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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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371

そして着替えて出勤。
土曜の朝は少し忙しい…はずがこの雨では。
荷物少なくばたつくが最終的には売り上げは今一つだった。
帰宅し、着替えてお稽古へ。
水屋の支度をしていつものように生徒さんのお稽古を済ませ、夕方。
私への稽古が始まる。
前回お疲れで緩い稽古だったが今回はしっかりと。
でもそれが終ると水屋で先生がもたれかかる。
「先生…疲れてます?」
「んー別に」
「疲れてないならけじめつけたほうが良いと思うんですが」
「何でそんなこと言うの?」
「いや…居間に戻ってからなら良いですが、水屋ってまだお稽古の時間でしょう?」
「あら…そうね。けじめのないことしちゃったわね」
しゃっきり背筋に力が入り、てきぱきと指示を出される。
きち、きちっと元の場所へ返し、火の元も確認する。
点検をしてヨシ、となりお稽古終了、夕飯の支度の手伝い。
配膳して呼びに行く。
「あ、今日は団子汁なんだ?」
「そうよーそれと生姜焼き」
それと八重子先生の作る煮物。
俺の分に野菜のおかずが一品多いのは…。
ま、いいけど。おいしいし。
しっかりと食べてお片付けもして。
今日は寝るばかり。
涼しいからあちらにもいかずに。
雨だねえ。
昨日帰る頃の雨は凄かった。
このまま泊まっていたかった程だ。
今日はしとしと。
八重子先生も何か眠そうだ。
「もう寝ちゃいますか?」
「ん、あぁそうだねえ、寝ようか」
「じゃ、戸締りしてきます。先生、火の元お願いできますか」
「うん…あ、律。火の元確かめてきて頂戴」
上手におしつけたな。
戸締りをして戻る。
律君は火の元を確かめてくれて、あとは自室でレポートだそうだ。
先生に部屋へ行くよう誘う。
「連れて行って」
腕を絡めてきた。
「仕方ない人ですね」
ひょいっと抱っこして寝室に入る。
部屋で下ろして布団を敷くと先生が寝る用意をしている
俺も寝巻きに着替えた。
髪をほどいてる先生の後ろから抱きついて胸を揉む。
「もうちょっとまって、ね、お願い」
少し緩めてあげて先生は何とか身支度を終えた。
布団に引きずり込み、素肌に手を這わせる。
「んー気持ち良いな」
滑らかな肌を堪能しているだけなのに先生の息が荒くなる。
結構な時間楽しんでから股間に手をやると随分と濡れていて、
軽く突起を弄るだけで逝ってしまった。
入れて欲しい?と聞くと恥ずかしげにうなづく。
ゆっくり丁寧に弄る。
かすかに啼く声が楽しい。
3度ばかり逝かせると、もう疲れてだめ、と言う。
そろそろ寝かせるとするか。
後始末をして背中をなでて睦言を言ってるうちに先生は寝てしまった。
うん、俺も寝よう。おやすみなさい。

