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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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366

朝、起きて仕事をするが、みな何かぼんやりとしているのは寝苦しかったんだろう。
はかどらない仕事をこなして帰るとご飯の匂い。
「ただいま、で、お稽古は?」
「お帰りなさい。生徒さん夏ばてみたいで二人だけだからお母さんが見てくれるって」
ピッとクーラーをつける。
「良くこんな暑い部屋にいますね」
「うん、そろそろ扇風機、と思ったんだけど」
「扇風機はありませんよ」
服を脱ぎ手を洗って先生を脱がす。
「ちょ、ちょっとまって、なんで脱がすの」
「抱きたいから」
「お昼ご飯、食べてから。ねぇ、だめよ」
抵抗されつつもそのまま全部脱がせてベッドかここか、と聞く。
諦めたようだ。
ベッドに連れて行ってたっぷりと楽しむ。
クーラーを効かせているからどんなに激しくても軽く汗をかく程度。
終った後、布団をかけてやる。
じゃないと風邪引いちゃうよね。
「おなかすいた…」
ぽそっと文句の上に呟かれてなんだか笑ってしまった。
クーラーを緩めて先生を起こす。
浴衣を背中に掛けて台所からお盆に載せて食事を持っていく。
お箸とスプーンで手ずから食べさせてあげると恥ずかしがっている。
「あなたのために作ったのに…」
「ちゃんといただきますよ。まぁでも先に食べてくださいよ」
全部食べてご馳走様、と言う。
おかわりいりませんか?と聞いたがもう良いらしい。
台所に食器を返し、自分の分を平らげた。
それから先生の横に戻る。
「お腹、こなれたらもう一度しましょうね」
「ええっ、まだしたいの?」
「したいんですよねぇ」
「旅行中ずっとしてたのに?」
「一昨日すぐ寝ちゃったじゃないですか」
「そうだけど…」
「しかし八重子先生、俺に先生を甘やかしすぎるって言うけど。
 ご自身も十分先生を甘やかしてますよね」
ぷっと先生が笑う。
「そういえばそうね、そうよね」
「で、実際何しに来たんですか?」
「衣替え」
「しないって言ってるでしょう」
「するわよ」
「出来ないようにしちゃおうかな。こうやって」
キス。
コツン、と額にこぶしを当てられた。
「ばか…、普段着じゃなくて、お稽古とか、お出かけの着物あるでしょ」
「あぁなんだ、そういうのですか」
ぶるっと先生が震えた。
クーラーきつかったかな。
「お手水連れてってくれない?」
そっちか。
抱えあげてトイレに連れてって裾をまくって座らせる。
そのまま見てたら嫌がられた。
「どうせ一人じゃ出れないんだし。子育ての時と同じと思えばどうです」
それでも恥ずかしそうで可愛い。
思わず肩を抱いてしまう。
先生は我慢が切れたようで…した。
「ヘンタイなんだから…」
あ、なじられた。
拭くのもやっちゃったぜ。
流して担ぎ上げてベッドに戻る。
で、舐めたら踵で肩を蹴られた。
流石に腹が立ったようだ。
ベッドから降りて部屋を出る。台所片付けよう、うん。
洗い物を終えて先生のそばへ行く。
「ごめんなさい…蹴っちゃって」
あ、当たり前じゃないんだ。
蹴られて当然だと思ってたからなー。
「そろそろ起きれますか?」
そろり、と先生がベッドから身を起こす。
手を添えてゆっくり立たせてリビングへ連れ出した。
「はい、お茶」
「ありがと。ねぇ…ああいうの、私、無理だわよ」
「やっぱり無理?」
「うん」
「ふぅん…またいでかけるプレイとか」
「無理よ、そんなの」
「かけるほうがSなんですけどね、普通」
「出るところ見られるのなんて恥ずかしくてダメよ」
「そういうとこが可愛くて、そういうことをさせてみたくなる」
「蹴るわよ」
「蹴ろうと思っては蹴れないでしょ?」
げしげしと座ったまま足先で蹴ってきた。
「お行儀悪いですよ、先生」
更に強く蹴られた。
「可愛いなー」
顎に手を当て持ち上げてキスする。
そのまま押し倒した。
「ダメよ、箪笥、整理するんだから」
「ま、そういわず…うっ」
先生に乳首捻り上げられた。
地味に痛い。
「退きなさい」
「はーい…」
上から退くと先生はぺしっと俺の頭を叩いた。
「さっさと整理、するわよ。明日もお稽古なんだから」
身を起こして浴衣の乱れを直し、手を洗って和室へはいる。
樟脳の匂いにまみれつつ、たとう紙を開けて中を見ては夏物、相物と入れ替えた。
なんだかんだ夕方近くまで掛かったので先生を誘ってホテルディナーとする。
ちょっと久しぶり。
「暑ーい…」
「暑いですね…梅雨前だってのに」
先生は日傘をさした上で日陰を通って、俺も日傘の下に入れようとする。
「そんなことしてるとあなたが焼けますから、俺は良いですよ」
「早めに対策した方が良いわよ」
「ちょっとくらい焼けたほうが男らしいじゃないですか」
「男じゃないでしょ」
「ま、今度、今度」
扇子を日よけにホテルへ入る。
先生の遠慮で一番高い奴の一つ下のコース。
「おいしいわ~」
昼に怒ってたのとはまったく違って幸せそうだ。
最後のデザートも美味しく頂いて、先生はその足で帰ると言い出した。
「え? どうしてですか」
「だってあなたの部屋戻ったら帰るの嫌になるもの」
胸に響くなぁ。嬉しい。
「明日お昼に一緒に帰るほうが楽じゃない。電車乗らなくて良いんだから」
「そっちですか」
がっくりしつつ会計を済ませて駅まで送る。
まだ日が高いから送らなくて良いようだ。
「じゃ、また明日いらっしゃい」
「はい、ではまた明日」
別れの挨拶を交わし、電車を見送って帰宅した。
後は寝るばかり。おやすみなさい。

