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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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334

とりあえず早めに寝よう。
朝方雨が落ちてきて、やっぱり雨降りかと嫌気が差す。
雨だとどうしても客足が鈍る。
客の方でも明日買えばいいなんて雰囲気だ。
暇なまま仕事が終わり雨の中帰宅した。
明日…もできない。
明後日も出来ない。
つまらないなぁ。
逢えるだけマシなんだろうけれど。
あれ? 明日お稽古あるのかな。
もしかして、ない?
となると土曜まで会えないのか。
いや土曜も休みだからお稽古はないはず。
来週火曜日も、ない。
会うの、来週の木曜?
出来るの、来週の土曜?
うわ、きついな。
頭を抱えていたら先生から電話がかかってきた。
先生もこの事実に気づいたようで、どうする?と仰る。
どうするってどうしよう。
「お母さんがね、金曜日お稽古にいらっしゃいって。風炉のお稽古するから」
「あ、来週の木曜までお稽古ないかと思って今」
「大丈夫よ」
「その時にしていいですか? ダメかな」
暫く無言。
「それはその時に。じゃ、またね」
すぐに電話を切られてしまった。
今のはどっちだ。呆れられたか? それても照れくさかったのか。
まあとりあえず明日さえ過ごせば明後日には会える。
だったら俺が今やるべきことは…復習か。
イメトレしておこう。
先に昼飯を食ってきっちりイメトレして、夜になった。
さてと。寝るか。
木曜も何のことはない、暇だ。
なんせ明日あるからなぁ。
ぼんやりと仕事をしてぼんやりと帰る。
うーん、張りがない。
急に暇になるとすることが…あ、着物縫いかけて放置していたっけ。
縫うことに集中していると、ふと気づけば薄暗い。
もう夕方か。
伸びをして夕飯を取りに出る。
親子丼でも食おう。
そう思ったところで気づく。雨だ。
ピザ、取るか。
Sサイズとサラダと何かサイドメニューかな。
……わびしい。
先生から美味しそうな夕飯のメールが来る。
いいなぁ。
うらやましい。
そうメールしたら明日お昼を食べずに来るようにメールがあった。
一緒に食べましょ、と。嬉しくなってしまった。
よし、明日仕事頑張ろう。
そんで先生方とお昼を食べてお稽古しよう。
そのためにも早く寝よう。
おやすみなさい。