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370

朝、起きた直後に先生から詫びのメールが来た。
今寝れないそうだ。
あんな時間から寝るからだね。
子守唄でも歌おうか?と返事を書く。
そんなのより抱いて欲しい、とメールが返って来た。
慌ててそのメールを削除するよう返した。
だけどえっちな意味じゃなくて抱っこしてて欲しい程度だったようだ。
驚いたじゃないか。
雨の夜の一人寝は少し、さびしかったらしい。
今日昼から行く旨を伝える。
嬉しい、とメールが返って来た。
慌しく出勤。
仕事中ふと考える。
この関係はちょっと先生にとってよろしくないんじゃないか。
八重子先生と二人になった時に少しお話したほうが良いかもしれない。
いや、頼られるのも甘えられるのも嬉しいが。
母として、妻として、教室の先生として。
俺に入れ込みすぎておざなりになるようなら離れなくてはならない。
先生に言うとこじれるんだろうけれど。
飽きたの?とか言われるのは勘弁して欲しい。
なんてよそ事を考えてたら商品出し忘れた。
うん、俺もいかん。
仕事に集中し直し、こなして行く。
雨か…。
気は晴れぬまま仕事が終わり、食事を取り風呂に入る。
着替えて先生のお宅へ車で移動した。
「こんにちは」
と入ればお花のお稽古日らしく女性陣の声がさざめく。
部屋には近寄らないようにして自室へ向かった。
鞄を置いて寝転がる。
雨音、遠くの女性の声。
ミシと廊下が軋む。
「あら、きてたの」
「ええ」
「もうちょっと待っててくれるかしら。生徒さんたちまだいらっしゃるから」
「寝そうです」
「寝てていいわよ」
身を翻して部屋から去っていった。
少し寝よう。
うつらうつらする。
重みを感じて目が覚めた。
「ん、いま何時ですか?」
「さっきから30分ほどしか経ってないわ」
「皆さん帰られた?」
「そう。お昼食べてきたの?」
「食べました。先生はまだですか?」
「もういただいたわ」
「なるほど、重い」
「それくらいで重くならないわよ」
ちょっとふくれっつらをして拗ねてる。可愛いな。
「明日、泊まってくれるのよね?」
「もちろん」
「今日は…」
「無理ですよ。でも夜までは居られますから」
暫くべったりとくっついていたが、そろそろお昼の生徒さんが来るからと起きた。
「寝るならお布団着て寝なさいよ」
「はい、頑張ってらっしゃい」
ちゅっと軽いキスをして部屋から送り出す。
教室は確か3時間ほどか。
布団を敷いてタオルケットをかけて少し寝ることにした。
今からちゃんと寝て、夜、先生が寝る頃にここを出れば丁度良い時間になる。
涼しいこともありよく眠れた。
先生がご飯と呼びに来て目がさめた。
そのまま引き寄せる。
「ダメよ、お夕飯食べましょ」
暫くぐずぐずしていたらデコピンを鼻の頭に受けてしまった。
うーむ、痛い。
食卓に着くと八重子先生からおはようと言われた。
「お邪魔してました」
「今日も泊まっていくのかい?」
八重子先生、それは無理です。
「いや、明日まだ仕事ですから。夜には帰ります」
「ご飯食べたら帰っちゃう?」
「1時までなら居れますよ」
「寝なくて良いの?」
「さっき寝ましたし大丈夫です」
先生の矢継ぎ早の質問に八重子先生が笑う。
「そういえばお稽古じゃないのに何で来たの?」
「やだなぁ、今朝来て欲しいってメールくれたじゃないですか」
「あら? そうだった?」
「寝ぼけましたか。先生にとっては夜中ですから仕方ないですが」
気になるものの食事をしながら携帯を触るのはお行儀か悪いと思ったらしい。
食後すぐ携帯を見だした。
「あら~」
「どれどれ?」
八重子先生が覗き込んでる。
「山沢さん、あんた甘いねえ」
「八重子先生も甘いでしょう? お稽古日なのにうちにやったり。良くないですよ」
「あら、迷惑?」
「じゃなくて家のこととお教室と。
 どっちもおろそかにしちゃいけないんじゃないですか」
先生がしょんぼりした。
「いいんだよ、私がいるうちは娘気分でも。
 ずっとあんたお教室や孝弘さんのことで遊びにも行かせてないしね」
「八重子先生がそう仰るなら」
「それにあんた来てくれると家の事が捗るからねえ、丁度良いよ」
「ああ、先生がしない分は私でまかなえてます?」
うん、と八重子先生がうなづく。
「ということで洗い物頼むよ」
「はい」
食器を引いて台所へ。
先生の前で言うつもりじゃなかったんだが。
苦笑しつつも片付ける。
洗い終わって居間へ戻り先生の横に座る。
と、もたれられた。
俺は嬉しいんだけど良いのかなぁ。
まぁ八重子先生気にしてないし良いか。
ただなんだ、触りたくなるのだが。
そこはちょっと我慢して一緒にテレビを見た。
番組が終って先生がトイレに立つ。
八重子先生が半襟持って来た。
「あんたもつけたら?」
そうか、絽の半襟にしなきゃいけない時期か。
八重子先生と付けていると先生も混ざりだした。
俺が一つつけてる間に二つ。
二つ目を終える頃には足袋の繕いと律君のシャツの綻びをつくろっている。
「手、早いですね」
「あなたが遅いのよ」
八重子先生はとっとと付け終わって部屋に戻ってしまった。
やれやれ、と針と糸を仕舞って先生の肩を揉む。
気持ち良さそうだ。
そのまま胸も揉んだら小突かれた。
「だめよ」
ふっと笑って足を揉む。
足袋を脱がせて指を。
揉み終えて履かせ、ふくらはぎ、膝裏、太腿。
ガタッと音がした。
「律君、どうした?」
「…えぇと、マッサージ、ですか?」
「そうだよ」
違うものに見えてしまったかな。
「あ、あんたのシャツつくろってあるから部屋持って行きなさい」
「うん。あ、お風呂あいたけど」
「おばあちゃんは?」
「今日は良いって」
「じゃ山沢さん、一緒にはいる?」
「ん、そうですね、浸からせて頂きましょう」
「ちゃんと寝巻き持ってきなさいよ」
「はーい」
寝巻きを持ち込んで、風呂に先生とはいる。
うー、ぬくい。
気持ち良いなあ。
横で先生が頭を洗ってる。
濯ぎ終えたので背中を流してあげた。
「うーん、やっぱり先生の肌綺麗だなあ」
「そりゃあ気をつけてるもの」
ここに…傷をつけるのは背徳感と色気を感じるんだろう。
あまりに綺麗で勿体無くてできないが。
他の人にされるくらいなら俺がしたいな。
触っていたら先生はどきどきしてきたようだ。
「あの、だめよ…こんなところで」
「あっ、あぁはいはいはい、そうですね」
湯船に再度浸かって、それから出る。
うん、気持ち良い。
このまま先生と布団にもぐりたい気分だ。
先生の寝間に布団を敷く。
今日は泊まらないから。
先生と布団の横でおしゃべりしてると先生が眠そうにしている。
抱っこして背中をなでて寝かしつけた。
さて、帰るか。
物音を立てないようにして部屋を出て、玄関の鍵を閉めて車に乗って帰宅した。