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365

翌朝、先生の寝顔を見つつぼんやりしてたら八重子先生が部屋に来た。
「ご飯できてるよ。いつまで寝てんだい」
「ありゃ? 寝過ごしました?」
「もう7時半すんでるよ、早く起きなさい」
凄く寝過ごしてた。
先生を揺り起こして着替えさせる。
食卓につくと律君が食べ終わってて笑ってた。
「二人ともって珍しいね」
「旅行いって調子狂っちゃったみたいでね」
「山沢さんなんて夕べ早いうちから寝てたのに…おかしいわねぇ」
「ま、たまのことだからね。早く食べなさい」
「はーい」
「そうね、いただきます」
遅めの朝御飯をいただいたら後は衣替えのお手伝い。
昼前には汗だくになって何とか終了した。
「ね、山沢さんはしたの?衣替え」
「しませんよ、いつも適当に着てますし」
「…火曜日お稽古終ったらあなたの家行くわね」
「ダメですって、おうちのこと大事にしてくださいよ」
「でも…」
「毎年適当に暑ければTシャツ着るとかしてますから気にしないでください」
お昼はなんだろう。
「今日は早いけど素麺にしたよ。暑いしね」
あ、うれしい。
見るからに涼しくて、食べるとすっきりした。
だけど時間が進むに従い気温急上昇である。
「八重子先生、水気とってます?」
「とってるけど追いつかないねぇ、暑いね」
「ほんと暑いわね、雨でも降らないかしらね」
室温も29度になってしまった。
「行水したい…」
「あ、いいわね、たらいあるわよ」
庭にたらいを出して水を張る。
すぐにぬるま湯になった。
縁側で脱いでたらいにはいる。
「うー丁度良いや」
ぱしゃぱしゃと先生が顔に水を掛けてくる。
「先生も入る?」
「いやよ」
ほぼ、と笑って湯にならない程度に水を足してくれた。
さっぱりしたので手拭を貰って拭いて出る。
「うわっ!」
「あら、律。あんた出かけたんじゃなかったの?」
「何してんの!?」
「行水よ、あんたも小さい頃したでしょ」
「覚えてないよ、そんなの…」
あはは、と笑いながら浴衣に着替えてたらいの水を日陰の植木に撒く。
さっとたらいを濯いで立てかけて終わり。
「やぁさっぱりしました。でも帰りの電車が思いやられますが」
くすくす、と先生も笑ってる。
やっぱり可愛いな。
部屋に戻ると八重子先生も流石に麦茶を飲んでいた。
それでも都心よりは涼しいので夕暮れまで先生のお宅でごろごろして帰宅した。
むっとする室温にクーラーをつけてしばし。
26度まで下げて止め、寝た。

