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百鬼夜行抄 二次創作

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伶(蝸牛):絹の父・八重子の夫 覚:絹の兄・長男 斐:絹の姉・長女 洸:絹の兄・次男 環:絹の姉・次女 開:絹の兄・三男 律:絹の子 司:覚の子 晶:斐の子

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240

月曜の朝、起きてテレビを見ると山梨が凄いことになってるとか。
タブレットで電車の状態を確かめる。
うん、動き始めている。
会社に連絡を取り、出張はそのまま行くことにした。
どのみち東京駅まで行かなければ新幹線に乗れないので一旦会社に寄り、
書類などを受け取る手はずを整える。
朝は今度は塩ラーメン。
いろんなのを買っておいて良かった。やっぱり同じのは飽きるからな。
脱出する準備を整えお暇を告げた。
「あら、もう行っちゃうの?」
「ええ。そろそろ行ったほうがいいでしょう、きっと遅延しますでしょうから」
「私もそこまで行くわ、スーパーになにか入荷してるかもしれないし」
「じゃ八重子先生。お邪魔しました。また木曜に参ります」
「気をつけてお帰り」
外は重機が入り流石に除けられては居るが日当たりの悪い所は雪が沢山に残っている。
「俺が戻る頃にはこの雪もないんでしょうね」
「そうねえ、そうなって欲しいわ」
バスも復旧し、間引き運転だが動いている。
乗って駅前まで二人で。
先生は俺の手を握っている。それを袂で隠して。
駅に着き、先生と別れる。
「気をつけてね、本当によ」
「先生も帰り道、気をつけてくださいね」
そういって別れて電車に乗る。
やはり延着、遅延。
なんとか会社に戻ればやっと帰れたか、とほっとした表情。
出張に必要なものを受け取り、一度帰宅。
鞄などを整え、着替えて一路京都へ。
腹は減るものの、駅弁は途中の駅で買うしか有るまい。
静岡で買い、食べる。
米原、そろそろ降りる用意をするか。
京都に到着して下車。
さて。
まずは家に帰るか。
タクシーに乗り込み自宅へ。
家に入ってストーブをつけてあたたまる。
流石に火の気のない家は寒い。
少し温まったので昼寝。
やはり人の家というのは疲れる。
先生もうちに滞在すると疲れるのかな。いや体力と言う意味じゃなくて。
うとうとして夕方、腹が減って目が覚めた。
食事に出ようか。
電話。
先生からだ。
京都駅に着いたらしい。
迎えに行きます、と言ってストーブを消し着替えを持って駅に向かう。
駅近くの喫茶店を指定しておいたのでそこに向かい先生を確保する。
宿に連絡をする。一応のためだ。
ちゃんと予約は取れていて、二人で一緒に向かう。
「飯、食いました?」
「ううん、まだよ」
「じゃ、チェックインしたら食いに行きましょ」
今回取った宿はホテルだ。
普通のダブルの部屋。
衣桁を二つ、組み立ててセットし、その下に敷きたとうを置く。
先生の持ってきた、明日お稽古で使う紋付を掛けて広げた。
「ね、あなたは明日どうするの?」
「仕事終わったらすぐ着替えて向かいます。昼の最初に間に合えばいいとは思いますが」
「わかったわ、先に行ってるわね」
部屋を出て降りる。
レストランはどこが空いてるだろう。
日本料理にまずいってみよう。
幸い空いていて、二人お願いして席に着く。
懐石の一番高いの、と思ったらすっぽんが嫌だと仰る。
ワンランク落としたものを頼んだ。
酒は、と言うといらないと。
炊き合わせも焼き物も美味しくいただいて最後の水物まで綺麗さっぱりお腹におさまる。
「お昼もラーメンだったから幸せ~」
「ああ、まだあちら流通が?」
「そうなのよ、私が買物出た頃には早朝に入った分すべて売り切れちゃってたの」
「こっちはこれこのように、と言うようですがでも値上がりはしてますね」
ふうっと一息ついて部屋に戻る。
先生は沢山食べてお腹が苦しい、と敷きたとうの上で脱ぎ、衣桁にかける。
肌襦袢を脱いで寝巻に。
…おいしそう。
食欲を感じ取られたのか急に目をそらされた。
うん、まぁもう少しお腹がこなれたらね。
「意外と早く来ましたね、明日になるかと思ってましたよ」
「お母さんが、いけそうなら早く行ったらいいって言うから」
「まぁ明日の予定を考えればそのほうがいいでしょうね」
「それに、心配だったから」
「心配?」
「その…あなたこっちに馴染みの方とか…」
「あーそういう心配ね。昨日も大丈夫って言ったでしょう?」
「それでも気になるものなのよ」
「そうみたいですね」
「怖い空気出さないで頂戴よ」
ちょっと引いてる肩を掴んで強引にキスする。
「…もうっ」
ふふっと笑って抱きしめた。