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333

薄暗くなった頃目が覚めて先生を見るがまだ良く寝ている。
顔色は少し良い。
眺めているとうっすらと目を開けた。
もぞもぞと先生の手が俺の胸を這いまわる。
寝ぼけてるなぁ。
俺の乳首を弄ってるうちに目が覚めてきたようだ。
軽くキスして起きる。
身づくろいを整えてコーヒーを淹れた。
「ねぇ私にも頂戴」
「トイレいってらっしゃい。その間に淹れますから」
「うん」
先生はどれが好みだっただろうか。
少し酸味のあるコーヒーにしてみた。
お座布に座った先生に渡す。
「おいし…」
「飲み終わったら着替えて。おうちまで送りますよ」
「あら。明日までいるつもりしてるのに」
「いいんですか?」
「だってあなたも顔色悪いもの」
おや気づかなかった。
「それにお夕飯の分も買物しちゃったし」
「何作るんですか?」
「あなたの好きな味噌炒めよ」
嬉しくなってキスしてしまった勢いで押し倒した。
「ちょっと、もう。ダメよ」
ついつい胸を揉んでしまって叱られた。
胸元を直して先生は起き上がり、台所へ立つ。
もう作ってくれるようだ。
昼前に下拵えは済んでいたらしく、手早く炒めている。
作り起きの副菜を出してご飯をよそえば夕飯の完成。
先生は食欲は沸かないらしい。
だるいそうだ。
「前からそうでした?」
「ううん、最近。更年期かしら」
「まだ早いですよ。一応婦人科行ってみたらどうでしょう。筋腫とかかも」
「痛くはないのよ」
「じゃ貧血かなぁ…疲れてるとか」
「疲れてるというのはあるかもしれないわねぇ。あなたとしすぎて」
「…そんなに疲れますか」
「疲れるわよ」
「来月生理前の週はしないで寝ましょうか」
「それで持つの?」
「難しいけど…具合の悪いあなたを見ているよりは俺が我慢すべきでしょ」
「終った後が怖いわねぇ」
ころころと笑っている。
お風呂は明日はいることにして早々に布団にもぐることにした。
「今日一日ずっと寝てる気がするわ」
「ちゃんと飯作ってくれてたじゃないですか。お買物も行って」
「明日はどうしようかしら」
「体調よければ朝はモーニング食べに行って散歩してもいいですね」
「あら、いいわね、お散歩」
布団の中でおしゃべりしているうちに寝て、朝6時過ぎ。
「流石に寝足りたわ~」
「ですねぇ」
「あ、お風呂借りるわね」
「どうぞ」
先生が出た後俺も入ってすっきり。
風呂から出ると先生が洗面所でドライヤーを使っている。
「体調どうですか」
「いいわよ。って何か着なさいよ」
「じゃモーニングいけそう?」
「行くから早く着なさい」
「はーい」
身支度を整えていると先生に頭を拭かれた。
「ドライヤー空いたわよ」
「別にいいんだけどな」
「風邪引いたら困るわ、ほら」
はいはい、とドライヤーを使って乾かす。
先生はその間に化粧を軽くして紫外線対策をしている。
「あなたも対策しないとしみになるわよ」
「うーん、面倒で」
「ほんと面倒くさがりよね。いいわ、行きましょ」
近所の喫茶店のモーニングセットを食べる。
俺はちょっと足りないから更にトーストを頼んで。
ここは色々選べる。トーストorピザトーストorフレンチトースト。
サラダにオムレツ、ベーコンorソーセージとスープ。
そしてコーヒーか紅茶。
先生はフレンチトーストを頼んでいる。
オムレツがちょっと多く感じたのか半分食べてと仰って俺の胃袋に。
ご馳走様をしてお散歩に。
「少し曇ってるわねえ」
「これから雨かな。早めにお帰ししたほうがいいかもしれませんね」
「そうねえ、雨の中運転するのって大変そうだもの」
「お昼前にしましょうか」
「そうね」
流石に先生も帰りたくないとはごねないな。
うちへ戻って先生は帰る用意をしている。
と言っても洗濯物を持って帰るだけらしいが。
「じゃそろそろ帰るわ」
「はい。荷物積みましょう」
「ん、お願いね」
トランクにボストンと洗濯物をつんで先生のお宅へ。
「ただいまぁ」
「あら、お帰り」
「あーお母さん。お帰りなさい」
「こんにちは」
「あぁこんにちは。どうしたの」
「荷物ありますから電車より車が楽なので送ってきました」
「洗濯するから洗濯籠のところ置いてきてくれる?」
「はい」
「あんた調子はどうなの」
「まーまーってとこですねー。だから今日は帰りますよ」
「あら泊まってかないの?」
「明日仕事ですから」
「あらあら、そうだったのね」
「そうそう、あんたらお昼ご飯は食べたの?」
「いやまだです」
「んじゃ用意するよ。山沢さんも食べて行きなさい」
「ありがたく」
お昼をいただいて一服して帰宅した。
さて明日は暇なのか忙しいのか…。

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332

ほぅっ、と落ち着いていると先生がもたれかかってくる。
ゆったりとした時間が流れる。
「あなた明日お仕事?」
「ええ」
「じゃ、そろそろ寝る?」
「ドラマ終ってからでもいいですよ」
「先に寝てもいいわよ?」
「なんであなたがいるのに一人寝ですか」
「あらあら」
くすくす笑ってる。
後30分くらいでドラマは終るらしい。
俺の手を触りつつ集中して見ている。
しばらくして番組が終った。
「お待たせ。じゃ寝ましょ」
「はい」
歯を磨いたり化粧を落としたりトイレへ行ったり。
先生と布団にもぐる。
寒いようで俺に冷えた手先や足先をつけてきた。
苦笑してしまってあった毛布を足した。
夜半には多分暑くなるはず。
その頃には俺が居なくなるからきっと丁度いいだろう。
背中をなでつつ寝かしつける。
暫くして寝息に変わった。
俺もそのまま寝て夜中起床する。
出勤の用意をして良く寝ている先生の唇に口付けを落として出ていった。
仕事は休み明けの休み前と言うこともあり結構に荷物も動き忙しく終った。
やれやれ、と帰宅すると先生がお昼を作ってくれている。
「お帰りなさい、お仕事お疲れ様」
「ただいま帰りました。
 美味しそうな匂いですね。だるいなら作らなくてもよかったんですよ?」
「あら、そんなに外食ばかりダメよ。もう出来てるから食べるでしょ」
部屋着に着替えて戻る。
先生の手を取ると冷えていて顔色も少し悪い。
「無理しちゃダメですよ。外食でも出前でもあなたの体調が悪くなるよりいいです」
座ってて、と食卓の前に座らせて盛り付けや配膳をした。
これだけでもしないとね。
しっかり食べたあと先生を脱がせ寝巻を着せて布団に放り込む。
食器を片付けて俺も布団へ。
「お昼間から寝るなんて…」
「具合が悪いんだからいいんですよ」
「でも」
「ちゃんと俺に飯作ってくれて。ありがとう」
だきしめるとほんのりと頬が赤らむ。
冷えた身体を俺の体温で温めるように抱き締めて撫でる。
上半身はそれなりだが足がまだ冷えてるかな。
足元にもぐりこんで懐に足を入れた。
「あったかいわ…」
そのうちに寝息が聞こえる。
ちょっと抱きたくなったけど具合も悪いしなぁ、仕方ない。
一緒に寝るとするか。
夕方になったらおうちまで送ろう。
足を懐から出して、先生の横に戻って寝た。