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364

土曜の朝、流石に仕事は忙しい。だけど!
今日は早めに着くんだ!
とばかりに仕事を頑張って終わらせて先生のお宅に飛んでいく。
なにかって?
昨日の先生の作った肉じゃがを食べるためにだ。
「こんちは、いただきに来ました」
「いらっしゃい」
先生がクスクス笑ってる。
「昨日は暑かったわ、ご飯作るのイヤになっちゃった」
「ああ、30度超えてたんですよね、こっちも」
「今日も暑いのかしらねえ」
いただきますをして肉じゃがを食べる。
うまい。幸せ。
「今日も暑いそうですよ。女性の着物は大変ですね」
「外に合わせてるからお茶室はクーラーほんの少し入れてるのよ」
「ああ、そっか、皆さん外歩いてこられるからガンガン効かせたら寒くなっちゃう?」
「ずっとうちにいるならねえ。暑いと言っても知れてるんだけど」
ぱくぱくと食べてご馳走様をして水屋の支度を整える。
台所の片付けはいつものように八重子先生がしてくれる。
暫く待って生徒さんが来て支度ができると先生が入ってきてお稽古開始だ。
いつものようにお稽古。
その合間に先日の旅行の話に花が咲く。
プールの話では先生の水着姿の想像がつかないという生徒さん方。
だろうね。
俺も想像できなくて着せてみて得心したくらいだから。
そして厳しい俺へのお稽古。
たっぷり遊んできた後だけに、の厳しさ。
ま、そうやって恋人に厳しく出来るからこそ、なのだが。
甘くするような、そういう贔屓にならないのが先生だ。
とは言うもののお稽古が辛い。
そんなとき、八重子先生が混ざってくれると一気に和む。
和やかな雰囲気でお稽古を終らせ、水屋のお片付け。
先生が横で嫌いだから厳しいわけじゃないとか何とかいっている。
「先生たまにSいですよね…、まぁお稽古とか、日常は別にそれはそれで良いです」
慣れたし。
ただまぁ…夜とか、俺とエッチな雰囲気のときに出さないでいてくれたらいい。
少しいじけてる先生にキスしたら怒られた。
水屋でもダメらしい。
片付け終えてお夕飯をいただく。
今日は暑いからハモの落としを八重子先生にしてもらった。
やっぱり涼しげで夏だなぁと言う感じだ。
あと持ち込みの魚素麺。
それと何品かのおかず。
律君が魚ぞうめんがなんなのかわからないようだ。
「それかまぼこみたいなものだよ。食べてごらん」
白と緑のかまぼこの元を素麺状にしたような物で夏の風物詩なのだが。
東京では見ないなぁ。
「あ、おいしい」
しかしさすが八重子先生。
俺なら大皿にわっさわっさとハモを盛って各自梅肉つけて食え、ってなとこだが。
ちゃんと小鉢に盛って上にちょんと梅肉を載せてある。
美味しそうに見える工夫だね。
おかげで律君たちもおいしそうに食べてる。
ご馳走様をする頃には全部売り切れ。
筑前煮がちょっと残っているので腹に始末して洗い物をする。
居間に戻って団欒。
律君たちが部屋に帰った後八重子先生に旅行中の写真を見せた。
「これ、先生の写真です」
ぱっと見せたのは先生のビキニ姿。
「やだっ、いつの間に撮ったのよ、捨てて頂戴」
「あんたこれでプール入ったのかい?」
「入ってないわよ、そんなの」
ははは、と笑って新たにもう一枚。
「こっちがプールのときのです」
「もー山沢さんいつの間に撮ってるのよ~」
「ああ、これならうん、いいね」
「あんまり肌を見せるのはどうかと思いまして」
「じゃどうしてビキニ?」
「見たかったからです」
キリっといったら笑われた。
「律君に見せますか?」
「見せないわよ」
後はいくつか先生の写真を渡す。
「この辺は見せても良いね」
選別が終って先生がお風呂に行く。
八重子先生が律君を呼んで写真を見せてるのを眺めていると眠気。
気がつくと座布団を枕にタオルケットが掛けられて先生が覗き込んでいた。
「あら起きた? ほっといて寝ようかしらって思ったわよ」
むっくり起きると先生がタオルケットを畳む。
「布団もう敷いたから着替えて頂戴」
そういいつつ俺の手を引いて部屋に連れてってくれた。
脱ぐと着物を片付けてくれて、着替えて布団に潜り込む。
先生もすぐに入ってきた。
寒くもなく暑くもなく先生の体温が丁度心地よい。
うなじを舐める。
手を胸に這わす。
先生の体温が上がる。
汗をかかない程度の緩いえっちを終えるとすぐに先生の寝息が聞こえて来た。
もうちょっとしたかったが、ま、仕方ない。
俺も寝た。