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239

湿布貼ってあげるからおいで、と八重子先生に呼ばれてあちこち貼ってもらった。
水屋の始末が済んだ様で、お夕飯の時間になるからと先生がご飯を炊いている。
孝弘さんへはラーメンライス作戦だ。
今夜は味噌ラーメン。
先生はこんなの食べるの久しぶりだわぁ、最近のは美味しいのね、なんて仰ってる。
玄関に物音。
「ただいま」
「あら、律。良く帰って来れたわねぇ」
「うん、送ってもらって何とか。いつもの3倍くらい時間かかったんだけど」
「おかえりなさい、律君」
「あ、山沢さん。こんばんは。
 家が気になるからって環伯母さんに言われて帰ってきたんだよね」
「うちの雪かきは山沢さんがしてくれてねぇ、助かるよ、本当に」
「あ、そうなんだ。ところで何食べてるの?僕もおなかすいた」
「ラーメンよ、作ってあげるわ。一つでいいの?」
「なんでまたラーメン? ああ、うん、一つでいいよ」
「だってスーパーに何もないんだもの。お漬物も昨日で終わっちゃったし」
手早く作って先生が戻ってきた。
律君は熱いラーメンをすする。俺はぬるいラーメンを。
お風呂を立てて食事が済んだ律君を風呂へ。
順次入り先生が仕舞い風呂となった。
布団に入る。
身じろぐと痛む。筋肉痛め…。
先生が懐の中でくすくす笑っている。
キスするのに首を動かしても痛い、と思っていると先生からキスしてくれた。
「明日は痛くないといいわね」
「本当に」
「明日、行っちゃうの?何時から?」
「夕方からのつもりでしたがこれではね、昼ごろから出ようと思います」
「そう…。私も行けそうなら明後日のお昼までには行くから」
「だめでもこれそうでも連絡くださいね。迎えにいけたら行きたいですし」
キスされた。
「行けなくても浮気、しないでね」
「しませんよ。大丈夫」
「本当?」
「あなたほど可愛いと思う人はいません。だから大丈夫ですよ」
頬を染めて大変に可愛らしい。
背を撫でようと思ったけど痛い。痛いけど頑張って背を撫でた。
「そろそろ寝ましょう」
「そうね、おやすみなさい」
寝る前にもう一度、とお願いしてキスしてもらう。
今日はしたくとも何も出来ない。
懐に抱いて、温かさと匂いを楽しめるだけでもまあ幸せだからいい。
おやすみなさい。