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369

朝起きると空気がひんやりしている。
天気予報は昼から雨。
と言うことは客は買物控えめかな。
長袖を着て出勤する。
荷物は少なめだ。
やや暇ではあるものの、それなりに売れた。
ヨコワを一尾売り損ねたから持って帰る。
先生に食べてもらえば良い。
着替えて先生のお宅へ。
「こんにちは」
居間に顔を出すと先生が驚いてる。
「あら? 営業は良いの?」
「月替わりましたから。八重子先生、台所にヨコワあるんで今晩どうぞ」
「あ、ありがとう」
「今日はお稽古何されます?」
「ええとねぇ、そうね。荘物したいの」
「わかりました。支度しておきます」
「吃驚しちゃったわ。来ないと思ってたから」
「おや何か後ろ暗いことでも?」
「ばかなこと言ってないで支度して頂戴」
突き放されて水屋に入る。
雨音。
ついに落ちてきたか。
用意が終ったころ、生徒さんが来られた。
「こんにちは、降って来ちゃったわねえ」
「ええ、もう入梅ですね」
「辛気で嫌よね」
先生が入ってきた。
「先生、こんにちは。今日もよろしくお願いします」
「はいこんにちは」
生徒さんが支度を整え、先生も座られた。
お稽古開始。
湿度で空気が重い中、生徒さんが入れ替わり立ち代りのお稽古。
先生が少し倦んだ気配を見せた。
もう一人だから我慢して欲しいなあ。
目が合うと気配を払拭された。
ん、そうじゃないとね。
生徒さんが他のお稽古を終えて送り出す。
茶室に戻ると先生がもたれてきた。
「疲れましたか?」
「うん、ちょっとね。でもあなたのお稽古はするから」
「しんどいなら土曜でも構いませんが」
「良いわ、出来るときにしないと。だから用意してらっしゃい」
「はい」
ささっと用意をしてお稽古をつけてもらう。
「んん、まぁいいでしょ」
納得はされてない。
だがもう一度見てもらうのは今日は無理そうだ。
「そろそろ片付けるわよ」
そう仰ったがてきぱきとはされなくて。
ふと思い立ち額と額をあわせてみた。
「なぁに?」
「ん、熱はないですね」
ただの疲れか。
「まぁ、でも俺やりますからそこで座っててください」
「そう?悪いわね」
あれやこれや片付けていると先生が転寝しだした。
気を許してる感じが可愛くてたまらん。
すべて片付け終えて茶室と水屋の電気を消す。
そっと先生を抱えるようにする。
あ、いかん、ここでしたくなってきた。
だめだめ、と自分をいさめて抱え上げて居間へ。
座布団枕にタオルケットを掛けてあげておく。
「ん? 寝てるのかい?」
「何か疲れるようなこと朝ありました?」
「ああ、ちょっと町内会のことで色々あったからね」
台所を手伝って律君が帰ってきたので食事を取る。
先生が寝てるからごはんは八重子先生がよそってくれる。
「あんたのはレモンステーキとかいうのにしたからね」
雑誌で読んだらしい。
横では孝弘さんがおかわりをしている。
先生の分あるのかなあ。
なければまた味噌漬けにしちゃう?
「ちゃんと取ってあるよ」
八重子先生が察して教えてくれた。
ならいいか。
食事を終えて後片付け。
まだ先生は寝てる。
八重子先生は半襟をつけ始めた。
雨の日の手仕事、俺は入り込めない。そろそろ帰るか。
八重子先生にご挨拶して雨の中帰った。
雨の夜は好きじゃない。
おやすみなさい。