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363

寝起き、ちょっと寒かった。
まぁ疲れは取れていないが出勤。
皆にお土産をばら撒く。
暇だから丁度良い。
本日の営業先は、とテキトーに選んで見積もりを作ってもらう。
眠いけど頑張って気合を入れて…立川近辺を攻めた。
営業終って疲れてしまったのでお稽古へはいけないと先生にメール。
先生は先生でお稽古で色々聞かれて大変だったらしい。
土曜日、俺も質問攻めされるのかなぁ。
ま、しかたない。
楽しんできた部分を話せば良いのさ。
帰り道に飯屋に寄り定食を食べる。
味が濃い…。
きっと先生の食事と旅先の飯を暫く食べてるからだろう。
帰宅して後は寝るばかり。
先生も今日明日はうちへは来ないとのことだ。
きっと疲れるんだろうね、ずっと一緒は。
着替えておやすみなさい。
何か夢を見たような気がしつつ起床。
荷物少なし。
仕事は暇。
さて。
今日は帰ったらどうしようかな。
軽い目にジムか?
先生来ないって言うしそれでいいか。
帰宅して着替えてジムへ。
小一時間ほどして帰宅し風呂に入る。
うーん、極楽。
…さっさと寝よう。
昼寝だ昼寝。
ざっと体や頭を拭いてそのまま布団に潜り込む。
先生が見たら怒るだろうな。
おやすみなさーい。
日が落ちた頃腹が減って目がさめた。
メールが入っている。
先生から夕飯の写真がきてた。
あぁうまそうだな。
でも今日は食べたくても無理だ。
あ、二通目?
明日お昼にちょっと食べる?と書いてある。
勿論だ。
頑張って早めに行っていただきたい。
そう返事をして。
さて今日は何を食うか。
とんかつ?
あ、良いやそれでいこう。
近所の肉屋まだ開いてるね、急げ!
と買ってきてヘレカツとご飯を食べる。
先生に飯は何かと聞かれ写真とって送ったら電話かかってきて怒られた。
野菜が足りない。
言い逃れをしてもう一度おやすみなさい。

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旅の後

山沢さんを送り出して台所を通りがかったらお母さんがお皿を洗ってくれていた。
「お母さん、私やるわ」
「いいよ、あんたも疲れたろ」
「そう? じゃお願い」
居間に戻ってお座布団に落ち着く。
「ねえお母さん」
「なぁに?」
「なんで山沢さん連れて帰って来たの?」
「なんでって」
「だってうち寄って貰うより東京駅で別れた方が山沢さんの家近いと思うんだけど」
「あんたこのお土産持てる?」
「え?」
律が持ち上げようとしたけど…。
「無理、なにこれ。こんなの山沢さん持ってきたの?」
「そうよ。お母さん持って帰れると思う?」
「あー…」
「それにあの子帰したら御飯も食べずに寝るわよ」
「あ、そういうこと」
「なぁに? あんた山沢さん苦手なの?」
「いやそうじゃないけど気付いたらいつも家にいるなって」
「内弟子って本当は住み込むもんだからね」
お母さんが洗い物をすませ戻ってきた。
「そうなの?」
「そうよ。昔はそれが普通だったの」
「おばあちゃんは昔住み込みで働いてたのよ」
「でも最近住み込みとか聞かないよ」
「そうねえ」
「もうどうせだから養子にするか嫁にしたらいいんだよ」
「兄さんのお嫁さんにしちゃう?」
「ええっ、そ、それは山沢さんが納得するのかな」
「子供は別にどうしてもってことはないし。あの人子供苦手って言ってたわよね」
「内弟子で家に置いてるより、お嫁さんの方が通りはいいからねえ」
律は乗り気じゃないみたい。
でも今度山沢さんに聞いてみましょ。

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