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331

帰宅してトイレに入ればなるほど今日からのようで、道理でだるい。
転寝しようと思っていると電話。
先生からだ。どうした。
先生もなっちゃってだるくて直帰はしんどいからうちに寄りたいらしい。
珍しく同じ時期になるとはね。
うちにもう帰ってるというとちょっと驚いてる。
迎えに行きましょうか?と聞くとそうして欲しいとのこと。
現在ランチ前らしい。
待ってるというので車を走らせる。いいドライブ日和だ。
駅についてメールを入れた。
現在地を教えてもらって迎えに行く。
先生がご友人方と話しこんでるのを見ると楽しそうだ。
「お迎えに参りました」
そう声を掛けると先生がご友人方に迎えが来たから帰るわ、と仰る。
「あら彼氏?」
「絹ちゃんやるわねー」
「お茶の内弟子よ。ここから近いからお願いしたの」
「そんな便利使いしちゃっていいの?」
「通いのお弟子さんに使いっ走りさせるって先生もいらっしゃるわよ」
「先生、車で待ってます。先に荷物積みますから」
「じゃこれお願いね」
はい、と答えてボストンバッグを預かる。
暫くして先生が皆さんに別れを言ってこちらへ来られた。
後部座席に、と言ったけど助手席がいいらしい。
しっかりシートベルトをさせて運転席に乗り込む。
見えなくなったころ、一つ息を落とされて。
やっぱり少しは緊張してたらしい。
「寝てるとき、他の人に抱きついたりしませんでした?」
「え?」
「よく俺の胸弄ってたりするでしょう。寝てるとき」
「あぁ。大丈夫よ、ベッドだったから」
ほっとしてるのを見て笑われた。
「そんなこと心配してたの?」
信号で止まったときに撫でられてしまった。
「あんまりそのー近寄られると抱きたくなるんですが」
「あら」
「ほら、そこのホテルとか。入りたくなりますから」
「あらあら、ダメよ」
「アレだから?」
「それにお昼間よ。人に見られても困るわ…」
「まぁね、わかってますけど。あ、今度SMホテル連れて行きたいな」
「SMホテル?」
「普通のラブホとは違って面白いですよ。誰かに見られたら社会見学ってことで」
「見られるの前提なの?」
「前提で言い訳を作っとくとばれたときに慌てなくていいからね」
「…私にも何か嘘ついてそうねえ」
「今のところはありません」
「あらこれからつく予定あるの?」
「ないですよ」
あちらもこちらも生理中だからどうしても絡み絡まれになる。
うちについて先生がトイレに行く。
手を洗ってると背中に重みと温かみ。
「眠い?」
「うん」
「おうち、電話するから少し寝ましょうか」
「そうしてくれる?」
「ええ。着替えてらっしゃい」
背中が軽くなって温かみが離れていく。
追いたくなるが電話が先。
八重子先生は2コールで出てくれた。
事情をお話しする。
明日はお稽古もないから泊まりたいというなら泊めても良いと仰る。
ありがたく受けて、でも実際どうするかは先生次第かな。
電話を切って俺も寝巻に着替えトイレへ。
ベッドに先生ともぐりこむ。
温かくて重い先生の身体が心地よい。
俺も先生もすぐ眠りに引き込まれて行く。
ふと目がさめると美味しそうな匂い。
先に先生が起きたようだ。
時計を見れば七時半。
もしかしたらもっと早く起きてて焦れて自分のだけ作って食ってる?
のっそりと部屋から出る。まぶしい。
「うるさかったかしら」
「いや…俺の分もあるんですか」
「あるわよ。起きなかったら冷蔵庫入れようと思ってたけど。今食べる?」
「あなたは食べたんですか」
「うん、さっきご馳走さましたところよ」
「俺、起きませんでした?」
くすくす笑ってる。
「しがみついてるの剥がしたのに起きなかったわよ、起きててわざとか疑ったわ~」
ありゃ。
座るように言われて座ってるとご飯とおかずが出てきた。お味噌汁も。
「帰ろうかしらと思ったんだけどお腹すいちゃったのよね」
「あ。八重子先生が明日お稽古ないから泊まってもいいって仰ってましたよ」
「あら、どうしよう…」
「お好きなように」
飯がうまい。
ちょっと迷っているようだ。
「泊まりますか?」
「そうするわ。でも…」
「しませんよ」
ほっとした顔をする。
「されたいって言うなら別ですが」
ニヤッと笑うと顔を赤くしてる。
「もうっ。そんなわけないじゃない!」
「おやそうですか」
「すぐからかうんだから」
きゅっと鼻をつままれた。
じゃれあいもそれなりに楽しい。
はは、と笑ってごちそうさまをする。
食器を洗ってお片付け。
先生はテレビを見はじめた。
「ねぇ、コーヒー入れて頂戴」
「こんな時間から飲んだら眠れなくなりますよ」
「だってお茶っ葉切らしてるんでしょ」
「買ってきます」
「いいわよ」
「俺も飲みたいから」
「そう? どこ行くの?」
「とりあえずコンビニへ行こうかと」
「じゃプリンもお願い」
「はい」
着替えてちょっと買物へ。
緑茶緑茶、と。
あった。
あんまり見ないメーカーだ。おいしいのかなぁ。
静岡茶らしい。
プリンと共に買って帰る。
先生にお渡しすると既にお湯を沸かしていたようで急須にとって入れている。
着替えて戻れば既に湯飲みに。
プリンは冷凍庫に入れたらしい。凍らせたのを食べるのも好きなようだ。
少しぬるくなったのを見計らい飲む。
あ、それなりにうまい。