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368

翌朝起きて先生が熟睡しているのを置いて行こうとしたがしがみつかれた
脱皮のごとく先生の腕に浴衣を残し着替えて台所に立つ。
さすがに昨日の今日で寝過ごすと八重子先生に叱られるからな。
納豆に焼き魚、お漬物、味噌汁、おひたし。
ご飯が炊ける良い匂い。
先生が起き出して来て食卓を片付けている。
八重子先生が起きだしてくるより早く起きてくれて助かった。
先生が律君を起こしに行ってる間に八重子先生も起きてきて配膳をすます。
孝弘さんも起きてきた。
普段どおりの和やかな朝食。
律君が大学へ行けば静かな日常。
「今日も草引きお願いね」
先生は俺に野良着と麦わらを渡して洗濯や掃除を始めた。
八重子先生は茶室の掃除に行ってしまった。
塩砂糖水を作りコップに入れておき、着替えて庭へ。
黙々と作業する。
喉が渇けばその水を一口飲む程度だが。
今日は曇ってどんよりとして…別に塩水にしなくても良かったかもしれない。
お昼になってご飯に呼ばれ、手を洗っておにぎりをいただく。
小さめのおにぎりだが中が全部違う。
俺のためだけに作ってくれるおにぎりもまた美味しい。
お昼からもそのまま草むしり続行だ。
先生は八重子先生と二人で掃除に余念がない。
これまではどうしても庭は後回しになってたらしい。
ま、俺が出来る間はしてあげても良い。
謝礼は美味しいご飯と先生の体ってことで。
あ、来客。
先生が部屋にお通ししてなにやら歓談されている。
暫くして喉が渇いた。
「先生、すいません。お茶下さい」
「はいはい、これで良い?」
先生の飲みさしのお茶を俺の湯飲みに移動して渡してくれた。
丁度ぬるくて飲みやすい。
ふぅ、と人心地ついてよく見たら安藤さんだ。
「こんにちは、安藤さん」
「あら? 誰かと思ったら山沢さん? そんな格好してるから驚いちゃったわ」
「今やんないと盛夏じゃ出たくもないですからねえ」
「絹先生ったら飲みかけたお茶渡されたからどうして?って思ったんだけど。納得だわ」
「猫舌ですから新しいの入れてもらったら悲しいですねー」
先生がクスクス笑いながら新しいお茶を入れている。
「じゃ続きしてきますね」
「ん、お願いね」
黙々と抜いてたら帰られた気配と、先生が茶室に行く気配。
後は夕方まで。
「ごはんできたよ、手を洗っといで」
八重子先生に呼ばれて野良着を脱ぎ、手を洗って着物に着替えた。
ごはんごはん。
お二人の作るご飯はやっぱり美味しくて。
塩気が足りないのは後で補えば良いだけのことだ。
夕飯を頂いてしばし団欒を楽しみ、一人さびしく帰宅する。
先生も少しさびしそうなのが救いだ。
だが帰り道思い出した。
6月だ。ホテル営業行かなくて良いんだった。
明日も会えるじゃないか。
にやり、とにやけたが幸い車だから見てる人もいない。
さびしい気分も吹っ飛んだまま帰宅して、寝る。