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238

翌朝、警察の救助隊や自衛隊が各地に派遣され始めたと聞き、
ようやく落ち着きを取り戻す。
ただやはり今朝はラーメンになってしまった。
定番の醤油ラーメンから。
孝弘さんが更にご飯を食べている。
さてさて今日はどんなものだろうね。
先生と二人偵察に出る。
他の家の前は積もった雪で歩きにくそうだがうちは綺麗さっぱり除雪、道は乾いてる。
幹線道路への道も乾いていて、俺が昨日やったのは正解だったようだ。
道路は機材が入ったり人海戦術で少しは道になっていた。
スーパーまで行ってみるが、ろくなものがない。
やはり入荷できてないとのこと。
明日、もしかしたら入荷できるかもしれないようだ。
電車は、と思えば線路がまだ雪山らしい。
「こりゃあ…律君帰って来れませんね」
「あなたも帰れないわねぇ」
「帰らなくていいなら帰らないでいいんですけどねえ」
「そういうわけにいかないものね」
さくさくとおうちまで戻る。
途中ご近所の方と立ち話。
「飯島さんのところはいいわねぇ、うち屋根壊れちゃったのよ…雪で」
「あらぁ、大変ですわねぇ」
「車も屋根がへこんじゃってねぇ」
「あらあら…」
などと会話をしてお気をつけて、と別れて戻った。
「ただいまぁ」
「お帰り、どうだった?」
「道は有るけど大通りはダメねぇ、やっと今ショベルカーだったかしら、
 そんなのが来てたわ。スーパーは何も棚にないんですって」
洋服から着物に着替える。
先生はやっぱり着物のほうが楽みたいだ。
「横田さんとこ屋根が壊れたんですってよ。
 雪下ろししてもらわなきゃうちも壊れてたかしら」
「かもしれないねえ。それにしても。暇だねえ」
「ご飯作れないものね、暇よねぇ」
「ですね」
「そうだわ、山沢さん。お稽古してあげましょうか」
「あ、そりゃいいね、そうしようか」
「そういえば明日から京都、と言ってましたけど。どうでしょうね、雪」
「そうねえ。たしか明後日よね、お稽古。
 いけるのかしら、明日の様子見てお断りしなきゃいけないかもしれないわねぇ」
心配、と言いつつお稽古の用意をして、何度かお稽古してもらったり、
先生自身のお稽古をされたり。真之行のお稽古を見せてもらった。
お稽古にも先生が飽きてきた夕方、俺の筋肉痛が来た。
片付けはいいから、と許してもらって軽くストレッチをする。
血行を良くするほうが早く治るからね。

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237

道を作ってついでに八重子先生の車から雪を落とす。
車輪幅をとって外の道路までの道も作った。
これで何とか出られるかもしれんし。
道路さえ除雪されれば。
しかしカーポートなくてよかった。
近所の家はカーポートがぽっきり逝ってるらしい。
さて余力はまだ有るか。有る。
道路に突撃だ。両隣の家までの歩く道!
えっさほいえっさほいと雪をどかし、排水溝を探してそこもあけておく。
これがあいてると凍結しにくくなるはずだ。
ふーっと身体から湯気を発しながら戻り、上着とズボンを脱ぐ。
先生がいそいそと干してくれて、八重子先生が着替えを出してくれた。
座布団を枕に先生の尻に背をくっつけるようにして少し寝る。
ふと温かみが消えた頃、お夕飯と起こされた。
買い置きのものばかりだから、と言うが十分美味しくて。
幸せな気分。
頼られて、甘やかされる。幸せだな。
さて、雪は止んで居るらしい。
そんじゃまあ本日ラストの雪かきしましょうかね。
あの後そう降らなかったようでササッと道路まで除雪。
隣の家までだった道を更に幹線道路へ向けて掘り行くことにした。
いけるところまで掘り進む。
有る程度踏み後が有るので随分楽だ。
汗でぼとぼとになる頃、道路に辿り着いた。
これでいいだろう。
疲れた、ととぼとぼと帰る。
ただいま、と入って服を脱ぐ。
「お風呂沸いてるわよ、入って」
と風呂に入れてもらった。
冷え切った身体にお湯が気持ちいい。
風呂から出てショーツに生理用品をセットして寝巻に着替える。
居間に戻るとテレビでは山梨の話が出ている。
あちらも凄いようだ。
あったまってるうちに寝るよう言われて、先生と寝間に入る。
懐に先生を抱いて、先生の温かさ、匂い、肌を楽しむ。
胸を舐めたら、そんなことしてないで早く寝なさい、と仰るが。
「だってこうしてたいんですもん」
そういうと仕方ない子ね、と仰って頭を撫でてくださる。
暫く先生の柔らかい胸を楽しんでると先生の寝息が聞こえ出した。
先に寝ちゃったか、先生も今日は孝弘さん操るのに疲れたのかもな。
綺麗だよなぁ、先生。
くっ寝息に引き込まれる。
おやすみなさい。