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330

翌朝寝ている先生を置いて出る辛さ。
帰ったら居ないんだよなー…。
くちづけを落とし、渋々出勤する。
ぱたぱたと仕事をこなす間は忘れていられるが。
手が空くと今頃先生は、と考えてしまう。
それでも女友達と、と言うからいいか。
まさか俺以外とそういうことはしないだろうし。
仕事が終ってお稽古場へ移動。
いつもよりは少し遅めだ。
ついたら丁度八重子先生は食事を終えたところで一緒にお茶をいただいた。
今日はお稽古なしだから気が楽だ。
炉の灰を上げて炉壇を抜ききれいにした後は畳替え。
なるほどこれは八重子先生だけでは大変かな。
それから風炉に灰を入れて八重子先生がササッと灰を形作って行かれる。
手早い。綺麗。
俺がやるとどうにも時間はかかるし形は悪いし。
やっぱり長年のお稽古かな。
「灰の教室行ったら?」
そう仰るが中々スケジュールが。
「ま、普段うちのお稽古でしてもいいけどねえ、他の生徒さんがお休みのときとか」
「それいいですね、お願いします」
丸半日が風炉への支度で潰れた。
汗を沢山かいたので八重子先生と風呂。
気持ちいいなー。
先生も今頃は温泉を楽しんでいるのかな。
新しい傷が増えてるが最近は八重子先生もあまり言わない。
たまに手当てをしてくれることはある。
背中は見えないので化膿しかけててもわからない。
だから気づいたときに抗生物質を塗ってくれたりする。
さて、夕飯を作って食べてゆったりした夜。
「あんた今日絹居ないけど一人で寝るのかい?」
「律君と寝ましょうか」
「えっいやそれは駄目だって!」
律君が慌ててて面白い。
「冗談だよ。たまには一人で寝ましょうか」
「私と寝るかい?」
う、なんとなく怖い気がする。
でも最近はないし。
「じゃそのように」
孝弘さんがにやっと笑った。
しばらくして戸締りし、寝ることに。
八重子先生の部屋にもう一組布団を敷く。
別の布団なら問題あるまい。
布団に入ってすぐ。
隣で八重子先生の寝息が聞こえた。
疲れたから寝てしまったようだ。
ふっと笑えてそのまま寝た。
翌朝目が覚めて八重子先生と朝食を作る。
何事も無く先生の居ない日曜日。
ふとついた溜息に八重子先生が頭をなでてくださる。
お昼過ぎ、家路につくことにした。

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