると喘ぎだした。
暫く続けていると女が痙攣する。
「おい、もう逝ったのか」
荒い息で頷く。
「俺は残念ながらまだだ。もうちっと頑張るんだな」
注送を繰り返しているうちに女は何度か逝き、苦しそうにしている。
そろそろ逝きたくなって早く出し入れをするとひときわ大きな声を上げ始めた。
「む、うっ」
中で出して引き抜く。
コンドームの始末をした。
疲れて横に転がり、すぐに眠りに落ちた。

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5

「ん、んん~」
お母さんが朝ご飯を作る匂いにおなかが鳴って目が覚める。
起きなきゃ。
ぼんやりした頭で洗面をして着替え、台所へ向かう。
「おはよう」
はっと目が覚めた。
お母さんじゃ、ない。
そうだった、もうとっくにお母さんはいない。
ここにいるのは夫でもない。
咲田さんだ。
「おはよう、ございます」
「よく寝ていたから起こさなかった」
「すみません、ご飯の支度…」
「もうちょっとで出来る。あんたも喰うだろ?」
頷いて台布巾を取り、食卓を拭いた。
意外にも咲田さんは料理が出来るらしい。
配膳をして朝ご飯をいただく。
「おいしい…」
「一応毎日作ってるからな」
そういえば一人暮らし、と言っていたことを思い出す。
お味噌汁も同じお味噌なのにどことなく味が違っている。
食事の後いつものように家事をしていると、縄の痕が残っているのに気づかされる。
手首の痕はしっかりついていて何をしていても目に入った。
これ、明日には消えるのかしら。
お昼ご飯の後、不安に思って聞いてみた。
お風呂で暖めてマッサージすると消えやすい、と言う。
後でお風呂に入ったら試してみるしかないわね。

夜が明けて腕に抱いている女は気持ちよさそうに寝息を立てている。
寝る前は警戒していたが寝ちまえばこんなものだ。
腹が減ったな。
朝立ちで小便を苦労して出し、いつものように洗面をする。
寝間を覗くが未だよく寝ている女を起こすより、自分で作る方が早い。
そう考えて台所に向かう。
ここしばらく眺めていたからなんとかなるだろう。
だが味噌汁の出汁、何でとっているのかまでは知らないことに気づく。
昆布か煮干し、鰹節でもないか、と思えば昆布を見つけた。
椎茸も見つけたのでそれで出汁を取る。
その間に飯を炊き、冷蔵庫の中を見ておかずを作る。
そろそろ飯も炊けそうだ。出汁も出ている。味噌汁に取りかかった。
足音に目をやれば女が起きてきたところだった。
「おはよう」
声をかけてやると少し間が空いて応えが返ってくる。
食うか、と聞けば頷く。
布巾を持っていった。
暫くして味噌汁も出来、飯が炊けた。
女が飯を仏飯入に入れたあとひっくり返す。
味噌汁やおかずを少しずつとって供えに行った。
それから生きてるものの食事だ。
俺が作る飯をおいしいという。
毎日作っていたらそれなりになるものだ。
女の手首には昨日の縄の痕がうっすら残っている。
殊勝にも暴れなかったから薄い。
飯の後、家事をしている女を見ていると時折気にするそぶりをする。
昼飯を女が作り、食い終えると女が不安そうに消えるか聞く。
「風呂でマッサージしろよ。割と消えるぜ」
消えなきゃ消えないで隠すな、といった。
もうただの「センセイ様」じゃない。俺の女だからな。
それから女の稽古風景を楽しみ、夕飯を食って帰る。
女もこの生活に慣れてきたようだ。

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