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367

さて夜も明けてお仕事。
やっぱり火曜日はダメだね、暇で。
あくびも一つ。
おかずに良いものはないかな。
社長と雑談してると在庫整理で味噌漬けが余ってきてるのが判明した。
今晩は味噌漬けだな。
先生にメールを打ったら来るときに洗濯の洗剤を買ってくるように頼まれた。
あー。重いもんな。
律君が帰ってくるまでに第二段を干して畳む必要があるらしい。
仕事を終え、帰り道に買い込んだ。
風呂に入って着替えて車に乗り込む。
流石にこの格好で洗剤を手荷物に電車はちょっとね。
電車を乗り継ぐのと変わらない時間、車を走らせて先生のお宅へ着いた。
裏から上がって先生に声を掛ける。
すぐに先生が来て洗濯機を回し始めた。
「あとはお母さんが干してくれるわ」
「先生はお稽古優先なんですね」
「二人でいるときはそうね」
ぱたぱたと先生が食事をとりに行ってる間に冷凍庫に味噌漬けを収納する。
そのまま水屋の支度。
生徒さんと先生がそろえばすぐにでも出来るように。
順々に生徒さんが来て穏やかに、やわらかい雰囲気で進む。
いつものように生徒さん達が帰られた後は厳しく俺へのお稽古…のはずだが。
今日はいつもの種目以外をとのことであまり怒られず緩やかに終った。
水屋を片付ける前に洗濯物を取り入れる。
先生と二人で日が落ちる前に。
下着は先生が畳む。
俺のは勝手に洗ったり干したりするのに自分のはいやなのだそうだ。
畳んだ洗濯物を先生が各々の部屋に分配する。
孝弘さんの分は先生が箪笥にしまっているそうだ。
ま、できなさそうではある。
律君の分は昔は仕舞ってあげてたが今は自分でさせている模様。
俺の冬物の服も有った。
「あ、それ持って帰ってね」
「はい。こっちの箪笥もしたんですか」
「そうよ、だから今度夏物持ってらっしゃい」
「りょーかいです」
それから水屋を片付けて、八重子先生の作るご飯をいただく。
今回持ってきた味噌漬けはすべて俺が食えるもの。
だから八重子先生もつくるのは菜物のおかずだけだ。
ホタテの味噌漬けがうまい。
「八重子先生、これよく崩さず焼けますね」
キスの味噌漬けだ。
ストーブで焼いてばらばらにしたことがある。
良い感じで味噌漬けがはけて行く。
そればかり食ってたら菜っ葉のおかずをお皿にとって先生が渡してきた。
「ちゃんと野菜も食べなさい」
「お母さん、山沢さんを子供扱いしてない?」
律君が笑ってる。
「言わないと食べないのよね」
はい、おかわり、と先生が孝弘さんのご飯を渡している。
俺は取ってもらったおかずを食べつくしてまた味噌漬けへ手を伸ばす。
別のおかずを先生に渡された。
「これも食べなきゃダメよ」
「はい」
もくもくと食べて最後に味噌漬けを取る。
ごちそうさまでした。
食器を洗って片付けて居間に戻る。
律君はレポート書きに部屋へ、孝弘さんはもう寝に戻ったとか。
まったりと先生方と団欒。
「ああ、あんたら最近暑いしこれくらいの時間からあっち行ってさ、
 夜お風呂入って寝たらどうだい?」
「朝から汗臭くなっちゃいますかね?」
「多分ね」
先生が赤面してる。
「今から行ってきたら?」
「そんなの…」
「先生可愛いー、照れちゃって」
ごちん、と拳が落ちてきた。
「からかわないでよ、もうっ」
あはは、と笑って立つ。
「じゃそうさせていただきます」
ひょいっと先生を起こして抱えあげた。
「ちょ、ちょっと」
「はいはい、行ってらっしゃい」
そのまま玄関を出てあちらの家に入る。
下ろすなり叩かれたけどクーラーをつけてベッドの布団を剥がした。
「さぁさぁ脱いで脱いで♪ ああ、いや、待った、そのままで抱き締めたいな」
先生は俺に翻弄される。
先生が恥ずかしいって言うようなことを沢山させて、気持ち良いって言うことも沢山。
だけど時間が時間だから、早めに切り上げて戻る。
先生の体力を奪ったのもそうだけど先生は草履履かせずにこっちへ来てしまったから、
やっぱり抱き上げて夜道を歩くことになった。
恥ずかしがってるのが良いなあ。
「もうちょっと散歩しましょうか」
「だ、だめよこんなとこ見られたら」
「出先で草履の鼻緒がって言えば良い」
「ダメ、やめなさい」
「はいはい、しょうがないな」
連れ帰ってお風呂へ。
二人で入って、先生を隅から隅まで洗ってあげた。
お湯に浸かってそろそろ出ようかと思えば先生は転寝してる。
気持ち良いもんな。
起こしてお湯から出して拭いてあげて。
俺もざっと水気を落として先生に寝巻きを着せる。
立ってるのがやっと、と言う風情だ。
抱き上げて寝間へ連れて行く。
座らせて布団を敷いたらすぐにもぐってしまった。
俺は寝巻きを着て一度居間へ戻る。
八重子先生と火の元の始末や戸締りの確認をして先生の元へ。
おやすみなさい。

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