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236

11時、一人目の生徒さん到来。
ちゃんと紋付色無地だ。
先生もいつものクラスの生徒さん相手とは少し違い、ほんの少し厳しい。
俺相手のときよりはかなり優しいけれど。
二人目の生徒さんを終えて先生と食事に立つ。
八重子先生が夕方の生徒さんは無理だと電話があったと言う。
やっぱりなぁ。
お昼からの生徒さんお二方は俺の臨席を禁止され、水屋のみお手伝い。
3時半、次の生徒さんから電話。
立ち往生して引き返すしかない模様。
先生にそう伝えると吃驚されて、お稽古の終ったところの生徒さんも慌てて帰宅された。
外を見れば結構に積もっていて、先生にスコップが有るか聞けば蔵に有るはずという。
借りてとりあえず家から道路まで少し雪をよけておく。
滑ったらやだしね。
この降り方なら4時間に一度くらいしておくべきかな?
屋根を振り仰げばまだ大丈夫そうか。
明日の雪かきのときは屋根雪を下ろすほうがよかろう。
安全帯はさすがにないだろうが縄かロープは有るかなぁ。
八重子先生に聞けば庭木用の縄が有るとのこと。
命綱になる。
屋根から落ちるとかイヤ過ぎるし。
どうしてもとなれば青嵐に乗せてもらう手が有るがそれはさすがに夜中だけにしたい。
夕飯をいただいた後、仕事着に着替えた。
ある程度除雪し、部屋に戻り濡れた服を乾かす。
「あとは寝る前にもしておくほうがいいでしょうね」
「そうね、助かるわ」
ゆっくりとお茶を飲みあたたまる。
いい感じで外は更に降っている。
「外、凄いわね…律から電話あったのよ、さっき。帰れないって」
「そりゃそうでしょう」
先生の体温で暖を取るかのように手に触れたりして時を過ごす。
そろそろいつもなら寝る時間が来て、再度防備を固める。
スコップでがんがん道を掘って広げておく、せめて外の道路へ。
その後塩をかけておいた。
戻って服を吊って寝間にもぐりこむ。
先生は起きて待っていてくれたようだ。
一緒に布団に入れば俺の身体が冷えてる、と抱きしめてくれる。
あったかいなー気持ちいい。
柔らかい肌。
暖かい肌。
いい匂いがする。
疲れもあり、すぐに寝てしまう。
翌朝起きると銀世界、どんだけ積もってんだこの野郎!
とりあえず身支度整えて雪かきだ。
道路までの道をつけ、うちから雑木林の太い木までの道をつけた。
一旦火に当たって朝飯をいただく。
そして一服して気を入れなおし、屋根の雪下ろしをする。
まずは腰にロープを結わえて2階の柱に括りつける。
窓から足場を作りつつ出て雪を落とす。
まずはロープの範囲を落とした。
そして先生に新たにロープを投げ勾配と反対側の雑木に端を結んでもらう。
OKが出て八重子先生に柱につけたロープを緩めてもらった。
そうやって雪をあらかた落とし、2階のロープを引いてもらいつつ戻った。
先生はおやつを餌に孝弘さんが縁側近くの雪を蹴散らしているようだ。
上手だよな。
テレビでは都心部のことしかやってないようだ。
7時ごろ律君から様子伺いの電話があったそうだがこちらの状況を伝えたところで、
この雪では律君もこちらへは戻れないだろう。
お昼ごはんをいただいて、うつらうつらとしてしまった。
ふと気づくと先生の膝枕に毛布がかけられていて少し気恥ずかしい。
頭を撫でられて、もう少し寝てたら?と仰るがまた強く降ってる様だ。
後でもう一度、とお願いして身支度を整えて雪の中へ突撃する。

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